主要成果
南西交通大学のHongkun Li准教授らによる研究チームは、β-Ga₂O₃ MOSFETにおいて、ダイヤモンド熱拡散層(TSL)とシリコン基板埋め込みマイクロチャネルを統合したハイブリッド熱管理戦略を開発しました。この手法を導入した結果、デバイスのピーク温度を約55.6 K低減させることに成功しました。これは、最先端の基板埋め込みダイヤモンドマイクロチャネル戦略と比較して、温度差がわずか5 Kという極めて高い冷却性能を実現したことを意味します。
技術・詳細
本研究では、Sentaurus TCADによる等価熱源の抽出とCOMSOLによる3次元熱シミュレーションを組み合わせた、クロスプラットフォームの電気・熱結合モデリング手法を用いています。解析の結果、[010]配向のβ-Ga₂O₃ MOSFETにおける最大接合温度は、主に低い面内熱伝導率によって熱源付近の横方向への熱拡散が抑制されていることが原因であると判明しました。
このボトルネックを解消するため、厚さ5 μmのダイヤモンド熱拡散層を導入したところ、熱拡散角が32.2°から88°へと大幅に増加し、有効伝熱面積は約80倍に拡大しました。特筆すべきは、ダイヤモンド層の導入によって界面熱抵抗が増加するものの、横方向への熱拡散が十分に促進されるため、ダイヤモンドと基板間の界面熱抵抗が接合温度に与える影響は無視できるレベルにまで抑えられた点です。
背景・業界の文脈
β-Ga₂O₃(酸化ガリウム)は、バンドギャップが約4.8 eVと広く、臨界破壊電界強度が最大8 MV/cmに達するため、次世代の高電圧パワー電子デバイスの理想的な候補とされています。しかし、本質的に熱伝導率が低く、かつ強い異方性([010]方向で約27.1 W m⁻¹ K⁻¹、[100]方向ではわずか10.7 W m⁻¹ K⁻¹)を持つため、動作中に深刻な局所的自己発熱が発生します。これがデバイスの性能と信頼性を制限する大きな要因となっており、理論上の電気的性能を引き出すには効率的な熱管理が不可欠でした。
今後の展望
本研究では、熱拡散層の厚さ、界面熱抵抗、マイクロチャネルの位置、流速、および外部熱抵抗がデバイス温度に与える影響を体系的に調査しました。これにより、高出力β-Ga₂O₃デバイスの熱設計に向けた理論的な指針が提供されました。製造難易度が高くコストも嵩む従来のダイヤモンドマイクロチャネルに代わり、本ハイブリッド戦略は高い熱性能と低コストを両立しており、実用的なエンジニアリングソリューションとなることが期待されます。
元記事: http://agoa.top/en/News/details.html?id=3632
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