Huawei|Kirin 9050 Pro採用のLogic Folding技術と性能

BigGo Finance 台湾
概要
HuaweiとQualcommが5GやAIなどの広範な特許クロスライセンス契約を締結した。この合意を巡り、QualcommがHuaweiのチップ積層技術「Logic Folding」のライセンス料を支払うとの報道が出たが、Qualcomm側はこれを否定している。Logic FoldingはEUV露光装置の制限を回避し、信号遅延の圧縮によって性能を向上させる同社独自の技術アプローチである。
詳細

特許ライセンス契約を巡る論争

2026年10月5日、HuaweiとQualcommは、5G、コンピューティング、人工知能(AI)、ネットワーキングを含む複数の技術分野における広範な特許クロスライセンス契約を締結した。また、QualcommはHuaweiが保有するコンピューティングやAI、ネットワーキング分野の一部の米国特許を取得することでも合意した。

この発表後、Bloombergなどの報道により、QualcommがHuaweiの「Logic Folding」チップ製造技術のライセンスを取得し、初めてHuaweiに対してライセンス料を支払う(ネットペイヤーになる)との憶測が広がった。しかし、Qualcommは10月6日の声明で、ネットペイヤーであるという報告は不正確であり、Logic Folding技術に関するライセンス主張も事実ではないと明確に否定した。

Logic Folding技術の構造と性能

Logic Foldingは、Huaweiの半導体事業責任者であるHe Tingbo氏が2026年5月25日のIEEE ISCAS 2026で発表した技術概念である。これは「Tau Scaling Law」フレームワークに基づき、トランジスタの微細化ではなく「信号遅延」を指標として性能を向上させるアプローチである。具体的には、チップのほぼすべての機能モジュールを2つのボンディングダイに分割し、両方をアクティブ層として機能させることで、垂直方向の相互接続による信号伝達経路の短縮を図る。

北京大学の「true 3D」設計ツールを用いた検証では、配線長を30%削減できることが示されている。また、この技術を適用した「Kirin 2026」というチップ(市販のKirin 9050 Proに相当)では、1.5ミクロンのハイブリッドボンディングピッチを用い、約5,000万個の相互接続点を構築している。これにより、コアルーティングを20%、クリティカルパスを最大70%短縮した。同等の性能レベルにおいて、消費電力はNPUで最大66%、GPUで58%、CPU性能コアで41%削減され、NPUは電圧を下げ、周波数を63%削減しても29 TOPSの性能を維持している。

実機解析による実装の確認

2026年9月7日に発売された3つ折りスマートフォン「Huawei Mate XT 2」に搭載されたKirin 9050 Proのダイ解析により、この構造が確認された。銅-銅ハイブリッドボンディングを用いて2つのダイがフェイス・トゥ・フェイスで接合されており、上層に実行ユニット(CPU、GPU、NPUのロジックユニットなど)を配置し、下層にL3キャッシュ、システムキャッシュ、PLL、および各種インターフェース(LPDDR、PCIe、USBなど)を配置している。これにより、熱に敏感で高度なプロセスが必要な演算ユニットを上層に、プロセスノードへの感度が低いI/Oやキャッシュを下層に分ける構成となっている。ダイサイズは1枚あたり120平方ミリメートル強で、合計240平方ミリメートルを超え、前世代の140平方ミリメートル超から約70%拡大した。トランジスタ密度は155 MTr/mm²から238 MTr/mm²へと約53.5%向上している。

技術的背景と意義

Logic Foldingは、極端紫外線(EUV)露光装置の利用制限を回避するための手段と見なされている。トランジスタ自体のサイズを縮小させるのではなく、積層化と垂直方向の相互接続によって信号遅延を圧縮することで、製造上の制約がありながらも高性能なチップを実現する戦略的な技術パスとなっている。

元記事: https://finance.biggo.com/news/6520ef39-1dd1-400a-ab83-9290855da6ee

毎週の技術動向レポートを無料でお届け

各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。

📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)

ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。

  • 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
  • 第三者へ提供することはありません。
  • 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。

詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

登録は1分・いつでも解除できます

この記事は Troy-Technical が公開しています。素材メーカーで技術開発に携わってきた技術者が、個人で運営しているサイトです。
運営者について / お問い合わせ info@troy-technical.jp
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次