主要成果:責任ある調達の義務化と適用期限
EU電池規則 (EU) 2023/1542の第VII章(第47〜53条)に基づき、2027年8月18日から、EU市場に投入されるすべての電池において、コバルト、リチウム、ニッケル、天然黒鉛の責任ある調達を証明する検証済みエビデンスの提示が必須となります。当初は2025年8月の適用予定でしたが、「stop-the-clock」規則 (EU) 2025/1561により、適用期限が2027年8月まで延期されました。これにより、輸入業者、販売業者、設置業者は、非準拠製品が販売不能になる前にサプライチェーンを監査するための猶予期間を得たことになります。
技術・詳細:デューデリジェンスの4つの柱
OECDの責任ある鉱物サプライチェーン・デューデリジェンス・ガイダンスに基づき、対象事業者は第三者検証済みの管理システムを構築し、以下の4つの柱を運用する必要があります。
- デューデリジェンス管理システム:取締役会が承認した調達方針を策定し、責任あるシニアマネージャーを任命すること。
- リスクの特定と評価:鉱山から精錬所、セルメーカーに至るサプライチェーンをマッピングし、アンケートだけでなく現地調査を用いて人権侵害(児童労働、強制労働)や環境破壊をスクリーニングすること。
- リスク管理と対応:特定されたリスクを防止・軽減する計画を文書化し、改善を拒否するサプライヤーに対しては、最終手段として取引停止や撤退を行うこと。
- 第三者検証と公開報告:通知機関による独立監査を受けた年次デューデリジェンス報告書を公開すること。
なお、EU内でリサイクル材料から製造された電池は低リスクとして扱われます。
背景・業界の文脈:適用範囲と他規制との関係
直接的な適用対象は、純売上高が4,000万ユーロ以上の経済事業者です(Omnibus IVレビューにより1億5,000万ユーロへの引き上げ案がありますが、現時点では4,000万ユーロで計画する必要があります)。また、大規模なブランド企業が監査を行うため、間接的に中小の卸売業者や設置業者にも、精錬所リストや監査証明書などのデータ提供が求められることになります。
本規則は、より大規模な企業(従業員5,000人以上、売上高15億ユーロ以上)を対象とする企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令 (CSDDD) とは別個の、セクター特化型の規制であり、より早期に適用されます。
今後の展望:市場アクセスとリサイクル目標
2027年8月以降、準拠していない電池はEU市場からの撤回や国境での拒否に直面します。これに加えて、2027年2月18日にはデジタル電池パスポートが導入される予定です。また、リサイクル効率についても、リチウムベースの電池は2025年末までに65%(2030年までに70%)に達する必要があり、リチウムの回収率は2027年末までに50%(2031年までに80%)まで引き上げられる計画です。これらの規制により、認証の有無が製品の購入基準となる傾向が強まっています。
元記事: https://www.insumenergy.com/eu-battery-supply-chain-due-diligence-2026-buyers-guide/
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