主要成果
再生可能エネルギー由来の合成メタン(e-methane)および水素技術において、商用展開と技術革新が加速している。フィンランドのP2X Solutionsは、同国で製造した再生可能e-methaneを天然ガスネットワークに注入し、国内顧客およびBalticconnectorパイプラインを通じて欧州市場へ供給することを開始した。また、フィンランドのガス輸送システム運営会社Gasgridは、同施設で製造されたe-methaneに対し、国内初となる原産地証明書を発行した。これにより、顧客は化石燃料由来の天然ガスと再生可能由来の合成メタンを明確に区別し、検証することが可能となる。
技術・詳細
技術面では、コスト削減と効率化に向けた重要な進展が見られる。Stargate Hydrogenは、独自のセラミック触媒を開発し、アルカリ電解槽スタックの出力効率を48 kWh/kgまで向上させたと報告している。特筆すべきは、イリジウムなどの白金族金属(PGMs)への依存を完全に排除した点である。同製品は最大0.5 MWのスタックで提供されており、現在は5 MWスタックへの統合が進められている。同社の工場は現在、年間140 MWの生産能力を持ち、投資により1 GW以上に拡張可能としている。
また、その他の企業による具体的なプロジェクト展開は以下の通りである。
- ITM Power: 子会社のHydropulseが欧州の石油精製所と基本合意書を締結。150 MWのAlpha電解槽プラットフォームを導入し、10年間の契約でオンサイトでのグリーン水素製造を行う。2027年の最終投資決定(FID)、2029年の生産開始を目指す。
- STX Group: スペインのTurn2X社が製造した、Rfnbo(非生物由来の再生可能燃料)準拠のe-methaneを2026年10月初旬に初めて受領した。
- Nel: Rheinmetall AGと分散型再生可能燃料生産に関する覚書(MoU)を締結。防衛および重要インフラ向けに、Nelの電解槽技術とRheinmetallのGiga PtXコンセプトを組み合わせたモジュール式ソリューションを検討する。また、米国のテクノロジー企業から、コンテナ型PEM電解槽「MC-series」などの受注(約1,200万ドル相当)を得ており、2027年に納入予定である。
背景・業界の文脈
e-methaneは、再生可能水素と回収した二酸化炭素を組み合わせることで製造される合成ガスであり、既存の天然ガスインフラをそのまま利用して輸送・使用できるため、脱炭素化への移行コストを抑えられる利点がある。また、水素の調達源を多様化させる動きもあり、日本のJeraは、米国の天然水素探索・開発会社であるKolomaに投資した。Kolomaは独自の地質データと探索ツールを用いて天然水素資源を評価しており、これまでBreakthrough Energy VenturesやAmazonなどから4億ドル以上の資金を調達している。
今後の展望
低炭素水素の市場拡大に向けた組織再編も進んでいる。Hy24は、EDFグループの子会社であるHynamicsの買収に合意した。この取引は2027年第1四半期に完了する見込みであり、フランスおよび英国における重輸送・産業セクター向けの低炭素水素供給体制を強化し、欧州における低炭素水素のリーダーとなることを目指している。
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