主要成果
NTTドコモは、D-Waveの量子コンピューティング技術を実運用に適用し、ネットワークの制御プレーンにおける負荷を大幅に軽減した。特に、全国ネットワークの一部セグメントにおいて、日中のピーク時の位置登録信号を65.3%削減するという、従来のエンジニアが到達不可能と考えていた成果を達成した。また、初期の成功例ではピーク時のページング信号を約15%削減し、これにより接続デバイス向けのネットワーク容量が推定20%増加したとしている。
技術・詳細
今回の最適化には、D-Waveの「CQM(制約付き二次モデル)ハイブリッドソルバー」が活用された。ドコモは、全国の基地局から収集した実際のデバイス移動データを用いて、ページング信号と位置登録信号を同時に最適化する多目的最適化問題を定式化した。具体的には、交通量の多い移動ルート沿いで登録境界を戦略的に回避することで、高速移動するデバイスから発生する不要なシグナリングバーストを最小限に抑え、基地局の負荷軽減とネットワークの安定化を実現している。
計算速度の面では、量子システムによる圧倒的な優位性が示された。以前の展開では、270の基地局を21のTAリスト(Tracking Area List)に再編成する処理に、古典的な手法では27時間を要していたが、D-Waveのプラットフォームではわずか40秒で完了した。さらに、規模を拡大して333の基地局(3つのTAリスト、9つのTAを含む)を対象とした最適化では、約5分でタスクを完了させた。この規模の構成は、実運用に必要な時間枠内では古典的な手法では解決不能であったという。
背景・業界の文脈
通信業界にとって、ページング信号と位置登録信号の同時最適化は長年の課題であった。基地局が333局あるだけのネットワークセグメントであっても、考えられる構成は28,991通りに及び、その複雑性は従来のコンピューティング能力を超えていた。D-WaveのCEOであるAlan Baratz氏は、通信ネットワークはリソース制約が厳しく極めて複雑な環境であり、今回の結果はアニーリング方式の量子コンピューティングが、今日のオペレーターのパフォーマンス向上に寄与することを証明したと述べている。
今後の展望
NTTドコモは、量子コンピューティングの適用範囲を単一のユースケースから、より広範で複雑な運用課題へと拡大させている。また、地図ベースの可視化ツールを導入することで、地域の支店が実際のネットワークに適用する前に、提案された基地局の再割り当てと予測される信号削減量を確認できる体制を整えた。同社の研究員である福田秀一氏は、2026年10月28日にソウルで開催される「Qubits Asia」にて、ネットワーク最適化における量子コンピューティングの実運用に関する詳細を発表する予定である。
元記事: https://quantumzeitgeist.com/d-wave-quantum-technology-docomo-production/
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます



