主要成果
ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金プロジェクトの一環として、大型商船用の水素エンジン「6UEC35LSGH」の陸上工場試験を成功裏に完了した。この試験では、95%を超える水素混焼率を達成し、温室効果ガス(GHG)排出量を従来の重油燃料エンジンと比較して95%以上削減できることが実証され、海運業界の脱炭素化に向けた重要なマイルストーンを確立した。
技術・臨床詳細
「6UEC35LSGH」は、J-ENGが長年培ってきたディーゼルエンジン技術を基盤とし、水素と重油を併用する二元燃料(デュアルフューエル)エンジンとして開発された。試験では、重油燃料をわずか5%未満に抑え、95%以上のエネルギーを水素から供給する高い混焼率を実現した。この高い水素混焼率により、硫黄酸化物(SOx)や粒子状物質(PM)の排出はほぼゼロとなり、GHG排出量も劇的に削減される。 NOx排出量については、排ガス再循環(EGR)や選択的触媒還元(SCR)などの後処理技術と組み合わせることで、国際海事機関(IMO)の規制要件をクリアする見込みである。エンジンの信頼性と耐久性も重要な検証項目であり、今回の工場試験では、設計通りの性能と安定的な動作が確認された。
背景・業界文脈
国際海事機関(IMO)は、国際海運におけるGHG排出量を2050年までに2008年比で50%削減するという野心的な目標を掲げている。この目標達成のためには、低炭素・ゼロカーボン燃料への転換が不可欠であり、水素はその有力な候補の一つである。しかし、液化水素の貯蔵や供給インフラ、およびエンジン技術の開発には多くの課題が存在する。J-ENGのプロジェクトは、こうした課題を克服し、大型商船の脱炭素化を現実のものとするための国家的な取り組みである。日本政府は、グリーンイノベーション基金を通じて、海運分野を含む様々な産業での脱炭素技術開発を強力に支援しており、今回の成果はその代表例と言える。
今後の展望
「6UEC35LSGH」は、2027年1月に17,500DWT型多目的船への搭載が計画されており、これは大型商船への水素エンジンの実用化に向けた重要なステップとなる。その後、2028年4月からは実際の航海環境下での性能、耐久性、安定性評価が開始される予定である。この実証運航を通じて得られるデータは、将来的な水素燃料船の設計、運航基準、および国際的な規制策定に大きく貢献するだろう。J-ENGの水素エンジン技術は、海運業界の持続可能な未来を実現し、日本の海事産業が国際的な競争力を維持・向上させる上で極めて重要な役割を果たすことが期待される。
元記事: https://inspenet.com/en/news/japan-engine-tests-hydrogen-engine-for-large-commercial-vessels/
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