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Intel|光通信・フォトニクス 企業解説

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COMPANY PROFILE / 光通信・フォトニクス

Intel
― 光モジュールを手放し、「チップに光を載せる」研究と実装技術に軸足を移した先駆者

Intelは、シリコンフォトニクスを早くから量産した会社の1つです。 同社の資料によれば、光のチップ(PIC)を800万個以上、チップ上に作り込んだレーザーを3,200万個以上出荷してきました。 ところが2023年10月、その主な出口だったプラガブル光トランシーバーの製造・販売をJabilに移管しました。 いまIntelが光通信で公表しているのは、CPUやGPUに光の入出力を直接載せるOCI(Optical Compute Interconnect)チップレットの試作と、 受託製造(Intel Foundry)としてのCPOの実装技術の研究です。 本稿では会社全体の規模は最小限にとどめ、Intelの光の事業がどう変わり、いま何が一次資料で確かめられるかを整理します。

構成:Intel Form 10-K(2025年12月27日終了年度、2026年1月23日提出/2023年12月30日終了年度、2024年1月26日提出)、Intelの公式プレスリリース(2022年6月・2024年6月)、シリコンフォトニクス製品ページ、Intel Foundry公式ブログ(2026年6月)、Jabilの公式リリース(2023年10月)を一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるIntelと、光通信・フォトニクスでの立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 光通信・フォトニクスの世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模(CPU・ファウンドリ事業は簡潔に)
  5. 光通信・フォトニクスにかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は光通信・フォトニクスで何を目指しているか
  9. 光通信・フォトニクス分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるIntelと、光通信・フォトニクスでの立ち位置

正式名称Intel Corporationデラウェア州法人
本社米国カリフォルニア州
サンタクララ
2200 Mission College Boulevard
上場Nasdaq: INTC会計年度は12月の最終土曜日に終わる
この分野での区分半導体
(設計・製造とファウンドリ)
光の領域はデータセンター内の光インターコネクト
光のチップの出荷実績PIC 800万個超
レーザー3,200万個超
プラガブル光トランシーバー向け。100/200/400G用
プラガブル事業2023年10月に
Jabilへ移管
製造・販売と次世代品の開発を移管
いま公表している柱OCIチップレット4Tb/s(双方向)。2024年6月時点で「試作品」
最新の公表CPOの実装研究Intel Foundry、ECTC 2026(2026年6月2日のブログ)
まず押さえるべき1点

光通信に関わる企業は、大きく光部品・光モジュール/半導体・ファウンドリ/通信装置・通信事業者の3種類に分かれます。 Intelは半導体・ファウンドリの会社ですが、光については「光モジュールを売る会社」から「チップに光を載せる技術を持つ会社」へと立ち位置を変えている途中にあります 事実。 2023年10月のJabilのリリースで、Intelの最高戦略責任者は「Intelはシリコンフォトニクスの部品に注力を移す」と述べています。 その後Intelが公表した光の成果は、OCIチップレットの試作(2024年)と、Intel FoundryによるCPOの実装研究(2026年)です。 一方で、2025年12月期の10-Kにはシリコンフォトニクスへの言及が本稿の検索では見つかりませんでした。 この会社は、技術の蓄積は厚いが、事業としての現在地が外から見えにくいことを前提に読んでください。

2. ロゴと社名の表記について

Intelのロゴは同社の登録商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、 Intel公式サイトで公開されているロゴ画像を img/intel_logo.png として設置しています(表示用に縮小)。

表記の注意:法人名は Intel Corporation、日本語では「インテル」です。 光の部門名は、2024年の発表では「Integrated Photonics Solutions(IPS)Group」、研究は「Intel Labs」、 CPOの実装研究は受託製造部門の「Intel Foundry」の名前で発表されています。同じIntelでも発表の主体が違う点に注意してください。

公式サイト:https://www.intel.com/content/www/us/en/homepage.html

3. 光通信・フォトニクスの世界で、この会社はどこにいるか

光通信・フォトニクスに関わる企業の3つの類型 同じ「光通信の会社」でも、どこで光を扱うかがまったく違う 光部品・光モジュール 半導体・ファウンドリ 通信装置・通信事業者 光を出す・送る・受ける部品を売る 電気と光をつなぐチップを作る 光でネットワークを作り運用する Lumentum/Coherent InnoLight/Ayar Labs ほか NVIDIA/Broadcom TSMC/Intel ほか NTT/Ciena Nokia/Cisco ほか レーザーと光実装の量産力 スイッチ・GPUの出口を持つ 長距離伝送と網の運用知見 大口顧客への依存が大きい 光部品は外部に頼りがち データセンター内は変化が速い Intelはこの中央にいるが、光モジュールの販売からは2023年に手を引いた いまはCPU・GPUに光を載せるOCIの試作と、ファウンドリとしてのCPO実装研究を公表している
図1 光通信・フォトニクスに関わる企業の3類型と、Intelの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。Intelがプラガブル光トランシーバー事業をJabilに移管したことはJabilの公式リリース、OCIとCPOの研究はIntelの公式リリースと公式ブログの記載に基づきます。

光のどの領域に関わるかでいえば、Intelの取り組みはデータセンターの中の光インターコネクトに集中しています 事実。 出荷実績のあるPICはデータセンター網用のプラガブル光トランシーバー(100/200/400Gb/s)向けで、 OCIチップレットはCPU・GPU同士や、CPUとメモリの接続を想定しています。 製品ページには5G無線の前方伝送(フロントホール)向けの資料も掲載されていますが、本稿の調査範囲では、現在の製品や数値は確認できませんでした。

4. 会社の規模(CPU・ファウンドリ事業は簡潔に)

CPUとファウンドリの事業は本稿の主題ではないので、規模だけを押さえます 事実。

指標(百万ドル)2023年12月期2024年12月期2025年12月期
売上高(全社)54,22853,10152,853
研究開発費(全社)16,04616,54613,774
構造改革などの費用(62)の戻入6,9702,191

従業員は2025年12月27日時点で85,100人です。 報告セグメントはCCG(パソコン向け)、DCAI(データセンター・AI)、Intel Foundryの3つで、 2025年1〜3月期にネットワーク事業(NEX)をCCGとDCAIに統合したと10-Kは書いています 事実。

ここで注意

上の数字は会社全体のものです。Intelは光関連の売上・研究開発費・人員を開示していません 未確定/将来。 光の部門(IPS Group)がどのセグメントに属しているのかも、2025年12月期の10-Kからは読み取れませんでした。 研究開発費は2024年12月期から2025年12月期に約28億ドル減っていますが、そのうち光の分がどう変わったかは分かりません。

5. 光通信・フォトニクスにかけているリソース

リソースの種類内容確認
人(専任組織・人員)2024年の発表時点でIntegrated Photonics Solutions(IPS)Groupが存在。研究はIntel Labsが25年以上続けてきたと会社は説明。2026年にはIntel Foundryの技術者がCPOの論文を発表。人数は非公表組織は確認。人数は非公表
金(研究開発費・設備)全社の研究開発費は2025年12月期に137億7,400万ドル。光の分は非公表。2024年の発表は「新しいシリコンフォトニクスの製造プロセスを導入中」と書いているが、投資額は非公表非公表
自社の製造基盤300mmのハイブリッド・シリコンフォトニクスのプラットフォームで量産用トランシーバーを製造してきた(2022年の発表)。III-V族のレーザーをウェーハ上に接合する「hybrid laser-on-wafer」が差別化要素と説明確認できた(現在の稼働状況は未確認)
外部への出資・買収・事業の移管光関連の出資・買収は確認できず。逆にプラガブル光トランシーバーの製造・販売と次世代品の開発をJabilへ移管(2023年10月30日、Jabilのリリース)移管は確認。出資・買収は確認できず
大学・研究機関・公的資金10-KにはCHIPS法に基づく米国政府の資金(商務省との契約)の記載があるが、光の研究に充てられたかどうかの記載はない。ECTC 2026では米国立標準技術研究所(NIST)との共同研究も紹介されているが、テーマは接合(ハイブリッドボンディング)で光ではない光に限れば確認できず
素材技術者の視点:レーザーを「シリコンの工場で作る」ための工夫

2022年のIntel Labsの発表は、8波長のDFBレーザーを1枚のシリコンウェーハ上にそろえて作ったという内容でした。 出力のばらつきは±0.25dB、波長間隔のばらつきは±6.5%で、会社は「業界の仕様を上回る」と説明しています 事実。 ポイントは作り方で、シリコンの側に回折格子を先に作り込み、その後にIII-V族(化合物半導体)のウェーハを貼り合わせるという順番を取っています。 波長を決める格子を、300mmのシリコン工場の精密な露光装置で作るため、3〜4インチの化合物半導体の工場で作る従来のレーザーより波長がそろう、という理屈です。

材料の側から見ると、これは「作りにくいIII-V族の工程を最小限にし、精度が要る部分をシリコンの工程に移す」設計です。 一方で、異なる材料を貼り合わせる界面は、熱膨張の差や接合の欠陥が信頼性を左右します。 2024年の発表が、オンチップレーザーの故障率(FIT)が0.1未満だとわざわざ示しているのは、この貼り合わせ方式の弱点と見られがちな点に実績で答えるためと読めます 未確定/将来。

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
25年以上前〜Intel Labsで集積フォトニクスの研究を開始(2024年の発表の記述)技術の蓄積は長い
2016年シリコンフォトニクスの最初の製品を投入(製品ページの記述)大手クラウド事業者向けに量産出荷を始めた
2022年6月28日Intel Labsが、300mmのシリコンウェーハ上で8波長のDFBレーザーアレイを実証CPOやOCIに必要な「多波長の光源」を量産工場で作れることを示した
2023年10月30日Jabilが、Intelのシリコンフォトニクスを使ったプラガブル光トランシーバーの製造・販売と次世代品の開発を引き継ぐと発表。Intelは「シリコンフォトニクスの部品に注力を移す」と説明光の最大の売り物だった光モジュールから手を引いた
2024年1月2023年12月期の10-Kで、近年拡大した製品の1つとして「シリコンフォトニクス」を挙げるこの時点では年次報告書に名前が出ていた
2024年3月/6月26日OFC 2024でOCIチップレットをIntelのCPUと同じパッケージに載せて実データを流す実演を行い、6月に詳細を発表。双方向4Tb/s、5pJ/bit。「試作品」で「一部の顧客と共同パッケージ化に取り組んでいる」光モジュールに代わる新しい柱を示した
2025年1〜3月期ネットワーク事業(NEX)をCCGとDCAIに統合(10-K)組織の再編。光の部門の位置づけは開示されていない
2026年1月23日2025年12月期の10-Kを提出。シリコンフォトニクスへの言及は本稿の検索では見つからなかった年次報告書の上では光の存在感が消えた
2026年6月2日Intel Foundryが、ECTC 2026でのCPOの研究成果を公式ブログで紹介。ガラスのファンアウト結合器と着脱式の端面光コネクタ、V溝に固定するガラスの光結合器など光を「受託製造のパッケージング技術」として売る方向が見えた

7. 今後の計画

OCIチップレット数十Tb/sへの
ロードマップ
製品ページの記述。時期は非公表
評価用プラットフォーム「提供予定」チップレット単位の評価環境。時期は非公表
次世代のPIC1レーン200G800G・1.6T向けを開発中(2024年6月時点)
Intel FoundryCPOの実装技術「近い将来」に高帯域・低電力を実現と説明(2026年6月)

2024年6月の発表は、新しいシリコンフォトニクスの製造プロセスで、オンチップレーザーと光増幅器(SOA)のチップ面積を40%超、消費電力を15%超減らすと書いています 未確定/将来。 2026年6月のIntel Foundryのブログは、ガラス基板について「電気と光の統合を1つのプラットフォームで可能にする」と位置づけています。

確認できなかったこと

次はいずれも、本稿の調査範囲の一次資料に記載がありません 未確定/将来。

OCIチップレットの製品化の時期・顧客名・価格(2024年6月以降、OCIの進捗を示す公式発表は見つからなかった)/ 200G/レーンのPICの出荷開始/新しいシリコンフォトニクスの製造プロセスの稼働状況と投資額/ IPS Groupの現在の組織上の位置と人員/Jabilへの移管の金額/Intel FoundryのCPO技術の外部顧客。 2022年の発表には調査会社のシリコンフォトニクス市場の予測が引用されていますが、会社自身の数字ではないため本稿では採用しません。

8. この会社は光通信・フォトニクスで何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
光モジュールという完成品の事業からは撤退し、部品と技術に絞った2023年10月のJabilのリリースと、そこでのIntel幹部の「部品に注力を移す」という発言事実
光の技術を自社のCPU・GPUの差別化と、ファウンドリの顧客向けサービスの両方に使いたいOCIは「Intel CPUと共同パッケージ化したが、他社のSoCとも統合できる」と説明。2026年にはIntel FoundryがCPOの実装研究を発表推測
光は会社全体の優先順位としては高くない時期にある2025年12月期の10-Kにシリコンフォトニクスの言及が見当たらず、研究開発費は前年から約28億ドル減、構造改革の費用も計上されている推測
Intel Foundryは光とガラス基板を組み合わせた実装を差別化にしたい2026年6月のブログが、ガラスの光結合器と、電気・光を統合できるガラス基板を並べて紹介している推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

Intelの光の資料を時系列に並べると、発表の主体が「製品部門」から「研究」と「受託製造」へ移っていることが分かります 事実。 2016年からは製品として光トランシーバーを量産し、2024年にはIPS Groupという製品部門がOCIを発表しました。 ところが2026年の最新の発表は、Intel Foundryのパッケージング技術の論文紹介の一部で、CPOは20本の論文のうちの一分野という扱いです。 本稿はこれを、Intelが光を「自分で売る製品」から「他社のチップを作るときに提供する実装技術」へ位置づけ直しつつある兆しと読みます 未確定/将来。 ただし、会社自身がそう説明したわけではなく、OCIの製品化をやめたという発表もありません。これは本稿の解釈にとどまります。

9. 光通信・フォトニクス分野の提携マッピング

Intelを中心とした光通信・フォトニクスの関係 公式リリース・製品ページ・公式ブログに記載のある関係のみ。社外の提携は少ない 社外:事業の移管・顧客 社内:光の研究・製品・実装の部門 社名が非公表の相手(点線) Intel 半導体・製造 Intel Labs 多波長レーザーなどの研究 IPS Group OCIチップレット(2024年) Intel Foundry CPOの実装研究(2026年) Jabil 光モジュール事業を移管(2023年) 一部の顧客 OCIの共同パッケージ化を検討 光関連の出資・買収、大学や公的機関との光の共同研究は、一次資料で確認できなかった
図2 Intelを中心とした光通信・フォトニクスの関係。出典:2022年6月28日・2024年6月26日のIntelの公式リリース、2023年10月30日のJabilの公式リリース、2026年6月2日のIntel Foundryの公式ブログ、シリコンフォトニクス製品ページ。濃紺はIntel社内の部門、橙は社外の相手、灰色の点線は社名が公表されていない相手です。他社と違い、Intelの光の分野では社外との提携を示す一次資料が少なく、図の大半が社内の部門になっています。これ自体が、Intelが光を自社内で完結させてきたことを表しています。

10. 提供している技術・製品・サービス

製品・技術公表されている仕様段階
OCIチップレット(第1世代)シリコンフォトニクスのPIC(オンチップのDWDMレーザーと光増幅器を内蔵)と電気のIC(EIC)を重ねた構成。64チャネル×32Gb/s(各方向)、双方向で最大4Tb/s。8対の光ファイバーにそれぞれ8波長(200GHz間隔)。最大100m(実用上は数十m)。PCIe Gen5互換。5pJ/bit(プラガブルは約15pJ/bitと会社は比較)。外部光源不要、標準の単一モードファイバーで動作試作品(2024年6月)。一部の顧客と共同パッケージ化を検討
シリコンフォトニクスのPIC(プラガブル向け)800万個超を出荷、オンチップレーザー3,200万個超、レーザーの故障率FIT 0.1未満。100/200/400Gb/s用量産実績あり。製品ラインは2023年にJabilへ移管
200G/レーンのPIC800G・1.6T向け開発中(2024年6月時点)
多波長DFBレーザーアレイ8波長、出力ばらつき±0.25dB、波長間隔ばらつき±6.5%。300mmのハイブリッド・シリコンフォトニクスで製造研究成果(2022年)
CPOの実装技術(Intel Foundry)ガラスのファンアウト結合器と拡大ビーム型の着脱式端面コネクタ、V溝に固定するガラス光結合器、低入熱の熱圧着によるダイ接合研究発表(ECTC 2026)
性能の数字は「会社の主張」で、しかも試作品のもの

「5pJ/bit」「4Tb/s」「業界初の完全集積」は、2024年の試作品の実演について会社が公表した数字です 事実。 量産品の仕様ではありません。比較対象の「プラガブルは約15pJ/bit」も、どの製品と比べたかは示されていません。 OCIはPCIe Gen5互換とされていますが、光のリンクそのものが準拠する規格(IEEE 802.3やOIFの仕様など)について、会社の一次資料に明確な記載は確認できませんでした 未確定/将来。

素材技術者の視点:Intel Foundryが「ガラス」を持ち出した意味

2026年6月のIntel Foundryのブログは、CPOの研究として、シリコンのV溝に光ファイバーを直接並べる従来の方法を「難しく壊れやすい工程」と書き、 代わりに硬いガラスの光結合器をV溝に取り付ける方法を紹介しています 事実。 同じブログは、ガラスのファンアウト結合器を使った着脱式の端面光コネクタも、量産に向く方式として挙げています。

材料の側から見ると、ガラスは熱で反りにくく、寸法が安定し、光を通すという、光の実装に都合のよい性質をそろえています。 Intel Foundryはガラスのコア基板の研究開発も進めており、同じブログで「ガラス基板の将来の発展は、電気と光の統合を1つのプラットフォームで可能にする」と述べています。 光ファイバーとの位置合わせに必要なμm以下の精度を、樹脂ではなくガラスで保つという発想は、 CPOの最大の難所である光の接続の長期安定性を材料で解こうとする試みと読めます 未確定/将来。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
事業としての現在地が見えない2025年12月期の10-Kにシリコンフォトニクスの記載が見当たらず、売上・投資・人員も非公表。OCIも2024年6月以降の進捗発表が見つからない事実
OCIは試作段階2024年6月時点で「試作品」。製品化の時期・顧客は非公表事実
会社全体の構造改革2024年12月期に69億7,000万ドル、2025年12月期に21億9,100万ドルの構造改革などの費用。研究開発費も減少事実
光モジュールの出口を手放した量産で実績を積んだプラガブル光トランシーバーはJabilに移管済み。自社の光の量産ラインを使い続ける出口が細る可能性推測
競合が先に量産へNVIDIAとBroadcomはCPOスイッチを量産段階に入れたと公表している(両社の公式発表)。Intelの光I/Oは試作・研究の段階推測

12. 用語集

シリコンフォトニクス
シリコンの半導体工場の技術で、光の導波路や変調器を作る技術。
PIC
Photonic Integrated Circuit。光の部品を1つのチップに集積したもの。
OCI
Optical Compute Interconnect。IntelがCPUやGPUの光の入出力に使うとするチップレット。
DWDM
高密度波長多重。1本の光ファイバーに多数の波長(色)の光を通して容量を増やす方式。
DFBレーザー
内部の回折格子で波長を1つに決める半導体レーザー。通信用の標準的な光源。
SOA
半導体光増幅器。光のまま信号を増幅する素子。
FIT
故障率の単位。10億時間あたりの故障件数。
pJ/bit
1ビットを送るのに使うエネルギー。小さいほど省電力。
V溝
光ファイバーを正確な位置に並べて固定するための、V字形の溝。
プラガブル光トランシーバー
装置の前面に差し込む光モジュール。
概念図:CPUのパッケージの横に光のチップレットが載り、多数の色の光が1本の光ファイバーを通っていく様子
図3 IntelのOCIチップレットの考え方の概念図(AI生成による概念図。実際の製品や試作品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. Intel Corporation Form 10-K for the fiscal year ended December 27, 2025(米国SEC提出、2026年1月23日)。本社、売上高、研究開発費、構造改革などの費用、従業員数、報告セグメントとNEXの統合、CHIPS法に基づく政府との契約。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/50863/000005086326000011/intc-20251227.htm
  2. Intel Corporation Form 10-K for the fiscal year ended December 30, 2023(米国SEC提出、2024年1月26日)。近年拡大した製品としてシリコンフォトニクスを挙げた記述。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/50863/000005086324000010/intc-20231230.htm
  3. Intel Corporation プレスリリース「Intel Labs Announces Integrated Photonics Research Advancement」(2022年6月28日)。8波長DFBレーザーアレイ、出力と波長間隔のばらつき、300mmハイブリッド・シリコンフォトニクスでの製造方法。 https://www.intc.com/news-events/press-releases/detail/1555/intel-labs-announces-integrated-photonics-research
  4. Intel Corporation プレスリリース「Intel Demonstrates First Fully Integrated Optical I/O Chiplet」(2024年6月26日)。OCIチップレットの構成と性能、試作品であること、PICとレーザーの出荷実績とFIT、次世代PIC、新しい製造プロセス、Intel Labsの25年超の研究、IPS Group。 https://www.intc.com/news-events/press-releases/detail/1699/intel-demonstrates-first-fully-integrated-optical-io
  5. Intel Corporation 製品ページ「Intel Silicon Photonics」(2026年9月閲覧)。OCIの特徴(外部光源不要、単一モードファイバー、数十Tb/sへのロードマップ、評価用プラットフォームの提供予定)、PICとレーザーの出荷実績、2016年の最初の製品。 https://www.intel.com/content/www/us/en/products/details/network-io/silicon-photonics.html
  6. Intel Corporation(Intel Foundry) 公式ブログ「How Intel Foundry Packaging Technologies Redefine AI and HPC Scalability Limits at ECTC 2026」(2026年6月2日)。CPOの研究(着脱式の端面光コネクタ、V溝のガラス光結合器、低入熱の熱圧着)、ガラス基板と電気・光の統合、20本の論文。 https://community.intel.com/t5/Blogs/Intel-Foundry/Systems-Foundry-for-the-AI-Era/How-Intel-Foundry-Packaging-Technologies-Redefine-AI-and-HPC/post/1749493
  7. Jabil Inc. プレスリリース「Jabil Invests in the Future of AI with Intel Silicon Photonics Transceiver Deal」(2023年10月30日)。Intelのプラガブル光トランシーバーの製造・販売と次世代品の開発の引き継ぎ、Intelの最高戦略責任者のコメント。 https://investors.jabil.com/news/news-details/2023/Jabil-Invests-in-the-Future-of-AI-with-Intel-Silicon-Photonics-Transceiver-Deal/default.aspx
  8. Intel Corporation 公式サイト(社名表記の確認)およびロゴ画像の取得元。 https://www.intel.com/content/www/us/en/homepage.html

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称、本社所在地、上場市場、従業員85,100人、報告セグメントとNEXの統合事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/50863/000005086326000011/intc-20251227.htm
売上高・研究開発費・構造改革などの費用(2023〜2025年12月期)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/50863/000005086326000011/intc-20251227.htm
2025年12月期の10-Kにシリコンフォトニクスへの言及が見当たらないこと事実出典1を本稿が「photonic」「optical」「co-packaged」「laser」で全文検索した結果 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/50863/000005086326000011/intc-20251227.htm
2023年12月期の10-Kでシリコンフォトニクスを拡大した製品に挙げていたこと事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/50863/000005086324000010/intc-20231230.htm
8波長DFBレーザーアレイと製造方法(2022年)事実出典3 https://www.intc.com/news-events/press-releases/detail/1555/intel-labs-announces-integrated-photonics-research
OCIチップレットの構成・性能・試作品であること、顧客との共同パッケージ化の検討事実出典4 https://www.intc.com/news-events/press-releases/detail/1699/intel-demonstrates-first-fully-integrated-optical-io
PIC 800万個超・レーザー3,200万個超・FIT 0.1未満、次世代PIC、新しい製造プロセスの目標事実出典4・5 https://www.intc.com/news-events/press-releases/detail/1699/intel-demonstrates-first-fully-integrated-optical-io
2016年の最初の製品、OCIのロードマップと評価用プラットフォームの提供予定事実出典5 https://www.intel.com/content/www/us/en/products/details/network-io/silicon-photonics.html
Intel FoundryのCPO研究とガラス基板の位置づけ(ECTC 2026)事実出典6 https://community.intel.com/t5/Blogs/Intel-Foundry/Systems-Foundry-for-the-AI-Era/How-Intel-Foundry-Packaging-Technologies-Redefine-AI-and-HPC/post/1749493
プラガブル光トランシーバー事業のJabilへの移管と、Intel幹部のコメント事実出典7 https://investors.jabil.com/news/news-details/2023/Jabil-Invests-in-the-Future-of-AI-with-Intel-Silicon-Photonics-Transceiver-Deal/default.aspx
光通信企業の3類型の区分(光部品・光モジュール/半導体・ファウンドリ/通信装置・通信事業者)本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズで扱う企業から例示
研究開発費が前年から約28億ドル減ったこと本稿の計算出典1の16,546−13,774から本稿が算出
光関連の売上・研究開発費・人員、IPS Groupの現在の位置、Jabilへの移管の金額未確定/将来いずれも非公表。本稿では推計もしない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/50863/000005086326000011/intc-20251227.htm
OCIの製品化の時期・顧客名、200G/レーンPICの出荷、新しい製造プロセスの稼働状況未確定/将来出典3〜6に記載なし。報道ベースの情報は採用しない https://www.intel.com/content/www/us/en/products/details/network-io/silicon-photonics.html
光関連の出資・買収、大学や公的資金による光の研究未確定/将来出典1〜7に記載なし。本稿では存在しないとも断定しない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/50863/000005086326000011/intc-20251227.htm
調査会社のシリコンフォトニクス市場予測未確定/将来出典3に引用があるが会社自身の数字ではないため本稿では採用しない https://www.intc.com/news-events/press-releases/detail/1555/intel-labs-announces-integrated-photonics-research
光をCPU・GPUの差別化とファウンドリのサービスの両方に使いたいという読み推測出典4・6からの本稿の解釈
光が会社全体の優先順位として高くない時期にあるという読み推測出典1の記載状況と費用の推移からの本稿の解釈
光を「売る製品」から「提供する実装技術」へ位置づけ直しつつあるという読み推測出典4〜7の発表主体の変化からの本稿の解釈。会社は説明していない
貼り合わせ方式のレーザーとガラスの光結合器についての材料面の解説推測出典3・4・6の記述に基づく本稿の解説
光モジュールの出口を手放したこと、競合が先に量産へ進んだことのリスクの読み推測出典7と、本シリーズのNVIDIA・Broadcomの企業解説で扱った両社の公式発表からの本稿の解釈

最終更新:2026年9月26日/Troy Technical
本稿の数値は、Intel Corporationが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類と、同社の公式プレスリリース・製品ページ・公式ブログ、およびJabil Inc.の公式リリースに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。性能の数値は会社の主張であり、第三者が検証したものではありません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。