COMPANY PROFILE / 光通信・フォトニクス
Ayar Labs
― GPUのパッケージに「光のチップレット」を載せる、調達総額10億ドル超の光I/O専業
Ayar Labsは、GPUやAIアクセラレータのパッケージの中に光の送受信チップ(光エンジン)を入れ、 チップどうしを銅線ではなく光ファイバーでつなぐCPO(Co-Packaged Optics)を開発する米国の非上場企業です。 2015年創業、公式サイトによれば従業員200人超、調達総額10億2,000万ドル。 2026年だけで6億5,000万ドルを集め、使い道を「量産と試験の能力の拡大」と明言しています。 売上高は公表していません。 本稿では、同社の公式リリースと公式サイトだけを使って、技術の実証から量産へ移る途中のどこにいるのかを整理します。
- 30秒でわかるAyar Labsと、光通信・フォトニクスでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 光通信・フォトニクスの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(売上は非公表。資金と人で見る)
- 光通信・フォトニクスにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は光通信・フォトニクスで何を目指しているか
- 光通信・フォトニクス分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるAyar Labsと、光通信・フォトニクスでの立ち位置
サンノゼほかに新竹(台湾)・ボストン・ベンガルール
(光I/Oのスタートアップ)工場を持たず、標準的なファウンドリとOSATで製造
光インターコネクトGPU間のスケールアップ。到達距離は最大2km
特許出願260件超公式サイトの記載
SuperNova(光源)光源をパッケージの外に置く構成
光通信・フォトニクスに関わる企業は、本稿では光部品・光モジュール/半導体・ファウンドリ/通信装置・通信事業者の3類型に分けています。 Ayar Labsは光部品・光モジュールの側にいる光I/Oのスタートアップで、作っているのは光トランシーバーではなく、 GPUやスイッチのチップと同じパッケージに並べて載せる小さな光チップ(チップレット)です 事実。 特徴は2つあります。1つは、電気側の接続にUCIeというチップレット接続の業界標準を使い、 顧客のチップ設計に「部品として」組み込めるようにしていること。 もう1つは、熱に弱いレーザーを光エンジンから切り離し、SuperNovaという外付けの光源から光を供給する構成を取っていることです。 つまりAyar Labsは、光の送受信部分を、既存の半導体の設計・製造の流れにそのまま乗る部品にすることを狙っている会社です。
2. ロゴと社名の表記について

Ayar Labsのロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、
公式サイトの会社紹介ページで使われているロゴ画像(SVG)を img/ayar_labs_logo.svg として設置しています。
表記の注意:法人名は Ayar Labs, Inc.。社名は「Ayar」と「Labs」の間に空白を入れて書きます。 日本語では「エアー・ラボ」「アヤール・ラボ」など読み方が定まっていないため、本稿では英字表記に統一します。 製品名の TeraPHY(光エンジン)と SuperNova(光源)はいずれも同社の商標です。
公式サイト:https://ayarlabs.com/about/3. 光通信・フォトニクスの世界で、この会社はどこにいるか
光の領域で見ると、Ayar Labsが扱うのはデータセンターの中のGPUどうしの接続(スケールアップ)です 事実。 製品ページはTeraPHYの到達距離を「数十mから最大2km」と書いています。 都市間の長距離伝送やLiDARは扱っていません。 2022年にはLockheed Martinとのセンサー用途の協業や米国防総省の案件もあり、 AIデータセンター以外に防衛用途の足場もあります。 本シリーズの技術解説『Co-packaged Optics』『波長多重とマイクロリング』で扱う技術が、この会社の中心です。
| 観点 | Ayar Labsの位置 | 区分 |
|---|---|---|
| 類型 | 光部品・光モジュール(光I/Oのスタートアップ)。自社工場を持たない | 事実 |
| 光の領域 | データセンター内の光インターコネクト(GPU・アクセラレータ間のスケールアップ)。その光源(外付けレーザー)も自社で設計 | 事実 |
| 製品の置き場所 | GPUやスイッチと同じパッケージの中(CPO)。光源はパッケージの外の差し込み式モジュール(ELSFP) | 事実 |
| その他の用途 | 防衛(米国防総省の案件、Lockheed Martinとの協業) | 事実 |
| 長距離・通信網 | 扱っていない | 事実 |
4. 会社の規模(売上は非公表。資金と人で見る)
Ayar Labsは非上場で、売上高・損益を公表していません 未確定/将来。 代わりに、同社が公式に発表してきた資金調達の推移と、公式サイトに書かれた従業員数・特許出願数で規模を示します。
| 時期 | 資金調達 | 主導した投資家 | 発表時点の調達総額・企業価値 |
|---|---|---|---|
| 2022年4月 | シリーズC 1億3,000万ドル | Boardman Bay Capital Management(HPE・NVIDIAが新たに参加) | ― |
| 2023年5月 | シリーズC1 2,500万ドル(シリーズC合計1億5,500万ドル) | Capital TEN | ― |
| 2024年12月 | シリーズD 1億5,500万ドル | Advent Global Opportunities、Light Street Capital(AMD Ventures・Intel Capital・NVIDIAが参加) | 総額3億7,000万ドル/10億ドル超 |
| 2026年3月 | シリーズE 5億ドル | Neuberger Berman(Alchip・MediaTekなどが新たに参加) | 総額8億7,000万ドル/37億5,000万ドル |
| 2026年9月 | 追加1億5,000万ドル(2026年の合計6億5,000万ドル) | 記載なし。Wiwynnが2026年に戦略出資したことを別途開示 | 総額10億2,000万ドル(公式サイト) |
| 項目 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 創業 | 2015年。MIT、カリフォルニア大学バークレー校、コロラド大学ボルダー校での10年以上のシリコンフォトニクス研究が土台と説明 | 事実 |
| 従業員 | 200人超 | 事実 |
| 特許 | 出願260件超 | 事実 |
| 拠点 | サンノゼ(本社)、新竹(台湾・2025年開設)、ボストン、ベンガルール(インド・2026年9月に設計拠点を発表) | 事実 |
| 経営陣 | 共同創業者のMark Wade氏がCEO(2023年12月にCTOから就任)、共同創業者のVladimir Stojanovic氏がCTO | 事実 |
| 売上高・損益・手元資金 | 公表されていない | 非公表 |
会社が発表した企業価値は、2024年12月の「10億ドル超」から2026年3月の「37億5,000万ドル」へ上がりました。 下限の10億ドルと比べると約3.75倍で、約15か月での変化です(2024年の評価額は10億ドル「超」なので、実際の倍率はこれより小さくなります) 本稿の計算。 また2026年3月時点の総額8億7,000万ドルに9月の1億5,000万ドルを足すと10億2,000万ドルとなり、公式サイトの「$1.02B」と一致します 本稿の計算。 ただし企業価値は投資家が付けた評価であり、売上や利益の大きさを示すものではありません。
5. 光通信・フォトニクスにかけているリソース
Ayar Labsは光I/Oだけを扱う会社なので、会社の全リソースがこの分野に向いています。 4つの観点で、公表されていることとされていないことを分けます。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人(専任組織・人員) | 従業員200人超(全員がこの分野)。技術部門は米国・新竹・ベンガルールに置き、製造・オペレーション担当VPが台湾カントリーマネージャーを兼ねる。2026年2月にIntel出身のSankara Venkateswaran氏がエンジニアリング担当VPに就任 | 事実 |
| 金(投資額・研究開発費) | 調達総額10億2,000万ドル。シリーズEの使い道は「量産と試験の能力の拡大、新竹を含む海外拠点の拡充、エコシステムとの連携」。研究開発費・設備投資額は公表されていない | 事実/内訳は非公表 |
| 外部への出資・買収・合弁 | Ayar Labsから他社への出資・買収・合弁の公表は、確認した公式リリースの範囲にない。逆に、AMD・Intel・MediaTek・NVIDIA・Alchip・Wiwynnなどが同社に戦略出資している | 確認できず(出資を受ける側) |
| 大学・研究機関・公的資金 | 創業の土台はMIT・UCバークレー・CUボルダーの研究。米国防総省のProject KANAGAWAで1,500万ドルの複数年試作契約(OTA)を2022年に獲得。2019年にはIntelのDARPA PIPESプロジェクトの光ソリューションに選定。CHIPS法の資金は確認できない | 事実/CHIPS法は確認できず |
Ayar Labsの出資者には、GPUを作るAMD・NVIDIA、ASIC設計を請け負うAlchip・MediaTek、 ラック単位のサーバーを作るWiwynn、そしてIntelが並びます 事実。 シリーズEのリリースは、MediaTekとAlchipの参加について「カスタムASICの設計エコシステムとの連携を強める」と書いています。 光エンジンは単体では売れず、GPUやASICのパッケージに組み込まれて初めて製品になる部品なので、 組み込む側の会社が出資者に並んでいることは、事業の組み立てそのものを表しています。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2015年 | 創業。公式サイトは同年の成果として「光で通信する世界初のプロセッサ(Nature誌に掲載)」を挙げる | 大学の研究成果からの出発 |
| 2017年 | GlobalFoundriesと戦略的提携 | 製造の受け皿を確保 |
| 2019年 | IntelのDARPA PIPESプロジェクトの光ソリューションに選定 | 公的研究プログラムへの参加 |
| 2021年 | 公式サイトは「CPO向けの1Tbps光リンク(業界初)」を挙げる。64波長のWDM光源を最高100℃で動作させたと2022年のリリースに記載 | 技術実証 |
| 2022年 | シリーズC 1億3,000万ドル。Lumentumと外付けレーザー光源の供給で協業。Lockheed Martinと協業。米国防総省のProject KANAGAWA(1,500万ドル)を獲得。公式サイトは同年を「最初の量産出荷」の年としている | 供給網と防衛の足場を同時に作った年 |
| 2023年3月 | 光エンジン間で片方向2.048Tbps・双方向4.096Tbpsの公開デモ。遅延10ns未満、5pJ/bit未満(10W)、誤り訂正(FEC)なし | 技術実証。同リリースは「インパッケージ光I/Oを出荷中」とも記載 |
| 2023年12月 | 共同創業者のMark Wade氏がCEOに就任 | 技術者出身の経営へ |
| 2024年11月 | SC24で富士通・Intel Foundry・Corning・Alteraと組んだ構成例を展示 | 展示。製品採用の発表ではない |
| 2024年12月 | シリーズD 1億5,500万ドル、企業価値10億ドル超 | AMD・Intel Capital・NVIDIAが出資 |
| 2025年3月 | UCIeインターフェースの光チップレット(TeraPHY、8Tbps、16波長のSuperNova光源)を発表。同社は「世界初」と主張 | 顧客のチップに組み込みやすい形にした |
| 2025年9月 | Alchipと提携。TSMCのCOUPE・SoICを使う。同月、GPU1個あたり100Tbps超・光ポート256超のCPO構成を共同で発表 | ASIC設計会社経由の出口 |
| 2025年11月 | GUCと提携。XPUのマルチチップパッケージで100Tbps超(全二重)の設計を発表 | もう1社のASIC設計会社 |
| 2026年3月 | シリーズE 5億ドル(企業価値37億5,000万ドル)。Wiwynnとラック単位の光接続AIシステムで提携 | 部品からラックまでの参照設計へ |
| 2026年6月 | NVIDIA NVLink Fusionのエコシステムに参加 | NVIDIAの光・SerDes技術と互換の製品にすると表明 |
| 2026年9月 | 追加1億5,000万ドル(2026年合計6億5,000万ドル)。インド・ベンガルールに設計拠点 | 「技術開発から商用化・生産への移行」と会社が説明 |
7. 今後の計画
能力の拡大シリーズEと9月の追加調達のリリース
設計センターシリコン製品開発の全工程を担う
1,024個以上Wiwynnとの参照設計。1個あたり100Tbps超
向けCPO時期は「顧客と調整」とだけ記載
2026年9月のリリースで、ベンガルールの責任者は「技術開発から商用化と生産への移行を支える」と述べています 事実。 会社自身が、いまは量産への移行期にあると位置づけていることになります。
次はいずれも公式リリースと公式サイトに記載がありません 未確定/将来。
大量生産の開始時期/採用した顧客の社名(リリースは「ハイパースケーラー」「Tier 1顧客」とだけ書く)/ 売上高/生産能力/製品価格/公式サイトの「数千個の光エンジンを展開」の内訳(顧客・用途)。 リリースに引用された調査会社の市場規模の予測も、本稿では採用しません。
8. この会社は光通信・フォトニクスで何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 目指すのはGPU間の銅線を光に置き換え、複数ラックのGPUを1台のように動かすこと | 会社紹介と各リリースが繰り返し「銅線の限界」「数千個のGPUを1つのシステムとして動かす」と書いている | 事実 |
| 自分で最終製品を作らず、ASIC設計会社とGPUメーカーの設計に部品として入り込む戦略 | Alchip・GUCとの提携、UCIeの採用、NVLink Fusionへの参加。出資者にもASIC設計会社とGPUメーカーが並ぶ | 推測 |
| 光源(レーザー)の供給網を自社の仕様で押さえたい | SuperNovaを自社設計し、2022年にLumentumと量産供給で協業、CW-WDM MSAでは推進メンバー。ELSFPという標準の形にしている | 推測 |
| 2026年は量産体制づくりに資金を集中する段階 | 2026年の調達6億5,000万ドルの使い道を、いずれも「量産・試験能力」「製造エコシステムの準備」と明記 | 事実 |
| 部品だけでなくラック単位の参照設計まで示し、採用の障壁を下げたい | Wiwynnとの提携で、液冷・光源・ファイバー管理を含むラック構成を示した | 推測 |
2025年9月から11月にかけて、Ayar Labsは台湾のASIC設計会社2社(AlchipとGUC)と相次いで提携しました。 どちらのリリースも、TeraPHYを顧客向けASICのパッケージに組み込む設計を示しています 事実。 GUCとの設計では、光エンジンをパッケージの有機基板に直接載せ、UCIe-S(64Gbps)で入出力チップレットとつなぎ、 さらに入出力チップレットとAIの本体チップをUCIe-A(64Gbps)でつなぐ、という具体的な構成まで書かれています。 ハイパースケーラーが自社用のAIチップを作るとき、設計と製造の窓口になるのがこうしたASIC設計会社です。 本稿はこれを、顧客のチップを1社ずつ口説くのではなく、チップが設計される「入口」に自社の光エンジンを置いておく戦略と読みます 未確定/将来。 2026年3月のシリーズEにAlchipとMediaTekが出資者として加わったことも、この読みと整合します。
9. 光通信・フォトニクス分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
性能の数値は、量産品か、サンプルか、デモ(技術実証)かで意味がまったく違います。 「世界初」「業界初」はいずれも会社自身の主張です。
| 製品・技術 | 何をするものか | 会社が示した主な数値 | 段階(会社の発表) |
|---|---|---|---|
| TeraPHY 光エンジン | シリコンフォトニクスの光送受信チップレット。マイクロリング変調器(MRM)を使い、UCIeで顧客チップとつなぐ | 到達距離は数十m〜最大2km、外周1mmあたり2Tbps。銅線・差し込み式光モジュール比で帯域10倍・遅延1/10・電力効率3〜5倍と主張 | 公式サイトは「複数世代を出荷、数千個の光エンジンを展開」。顧客名は非公表 |
| UCIe光チップレット(TeraPHY) | UCIeの電気インターフェースを持つ光チップレット。同社は「世界初」と主張 | 8Tbps、16波長のSuperNova光源で駆動 | 2025年3月に発表 |
| SuperNova 光源 | 光エンジンの外に置くレーザー光源。業界標準の差し込み式(ELSFP) | 1波長あたり最大23dBm、多波長、液冷対応、OCI-MSA対応(会社の記載) | 製品として掲載 |
| 4Tbps光リンク | TeraPHYどうしの光リンク | 片方向2.048Tbps(8本×8波長×32Gbps)、遅延10ns未満、5pJ/bit未満(10W)、FECなし | 2023年3月の公開デモ |
| Alchipとの共同CPO | AlchipのASICとTeraPHYを共通基板に載せたCPO構成 | アクセラレータ1個あたり100Tbps超、光ポート256超 | 2025年9月に発表。一部の顧客と組み込みを協議中 |
| GUCとの共同設計 | XPUのマルチチップパッケージに光エンジンを載せる設計 | 100Tbps超(全二重)、UCIe-S・UCIe-Aとも64Gbps | 2025年11月に設計を発表 |
| Wiwynnとのラック構成 | 光でつないだラック単位のAIシステムの参照設計 | アクセラレータ1,024個以上、1個あたり100Tbps超、全液冷 | 2026年3月のOFCで限定公開 |
TeraPHYの変調器はマイクロリング変調器(MRM)です 事実。 マイクロリングは直径の小さな円形の導波路で、特定の波長の光だけを共振させて取り出したり変調したりします。 小さくて省電力なので、多数の波長を1本のファイバーに載せる波長多重(DWDM)と相性がよい一方、 共振波長がシリコンの屈折率で決まるため、温度が少し変わるだけで波長がずれるという弱点があります。 GPUのすぐ横という最も熱い場所に置くCPOでは、これが最大の課題になります。
Ayar Labsがレーザーをパッケージの外(SuperNova)に出しているのは、 レーザーも熱に弱く、しかも寿命部品で交換したいからだと読めます 未確定/将来。 材料の立場では、パッケージ内の温度分布を均すための放熱材・アンダーフィル・基板の熱設計と、 外から光を運ぶファイバーの着脱部(コネクタ・接着剤)が、光エンジン本体と同じくらい性能を左右します。 GUCとの設計で「光エンジンの要求を取り込んだ新しいスティフナー(補強枠)で、反りと機械的応力の条件を満たしつつファイバーを着脱可能にした」と書かれているのは、 まさにこの部分です 事実。 詳しくは本シリーズの技術解説『波長多重とマイクロリング』『光コネクタとファイバー実装』も参照してください。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 財務が見えない | 非上場で、売上・損益・手元資金・年間支出がいずれも非公表。外部から資金の持続性を検証できない | 未確定/将来 |
| 大量生産はこれから | 会社自身が2026年9月に「技術開発から商用化・生産への移行」と書いている。大量生産の開始時期と顧客名は未公表 | 事実 |
| 製造を他社に依存 | 光チップの製造、パッケージへの組み込み、ラックへの実装をいずれも他社に委ねる。量産の立ち上がりは提携先の工程に左右される | 推測 |
| 出資者が同時に競合になりうる | NVIDIA・AMD・Intel・MediaTekは出資者であると同時に、自社で光I/Oを持つ選択肢もある大手。出資は採用の約束ではない | 推測 |
| 熱に対する設計余裕 | マイクロリングは温度に敏感で、GPUのすぐ横という高温環境で長期信頼性を示す必要がある | 推測 |
| 競合の層が厚い | CPOには光部品メーカー、半導体大手、他の光I/Oスタートアップが並んで取り組んでいる(図1の各類型) | 推測 |
12. 用語集
- CPO
- Co-Packaged Optics。光エンジンをGPUやスイッチのチップと同じパッケージの中に入れる方式。
- 光I/O
- チップどうしのデータのやりとりを、電気の配線ではなく光で行うこと。Ayar Labsはこの言葉を早くから使ってきた。
- チップレット
- 1つの大きなチップの代わりに、機能ごとに分けた小さなチップを1つのパッケージに並べる方式。
- UCIe
- Universal Chiplet Interconnect Express。チップレットどうしを接続する業界標準。異なる会社のチップレットを組み合わせやすくする。
- マイクロリング変調器(MRM)
- 小さな円形の導波路で特定の波長の光を変調する素子。小さく省電力だが温度に敏感。
- ELSFP
- External Laser Small Form Factor Pluggable。CPO用のレーザー光源を差し込み式のモジュールにした標準形状。
- スケールアップ
- 多数のGPUを高速・低遅延でつなぎ、1台の大きな計算機のように動かすこと。
- OTA
- Other Transaction Agreement。米国防総省が研究や試作を速く進めるために使う、通常の調達契約とは別の契約方式。
13. 出典
- Ayar Labs, Inc. 公式サイト「About」。2015年創業、サンノゼ本社、3つの地域拠点、調達総額10億2,000万ドル、従業員200人超、特許出願260件超、大学での研究の土台、沿革(2015〜2026年)、「複数世代を出荷、数千個の光エンジンを展開」の記述。 https://ayarlabs.com/about/
- Ayar Labs, Inc. 公式サイト「Products」。TeraPHYとSuperNovaの特徴と数値。 https://ayarlabs.com/products/
- Ayar Labs, Inc. 公式サイト「Leadership」。経営陣と共同創業者。 https://ayarlabs.com/leadership/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Lumentum And Ayar Labs Announce Strategic Collaboration To Supply External Light Sources For Co-Packaged Optical Interconnect Solutions」(2022年3月9日)。 https://ayarlabs.com/news/lumentum-and-ayar-labs-announce-strategic-collaboration-to-supply-external-light-sources-for-co-packaged-optical-interconnect-solutions/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs Raises $130 Million in Series C Funding」(2022年4月26日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-raises-130-million-in-series-c-funding/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Lockheed Martin, Ayar Labs Partner to Advance Microchip Connectivity for Next Generation Sensory Systems」(2022年10月12日)。 https://ayarlabs.com/news/lockheed-martin-ayar-labs-partner-to-advance-microchip-connectivity-for-next-generation-sensory-systems/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs Partners with Department of Defense to Accelerate Transition to Optical I/O in Next-Gen Defense Applications」(2022年11月10日)。Project KANAGAWAの1,500万ドルの複数年試作OTA。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-partners-with-department-of-defense-to-accelerate-transition-to-optical-i-o-in-next-gen-defense-applications/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs Demonstrates Industry's First 4-Tbps Optical Solution」(2023年3月1日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-demonstrates-industrys-first-4-tbps-optical-solution-paving-way-for-next-generation-ai-and-data-center-designs/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs Adds $25 Million in Expansion of its $130 Million Series C」(2023年5月24日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-adds-25-million-in-expansion-of-its-130-million-series-c/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs Names Mark Wade CEO」(2023年12月11日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-names-mark-wade-ceo/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs to Showcase the Future of AI Infrastructure with Fujitsu, Intel Foundry, Corning, and Altera」(2024年11月13日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-to-showcase-the-future-of-ai-infrastructure-with-fujitsu-intel-foundry-corning-and-altera/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs, with Investments from AMD, Intel Capital, and NVIDIA, Secures $155 million」(2024年12月11日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-155m-series-d-to-address-ai-infrastructure-includes-amd-intel-capital-nvidia/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs Unveils World's First UCIe Optical Chiplet for AI Scale-Up Architectures」(2025年3月31日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-unveils-worlds-first-ucie-optical-chiplet-for-ai-scale-up-architectures/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs and Alchip to Scale AI Infrastructure with Co-Packaged Optics」(2025年9月7日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-and-alchip-to-scale-ai-infrastructure-with-co-packaged-optics/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Alchip and Ayar Labs Unveil Co-Packaged Optics for AI Datacenter Scale-Up」(2025年9月26日)。 https://ayarlabs.com/news/alchip-and-ayar-labs-unveil-co-packaged-optics-for-ai-datacenter-scale-up/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「GUC and Ayar Labs Partner to Advance Co-Packaged Optics for Hyperscalers」(2025年11月16日)。 https://ayarlabs.com/news/guc-and-ayar-labs-partner-to-advance-co-packaged-optics-for-hyperscalers/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs Names Sankara Venkateswaran as Vice President of Engineering」(2026年2月23日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-names-sankara-venkateswaran-as-vice-president-of-engineering/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs Closes $500M Series E, Accelerates Volume Production of Co-Packaged Optics」(2026年3月3日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-closes-500m-series-e-accelerates-volume-production-of-co-packaged-optics/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs and Wiwynn Partner to Bring Co-Packaged Optics to Rack-Scale AI Systems」(2026年3月11日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-and-wiwynn-partner-to-bring-co-packaged-optics-to-rack-scale-ai-systems/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs Joins NVIDIA NVLink Fusion Ecosystem to Bring Co-Packaged Optics to Rack-Scale AI Infrastructure」(2026年6月2日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-joins-nvidia-nvlink-fusion-ecosystem-to-bring-co-packaged-optics-to-rack-scale-ai-infrastructure/
- Ayar Labs, Inc. プレスリリース「Ayar Labs Expands 2026 Funding to $650 Million to Scale Manufacturing-Ready CPO for AI Scale-Up Beyond the Rack」(2026年9月10日)。 https://ayarlabs.com/news/ayar-labs-expands-2026-funding-to-650-million/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年9月26日/Troy Technical
本稿の数値はすべてAyar Labs, Inc. の公式サイトと公式プレスリリースに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません(リリース中で引用されている調査会社の市場見通しも採用していません)。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。