INSTITUTION PROFILE / 光通信・フォトニクス
OFC(Optical Fiber Communication Conference and Exhibition)
― 光通信の研究と製品が毎年1週間に集まる「場」
OFCは、米国で毎年3月に開かれる光通信の国際会議と展示会です。 米国の光学系の学会Opticaが運営し、IEEEの通信学会(ComSoc)とフォトニクス学会が共催しています。 OFC 2026(ロサンゼルス)には約18,000人が参加し、706社が出展しました。 規格も資金も持たない「場」ですが、新しい光トランシーバー、CPO、光ファイバーの研究成果と製品が同じ週に発表されるため、業界の関心がどこに向かっているかを示す場になっています。 本稿では、OFCが光通信・フォトニクスにどこまで影響を持つのかに絞って整理します。
- 30秒でわかるOFC
- どんな機関か ― 影響力の「型」
- 光通信・フォトニクスで何をしているか
- 影響力の範囲(権限と地域)
- 関わっている企業・組織
- 今後の見通し
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるOFC
OFCは何も決めない場です。規格をつくる権限も、研究資金を配る権限もありません。 それでも影響力があるのは、研究(査読付き論文)と製品(展示)と標準化団体の実演が同じ週に集まるからです。 OFC 2026では、OIFが40社の会員企業と相互接続の実演を行い、ITU-TのSG15も会期中にセッションを開きました 事実。 主催者は、OFC 2026の技術テーマとしてAIインフラ、224Gから448Gへのレーン速度の向上、1.6Tの商用化、CPO・NPO・光I/Oなどの低消費電力の光アーキテクチャを挙げています。
2. どんな機関か ― 影響力の「型」
光通信・フォトニクスの記事に出てくる「機関」は、企業と違って光部品を製品として売りません。 その代わりに、どういう経路で業界に影響を与えるかで4つの型に分けられます。
3. 光通信・フォトニクスで何をしているか
OFCのプログラムは大きく4つに分かれます。OFC 2026の内容は主催者のリリースによります 事実。
| プログラム | 中身 | OFC 2026の例 |
|---|---|---|
| 技術会議(査読付き) | 研究発表、招待講演、チュートリアル。最終日には締め切り後の最新成果(ポストデッドライン論文)を発表 | 招待・チュートリアル講演130件。ポストデッドライン論文にはシリコンフォトニクス上で1.6Tを可能にするチタン酸バリウムの研究など |
| 展示会 | 光部品・モジュール・装置・光ファイバー・試験機器のメーカーが製品を展示 | 706社。CPOとスケールアップ向け光I/O、1.6T・3.2Tのコヒーレント伝送、光集積回路、800G・1.6Tの試験装置、中空コアファイバー |
| 展示会場の業界プログラム | 市場動向、通信事業者、データセンターの3つの劇場での講演 | Market Watch、Network Operator Summit、Data Center Summitで計45件 |
| 標準化団体の実演・セッション | 標準化団体が会場で相互接続を実演し、作業の進み具合を説明 | OIFは15社・約100個のコヒーレントモジュールを接続する最大規模の実演。ITU-T SG15は3月19日にセッション |
主催者はOFC 2026の出展テーマとして、CPOや光I/Oと並んで中空コアファイバーを挙げ、ポストデッドライン論文にはシリコンフォトニクス上のチタン酸バリウムによる1.6Tの研究が入りました 事実。 新しい材料が「研究発表」から「展示」へ移る順番をOFCで追うと、実用化の段階を大まかにつかめます。 ただし、OFCでの発表は製品の量産や採用を意味しません(本稿の見方)。
4. 影響力の範囲(権限と地域)
| 観点 | OFCが持っているもの | 持っていないもの |
|---|---|---|
| 権限 | 発表論文を査読して採否を決め、会議と展示の内容を編成する | 規格を決める権限、製品を認証する権限、研究資金 |
| 地域 | 開催地は米国。参加者は91か国(OFC 2026、主催者発表) | 参加者以外への直接の影響力 |
| 運営 | Optica(米国ワシントンDCに本部、1916年設立)が共催・運営し、IEEE ComSocとIEEE Photonics Societyが共催 | 特定の企業や国が運営を決める仕組み(主催は学会) |
| 業界への波及 | 標準化団体(OIF・ITU-T SG15)が実演やセッションを行い、各社が製品発表の時期をOFCに合わせる | 発表された製品の採用・量産を保証する仕組み |
OFC 2026の参加者は、主催者の事後リリースでは「約18,000人・91か国」、公式サイトのトップページでは「17,800人・73か国」と、国の数に差があります 未確定/将来。 本稿は事後リリースの数字を使っています。また、2026年2月の事前リリースでは「16,000人・90か国の見込み」でした。
5. 関わっている企業・組織
本シリーズの企業解説との関係
| 区分 | 企業(本シリーズの対象候補) | 一次情報での表記 |
|---|---|---|
| 出展企業として名前が挙がった | NVIDIA、Intel、Marvell、Cisco、Nokia、Lumentum、Coherent、Ciena、Corning、Ayar Labs、Lightmatter、Celestial AI | 2026年2月12日の主催者リリースの出展企業の例 |
| スポンサー | AMD | 公式サイトのトップページのスポンサー欄に「Advanced Micro Devices」 |
| 大会の総合委員長 | 住友電工 | 総合委員長の1人(Tetsuya Hayashi氏、所属はSumitomo Electricと表記)が主催者リリースでコメント |
※706社の出展企業一覧は本稿では照合していません。表にない対象候補企業が出展していないという意味ではありません 本稿の計算。
6. 今後の見通し
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| OFC 2027(2027年3月7〜11日、ロサンゼルス)でも、448G・1.6T・CPO/NPOが中心テーマになる | OFC 2026の技術テーマ(224Gから448Gへ、1.6Tの商用化、CPO・NPO・光I/O)と、2027年の展示会に750社超が出展予定という公式サイトの記載 | 推測 |
| 標準化団体の相互接続の実演の場としての役割が大きくなる | OIFはOFC 2026で40社・15社約100個のモジュールという過去最大の実演を行い、ITU-T SG15もセッションを開いた | 推測 |
| 中空コアファイバーなど新しい光ファイバーの展示が増える | 主催者がOFC 2026の出展テーマに中空コアファイバーを挙げた。ITU-T SG15も中空コアファイバーの技術報告を開始 | 推測 |
7. 用語集
- Optica
- 1916年設立の光学・フォトニクスの学会。本部は米国ワシントンDC。OFCを共催・運営する。
- ポストデッドライン論文
- 通常の締め切り後に受け付ける最新成果の論文。会議の最終日に発表される。
- 相互接続の実演
- 複数社の製品を実際につないで、仕様どおりに動くことを会場で見せる取り組み。
- ECOC
- 欧州光通信会議。OFCと並ぶ光通信の会議・展示会で、2026年はスペイン・マラガで9月に開催。
8. 出典
- OFC ニュースリリース「OFC 2026 Delivers a High-Impact Week…」(2026年3月20日)。約18,000人・91か国、706社、210,346平方フィート、130件の招待講演、52のスポンサー団体、技術テーマ、ポストデッドライン論文、総合委員長、共催者。 https://www.ofcconference.org/news-media/news-releases/2026/ofc-2026-delivers-a-high-impact-week-marked-by-breakthrough-announcements-strong-attendance-and-glo/
- OFC ニュースリリース「OFC 2026 Exhibit Connects the Global Optical Ecosystem…」(2026年2月12日)。出展企業の例、出展テーマ、16,000人・90か国の見込み、3つの劇場の45件、50年以上の歴史。 https://www.ofcconference.org/news-media/news-releases/2026/ofc-2026-exhibit-connects-the-global-optical-ecosystem-powering-ai-era-data-centers-and-networks/
- OFC 公式サイトのトップページ(17,800人・73か国・706社、スポンサー欄、名称がOpticaの登録商標であること)。 https://www.ofcconference.org/
- OFC About(2027年は750社超が出展予定、2027〜2029年の会期と会場)。 https://www.ofcconference.org/about/
- Optica About Optica(1916年設立)。 https://www.optica.org/about/
- Optica Global Headquarters(本部は米国ワシントンDC)。 https://www.optica.org/about/contact/global_headquarters/
- OIF プレスリリース「OIF Validates Critical Interoperability Live at OFC 2026…」(2026年2月18日)。40社の会員企業、15社・約100個のコヒーレントモジュール。 https://www.oiforum.com/oif-validates-critical-interoperability-live-at-ofc-2026-through-multi-vendor-demonstrations-and-expert-panels/
- ITU-T SG15のトップページ(OFC 2026でのSG15セッション、2026年3月19日)。 https://www.itu.int/en/ITU-T/studygroups/2025-2028/15/Pages/default.aspx
- NICT 令和7年度事業報告書(薄膜LN変調器の成果がOFC2025のポストデッドライン論文に採択)。 https://www.nict.go.jp/lde9n20000000ex5-att/u0gnsi00000007ij.pdf
9. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年9月26日/Troy Technical
本稿の記述はOFCの公式サイトと主催者リリース、Optica・OIF・ITU-T・NICTの公表資料に基づきます。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。