🌐 This site is also available in English Visit English Site →
🌐 English

IOWN Global Forum|光通信・フォトニクス 機関解説

技術・機関・企業解説の一覧へ戻る

INSTITUTION PROFILE / 光通信・フォトニクス

IOWN Global Forum
― NTTの構想に海外企業を集める業界団体

IOWN Global Forumは、NTT・インテル・ソニーが2019年10月に設立を発表し、2020年に発足した業界団体で、米国を本拠地としています。 光を基盤にしたネットワーク(オールフォトニクス・ネットワーク、APN)と分散コンピューティングを組み合わせた次世代の通信基盤について、会員企業が技術文書と実証(PoC)の参照資料をつくる場です。 本稿では、業界団体としての影響力の範囲に絞って短く整理します。IOWNの技術そのものは、本シリーズの技術解説「IOWN」で扱っています。

構成:IOWN Global Forumの公式サイト(概要、理事会、会員種別、FAQ、技術文書一覧、プレスリリース)と、NTTの設立発表のニュースリリースを一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるIOWN Global Forum
  2. どんな機関か ― 影響力の「型」
  3. 光通信・フォトニクスで何をしているか
  4. 影響力の範囲(権限と地域)
  5. 関わっている企業・組織
  6. 今後の見通し
  7. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるIOWN Global Forum

正式名称Innovative Optical and Wireless Network Global Forum略称 IOWN GF
国・地域米国が本拠地2019年10月31日のNTT・インテル・ソニーの発表による
機関の種類民間の業界団体国の機関・標準化機関ではない
設立2020年2019年10月に3社が設立を発表
人数規模175超の組織2026年9月8日のリリース。概要ページでは170
会費スポンサー会員 年5万ドル一般会員2万ドル、学術・研究・スタートアップ2,000ドル
光通信・フォトニクスへの関与の形技術文書と実証の参照資料機能アーキテクチャ、参照実装モデル、PoC参照
影響が及ぶ範囲会員法的拘束力はない。入会は理事会が最終決定
まず押さえるべき1点

IOWN Global Forumは規格をつくる機関ではなく、構想を共有する企業が集まる場です。 文書は「機能アーキテクチャ」「参照実装モデル(RIM)」「PoC参照」などで、OIFのIAやIEEE 802.3の規格のように製品の互換性を直接決めるものではありません 事実。 理事会の議長はNTTのKatsuhiko Kawazoe氏(Chief Executive Fellow)で、NTTの構想に海外の通信事業者・装置メーカー・IT企業を集める役割を担っています。 APNについては、従来のネットワークに比べて消費電力・遅延・伝送容量を約100倍改善することを目標に掲げていますが、これは目標であって達成値ではありません。

2. どんな機関か ― 影響力の「型」

光通信・フォトニクスの記事に出てくる「機関」は、企業と違って光部品を製品として売りません。 その代わりに、どういう経路で業界に影響を与えるかで4つの型に分けられます。

光通信・フォトニクスを動かす「機関」の4つの型 機関は光部品を製品として売らない。どの経路で業界に影響を与えるかで4つに分かれる 資金を出す 政策・規制を決める 標準を決める 場をつくる 研究開発に予算を配る 戦略・補助金・法律 仕様・規格・勧告 学会・展示会・業界団体 NICT/AIM Photonics 総務省/米国防総省 OIF/IEEE 802.3/ITU-T OFC/IOWN GF/OCP 何を研究させるか 何を国内で作らせるか どうつなぎ、どう測るか 誰が誰に会うか 届く範囲=自国の予算 届く範囲=自国の領域 届く範囲=採用した企業 届く範囲=参加者 IOWN Global Forumは「場をつくる」型。光を基盤にした次世代の通信・計算基盤を議論する業界団体 発行するのは機能アーキテクチャや実証(PoC)の参照文書で、規格としての拘束力はない
図1 光通信・フォトニクスに関わる機関の4つの型と、IOWN Global Forumの位置。区分は本稿によるもので、機関名は本シリーズで扱う8機関と、その資金の出し手である政府機関から例示しています 本稿の計算。IOWN Global Forumは米国を本拠地とする業界団体で、技術文書は出しますが規格を決める機関ではないため「場」の型に置いています。

3. 光通信・フォトニクスで何をしているか

最近公開された光関係の技術文書と活動の例です 事実。

種類文書・活動(公開時期)中身
機能アーキテクチャFunctional Architecture for Optically-Accelerated AI Interconnect(2026年3月)光接続でAIの計算機(XPU)どうしの通信を拡張する、AIクラスターの機能構成
PoC参照PoC Reference of Wavelength Conversion for Open APN(2026年7月)オープンなAPNで波長変換の実現性を示す実証の指針
機能アーキテクチャEnd-to-End Deterministic Networking with Software-Defined Optical Interconnect(2025年7月)拠点間の光伝送路を使い、ネットワークカードどうしを品質保証つきでつなぐ構成
イベントFUTURES Amsterdam 2026(2026年10月1日)欧州のAIインフラと主権(ソブリン)をテーマに、政策担当者・データセンター事業者などを集める

4. 影響力の範囲(権限と地域)

観点IOWN Global Forumが持っているもの持っていないもの
権限技術文書を承認して公開する(最終文書の承認は理事会)。入会を理事会が決める文書を守らせる権限、規格を発行する権限、研究資金の配分
地域本拠地は米国。理事にはNTT・KDDI・ソニーのほか、Ericsson・Orange・Nokia・Microsoft・Chunghwa Telecomなどが並ぶ特定の国の制度への組み込み
意思決定理事はスポンサー会員(年5万ドル)から選ばれる会員全員が同じ重みで投票する仕組み(会員種別で権利が違う)
数値目標APNで消費電力・遅延・容量の約100倍の改善、2030年までにPoCを50件公表という計画目標の達成を保証する仕組み
数字の読み方の注意

会員数は、2026年9月8日のプレスリリースでは「175超」、概要ページでは「170」、同じページの別の欄では「150超」と表記がそろっていません 未確定/将来。 本稿は最新のプレスリリースの数字を使っています。「約100倍」はフォーラムが掲げる目標値です。

5. 関わっている企業・組織

IOWN Global Forumを中心にした関係図 NTTなど3社が設立し、スポンサー会員から選ばれた理事会が運営する 設立を発表した3社 NTT/インテル/ソニー 2019年10月31日 IOWN Global Forum 175超の組織(米国が本拠地) 入会と会費 入会は理事会が最終決定 年2,000〜50,000ドル 理事会(2026年9月時点) NTT(議長)/Intel(会計)/ソニー(書記) Ericsson/Microsoft/Orange/KDDI Chunghwa Telecom/Nokia/Ciena 1FINITY・富士通/Accenture/Red Hat 発行する技術文書 機能アーキテクチャ 参照実装モデル(RIM) PoC参照・PoC報告 規格としての拘束力はない
図2 IOWN Global Forumを中心にした関係図。出典:NTTのニュースリリース(2019年10月31日)、IOWN Global Forumの理事会・会員種別・FAQ・技術文書のページ、2026年9月8日のプレスリリース。理事会の「1FINITY・富士通」は同ページの「1FINITY, FUJITSU Limited」の表記によります 事実。
企業(本シリーズの対象候補)IOWN Global Forumでの立場(一次情報の表記)
NTT設立を発表した3社の1つ。理事会の議長
Intel設立を発表した3社の1つ。理事会の会計
Nokia、Ciena理事
富士通理事(所属表記は「1FINITY, FUJITSU Limited」)

※会員一覧のページは本稿の方法では企業名を取得できなかったため、理事会以外の会員は確認していません 未確定/将来。

6. 今後の見通し

読み取れること根拠となる一次情報区分
活動の重心が、通信網からAIデータセンターの光接続へ広がる2026年3月に光で加速するAIインターコネクトの機能アーキテクチャを公開。9月のリリースでAIインフラを主題にした欧州のイベントを告知推測
影響力は引き続き会員と、その実証に参加する通信事業者の範囲にとどまる文書は機能アーキテクチャやPoC参照で、規格の発行権限はない。入会は理事会が決める推測

7. 用語集

APN(オールフォトニクス・ネットワーク)
端末からネットワークまでを光でつなぐ構想のネットワーク。IOWNの中核。
機能アーキテクチャ
システムを構成する機能と、そのつながり方を示した文書。製品の互換仕様ではない。
PoC
概念実証。技術が実際に動くことを示す実験。

8. 出典

  1. IOWN Global Forum About us(170の組織、フォトニクスで電子を置き換える目的、ミッション)。 https://iowngf.org/who-we-are/
  2. IOWN Global Forum Board of Directors(議長・会計・書記と理事の氏名・所属)。 https://iowngf.org/board-of-directors/
  3. IOWN Global Forum Membership(会員種別と年会費、スポンサー会員の理事資格と最終文書の承認)。 https://iowngf.org/membership/
  4. IOWN Global Forum FAQs(約100倍の改善目標、2030年までにPoC50件、入会は理事会が決定、理事はスポンサー会員から選出)。 https://iowngf.org/faqs/
  5. IOWN Global Forum Technology Docs(文書の種類と最近の技術文書)。 https://iowngf.org/content-type/technology-docs/
  6. IOWN Global Forum プレスリリース(2026年9月8日)。FUTURES Amsterdam 2026、2020年設立の民間組織で175超の組織。 https://iowngf.org/iown-global-forum-convenes-tech-leaders-in-amsterdam-to-address-sovereign-ai-infrastructure-challenges/
  7. NTT ニュースリリース「NTT、インテル、ソニーが…IOWN Global Forumを設立」(2019年10月31日)。設立の目的、米国を本拠地とすること。 https://group.ntt/jp/newsrelease/2019/10/31/191031a.html

9. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
概要ページの170の組織事実出典1 https://iowngf.org/who-we-are/
理事会の構成と所属事実出典2 https://iowngf.org/board-of-directors/
会員種別と年会費、最終文書の承認は理事会事実出典3 https://iowngf.org/membership/
約100倍の目標、PoC50件の計画、入会と理事の選出事実出典4 https://iowngf.org/faqs/
技術文書の種類と題名・公開時期事実出典5 https://iowngf.org/content-type/technology-docs/
2020年設立、175超の組織、FUTURES Amsterdam 2026事実出典6 https://iowngf.org/iown-global-forum-convenes-tech-leaders-in-amsterdam-to-address-sovereign-ai-infrastructure-challenges/
NTT・インテル・ソニーによる設立発表、米国が本拠地事実出典7 https://group.ntt/jp/newsrelease/2019/10/31/191031a.html
機関の4つの型の区分本稿の計算本稿による整理
会員数の表記の差、理事以外の会員企業未確定/将来出典1・6の数字が一致せず、会員一覧は本稿で取得できていない
第6章の見通し2項目推測出典3〜6の内容からの本稿の解釈

最終更新:2026年9月26日/Troy Technical
本稿の記述はIOWN Global Forumの公式サイトとNTTのニュースリリースに基づきます。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。