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Trina Solar|ペロブスカイト太陽電池 企業解説

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COMPANY PROFILE / ペロブスカイト太陽電池

Trina Solar(天合光能)
― 大手で最も「製品サイズ」にこだわるタンデム。3.1m²のモジュールで907Wに達し、初受注も出た

Trina Solar(天合光能)は中国の太陽電池モジュール大手です。 ペロブスカイトでは、研究用の小さなセルよりも210mmの量産サイズのセルと、3.1m²の標準サイズのモジュールで記録を積み上げてきました。 2026年6月には、そのモジュールで907W(全面積効率29.2%、TÜV SÜD認証と会社が発表)に達し、 2026年半期報告書では海外の高級分散型顧客からの初受注と初出荷を報告しています。 研究プロジェクト「ペロブスカイト・タンデム」の予算は約9.13億元と開示されており、既存大手の中でも投資の規模が見える会社です。

構成:上海証券取引所に開示された天合光能の2025年年次報告書・2026年半期報告書、公式プレスリリース、NLR(旧NREL)のチャンピオンモジュール効率チャートを一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるTrina Solarと、ペロブスカイト太陽電池での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. ペロブスカイト太陽電池の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模(シリコン事業は簡潔に)
  5. ペロブスカイトにかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社はペロブスカイト太陽電池で何を目指しているか
  9. ペロブスカイト分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるTrina Solarと、ペロブスカイト太陽電池での立ち位置

正式名称天合光能股份有限公司英文 Trina Solar Co., Ltd.。ブランド表記は Trinasolar
本社中国・江蘇省常州市常州市新北区天合光伏産業園。1997年創業
上場上海 科創板
688599
A株
この分野での区分既存の太陽電池大手
(シリコン量産から参入)
ペロブスカイト専業ではない
製品の形シリコンとの
2端子タンデム
210mmセル、3.1m²の標準サイズモジュール
モジュールの到達点907W/29.2%3.1m²、全面積効率。TÜV SÜD認証と会社が発表(2026年6月)
研究プロジェクト予算約9.13億元「ペロブスカイト・タンデム」の予定総投資。累計約7.63億元(2026年6月末)
商業化初受注・初出荷海外の高級分散型顧客。2026年上期(半期報告書)。数量・顧客名は非公表
まず押さえるべき1点

ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業は、大きく既存の太陽電池大手・専業スタートアップ・素材や電機の異業種の3種類に分かれます。 Trina Solarは既存の太陽電池大手ですが、同じ大手のLONGiやJinkoSolarが「約1cm²のセルの効率記録」を中心に発表しているのに対し、 Trinaは量産ラインで流れている210mmのウェーハサイズのセルと、3.1m²の標準サイズのモジュールで数字を出しています 事実。 2026年半期報告書は「技術革新・製品革新から商業化までの重要な跨ぎを完了した」と書いており、 大手の中で最初に「売った」と開示したのがこの会社です。

2. ロゴと社名の表記について

ロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、公式サイトのヘッダーに使われているロゴ画像を img/trina_solar_logo.png として設置しています。

表記の注意:中国語の正式名は「天合光能股份有限公司」、英文は Trina Solar Co., Ltd. です。 公式サイトやリリースでは Trinasolar という1語のブランド表記が使われます。 日本語では「トリナ・ソーラー」と書かれることが多く、本稿の見出しでは英文社名の Trina Solar を使います。

公式サイト:https://www.trinasolar.com/en-glb/

3. ペロブスカイト太陽電池の世界で、この会社はどこにいるか

ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業の3つの類型 同じ「ペロブスカイトをやっている会社」でも、出自と狙いがまったく違う 既存の太陽電池大手 専業スタートアップ 素材・化学・電機 シリコンの量産から上乗せする ペロブスカイトだけで勝負する 異業種の技術で参入する LONGi/JinkoSolar Trina/Hanwha Qcells ほか Oxford PV/Swift Solar EneCoat/Renshine ほか 積水化学/パナソニック 東芝/カネカ ほか 販路と量産設備をすでに持つ 技術の尖りで先行できる フィルム・ガラス・封止の技術 主力のシリコンが本業 量産と資金の壁が高い 太陽電池の販路が細い Trina Solarは左端の「既存大手」。量産サイズのセルと標準サイズのモジュールで記録を出している 2026年上期に海外の分散型顧客からの初受注と初出荷を開示。ただし数量・顧客名・量産ラインの規模は示していない
図1 ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業の3類型と、Trina Solarの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。初受注・初出荷と研究プロジェクトの予算は天合光能の2026年半期報告書、モジュールの数値は公式リリースに基づきます。

製品の形はシリコンとの2端子(モノリシック)タンデムです。年次報告書が「大面積2T(2端子)タンデムモジュールの出力の世界記録」と書いています 事実。 下側のシリコンセルは、記録モジュールを支えているのがヘテロ接合(HJT)の底セル、量産に向けて工程と装置を開発しているのがTOPConの底セル、と年次報告書は書き分けています。 フィルム型・ガラス型の単接合を製品化する発表はありません。

4. 会社の規模(シリコン事業は簡潔に)

太陽電池事業全体は本稿の主題ではないので、規模だけを押さえます。単位は百万CNY 事実。

指標(百万CNY)2023年12月期2024年12月期2025年12月期
営業収入113,47380,31466,975
親会社株主に帰属する純利益5,573−3,412−7,031
研究開発投入(中試費用等を含む会社定義)――4,078(主営業務収入の6.32%)

2023年・2024年は2025年年次報告書の「調整後」の値。百万CNY未満は四捨五入 本稿の計算。

項目数値時点
従業員(母公司+主要子会社)24,840人2025年12月末
研究開発人員2,542人(10.23%)2025年12月末。前年は2,928人
モジュール出荷67GW超2025年通年
2026年上期の営業収入・純損失31,985百万CNY/270百万CNY純損失は前年同期比90.75%縮小
ここで注意

上の数字は会社全体のもので、ほぼすべてがシリコンのモジュールと蓄電池、システム事業です。 ペロブスカイト・タンデムの売上や出荷量は開示されていません 未確定/将来。 次章の研究プロジェクト単位の数字が、この会社のペロブスカイトへの本気度を測る一番よい材料です。

5. ペロブスカイトにかけているリソース

天合光能の年次報告書の「在研項目(進行中の研究プロジェクト)」の表には、ペロブスカイトに直接関わる項目が2つあります。

プロジェクト(CNY)予定総投資2025年の投入累計(2025年末)2026年上期の投入累計(2026年6月末)
ペロブスカイト・タンデム913,487,500121,454,934627,930,613135,376,912763,307,525
タンデム用の底セル技術開発1,403,678,000113,218,664414,093,33960,671,795474,765,135

1元未満は四捨五入。「底セル技術開発」はHJT・TOPConの底セルで、ペロブスカイト層そのものではない。

本稿の計算:投入のペースは上がっている

「ペロブスカイト・タンデム」への投入は、2025年通年で約1.21億元、2026年上期だけで約1.35億元です 本稿の計算。 半年で前年1年分を上回っており、投入のペースは約2倍に上がっています。 累計は予定総投資の約84%に達しました。 2つのプロジェクトを合わせた2025年の投入(約2.35億元)は、同年の研究開発投入40.78億元の約5.8%です。 主力のTOPConやBC(THBC)に比べれば小さいものの、既存大手のペロブスカイト予算としては開示されている中で大きい部類です。

リソースの種類内容区分
人(組織)光伏科学与技術全国重点実験室(光伏科学と技術の国家重点実験室)を研究体制の中核に置く。タンデム専任の人数は非公表。リリースでは副総裁の陳奕峰博士が説明役事実(人数は非公表)
金(研究費)上記2プロジェクトの予定総投資は合計約23.2億元(うちペロブスカイト・タンデムは約9.13億元)事実
金(量産ライン)タンデムの量産ラインの場所・能力・投資額は開示なし確認できず
知的財産タンデム電池・モジュールの特許出願698件(2025年末)で「世界1位」と会社が説明。2025年4月時点は331件事実(順位は会社の主張)
外部への出資・合弁ペロブスカイト企業への出資・合弁の開示は見当たらない確認できず
大学・研究機関懐柔実験室(北京)と210mmタンデムセルを共同開発(2025年12月)。復旦大学、シンガポール南洋理工大学とペロブスカイトなどで協力(2025年年次報告書)事実
公的資金808Wのリリースは「大学と協力し、この分野の国家研究プロジェクトを多数主導してきた」と説明。個別のプロジェクト名・金額は非公表。2025年10月に「高効率結晶シリコン及び結晶シリコン・ペロブスカイト・タンデム電池モジュールの重要技術と応用」で2024年度江蘇省科学技術賞1等賞事実(金額は非公表)

6. これまでの取り組み

Trinaの発表は面積が大きいのが特徴です。セル(210mm)とモジュール(1.52m²、3.1m²)を分けて整理します。

時期できごと面積・認証
約10年前〜ペロブスカイト・タンデムの研究を開始(2025年4月のリリースで「10年以上」と説明)会社発表
2025年4月14日3.1m²の標準サイズで世界初の800W超のタンデムモジュール(808W)。210mm×105mmのタンデムセルを使用3.1m²/TÜV SÜD(会社発表)
2025年1.52m²のタンデムモジュールで27.2%。NRELのチャンピオンモジュール効率チャートに収録と説明1.52m²/年次報告書(会社の記載)
2025年10月「高効率結晶シリコン及び結晶シリコン・ペロブスカイト・タンデム電池モジュールの重要技術と応用」で2024年度江蘇省科学技術賞1等賞年次報告書
2025年12月24日懐柔実験室と共同開発した210mmハーフカットのタンデムセルで32.6%。モジュール出力865Wセル:Fraunhofer ISE CalLab/モジュール3.1m²:TÜV SÜD(会社発表)
2026年上期モジュール出力886W。210mm大面積タンデムセルで33.9%。TOPCon底セルの大面積タンデムで32.4%半期報告書(会社の記載。測定機関の記載なし)
2026年6月9日3.1m²のタンデムモジュールで907W、全面積効率29.2%。808Wから約1年で約100W向上3.1m²/TÜV SÜD(会社発表)
2026年上期海外の高級分散型顧客から初受注、海外で初出荷。会社は「商業化の閉ループを完成」と説明半期報告書。数量・顧客名は非公表
記録の数字を読むときの注意

NLR(旧NREL)のチャンピオンモジュール効率チャートの「ペロブスカイト/シリコン」の系列には、過去の記録保持者としてTrinaの名前が載っています 事実。 ただし本稿の確認時点で、同じ系列の最新の記録(31.6%)の保持者はLONGiです。 907W・29.2%はTÜV SÜDの測定と会社が発表した値で、「3.1m²という製品と同じ大きさの全面積」で測った効率です。 LONGiが発表する約1cm²のセル効率(35%前後)とは、面積が約3万倍違い、比べる対象ではありません 本稿の計算。 また33.9%・32.4%・886Wは半期報告書に測定機関が書かれておらず、本稿では会社の記載として扱います。

7. 今後の計画

研究プロジェクトの目標工業用の大面積タンデム製品の開発在研項目表の「目標」欄
応用先結晶シリコンの用途の大半在研項目表の「応用の見通し」欄
業界の見通し(会社の記載)「十五五」中後期にGW級の実証2026年半期報告書の業界概況。2026〜2030年の計画期間の中後期
量産ラインの計画公表なし場所・能力・投資額・開始時期の開示なし

2026年6月のリリースは「ペロブスカイト・タンデムの中核技術への投資を増やし続ける」と述べています 事実。 一方で、同じ半期報告書の業界概況は、ペロブスカイトの産業化について「研究開発投資が大きく周期が長い、安定性が不十分、大面積の製造工程が未成熟」という課題を挙げ、 GW級の実証は「十五五」(2026〜2030年)の中後期と見込んでいます 未確定/将来。 初受注は出たものの、量産規模の商業化は会社自身も数年先と見ていることが読み取れます。

確認できなかったこと

次はいずれも年次報告書・半期報告書・公式リリースに記載がありません 未確定/将来。

初受注の数量・金額・顧客名・出荷国/タンデムの量産ラインの場所・能力・投資額・稼働時期/製品の型番と価格/ 907WモジュールのIEC信頼性試験の結果(報道には記載があるが、本稿が確認した会社の一次資料には書かれていない)/ 屋外での長期発電データ。

8. この会社はペロブスカイト太陽電池で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
「最初に製品として出す大手」になることを狙っている記録を量産サイズ(210mm、3.1m²)で出し続け、2026年上期に初受注・初出荷を開示。年次報告書は「ペロブスカイト・タンデムのリーダー」というブランドづくりを営業活動として明記推測
最初の市場は高価格でも売れる分散型(屋根)初受注の相手が「高級分散型顧客」。同じ半期報告書で、THBCも「高級な単面屋根市場」向けと位置づけている推測
底セルは記録はHJT、量産はTOPConの二本立て年次報告書が、HJT底セルで記録モジュールを支え、TOPCon底セルで量産向けの工程・装置を開発と書き分けている事実(書き分けの存在)
研究と特許の量で先行者の地位を固めるタンデムの特許出願が1年足らずで331件から698件へ倍増推測
大規模量産は2030年前後を見ている半期報告書が業界のGW級実証を「十五五」中後期と見込む推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

2025年年次報告書の「タンデム用の底セル技術開発」の進捗欄は、 「HJT/ペロブスカイトの底セル技術に接合部の微細処理工程を導入し、大面積2Tタンデムモジュールの出力の世界記録を支えた」、 「TOPCon底セル技術は、量産に向けて工程から装置まで系統的に開発しており、大面積TOPConタンデムの最高効率は30%」と書いています 事実(2026年半期報告書では32.4%に更新)。 つまり記録を出すための底セル(HJT)と、量産に使いたい底セル(TOPCon)が別です。 Trinaは現在の主力量産品がTOPConで、TOPConの工場を大量に持っています。 本稿は、記録はHJTで先に取りつつ、既存のTOPCon工場を最終的にタンデムの前工程として使えるようにするのが本当の狙いだと読みます 未確定/将来。 TOPCon底セルでの効率がHJT底セルに追いつくかどうかが、量産判断の分かれ目になると考えられます。

9. ペロブスカイト分野の提携マッピング

Trina Solarを中心としたペロブスカイト(タンデム)の関係 天合光能の年次報告書・半期報告書と公式リリースに記載のある関係のみ 共同開発・研究協力(実線・濃紺) 販売(実線・橙) 効率の認証のみ(点線)。提携ではない Trina Solar 国家重点実験室 懐柔実験室(北京) 210mmタンデムセルを共同開発 32.6%(2025年12月) 復旦大学・南洋理工大学 ペロブスカイトなどの 研究協力(年次報告書) 海外の高級分散型顧客 初受注・初出荷(2026年上期) 顧客名・数量は非公表 認証機関 TÜV SÜD(モジュール) Fraunhofer ISE CalLab(セル)
図2 Trina Solarを中心としたペロブスカイト(タンデム)の関係。出典:天合光能の2025年年次報告書・2026年半期報告書、公式リリース(2025年4月・12月、2026年6月)。濃紺の実線は共同開発・研究協力、橙の実線は販売、点線は効率の測定・認証です。認証機関は測定を請け負う第三者で、提携先ではありません。中心の「国家重点実験室」は社内の研究体制(光伏科学与技術全国重点実験室)を指します。材料・装置メーカーとの提携、他社との合弁、出資先は一次資料で確認できなかったため含めていません。

10. 提供している技術・製品・サービス

要素一次資料の記述
製品3.1m²(210mmセル)の標準サイズのペロブスカイト/結晶シリコン・タンデムモジュール。2026年上期に初受注・初出荷。型番・価格は非公表
構造2端子(モノリシック)。底セルはHJT(記録モジュール)とTOPCon(量産向けに開発中)
ペロブスカイト層薄膜の均一性の改善、界面パッシベーションの高度化、タンデム構造での分光吸収の整合(907Wのリリース)。バルクドーピング、界面工学、複合層の設計(808Wのリリース)
底セル側HJT底セルに「接合部の微細処理」「高透光の電子輸送層」を導入(年次報告書・半期報告書)
研究体制光伏科学与技術全国重点実験室。「一世代を研究、一世代を成熟、一世代を備蓄」の考え方(年次報告書)
素材技術者の視点:「全面積29.2%」を量産で守る難しさ

3.1m²のモジュールには、210mmのタンデムセルが数十枚並びます。 モジュール全体の出力はいちばん弱いセルに引きずられるので、907Wという数字は、 ペロブスカイト層の膜厚と組成がウェーハ1枚の中でも、ウェーハ同士でも揃っていることを意味します。 907Wのリリースが最初に「ペロブスカイト薄膜の均一性の改善」を挙げているのはこのためです 事実。

もう1つの壁は封止です。2端子タンデムは上側のペロブスカイトが水分と熱で劣化しやすく、 3.1m²のガラス・封止材・枠の中で25〜30年の屋外使用に耐える必要があります。 Trinaは907Wの信頼性試験の結果を、本稿が確認した一次資料では示していません 未確定/将来。 初受注が「高級分散型」という限られた顧客から始まったのは、長期の実績がまだない製品を、 付加価値を評価してくれる顧客から順に出していく段階だからだと考えられます。 封止の考え方は本シリーズの技術解説『封止とバリア層』を参照してください。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
本業の赤字2024年・2025年と最終赤字(2025年は70.3億元)。2026年上期は2.7億元まで縮小したが、なお赤字事実
研究開発人員の減少研究開発人員は2,928人から2,542人へ減少(2025年)事実
量産の工程が未成熟会社自身が業界の課題として、安定性不足・大面積製造工程の未成熟を挙げ、GW級実証を「十五五」中後期と見込む事実
初受注の規模が見えない数量・金額・顧客名が非公表で、商業化の実態を外部から評価できない未確定/将来
底セルの切り替え記録を支えるHJT底セルと、量産で使いたいTOPCon底セルの効率差が縮まらなければ、既存工場を生かす計画が成り立たない推測
長期信頼性の実績不足屋外での長期発電データが一次資料に示されていない未確定/将来

12. 用語集

タンデム太陽電池
吸収する光の波長帯が違う2種類の電池を重ねたもの。Trinaはシリコンの上にペロブスカイトを重ねる。
2端子(2T)
上下のセルを1枚に積み上げ、電極を上下1組だけにした構造。上下の電流を揃える必要がある。
底セル
タンデムの下側のシリコンセル。TrinaはHJTとTOPConの2種類を開発している。
全面積効率
モジュールの枠を含む全面積あたりの効率。セルだけの面積で割るより低くなる。
210mm
シリコンウェーハの一辺の長さ。現在の大型量産品の標準サイズの1つ。
HJT
ヘテロ接合。結晶シリコンと非晶質シリコンを組み合わせたセル。低温工程でタンデムと相性がよい。
TOPCon
トンネル酸化膜パッシベーション接触。現在の量産の主流のN型シリコンセル。
在研項目
中国の上場企業が報告書で開示する進行中の研究プロジェクト。予定総投資と投入額が載る。
概念図:210mmの大判タンデムセルが並ぶ標準サイズのモジュールと、屋根の上の分散型設置
図3 Trina Solarが開発する標準サイズのペロブスカイト/シリコン・タンデムモジュールの概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. 天合光能股份有限公司 「天合光能股份有限公司2025年年度报告」(2025年年次報告書)(中国語)(上海証券取引所開示、2026年4月30日)。会社基本情報、営業収入・純利益・研究開発投入、従業員・研究開発人員、在研項目(ペロブスカイト・タンデム、底セル技術開発)の予算と投入額、32.6%・27.2%@1.52m²・865W/886W、タンデム特許698件、研究協力先、江蘇省科学技術賞。 http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-04-30/1225263857.PDF
  2. 天合光能股份有限公司 「天合光能股份有限公司2026年半年度报告」(2026年半期報告書)(中国語)(上海証券取引所開示、2026年8月7日)。2026年上期の業績、210mmタンデムセル33.9%、907W・29.2%、初受注と海外初出荷、在研項目の更新、TOPCon底セルの大面積タンデム32.4%、業界の課題とGW級実証の見通し。 http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-07/1225462504.PDF
  3. Trinasolar プレスリリース「Trinasolar achieves 907W power output for its tandem modules, setting a new world record」(2026年6月9日)。907W・全面積効率29.2%(TÜV SÜD)、技術要素、808Wからの推移、投資継続の方針。 https://www.trinasolar.com/en-glb/newsroom202606091645/
  4. Trinasolar プレスリリース「Trinasolar sets new tandem cell efficiency and module power output records」(2025年12月24日)。懐柔実験室と共同開発した210mmハーフカットのタンデムセル32.6%(Fraunhofer ISE CalLab)、3.1m²モジュール865W(TÜV SÜD)、陳奕峰副総裁のコメント。 https://www.trinasolar.com/en-glb/newsroom202512240228/
  5. Trinasolar プレスリリース「Trinasolar Develops World's First 800W+ Tandem Module, Ushering in a New Era」(2025年4月14日)。3.1m²・808W(TÜV SÜD)、210mm×105mmセル、10年以上の研究、国家研究プロジェクトの主導、タンデム特許331件。 https://www.trinasolar.com/us/resources/newsroom/Worlds-First-800W-Tandem-Module/
  6. NLR(米国立研究所、旧NREL) Champion Module Efficiencies chart(チャンピオンモジュール効率チャート)。ペロブスカイト/シリコン系列の過去の記録保持者としてのTrina、最新記録31.6%の保持者LONGi。 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/champion-module-chart.pdf
  7. Trinasolar 公式サイト(社名表記とロゴ画像の取得元)。 https://www.trinasolar.com/en-glb/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称、登記住所、科創板688599事実出典1 http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-04-30/1225263857.PDF
1997年創業、2026年上期の業績と赤字縮小事実出典2 http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-07/1225462504.PDF
営業収入・純利益(2023〜2025年)、研究開発投入40.78億元(6.32%)、従業員24,840人、研究開発人員2,542人(前年2,928人)、出荷67GW超事実出典1 http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-04-30/1225263857.PDF
在研項目「ペロブスカイト・タンデム」「タンデム用の底セル技術開発」の予算と投入額(2025年)事実出典1 http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-04-30/1225263857.PDF
同2プロジェクトの2026年上期の投入額と累計事実出典2 http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-07/1225462504.PDF
投入ペースが約2倍、累計が予定総投資の約84%、研究開発投入の約5.8%本稿の計算出典1・2の数値を本稿が割り算したもの
2T構造、HJT底セルで記録モジュールを支えTOPCon底セルは量産向けに開発(大面積30%)事実出典1 http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-04-30/1225263857.PDF
210mm大面積タンデムセル33.9%、TOPCon底セルの大面積タンデム32.4%、886W、初受注と海外初出荷、業界の課題とGW級実証の見通し事実出典2 http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-07/1225462504.PDF
1.52m²で27.2%とNRELチャート収録の記載、タンデム特許698件、国家重点実験室、復旦大学・南洋理工大学との協力、江蘇省科学技術賞1等賞事実出典1 http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-04-30/1225263857.PDF
907W・全面積効率29.2%(TÜV SÜD)、技術要素、808Wからの推移、投資継続の方針事実出典3 https://www.trinasolar.com/en-glb/newsroom202606091645/
懐柔実験室との共同開発による32.6%(Fraunhofer ISE CalLab)、865W(TÜV SÜD)事実出典4 https://www.trinasolar.com/en-glb/newsroom202512240228/
808W(TÜV SÜD)、10年以上の研究、国家研究プロジェクトの主導、特許331件事実出典5 https://www.trinasolar.com/us/resources/newsroom/Worlds-First-800W-Tandem-Module/
NLRチャートのペロブスカイト/シリコン系列にTrinaの名前があり、最新記録31.6%の保持者はLONGiであること事実出典6 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/champion-module-chart.pdf
ペロブスカイト太陽電池の3類型の区分本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズで扱う企業から例示
3.1m²と約1cm²の面積比が約3万倍本稿の計算31,000cm²÷1cm²の概算
初受注の数量・金額・顧客名、量産ラインの場所・能力・投資額、製品型番・価格、907WのIEC試験結果、屋外長期データ未確定/将来出典1〜5に記載なし。報道の記載は採用しない http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-07/1225462504.PDF
33.9%・32.4%・886Wの測定機関未確定/将来出典2に記載なし。会社の記載として扱う http://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-07/1225462504.PDF
「最初に製品として出す大手」を狙っているという読み推測出典1〜3の記述の構成からの本稿の解釈
最初の市場は高価格でも売れる分散型という読み推測出典2の顧客区分とTHBCの位置づけからの本稿の解釈
特許の量で先行者の地位を固めるという読み推測出典1・5の特許件数の推移からの本稿の解釈
大規模量産は2030年前後という読み推測出典2の業界見通しからの本稿の解釈
既存のTOPCon工場をタンデムの前工程に使うのが本当の狙いという読み、底セル切り替えのリスク推測出典1の底セルの書き分けからの本稿の解釈

最終更新:2026年9月25日/Troy Technical
本稿の数値は、天合光能が上海証券取引所に開示した法定開示書類、同社の公式プレスリリース、NLR(旧NREL)の公開資料に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。