COMPANY PROFILE / ペロブスカイト太陽電池
Caelux
― セルを作らず「発電するカバーガラス」を売る、米国のペロブスカイト専業
Caelux(ケイラックス)は、太陽電池モジュールのいちばん表面にあるカバーガラスに、ペロブスカイトの発電層を作り込む米国カリフォルニア州の会社です。 自社ではシリコンのセルもモジュールも作らず、このガラスを既存のモジュールメーカーに供給し、ガラスとシリコンの2層で発電する「Hybrid-Tandem(ハイブリッドタンデム)」モジュールにしてもらう、という事業の組み立てです。 2025年7月に初の商業出荷を終え、2026年には米国のSolx、インドのRAYZON Solar・Navitas Solar・GREW Solarと相次いで5年間の供給・量産提携を発表しました。 会社は2026年9月時点で契約済みの数量が計19GWになったとしています。 本稿では、非上場のこの会社について、会社自身と提携先・出資者・公的機関の発表だけで、何が確定していて何が見えないのかを整理します。
- 30秒でわかるCaeluxと、ペロブスカイト太陽電池での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- ペロブスカイト太陽電池の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(売上は非公表。調達額で見る)
- ペロブスカイトにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社はペロブスカイト太陽電池で何を目指しているか
- ペロブスカイト分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるCaeluxと、ペロブスカイト太陽電池での立ち位置
ボールドウィンパーク2023年までの発表ではパサデナ
2014年創業財務諸表は公表されていない
専業スタートアップシリコンのセルもモジュールも作らない
(シリコンとのタンデム)ガラスとシリコンセルを並列につなぐ
Khosla/三井不動産 ほかRelianceは1,200万ドルで20%を取得(2022年)
ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業は、大きく既存の太陽電池大手・専業スタートアップ・素材や電機などの異業種の3種類に分かれます。 Caeluxは専業スタートアップですが、同じ専業でも「自分でタンデムのセルやモジュールを作る」会社とは違い、 モジュールの部品であるカバーガラスだけを発電層に変えて売るという道を選んでいます 事実。 会社は自社の方式を「シリコン側の特殊な設計も、セル製造ラインへの再投資も不要」「既存のモジュール製造工程に最小限の変更で差し込める」と説明しています。 つまりCaeluxの顧客は発電事業者ではなくシリコンモジュールのメーカーで、米国1社・インド3社との提携はその顧客づくりの結果です。
2. ロゴと社名の表記について
Caeluxのロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、
公式サイトから取得した画像(2026年8月更新版)を img/caelux_logo.png として設置しています。
表記の注意:法人名は Caelux Corporation です。2025年までのリリースは「Caelux®」と商標記号つきで表記しています。 製品名はリリースの時期によって「Caelux™ One」「CaeluxOne」「Active Glass」「Energy Producing Glass」などと揺れていますが、いずれもペロブスカイトの発電層を作り込んだカバーガラスを指しています。 本稿では英字表記に統一し、読みは「ケイラックス」としておきます(会社が公式に示したカナ表記はありません)。
公式サイト:https://caelux.com/3. ペロブスカイト太陽電池の世界で、この会社はどこにいるか
製品の形でいえば、Caeluxはシリコンとのタンデムに分類されますが、上下のセルを1枚の基板上で直列に積む2端子(モノリシック)型ではありません。 会社は技術ページで自社方式を2端子型と並べて比較し、「Active Glassをシリコンセルと並列につなぐ受動的な接続構造」と説明しています 事実。 ペロブスカイトとシリコンを別々の層として作り、モジュールの中で組み合わせる点で、一般にいう4端子型の考え方に近い方式です 推測。 2端子型と4端子型の違いは、本シリーズの技術解説『タンデム』で扱っています。
4. 会社の規模(売上は非公表。調達額で見る)
Caeluxは非上場で、売上・損益・手元資金・従業員数を公表していません 未確定/将来。 2025年7月に初の商業出荷を終えていますが、その金額も数量も公表されていません。 代わりに、会社と出資者が公表した資金調達の内容で規模を見ます。
| 時期 | 公表内容 | 金額 | 出所 |
|---|---|---|---|
| 2022年9月 | Reliance Industriesの100%子会社Reliance New Energy(RNEL)が出資の最終契約。20%の株式を取得。あわせて技術協力と商業化の戦略提携契約 | 1,200万ドル | Reliance Industriesの発表 |
| 2023年8月 | シリーズA3。Temasekが主導し、RNEL・Khosla Ventures・三井不動産・Fine Structure Venturesが参加 | 1,200万ドル | Caeluxの公式リリース |
| 2023年8月 | A3によりシリーズAの合計がこの額になったと会社が発表 | 2,400万ドル | Caeluxの公式リリース |
| 2023年8月 | 三井不動産がCVCファンド「31VENTURES Global Innovation Fund II」を通じて出資したと発表 | 非公表 | 31VENTURESの発表 |
RNELは1,200万ドルで20%を取得すると発表しました 事実。 単純に割り戻すと、2022年9月時点の出資後の企業価値は約6,000万ドルになります 本稿の計算。 ただし優先株の条件などで実際の評価額は変わりうるため、これは目安にすぎません。 また、RNELの1,200万ドルと、2023年に会社が述べた「シリーズA合計2,400万ドル」の内訳の関係(RNELの出資がシリーズAに含まれるか)は、どちらの発表にも書かれていません 未確定/将来。
2023年8月以降の資金調達は、会社の公式リリースでは確認できませんでした。 会社のサイトには、CEOが出演したポッドキャストの題名として「7,000万ドルを調達」と書かれた記事がありますが、内訳・時期を示す公式リリースは見つからないため、本稿では採用しません。
5. ペロブスカイトにかけているリソース
Caeluxはペロブスカイトのガラスだけを事業にしている会社なので、会社の支出はほぼそのままペロブスカイトへの投入です。 ただし金額は公表されていません。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人(経営陣) | CEOのScott Graybeal氏は元Flex Ltd.のエネルギー部門の責任者。CTOのCharlie Hasselbrink氏は元SunPowerで品質・信頼性の研究開発を率い、紫外線試験を10万倍に加速する特許手法を開発したチームの責任者。創業者のJohn Iannelli氏は元Khosla Ventures | 事実 |
| 人(営業・地域) | 最高商業責任者のAaron Thurlow氏(元SunPower・LONGi Solarなど、2025年4月就任)。インド・中東担当のVish Iyer氏(2025年6月就任)。アジア担当のVP兼GMを置く | 事実 |
| 人(人数) | 従業員数 | 非公表 |
| 金(株式調達) | シリーズA合計2,400万ドル(2023年8月)。RNELの1,200万ドル(2022年9月) | 事実 |
| 金(工場・研究開発) | ボールドウィンパークの製造拠点で、ペロブスカイト塗布ガラス100MWの水準まで立ち上げ中(2023年8月の発表)。現在の生産能力・投資額は非公表 | 事実/非公表 |
| 外部への出資・買収 | Caeluxから他社への出資・買収の発表 | 確認できず |
| 大学・研究機関・公的資金 | 豪州ARENAが資金を出すニューサウスウェールズ大学(UNSW)主導の検査技術プロジェクトにパートナーとして参加(ARENA負担273万豪ドル、総事業費804万豪ドル、2022年11月〜2028年1月。ARENAのページの表記は「$」)。資金の受け手はUNSWで、Caeluxへの配分額は公表されていない | 事実 |
| 米国の公的資金 | DOEなど米国政府からの採択の発表 | 確認できず |
| 材料探索 | 英CuspAIの「AI Materials Foundry」に創設メンバーとして参加(2026年7月、45超の組織が参加) | 事実 |
Caeluxのガラスは、モジュールのいちばん外側、太陽光を最初に受ける位置に置かれます。 つまりペロブスカイト層は、シリコンセルに届く前の紫外線と熱をまともに受ける場所にあります。 CTOが「紫外線試験を10万倍に加速する特許手法」を持つ信頼性の専門家であることは、この配置の弱点を会社自身が最優先で見ていることの表れと読めます 推測。
一方でガラスは、シリコンのセルのような表面の凹凸(テクスチャ)がない平らな基板です。 平らなガラスの上なら、塗布でも蒸着でも均一な膜を作りやすく、ペロブスカイトの製膜条件をシリコン側の都合に合わせる必要がありません。 ペロブスカイトとシリコンを別々の工場・別々の工程で作ってから組み合わせることで、どちらの歩留まりも相手に引きずられない、というのがこの方式の材料・工程上の利点です 推測。封止の論点は本シリーズの技術解説『封止とバリア層』を参照してください。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2014年 | John Iannelli氏が創業。ナノ材料で結晶シリコンモジュールの性能を上げることが当初の目標 | 最初から「シリコンに上乗せする」発想 |
| 2022年9月 | Reliance New Energyが1,200万ドルで20%を取得。技術協力・商業化の戦略提携も締結。資金は米国での試作ライン建設などに充てる | インドの大手が最初の大口出資者に |
| 2022年11月 | UNSW主導、ARENA資金の検査技術プロジェクトが開始(Caeluxはパートナー) | 量産時の品質検査を公的研究で準備 |
| 2023年8月 | シリーズA3で1,200万ドル(Temasek主導)。シリーズA合計2,400万ドル。ボールドウィンパークに製造拠点を建設し100MWまで立ち上げ中と発表。三井不動産も出資 | 工場の規模感が初めて示された |
| 2025年4月 | Aaron Thurlow氏が営業・マーケティング担当SVPに就任。「主力製品Caelux One の市場投入に備える」 | 販売体制づくりが始まる |
| 2025年6月 | Vish Iyer氏がインド・中東担当の責任者に就任 | インド進出の準備 |
| 2025年7月 | 初の商業出荷。米国の大手開発事業者のプロジェクト向けで、シリコンモジュールメーカーと組んでハイブリッドタンデムに組み立てる | 顧客・モジュールメーカーの社名は非公表 |
| 2026年4月 | Solx(米国)と5年・3GWの提携。SolxのAuroraモジュールにCaeluxのガラスを組み込み、セルはSuniva製。効率28%。「数量と購入の約束を伴う量産契約」 | 米国内で完結するサプライチェーン |
| 2026年7月20日 | CuspAIのAI Materials Foundryに創設メンバーとして参加 | 材料探索にAIを使う |
| 2026年7月23日 | RAYZON Solar(インド)と5年・5GW、Navitas Solar(インド)と5年・5GWの提携を同日に発表。いずれもTOPConモジュールと組み合わせ、効率28%(Navitasは「最大28%」) | インド市場へ本格参入 |
| 2026年9月 | GREW Solar(インド)と5年・最大4GWの提携。効率29%以上。契約済み数量が計19GWになったと発表 | 数量の約束が積み上がった |
7. 今後の計画
2026年9月のGREW Solarとのリリースで、会社は「この提携で世界のモジュールメーカーとの契約済み数量が19GWに広がった」と書きました 事実。 社名つきで公表された提携を足すと、Solx 3GW+RAYZON 5GW+Navitas 5GW+GREW 4GW=17GWで、 残る約2GWの相手は公表資料からは特定できません 本稿の計算。 インドの3社との提携は、いずれも2028年の商業生産・出荷を目指すとしており、NavitasとGREWとの発表はインド政府の認定リスト(ALMM)の要件を満たすことも明記しています。
次はいずれも会社・提携先の公表資料に記載がありません 未確定/将来。
19GW分のガラスをどこで・誰が作るのか(Caeluxの米国工場か、インドでの現地生産か)/ 現在の生産能力と工場の投資額/ガラスの販売価格/提携の最低購入数量と違約条件/ 2025年7月の初出荷の数量・顧客名/残る約2GWの相手先。 「Caeluxが○GWの工場をインドに」といった数字は報道ベースのものがあり、本稿では採用しません。
8. この会社はペロブスカイト太陽電池で何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 目指しているのはモジュールメーカー向けの部材メーカーであり、モジュールの自社ブランド販売ではない | 「既存のモジュール製造工程に差し込める」という技術説明と、4件の提携がすべてモジュールメーカーとの契約であること。GREWとの発表でCEOは「モジュールメーカーの設備の寿命を延ばせる」と述べている | 事実 |
| ライセンスではなく「物を売る」形にこだわっている | Solxとの発表で営業責任者が「業界ではライセンスもあったが、我々の契約は数量と購入の約束を伴う本当の量産契約だ」と述べている | 事実 |
| インドを米国と並ぶ主戦場にしている | 2025年にインド・中東担当の責任者を置き、2026年の提携4件のうち3件(計14GW)がインドのメーカー。最初の大口出資者もインドのReliance | 推測 |
| 生産の担い手を自社工場以外にも広げる必要が出てくる | 2023年に示した自社工場の規模は100MW。19GWを5年で割ると年平均3.8GWで、その約38倍にあたる(本稿の計算)。生産地は公表されていない | 推測 |
| 当面の差別化は効率の最高値より「導入のしやすさ」 | 公式サイトが「技術的な単純さ」「低い設備投資」「市場への普及」を2端子型との比較の軸に挙げている | 推測 |
2023年8月のリリースで、Caeluxはボールドウィンパークの製造拠点をペロブスカイト塗布ガラス100MWまで立ち上げると書きました 事実。 一方、2026年9月時点の契約済み数量は5年間で19GWです 事実。 19GW÷5年=年平均3.8GWで、100MWの約38倍になります 本稿の計算。 契約が約束どおりに進むなら、Caeluxは(1) 自社工場を桁違いに拡張する、(2) 提携先の国(たとえばインド)でガラスを作る、(3) 製造の一部を他社に委ねる、のいずれかを選ぶ必要があります。 インドの3件のリリースがそろって「Make in India」「インド国内で完結する経路」を強調していることから、本稿は(2)の現地生産を含む形になる可能性が高いと読みます 未確定/将来。 ただし会社はガラスの生産地を明らかにしておらず、これは本稿の解釈にとどまります。
9. ペロブスカイト分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
| 項目 | 会社の公表内容 |
|---|---|
| 製品の考え方 | モジュールのカバーガラスにペロブスカイトの発電層を作り込み、シリコンセルの上に載せて「2層で発電するモジュール」にする |
| 接続方式 | Active Glassをシリコンセルと並列につなぐ受動的な接続構造。会社は2端子型と比べ、技術的な単純さ・拡張性・製造コスト・普及しやすさ・信頼性・低い設備投資で優位と主張 |
| 対応するシリコン | 「主流のすべてのシリコン技術に対応」(2025年7月の初出荷のリリース)。実際の提携先の組み合わせは、米国がSuniva製セル、インド3社がN型TOPCon |
| CaeluxPrime | 初期の顧客・提携先に限定供給。従来モジュールに対し効率を絶対値で最大3ポイント向上 |
| CaeluxOne | 主力製品。住宅・産業・大規模発電所向けの寸法。効率を絶対値で最大6ポイント向上 |
| 製造 | カリフォルニア州の本社で製造。機械学習とAIを使って品質を管理していると説明 |
| 効率・性能の主張 | セル/モジュール・面積 | 認証の有無 |
|---|---|---|
| モジュール効率28%(Solx・RAYZONとの発表)、最大28%(Navitasとの発表)、29%以上(GREWとの発表) | モジュール。面積・寸法の記載なし | 会社発表。認証機関名の記載なし |
| 電力密度最大30%増、発電量20%増、プロジェクト費用最大20%減 | モジュール(従来品との比較) | 会社発表 |
| 従来モジュールより最大35%多く発電(公式サイト本文) | モジュール | 会社発表。同じページの「発電量20%増」と数字が一致しない |
| 商用タンデムモジュールで効率30%超という業界目標の実現に向けた大きな一歩(2023年8月) | モジュール | 目標の表現であり、達成値ではない |
| NRELの研究セル効率表とチャンピオンモジュール効率表(いずれも2026年7月17日改訂版) | ― | Caeluxの名前は掲載されていない |
会社の数字どうしを突き合わせると、CaeluxOneの「絶対値で最大6ポイント向上」は、効率22%前後の従来モジュールを28%前後にするという意味になり、提携リリースの「28%」と整合します 本稿の計算。 一方、公式サイト本文の「最大35%多く発電」と、同じページの数値欄の「発電量20%増」は食い違っており、どちらが最新の会社見解かは確認できません 未確定/将来。 効率の数字の読み方は本シリーズの技術解説『変換効率と評価指標』で扱っています。
2端子型のタンデムは上下のセルを直列につなぐため、上下で流れる電流をそろえる必要があり、ペロブスカイトの膜厚やバンドギャップを厳密に合わせ込まなければなりません。 Caeluxのように並列でつなぐ場合、電流をそろえる必要はなくなる代わりに、電圧をそろえる工夫(セルの直列数の組み合わせなど)が必要になる、というのが一般的な回路の性質です 推測。 会社は電圧をどう合わせているかを公表していません 未確定/将来。
並列方式の利点は、ペロブスカイト層が劣化して出力が落ちても、シリコン側の発電は影響を受けにくい点にあります。 直列の2端子型では片方の劣化が全体の電流を引き下げますが、並列ならガラス側の劣化は上乗せ分が目減りするだけ、という構造上の違いがあります 推測。 ペロブスカイトの長期耐久性がまだ十分に実証されていない段階で、「最悪でもシリコンモジュールとしては動く」設計は、保守的なモジュールメーカーにとって採用の心理的な壁を下げる材料になります。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 生産能力と契約数量の差 | 2023年に示した自社工場は100MW規模。契約済み数量は5年で19GW(年平均3.8GW)。どこで作るかは公表されていない | 本稿の計算 |
| 財務が見えない | 非上場で売上・損益・手元資金を公表していない。2023年8月以降の資金調達も公式リリースでは確認できない | 事実 |
| 効率が第三者認証されていない | NRELの効率表に掲載がなく、28%・29%以上などの数字はいずれも会社発表で、認証機関名が示されていない | 事実 |
| 提携は将来の見通しを含む | 各リリースは将来予測に関する注意書きを付け、技術開発・規制上の承認・市場・サプライチェーン・政策によって結果が大きく変わりうると明記している。GREWとの数量は「最大4GW」 | 事実 |
| インドの認定制度への依存 | インド3社の提携はいずれも2028年の商業生産・出荷が目標で、うち2社はALMMの要件を満たすことを条件として明記している。認定が遅れれば出荷も遅れる | 推測 |
| 表面側に置かれる耐久性 | ペロブスカイト層が紫外線と熱を最初に受ける位置にある。屋外での長期実績は公表されていない | 推測 |
| 公表情報の揺れ | 本社所在地(パサデナ→ボールドウィンパーク)、製品名、発電量の増加率(20%と35%)など、時期やページによって表現が揺れている | 事実 |
12. 用語集
- ペロブスカイト太陽電池
- ペロブスカイト型の結晶構造を持つ金属ハライド材料を光吸収層に使う太陽電池。薄く作れ、光の吸収が強い。
- ハイブリッドタンデム
- Caeluxの呼び方。発電するカバーガラスとシリコンセルの2層で発電するモジュール。
- カバーガラス
- モジュールの受光面を覆う強化ガラス。通常は発電せず、セルを保護する部材。
- 2端子型/4端子型
- 2端子型は上下のセルを一体で直列につなぐ構造。4端子型は上下を別々の回路として作り、外で組み合わせる構造。
- TOPCon
- 裏面に極薄の酸化膜と多結晶シリコン層を持つシリコンセル。現在の量産セルの主流。
- ALMM
- インド政府の「認定モジュール・メーカー一覧」。政府調達などの案件では掲載品が求められる。
- ARENA
- 豪州再生可能エネルギー庁。再生可能エネルギーの研究開発・実証に公的資金を出す政府機関。
- CVC
- コーポレート・ベンチャー・キャピタル。事業会社がスタートアップに投資するための組織やファンド。
13. 出典
- Caelux Corporation 公式サイト トップページ。事業の説明、最大35%多く発電という主張、30%・20%・20%の数値欄、カリフォルニア州本社での製造、ロゴ画像の取得元。 https://caelux.com/
- Caelux Corporation 公式サイト「Our Vision」。2014年創業と創業時の目的。 https://caelux.com/company/
- Caelux Corporation 公式サイト「Leadership Team」。経営陣の経歴(CEO・創業者・CTO・CFO・最高商業責任者・最高法務責任者・アジア担当・インド中東担当)。 https://caelux.com/company/leadership-team/
- Caelux Corporation 公式サイト「Our Technology」。カバーガラスを発電層にする方式、シリコンセルと並列につなぐ構造、2端子型との比較、特殊なシリコンやセルラインへの再投資が不要という説明。 https://caelux.com/technology/
- Caelux Corporation 公式サイト「Products」。CaeluxPrime(最大3ポイント向上、初期顧客に限定)とCaeluxOne(最大6ポイント向上)。 https://caelux.com/products/
- Reliance Industries Limited Media Release「Reliance New Energy Limited to invest in Caelux Corporation」(2022年9月23日)。RNELが1,200万ドルで20%を取得、試作ライン建設、技術協力と商業化の戦略提携、当時の本社がパサデナであること。 https://www.ril.com/sites/default/files/2022-12/Media-Release-RIL-23092022%20(1).pdf
- Caelux プレスリリース「Caelux Announces $12M to Fund Next-Generation Solar Innovation with Perovskite Technology」(2023年8月14日)。シリーズA3 1,200万ドル、Temasek主導と参加者、シリーズA合計2,400万ドル、ボールドウィンパークの製造拠点と100MW、Caelux One。 https://www.prnewswire.com/news-releases/caelux-announces-12m-to-fund-next-generation-solar-innovation-with-perovskite-technology-301899211.html
- 31VENTURES(三井不動産) 「31VENTURES Global Innovation Fund Ⅱ has invested in Caelux Corporation」(2023年8月15日)。三井不動産がCVCファンドを通じてCaeluxに出資したこと。 https://www.31ventures.jp/en/news/?p=392
- 豪州再生可能エネルギー庁(ARENA) プロジェクトページ「High-Throughput Inspection Methods for High-Efficiency Multijunction Solar Cells」。UNSW主導、ARENA負担273万豪ドル、総事業費804万豪ドル、期間2022年11月30日〜2028年1月31日、パートナーにCaelux Corporation(ANU・RayGen・Greatcellも参加)。金額は豪州政府機関のページの「$」表記を豪ドルと読んでいる。 https://arena.gov.au/projects/high-throughput-inspection-methods-for-high-efficiency-multijunction-solar-cells/
- Caelux プレスリリース「Aaron Thurlow Joins Caelux® as Senior Vice President of Sales & Marketing」(2025年4月29日)。営業責任者の就任、主力製品Caelux Oneの市場投入準備。 https://caelux.com/aaron-thurlow-joins-caelux-as-senior-vice-president-of-sales-marketing-to-lead-global-product-commercialization-and-accelerate-revenue-growth/
- Caelux プレスリリース「Vish Iyer Joins Caelux® as Managing Director, India and Middle East」(2025年6月18日付)。インド・中東担当責任者の就任とインド進出の方針。 https://caelux.com/vish-iyer-joins-caelux-as-managing-director-india-and-middle-east-to-spearhead-strategic-growth-and-market-expansion-in-two-of-the-worlds-fastest-growing-solar-markets/
- Caelux プレスリリース「Caelux® Completes First Commercial Shipment of its Proprietary Active Glass Technology」(2025年7月8日)。初の商業出荷、米国の大手開発事業者のプロジェクト向け、シリコンモジュールメーカーとの組み立て、電力密度30%増・発電量20%増・費用20%減。 https://caelux.com/caelux-completes-first-commercial-shipment-of-its-proprietary-active-glass-technology-marking-major-company-milestone/
- Solx・Caelux 共同プレスリリース「In Major US Manufacturing Milestone, Solx and Caelux Partner to Scale Next-Gen Energy Technology」(2026年4月21日)。5年・3GWの提携、Auroraモジュール、Suniva製セル、効率28%、数量と購入の約束を伴う量産契約、2027年までの商業数量、将来予測に関する注意書き。 https://caelux.com/solx-caelux-partnership/
- Caelux(CuspAIの発表を掲載) 「Caelux Joins CuspAI’s AI Materials Foundry as a Founding Partner」(2026年7月20日)。AI Materials Foundryの創設メンバー(45超)、CaeluxのCEOのコメント。 https://caelux.com/ai-materials-foundry/
- RAYZON Solar・Caelux 共同プレスリリース「RAYZON Solar and Caelux Partner to Scale Next-Generation Solar Tech for “Make in India” Initiative」(2026年7月23日)。5年・5GW、TOPConとの組み合わせ、効率28%、2028年の商業数量、将来予測に関する注意書き。 https://caelux.com/rayzon/
- Navitas Solar・Caelux 共同プレスリリース「Navitas Solar and Caelux Join Forces to Accelerate India’s Renewable Energy Goals」(2026年7月23日)。5年・5GW、N型TOPConとの組み合わせ、最大28%、2028年の商業生産、ALMM要件。 https://caelux.com/navitas/
- GREW Solar・Caelux 共同プレスリリース「Caelux Expands its Global Presence with GREW Solar Partnership」(2026年9月16日)。5年・最大4GW、効率29%以上、契約済み数量が計19GW、2028年の商業生産、CEOのコメント。 https://caelux.com/caelux-expands-its-global-presence-with-grew-solar-partnership/
- Caelux Corporation 公式サイト「News」一覧。CEO出演ポッドキャストの題名(「7,000万ドルを調達」)の確認。 https://caelux.com/news/
- NREL(現 National Laboratory of the Rockies) Best Research-Cell Efficiency Chart(2026年7月17日改訂)。Caeluxの記録が掲載されていないことの確認。 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/best-research-cell-efficiencies.pdf
- NREL(現 National Laboratory of the Rockies) Champion Module Efficiencies(2026年7月17日改訂)。Caeluxの記録が掲載されていないことの確認。 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/champion-module-chart.pdf
14. 主張と出典の対応表
| 本文の主張 | 区分 | 出典 |
|---|---|---|
| 法人名がCaelux Corporationであること、本社がボールドウィンパークであること | 事実 | 出典15・17 https://caelux.com/rayzon/ |
| 2014年創業と創業時の目的、創業者の経歴 | 事実 | 出典2・3 https://caelux.com/company/ |
| 経営陣の経歴(CEO・CTO・最高商業責任者・インド中東担当など)、CTOの紫外線加速試験の特許手法 | 事実 | 出典3 https://caelux.com/company/leadership-team/ |
| カバーガラスを発電層にする方式、並列接続、2端子型との比較、セルラインへの再投資不要 | 事実 | 出典4 https://caelux.com/technology/ |
| CaeluxPrime(最大3ポイント)とCaeluxOne(最大6ポイント) | 事実 | 出典5 https://caelux.com/products/ |
| 最大35%多く発電、30%・20%・20%の数値、カリフォルニア州本社での製造、ロゴ | 事実 | 出典1 https://caelux.com/ |
| RNELが1,200万ドルで20%を取得、戦略提携、試作ライン建設、当時の本社がパサデナ(2022年9月) | 事実 | 出典6 https://www.ril.com/sites/default/files/2022-12/Media-Release-RIL-23092022%20(1).pdf |
| 出資後の企業価値が約6,000万ドルという目安 | 本稿の計算 | 出典6の1,200万ドル÷20%による本稿の計算。優先株条件等は考慮していない |
| シリーズA3 1,200万ドル、Temasek主導と参加者、シリーズA合計2,400万ドル、100MWの製造拠点 | 事実 | 出典7 https://www.prnewswire.com/news-releases/caelux-announces-12m-to-fund-next-generation-solar-innovation-with-perovskite-technology-301899211.html |
| 三井不動産が31VENTURESを通じて出資したこと | 事実 | 出典8 https://www.31ventures.jp/en/news/?p=392 |
| ARENA資金のUNSW主導プロジェクト(273万豪ドル/総額804万豪ドル、2022年11月〜2028年1月)にCaeluxがパートナー参加 | 事実 | 出典9 https://arena.gov.au/projects/high-throughput-inspection-methods-for-high-efficiency-multijunction-solar-cells/ |
| 営業責任者の就任(2025年4月)とCaelux Oneの市場投入準備 | 事実 | 出典10 https://caelux.com/aaron-thurlow-joins-caelux-as-senior-vice-president-of-sales-marketing-to-lead-global-product-commercialization-and-accelerate-revenue-growth/ |
| インド・中東担当責任者の就任(2025年6月) | 事実 | 出典11 https://caelux.com/vish-iyer-joins-caelux-as-managing-director-india-and-middle-east-to-spearhead-strategic-growth-and-market-expansion-in-two-of-the-worlds-fastest-growing-solar-markets/ |
| 初の商業出荷(2025年7月)と、その顧客・モジュールメーカーが社名非公表であること、主流のシリコン技術すべてに対応するという説明 | 事実 | 出典12 https://caelux.com/caelux-completes-first-commercial-shipment-of-its-proprietary-active-glass-technology-marking-major-company-milestone/ |
| Solxとの5年・3GW、Suniva製セル、効率28%、量産契約という発言、2027年までの商業数量 | 事実 | 出典13 https://caelux.com/solx-caelux-partnership/ |
| CuspAIのAI Materials Foundryへの創設メンバーとしての参加 | 事実 | 出典14 https://caelux.com/ai-materials-foundry/ |
| RAYZON Solarとの5年・5GW、TOPCon、効率28%、2028年 | 事実 | 出典15 https://caelux.com/rayzon/ |
| Navitas Solarとの5年・5GW、最大28%、2028年、ALMM | 事実 | 出典16 https://caelux.com/navitas/ |
| GREW Solarとの5年・最大4GW、29%以上、契約済み数量19GW、2028年 | 事実 | 出典17 https://caelux.com/caelux-expands-its-global-presence-with-grew-solar-partnership/ |
| 社名つきの提携の合計が17GWで、約2GWの相手が特定できないこと | 本稿の計算 | 出典13・15・16・17の数量を本稿が足し合わせたもの |
| 19GW÷5年=年平均3.8GW、100MWの約38倍 | 本稿の計算 | 出典7・17の数値から本稿が計算したもの |
| CaeluxOneの6ポイント向上が「22%前後→28%前後」に相当するという整合確認 | 本稿の計算 | 出典5と出典13の数値を本稿が突き合わせたもの。22%は本稿が置いた仮定 |
| 「7,000万ドルを調達」はポッドキャストの題名のみで、公式リリースでは確認できないこと | 未確定/将来 | 出典18のニュース一覧で題名を確認。本稿では金額を採用しない https://caelux.com/news/ |
| NRELの研究セル効率表・チャンピオンモジュール効率表にCaeluxの名前がないこと | 事実 | 出典19・20 https://www.nlr.gov/docs/libraries/pv/best-research-cell-efficiencies.pdf |
| ペロブスカイト太陽電池の3類型の区分 | 本稿の計算 | 本稿による整理。企業名は本シリーズで扱う企業から例示 |
| 売上・損益・手元資金・従業員数、現在の生産能力と工場投資額 | 未確定/将来 | 非上場のため未公表。本稿では推計もしない |
| 19GW分のガラスの生産地、販売価格、最低購入数量、初出荷の数量と顧客名、残る約2GWの相手 | 未確定/将来 | いずれも会社・提携先の公表資料に記載なし。本稿では報道ベースの数値を採用しない |
| RNELの出資がシリーズAに含まれるかどうか、2023年8月以降の資金調達 | 未確定/将来 | 出典6・7に記載なし。本稿では推定しない https://www.prnewswire.com/news-releases/caelux-announces-12m-to-fund-next-generation-solar-innovation-with-perovskite-technology-301899211.html |
| 電圧をどう合わせているか、「35%」と「20%」のどちらが最新の会社見解か | 未確定/将来 | 出典1・4に記載なし・表現が不一致。本稿では判断しない https://caelux.com/technology/ |
| 4端子型の考え方に近い方式という分類 | 推測 | 出典4の「並列につなぐ」という説明からの本稿の解釈 |
| インドを米国と並ぶ主戦場にしているという読み | 推測 | 出典6・11・15・16・17からの本稿の解釈 |
| 生産の担い手を自社工場以外にも広げる必要が出てくるという読み、現地生産を含む形になる可能性 | 推測 | 出典7・15・16・17の記述と本稿の計算からの解釈。会社は生産地を示していない |
| 当面の差別化が導入のしやすさにあるという読み | 推測 | 出典4の比較表からの本稿の解釈 |
| CTOの経歴が表面側配置の弱点への対処を示すという読み、平らなガラスの製膜上の利点、並列接続の利点と課題 | 推測 | 出典3・4の記述と一般的な製膜・回路の理解に基づく本稿の解説 |
| インドの認定制度への依存、表面側に置かれることによる耐久性のリスク | 推測 | 出典15・16・17と出典4からの本稿の解釈 |
最終更新:2026年9月25日/Troy Technical
本稿の数値はすべてCaeluxの公式プレスリリース・公式サイトと、出資者(Reliance Industries、三井不動産)・公的機関(ARENA、NREL)の公表資料に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。効率の数値は、認証機関の確認がないものを「会社発表」と明記しています。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。