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FUJIFILM Wako Pure Chemical|細胞培養技術 企業解説

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COMPANY PROFILE / 細胞培養技術

富士フイルム和光純薬
― 100年続く試薬メーカーが、iPS細胞の「製造用原材料」に踏み込む

富士フイルム和光純薬は、1922年創業の総合試薬メーカーで、2017年に富士フイルムの100%子会社になりました。 細胞培養の世界での役割は、培地・添加剤・培養器材を研究者や製薬会社に売る「サプライヤー」です。 近年は、研究用だけでなく、ヒトiPS細胞を使う再生医療等製品の商業生産に使える、原薬GMPに準拠した培養用添加剤を2023年から3製品続けて発売しています。 本稿では、同社の公式サイト・会社案内・ニュースリリースと、親会社の富士フイルムホールディングスの法定開示だけを使って、 培地・試薬で何を売り、誰と組み、どこへ向かっているかを整理します。

構成:富士フイルム和光純薬の会社概要・沿革・関係会社一覧・Corporate Profile 2025・ニュースリリース(2026年1月19日)・製品情報ページ、富士フイルム和光バイオソリューションズの公式サイト、富士フイルムホールディングス 2026年3月期 有価証券報告書と決算説明会資料を一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかる富士フイルム和光純薬と、細胞培養技術での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 細胞培養技術の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模(試薬・化成品・臨床検査薬の全体は簡潔に)
  5. 細胞培養にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は細胞培養技術で何を目指しているか
  9. 細胞培養分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかる富士フイルム和光純薬と、細胞培養技術での立ち位置

正式名称富士フイルム和光純薬
株式会社
英文名 FUJIFILM Wako Pure Chemical Corporation
本社大阪市中央区
道修町
東京本店は中央区日本橋本町
上場非上場富士フイルム㈱の100%子会社(2017年〜)
この分野での区分サプライヤー
(培地・試薬)
細胞治療薬の開発・製造受託は一次情報に記載なし
連結売上高1,323億円2025年3月期。試薬・化成品・臨床検査薬の合計
細胞培養を含む事業試薬事業
707億円(53%)
培地・培養試薬は試薬事業の一部。内訳は非公表
再生医療向けの新製品GMP準拠の
培養用添加剤 3品
2023年・2025年・2026年に発売
連結従業員2,501人2025年3月時点。細胞培養の専任人員は非公表
まず押さえるべき1点

細胞培養に関わる企業は、大きく受託開発製造(CDMO)・装置や培地のサプライヤー・細胞治療の開発企業の3種類に分かれます。 富士フイルム和光純薬はサプライヤーで、従たる類型はありません 事実。 子会社の富士フイルム和光バイオソリューションズが細胞を使う評価試験などの受託サービスを行っていますが、医薬品の製造受託ではありません。 「細胞培養」の2つの意味の両方に製品を出しています。 ①抗体などのバイオ医薬品の生産向けには、CHO細胞やHEK293細胞の培地(グループ会社 FUJIFILM Biosciences の製品を国内で販売)とGMPクラスの特注培地、 ②細胞そのものを製品にする再生医療向けには、iPS細胞の培地と、商業生産に使える原薬GMP準拠の培養用添加剤です。 同社の強みは、自社の工場で医薬品の原料をGMPで作ってきた化学品メーカーとしての製造管理を、培養の原材料に持ち込める点にあります。

2. ロゴと社名の表記について

富士フイルム和光純薬の公式サイトは、ヘッダーに富士フイルムのコーポレートロゴと「富士フイルム和光純薬株式会社」の社名表記を並べて掲載しています。 本稿では生成画像による再現を行わず、同サイトから取得した富士フイルムのコーポレートロゴを img/fujifilm_wako_logo.svg として設置しています。 同社の会社案内は、FUJIFILM とそのロゴが富士フイルム株式会社の登録商標であると明記しています。

表記の注意:1922年に武田化学薬品株式会社として発足し、1947年に和光純薬工業株式会社、 2018年に現社名の富士フイルム和光純薬株式会社へ変わりました。英文名は FUJIFILM Wako Pure Chemical Corporation です。 富士フイルムが2025年6月に発表したライフサイエンス各社のブランド変更(FUJIFILM Irvine Scientific → FUJIFILM Biosciences など)では、同社の社名は変わっていません。 培地メーカーの FUJIFILM Biosciences(米国)とは別会社です。

公式サイト:https://www.fujifilm.com/ffwk/ja/about/company-profile

3. 細胞培養技術の世界で、この会社はどこにいるか

細胞培養技術に関わる企業の3つの類型 同じ「細胞を培養する会社」でも、何を売っているかがまったく違う 受託開発製造(CDMO) 装置・消耗品・培地 細胞治療・再生医療 他社の薬を受託して培養・製造 培養に使う道具と材料を売る 細胞そのものを製品にする Lonza/Samsung Biologics AGC Biologics/WuXi ほか Thermo Fisher/Cytiva/Sartorius Merck/味の素/Corning ほか 住友ファーマ/タカラバイオ Allogene/ReproCELL ほか 設備と実績で受注を集める どの薬が成功しても売れる 承認されれば独自の製品になる 設備が埋まらないと赤字 顧客の投資が冷えると落ちる 承認と製造コストの壁が高い 富士フイルム和光純薬はこの中央のサプライヤー。研究用から再生医療の製造用まで培地と試薬を売る 抗体生産用のCHO細胞培地はグループのFUJIFILM Biosciences製品を国内で販売し、iPS細胞向け添加剤は自社で製造
図1 細胞培養技術に関わる企業の3類型と、富士フイルム和光純薬の位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う20社から例示しています 本稿の計算。同社が培地・培養試薬を販売し、CHO細胞用培地などでFUJIFILM Biosciences社の製品を扱っていることは、同社の製品情報ページの記載に基づきます。

中央の「どの薬が成功しても売れる」は、この会社の製品構成によく当てはまります。 同社の細胞培養のページは、培地・血清・添加剤・細胞分散液・保存液・足場材・培養器材まで培養の一連の工程で使うものをまとめて扱うと説明しています 事実。個々の治療薬の成否ではなく、研究と製造の量そのものが売上を左右します。

4. 会社の規模(試薬・化成品・臨床検査薬の全体は簡潔に)

富士フイルム和光純薬は非上場で、親会社の法定開示でも単独の業績は区分されていません。規模は同社の会社案内(Corporate Profile 2025)で確認できます 事実。

項目内容
本社大阪府大阪市中央区道修町3-1-2(東京本店:東京都中央区日本橋本町2-4-1)
設立1922年6月
資本金23億39百万円
連結売上高1,323億円(2025年3月期)
連結従業員2,501人(2025年3月時点)
生産拠点東京工場(川越)、愛知工場(豊橋)、大阪工場(尼崎・三重)、播磨工場(赤穂)
研究開発等拠点マテリアル開発センター、戸田事業所、群馬事業所
事業別の売上高(2025年3月期)金額構成比主な製品
試薬事業707億円53%化学・ライフサイエンスの研究用試薬。細胞培養試薬、バイオ医薬品製造・細胞治療用の培地、バイオ受託サービスを含む
化成品事業319億円24%レジスト材料・ディスプレイ材料、重合開始剤など
臨床検査薬事業297億円23%生化学・免疫の検査試薬と装置
ここで注意

細胞培養に関わる製品は試薬事業707億円の一部で、そのうち培地・培養試薬がいくらかは公表されていません 未確定/将来。 親会社の富士フイルムホールディングスでは、同社の試薬事業は「LSソリューション」事業に含まれ、 LSソリューション全体の売上高は1,432億円(2026年3月期、前期比6.1%増)です。ただしここには医薬品・化粧品・CROなど別の事業も入っています。 有価証券報告書はLSソリューションの増収要因に「大手製薬会社の当社培地使用量増加による培地の販売伸長」を挙げていますが、 この「当社」は富士フイルムグループ全体のことで、富士フイルム和光純薬の培地売上を示すものではありません。

5. 細胞培養にかけているリソース

人・金・外部への出資と買収・大学との連携の4点について、一次情報で確認できたかどうかを示します。

リソースの種類内容確認
人連結従業員 2,501人(2025年3月時点)。細胞培養・培地の専任組織と人員数は非公表一部確認
金(設備)GMPクラスの培地製造設備を保有(粉末培地 1バッチ400〜1,000kg、液体培地 1バッチ100〜1,500L、無菌充填バッグ 5〜20L・200L)。投資額は非公表設備は確認/金額は確認できず
金(研究開発費)同社単体の研究開発費は非公表確認できず
外部への出資・買収2015年 シバヤギを子会社化(現・群馬事業所)、2019年 アイエスジャパンと統合(現・戸田事業所)、2019年 受託サービス子会社を設立。培地添加剤メーカーへの出資について富士フイルムが過去に発表した記事は、現在は該当URLで本文を確認できなかったため採用しない一部確認
大学・研究機関との連携子会社の富士フイルム和光バイオソリューションズが福島県立医科大学の構内に本社を置き、同大学の医療-産業トランスレーショナルリサーチセンターが開発したがん細胞の特殊培養を使う抗がん剤評価サービスを提供(同社は「福島県立医科大学発ベンチャー」と説明)確認
素材技術者の視点:「試薬」と「製造用原材料」は別物

研究用の試薬と、再生医療等製品の商業生産に使う原材料は、同じ化合物でも求められるものが違います。 同社のGMP準拠品は、国際的な原薬GMPのガイドライン ICH-Q7 に準拠して、文書化・プロセスバリデーション・分析バリデーションを行い、 動物由来原料を使わず、生菌数・エンドトキシン・マイコプラズマ否定の試験を実施すると説明しています 事実。 つまり売っているのは化合物そのものより、「ロットが変わっても同じものが来る」という保証です。

iPS細胞は、培養条件のわずかな違いで未分化状態が崩れたり、分化の方向がぶれたりします。 製造工程で使う低分子化合物のロット差は、そのまま最終製品の品質のばらつきになります 未確定/将来。 同社が1製品ずつGMP品を出しているのは、研究段階の処方をそのまま商業生産に持ち込めるようにするためと読めます。 研究者に試薬を売ってきた会社にとって、顧客の研究が製造段階へ進むときに同じ化合物のGMP品を用意できることは、顧客を手放さない仕組みにもなります。

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
1922年6月武田長兵衞商店(現・武田薬品工業)の化学薬品部門から武田化学薬品株式会社として発足試薬メーカーとしての出発点
1947年/1950年和光純薬工業へ社名変更。化成品事業を開始医薬品原料などの製造技術の蓄積
1974年/1981年ドイツと米国に現地法人を設立(現 FUJIFILM Wako Chemicals Europe/U.S.A.)海外販売の拠点
2015年株式会社シバヤギを子会社化(現・群馬事業所)研究開発拠点の追加
2017年4月富士フイルムが公開買付けで取得し、富士フイルムの100%子会社に富士フイルムのライフサイエンス事業に組み込まれる
2018年社名を富士フイルム和光純薬に変更。同年6月、富士フイルムが米国の培地メーカー Irvine Scientific を買収(現 FUJIFILM Biosciences)グループ内に培地メーカーが2社そろう
2019年アイエスジャパン株式会社と統合(現・戸田事業所)。2月に受託サービス子会社の富士フイルム和光バイオソリューションズを設立し、4月から福島県立医科大学発の抗がん剤評価サービスを開始細胞を使う評価の受託を開始
2023年5月原薬GMP準拠の ROCK阻害剤「Y-27632」を発売iPS細胞の商業生産向け添加剤の1製品目
2025年4月原薬GMP準拠の ALK4/5/7阻害剤「SB431542」を発売2製品目
2026年1月19日原薬GMP準拠の GSK-3β阻害剤「CHIR99021」を発売3製品目。いずれもGMP設備を持つ国内工場で製造

7. 今後の計画

GMP準拠の添加剤3製品顧客の要望に応じたカスタムメイド品も提供すると説明
特注培地GMPクラスで
受託製造・OEM
試験用から商業用まで一貫製造できる体制と説明
親会社のLSソリューション2027年3月期
1,500億円の見通し
組み替え後の前期1,402億円から7.0%増。医薬品等を含む
数値目標非公表培地・培養試薬の売上目標や投資計画は公表されていない
確認できなかったこと

次はいずれも一次情報に記載がありません 未確定/将来。

培地・培養試薬の売上高と成長率/GMP培地の製造を担う工場名と生産能力の拡張計画/ GMP準拠の添加剤の採用先(顧客名)/次に発売するGMP品の予定/細胞培養分野の研究開発費。 報道で語られる培地市場の成長率などの数字は、本稿では採用しません。

8. この会社は細胞培養技術で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
研究用試薬の顧客を、製造段階まで引き続き囲い込む研究用の CultureSure シリーズと、商業生産用の GMP 準拠品を同じ化合物で並べて比較表を示している推測
日本のiPS細胞の再生医療を主な狙いにしているGMP 準拠品の3製品はいずれもヒトiPS細胞を用いた再生医療等製品の商業生産を用途に挙げ、国内工場で製造している事実
抗体生産用の培地では、グループ内の分担を前提にしているCHO・HEK293・ハイブリドーマ用培地と培地最適化サービスを FUJIFILM Biosciences 社の製品・連携として示し、自社はGMPクラスの特注培地製造を担う推測
細胞培養は同社の中でまだ柱の一部にとどまる試薬事業が売上の53%を占めるが、培地・培養試薬の内訳は示されておらず、会社案内の事業紹介も試薬・化成品・臨床検査薬の3本柱で構成されている推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

2026年1月のリリースで、同社は3製品のGMP準拠品の価格を公表しています。 たとえば CHIR99021 は 5mg で15万円、25mg で55万円です 事実。 リリースはこの3製品を「再生医療等製品の原材料」と位置づけ、国内のGMP工場で製造し、生菌数・エンドトキシン・マイコプラズマの試験を実施すると明記しています。 つまり価格に含まれているのは化合物だけでなく、製造工程に組み込むための品質保証と文書だと読めます 未確定/将来。 本稿は、同社が細胞培養で目指すのは「量」ではなく、規制に耐える品質保証を付けた少量高付加価値の原材料だと読みます。

9. 細胞培養分野の提携マッピング

富士フイルム和光純薬を中心とした細胞培養分野の提携関係 同社・子会社の公式サイトと富士フイルムの法定開示に記載のある関係のみ。報道ベースの関係は含まない 研究・サービスの連携(実線・濃紺) 製品の供給・販売(実線・橙) 資本関係(点線) 富士フイルム 和光純薬 サプライヤー FUJIFILM Biosciences CHO・MSC用培地を国内販売 R&D Systems iPS細胞の拡大培養培地を販売 細胞シート再生医療推進機構 温度応答性培養皿を販売 和光バイオソリューションズ 100%子会社・受託サービス 福島県立医科大学 がん細胞の特殊培養で評価 富士フイルム 親会社(2017年〜100%保有)
図2 富士フイルム和光純薬を中心とした細胞培養分野の提携関係。出典:同社の製品情報ページ(培地・細胞培養・培養皿)、関係会社一覧、富士フイルム和光バイオソリューションズの事業紹介・沿革、富士フイルムホールディングスの有価証券報告書。橙が製品の供給・販売、濃紺が研究・サービスの連携、点線が資本関係です。福島県立医科大学との連携の当事者は子会社の富士フイルム和光バイオソリューションズで、図では子会社から大学へ線を引いています。温度応答性培養皿は細胞シート再生医療推進機構の製品で、同社は細川洋行との共同開発製品と表示したうえで販売しています。

10. 提供している技術・製品・サービス

製品・サービス用途一次情報の記述
GMP準拠 培養用化合物iPS細胞などを使う再生医療等製品の商業生産Y-27632(ROCK阻害剤)、SB431542(ALK4/5/7阻害剤)、CHIR99021(GSK-3β阻害剤)。ICH-Q7準拠、動物由来原料不使用、国内のGMP工場で製造
CultureSure シリーズ研究・開発培養用化合物の研究用の粉末・溶液製品。GMP品と用途で使い分けるよう比較表を提示
StemSure hPSC培地ΔヒトES/iPS細胞の維持培養フィーダーフリー条件で使う無血清の液体培地。動物由来成分とアルブミンを含まない(bFGFは含まない)
細胞培養用特注培地バイオ医薬品の研究開発・製造GMPクラスの設備で受託製造・OEM。粉末 400〜1,000kg/バッチ、液体 100〜1,500L/バッチ。独自の連続粉砕・混合技術
他社製品の販売抗体生産・MSC・iPS細胞FUJIFILM Biosciences の CHO・HEK293・ハイブリドーマ・MSC用培地、R&D Systems の iPS細胞拡大培養培地、細胞シート再生医療推進機構の温度応答性培養皿 など
受託サービス(子会社)創薬支援がん細胞の特殊培養による抗がん剤評価、エクソソーム単離、昆虫細胞・哺乳細胞によるタンパク質作製、DNA免疫法による抗体作製、エンドトキシン測定
素材技術者の視点:粉を均一に混ぜる技術が培地の品質を決める

培地は、アミノ酸・糖・ビタミン・無機塩など数十種類の成分を、数mgから数百kgまで桁の違う量で均一に混ぜた粉です。 同社は特注培地のページで、独自の連続粉砕技術で粒径の違う原料を均一な粒径にそろえ、 数mg〜数百mgの多種の微量成分を均一に混合する技術を持つと説明しています 事実。 粉末培地では、微量成分が偏ると溶かしたときの濃度がロットごとにぶれ、細胞の増殖や抗体の品質に影響します 未確定/将来。 これは化学品・試薬メーカーが粉体の取り扱いで積み上げてきた技術そのもので、 同社が培地を「化成品事業で培った医薬品原料製造技術」の延長として位置づけていることと整合します。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
再生医療の実用化の速度GMP準拠品は再生医療等製品の商業生産向け。承認・上市される製品が少なければ需要は伸びにくい推測
グループ内の役割の重なり培地は FUJIFILM Biosciences も製造販売しており、同社は国内で Biosciences 製品を販売している。グループ再編の方針によって役割が変わりうる推測
外部からの検証ができない培地・培養試薬の売上高、GMP品の採用先、設備投資額がいずれも非公表未確定/将来
他社製品への依存iPS細胞やMSCの培地では他社製品の販売も担っており、供給元の方針変更が品ぞろえに影響する推測

12. 用語集

培地
細胞の栄養となる成分を含む液体や粉末。本シリーズの技術解説「培地」で詳しく説明しています。
培養用添加剤(低分子化合物)
培地に少量加えて、細胞の生存・増殖・分化を制御する化合物。
ICH-Q7(原薬GMP)
医薬品の原薬の製造管理・品質管理の国際的なガイドライン。本シリーズの技術解説「GMP」も参照してください。
iPS細胞
体の細胞から作る、さまざまな細胞に分化できる幹細胞。本シリーズの技術解説「iPS細胞」で詳しく説明しています。
ROCK阻害剤
iPS細胞をばらばらにしたときに起きる細胞死を抑える化合物。Y-27632が代表例。
フィーダーフリー
支持細胞(フィーダー細胞)を使わずに幹細胞を培養する方法。
CHO細胞
チャイニーズハムスターの卵巣由来の細胞。抗体医薬の生産で最も広く使われる。
エンドトキシン
細菌の細胞壁由来の毒素。医薬品や培養原材料では混入の検査が必須。
概念図:化学品工場で粉体を均一に混合してつくる培地と、iPS細胞の培養皿へ届く小瓶の添加剤
図3 富士フイルム和光純薬の培地・培養試薬事業の概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. 富士フイルム和光純薬 会社概要(会社名・英文名・本社・設立・事業内容・資本金・生産拠点・研究開発等拠点)。 https://www.fujifilm.com/ffwk/ja/about/company-profile
  2. 富士フイルム和光純薬 沿革・歴史。 https://www.fujifilm.com/ffwk/ja/about/history
  3. 富士フイルム和光純薬 関係会社一覧(富士フイルム和光バイオソリューションズの所在地ほか)。 https://www.fujifilm.com/ffwk/ja/about/group
  4. 富士フイルム和光純薬 Corporate Profile 2025(英語版、2025年9月)。連結売上高・事業別売上高と構成比・連結従業員・資本金・事業内容。 https://asset.fujifilm.com/www/ffwk/files/2025-12/565ceafbf73f3d9052bc2990d7313753/250924-2_FFWK_company_profile_8P_EN_low.pdf
  5. 富士フイルム和光純薬 ニュースリリース「原薬GMPに準拠した培養用添加剤 GSK-3β阻害剤『CHIR99021』新発売」(2026年1月19日)。3製品の発売時期と価格、国内GMP工場での製造、品質試験。 https://www.fujifilm.com/ffwk/ja/news/313
  6. 富士フイルム和光純薬 製品情報「GMP準拠 培養用化合物」。ICH-Q7準拠の管理内容、CultureSureシリーズとの比較。 https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/03427.html
  7. 富士フイルム和光純薬 製品情報「培地|医薬品製造分野」。StemSure hPSC培地Δ、FUJIFILM Biosciences・R&D Systems の培地、培地最適化サービス。 https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/pharmaceutical-raw-materials/category/culture-media.html
  8. 富士フイルム和光純薬 製品情報「細胞培養用特注培地」。GMPクラスの設備規模、連続粉砕・混合技術、品質試験。 https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/00520.html
  9. 富士フイルム和光純薬 製品情報「細胞培養」(取扱製品の範囲)。 https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/lifescience/mammalian_cells/index.html
  10. 富士フイルム和光純薬 製品情報「細胞シート再生医療推進機構 スマート温度応答性培養皿 SSCW」。 https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/03314.html
  11. 富士フイルム和光バイオソリューションズ 事業紹介(受託サービスの内容、福島県立医科大学との連携)。 https://www.fujifilm.com/wkbs/ja/what-we-do
  12. 富士フイルム和光バイオソリューションズ 沿革・歴史(2019年2月設立、4月に抗がん剤評価サービス開始)。 https://www.fujifilm.com/wkbs/ja/about/history
  13. 富士フイルムホールディングス 2026年3月期 有価証券報告書(2026年6月24日提出)。和光純薬工業の取得(2017年4月)、Irvine Scientific の買収(2018年6月)、関係会社の記載、LSソリューションの売上高と増収要因。 https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-news/auto_20260624154900_S100YIBH/pdfFile.pdf
  14. 富士フイルムホールディングス 2026年3月期 決算説明会資料(2026年5月12日)。LSソリューションの売上高と2027年3月期の見通し(事業区分の組み替え後)。 https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-materials/earnings-presentations/main/01113/teaserItems5/0/linkList/0/link/ff_fy2025q4_001j.pdf
  15. 富士フイルム ニュースリリース「Fujifilm Rebrands Life Sciences Companies to Strengthen Position as Strategic Partners for Life, Offering End-to-End Solutions」(2025年6月2日)。 https://www.fujifilm.com/jp/en/news/hq/12432

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
会社名・英文名・本社・設立・資本金・生産拠点・研究開発等拠点事実出典1 https://www.fujifilm.com/ffwk/ja/about/company-profile
1922年の発足から2018年の社名変更、2015年のシバヤギ子会社化、2019年のアイエスジャパン統合までの沿革事実出典2 https://www.fujifilm.com/ffwk/ja/about/history
連結売上高1,323億円、事業別売上高と構成比、連結従業員2,501人、試薬事業に培地・細胞培養試薬が含まれること事実出典4 https://asset.fujifilm.com/www/ffwk/files/2025-12/565ceafbf73f3d9052bc2990d7313753/250924-2_FFWK_company_profile_8P_EN_low.pdf
GMP準拠の添加剤3製品の発売時期(2023年5月・2025年4月・2026年1月)、価格、国内GMP工場での製造、品質試験、カスタムメイド品事実出典5 https://www.fujifilm.com/ffwk/ja/news/313
ICH-Q7準拠の管理内容(文書化・バリデーション・動物由来原料不使用)と CultureSure シリーズとの比較事実出典6 https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/03427.html
StemSure hPSC培地Δの特長、FUJIFILM Biosciences・R&D Systems の培地の販売、培地最適化サービス事実出典7 https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/pharmaceutical-raw-materials/category/culture-media.html
GMPクラスの特注培地の設備規模、連続粉砕・混合技術、OEM製造事実出典8 https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/00520.html
細胞培養の一連の工程で使う製品をまとめて扱うこと事実出典9 https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/lifescience/mammalian_cells/index.html
細胞シート再生医療推進機構の温度応答性培養皿の販売(細川洋行との共同開発製品と表示)事実出典10 https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/03314.html
富士フイルム和光バイオソリューションズが福島県立医科大学の構内にあること事実出典3 https://www.fujifilm.com/ffwk/ja/about/group
受託サービスの内容と、福島県立医科大学の研究センターが開発したがん細胞の特殊培養を使う抗がん剤評価、大学発ベンチャーという説明事実出典11 https://www.fujifilm.com/wkbs/ja/what-we-do
受託サービス子会社の設立(2019年2月)と抗がん剤評価サービスの開始(2019年4月)事実出典12 https://www.fujifilm.com/wkbs/ja/about/history
富士フイルムによる和光純薬工業の取得(2017年4月)と Irvine Scientific の買収(2018年6月)、LSソリューションの売上高1,432億円と増収要因事実出典13 https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-news/auto_20260624154900_S100YIBH/pdfFile.pdf
LSソリューションの2027年3月期見通し1,500億円(組み替え後の前期1,402億円)事実出典14 https://ir.fujifilm.com/ja/investors/ir-materials/earnings-presentations/main/01113/teaserItems5/0/linkList/0/link/ff_fy2025q4_001j.pdf
2025年6月のブランド変更で同社の社名は変わらず、FUJIFILM Biosciences とは別会社であること事実出典15 https://www.fujifilm.com/jp/en/news/hq/12432
細胞培養技術の3類型の区分(CDMO/サプライヤー/細胞治療)本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズの20社から例示
培地・培養試薬の売上高、GMP培地の製造工場名と能力拡張計画、GMP品の採用先、研究開発費、設備投資額未確定/将来出典1〜14に記載なし。本稿では推計しない https://asset.fujifilm.com/www/ffwk/files/2025-12/565ceafbf73f3d9052bc2990d7313753/250924-2_FFWK_company_profile_8P_EN_low.pdf
培地添加剤メーカーへの出資に関する富士フイルムの過去の発表未確定/将来本文を現在のURLで確認できなかったため、本稿では採用しない(解説)
研究用試薬の顧客を製造段階まで囲い込むという読み、グループ内の分担を前提にしているという読み推測製品構成と他社製品の販売からの本稿の解釈
細胞培養はまだ柱の一部にとどまるという読み、少量高付加価値の原材料を目指すという読み推測事業構成と公表価格からの本稿の解釈
再生医療の実用化の速度・グループ内の役割の重なり・他社製品への依存というリスク推測製品の用途と販売構成からの本稿の解釈
添加剤のロット差が最終製品の品質に影響するという見方、粉末培地の混合均一性の重要性未確定/将来本稿の技術的な解説であり、会社の公表内容ではない

最終更新:2026年9月24日/Troy Technical
本稿の数値はすべて富士フイルム和光純薬と富士フイルム和光バイオソリューションズの公式サイト・会社案内・ニュースリリース、および富士フイルムホールディングスの法定開示書類・決算説明会資料に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。