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Panasonic|全固体電池 企業解説

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COMPANY PROFILE / 全固体電池

パナソニック
― EVからではなく「105℃以上の産業用途」から入ると明言した電池メーカー

パナソニックの全固体電池は、事業会社のパナソニック エナジー株式会社が担っています。 この会社の立場がほかと違うのは、全固体電池をEVから始めないと公言していることです。 公式発信では、最初に狙うのは105℃以上の高温にさらされる産業用ロボットのバックアップ電池やタイヤ空気圧監視システムで、 しかも既存機器と互換性のある形(規格)から入り、液系の生産設備を転用すると説明しています。 2026年度中のサンプル出荷を視野に開発を進めているとも書かれています。 一方、上場会社であるパナソニック ホールディングスの有価証券報告書には、本稿で確認した限り全固体電池の記載が1か所もありません。

構成:パナソニック ホールディングスの2026年3月期 有価証券報告書(2026年6月19日提出)を数字の一次情報とし、全固体電池の内容はパナソニック エナジーおよびパナソニック ホールディングスの公式発信を使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるパナソニックと、全固体電池での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について(どの法人の話なのか)
  3. 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. 全固体電池にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は全固体電池で何を目指しているか
  9. 全固体電池分野の提携マッピング
  10. 採用している技術方式
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるパナソニックと、全固体電池での立ち位置

上場会社パナソニック
ホールディングス株式会社
東証プライム 6752
全固体電池の担当パナソニック
エナジー株式会社
大阪府守口市。100%子会社の事業会社
この分野での区分電池メーカー自動車メーカーでもスタートアップでもない
最初に狙う用途105℃以上の
高温環境
産業用ロボットのエンコーダ用、TPMSなど
参入のしかた既存機器と
互換性のある形から
液系の生産設備を転用できる
直近の目安2026年度中の
サンプル出荷
公式発信に「視野に」と記載
固体電解質セラミックス系耐熱性を重視。オキシハライド系の論文を発表
全固体電池の顧客公表なし採用先・供給契約ともに開示されていない
まず押さえるべき1点

全固体電池に取り組む企業は、大きく自動車メーカー・電池メーカー・スタートアップの3種類に分かれます。 パナソニックは電池メーカーです 事実。 テスラ向けの円筒形車載電池で知られていますが、自社で車を作るわけではないので、 全固体電池も採用されなければ売上になりません。

そのうえでこの会社の特徴は、全固体電池をEVの本命技術として語っていないことです。 公式発信は「液系リチウムイオン電池はこれからも性能向上の余地がある技術」としたうえで、 全固体電池を液系の延長線上にある『次の選択肢』と位置づけ、 特長が最も活きる用途から社会実装すると書いています 事実。 2027〜2028年のEV搭載を掲げるトヨタや、2027年・2029年の量産を掲げる韓国勢とは、 そもそも狙っている場所が違います。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:この記事には3つの法人が出てきます。 ①上場している持株会社のパナソニック ホールディングス株式会社(2022年4月にパナソニック株式会社から商号変更)、 ②電池の事業会社であるパナソニック エナジー株式会社、 ③トヨタ自動車との車載用角形電池の合弁会社プライム プラネット エナジー&ソリューションズ株式会社(2020年4月設立)。 全固体電池を担っているのは②で、材料の基礎研究は①のテクノロジー本部が担っています。

公式ニュースルーム:https://news.panasonic.com/jp//パナソニック エナジー公式オウンドメディア:https://energy-note.jpn.panasonic.com/

3. 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか

全固体電池に取り組む企業の3つの類型 同じ「全固体電池をやっている会社」でも、立場と狙いがまったく違う 自動車メーカー 電池メーカー スタートアップ 自社の車に載せるために作る 電池を売るために作る 技術を実証し出資を集める トヨタ/ホンダ/BMW 日産/VW/上汽 ほか パナソニック/CATL サムスンSDI/LG Energy Solution QuantumScape Factorial/Solid Power ほか 量産の出口を自分で持つ 複数の顧客に供給できる 量産設備を自前で持たない 失敗しても車は売れる 採用されないと売れない 資金が尽きると終わる パナソニックもこの真ん中。ただし狙う最初の出口はEVではなく、高温にさらされる産業用途 液系電池でトップ級の量産実績を持つ会社が、全固体電池では小さな用途から入ると明言している
図1 全固体電池に取り組む企業の3類型と、パナソニックの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う23社から例示しています 本稿の計算。パナソニック エナジーが最初に高温環境の産業用途を狙うことは同社の公式発信に基づきます。

4. 会社の規模

パナソニック ホールディングスは電池以外の事業も多く抱えているため、 グループ全体の数字と、電池を含む「エナジー」セグメントの数字を分けて示します 事実。 出典はいずれも2026年3月期の有価証券報告書です。

グループ連結(百万円)2024年3月期2025年3月期2026年3月期
売上高8,496,4208,458,1858,048,722
税引前利益425,239486,289263,109
親会社の所有者に帰属する当期純利益443,994366,205189,540
従業員数(人)228,420207,548183,685
エナジーセグメント(百万円)2025年3月期2026年3月期備考
売上高(セグメント間取引を含む)873,244984,245前年度比13%増
セグメント利益(営業利益ベース)120,18869,795車載は減収、データセンター向けが伸長
資本的支出508,915434,1026セグメント中で最大。北米新工場が中心
研究開発費―48,600グループ全体4,264億円のうちエナジー分
従業員数(人)―19,1892026年3月31日現在
2027年3月期の設備投資計画―238,000車載電池の新製品生産、北米新工場、AIインフラ関連
ここで注意

上の数字はエナジーセグメント全体のものです。 全固体電池の事業規模を示す数字ではありません。 パナソニックは全固体電池の売上・投資額・専任人員数をいずれも公表していません 未確定/将来。 エナジーの資本的支出4,341億円は、その大半が北米の車載用リチウムイオン電池工場に向かっています。

さらに重要なのは、有価証券報告書に「全固体電池」という語が1度も出てこないことです 事実。 法定開示に載っていないということは、会社が投資家に説明すべき重要な事業計画としては位置づけていない段階だということです。 本稿でも、全固体電池に関する内容はすべて公式サイト・公式オウンドメディアからの引用であり、 法定開示による裏づけがないことを明示しておきます。

5. 全固体電池にかけているリソース

金額と人数は非公表ですが、何をリソースとして投じているかは公式発信から読み取れます。 以下は4つの観点それぞれについて、一次情報で確認できたか/できなかったかを整理した表です。

リソースの種類内容区分
人(社内の担当)材料側はパナソニック ホールディングス テクノロジー本部 マテリアル応用技術センターが固体電解質の合成を担当。事業化はパナソニック エナジーが担う事実
人(人員数)全固体電池の専任人員数非公表
金(エナジーの研究開発費)2026年3月期 486億円(グループ全体4,264億円の一部)事実
金(全固体電池の内訳)全固体電池向けの研究開発費・設備投資額。有価証券報告書に該当の記載はない非公表
設備(研究開発拠点)2026年9月に大阪府門真市へEnergy Innovation Squareを開設。延床約24,500平方メートル、約500人。住之江の生産開発拠点(約300人)と合わせ約800人体制。ただし公表資料の位置づけはリチウムイオン電池の研究開発拠点であり、全固体電池専用とは書かれていない事実(用途の限定は確認できず)
設備(全固体電池の試作ライン)全固体電池専用のパイロットラインの有無・場所確認できず
外部への出資全固体電池関連のスタートアップ出資。有価証券報告書・公式発信ともに該当の記載はない記載なし
大学・研究機関との連携全固体電池に関する大学・公的研究機関との共同研究。固体電解質の論文は社内の研究者6名の連名で発表されており、外部機関との共同研究の記載は確認できなかった確認できず
素材技術者の視点:「既存の設備を転用できる」という条件の重さ

公式発信のなかで、技術者が最も重く受け止めるべき一文は 「液系の生産設備の転用が可能で設備投資額を抑制しつつ量産可能である」という参入理由です 事実。

全固体電池でいちばんお金がかかるのは材料ではなく設備です。 硫化物系を選べば、材料が水分と反応するため製造ラインをまるごと超低露点のドライルームに入れる必要があり、 強い加圧をかける工程も新しく作らなければなりません。 つまり新方式を選ぶほど、既存の電池工場は使えなくなります。

パナソニックはそこを逆に取って、 既存設備が使える範囲・既存の形(規格)に収まる範囲に狙いを絞ると宣言しました。 性能の上限は下がりますが、投資回収の読みが立ちます。 会社自身が「『作れる』よりも『使われる』に着目し、市場に必要な最大公約数の性能に絞る」と書いているのは、 このトレードオフを意識的に選んだという宣言です 未確定/将来。

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
30年以上前〜パナソニックグループとして固体電解質の研究に着手。固体電解質に関する特許出願数は世界トップクラスと説明研究の歴史そのものは競合より長いと主張している
2020年4月トヨタ自動車と車載用角形電池の合弁会社プライム プラネット エナジー&ソリューションズを設立液系の合弁。全固体電池の合弁ではない
2022年4月事業会社制へ移行し、パナソニック エナジー株式会社が発足。持株会社はパナソニック ホールディングス株式会社へ商号変更全固体電池の事業化を担う法人がここで生まれた
2023年2月17日ホールディングスの研究者らがオキシハライド系の新規固体電解質に関する論文を発表。リチウムイオン伝導度10 mS/cm超で世界最高クラスと説明(Angewandte Chemie International Edition)硫化物系ではなくセラミックス系で数字を出した
2026年5月28日パナソニック エナジーが公式オウンドメディアで全固体電池の実用化方針を公開。最初に狙う用途、参入のしかた、技術課題を明示(6月26日に互換性重視の内容へ一部見直し)EVからではなく高温の産業用途から入ると初めて体系的に説明した
2026年9月16日大阪府門真市にEnergy Innovation Squareを開設。材料開発・セル設計・試作を集約し、住之江の生産開発拠点と合わせ約800人体制。2031年3月期までに開発効率を2024年3月期比で2倍にする目標次世代電池の開発体制を物理的に1か所へ集めた

7. 今後の計画

サンプル出荷2026年度中を視野公式オウンドメディアの記載
最初の用途105℃以上の
高温環境
産業用ロボットのエンコーダ用、TPMS
形(フォームファクター)既存規格に適合置き換えやすさを最優先
開発効率2031年3月期に
2倍
2024年3月期比。全固体電池だけの目標ではない

会社は「製造時にバラツキを抑えやすいサイズから実績を積み、用途の評価とフィードバックを重ねながら、 段階的に社会実装を進めていくことが現実的なアプローチ」と書いています 事実。 小さいセルから始めるという方針が明示されている点が、他社と大きく違います。

確認できなかったこと

次はいずれも有価証券報告書・公式サイト・公式オウンドメディアに記載がありません 未確定/将来。

全固体電池の量産開始時期/量産工場の場所/生産能力/投資額/ 顧客と供給契約/価格/エネルギー密度や寿命の数値目標/専用パイロットラインの有無。 とくにEV向け全固体電池の時期は一切示されていません。 「パナソニックが○年にEV用全固体電池を量産」といった記述は報道や調査会社の推計に由来するものが多く、本稿では採用しません。

8. この会社は全固体電池で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
全固体電池は液系を置き換えるものではなく補うものと位置づけている「液系LIBはこれからも性能向上の余地がある技術」「全固体電池は液系電池の延長線上にある次の選択肢」という明文の記述事実
狙いは性能ではなく交換の手間という総コスト産業用ロボットのエンコーダ用電池を例に、電池が切れるたび設備を止めて点検・交換する費用が発生すると説明していること事実
EV向けは当面やらないという選択をしている「EVのように大量生産が求められる分野でいきなり適用するのではなく」という記述と、EV向けの時期がどこにも示されていないこと推測
材料の系統はセラミックス(酸化物・オキシハライド)中心ホールディングスの研究者が「耐熱性に優れる広義でのセラミックス」と述べ、オキシハライド系固体電解質の論文を出していること推測
この戦略は法定開示に載るほどの規模にはまだ達していない2026年3月期の有価証券報告書に全固体電池の記載が1か所もないこと推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

公式発信は、最初の用途として産業用ロボットのエンコーダ用バックアップ電池を挙げています 事実。 エンコーダは、機械の位置情報を保持して再起動時に正しく動作を再開させるための部品で、 その記憶を保つために小さな電池が入っています。 モーターのそばにあるので高温になり、液系電池だと寿命が短い。 電池が切れるたびにライン全体を止めて交換することになります。

ここで売れるのは「エネルギー密度の高い電池」ではなく 「10年替えなくていい電池」です。 つまりパナソニック エナジーの全固体電池は、 Wh/Lで競う土俵に最初から上がらない設計になっている、と本稿は読みます。 数値目標がエネルギー密度ではなく「耐熱温度」と「メンテナンス総コスト」で語られていることが、その裏づけです 未確定/将来。

9. 全固体電池分野の提携マッピング

パナソニックを中心とした全固体電池の関係 有価証券報告書・公式発信に記載のある関係のみ。記載が無い枠は破線で示している 顧客(採用する側) 材料サプライヤー 研究・材料開発 全固体電池専用ではない関係 パナソニック エナジー 電池メーカー 顧客(自動車・機器メーカー) 全固体電池の採用先は未公表 材料サプライヤー 全固体電池向けは未公表 パナソニックHD テクノロジー本部 セラミックス系固体電解質を研究 社外の大学・研究機関 共同研究の公表は確認できず 液系の合弁:プライムプラネットエナジー&ソリューションズ
図2 パナソニック エナジーを中心とした全固体電池まわりの関係。濃紺は採用する側の顧客、オレンジは材料サプライヤー、緑は研究・材料開発、グレーは全固体電池専用ではない関係です。実線で結べたのは社内のテクノロジー本部だけで、顧客・材料サプライヤー・社外研究機関はいずれも一次情報に記載が見つかりませんでした 未確定/将来。下段のプライム プラネット エナジー&ソリューションズはトヨタ自動車との車載用角形電池の合弁会社で、液系電池のためのものです。

10. 採用している技術方式

パナソニックは全固体電池の方式を「セラミックス」という言葉で説明しています 事実。 硫化物系という表現は、本稿で確認した公式発信には出てきません。

項目公表されている内容
固体電解質の系統「耐熱性に優れる広義でのセラミックス」と説明。2023年にはオキシハライド系で10 mS/cmを超えるリチウムイオン伝導度の新材料を論文発表
全固体電池の定義同社は電解質を完全に固体化したものだけを全固体電池と呼び、ゲル・ポリマーの準固体や固体+液体のハイブリッドは含めないと明記
技術課題1電極と固体電解質の界面設計。最難関の技術課題と位置づけ。材料選定だけでなく表面設計・構造設計まで含めた作り込みが鍵
技術課題2イオン伝導性の高い固体電解質の開発
製造セラミックスの積層プロセスの知見を活用。液系の生産設備を転用できる範囲に設計する
ねらう特性高い耐熱性(105℃以上)と長寿命。高温下でも安定して使えることを前面に出している
素材技術者の視点:セラミックスを選ぶと何が変わるのか

酸化物系やオキシハライド系のセラミックス電解質は、硫化物系と比べて 硬くて、水分に強く、熱に強いのが特徴です 未確定/将来。 105℃以上という要求に真正面から応えられるのはこちらの系統で、 パナソニックが高温用途を最初に選んだのは材料の性質と用途がそろっているからだと読めます。

代わりに難しいのが硬さです。 硫化物系なら加圧するだけで粒が変形して電極と密着しますが、セラミックスは変形しないので、 焼結や薄膜化といった別の手段で接触を作らなければなりません。 同社が「界面の設計が最難関」と言い、MLCC(積層セラミックコンデンサ)の積層プロセスの経験を引き合いに出しているのは、 この硬い材料を薄く重ねる技術をすでに量産規模で持っているからです。 つまりこの会社の勝ち筋は材料の新規性ではなくセラミックスを積んで焼く工程の蓄積にあります 未確定/将来。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
全固体電池の顧客がゼロ電池メーカーなので採用されて初めて事業になるが、採用先・供給契約はいずれも公表されていない未確定/将来
法定開示に載っていない有価証券報告書に全固体電池の記載が1か所もない。投資家向けの説明責任を伴う情報が存在しない事実
市場が小さい最初に狙うのは産業用ロボットのバックアップ電池やTPMSで、EV用電池に比べて1件あたりの数量が桁違いに小さい推測
EV向けで出遅れる可能性競合はEV向けに2027〜2029年の量産目標を掲げている。パナソニックはEV向けの時期を示していない推測
液系側の投資負担が大きいエナジーの資本的支出は2026年3月期で4,341億円、2027年3月期の計画も2,380億円。次世代技術へ回せる余力は北米工場の立ち上がり次第推測
エナジー事業の利益が減少セグメント利益は2025年3月期1,202億円から2026年3月期698億円へ。車載電池は減収事実

12. 用語集

全固体電池
電解質を液体ではなく固体にした電池。パナソニックは完全に固体化したものだけをこう呼ぶ。
準固体/半固体
電解質にゲルやポリマーを使う電池。全固体電池として紹介されることもあるが区別が必要。
オキシハライド
酸素とハロゲン(塩素・臭素など)を含む化合物。固体電解質材料の系統のひとつ。
mS/cm
イオンの通りやすさを表す単位。数字が大きいほど電気が流れやすい。
エンコーダ
機械の位置や回転を検出して記録するセンサー。データ保持にバックアップ電池を使う。
TPMS
Tire Pressure Monitoring System。タイヤ内の空気圧を監視する車載システム。
MLCC
積層セラミックコンデンサ。薄いセラミックスの膜を何層も重ねて作る電子部品。
有価証券報告書
日本の上場企業が金融商品取引法に基づき提出する年次の法定開示書類。監査済み。
概念図:高温の産業機械のなかで、既存の形のまま置き換わる小さな固体の電池AI生成の概念図
図3 パナソニックの全固体電池への取り組み方の概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. パナソニック ホールディングス 第119期(2026年3月期)有価証券報告書(2026年6月19日提出、EDINET)。連結売上高・税引前利益・当期純利益・従業員数・セグメント別の売上高/利益/資本的支出・研究開発費・設備投資計画・沿革・関係会社の状況。本稿で確認した限り全固体電池に関する記載はない。 https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100YETA.pdf
  2. パナソニック エナジー 公式オウンドメディア「パナソニック エナジーの最新技術―全固体電池の実用化に向けた『現実的なアプローチ』」(2026年5月28日公開、2026年6月26日更新)。全固体電池の位置づけ、最初に狙う用途(105℃以上の高温環境、産業用ロボットのエンコーダ用電池、TPMS)、既存機器との互換性を優先する参入方針、液系設備の転用、2つの技術課題、30年以上の固体電解質研究と特許出願数、2026年度中のサンプル出荷を視野に置いていること。 https://energy-note.jpn.panasonic.com/n/naba5e7551e05
  3. パナソニック ホールディングス テクノロジーサイト「全固体電池用の新規固体電解質材料に関して、『Angewandte Chemie International Edition』に論文発表」(2023年2月17日)。オキシハライド系固体電解質でリチウムイオン伝導度10 mS/cm超、著者は社内研究者6名。 https://tech.panasonic.com/jp/td/news/20230217.html
  4. パナソニック ホールディングス テクノロジーサイト Voice of Engineer「セラミックス材料・デバイスのエキスパート 全固体電池開発に挑む」。固体電解質の素材として耐熱性に優れる広義でのセラミックスを開発していること、テクノロジー本部 マテリアル応用技術センターが材料合成を担当すること、MLCCに代表される積層プロセスの知見。 https://tech.panasonic.com/jp/td/interview/voice_koga.html
  5. パナソニック 公式プレスリリース「Panasonic Energy Launches New Global Battery R&D Hub in Japan to Accelerate Development and Production for Automotive and Data Center Applications」(2026年9月16日)。門真のEnergy Innovation Square開設、延床約24,500平方メートル、約500人、住之江の生産開発拠点と合わせ約800人、2031年3月期までに開発効率2倍という目標。 https://news.panasonic.com/global/press/en260916-3

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
上場会社がパナソニック ホールディングスで、電池の事業会社がパナソニック エナジーであること事実出典1 https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100YETA.pdf
2024〜2026年3月期の連結売上高・税引前利益・当期純利益・従業員数事実出典1 https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100YETA.pdf
エナジーセグメントの売上高・利益・資本的支出・研究開発費486億円・従業員19,189人事実出典1 https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100YETA.pdf
2027年3月期のエナジー設備投資計画2,380億円未確定/将来出典1に記載の会社計画であり実績ではない https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100YETA.pdf
2020年4月のプライム プラネット エナジー&ソリューションズ設立、2022年4月の事業会社制移行事実出典1 https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100YETA.pdf
有価証券報告書に全固体電池の記載が1か所もないこと事実出典1の全文を確認した結果 https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100YETA.pdf
全固体電池を液系の延長線上の「次の選択肢」と位置づけていること事実出典2 https://energy-note.jpn.panasonic.com/n/naba5e7551e05
最初に狙うのが105℃以上の高温環境で、産業用ロボットのエンコーダ用電池とTPMSを例示していること事実出典2 https://energy-note.jpn.panasonic.com/n/naba5e7551e05
既存機器と互換性のある形から参入し、液系の生産設備を転用する方針事実出典2 https://energy-note.jpn.panasonic.com/n/naba5e7551e05
2026年度中のサンプル出荷を視野に置いていること未確定/将来出典2に「視野に」と記載された会社の見通し https://energy-note.jpn.panasonic.com/n/naba5e7551e05
技術課題が界面設計とイオン伝導性の高い固体電解質の2つであること事実出典2 https://energy-note.jpn.panasonic.com/n/naba5e7551e05
30年以上前から固体電解質を研究し、特許出願数が世界トップクラスという説明事実出典2 https://energy-note.jpn.panasonic.com/n/naba5e7551e05
オキシハライド系固体電解質で10 mS/cm超という論文発表(2023年2月)事実出典3 https://tech.panasonic.com/jp/td/news/20230217.html
固体電解質として耐熱性に優れるセラミックスを開発していること、担当がテクノロジー本部であること事実出典4 https://tech.panasonic.com/jp/td/interview/voice_koga.html
Energy Innovation Squareの開設・規模・人員・開発効率2倍の目標事実出典5 https://news.panasonic.com/global/press/en260916-3
Energy Innovation Squareがリチウムイオン電池の研究開発拠点と説明されていること事実出典5 https://news.panasonic.com/global/press/en260916-3
全固体電池の3類型の区分(自動車/電池/スタートアップ)本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズの23社から例示
全固体電池の売上・投資額・専任人員数未確定/将来いずれも非公表。本稿では推計もしない
全固体電池の量産時期・量産工場・生産能力・顧客・価格・エネルギー密度の目標未確定/将来出典1〜5に記載なし。報道ベースの数値は採用しない https://energy-note.jpn.panasonic.com/n/naba5e7551e05
全固体電池専用のパイロットラインの有無と場所未確定/将来出典1〜5に記載なし。存在しないとも断定しない https://news.panasonic.com/global/press/en260916-3
全固体電池に関する大学・研究機関との共同研究、スタートアップ出資未確定/将来出典1〜5に記載なし。存在しないとも断定しない https://tech.panasonic.com/jp/td/news/20230217.html
EV向けは当面やらないという選択をしているという読み推測EV向けの時期が示されていないことからの本稿の解釈
材料の系統がセラミックス中心であるという読み推測出典3・4の記述からの本稿の解釈
法定開示に載る規模に達していないという読み推測有価証券報告書に記載がないという本稿の観察
Wh/Lで競う土俵に最初から上がらない設計だという読み推測数値目標が耐熱温度とメンテナンス総コストで語られていることからの本稿の解釈
セラミックスの硬さと積層プロセスに関する解説推測固体電解質一般の性質と出典4の記述からの本稿の解説
市場が小さいこと、EV向けで出遅れる可能性、投資余力というリスク推測想定用途と設備投資額からの本稿の解釈

最終更新:2026年9月23日/Troy Technical
本稿の財務数値はすべてパナソニック ホールディングスが金融商品取引法に基づき提出した有価証券報告書に基づきます。全固体電池に関する内容は同報告書に記載がないため、パナソニック エナジーおよびパナソニック ホールディングスの公式サイト・公式オウンドメディア・公式プレスリリースを出典としています。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。