COMPANY PROFILE / 全固体電池
奇瑞汽車(Chery Automobile)
― 電池を自前で作る自動車メーカーが、2025年10月に「犀牛S 固体電池モジュール」を公表した
奇瑞汽車は2025年9月25日に香港取引所へ上場したばかりの会社です。 そのためこの分野では珍しく、電池の計画が法定開示(年次報告書・ESG報告書・目論見書)で読める状態にあります。 2025年のESG報告書には、「原位重合(in-situ polymerization)の固体電解質」「セルエネルギー密度600Wh/kg」「2027年に車両搭載試験を開始する計画」と明記されています。 本稿では自動車事業の規模は最小限にとどめ、この会社が電池をどう作り、何を目指し、どこが未確定なのかに絞ります。
- 30秒でわかる奇瑞汽車と、全固体電池での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(自動車事業は簡潔に)
- 全固体電池にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は全固体電池で何を目指しているか
- 全固体電池分野の提携マッピング
- 採用している技術方式
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかる奇瑞汽車と、全固体電池での立ち位置
(電池子会社あり)自社開発と外部調達の両方をやる
固体電池モジュール2025年10月18日に発表。量産品ではない
車両搭載試験を開始量産開始時期ではない点に注意
固体リチウム電池を研究目論見書に記載。大学名は非開示
全固体電池に取り組む企業は、大きく自動車メーカー・電池メーカー・スタートアップの3種類に分かれます。 奇瑞汽車はこのうち自動車メーカーです 事実。 ただし立ち位置はトヨタともNIOとも違い、3つの関与形態を同時にやっています。 ESG報告書は「独自の電池研究開発を深化させ続けている」と自社開発を明言する一方、 同じ段落で「世界の大手電池サプライヤーと広く協業している」と外部調達も認めています。 さらに目論見書の子会社一覧には、電池会社である安徽得壹能源科技有限公司が 連結子会社として載っています 事実。 つまり奇瑞汽車は「電池を買う会社」でも「電池を全部自分で作る会社」でもなく、その両方を持つ会社です。 全固体電池については自社開発の側に置いているのが、本稿で読み取れた姿です。
奇瑞汽車が公表した犀牛S(Rhino S)は、ESG報告書の英語版で 「solid-state battery module」、電解質は 「in-situ polymerization solid electrolyte(原位重合の固体電解質)」と記されています 事実。 しかし原位重合は、液体のモノマー(単量体)をセルに注いでから、セルの中で固めて高分子にする方法です。 この方法は半固体(準固体)電池でも広く使われており、 固め切れずに残る液体成分や可塑剤がどれだけあるかで、半固体にも全固体にもなります。 奇瑞汽車は残留する液体成分の有無を開示していません。 したがって本稿は、犀牛Sが全固体(液体ゼロ)なのか、半固体なのかを未確定として扱います 未確定/将来。 また600Wh/kgも2027年も、発表された目標値・予定であって実績ではありません。 2027年は「車両搭載試験の開始」であって、量産開始でも販売開始でもありません。
2. ロゴと社名の表記について

奇瑞汽車のロゴは同社の登録商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、
公式サイトから取得した正規のロゴ画像を img/chery_logo.png として設置しています。
表記の注意:法人名は中国語で奇瑞汽車股份有限公司、英文では Chery Automobile Co., Ltd. です。 日本語記事では「奇瑞汽車」「チェリー」「Chery」のいずれでも通じます。 紛らわしい点が2つあります。ひとつは、同じ「奇瑞」を名乗る 奇瑞控股集団(Chery Holding Group)は2025年1月20日の持分移転で上場会社の株を1株も持たなくなったこと。 年次報告書は「本公司には親会社も最終親会社も存在しない」と明記しています。 もうひとつは、奇瑞新能源汽車股份有限公司が上場会社の48.20%出資の子会社で、別法人であることです。 本稿では区別して表記します。
香港取引所の開示:https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0402/2026040203392.pdf3. 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
4. 会社の規模(自動車事業は簡潔に)
自動車事業そのものは本稿の主題ではないので、規模だけを押さえます 事実。金額はすべて人民元(RMB)で、為替換算はしていません。
| 指標(百万元) | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 2026年1〜6月 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 合計 | 269,897 | 300,287 | 143,280 |
| うち新エネルギー車(NEV) | 58,931 | 98,023 | 59,284 |
| 年度利益 | 14,334 | 19,507 | ― |
| 研究開発費 | 9,243 | 11,444 | 6,672 |
| 項目 | 2024年12月31日 | 2025年12月31日 | 2026年6月30日 |
|---|---|---|---|
| 従業員数(フルタイム) | 57,323 | 70,103 | 71,580 |
| 人件費(百万元) | 14,301 | 17,132 | 9,083 |
| 上場市場 | 未上場 | 香港取引所メインボード 9973 | 同左 |
上の数字は会社全体のものです。全固体電池の事業規模を示す数字ではありません。 奇瑞汽車は全固体電池に関する売上・投資額・専任人員数をいずれも個別には公表していません 未確定/将来。 もうひとつ注意が必要なのは、同じ会社の研究開発の数字が、資料によって違うことです。 年次報告書の「研究開発費(費用計上額)」は2025年で114億4,400万元ですが、 ESG報告書の「年間研究開発投資」は147億1,500万元です。 費用計上額と投資額(資産計上分を含む)は別物なので、混ぜて比べないでください。
5. 全固体電池にかけているリソース
ここが本稿でいちばん重要な章です。 自動車メーカーが全固体電池に関与する形態は、大きく(1) 自社開発、(2) 電池メーカーからの調達、(3) スタートアップへの出資の3つに分かれます。 奇瑞汽車はこのうち(1)と(2)を同時にやっており、(3)は連結子会社という形をとっています。
| 関与形態 | 奇瑞汽車の場合 | 一次情報での裏づけ | 区分 |
|---|---|---|---|
| (1) 自社開発 | 「独自の電池研究開発を深化」と明言。角形LFP・角形三元系・大型円筒三元系で進展。犀牛(Rhino)シリーズを自社ブランドで展開 | 2025年ESG報告書「純電動技術」の節 | 事実 |
| (2) 調達 | 世界の大手電池サプライヤーと広く協業。原材料の内訳に「電池セル」が明記されている | 2025年ESG報告書/年次報告書の棚卸資産・仕入先の記載 | 事実 |
| (3) 子会社 | 安徽得壹能源科技有限公司を連結子会社として保有。銅陵にも同系列の会社がある | 目論見書 附録VIの子会社一覧(外部株主の持分22.22%・11.11%、銅陵は49.02%) | 事実 |
| (4) 大学連携 | 中国のトップ大学と、固体リチウム電池のエネルギー密度の限界と法則を探る共同研究 | 目論見書「R&D Collaboration」の節。大学名は非開示 | 事実 |
そのうえで、手順どおり人・金・外部出資・大学連携の4点を一次情報で確認できたかどうか整理します。 「記載なし」も成果として書きます。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人(会社全体) | 中国国内の研究開発人員 20,366人(非製造部門の54%)。目論見書時点(2025年3月31日)では全体で14,400人超、うち約23%が修士以上 | 事実 |
| 人(電池の専任) | 電池・全固体電池の専任人員数 | 非公表 |
| 金(会社全体) | 年間研究開発投資 147億1,500万元(2025年)。費用計上額では114億4,400万元 | 事実 |
| 金(電池向け) | 上場時の手取金のうち約10.0%=8億4,410万香港ドルを「電動化技術と車両プラットフォーム」に充当。その用途に自社開発の高性能電池の量産と次世代電池技術の研究開発・商用化が明記されている | 事実(全固体電池単独の額は非公表) |
| 金(使用状況) | 2025年12月31日時点で、この枠の使用額は700万香港ドルにとどまる。全体の手取金101億2,860万香港ドルのうち使用済みは1億9,550万香港ドル | 事実 |
| 拠点 | 中国国内に蕪湖・合肥・上海の3拠点、海外にドイツ・スペイン・ブラジル・メキシコ・マレーシアの5拠点(2025年3月31日時点) | 事実 |
| 研究開発の枠組み | 開陽創新開放聯合体(産学連携の枠組み)と瑤光実験室(コア技術のプラットフォーム)の二層構造 | 事実 |
| 大学・研究機関との連携 | 2025年10月18日に開陽実験室戦略連盟を発足。今後3年で100億元の共同基金を投じ、100校を超える大学と深い共同研究を行うと公表 | 事実(全固体電池への配分は非公表) |
| 外部スタートアップへの出資 | 全固体電池スタートアップへの出資 | 確認できず |
| 特許 | 2025年の特許登録 3,452件、累計 23,074件。うち全固体電池関連の件数は区分されていない | 事実(内訳は非公表) |
目論見書の「重要な特許」一覧には、電池に関わる特許が2件だけ載っています 事実。 ひとつは奇瑞汽車自身が持つ電池パックの1次元熱モデル構築法(3Dと1Dの連成キャリブレーション)、 もうひとつが電池子会社の持つ被覆改質ナトリウムイオン層状正極材(2024年4月2日登録)です。
材料屋の目で見ると、この2件の組み合わせは奇瑞汽車の電池部門の実力の置きどころをよく表しています。 1次元熱モデルはパックの熱設計をシミュレーションで回すための道具で、 セル材料そのものではなくシステム側の技術です。 一方のナトリウムイオン正極材は、リチウムに頼らない安価な系を狙った材料技術です。 つまり会社が自前で押さえにいっているのは 「高エネルギー密度の最先端セル」ではなく「安く作れる系」と「パックとして安全に成立させる技術」だと読めます 未確定/将来。 600Wh/kgという犀牛Sの数字は、この重心とはかなり離れた場所にあります。 ここが本稿がもっとも注意して読んでいる点です。
6. これまでの取り組み
一次情報で日付まで確認できたものだけを並べます。 報道で語られる出来事は、会社自身の開示文書に記載がないため本稿の年表には入れていません。
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 1997年 | 奇瑞汽車が有限責任会社として設立 | 2025年時点で創業28年 |
| 2008年3月24日 | 株式会社(股份有限公司)に改組 | ― |
| 2010年4月22日 | 奇瑞新能源汽車股份有限公司を設立(現在は48.20%出資の子会社) | 新エネルギー車の事業体を分けた |
| 2024年1月 | 研究開発部門トップの高新華氏が安徽得壹能源科技の董事に就任 | 電池子会社が技術本体と直結していることが分かる |
| 2024年4月2日 | 電池子会社のナトリウムイオン層状正極材の特許が登録(CN202310326147.9) | 自社で電池材料の特許を持っている証拠 |
| 2025年1月20日 | 奇瑞控股集団が保有株を株主へ按分移転。親会社・最終親会社が存在しない状態に | 上場前の資本整理 |
| 2025年9月17日 | 目論見書を公表。中国のトップ大学と固体リチウム電池の共同研究をしていると記載 | 全固体電池に関する最初の法定開示 |
| 2025年9月25日 | 香港取引所メインボードに上場(9973)。H株2億9,739万7,000株を1株30.75香港ドルで発行 | 手取金は追加発行分を含め101億2,860万香港ドル |
| 2025年10月18日 | 奇瑞グローバルイノベーション大会(蕪湖)で「犀牛S 固体電池モジュール」を発表。同時に開陽実験室戦略連盟を発足 | 本稿の主題。ただし発表であって量産ではない |
| 2026年4月2日 | 2025年年次報告書とESG報告書を提出。会長声明で全固体電池を「注力する最先端コア技術」の筆頭に挙げる | 取り組みが経営方針として明文化された |
7. 今後の計画
車両搭載試験を開始量産開始でも販売開始でもない
100校超全固体電池だけの枠ではない
会長声明は2026年の方針として、 「全固体電池、AI大規模モデル、先進的なスマート運転といった最先端のコア技術に取り組む」と書いています 事実。 全固体電池が社長メッセージの技術項目で最初に挙げられている点は、会社の優先順位を示すものとして読めます。
次はいずれも、年次報告書・ESG報告書・目論見書・中間報告書のどこにも記載がありません 未確定/将来。
犀牛S固体電池の量産開始時期/搭載する車種/生産拠点/生産能力/販売価格帯/ 全固体電池向けの投資額/専任人員数/固体電解質に残る液体成分の有無/共同研究先の大学名。 また2026年の中間報告書(2026年6月30日まで)には全固体電池への言及がありません。 「奇瑞が◯年に全固体電池を量産する」といった数字は報道ベースのものが多く、本稿では採用しません。
8. この会社は全固体電池で何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 全固体電池は外販ではなく自社車への搭載が主目的 | 発表されたのは「モジュール」であり、2027年の予定も「車両搭載試験」。電池の外販に関する記載はない | 推測 |
| まず技術力の証明として出した色合いが強い | 発表の場がイノベーション大会で、飛行プラットフォームや人型ロボットと同列に並べられている。価格・数量の記載がない | 推測 |
| 量産の主役は当面リン酸鉄リチウム系のまま | ESG報告書の電池の記述は角形LFP・角形三元系・大型円筒三元系が中心で、実車搭載例として挙がるのは犀牛方型ブレード電池 | 事実 |
| 材料は自社でも押さえにいく方針 | 電池子会社がナトリウムイオン正極材の特許を自ら保有している | 推測 |
| 研究の難所は大学に投げている | 目論見書の共同研究内容が「エネルギー密度の限界と法則を探る」という基礎研究の言い方になっている | 推測 |
| 2027年は量産ではなく評価の年 | 会社自身が「initial vehicle integration testing(初期の車両統合試験)」と書いている | 事実 |
犀牛Sの位置づけを読むうえで決定的なのは、上場時の手取金の配分です 事実。 奇瑞汽車は101億2,860万香港ドルの手取金を7つの用途に割り振りましたが、 「電動化技術と車両プラットフォームの高度化」に充てたのは10億1,290万香港ドル(約10%)にすぎません。 しかもこの枠はハイブリッドエンジン・ハイブリッド変速機・電動モーター・シャシー技術・E/Eアーキテクチャと分け合うもので、 次世代電池はその中の1項目です。
一方で海外市場の拡大には20億2,570万香港ドル、 新エネルギー車のラインアップ拡充にも20億2,570万香港ドルが割かれています。 つまり調達資金の重心は「売る車を増やす」ほうにあり、「電池の素性を変える」ほうにはないのです。 ここから「犀牛Sは当面、量産計画というより技術的な旗印として扱われる」と読むのが自然だと本稿は考えます 未確定/将来。 2025年末までにこの枠から使われたのが700万香港ドルだけという事実も、この読みを支えます。
9. 全固体電池分野の提携マッピング
10. 採用している技術方式
奇瑞汽車は、全固体電池の技術方式を他社よりは具体的に開示しています。 ただし決定的な部分は伏せられています。公表されていることと、いないことを並べます。
| 項目 | 一次情報の記述 | 区分 |
|---|---|---|
| 製品名 | 犀牛S 固体電池モジュール(Rhino S solid-state battery module)。2025年10月18日に発表 | 事実 |
| 固体電解質の作り方 | 原位重合(in-situ polymerization)の固体電解質 | 事実 |
| 固体電解質の系統 | 硫化物系・酸化物系・ポリマー系などの区別 ― 明示なし(原位重合であることから高分子系を含むと読めるが、断定はできない) | 未確定 |
| 残留する液体成分 | 液体が一切残らないのか、可塑剤などが残るのか ― 記載なし | 未確定 |
| セルエネルギー密度 | 600Wh/kg。主流のリン酸鉄リチウム電池の3倍超と説明 | 事実(会社の発表値。第三者検証は確認できず) |
| 搭載時の航続 | 1,200〜1,300kmに達する見込み | 未確定/将来 |
| 時期 | 2027年に初期の車両統合試験を開始する計画 | 未確定/将来 |
| 量産中の電池(別物) | 角形LFP・角形三元系・大型円筒三元系。実車例は犀牛方型ブレード電池(風雲A9L、純電走行260km、総合航続2,000km超、30→80%充電が約14.5分) | 事実 |
原位重合(in-situ polymerization)は、液体のモノマーを電極の隙間まで染み込ませてから、熱や光で固めて高分子にする手法です 事実。 全固体電池で最大の難所は「固体の粉と固体の電解質を、面で密着させること」ですが、 原位重合はいったん液体として流し込むことでその難所を迂回します。 だから工程としては既存のリチウムイオン電池の設備に近く、量産に持ち込みやすいという大きな利点があります。
ただし同じ理由で、この手法は半固体・準固体電池でも最もよく使われる方法でもあります。 重合しきれなかったモノマーや、イオン伝導度を稼ぐために意図的に残す可塑剤・液体成分があれば、それは全固体ではありません。 奇瑞汽車はこの点を開示していないため、本稿は犀牛Sが全固体か半固体かを断定しません 未確定/将来。 なお600Wh/kgというセル密度は、現行の高エネルギー密度セル(300〜360Wh/kg級)の約2倍であり、 リチウム金属負極を使わなければ到達しにくい水準です。 会社は負極の材料について何も述べておらず、ここも未確定のままです。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 発表と量産の距離 | 公表されているのは「モジュールの発表」と「2027年の車両搭載試験」だけ。量産時期・搭載車種・生産能力がいずれも非公表 | 未確定/将来 |
| 全固体か半固体かが不明 | 原位重合の固体電解質としか書かれておらず、液体成分の有無が確認できない。外部から技術水準を評価できない | 未確定/将来 |
| 600Wh/kgの検証不能 | 会社の発表値であり、第三者による検証結果は開示されていない。サイクル寿命・安全性・コストのデータもない | 未確定/将来 |
| 上場したばかり | 2025年9月25日上場で、法定開示の蓄積が年次報告書1本分しかない。時系列で進捗を追う材料が乏しい | 事実 |
| 資金配分の薄さ | 上場手取金のうち電動化技術と車両プラットフォームに充てたのは約10%。しかも他の技術と分け合う枠であり、2025年末までの使用額は700万香港ドル | 事実 |
| 売上の主力が内燃機関車 | 2025年の乗用車売上2,723億5,200万元のうち内燃機関車が1,743億2,900万元。全固体電池の優先度が内燃機関事業の推移に左右されうる | 推測 |
| 親会社が存在しない | 2025年1月の持分移転により親会社も最終親会社もない。大型投資を支える単一の後ろ盾がない | 推測 |
| セルの外部依存 | 量産車のセルは大手電池サプライヤーから調達しており、全固体電池でも同じ構図になる可能性がある | 推測 |
12. 用語集
- 全固体電池
- 電解質を液体ではなく固体にした電池。電解液を一切使わない。
- 半固体電池
- 電解液の一部をゲル状・準固体の層に置き換えた電池。液が残るため全固体電池とは別物。
- 原位重合
- 液体のモノマーをセルに注いでから、セルの中で固めて高分子にする方法。in-situ polymerization。
- モノマー
- 高分子の材料になる小さな分子。つなげると樹脂になる。
- 可塑剤
- 樹脂を柔らかくするために加える成分。液体であることが多い。
- LFP
- リン酸鉄リチウム。ニッケルやコバルトを使わない安価な正極材。
- 三元系
- ニッケル・コバルト・マンガンなど3種類の金属を使う正極材。エネルギー密度が高い。
- 目論見書
- 上場時に投資家へ配る法定の説明書類。監査済みで法的責任を伴う。
AI生成の概念図13. 出典
- 奇瑞汽車 2025年 年次報告書(香港取引所提出、2026年4月2日)。売上収益・年度利益・研究開発費・従業員数・人件費・本社所在地・上場の経緯と手取金・手取金の使途と使用状況・親会社不在・子会社一覧・会長声明(全固体電池を最先端コア技術に挙げる記述)。 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0402/2026040203392.pdf
- 奇瑞汽車 2025年 環境・社会・ガバナンス(ESG)報告書(香港取引所提出、2026年4月2日)。犀牛S固体電池モジュールの発表日・原位重合の固体電解質・600Wh/kg・2027年の車両搭載試験・1,200〜1,300kmの見込み・自社電池研究開発の記述・外部電池サプライヤーとの協業・年間研究開発投資147億1,500万元・研究開発人員20,366人・特許件数・開陽実験室戦略連盟と100億元/100校超・犀牛方型ブレード電池の仕様。 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0402/2026040203570.pdf
- 奇瑞汽車 目論見書(香港取引所、2025年9月17日付)。中国のトップ大学との固体リチウム電池の共同研究・研究開発拠点と人員・研究開発支出の推移・開陽創新開放聯合体と瑤光実験室・手取金の使途の内訳・安徽得壹能源科技を含む子会社一覧・ナトリウムイオン正極材の特許・生産拠点。 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2025/0917/2025091700013.pdf
- 奇瑞汽車 2026年 中間報告書(香港取引所提出、2026年9月7日)。2026年1〜6月の売上収益・研究開発費・従業員数。全固体電池への言及がないことの確認にも使用。 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0907/2026090701305.pdf
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年9月23日/Troy Technical
本稿の数値はすべて奇瑞汽車が香港取引所に提出した法定開示書類に基づきます。金額は人民元(RMB)と香港ドル(HK$)のまま記載し、為替換算は行っていません。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。犀牛S固体電池モジュールが全固体か半固体かは、会社の開示からは判別できません。