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BMW|全固体電池 企業解説

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COMPANY PROFILE / 全固体電池

BMW
― 電池は作らず、スタートアップに出資して試作ラインだけを自社に引き込んだ自動車メーカー

全固体電池でBMWの名前が挙がるのは、米国のスタートアップSolid Powerと 2016年から組み、2021年には出資まで行い、 2025年5月にBMW i7の技術実証車に大型の全固体電池セルを載せて実際に走らせたからです。 ただしBMW自身は電池セルの量産設備を持たず、パルスドルフの拠点にあるのは研究開発用の試作ラインです。 本稿では自動車事業の規模は最小限にとどめ、全固体電池に何を投じ、誰と組み、何を目指しているかに絞ります。

構成:BMW Group Report 2025(年次報告書)、BMW Group公式プレスリリース、およびSolid Power社が米国SECに提出したForm 10-K・委任状説明書を一次情報として使用/最終更新 2026年9月

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるBMWと、全固体電池での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模(自動車事業は簡潔に)
  5. 全固体電池にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は全固体電池で何を目指しているか
  9. 全固体電池分野の提携マッピング
  10. 採用している技術方式
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるBMWと、全固体電池での立ち位置

正式名称Bayerische Motoren
Werke AG
日本語では「BMW」で通る
本社ドイツ・ミュンヘン公式資料の表記は München
上場フランクフルト
ミュンヘン
ISIN DE0005190003
この分野での区分自動車メーカー
(出資型)
電池は作らず、出資と共同開発で確保
出資先Solid Power
(米・Nasdaq: SLDP)
2021年5月のシリーズBに参加
実証済みのことi7に搭載して
ミュンヘンで走行
2025年5月に公表
自社設備試作ラインのみ
(パルスドルフ)
研究開発ライセンスに基づく
量産の目標時期公表なし「量産に向けた長期目標」とのみ記載
まず押さえるべき1点

全固体電池に取り組む企業は、大きく自動車メーカー・電池メーカー・スタートアップの3種類に分かれます。 BMWはこのうち自動車メーカーですが、トヨタやホンダのように電池を内製するのではなく、 スタートアップに出資し、共同開発契約と研究開発ライセンスで技術にアクセスするという形をとっています 事実。 この違いは重要です。内製型は自社の判断だけで開発の速度を決められますが、 出資型は相手の進捗に自社の計画が縛られます。 実際、BMWが2025年10月にSamsung SDIを加えた3社体制に組み替えたのは、 電解質を作るスタートアップと、セルを量産できる電池メーカーと、車に載せる自動車メーカーを 1つの契約でつなぎ直す動きだと読めます。BMWはこの構図のいちばん下流にいます。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft(BMW AG)。 全固体電池の契約当事者は文書によってBMW AGだったりBMW of North America, LLCだったり BMW Holding B.V.(出資を持つオランダの持株会社)だったりします。 本稿では、出資と共同開発の主体が分かれている点が重要なので、必要な箇所では法人名を書き分けます。

公式サイト:https://www.bmwgroup.com/en/report/2025/index.html

3. 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか

全固体電池に取り組む企業の3つの類型 同じ「全固体電池をやっている会社」でも、立場と狙いがまったく違う 自動車メーカー 電池メーカー スタートアップ 自社の車に載せるために作る 電池を売るために作る 技術を実証し出資を集める BMW/トヨタ/ホンダ VW/Stellantis/日産 ほか CATL/Samsung SDI LG Energy Solution/SK On QuantumScape Factorial/Solid Power ほか 量産の出口を自分で持つ 複数の顧客に供給できる 量産設備を自前で持たない 失敗しても車は売れる 採用されないと売れない 資金が尽きると終わる BMWもこの左端だが、電池そのものは作らず、右端のスタートアップに出資して技術を取りに行っている 自社ではパルスドルフに試作ラインを持つが、セルの量産設備は持っていない
図1 全固体電池に取り組む企業の3類型と、BMWの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う23社から例示しています 本稿の計算。BMWがSolid Powerに出資し、試作ラインを研究開発ライセンスに基づいて設置していることは同社プレスリリースの記載に基づきます。

4. 会社の規模(自動車事業は簡潔に)

自動車事業そのものは本稿の主題ではないので、規模だけを押さえます 事実。

指標(百万ユーロ)2024年12月期2025年12月期
売上高142,380133,453
研究開発費9,0788,319
設備投資9,0567,237
税引前利益10,97110,236
項目内容
従業員数159,104人(2024年12月31日)→ 154,540人(2025年12月31日)
本社ドイツ・ミュンヘン
上場市場フランクフルトおよびミュンヘン(ISIN DE0005190003)。優先株は2026年6月30日を最終売買日として普通株に転換済み
BEV販売台数442,056台(2025年、前年比+3.6%)。全販売の17.9%
ここで注意

上の数字は会社全体のものです。全固体電池の事業規模を示す数字ではありません。 BMWは全固体電池に関する投資額・専任人員数・売上のいずれも公表していません 未確定/将来。 研究開発費83億1,900万ユーロのうち全固体電池がいくらかも開示されていません。 この分野でのBMWの関与を金額で測れる唯一の手がかりは、出資先であるSolid Power側が米国SECに提出した書類です。 次章ではそれを使いますが、出所が相手方の開示である点は明記します。

5. 全固体電池にかけているリソース

BMW自身の開示は「誰と、いつから、何をしているか」までで、金額と人数は出していません。 一方、出資先のSolid Powerは米国上場企業なので、BMWから受け取った金額や、BMWの持分が法定開示書類に書かれています。 本稿では両方を並べ、どちらの開示によるものかを毎回明記します。

リソースの種類公表されている内容区分
外部への出資(時期)BMW Holding B.V.が、Solid PowerのシリーズB(2021年5月クローズ)に参加。BMW側は「シリーズB投資ラウンドの主導的投資家」と発表(Fordおよび Volta Energy Technologiesと並ぶ)事実
外部への出資(金額)BMWが出した金額はBMW側・Solid Power側のどちらも開示していない。公表されているのはラウンド全体の規模で、BMW発表は1億3,000万ドル、Solid Powerの10-Kは1億3,560万ドルと記載BMW拠出分は非公表
外部への出資(持分)Solid Powerの委任状説明書(2025年4月提出)で、BMW Holding B.V. が10,488,518株・5.8%を保有する5%超株主として記載。2026年4月提出分では5%超株主の一覧にBMWの名前がない事実(Solid Power側の開示)
外部への出資(ガバナンス)BMW Holdingは取締役1名の指名権と取締役会オブザーバー権を持つ。BMWのSVP Corporate InvestmentsであるDr. Rainer Feurerが2021年5月からSolid Power取締役事実(Solid Power側の開示)
ライセンス料の支払い研究開発専用ライセンスの対価として、BMWはSolid Powerに2,000万ドルを2022年12月〜2025年6月にマイルストーン達成に応じて支払済み事実(Solid Power側の開示)
材料の購入2025年にBMWがセル材料・電解質の購入としてSolid Powerに支払った額は34万4,000ドル(Solid Powerが認識した売上は18万9,000ドル)事実(Solid Power側の開示)
自社の設備パルスドルフのCell Manufacturing Competence Center(CMCC)に、Solid Powerの研究開発ライセンスに基づく全固体電池の試作ラインを設置。CMCC自体は約1億7,000万ユーロ・約15,000m²・約80人だが、この数字はGen6円筒セルを含むCMCC全体のもの事実
人(専任人員)全固体電池の専任人員数非公表
大学・研究機関との連携全固体電池に関する大学との共同研究は、BMWの公式資料で確認できなかった確認できず
素材技術者の視点:2,000万ドルのライセンス料が意味すること

BMWがSolid Powerに払った2,000万ドルは、電池を買う代金でも出資でもなく、 「自分の工場で試作ラインを組む権利」への対価です 事実。 ライセンスは研究開発用に限定されており、商用のセル生産には使えないと明記されています。 つまりBMWは、相手の設計図をもとに自社でラインを立ち上げ、 工程をいじりながら学ぶ権利を買ったことになります。

これは出資型の自動車メーカーが取れる最も踏み込んだ形です。 電池を買うだけなら、工程のどこが効いているのかは永久に分かりません。 硫化物系の全固体電池はとくに、乾燥環境・加圧条件・積層精度といった 「材料表に書けない条件」が性能を左右します。 そこを自社で触れるようにしておかないと、量産段階で相手の言い値を検証できません。 ただし、この権利は量産には使えないので、 最終的には別途ライセンス契約か、Samsung SDIのような量産できる相手が必要になります 未確定/将来。

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
2016年BMWとSolid Powerの関係が始まる(当初はセルの研究開発)この分野の自動車メーカーとしてはかなり早い
2017年7月1日固体電池セル技術の共同開発契約(JDA)を締結契約当事者はBMW of North America, LLC
2021年5月BMW Holding B.V.がシリーズBに参加。同時にJDAを拡張。BMW発表では「100Ahセルを2022年から受領」「2025年よりかなり前にデモ車両」「10年代末までに車載可能な全固体電池」出資と開発契約をセットで結んだ転機
2022年秋パルスドルフにCMCCを開設(約1億7,000万ユーロ、約15,000m²、約80人)。当初の目的はNeue Klasse用Gen6円筒セルの試作全固体電池専用の施設ではない
2023年1月20日JDAを拡張し研究開発ライセンスを追加。これによりBMWはCMCCに全固体電池の試作ラインを設置できるようになった対価2,000万ドルは2022年12月から支払開始
2025年5月20日BMW i7の技術実証車にSolid Powerの大型全固体電池セルを搭載し、ミュンヘン周辺で走行中と公表Solid PowerのCEOは「真の全固体電池セルを車両で走らせた最初の実証」と発言
2025年10月27日
(契約締結。発表は10月31日)
Samsung SDIが加わり3社体制へ。共同評価契約(Joint Evaluation Agreement)を締結。Solid Powerが電解質を供給し、Samsung SDIがセパレータ/カソライトに加工してセルを作り、BMWと合意した性能要件で評価する量産できる相手を後から加えた

7. 今後の計画

次の目標次世代の
評価用車両
3社の共同評価契約で目指すもの
量産時期公表なし「量産に向けた長期目標」とのみ記載
量産する主体未定BMWは量産設備を持たない
当面のEV用電池Gen6 円筒セル全固体電池ではない。Neue Klasse用

BMWが現在売っている電気自動車に載っているのは全固体電池ではありません 事実。 Neue Klasse(BMW iX3など)に使われるのは第6世代(Gen6)の円筒形リチウムイオンセルで、 BMWは体積エネルギー密度20%以上の向上、充電時間の最大30%短縮、最上位モデルで航続最大30%向上を掲げています。 全固体電池は、この液系の進化とは別の線で走っている長期テーマです。

確認できなかったこと

次はいずれもBMWの公式資料に記載がありません 未確定/将来。

全固体電池の量産開始時期/搭載する車種/量産を担う会社/ セルのエネルギー密度・容量(Ah)の実測値/i7実証車の航続距離/ BMWがSolid Powerに出した出資額/全固体電池向けの投資額と人員。 2021年の発表にあった「10年代末までに車載可能な全固体電池」という表現は、 その後の発表では時期を示さない「長期目標」に置き換わっています。 報道ベースの量産時期は本稿では採用しません。

8. この会社は全固体電池で何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
BMWは全固体電池を自社で作る気がないライセンスは研究開発専用で商用生産に使えないと明記。量産の担い手としてSamsung SDIを加えた推測
狙いは技術の目利きができる状態を保つこと2,000万ドルを払って自社に試作ラインを引き込み、i7で車両統合まで自前で行っている推測
この技術に賭けてはいない自社の言葉で「technology-open mindset(技術に対して開かれた姿勢)の好例」と説明。同時にGen6液系を量産投入している事実
難所をセルではなくパックだと考えている実証で検証している項目として、セルの膨張管理・動作圧力の制御・温度条件の調整を挙げている推測
当面の全固体電池は上位モデル向けになる可能性が高い実証車に選んだのが最上位セダンのi7であり、量販車ではない推測
出資は情報を取るための席代でもある取締役1名の指名権とオブザーバー権を確保している(Solid Power側の開示)推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

BMWが実証で見ている項目として公表しているのは、 セルの膨張管理・動作圧力の制御・温度条件の調整の3つです 事実。 これはいずれもセル単体ではなくパックの設計課題です。 硫化物系の全固体電池は、充放電のたびに電極が膨らんだり縮んだりし、 界面の接触を保つために外から一定の圧力をかけ続ける必要があります。 液系の電池では、セルを箱に並べてボルトで締めれば済みました。 全固体電池では、圧力を保つ機構そのものが重さと体積を食うため、 セル単体のエネルギー密度が上がってもパックでは相殺されかねません。

i7に積んだ実証電池が「Gen5の構成原理(角形セルをモジュールに)を踏襲しつつ、 全固体電池セル用に新しいモジュール構想を組み合わせた」と説明されているのは、まさにここです。 BMWはセルの中身ではなく、セルを車に載せる部分を自社の仕事だと定義していると読めます 未確定/将来。

9. 全固体電池分野の提携マッピング

BMWを中心とした全固体電池の提携関係 BMW公式発表とSolid PowerのSEC提出書類に記載のある関係のみ。報道ベースの関係は含まない BMW 自動車 Solid Power(スタートアップ) 米Nasdaq上場・硫化物系電解質 出資5.8%(2025年3月時点) Samsung SDI(電池メーカー) 2025年10月 共同評価契約 電解質の供給を受けてセルを試作 CMCC パルスドルフ(社内) 全固体電池の試作ラインを設置 Solid Powerの研究開発ライセンス BMW i7 技術実証車 2025年5月・ミュンヘン周辺で走行 Solid Powerの大型セルを搭載 出資:BMW Holding B.V. が2021年5月のシリーズBに参加 金額は非公表。持分5.8%はSolid Power側のSEC提出資料による 共同開発・共同評価(実線) 自社の設備・車両(実線) 出資(点線)
図2 BMWを中心とした全固体電池の提携関係。Solid Powerとは出資(点線)と共同開発(実線)の両方でつながっています。出典:BMW Group公式プレスリリース(2021年5月3日・2023年1月20日・2025年5月20日・2025年10月31日)およびSolid Power社のForm 10-K・委任状説明書。持分5.8%と2,000万ドルのライセンス料はSolid Power側の開示によるもので、BMW自身はこれらの数字を公表していません。

10. 採用している技術方式

BMWが載せているのはSolid Powerの方式です。BMW自身がセルの材料を設計しているわけではありません 事実。

項目公表されている内容
固体電解質硫化物系。BMWのプレスリリースに「sulfide-based」と明記
セルの種類大型・純粋な全固体電池セル(large-format, pure ASSB cells)。Solid Powerが開発・製造
モジュール構成Gen5の構成原理(角形セルをモジュールに収める)を踏襲しつつ、全固体電池セル用の新しいモジュール構想を組み合わせた
実証で見ている項目セルの膨張管理、動作圧力の制御、温度条件の調整
期待する効果現行技術と比べ、非常にコンパクトな蓄電系で、より高いエネルギー密度
3社体制での分担Solid Powerが硫化物系固体電解質を供給 → Samsung SDIがセパレータ/カソライトに加工してセルを製造 → BMWと合意した性能要件でSamsung SDIが評価
数値の開示エネルギー密度・容量(Ah)・航続距離の絶対値はいずれも非開示
素材技術者の視点:「純粋な(pure)全固体電池」という言い方

BMWとSolid Powerがわざわざ「pure ASSB」と書いているのには理由があります 未確定/将来。 全固体電池を名乗る製品には、実際には少量の液体やゲル状の成分を界面に残しているものがあります。 界面の接触を液体に助けてもらうと、性能は出しやすく、加圧の要求も緩くなります。 一方で、可燃性の有機溶媒が残るので安全性の利点は薄れ、 「全固体」を名乗る意味も薄れます。

「純粋な」と付けるのは、そうした助けを使っていないという主張です。 そのぶん、界面の接触は圧力と粉の作り込みだけで確保する必要があり、 BMWが実証で動作圧力の制御を見ているのはその帰結です。 この用語の使い分けは、他社の発表を読むときの見分け方としても使えます 本稿の計算。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
相手の存続に依存するSolid Powerは開発段階の上場スタートアップで、電解質の外販と提携料が主な収入。資金が続かなければBMWの計画も止まる推測
契約が非独占Solid Powerの契約はすべて非独占で、SK Onなど他社とも並行して組んでいる。BMWが先行できる保証はない事実
解約条項がある2024年9月の契約修正で、BMWは2025年12月31日以降、一定の場合に解約権を持つとSolid Powerが開示している事実(Solid Power側の開示)
量産の担い手が未確定研究開発ライセンスは商用生産に使えない。Samsung SDIとの契約は現時点では「評価」の枠組み未確定/将来
目標時期が後退している2021年には「10年代末までに車載可能な全固体電池」と明示していたが、直近の発表では時期を示していない推測
自社の液系が競合になるGen6円筒セルでエネルギー密度20%以上・充電30%短縮・航続最大30%向上を実現している。全固体電池が選ばれる条件は社内でも厳しい推測
検証材料が相手側にしかないBMWは全固体電池の金額・人員を一切開示せず、数値はSolid Powerの開示に頼るしかない。相手が非上場になれば情報が途絶える未確定/将来

12. 用語集

全固体電池(ASSB)
電解質を液体ではなく固体にした電池。All-Solid-State Battery の略。
硫化物系固体電解質
硫黄を含む固体電解質。柔らかくイオンが動きやすいが、水分に弱い。
カソライト
正極の中に混ぜ込む固体電解質。正極活物質どうしの隙間でイオンを運ぶ。
JDA
Joint Development Agreement。共同開発契約。成果物や知的財産の帰属を定める。
研究開発ライセンス
相手の技術を研究開発目的に限って使える権利。商用生産には使えない。
CMCC
Cell Manufacturing Competence Center。BMWがパルスドルフに持つ電池セル試作拠点。
Gen6
BMWの第6世代電池。Neue Klasse向けの円筒形リチウムイオンセルで、全固体電池ではない。
委任状説明書(DEF 14A)
米国上場企業が株主総会前にSECへ提出する書類。5%超株主の持分が記載される。
概念図:自動車メーカーが電池を作らず、出資と試作ラインを通じて外部の技術にアクセスする構図AI生成の概念図
図3 BMWの全固体電池への関わり方の概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。

13. 出典

  1. BMW Group BMW Group Report 2025(年次報告書オンライン版・損益計算書)。売上高・税引前利益・当期純利益。 https://www.bmwgroup.com/en/report/2025/financial-statements/income-statement/index.html
  2. BMW Group プレスリリース「Stable Group earnings thanks to consistent strategy」(2025年通期決算)。売上高・研究開発費・設備投資・従業員数154,540人・BEV販売442,056台。 https://www.press.bmwgroup.com/usa/article/detail/T0456226EN_US/stable-group-earnings-thanks-to-consistent-strategy-bmw-group-on-track?language=en
  3. BMW Group プレスリリース(2024年通期決算)。2024年12月31日時点の従業員数159,104人・2024年の売上高・研究開発費・設備投資。 https://www.press.bmwgroup.com/usa/article/detail/T0448891EN_US/forward-momentum-through-technology-openness-strong-product-line-up-and-neue-klasse:-bmw-group-on-track-for-growth-in-2025?language=en
  4. BMW Group プレスリリース「BMW Group and Solid Power are testing all-solid-state battery cells in a BMW i7」(2025年5月20日)。i7実証車・硫化物系・大型純粋ASSBセル・Gen5構成原理・膨張管理/動作圧力/温度条件。 https://press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0450240EN/bmw-group-and-solid-power-are-testing-all-solid-state-battery-cells-in-a-bmw-i7?language=en
  5. BMW Group プレスリリース「BMW Group and Solid Power take next step in ASSB development path: new partner Samsung SDI joins the effort」(2025年10月31日)。3社体制・Samsung SDIの役割・研究開発ライセンスに基づく試作ライン。 https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0453689EN/bmw-group-and-solid-power-take-next-step-in-assb-development-path:-new-partner-samsung-sdi-joins-the-effort
  6. BMW Group プレスリリース「BMW Group strengthens leadership position in battery technology with investment in solid-state innovator Solid Power」(2021年5月3日)。シリーズBへの参加・100Ahセル・デモ車両と車載可能化の時期。 https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0331495EN/bmw-group-strengthens-leadership-position-in-battery-technology-with-investment-in-solid-state-innovator-solid-power?language=en
  7. BMW Group プレスリリース「BMW Group and Solid Power deepen joint development partnership」(2023年1月20日)。研究開発ライセンスの追加とCMCCへの試作ライン設置。 https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0407744EN/bmw-group-and-solid-power-deepen-joint-development-partnership?language=en
  8. BMW Group プレスリリース「Expertise built into every cell: BMW Group produces battery cell samples in Parsdorf」(2023年10月26日)。CMCCの投資額約1億7,000万ユーロ・約15,000m²・約80人・Gen6円筒セルの性能目標。 https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0437931EN/expertise-built-into-every-cell:-bmw-group-produces-battery-cell-samples-in-parsdorf?language=en
  9. Solid Power, Inc. Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025(米国SEC提出、2026年2月25日)。BMWとの関係の経緯・シリーズB規模1億3,560万ドル・2,000万ドルのライセンス料・2025年の材料購入34万4,000ドル・解約権・非独占契約・共同評価契約。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1844862/000110465926019435/sldp-20251231x10k.htm
  10. Solid Power, Inc. 委任状説明書 DEF 14A(米国SEC提出、2025年4月10日)。BMW Holding B.V.の保有株式数10,488,518株・持分5.8%。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1844862/000110465925033501/tm252503-2_def14a.htm
  11. BMW Group 投資家情報「BMW Group Stock Shares」。上場市場・ISIN・優先株の普通株転換。 https://www.bmwgroup.com/en/investor-relations/bmw-shares.html
  12. Solid Power, Inc. Form 8-K(米国SEC提出、2025年10月30日)。2025年10月27日にSolid Power・BMW AG・Samsung SDIの3社が共同評価契約(Joint Evaluation Agreement)を結んだこと、各社の役割。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1844862/000110465925104388/tm2529523d1_8k.htm

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
売上高・税引前利益(2024年・2025年12月期)事実出典1 https://www.bmwgroup.com/en/report/2025/financial-statements/income-statement/index.html
研究開発費8,319百万ユーロ・設備投資7,237百万ユーロ・従業員154,540人・BEV販売442,056台(2025年)事実出典2 https://www.press.bmwgroup.com/usa/article/detail/T0456226EN_US/stable-group-earnings-thanks-to-consistent-strategy-bmw-group-on-track?language=en
従業員159,104人・研究開発費9,078百万ユーロ・設備投資9,056百万ユーロ(2024年)事実出典3 https://www.press.bmwgroup.com/usa/article/detail/T0448891EN_US/forward-momentum-through-technology-openness-strong-product-line-up-and-neue-klasse:-bmw-group-on-track-for-growth-in-2025?language=en
i7技術実証車への搭載とミュンヘン周辺での走行(2025年5月)事実出典4 https://press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0450240EN/bmw-group-and-solid-power-are-testing-all-solid-state-battery-cells-in-a-bmw-i7?language=en
硫化物系であること、大型の純粋ASSBセルであること、Gen5構成原理+新モジュール構想事実出典4 https://press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0450240EN/bmw-group-and-solid-power-are-testing-all-solid-state-battery-cells-in-a-bmw-i7?language=en
実証で見ている項目(膨張管理・動作圧力・温度条件)と「技術に開かれた姿勢」という自己説明事実出典4 https://press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0450240EN/bmw-group-and-solid-power-are-testing-all-solid-state-battery-cells-in-a-bmw-i7?language=en
Samsung SDIが加わった3社体制と各社の役割(2025年10月)事実出典5 https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0453689EN/bmw-group-and-solid-power-take-next-step-in-assb-development-path:-new-partner-samsung-sdi-joins-the-effort
2021年5月のシリーズB参加、100Ahセル受領、デモ車両と車載可能化の時期に関する当時の表現事実出典6 https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0331495EN/bmw-group-strengthens-leadership-position-in-battery-technology-with-investment-in-solid-state-innovator-solid-power?language=en
研究開発ライセンスの追加とCMCCへの全固体電池試作ライン設置(2023年1月)事実出典7 https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0407744EN/bmw-group-and-solid-power-deepen-joint-development-partnership?language=en
CMCCの投資額約1億7,000万ユーロ・約15,000m²・約80人、Gen6円筒セルの性能目標事実出典8 https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0437931EN/expertise-built-into-every-cell:-bmw-group-produces-battery-cell-samples-in-parsdorf?language=en
2016年からの関係、2017年7月1日のJDA、シリーズB規模1億3,560万ドル、2,000万ドルのライセンス料、2025年の材料購入34万4,000ドル、非独占、解約権事実(相手方の開示)出典9 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1844862/000110465926019435/sldp-20251231x10k.htm
BMW Holding B.V.の持分5.8%(10,488,518株)と取締役指名権・オブザーバー権事実(相手方の開示)出典10 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1844862/000110465925033501/tm252503-2_def14a.htm
上場市場・ISIN・優先株の普通株転換事実出典11 https://www.bmwgroup.com/en/investor-relations/bmw-shares.html
3社の共同評価契約の締結日(2025年10月27日)事実(相手方の開示)出典12 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1844862/000110465925104388/tm2529523d1_8k.htm
全固体電池の3類型の区分(自動車/電池/スタートアップ)本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズの23社から例示
BMWが出したSolid Powerへの出資額未確定/将来BMW・Solid Powerのいずれも非公表。本稿では推計もしない
全固体電池向けの投資額・専任人員数未確定/将来BMWは非公表。本稿では推計もしない
全固体電池の量産時期・搭載車種・量産主体・セルのエネルギー密度と容量の絶対値未確定/将来出典1〜11に記載なし。報道ベースの数値は採用しない https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0453689EN/bmw-group-and-solid-power-take-next-step-in-assb-development-path:-new-partner-samsung-sdi-joins-the-effort
全固体電池に関する大学・研究機関との共同研究未確定/将来BMWの公式資料で確認できず。本稿では存在しないとも断定しない https://www.bmwgroup.com/en/report/2025/financial-statements/income-statement/index.html
自社で全固体電池を作る気がないという読み推測ライセンスの用途制限とSamsung SDI追加からの本稿の解釈
狙いが技術の目利きを保つことにあるという読み推測ライセンス料の支払いと試作ライン設置からの本稿の解釈
難所をセルではなくパックだと考えているという読み推測実証項目が膨張・圧力・温度であることからの本稿の解釈
当面は上位モデル向けになるという読み推測実証車がi7であることからの本稿の解釈
出資が情報を取るための席代でもあるという読み推測取締役指名権・オブザーバー権からの本稿の解釈
「pure ASSB」という表記が界面に液体を使っていない主張だという解説推測全固体電池の一般的な分類に関する本稿の解説
相手の存続への依存、目標時期の後退、自社液系との競合というリスク推測提携構造と発表内容の変化からの本稿の解釈

最終更新:2026年9月23日/Troy Technical
本稿の数値はすべてBMW Groupの年次報告書・公式プレスリリース・投資家情報、およびSolid Power社が米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。