主要成果
中国科学技術大学の研究チームは、大気中の湿度に左右されず、ブレード塗布法を用いて高効率なペロブスカイト太陽電池を製造する手法を開発しました。特筆すべきは、外部機関による認証で26.1%という高いエネルギー変換効率を達成した点です。この成果は、SAMs(自己組織化単分子膜)、ペロブスカイト吸収層、パッシベーション層の3つの主要層すべてを大気条件下でブレード塗布して得られたものです。さらに、相対湿度80%という極めて高い湿度環境下で製造しても、性能の低下がほとんど見られないことが確認されました。
技術・詳細
ペロブスカイト太陽電池の量産化における最大の障壁は、機能層が極めて吸湿性が高く、水分に触れると急速に劣化することにありました。特に「有機アンモニウムハライドパッシベーション層」と「SAMs」の2層は吸湿性が強く、通常使用されるアルコール系溶媒自体も吸湿性を持つため、塗布中に加水分解や脱離が起こり、界面の品質が損なわれるという課題がありました。
研究チームはこの問題に対し、アルコールに低極性のアルカンを混合するというシンプルな溶媒調整で対応しました。それぞれの役割は以下の通りです。
- アルコール:機能材料(パッシベーション剤やSAMs)を溶解させる役割。
- 低極性アルカン:溶媒全体の極性と吸湿性を抑え、塗布プロセス中に周囲の空気から水分を取り込むのを防ぐ「化学的シールド」の役割。
化学的・光電子的分析の結果、この溶媒システムを用いることで、高湿度下でも機能層の構造的・機能的な完全性が維持され、前述の加水分解や脱離が抑制されることが証明されました。このアプローチは特定の化合物に限定されず、複数の吸湿性材料に適用可能な汎用的な手法であるとしています。
背景・業界の文脈
ペロブスカイト太陽電池は、シリコン製に匹敵する効率を持ちながら材料コストが低いことから期待されていますが、実用化には厳格に管理されたクリーンルームでの製造が不可欠でした。しかし、クリーンルームの建設と運用には多額のコストがかかり、これが製造コストを押し上げる要因となっていました。また、研究室レベルで主流のスピンコート法とは異なり、ブレード塗布法はロール・ツー・ロール製造との互換性があり、産業的なスケールアップに不可欠な手法ですが、湿度に敏感な層を大気中で安定して塗布することは極めて困難とされてきました。
今後の展望
湿度制御環境が不要になれば、製造コストが大幅に削減され、既存のインフラを持たないメーカーにとっても市場参入の障壁が下がります。本研究は、スケーラビリティを追求しても性能を犠牲にする必要がないことを示しました。今後は、小規模なセルレベルではなくモジュールスケールでの実証や、現実的な屋外環境における長期的な安定性の検証が、この溶媒戦略が実用的な製造ツールとなるかどうかの決定的な鍵となります。
元記事: https://energiesmedia.com/perovskite-solar-cells-efficiency/
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