キリンHD|2軸混練押出機によるPET高速解重合の仕組みとコスト低減の課題

日刊工業新聞 日本
概要
キリンホールディングスが日本製鋼所と共同で、2軸混練押出機を用いたポリエチレンテレフタレート(PET)の高速解重合に成功した。従来は4時間かかっていた分解時間を10分以内に短縮し、ケミカルリサイクル(CR)の効率を大幅に向上させている。これによりエネルギー消費とコストの低減が可能となり、PET資源の半永久的な循環が見込まれる。
詳細

主要成果

キリンホールディングス(HD)は、日本製鋼所の2軸混練押出機を活用し、ポリエチレンテレフタレート(PET)製品の分子結合を解く「解重合」の高速化を実現した。特筆すべきは処理時間の短縮であり、従来の技術では4時間要していた解重合プロセスを10分以内に完了させることに成功した。

技術・詳細

本技術は、プラスチックを分子レベルまで分解して新品と同等の品質に再生する「ケミカルリサイクル(CR)」の一環である。キリンHDが研究していた、水酸化ナトリウム水溶液を溶媒とする「アルカリ解重合」に、機械的な力を加えることで化学反応を促進させる「メカノケミカル反応」を組み合わせた。

具体的には、2軸混練押出機の2本のスクリューを用いてPETと水酸化ナトリウム水溶液を「こすり、つぶし、混ぜる」ことで反応を加速させている。また、この反応過程で発生する熱を解重合に利用できることが判明した。PETを溶かすための熱エネルギーは必要だが、解重合自体の投入エネルギーを省けるため、コスト低減に寄与する。

装置の規模と能力については以下の通りである。

  • 装置構成:長さ数メートルの2軸混練押出機
  • 処理能力:1台あたり年1万トンのPET製品を処理可能
  • 設備特性:連続生産が可能であり、既存のCR設備と比較して大幅な小型化が見込める

背景・業界の文脈

PETのケミカルリサイクルは2000年代から実用化されていたが、常にコストが大きな壁となっていた。従来技術は高温・高圧下で長時間処理を行うため、エネルギー消費が激しく、リサイクル費用の増大を招いていた。キリンHDのR&D本部パッケージイノベーション研究所では、「高速・短時間」をコンセプトに掲げ、エネルギー消費を抑えることでこのコスト課題の解決を目指してきた。

今後の展望

現在は解重合後の工程開発が次の研究テーマとなっている。解重合によって生成されたテレフタル酸二ナトリウムとエチレングリコールから、PET原料として精製するためにナトリウムや不純物を除去する必要がある。既存の精製技術はコスト面に課題があるが、同社はこれを技術的に解決する方針である。

実用化後は、飲料ボトルだけでなく、繊維やフィルムなどあらゆるPET製品を処理対象とする。これにより、広範な資源循環ループを構築し、ケミカルリサイクルの効率をさらに高める計画である。

元記事: https://www.nikkan.co.jp/articles/view/795220

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