TECHNOLOGY EXPLAINER
リチウム金属負極とアノードフリー
― 負極を、部品表から消す
リチウム金属は「究極の負極活物質」と呼ばれています。容量が大きいからではありません。 リチウムを入れておくための「入れ物」が要らなくなるからです。 その先にあるアノードフリーでは、電池は負極なしで出荷され、最初の充電で負極が生まれます。
- リチウム金属負極とは何か(3行でつかむ)
- 本稿の計算:理論容量は本当に「1桁」違うのか
- 本質は容量ではなく「入れ物が要らない」こと
- アノードフリー ― 出荷時に負極が存在しない
- 素材技術者の視点①:品質保証の対象が「部品」から「工程」へ移る
- 本稿の計算:毎回 14.5 µm を作って、なくす
- 素材技術者の視点②:室温がクリープ域であることを、どう使うか
- 析出したリチウムは、ただのリチウムではない
- 成立させるための5つの条件
- 産業側の現在地/課題
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
1. リチウム金属負極とは何か(3行でつかむ)
リチウム金属負極とは、「負極にグラファイトなどの材料を使わず、リチウム金属そのものを使う構成」です。
- なぜ使いたいか:名古屋大学のグループによる解説は、「Li 金属はグラファイトに比べ1桁大きい理論容量を有する」とし、「Li 金属は究極の負極活物質といえる」と述べています事実
- どれだけ変わるか:同解説は、「負極に Li 金属を使用すれば、LIB を超える 300〜500 Wh kg⁻¹ のエネルギー密度が期待できる」としています(従来のLIBは「250 Wh kg⁻¹ 付近が上限値」)事実
- なぜまだ実用化されていないか:同解説は「Li 金属負極は、現在は1次電池に使用されるのみである」としています。充電すると枝状に成長して短絡するためです事実
リチウム金属負極の本質は「容量が大きい材料に置き換える」ことではありません。 「入れ物」という部品そのものを無くすことです。 その極限がアノードフリー——出荷時に負極が存在せず、最初の充電で負極がその場にできる設計です。
2. 本稿の計算:理論容量は本当に「1桁」違うのか
「1桁大きい」という記述を、自分で確かめてみます。 理論容量は、ファラデー定数を原子量(またはモル質量)で割るだけで出ます。
前提本稿の計算
- ファラデー定数 96,485 C/mol、リチウムの原子量 6.94、炭素の原子量 12.011 とする(いずれも一般に知られる値で、本稿が置いた前提です)
- グラファイト負極は LiC6(炭素6個でリチウム1個を受け取る)とする
- 1 mAh = 3.6 C
計算
- リチウム金属:96,485 ÷ 6.94 = 13,903 C/g ÷ 3.6 = 約 3,862 mAh/g
- グラファイト(LiC6):96,485 ÷ (6 × 12.011) = 1,339 C/g ÷ 3.6 = 約 372 mAh/g
- 比:3,862 ÷ 372 = 約 10.4 倍
解説論文の「1桁大きい」という記述と整合します事実。
前提と限界:これは活物質そのものの重量あたりの理論値です。 実際の電池では、集電体・電解質・バインダ・容器の重量が加わるため、 セルのエネルギー密度が10倍になるわけではありません。 解説論文が示す 250 → 300〜500 Wh/kg という幅が、現実的な期待値です事実。
3. 本質は容量ではなく「入れ物が要らない」こと
ここが、この技術のいちばん大事なところです。
グラファイト負極は、リチウムイオンを結晶の層のあいだに出し入れする材料です。 計算で見たとおり、炭素6個でリチウム1個を受け取ります。 つまりリチウムを保管しておくための骨組みが、常に電池の中に入っていることになります。
リチウム金属負極では、この骨組みがありません。リチウムがそのまま積み上がります。 さらにアノードフリーでは、その積み上がる場所(集電体)だけを用意して出荷します。
負極側でリチウムをどこに置くか
- 黒鉛負極:リチウムを層間へ挿入する
- リチウム金属負極:金属箔そのものを負極に使う
- アノードフリー:出荷時は負極材がなく、初回充電で集電体上に析出する
4. アノードフリー ― 出荷時に負極が存在しない
QuantumScape は、自社の設計についてこう説明しています(原文は英語)。
「The QuantumScape design is 'anode-free' in that the battery is manufactured anode free in a discharged state, and the anode forms in situ on the first charge.」
(放電状態で負極なしに製造され、負極は最初の充電でその場に形成される)事実
負極については「a pure lithium-metal anode with zero excess lithium」(余剰リチウムがゼロの純リチウム金属負極)、 セパレータについては「The QuantumScape separator material is a ceramic capable of meeting the key requirements of high conductivity, stability to lithium metal, resistance to dendrite formation, and low interfacial impedance.」としています事実 (QuantumScape 技術ページ)
5. 素材技術者の視点①:品質保証の対象が「部品」から「工程」へ移る
アノードフリーの電池を出荷するとき、負極は箱の中に入っていません。 入っているのは、負極が「できる場所」だけです。
ふつうの材料ビジネスでは、納めるものに規格があります。厚み、純度、表面粗さ、抗張力。 受け入れ検査をして、合格すれば使う。
アノードフリーでは、負極の品質は納入時点では決まりません。 最初の充電のとき、どんな温度で、どんな圧力で、どんな電流密度で析出させたかによって決まります。
つまり、保証すべき対象が「部品の仕様」から「析出させる工程の条件」へ移ります。 集電体メーカーが納めるのは金属箔ですが、その箔の表面状態が 「どんな負極ができるか」を左右します。
これは本シリーズ「界面抵抗」編で見た構図と同じです。 作り方まで込みで渡さないと、客先で値が再現しない。 アノードフリーでは、その「作り方」の一部が電池メーカーの化成工程、さらには使用条件にまで伸びています(本記事による解説)。
6. 本稿の計算:毎回 14.5 µm を作って、なくす
アノードフリーでは、負極の厚みが毎サイクル、ゼロから始まってゼロに戻ります。 どれくらいの厚みなのか、計算してみます。
前提本稿の計算
- 電極の面積容量を 3 mAh/cm² と仮定する(一般的なリチウムイオン電池の電極の水準)
- リチウムの密度を 0.534 g/cm³、原子量を 6.94、ファラデー定数を 96,485 C/mol とする
計算
- 3 mAh = 10.8 C → 10.8 ÷ 96,485 = 1.12×10⁻⁴ mol
- × 6.94 g/mol ÷ 0.534 g/cm³ = 1.46×10⁻³ cm³(面積1 cm²あたり)
- 厚みにすると 約 14.5 µm
- ついでに:1 mAh/cm² あたり 約 4.85 µm と覚えられます
余剰リチウムの話
- 前提:安全率をとって、厚さ 20 µm のリチウム箔を余剰として入れると仮定する
- 20 µm ÷ 4.85 µm = 約 4.1 mAh/cm² 相当のリチウム
- 正極の 3 mAh/cm² に対して 約 1.4 倍
アノードフリーは、この1.4倍を丸ごとゼロにする設計です。 QuantumScape が「zero excess lithium」と表現しているのは、この部分です事実。
前提と限界:余剰リチウム箔の厚み 20 µm は本稿が置いた仮定であり、 特定の製品の設計値ではありません。実際の設計では、寿命要求や安全率に応じて大きく変わります。 また面積容量 3 mAh/cm² も仮定です。
7. 素材技術者の視点②:室温がクリープ域であることを、どう使うか
リチウム金属を扱ううえで、いちばん直感に反するのがこの性質です。
「Li の融点は181℃であり、室温は絶対温度換算ですでに融点の1/2以上の温度域にある。このような高温になると、原子の粒界拡散や転位の移動が活発化し、降伏応力以下であっても、一定の応力下で時間とともにひずみが増大する現象が起こる(クリープ変形)」事実
- 前提:室温を25℃(298 K)、リチウムの融点を181℃(454 K)とする(融点は解説論文の記載)
- 298 K ÷ 454 K = 約0.66(相同温度)
- 前提:鉄の融点を1,538℃(1,811 K)とする(一般に知られる物性値。本稿が置いた前提で、出典リンクは付していません)
- 1,811 K × 0.66 = 約1,190 K = 約920℃
リチウムにとっての室温は、鉄でいえば1,000℃近い状態にあたります本稿の計算。
前提と限界:相同温度が同じでも、金属ごとにクリープ挙動は同じにはなりません。直感をつかむための換算です。
常温でクリープする金属は、ふつうなら構造材として失格です。 ところがリチウム金属負極では、この性質が使えます。
解説論文は「セル圧力や温度を上げることで Li の変形が加速され、空隙の消失が促された結果、短絡が抑制されることが、筆者らを含めた複数のグループによって報告されている」としています事実。
つまり、押さえつけておけば、勝手に流れてすきまを埋めてくれる。加熱は要りません。 全固体電池のセルが拘束(押さえつけ)を前提に設計されるのは、これを利用しているからです。
一方で、同じ性質が設計上の制約にもなります。
- 保管中も変形が進みます。「棚に置いておくあいだは何も起きない」という前提が成り立ちません
- 拘束機構は、厚みが 14.5 µm ⇄ 0 µm と往復するのに追従しなければなりません本稿の計算
- ばね定数の設計が効いてきます。硬すぎれば圧力が跳ね、柔らかすぎれば押さえられません(本記事による解説)
8. 析出したリチウムは、ただのリチウムではない
ここまで「リチウム金属」と一言で書いてきましたが、 2026年3月、Science に掲載された論文について、ライス大学とヒューストン大学が この前提を揺るがす結果を発表しています事実。
析出したリチウムは、バルクのリチウムのようにはふるまいませんでした。 「予想外に高い強度と、機械的応力下での脆い挙動を示す」—— 原因は、表面を覆うSEI(固体電解質界面相)の殻です事実。 その殻が構造的な剛性を高め、リチウムの芯が塑性変形するのを妨げるとされています事実。 ヒューストン大学の発表は、これを「ガラスのように折れる」と表現しています事実。
この結果は、リチウム金属負極の設計に対して重い意味を持ちます。
「リチウムは柔らかいから、押さえつければ追従する」——第7章で見た前提です。 ところが、析出したリチウムの表面には即座にSEIができ、それが殻として働きます事実。 柔らかい芯を、硬い薄膜が包んだ複合体になります。
複合材料の技術者にはなじみのある構図です。 細い芯に薄い硬質の被覆を付ければ、見かけの強度は上がり、延性は失われます。
ここから導かれるのは、SEIの設計が、負極の力学設計になっているということです。 SEIは長らく「電気化学的な副反応の産物」として扱われてきましたが、 その組成と厚みが、負極がクリープするか折れるかを分けている可能性があります(本記事による解説)。 SEIについては本シリーズ「SEI」編で扱います。
9. 成立させるための5つの条件
| 条件 | なぜ必要か | 公表されている手がかり | 出典 |
|---|---|---|---|
| ① 枝を出さない | デンドライトが電解質を貫くと短絡する | 「LLZ ですら短絡するという結果が多くの研究者によって報告されており、Monroe と Newman の理論が適用できないことが認識されつつある」 | 解説論文(2020年) |
| ② すきまを作らない | 放電でできた空隙が、次の析出を一点に集中させる | 「セル圧力や温度を上げることで Li の変形が加速され、空隙の消失が促された結果、短絡が抑制される」 | 解説論文(2020年) |
| ③ 殻を制御する | SEIの殻が析出リチウムの力学特性を決めてしまう | SEIの被覆が「構造的な剛性を高め」「リチウムの芯が塑性変形するのを妨げる」 | ライス大学・ヒューストン大学(2026年) |
| ④ 余剰をなくす | 余剰リチウムは重量・体積のムダになる | 「a pure lithium-metal anode with zero excess lithium」 | QuantumScape |
| ⑤ 界面抵抗を下げる | リチウム金属と電解質の界面が抵抗の主因になる | Li/LLZO で超音波接合により約225 Ω cm²、薄いAu層の併用で約1.5 Ω cm² | 東北大学(2026年3月) |
すべて事実(解説論文[参考資料1]、ライス大学[参考資料4]、ヒューストン大学[参考資料5]、QuantumScape[参考資料2]、東北大学[参考資料6])。「なぜ必要か」の列は本記事による整理です。
10. 産業側の現在地/課題
| 主体 | 公表内容 | 区分 |
|---|---|---|
| QuantumScape | 24層の A0 試作セルが1,000回以上の充放電サイクル相当で95%以上のエネルギー保持を達成したと公表 | 事実 |
| QuantumScape | エネルギー密度の商用目標は800〜1,000 Wh/L(2023年12月時点)。航続距離を350マイルから400〜500マイルに伸ばしうると見込む | 未確定/将来 |
| 日産自動車 | 全固体電池について「従来比で約2倍となる高いエネルギー密度」「大幅な充電時間短縮」「より廉価な材料組み合わせによるコスト低減」が見込めると説明。試作生産設備を保有 | 事実 |
| 日産自動車 | 2028年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVの市場投入を目指す | 未確定/将来 |
| 研究段階 | 「これまで報告されているいずれの方策も、一定の効果は示しているものの、完全な短絡の抑制には至っていない」 | 事実 |
QuantumScape[参考資料2]、日産自動車[参考資料3]、解説論文[参考資料1]。
(1) 量産実績は、まだ確認できない
本稿の調査時点(2026年9月)において、リチウム金属負極またはアノードフリー構成の全固体電池について、 量産を開始したとする一次情報は確認できませんでした未確定/将来。 QuantumScape の数値は試作セルの結果と目標値、日産の数値は目標です。
(2) 「従来比2倍」の中身が公開されていない
日産は「従来比で約2倍となる高いエネルギー密度」としていますが事実、 比較の基準となる従来電池の具体値、および全固体電池側の具体値は、本稿が参照したページには記載がありませんでした。 そのため本記事では、この「2倍」を具体的な Wh/kg や Wh/L の数値に換算していません。
(3) 析出リチウムの強度が、数値で公開されていない
第8章で扱った「脆い」という性質について、 強度や弾性率の具体的な数値は、本稿の調査範囲では公開された一次情報に確認できなかったため、記載していません。
- リチウム金属の理論容量は、グラファイトの約10.4倍です本稿の計算。解説論文の「1桁大きい」と整合します事実
- 本質は容量ではなく、「入れ物」という部品が消えることです(本記事による解説)
- アノードフリーでは、出荷時に負極が存在しません。最初の充電でその場に形成されます事実
- だから品質保証の対象が「部品」から「工程」へ移ります(本記事による解説)
- 負極の厚みは、毎サイクル 14.5 µm ⇄ 0 µm を往復します本稿の計算
- リチウムにとって室温はクリープ域です。これは制約であると同時に、拘束圧で使える道具でもあります事実
- 析出したリチウムは、SEIの殻をまとった「硬くて脆い複合体」でした事実
11. 用語集
- リチウム金属負極
- 負極にリチウム金属そのものを使う構成。理論容量が大きく、入れ物が要らない。
- アノードフリー
- 負極なしで電池を製造し、最初の充電で負極をその場に形成する設計。
- 余剰リチウム
- 寿命確保のために負極側に余分に入れておくリチウム。アノードフリーではゼロ。
- 理論容量
- 活物質1グラムが取り出せる電気量の理論値。ファラデー定数÷モル質量で求まる。
- 面積容量(mAh/cm²)
- 電極の単位面積あたりの容量。析出するリチウムの厚みを決める。
- 集電体
- 電流を取り出す金属箔。アノードフリーでは、ここがリチウムの析出する場所になる。
- グラファイト負極
- 炭素の層間にリチウムを出し入れする負極。LiC6の組成まで受け入れる。
- クリープ変形
- 降伏応力以下でも、一定の応力下で時間とともにひずみが増える現象。
- 相同温度
- 融点に対する温度の比(絶対温度どうし)。金属の高温挙動を比べる指標。
- SEI
- 固体電解質界面相。析出したリチウムの表面を覆い、力学特性まで変える。
- 拘束圧(セル圧力)
- セルを外から押さえつける圧力。すきまを埋め、接触を保つために用いる。
- デンドライト
- 充電時にリチウムが枝状に伸びる現象。短絡の原因になる。
12. 参考資料(一次情報)
- 本山宗主・山本貴之・入山恭寿(名古屋大学)「全固体Li電池の高性能化に向けた固体電解質の短絡機構の解明」応用物理 第89巻 第4号(2020)213–217(PDF) — jstage.jst.go.jp
- QuantumScape「Solid State Battery Technology」技術ページ(英語) — quantumscape.com
- 日産自動車「全固体電池」イノベーション/テクノロジーページ — nissan-global.com
- ライス大学「Thorny issue plaguing lithium-ion batteries laid bare in new study」2026年3月12日(英語) — news.rice.edu
- ヒューストン大学「UH Research Reveals Lithium Dendrites Cause Battery Safety Risks」2026年4月8日(英語) — uh.edu
- 東北大学「室温かつ短時間で、リチウム金属とガーネット型酸化物固体電解質の界面形成に成功」2026年3月24日 — tohoku.ac.jp
- SLAC国立加速器研究所「Giving solid-state batteries a squeeze keeps them from short-circuiting」2026年8月28日(英語) — slac.stanford.edu
13. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| 「Li 金属はグラファイトに比べ1桁大きい理論容量を有する」「Li 金属は究極の負極活物質といえる」「負極に Li 金属を使用すれば、LIB を超える 300〜500 Wh kg⁻¹ のエネルギー密度が期待できる」「250 Wh kg⁻¹ 付近が上限値と考えられている」「Li 金属負極は、現在は1次電池に使用されるのみである」。「Li の融点は181℃であり、室温は絶対温度換算ですでに融点の1/2以上の温度域にある」とクリープ変形の説明。「セル圧力や温度を上げることで Li の変形が加速され、空隙の消失が促された結果、短絡が抑制されることが、筆者らを含めた複数のグループによって報告されている」。「LLZ ですら短絡するという結果が多くの研究者によって報告されており、Monroe と Newman の理論が適用できないことが認識されつつある」。「これまで報告されているいずれの方策も、一定の効果は示しているものの、完全な短絡の抑制には至っていない」 | 応用物理 第89巻 第4号(2020)213–217 掲載の解説[参考資料 1]https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu/89/4/89_213/_pdf | 事実 |
| 「The QuantumScape design is 'anode-free' in that the battery is manufactured anode free in a discharged state, and the anode forms in situ on the first charge.」「a pure lithium-metal anode with zero excess lithium」「The QuantumScape separator material is a ceramic capable of meeting the key requirements of high conductivity, stability to lithium metal, resistance to dendrite formation, and low interfacial impedance.」。24層のA0試作セルが「more than 1,000 full charge-discharge cycle equivalents with more than 95% energy retention」を達成したとされること | QuantumScape 技術ページ[参考資料 2]https://www.quantumscape.com/battery-technology/ | 事実 |
| QuantumScape のエネルギー密度の商用目標が「800–1,000 Wh/L(as of Dec. 2023)」であり、航続距離を350マイルから400〜500マイルに伸ばしうると見込んでいること。これが目標値であり量産実績ではないこと | QuantumScape 技術ページ(同社が commercial target として示した値)[参考資料 2]https://www.quantumscape.com/battery-technology/ | 未確定/将来 |
| 日産自動車が全固体電池について「従来比で約2倍となる高いエネルギー密度」「大幅な充電時間短縮」「より廉価な材料組み合わせによるコスト低減」を挙げていること。試作生産設備を保有していること。固体電解質では副反応が少ないため「より多くの材料の組み合わせが可能になります」としていること | 日産自動車 全固体電池ページ[参考資料 3]https://www.nissan-global.com/JP/INNOVATION/TECHNOLOGY/ARCHIVE/ASSB/ | 事実 |
| 日産自動車が「2028年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVの市場投入を目指す」としていること | 日産自動車 全固体電池ページ(同社の目標)[参考資料 3]https://www.nissan-global.com/JP/INNOVATION/TECHNOLOGY/ARCHIVE/ASSB/ | 未確定/将来 |
| 析出したリチウムが「unexpectedly high strength and brittle behavior under mechanical stress」を示すこと。SEI の被覆が「enhances their structural rigidity」「prevents the dendrites' lithium core from deforming plastically」であること。バルクのリチウムが「soft and ductile」であること。掲載誌が Science(2026年3月12日)であること | ライス大学 ニュース(2026年3月12日)[参考資料 4]https://news.rice.edu/news/2026/thorny-issue-plaguing-lithium-ion-batteries-laid-bare-new-study | 事実 |
| 「proven they are actually brittle and snap like glass」という表現。operando SEM により動作中の全固体セル内で折れる様子を観察したこと | ヒューストン大学 ニュース(2026年4月8日)[参考資料 5]https://www.uh.edu/news-events/stories/2026/april/04082026-lithium-battery-weakness.php | 事実 |
| リチウム金属とLLZOの界面について、絶縁性炭酸リチウム層(Li2CO3)が高い界面抵抗の原因であること。超音波接合により界面抵抗が「約225 Ω・cm²」、薄いAu層の併用で「約1.5 Ω・cm²」になったこと | 東北大学 プレスリリース(2026年3月24日)[参考資料 6]https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/03/press20260324-02-Lithium.html | 事実 |
| デンドライトが電解質内部の欠陥から発生すること、および圧縮により水平方向へ広がること | SLAC国立加速器研究所 ニュース(2026年8月28日)[参考資料 7]https://www6.slac.stanford.edu/news/2026-08-28-giving-solid-state-batteries-squeeze-keeps-them-short-circuiting | 事実 |
| リチウム金属の理論容量を約3,862 mAh/g、グラファイト(LiC6)を約372 mAh/g、比を約10.4倍としたこと。3 mAh/cm² のリチウムの厚みを約14.5 µm、1 mAh/cm² あたり約4.85 µm としたこと。厚さ20 µmの余剰リチウム箔を約4.1 mAh/cm² 相当・正極容量の約1.4倍としたこと。298 K ÷ 454 K = 約0.66、1,811 K × 0.66 = 約920℃ としたこと | 本稿の計算。ファラデー定数 96,485 C/mol、リチウムの原子量 6.94、炭素の原子量 12.011、リチウム密度 0.534 g/cm³、室温 25℃、鉄の融点 1,538℃、面積容量 3 mAh/cm²、余剰リチウム箔の厚み 20 µm はいずれも本稿が置いた前提であり、参考資料に出典リンクを持たない一般的な物性値・仮定である。理論容量は活物質の重量あたりの値であり、セルのエネルギー密度ではない | 本稿の計算 |
| 日産自動車がいう「従来比で約2倍」の、比較基準および全固体電池側の具体的な数値 | 本稿が参照したページに記載がなかったため、Wh/kg や Wh/L の具体値には換算していない | 解説 |
| 析出したリチウムの強度・弾性率の具体的な数値 | 「unexpectedly high strength」「brittle」との定性的な記述は確認できたが、本稿の調査範囲では公開された一次情報に具体的な数値を確認できなかったため記載していない | 解説 |
| リチウム金属負極またはアノードフリー構成の全固体電池の量産開始 | 本稿の調査時点(2026年9月)において、量産開始を示す一次情報は確認できなかった。記載した数値は試作セルの結果および目標値である | 未確定/将来 |
| 本質は容量ではなく「入れ物が要らない」ことだという読み取り。品質保証の対象が部品から工程へ移るという指摘。拘束機構が厚みの往復に追従しなければならないという指摘。SEIの設計が負極の力学設計になっているという読み取り。成立条件を5つに整理したこと。3つの負極構成(グラファイト/リチウム金属/アノードフリー)を並べて比較したこと | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない | 解説 |
| 図1・図2・図3・図4・図6・図7が実際の観察像・設計図ではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図5がAI生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年9月21日/出典は一次情報(査読誌掲載の解説、大学・国立研究所の公式発表、企業の技術ページ)に限定しています。 構造の整理や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 析出リチウムの強度の具体値、日産の「約2倍」の内訳、量産実績については、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 理論容量の計算値は活物質の重量あたりの理論値であり、セルのエネルギー密度ではありません。 図はすべて説明用の概念図です。図1・図2・図3・図4・図6・図7はベクター作図、ヒーロー画像と図5はAI生成イメージであり、いずれも実際の断面写真・顕微鏡像・製品の実物を示すものではありません。