COMPANY PROFILE / 全固体電池
QuantumScape
― 工場を持たず、フォルクスワーゲンに作らせる「ライセンス型」スタートアップ
QuantumScapeは全固体電池スタートアップの代名詞的な存在ですが、 2026年6月末時点でも売上はゼロです。 それでも現金と有価証券を8億5,900万ドル持ち、年間4億ドル前後を研究開発に投じ続けています。 資金の出どころは株式市場と、筆頭株主であるフォルクスワーゲンです。 2026年6月にはホンダの研究開発子会社と共同研究契約を結びましたが、 会社自身の法定開示は、これを商用化のための契約とは位置づけていません。 本稿では、この会社が何にいくら使い、誰と組み、現金があと何年もつのかを、 米国SECに提出された法定開示書類だけを使って整理します。
- 30秒でわかるQuantumScapeと、全固体電池での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(売上はゼロ。現金で見る)
- 全固体電池にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は全固体電池で何を目指しているか
- 全固体電池分野の提携マッピング
- 採用している技術方式
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるQuantumScapeと、全固体電池での立ち位置
Corporation事業会社は QuantumScape Battery, Inc.
サンノゼ1730 Technology Drive
(研究開発段階)2026年6月末時点で売上ゼロ
(約5Ah)800Wh/L超、10→80%充電15分未満
全固体電池に取り組む企業は、大きく自動車メーカー・電池メーカー・スタートアップの3種類に分かれます。 QuantumScapeはこのうちスタートアップで、しかもその中でも極端な立場を選んでいます 事実。 同社は量産工場を自分では建てません。10-Qは自社の方針を 「capital-light licensing(資本を使わないライセンス方式)」と表現し、 量産はフォルクスワーゲン傘下の電池会社PowerCo SEが行う前提で組み立てられています。 つまりこの会社の収益は、電池を売った代金ではなくライセンス料とロイヤルティになる設計です。 トヨタのように「自社の車に載せるために作る」のとも、CATLのように「電池を売るために作る」のとも違い、 QuantumScapeが売るのは技術そのものです。
2026年6月18日、QuantumScapeは本田技研工業の子会社である本田技術研究所(Honda R&D Co., Ltd.)と 共同研究契約(joint research agreement)を結んだと発表しました 事実。 リリースによれば、共同プログラムは全固体電池の開発と、それに関連する製造プロセスに焦点を当てた複数年の計画です。 この契約は、ホンダがQuantumScapeとの技術評価契約を完了したことを受けたもので、 評価には実機を使った詳細な技術検証と、標準的な技術試験による競合他社との比較が含まれていました。
ただし、この契約を「フォルクスワーゲンに次ぐ2社目の量産パートナー」と読むのは一次情報の範囲を超えます。 契約発表の後に提出された2026年6月期の10-Q(2026年7月24日)でも、会社は 「商用化を意図した契約は、現時点でPowerCoとの協業契約だけである」と書き続けています 事実。 ホンダとの契約の金額、独占性の有無、ライセンスや供給を含むかどうかは、いずれも公表されていません 未確定/将来。
2. ロゴと社名の表記について
QuantumScapeのロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、
公式サイトから取得した画像を img/quantumscape_logo.png として設置しています。
表記の注意:法定開示上の持株会社は QuantumScape Corporation(デラウェア州法人)で、 実際に事業を行う子会社は QuantumScape Battery, Inc.(2010年設立)です。 PowerCoとの契約の当事者は子会社のほうなので、契約書を読むときは区別が必要です。 日本語では「クアンタムスケープ」と読まれますが、本稿では英字表記に統一します。
公式サイト:https://www.quantumscape.com/3. 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
4. 会社の規模(売上はゼロ。現金で見る)
QuantumScapeは設立以来、事業から一切の売上を上げていません 事実。 10-Kと10-Qはいずれも「We have yet to generate any revenue from our business operations.(当社は事業運営からまだ売上を生んでいない)」と明記しています。 したがって売上高の推移表は存在しません。代わりに、いくら使い、いくら残っているかを見ます。
| 指標(千ドル) | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 0 | 0 | 0 |
| 研究開発費 | 347,945 | 382,971 | 375,608 |
| 一般管理費 | 131,085 | 142,236 | 96,996 |
| 営業費用合計 | 479,030 | 525,207 | 472,604 |
| 純損失 | 445,100 | 477,900 | 435,100 |
| 営業活動によるキャッシュ流出 | 240,025 | 274,555 | 242,473 |
| 項目 | 2025年12月31日 | 2026年6月30日 |
|---|---|---|
| 現金・現金同等物+有価証券 | 9億7,080万ドル | 8億5,900万ドル |
| 半期の純損失 | ― | 1億9,900万ドル(2026年上期) |
| 半期の営業キャッシュ流出 | ― | 1億1,626万ドル(2026年上期) |
| 従業員数 | 約700人 | 10-Qに記載なし |
2026年上期の営業キャッシュ流出は1億1,626万ドルでした。 このペースが続くと年間約2億3,252万ドルになります。 2026年6月末の手元資金8億5,900万ドルをこれで割ると、約3.7年分です 本稿の計算。 2025年12月期の実績(2億4,247万ドル)で割っても約3.5年分で、大きくは変わりません。 ただしこれは設備投資を含まない粗い目安で、会社自身の見解ではありません。 10-Kと10-Qが会社として述べているのは「報告書の日付から少なくとも12か月は十分」という一文だけです 事実。
なおQuantumScapeは従業員数を2025年12月31日時点の約700人としか開示しておらず、 2025年中に正社員の約12%を削減したことも10-Kに書かれています。 削減の理由として会社が挙げているのは「資本を使わないライセンス方式に人員構成を合わせるため」です。
5. 全固体電池にかけているリソース
QuantumScapeは全固体電池だけをやっている会社なので、 会社の全支出がそのまま全固体電池への投入額になります。 これは複数事業を持つ大企業との決定的な違いです。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 従業員約700人(2025年12月31日)。大半がサンノゼ本社勤務。研究開発部門の多くが工学・理学の学位保持者。全固体電池の専任人員数という区分は存在しない(全社が専任) | 事実 |
| 金(研究開発費) | 2025年12月期 3億7,561万ドル/2024年 3億8,297万ドル/2023年 3億4,795万ドル | 事実 |
| 累計調達額 | フォルクスワーゲンが10年で約3億8,000万ドルを出資。加えて2023年の公募で2億8,820万ドル、2024年のATM増資で1億2,850万ドル、2025年のATM増資で2億6,420万ドルを調達(いずれも手取り額) | 事実 |
| 顧客からの資金 | PowerCoからプロジェクト拠出金。2026年7月の修正契約で上限7,540万ドル(既払分を含む)。別途、ライセンス契約締結時に前払ロイヤルティ1億3,000万ドルを受け取る取り決め | 事実 |
| 他の自動車メーカーとの契約 | 本田技術研究所と共同研究契約(2026年6月18日、複数年)。ほかに「世界の自動車メーカー上位10社のうち2社」と既存の共同開発契約(JDA)のもとで取り組んでいるとするが社名は非開示。商用化を意図した契約はPowerCoのみと10-Qが明記 | 事実 |
| 量産設備 | 自前の量産工場は持たない。サンノゼにパイロットラインを設置し2026年2月に稼働開始。量産はライセンス先が行う前提 | 事実 |
| 知的財産 | 自社保有または独占ライセンスで400件超の特許・特許出願(米国180件超、外国220件超)。主要特許は2034〜2043年に満了見込み | 事実 |
| 外部への出資 | QuantumScapeから他社への出資に関する記載は10-K・10-Qにない | 確認できず |
| 大学との連携 | 創業者のPrinz教授はスタンフォード大学の研究者だが、大学との共同研究契約に関する記載は10-K・10-Qにない | 確認できず |
この分野のスタートアップは、次の3つだけ押さえれば大きく外しません 本稿の計算。
(1) 手元資金=8億5,900万ドル。 (2) 年間の現金流出=約2億3,000万〜2億4,000万ドル。 (3) 自動車メーカーが出資しているか=している(フォルクスワーゲンが筆頭株主で取締役2名の指名権を持つ)。 出資はしていないが契約関係にある自動車メーカーとして、2026年6月からホンダ(本田技術研究所)が加わった。 QuantumScapeはこの3つすべてで、同種のスタートアップの中では相当に恵まれた位置にいます。 一方で(4) 量産設備を自前で持つか=持たない、が同社の最大の特徴です。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2010年 | QuantumScape Battery, Inc. 設立 | 10年以上を固体電解質セパレータの開発に費やしてきた |
| 2012年 | フォルクスワーゲンとの協業開始 | 以後10年で約3億8,000万ドルの出資を受ける |
| 2018年〜 | フォルクスワーゲンが複数世代の試作セルを社内で試験 | 顧客側での検証が長年続いている点は他のスタートアップにない強み |
| 2022年 | A0試作セルを複数の自動車メーカーへ出荷 | 外部評価の開始 |
| 2023年 | 最初の商品化ターゲットQSE-5(約5Ah)を発表。8月の公募で2億8,820万ドルを調達 | 製品の形が決まった |
| 2024年 | B0サンプルの少量生産と自動車メーカー向け出荷を開始。7月にPowerCoと協業契約 | 量産の担い手を外部に定めた |
| 2025年 | 高スループットのCobraセパレータ工程を標準セル生産に統合。高度に自動化されたパイロットラインを設置。7月に協業契約を改定(PowerCoの生産上限を年85GWhへ拡大)。IAA Mobilityでドゥカティ V21L 電動バイクを実走させる初の公開デモ(B1サンプル使用)。正社員の約12%を削減 | 技術の公開実証と、組織のスリム化が同時に起きた年 |
| 2025年12月 | サンノゼの1棟(約61,100平方フィート)を他社へ転貸 | 会社は「ライセンス重視の方針に沿った拠点の縮小」と説明 |
| 2026年2月 | パイロットラインの稼働式を行い、能力の立ち上げを開始 | 設置から稼働までに1年以上かかっている |
| 時期は非公表 | ホンダがQuantumScapeとの技術評価契約を完了。実機を使った詳細な技術検証と、標準的な技術試験での競合比較を含む | 共同研究契約の前段にあたる評価。開始・完了の日付は公表されていない |
| 2026年6月18日 | 本田技術研究所と共同研究契約。全固体電池の開発と関連する製造プロセスに焦点を当てた複数年の計画 | フォルクスワーゲン以外の自動車メーカーとの契約で、初めて社名が公表された |
| 2026年7月 | PowerCoとの契約を再改定。作業指示書と実費精算方式をマイルストーン達成払いに変更し、受取上限を7,540万ドルに | 受け取れる金額が1億3,070万ドルから縮小した |
| 2026年7月22日 | 株主向けレターで、3つの事業部門(QSEV=電気自動車、QSDC=AIデータセンター、QSAS=航空宇宙・防衛などの先端用途)の設置を公表。ほかに「上位10社のうち2社」と共同開発契約のもとで取り組み、さらに別の自動車メーカー1社にセルを出荷したと記載 | 自動車以外の市場を、組織として扱い始めた |
7. 今後の計画
+前払1億3,000万ドル前者はマイルストーン払い、後者はライセンス契約締結時
QuantumScapeは自動車用途を主戦場としつつ、10-Qでは 家電・データセンター・航空宇宙および防衛を追加の市場機会として挙げています 事実。 2026年3月には防衛分野出身の取締役(元L3Harris・Aerojet Rocketdyne社長)を選任しており、 この方向の人選が実際に進んでいることは8-Kで確認できます。
次はいずれも10-K・10-Q・8-Kに記載がありません 未確定/将来。
QSE-5の量産開始時期/搭載車種/セル単価/ ライセンス契約のロイヤルティ率/ホンダ以外のOEMの社名(上位10社のうち2社と共同開発契約があるとするが非開示)/ ホンダとの共同研究契約の金額・独占性・ライセンスや供給の有無・対象製品・期間/ パイロットラインの生産能力/2026年通期の見通し。 「QuantumScapeが○年に量産」といった具体的な年号は報道ベースのものが多く、本稿では採用しません。
8. この会社は全固体電池で何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 目指しているのは電池メーカーではなく技術ライセンス業 | 10-Qが自社の方針を「capital-light licensing」と表現し、量産はPowerCoが行う前提で記述している。人員削減の理由も「ライセンス方式に人員構成を合わせるため」と明記 | 事実 |
| フォルクスワーゲン1社への依存を減らしたいと考えている | 10-Qが「PowerCoとの契約が、技術の商用化を意図した唯一の契約である」とリスクとして自ら書いている。同時に複数OEMとサンプル提供・共同研究契約を結んだとも書いている。2026年6月には、その1社としてホンダの名前を初めて公表した | 推測 |
| ホンダとの契約は研究段階の契約であり、商用化契約ではない | リリースは「共同研究契約」と呼び、発表後に提出した10-Qでも商用化を意図した契約はPowerCoのみと書いている | 事実 |
| ホンダとの契約は自動車に限らない用途を視野に入れている | ホンダ側の担当役員が「自動車を含む幅広い用途で価値を加える可能性がある」とコメントし、株主向けレターも「ホンダの製品群における自動車およびその他の用途」と書いている。二輪車や汎用製品といった具体名は、どちらの一次情報にも書かれていない | 推測 |
| 自動車以外の市場を真剣に検討している | 10-Qが家電・データセンター・航空宇宙および防衛を挙げ、2026年3月に防衛分野出身の取締役を選任している。2026年7月には自動車以外を担う事業部門(QSDC・QSAS)を正式に設置した | 推測 |
| 当面は身軽さを優先し、固定費を増やさない | 2025年12月に自社が借りていた1棟を転貸し、会社自身が「ライセンス重視の方針に沿った拠点の縮小」と説明している | 推測 |
| 商用化の時期は会社自身がまだ示せていない | 10-K・10-Qのいずれにも量産開始年の記載がない。自動車の認定プロセスについては「A・B・Cサンプルの各段階があり、時期には不確実性がある」とだけ書いている | 事実 |
2026年7月の契約改定は、この会社の現在地をよく表しています。 2025年7月の契約では、PowerCoは共同スケールアップチームの費用を実費精算で負担し、 上限は1億3,070万ドルでした。 2026年7月の改定でこの方式は廃止され、 セルの引き渡しと検証というマイルストーンを達成したときだけ支払う方式に変わり、 受取上限は7,540万ドルに下がりました 事実。 これは顧客側が「工数に対して払う」のをやめ「成果に対して払う」形に切り替えたということです。 会社にとっては受取額の減少であると同時に、 達成すれば払われるという形に整理されたとも読めます。 本稿は、この変更を「関係の悪化」ではなく 量産移管が現実の工程管理に入った段階の契約形態と読みます 未確定/将来。 ただし会社はこの変更の理由を説明しておらず、これは本稿の解釈にとどまります。
9. 全固体電池分野の提携マッピング
10. 採用している技術方式
| 項目 | 10-Kの記述 |
|---|---|
| 負極 | アノードフリー。製造時には負極がなく、初回充電でリチウムが集電体の上に金属として析出して負極になる。炭素やシリコンのホスト材料を一切使わない |
| セパレータ兼電解質 | 緻密な無機セラミックの薄膜。髪の毛より薄く、欠陥密度が低いため柔軟性がある。組成と製造法の両方を特許で押さえている |
| 正極 | NMCなど従来の正極活物質を使用。将来はLFPなどコバルトフリー組成も視野 |
| カソライト | 有機の液体。固体・ゲル・液体を随時試験しており、無機の固体カソライトは研究段階 |
| セル形状 | ラミネート型と角型の特徴を組み合わせた独自形式。リチウム金属の膨張収縮を吸収し、急速充電時の発熱を逃がす設計 |
| 動作圧力 | 約3〜4気圧という控えめな加圧で自動車並みの出力を出せる、と主張 |
| 実証済みの数値 | 25℃付近で800サイクル以上デンドライトを抑制。顧客試験では1,000フルサイクル相当で放電エネルギー保持率95%超。300℃までの熱安定性 |
この記事でもっとも誤解されやすい点を先に書きます。 QuantumScapeのセルは、正極側に有機の液体(カソライト)が入っています 事実。 10-Kは「現世代の試作セルは、当社の固体電解質セパレータと有機液体のカソライトを含む」と明記しています。 固体なのはセパレータ兼電解質の層だけで、セル全体が固体になっているわけではありません。 いわゆる「セミソリッドステート」に分類される構成です。
なぜそうするかというと、正極は活物質の粉と導電助剤とバインダーが混ざった多孔質の層で、 その細かい隙間の一本一本までイオンの通り道をつなぐ必要があるからです。 液体なら毛細管で勝手に入りますが、固体では粉と粉を押し付けて接触させるしかなく、 接触面積の確保と、充放電にともなう体積変化への追従が一気に難しくなります。 負極側(リチウム金属とセラミックの平らな界面)と正極側(粉の集合体)では、難易度がまったく違います。 QuantumScapeが負極側を固体にし、正極側を液体のまま残したのは、 難しいほうから順に固体化していると読むのが素直です。 10-Kが無機の固体カソライトを「研究開発中の調査項目」と位置づけている点も、それと整合します。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 売上がなく現金が減り続ける | 設立以来、売上ゼロ。年間2億3,000万〜2億7,000万ドルの現金が出ていく。増資でしか補えない | 事実 |
| PowerCo1社への依存 | 会社自身が10-Qで「商用化を意図した契約はPowerCoとのものが唯一」とリスクとして書いている。この記述はホンダとの共同研究契約の発表後に提出された10-Qでも変わっていない | 事実 |
| 受取額の縮小 | 2026年7月の改定で、PowerCoからの受取上限が1億3,070万ドルから7,540万ドルへ下がった | 事実 |
| PowerCo自身が未経験 | 10-Qは「PowerCoは2022年設立で電池製造の実績が限られ、能力は未検証である」と明記している | 事実 |
| 量産設備を持たないこと自体 | 身軽さと引き換えに、量産の成否を他社の実行力に委ねている。自分では工程を直せない | 推測 |
| 特許の満了 | 主要特許は2034〜2043年に満了見込み。量産化が遅れるほど、保護期間のうち収益化できる年数が減る | 推測 |
| 競合の層が厚い | 10-Kが競合として挙げるのはPanasonic・Samsung SDI・CATL・LG Energy Solution・BYD・SKなどの大手に加え、SES・Solid Power・Factorial・Sila Nanotechnologiesなどのスタートアップ。中国の国家主導プラットフォームにも言及している | 事実 |
12. 用語集
- 全固体電池
- 電解質を液体ではなく固体にした電池。発火リスクが低く、高電圧・高温に強いとされる。
- アノードフリー
- 製造時に負極材を入れず、初回充電でリチウム金属を析出させて負極にする方式。体積と重量を減らせる。
- カソライト
- 正極の内部でイオンを運ぶ電解質。QuantumScapeは現時点で有機の液体を使っている。
- デンドライト
- 充電時にリチウムが針状に成長したもの。セパレータを貫いて短絡を起こす。
- NMC
- ニッケル・マンガン・コバルト系の正極活物質。現行リチウムイオン電池の主流の1つ。
- Wh/L
- 体積あたりのエネルギー。同じ大きさでどれだけ電気を貯められるかを示す。
- ATM増資
- At-The-Market offering。市場価格で少しずつ株式を売って資金を得る方法。
- Form 10-K
- 米国上場企業が米国SECに提出する年次報告書。監査済みで法的責任を伴う。
AI生成の概念図13. 出典
- QuantumScape Corporation Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025(米国SEC提出、2026年2月25日)。事業内容・技術方式・従業員数・特許件数・研究開発費・純損失・手元資金・PowerCoおよびフォルクスワーゲンとの関係・競合認識。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1811414/000119312526071556/qs-20251231.htm
- QuantumScape Corporation Form 10-Q for the quarterly period ended June 30, 2026(米国SEC提出、2026年7月24日)。2026年6月末の手元資金・上期の純損失と営業キャッシュフロー・パイロットラインの稼働・ライセンス方針・PowerCo契約の2026年改定・追加市場の記述。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1811414/000119312526316073/qs-20260630.htm
- QuantumScape Corporation Form 8-K(米国SEC提出、2026年7月22日。報告事由は2026年7月16日)。PowerCoとの協業契約の再改定と受取上限7,540万ドル。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1811414/000119312526312381/qs-20260716.htm
- QuantumScape Corporation Form 8-K(米国SEC提出、2025年12月8日。報告事由は2025年12月3日)。サンノゼの1棟の転貸と、ライセンス重視方針に沿った拠点縮小という説明。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1811414/000119312525311360/qs-20251203.htm
- QuantumScape Corporation Form 8-K(米国SEC提出、2026年3月5日。報告事由は2026年3月4日)。防衛分野出身の取締役の選任。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1811414/000119312526092692/qs-20260304.htm
- QuantumScape Corporation 公式サイト(社名表記とロゴ画像の取得元)。 https://www.quantumscape.com/
- QuantumScape Corporation プレスリリース「QuantumScape Announces Agreement with Honda on Solid-State Battery Technology」(2026年6月18日)。本田技術研究所との共同研究契約、複数年の共同プログラムの対象(全固体電池の開発と関連する製造プロセス)、技術評価契約の完了、本田技術研究所の小川厚氏(Research Center of Excellence 最高執行責任者)とシバラムCEOのコメント。 https://www.quantumscape.com/quantumscape-announces-agreement-with-honda-on-solid-state-battery-technology/
- QuantumScape Corporation 株主向けレター(Form 8-K 添付資料 Exhibit 99.1、2026年7月22日提出)。ホンダとの提携の位置づけ、上位10社のうち2社との共同開発契約、別の自動車メーカーへのセル出荷、3つの事業部門(QSEV・QSDC・QSAS)の設置。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1811414/000119312526312423/qs-ex99_1.htm
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年9月23日/Troy Technical
本稿の数値はすべてQuantumScape Corporationが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。