COMPANY PROFILE / 全固体電池
広汽集団(GAC Group)
― 法定開示で「全固体電池」と明言し、400Wh/kg超を公表した数少ない自動車メーカー
広汽集団は、本シリーズで扱う中国の自動車メーカーのなかで、 「全固体電池(all-solid-state battery)」という語を自社の法定開示文書で正面から使っている数少ない会社です。 2025年のESG報告書には「エネルギー密度は400Wh/kgを超えた」「200℃のホットボックス試験と釘刺し試験を通過」と明記されています。 ただし量産時期も搭載車種も生産能力も、どこにも書かれていません。 さらに同社は2025年に87億8,400万元の純損失を計上しました。 本稿では自動車事業の規模は最小限にとどめ、この会社が全固体電池で何を公表し、何を公表していないかに絞ります。
- 30秒でわかる広汽集団と、全固体電池での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(自動車事業は簡潔に)
- 全固体電池にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は全固体電池で何を目指しているか
- 全固体電池分野の提携マッピング
- 採用している技術方式
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかる広汽集団と、全固体電池での立ち位置
香港 02238A株とH株の2市場
(電池子会社あり)支配株主は国有企業の広州汽車工業集団
エネルギー密度
400Wh/kg超2025年ESG報告書に明記
(IMPOW Battery)2022年10月設立の子会社
全固体電池に取り組む企業は、大きく自動車メーカー・電池メーカー・スタートアップの3種類に分かれます。 広汽集団はこのうち自動車メーカーです 事実。 ただし電池については、年次報告書が 「リチウム鉱山+リチウム電池基礎材料の生産+電池生産+蓄電および充電・交換サービス+電池リース+電池リサイクルと段階利用」 という垂直統合された新エネルギー産業チェーンを構築したと説明しています。 そのために設立した会社として優湃能源科技・広汽能源・因湃電池科技・時代広汽動力電池が挙げられています。 つまり広汽集団は電池を自社グループで作る側に踏み込んでいる自動車メーカーです。 そして全固体電池は、その自社開発の成果として法定開示に載っています。
広汽集団のESG報告書は、2025年の技術成果として2つの電池を並べて紹介しています 事実。 ひとつが弾匣電池(Magazine Battery)で、 「釘刺し試験で発火せず、銃撃試験でも着火しない業界初の電池システム安全技術」 「HYPTEC・広汽伝祺・AIONの車種に採用され、130万台超で自然発火ゼロ、累計500億kmの安全走行」 という量産済みの実績を持ちます。
弾匣電池は電解液を使う通常のリチウムイオン電池の安全技術であり、全固体電池ではありません。 一方の全固体電池は400Wh/kg超という数字だけが示され、 搭載台数も走行距離も量産時期も一切公表されていません 未確定/将来。 「広汽の電池は130万台で自然発火ゼロ」という話を全固体電池の実績として読むのは誤りです。 同じ見開きに並んでいるので、特に注意してください。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は中国語で広州汽車集団股份有限公司(繁体字では廣州汽車集團股份有限公司)、 英文では Guangzhou Automobile Group Co., Ltd.、略称は広汽集団/GAC Groupです。 紛らわしい点が3つあります。ひとつは支配株主の広州汽車工業集団有限公司(GAIG)が国有企業で別法人であること。 ふたつめは広汽埃安(GAC AION)が上場会社の子会社で、別法人であること。 みっつめは広汽トヨタ・広汽ホンダが合弁会社で、上場会社の連結子会社ではなく共同支配企業であることです。 本稿では区別して表記します。
公式サイト:https://www.gac.com.cn3. 全固体電池の世界で、この会社はどこにいるか
4. 会社の規模(自動車事業は簡潔に)
自動車事業そのものは本稿の主題ではないので、規模だけを押さえます 事実。金額はすべて人民元(RMB)で、為替換算はしていません。
| 指標(億元) | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1,077.84 | 965.42 | −10.43% |
| 売上総利益(△は損失) | 24.38 | △54.25 | 赤字転落 |
| 親会社株主帰属の当期純損益 | ― | △87.84 | 黒字から赤字へ |
| 研究開発支出 合計 | ― | 71.19 | 前年比 約0.35億元減 |
| 項目 | 2025年12月31日 | 内訳の例 | 人数・数値 |
|---|---|---|---|
| 従業員数 合計 | 82,067 | 技術者 | 14,350 |
| うち本体(グループ本社) | 334 | 生産要員 | 49,454 |
| うち主要子会社 | 81,733 | 博士号取得者 | 150 |
| 研究開発人員 | 7,982 | 修士号取得者 | 5,277 |
上の数字は会社全体のものです。全固体電池の事業規模を示す数字ではありません。 広汽集団は全固体電池に関する売上・投資額・専任人員数をいずれも公表していません 未確定/将来。
また同じ会社の研究開発の数字が、資料によって違います。 年次報告書の「研究開発支出合計」は71億1,900万元(うち資産計上59億6,700万元、費用計上11億5,200万元、資産計上比率83.82%)ですが、 ESG報告書は「研究開発投資は77億0,700万元、連結売上の約7.98%」と書いています。 集計範囲が異なるので、混ぜて比べないでください。 従業員数82,067人についても、年次報告書は「合弁会社・関連会社の従業員を含む」と注記しています。
5. 全固体電池にかけているリソース
ここが本稿でいちばん重要な章です。 自動車メーカーが全固体電池に関与する形態は、大きく(1) 自社開発、(2) 電池メーカーからの調達、(3) スタートアップへの出資の3つに分かれます。 広汽集団は(1)と(2)の両方をやっており、しかも(2)を合弁という形にしています。
| 関与形態 | 広汽集団の場合 | 一次情報での裏づけ | 区分 |
|---|---|---|---|
| (1) 自社開発 | 全固体電池を自社で開発。「国家卓越エンジニアチーム」が弾匣電池技術と全固体電池を開発したと明記 | 2025年ESG報告書の特集ページ | 事実 |
| (1) 自社生産 | 因湃電池科技(IMPOW Battery)が子会社。2022年10月設立。2025年の動力電池の生産・販売は15万セット超 | 年次報告書の定義集と事業レビュー | 事実 |
| (2) 合弁 | 時代広汽動力電池(CATL GAC)。2018年12月に本体・広汽埃安・CATLが共同出資して設立。本体と広汽埃安で合計49%保有の持分法適用会社 | 年次報告書の定義集 | 事実 |
| (2) 戦略提携 | 2025年11月10日にCATLと包括的戦略提携を締結。新エネルギー産業での協業深化で合意 | ESG報告書の2025年年表 | 事実(全固体電池を対象とするかは記載なし) |
| (3) 出資 | 全固体電池スタートアップへの出資 | ― | 確認できず |
そのうえで、手順どおり人・金・外部出資・大学連携の4点を一次情報で確認できたかどうか整理します。 「記載なし」も成果として書きます。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人(会社全体) | 研究開発人員 7,982人(全従業員の21.96%)。従業員全体は82,067人 | 事実 |
| 人(全固体電池の専任) | ESG報告書は「国家卓越エンジニアチーム」が開発したと記す。人数は非公表 | 事実(人数は非公表) |
| 金(会社全体) | 研究開発支出合計 71億1,900万元(年次報告書)/研究開発投資 77億0,700万元(ESG報告書) | 事実(資料により集計が異なる) |
| 金(全固体電池向け) | 全固体電池向けの研究開発費・設備投資額 | 非公表 |
| 生産の器 | 因湃電池科技(子会社、2022年10月設立)。2025年の動力電池は生産・販売とも15万セット超。全固体電池を作っているとは書かれていない | 事実 |
| 外部への出資・合弁 | 時代広汽動力電池(CATLとの合弁、合計49%)。ほかに優湃能源科技(100%子会社)、広汽能源 | 事実 |
| 大学・研究機関との連携 | 全固体電池に関する大学・公的研究機関との共同研究 | 確認できず |
| 特許 | 2025年の特許出願 3,091件、登録 2,506件。累計は出願24,291件、登録15,311件。全固体電池関連の内訳は区分されていない | 事実(内訳は非公表) |
| 対外的な評価 | 弾匣電池と全固体電池が、「第14次五カ年計画 中国製造業の成果」展に選定された(ESG報告書の年表で12月31日の欄に記載) | 事実 |
広汽集団が出した2つの数字は、材料の観点から見るとかなり踏み込んだものです 事実。 まず400Wh/kg超。現在量産されている高エネルギー密度セルは概ね300〜360Wh/kg級なので、 この水準に届くには負極をグラファイトから離す必要があります。 高シリコン負極かリチウム金属負極のどちらかになりますが、 広汽集団は負極の材料を公表していません 未確定/将来。
次に200℃のホットボックス試験。液系リチウムイオン電池の一般的な熱安定性試験は130〜150℃程度で、 200℃は電解液が残っていればまず成立しない温度です。 電解液は概ね120〜150℃で分解しはじめ、150℃を超えると正極から出る酸素と反応して熱暴走に入ります。 この試験を通したという主張は、液体が本当に入っていないことの有力な状況証拠になります。 ただし会社は固体電解質の系統(硫化物系・酸化物系・ハロゲン化物系・ポリマー系)を明かしていません。 釘刺し試験を通ったという記述と合わせると、 セルの中身よりも「安全である」という主張のほうを前面に出しているのが広汽集団の開示の特徴です。
6. これまでの取り組み
一次情報で日付まで確認できたものだけを並べます。 報道で語られる出来事は、会社自身の開示文書に記載がないため本稿の年表には入れていません。
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2017年7月 | 広汽埃安新能源汽車(GAC AION)を設立 | 新エネルギー車の事業体を分けた |
| 2018年12月 | 本体・広汽埃安・CATLが共同出資し、時代広汽動力電池を設立。本体と広汽埃安で合計49% | 電池セルの確保を合弁という形で行った |
| 2022年10月 | 因湃電池科技(IMPOW Battery)を設立 | 電池を自社で作る器を持った |
| ― | 弾匣電池をHYPTEC・広汽伝祺・AIONの車種に採用。130万台超で自然発火ゼロ、累計500億kmの安全走行 | 量産電池の安全技術としての実績。全固体電池ではない |
| 2025年 | 「国家卓越エンジニアチーム」が弾匣電池技術と全固体電池を開発。全固体リチウム電池のエネルギー密度の基幹技術で突破 | 本稿の主題。ただし研究成果の公表であって量産ではない |
| 2025年 | 因湃電池科技の動力電池の生産・販売が15万セット超に。生産ラインの歩留まりも改善 | 自社電池が量産段階に入った(全固体かどうかの記載はない) |
| 2025年11月10日 | CATLと包括的戦略提携を締結。新エネルギー産業での協業深化と新事業の共同推進で合意 | 提携の対象に全固体電池が含まれるかは記載なし |
| 2025年12月31日 | 弾匣電池と全固体電池が「第14次五カ年計画 中国製造業の成果」展に選定 | 国のレベルで技術が取り上げられた |
| 2026年4月29日 | 2025年年次報告書とESG報告書を提出 | 本稿の一次情報 |
7. 今後の計画
広汽集団は全固体電池の成果を公表していますが、計画は公表していません 未確定/将来。 次はいずれも、2025年年次報告書・2025年ESG報告書のどこにも記載がありません。
全固体電池の量産開始時期/搭載する車種/生産拠点/生産能力/販売価格帯/ 投資額/専任人員数/固体電解質の系統/負極の材料/サイクル寿命の具体値。 「広汽が◯年に全固体電池を量産する」といった数字は報道ベースのものが多く、本稿では採用しません。
そのうえで、会社が2026年の実行計画として掲げている技術項目は次のとおりです 事実。ここに全固体電池は入っていません。
年次報告書は業界の見通しとして 「新エネルギーの基幹技術の競争は全固体電池と高効率電動駆動といった重点領域に集中する」とも書いています 事実。 ただしこれは業界の認識として述べられたもので、自社の製品計画ではありません。 成果は語られ、業界動向としても語られているのに、自社の製品計画としては語られていない―― これが2025年時点の広汽集団の開示の姿です。
8. この会社は全固体電池で何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 全固体電池は外販ではなく自社車への搭載が主目的 | 「新エネルギー車の将来の発展に優れた動力ソリューションを提供する」という書き方で、外販の記載はない | 推測 |
| 当面の競争軸は安全性に置かれている | 全固体電池の説明が200℃ホットボックス試験と釘刺し試験に集中しており、弾匣電池と同じ枠で紹介されている | 事実 |
| 量産の主役は当面、液系の弾匣電池のまま | 2026年の実行計画に挙がっているのは弾匣電池3.0であって、全固体電池ではない | 事実 |
| 全固体電池は研究段階にある可能性が高い | 成果は公表されているのに、量産時期も搭載車種も生産拠点も一切示されていない | 推測 |
| 電池の器は因湃電池科技に集約していく方向 | 垂直統合の産業チェーンの説明で、電池生産の担い手として因湃電池科技が挙げられている | 推測 |
| CATLとの関係は全固体電池でも続く可能性がある | 2018年設立の合弁に加え、2025年11月に包括的戦略提携を結んでいる。ただし対象技術の明記はない | 推測 |
広汽集団の全固体電池を読むうえで決定的なのは、2025年の業績です 事実。 売上は前年比10.43%減の965億4,200万元、売上総利益は24億3,800万元の黒字から54億2,500万元の赤字へ転落、 親会社株主に帰属する当期純損益は87億8,400万元の損失でした。 販売台数も172万1,500台(前年比14.06%減)、自社ブランドに限れば60万9,200台(同22.83%減)です。 会社は2025年度の配当を見送ることも決めています。
この状況で、研究開発支出は前年比わずか0.35億元の減少にとどめられています。 つまり広汽集団は本業が赤字でも研究開発をほぼ削っていない会社です。 ただし、その研究開発支出71億1,900万元のうち83.82%が資産計上されており、 将来の車種や技術が想定どおり売れなければ減損として跳ね返ってくる構造でもあります。 ここから「全固体電池を量産に持ち込むための大型投資を、いま決めるのは難しい」と読むのが自然だと本稿は考えます 未確定/将来。 成果だけが公表され、時期が公表されないことと、この財務状況は整合しています。
9. 全固体電池分野の提携マッピング
10. 採用している技術方式
広汽集団は、全固体電池の性能と試験結果を公表する一方、材料構成は公表していません。 公表されていることと、いないことを並べます。
| 項目 | 一次情報の記述 | 区分 |
|---|---|---|
| 呼称 | 全固体電池(all-solid-state battery)。半固体・準固体といった留保はついていない | 事実 |
| エネルギー密度 | 400Wh/kgを超えた | 事実(会社の発表値。第三者検証は確認できず) |
| 安全試験 | 200℃のホットボックス試験と釘刺し試験という厳しい試験を通過 | 事実 |
| 会社の主張 | 材料とプロセスの革新により、安全性・エネルギー密度・サイクル寿命といった主要指標で業界をリードする | 事実(具体値は非公表) |
| 固体電解質の系統 | 硫化物系・酸化物系・ハロゲン化物系・ポリマー系の区別 ― 記載なし | 未確定 |
| 負極の材料 | リチウム金属か、高シリコンか、その他か ― 記載なし | 未確定 |
| サイクル寿命 | 「業界をリードする」とのみ。回数の記載なし | 未確定 |
| 量産中の電池(別物) | 弾匣電池。釘刺しで発火せず、銃撃でも着火しない業界初の電池システム安全技術。130万台超・累計500億kmで自然発火ゼロ。液系 | 事実 |
釘刺し試験は、セルに金属の釘を貫通させて内部短絡を強制的に起こす試験です 事実。 液系電池では、短絡点で発生した熱が電解液を気化・分解させ、正極から出る酸素と混ざって燃えます。 だから液系で釘刺しを通すには、電池システム側(弾匣電池のような構造)で熱の広がりを止める必要がありました。
全固体電池で釘刺しを通すというのは、これとは質が違う主張です。 可燃性の電解液がないので、理屈のうえでは燃える燃料がセルの中にないからです。 つまり広汽集団の開示は、「システムで守る」から「材料そのものが燃えない」への移行を示そうとしているように読めます 未確定/将来。 ただし全固体電池にも固有の危険があります。硫化物系なら水分と反応して硫化水素が出ますし、 リチウム金属負極を使えばデンドライト(樹枝状の析出)が固体電解質を突き破る問題が残ります。 会社が系統も負極も明かしていない以上、安全性の議論はここから先に進めません。 400Wh/kg超という密度からリチウム金属負極が使われている可能性は高いと本稿は見ていますが、これは推測です。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 本業の赤字 | 2025年の売上は前年比10.43%減、売上総損益は赤字転落、親会社株主帰属の純損失は87億8,400万元。配当も見送り | 事実 |
| 販売台数の減少 | 年間販売172万1,500台(前年比14.06%減)、自社ブランドは60万9,200台(同22.83%減) | 事実 |
| 資産計上比率の高さ | 研究開発支出71億1,900万元のうち83.82%が資産計上。想定どおり売れなければ減損として跳ね返る | 事実 |
| 全固体電池の計画がない | 成果は公表されているが、量産時期・搭載車種・生産能力がいずれも非公表。進捗を外部から確かめる手段がない | 未確定/将来 |
| 400Wh/kgの検証不能 | 会社の発表値であり、第三者による検証結果もサイクル寿命の具体値も開示されていない | 未確定/将来 |
| 合弁への依存 | 時代広汽動力電池は広汽側が合計49%でCATLが多数派。この合弁の意思決定を単独では決められない | 事実 |
| 因湃電池科技の規模 | 2025年の動力電池は15万セット超。グループの年間販売172万台に対して小さく、全固体電池を載せる規模に育てるには追加投資が要る | 推測 |
| 合弁事業の縮小 | 広汽ホンダが新エネルギーへの転換で生産ラインを調整し人員を最適化した結果、投資収益が減少したと会社が説明している | 事実 |
12. 用語集
- 全固体電池
- 電解質を液体ではなく固体にした電池。電解液を一切使わない。
- 半固体電池
- 電解液の一部をゲル状・準固体の層に置き換えた電池。液が残るため全固体電池とは別物。
- 弾匣電池
- 広汽集団の電池システム安全技術。セルを仕切って熱の広がりを止める。液系電池向け。
- ホットボックス試験
- 電池を恒温槽に入れて高温にさらす試験。液系では130〜150℃程度が一般的。
- 釘刺し試験
- セルに釘を貫通させて内部短絡を強制的に起こす安全試験。
- デンドライト
- 充電時にリチウムが樹枝状に析出する現象。固体電解質を突き破って短絡を起こす。
- 資産計上した開発費
- 将来の収益が見込める開発支出を資産として計上し、製品発売後に償却するもの。
- 持分法適用会社
- 議決権の一部を持ち重要な影響力はあるが、支配はしていない会社。
AI生成の概念図13. 出典
- 広汽集団 2025年 年次報告書(香港取引所提出、2026年4月29日)。売上収益・売上総損益・純損失・販売台数・研究開発支出とその内訳・研究開発人員・従業員数と職種別内訳・本社所在地と上場市場・支配株主・因湃電池科技および時代広汽動力電池の定義と設立時期・垂直統合の新エネルギー産業チェーン・2026年の実行計画・業界見通しにおける全固体電池への言及・配当見送り。 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf
- 広汽集団 2025年 環境・社会・ガバナンス(ESG)報告書(香港取引所提出、2026年4月29日)。全固体電池のエネルギー密度400Wh/kg超・200℃ホットボックス試験と釘刺し試験・国家卓越エンジニアチームによる開発・弾匣電池の実績(130万台超、累計500億km)・研究開発投資77億0,700万元と売上比7.98%・特許件数・CATLとの包括的戦略提携(2025年11月10日)・第14次五カ年計画の製造業成果展への選定。 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902624.pdf
- 広汽集団 公式サイト(会社概要の確認用)。 https://www.gac.com.cn
14. 主張と出典の対応表
| 本文の主張 | 区分 | 出典 |
|---|---|---|
| 正式名称、本社所在地、上場市場(上海601238・香港02238)、支配株主が国有企業であること | 事実 | 出典1・3 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 売上収益965億4,200万元(前年比10.43%減)、売上総損失54億2,500万元、純損失87億8,400万元、配当見送り | 事実 | 出典1 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 販売台数172万1,500台(14.06%減)と自社ブランド60万9,200台(22.83%減) | 事実 | 出典1 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 研究開発支出71億1,900万元、資産計上比率83.82%、研究開発人員7,982人(21.96%) | 事実 | 出典1 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 従業員数82,067人と職種別・学歴別の内訳(合弁会社・関連会社を含む集計であること) | 事実 | 出典1 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 因湃電池科技が2022年10月設立の子会社で、2025年の動力電池が15万セット超であること | 事実 | 出典1 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 時代広汽動力電池が2018年12月にCATLらと設立され、広汽側が合計49%を持つ持分法適用会社であること | 事実 | 出典1 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 垂直統合の新エネルギー産業チェーンの構成と、その担い手として挙げられた4社 | 事実 | 出典1 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 2026年の実行計画に弾匣電池3.0・Quark電駆3.0・省エネ技術2.0が挙げられ、全固体電池は挙げられていないこと | 事実 | 出典1 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 業界見通しとして「全固体電池と高効率電動駆動に競争が集中する」と述べていること | 事実 | 出典1 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 広汽ホンダの生産ライン調整と人員最適化による投資収益の減少 | 事実 | 出典1 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 全固体電池のエネルギー密度が400Wh/kgを超えたという記述 | 事実 | 出典2 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902624.pdf |
| 200℃ホットボックス試験と釘刺し試験を通過したという記述、国家卓越エンジニアチームによる開発 | 事実 | 出典2 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902624.pdf |
| 弾匣電池が液系の電池システム安全技術で、130万台超・累計500億kmの実績を持つこと | 事実 | 出典2 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902624.pdf |
| 研究開発投資77億0,700万元と連結売上比7.98%(年次報告書の71億1,900万元とは集計が異なること) | 事実 | 出典2 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902624.pdf |
| 2025年の特許出願3,091件・登録2,506件、累計出願24,291件・登録15,311件 | 事実 | 出典2 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902624.pdf |
| 2025年11月10日のCATLとの包括的戦略提携と、12月31日の欄に記された製造業成果展への選定 | 事実 | 出典2 https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902624.pdf |
| 全固体電池の3類型の区分(自動車/電池/スタートアップ) | 本稿の計算 | 本稿による整理。企業名は本シリーズの23社から例示 |
| 全固体電池の量産時期・搭載車種・生産拠点・生産能力・価格帯・投資額・専任人員数 | 未確定/将来 | 出典1・2のいずれにも記載なし https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 固体電解質の系統、負極の材料、サイクル寿命の具体値 | 未確定/将来 | 出典2に記載なし。本稿では推定しない https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902624.pdf |
| 400Wh/kgの第三者検証 | 未確定/将来 | 出典2に会社の発表値としてのみ記載。検証結果は確認できず https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902624.pdf |
| 因湃電池科技が全固体電池を製造しているかどうか、CATLとの提携が全固体電池を含むかどうか | 未確定/将来 | 出典1・2に記載なし。本稿では断定しない https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902624.pdf |
| 全固体電池に関する大学連携・スタートアップ出資 | 未確定/将来 | 出典1・2に記載なし。本稿では存在しないとも断定しない https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2026/0429/2026042902580.pdf |
| 全固体電池が外販ではなく自社車搭載を主目的とするという読み | 推測 | 外販の記載がないことからの本稿の解釈 |
| 全固体電池がまだ研究段階にあるという読み | 推測 | 成果のみ公表され時期が示されていないことからの本稿の解釈 |
| 電池の器を因湃電池科技に集約していく方向という読み | 推測 | 垂直統合の産業チェーンの説明からの本稿の解釈 |
| CATLとの関係が全固体電池でも続く可能性があるという読み | 推測 | 合弁と戦略提携の2層構造からの本稿の解釈 |
| 400Wh/kg超にはリチウム金属負極が使われている可能性が高いという読み | 推測 | 既存セルの密度水準との比較による本稿の解説 |
| 200℃ホットボックス通過が液体不在の状況証拠になるという説明 | 推測 | 電解液の熱分解温度に関する本稿の解説。会社の説明ではない |
| 本業赤字の下で全固体電池の大型投資を決めにくいという読み | 推測 | 業績と研究開発支出の資産計上比率からの本稿の解釈 |
| 因湃電池科技の規模が全固体電池を載せるには追加投資を要するという読み | 推測 | 15万セットと年間販売172万台の対比による本稿の解釈 |
最終更新:2026年9月23日/Troy Technical
本稿の数値はすべて広汽集団が香港取引所に提出した法定開示書類に基づきます。金額は人民元(RMB)のまま記載し、為替換算は行っていません。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。130万台・累計500億kmという実績は液系の弾匣電池のものであり、全固体電池のものではありません。