主要成果
SiC(炭化ケイ素)パワーモジュール向けの先進パッケージングは、電気自動車(EV)インバーターやAIデータセンターの電力システムに変革をもたらしています。特に、アクティブメタルろう付け(AMB)チップ埋め込みと革新的な熱管理技術は、電力密度と信頼性を大幅に向上させます。2026年6月にはFraunhofer IZMと三菱重工業が、500kW/Lという高電力密度を実現したSiCインバーターをAMBチップ埋め込み技術に基づいて発表しました。
技術・臨床詳細
- AMB基板と熱サイクル抵抗の向上: SiCパワーモジュールでは、窒化ケイ素(Si3N4)や窒化アルミニウム(AlN)を用いたAMB(Active Metal Brazing)基板が、優れた熱サイクル抵抗と高い熱伝導率を提供し、デバイスの長寿命化と信頼性向上に寄与します。これは、特に高温環境でのSiCデバイスの安定動作に不可欠です。
- 高耐熱性封止材: 175〜200°Cで動作するSiCデバイス向けには、特殊な高温シリコーンゲルや剛性の高いエポキシモールドコンパウンド(EMC)が封止材として使用されます。これらの材料は、熱応力に対する耐性が高く、デバイスを外部環境から保護し、長期的な性能を維持します。
- 埋め込みダイ(PCB)パッケージング: ベアSiCダイを直接PCB(プリント回路基板)層に埋め込み、めっきマイクロビアで接続する埋め込みダイ(PCB)パッケージングは、電気経路を短縮し、寄生インダクタンスを低減します。これにより、SiCパワーモジュールのスイッチング性能と効率が向上し、電力損失を最小限に抑えることができます。ASEの子会社USIも、EVインバーターやAIデータセンター電力向けに、多層ABF(Ajinomoto Build-up Film)基板にSiCダイを埋め込む技術を実証しており、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)業界の関心が高まっています。
- サプライヤーと研究の動向: Rogersのような基板サプライヤーは、AMB容量を世界的に拡大しています。また、PVA TePlaとFraunhofer IISBは、窒化アルミニウム結晶成長に関する研究プログラムに取り組んでおり、SiCパワーモジュールの基盤材料技術のさらなる革新を目指しています。
背景・業界文脈
電気自動車の普及とAIデータセンターの電力消費増大は、より高効率で小型、かつ信頼性の高いパワーモジュールを求めています。SiCは、従来のシリコンに比べて高いバンドギャップ、優れた熱伝導性、高い破壊電界強度といった特性を持つため、これらのアプリケーションに最適な半導体材料です。しかし、SiCデバイスの真のポテンシャルを引き出すためには、熱管理とパッケージングの課題を克服する必要があります。従来のワイヤボンディングやパッケージング手法では、SiCの高温・高出力動作時の課題に対応しきれないため、AMBのような先進的な技術が不可欠となっています。
今後の展望
AMBと埋め込みダイパッケージングの進化は、SiCパワーモジュールの性能を飛躍的に向上させ、EVの航続距離延長や充電速度向上、AIデータセンターのエネルギー効率改善に大きく貢献するでしょう。この技術は、高電力密度、低損失、高信頼性が求められる幅広いアプリケーションにおいて、SiC半導体の導入を加速させると期待されています。サプライヤーと研究機関の継続的な協力により、熱管理材料とパッケージングプロセスのさらなる革新が進み、SiCパワーモジュールは電力変換技術の新たな標準を確立することになるでしょう。
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます

コメント