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各国の量子戦略 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

各国の量子戦略
― 「◯億ドルを投資」を、どう読めばよいのか(米国・EU・日本・中国・英国と、輸出管理)

量子コンピュータの話題では、「国が数千億円を投資」「◯年までに実用化を目指す」といった言葉がよく出ます。しかし、その金額が約束なのか、法律の上限なのか、議会が決めた予算なのか、実際に使われた額なのかで、意味は大きく変わります。さらに、同じ「戦略」という名前でも、法律、方針の文書、5か年計画、報道発表は、性格が別のものです。

この記事は、量子技術になじみのない人を前提に、①お金の言葉の段階、②米国・EU・日本・中国・英国が、公式の文書で何を示しているか、③量子コンピュータの部品や材料が輸出管理の対象になっていること、④数字を並べて比べてはいけない理由、を説明します。国どうしの優劣・順位はつけません。金額は、元の通貨のまま、文書の記載のとおりに書き、確認日(2026年10月16日)をつけます。

構成:各国政府・議会・欧州委員会・内閣府・DARPA などの公式文書/確認できなかった金額は書かない/確認日 2026年10月16日

量子コンピュータの部素材(ウェハーと冷却装置)の場面です。実在の装置・企業・国を示すものではありません。
図1 概念画像(ImageGen生成)。量子コンピュータの部素材(ウェハーと冷却装置)の場面です。実在の装置・企業・国を示すものではありません。 実際の製品・施設・寸法・測定結果ではありません。拡大模型と実物スケールの場面は区別してください。
この記事の構成
  1. 3行でわかる / 読む前に / シリーズの中での位置
  2. 「予算」と「戦略」の言葉を読む
  3. 米国
  4. EU(欧州連合)
  5. 日本
  6. 中国と英国
  7. 年表と、比べてはいけない理由
  8. 輸出管理 ― 「部素材」が対象になった
  9. 評価・標準の読み方
  10. 用語集
  11. 参考資料(一次情報)
  12. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値(本記事では、おもに図の作図)
未確定/将来=計画・目標・法案・草案など、まだ確定していない事項
このほか、読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。

この記事の数値と日付の読み方

金額は、通貨・年度・期間・段階がそれぞれ違います。為替で換算せず、元の通貨のまま、文書に書かれた言葉(要求・成立・上限・配分など)で書きます。日付と状態は確認日(2026年10月16日)のものです。この記事は、国の優劣・順位をつけず、特定の企業や国への投資・政策の助言をせず、まだ成立していない法律(米国の再授権法案、EU の量子法)を、成立したものとして扱いません。日本の予算額、中国の量子への公式の予算額、米国の2026年度以降の量子関連予算の確定額は、確認できなかったため、書きません。

1. 3行でわかる / 読む前に / シリーズの中での位置

  • 「国の量子戦略」は、1つの種類のものではない:米国は法律(国家量子イニシアチブ法)と毎年の予算、EU は方針の文書と共同の事業、日本は内閣府の戦略と推進方策、中国は5か年計画、英国は10年間の戦略と個別の発表、と、文書の性格が国ごとに違います[参考資料3・9・14・19・17]
  • 金額には「段階」がある:要求、授権(法律の上限)、成立(議会が決めた予算)、配分(個別の事業への割り当て)、実支出の5つで、意味が違います。たとえば DOE の6.25億ドルは「最大5年」で、2025年度分は1.25億ドル、以後は議会の予算次第と、発表自体が明記しています[参考資料5]
  • 素材技術者にとっては、遠い話ではない:量子コンピュータの部素材 ― 同位体を精製したシリコン・ゲルマニウム、エピタキシャル材料、極低温の装置 ― が、米国(2024年)とEU(2025年)で輸出管理の対象になりました[参考資料8・13]。国の戦略は、材料の調達と取引に直接及びます
この記事を読む前に知っておくこと

量子コンピュータは、「0と1の重ね合わせ」を使う計算機です。量子ビット(量子コンピュータの最小の単位)は、向きを変えられる矢印のようなものだと考えると分かりやすくなります。ただし、この記事で必要なのは仕組みの細部ではなく、量子コンピュータが、極低温の冷却装置、特別な材料、制御用の電子部品といった「もの」の集まりでできていることです。この「もの」が、国の予算の対象にも、輸出管理の対象にもなります。仕組みの基本は、このシリーズの前の記事を参照してください。

シリーズの中での位置

この記事は、「量子鍵配送と量子通信」「量子ネットワークと量子中継」「耐量子計算機暗号」「耐量子暗号への移行」の続きで、量子と暗号の話の、国と政策の側面です。暗号の時程は前の記事の第3章で扱いました。この記事は、研究開発・産業・輸出管理に関する国の枠組みを扱います。

2. 「予算」と「戦略」の言葉を読む

(1) お金の言葉には、5つの段階がある

ニュースの「◯億ドルを投資」は、どの段階の数字なのかを確かめないと、意味が取れません。図は、米国の例で5つの段階を並べたものです。①要求は、政府が議会に求める額、②授権は、法律が「使ってよい上限」を定めたもの(実際のお金は別に要る)、③成立は、議会が予算として決めた額、④配分は、特定の事業や機関に割り当てた額、⑤実支出は、実際に使われた額です。

「予算」には段階がある ― 米国の例で見る(金額は文書の記載) ① 要求 政府が議会に求める額 例:FY2025の要求 QIS R&D 9.98億ドル ② 授権 法律が「使ってよい上限」 を定める。実際の支出は 別に要る 例:NQI 法で NIST に 年8000万ドルまで ③ 成立 議会が予算として 成立させた額 例:FY2024に 10.06億ドル(成立) ④ 配分・採択 特定の事業・機関に 割り当てた額 例:DOE の5センター 最大5年で6.25億ドル ⑤ 実支出 実際に使われた額 例:FY2023 10.36億ドル お金の流れの順(左から右)。右へ行くほど「実際に使われた」に近い ニュースの「◯億ドルを投資」は、①〜④のどれなのかで、意味が大きく変わる。DOE の発表も、「2025年度の1.25億ドル、以後の年は議会の予算次 第」と明記している。 NIST の金額は、法律上の「上限(授権)」で、実際の予算ではない。
図2 概念図(ベクター作図)。お金の流れの順。例の金額は、NQI の年次報告と NQI 法、DOE の発表による(本文の各章を参照)。

具体例が、DOE の発表にあります。発表は、「総額は6.25億ドルで、最大5年。2025会計年度の分は1.25億ドルで、以後の年の資金は、議会の予算次第」と書き、さらに「採択は、DOE が資金を出すことの約束ではない。資金が出る前に交渉があり、DOE はその間、理由を問わず交渉をやめ、採択を取り消せる」とまで書いています[参考資料5]。「発表された」ことと、「使える」ことは、別の段階です。

(2) 文書の種類によって、決められることが違う

文書の種類この記事で出てくる例決められること読むときの注意
法律米国:国家量子イニシアチブ法(公法 115-368)[参考資料3]組織の枠組み、機関の役割、「授権」(使ってよい上限)授権は支出の許可ではない。毎年の予算(成立)は別に決まる事実
戦略(方針の文書)EU:Quantum Europe Strategy。英国:National Quantum Strategy。日本:量子未来産業創出戦略 ほか[参考資料9・17・15]目標、重点分野、施策の方向。金額が書かれることもある目標は「達成の保証」ではない。書かれた金額が、新しい予算か、既存の枠の合計かを確かめる未確定/将来
5か年計画中国:第14次5か年計画の綱要、第15次の計画[参考資料19・20]経済全体の中での、優先する分野と方向量子のための独立した予算額は、確認した範囲では読み取れなかった
規則(輸出管理など)米国:連邦官報の規則。EU:委任規則[参考資料8・13]何を、誰に、どの条件で輸出できるか(法的な効力がある)正確な範囲は規則の本文による。この記事は法的助言ではない
発表(報道発表など)米国 DOE の6.25億ドル。英国の6.7億ポンド[参考資料5・18]特定の事業への資金の方針期間・段階・「内数かどうか」が書かれていないことがある未確定/将来
法案米国:国家量子イニシアチブ再授権法案[参考資料7]成立すれば法律になる提案確認日時点で未成立未確定/将来

事実/未確定/将来。表の整理は本記事による解説です(文書の性格の分類)。

よくある誤解:「予算が大きい国ほど、量子コンピュータの開発で進んでいる」

予算の大きさは、開発の進み具合を示す物差しではありません。研究の成果は、お金だけでなく、人材、設備、材料の調達、企業の力、時間の使い方にも左右されます。しかも、第7章で見るように、各国の数字は範囲、期間、段階、通貨が違い、そのまま並べられません。この記事は、国どうしの順位をつけません。

3. 米国

(1) 法律:国家量子イニシアチブ法(2018年)

米国の量子の国家的な取り組みの土台は、国家量子イニシアチブ法(公法 115-368。2018年12月21日成立)です[参考資料3]。法律は、複数の省庁(商務省の NIST、国立科学財団(NSF)、エネルギー省(DOE)など)が量子情報科学の研究開発を進める枠組みを定め、研究センターの設置も定めました。法律の本文には、NIST への年8,000万ドル(2019〜2023会計年度)、NSF の研究センターへの1センターあたり年1,000万ドル、DOE の研究センターへの1センターあたり年2,500万ドルといった上限額(授権)が書かれていますが、いずれも「予算が充てられることを条件に」であり、実際の額は毎年の予算で決まります[参考資料3]。

(2) 予算の数字 ― 種類の違う数字が並ぶ

毎年の予算の様子は、NQI の年次報告(FY2025予算の補足資料)にまとまっています。図は、その報告にある、連邦政府全体の量子情報科学(QIS)の研究開発の金額です。棒の色が違うことに注意してください。FY2019〜FY2023は実際に使われた額(実支出)、FY2024は議会が成立させた予算権限、FY2025は大統領が求めた額(要求)です[参考資料4]。

米国連邦政府の QIS 研究開発(百万ドル)― 実支出・成立・要求は別の種類の数字 0 200 400 600 800 1000 1200 456 FY2019 690 FY2020 851 FY2021 1,041 FY2022 1,036 FY2023 1,006 FY2024 998 FY2025 実支出(FY2019〜23) 成立した予算権限(FY2024) 大統領の予算要求(FY2025) 出典:NQI の年次報告(FY2025予算の補足資料、2024年)。FY2026以降の数字は、確認日時点で公式の補足資料では確認できなかった。年ごとの数字は、機関・分 野の範囲が同じ定義の合計。
図3 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。単位は百万ドル。FY2019〜23は実支出、FY2024は成立、FY2025は要求。報告の数字を棒にした作図。

この図から読み取れるのは、連邦政府の量子情報科学の研究開発の金額が、2019年度から2022年度にかけて大きく増え、その後は10億ドル前後で推移したということです(報告の数字の範囲で)。ただし、FY2026以降の数字は、確認日時点で、公式の補足資料では確認できませんでした[参考資料4]。また、年ごとの数字は、集計する機関や分野の範囲が同じ定義かどうかを、報告の注記で確かめる必要があります(本記事による解説)。

(3) DOE の5つの研究センターへの6.25億ドル(2025年11月4日)

DOE は2025年11月4日、国家量子情報科学研究センター5つの更新に、総額6.25億ドル、最大5年と発表しました。5つは、C2QA(ブルックヘブン国立研究所)、SQMS(フェルミ国立加速器研究所)、Q-NEXT(アルゴンヌ国立研究所)、QSA(ローレンス・バークレー国立研究所)、QSC(オークリッジ国立研究所)です。2025会計年度の分が1.25億ドルで、以後の年の資金は、議会の予算次第です[参考資料5]。

素材技術者の視点①:国の研究センターは「材料」を研究している

DOE の発表を読むと、センターの課題に材料が含まれています。C2QA は、超伝導と、プラズマで成長させたダイヤモンドを使う量子デバイスの材料の改善を挙げ、SQMS は、センターの名前に「Superconducting Quantum Materials and Systems」と材料を含み、超伝導の共振器(マイクロ波の空洞)を使った量子デバイスと、新しい冷却の方法を挙げています[参考資料5]。量子コンピュータの性能は、薄膜の欠陥、表面の汚れ、基板の純度といった、材料の質に強く左右されることが多く(本記事による解説)、国の予算の一部が、材料の研究に向かっているのは、そのためです。材料側からは、「どの欠陥が、量子ビットの寿命を縮めるのか」を共通の言葉で議論できる評価方法が求められます。

(4) 国防の側:DARPA の量子ベンチマーク計画(QBI)

DARPA(米国国防高等研究計画局)の QBI は、「2033年までに、産業に役立つ量子コンピュータをつくれるかどうかを見極める」ことを目的とする計画です。段階は3つあり、段階Aは構想の提示(1組織あたり最大100万ドル)、段階Bは研究開発計画の作成(最大1,500万ドル)、段階Cは政府と一緒に、設計どおりに作れて動くかを検証する(最大3億ドル)です。金額は、いずれも「最大でこの額まで授与されうる」という上限です[参考資料6]。

よくある誤解:「QBI の段階が上の会社が、いちばん優れている」

DARPA は、QBI を「参加者どうしの競争ではない」と書き、「少数の勝者に絞り込む設計ではなく、各社のやり方をそれぞれの良し悪しで評価する」としています。さらに、段階の目標を終えた会社は、次の段階の契約が結ばれるまで、一覧に載らないとも注記しています[参考資料6]。つまり、一覧に載っているかどうか、どの段階にいるかは、優劣の順位ではありません。この記事では、参加者の名前の一覧は載せず、公式ページ(2026年10月8日時点の一覧)を参照してください。

(5) 法律の更新:再授権法案は、確認日時点で成立していない

NQI 法の授権の期間(NIST は2023会計年度まで)が過ぎたため、法律を更新する再授権の法案が出されています。上院では S. 3597(2026年1月8日提出。4月14日に商務委員会が報告を決議)、下院では H.R. 8462(4月23日提出。4月29日に科学委員会が報告を決議)です。どちらも、確認日(2026年10月16日)時点の議会の記録で「提出」の段階にあり、成立していません[参考資料7]未確定/将来。法案の内容は途中で変わりうるため、この記事では、法案の金額や条文を、確定した制度として書きません。

4. EU(欧州連合)

EU は27の加盟国の集まりで、量子技術の取り組みは、EU 全体の事業と、加盟国それぞれの事業が重なり合っています。欧州委員会の量子の政策のページは、次の柱を挙げています[参考資料11]。

  • 量子技術フラッグシップ:2018年に始まった、長期の研究・イノベーションの取り組みで、EU が出す予算は10億ユーロと書かれています[参考資料11]事実
  • EuroHPC の量子コンピュータ:2022年10月に、チェコ、ドイツ、スペイン、フランス、イタリア、ポーランドの6か所が、最初の欧州の量子コンピュータの設置場所に選ばれました。投資の合計は1億ユーロで、半分を EU、半分を17の参加国が出すと書かれています。2025年6月にポーランドのポズナンの1台目、同年9月にチェコのオストラバの2台目が落成しました[参考資料11]事実
  • EuroQCI(欧州量子通信インフラ):2019年6月から、27のすべての加盟国が宣言に署名し、欧州宇宙機関の支援のもとで、EU 全体をおおう量子通信のインフラの開発に向けて協力することに合意しました[参考資料11・1]事実

(1) 2025年7月の「量子欧州戦略」

欧州委員会は2025年7月2日に、通知 COM(2025) 363 として量子欧州戦略を採択しました。戦略は、5つの行動分野を挙げています:①研究とイノベーション、②量子のインフラ、③EU の量子のエコシステムの強化(サプライチェーンの確保と、スタートアップへの投資による産業化)、④宇宙と、軍民両用の量子技術、⑤量子の人材です[参考資料9・10]事実。

戦略の本文には、金額も出てきます。ここでも、段階を確かめます。①「過去5年間に、EU と加盟国は、量子技術に110億ユーロ超を投資してきた」 ― 内訳は、EU が約20億ユーロ、加盟国の追加の公的資金が90億ユーロ超です。これは過去の実績で、これからの約束ではありません。②「量子技術の世界市場は、現在の20億〜30億ユーロから、2040年に1,550億ユーロに達すると予測される」 ― これは予測です[参考資料10]事実未確定/将来。

よくある誤解:「EU が、量子に110億ユーロを投じると決めた」

戦略の本文の「110億ユーロ超」は、過去5年間にEUと加盟国がすでに投資した額の記述で、新しい予算の決定ではありません。また、EU の約20億ユーロと、加盟国の90億ユーロ超は、別々の財布から出ています。ニュースで「EU が数十億ユーロ」と見たときは、過去の合計か、これからの予算か、EU の分か、加盟国の分かを確かめてください。

(2) 「量子法」は、確認日時点で、まだ提案されていない

戦略は、EU 量子法の提案を2026年に示すとしています[参考資料10]。欧州委員会の政策のページも、量子法を「2026年の採択を予定」とし、目的を、①研究とイノベーションの後押し、②パイロットライン(試作の生産ライン)や設計施設を含む産業の能力の拡大、③サプライチェーンの強靭化とガバナンスの強化、の3つとしています[参考資料11]。しかし、欧州議会の立法の進行表では、確認日時点で、量子法の状態は「Announced(発表済み)」で、情報は2026年9月20日時点のものです[参考資料12]。つまり、提案はまだ出ておらず、法律として成立していません未確定/将来。この記事は、量子法の中身を、確定したものとして書きません。

5. 日本

日本の量子の国家戦略は、内閣府の「量子技術イノベーション」のページに、文書が並んでいます[参考資料14]。図は、そのうちの主な5つの文書を、日付の順に並べたものです。

日本の量子の国家戦略の流れ(内閣府の文書の日付) 2020年1月21日 量子技術イノベーション 戦略 研究開発の戦略 2022年4月22日 量子未来社会ビジョン 2030年の3つの目標 2023年4月14日 量子未来産業創出戦略 実用化・産業化の戦略 2024年4月9日 産業の創出・発展の推進 方策 国際連携が主な焦点 2025年5月30日 エコシステム構築の推進 方策 人・もの・お金の観点 2030年の3つの目標(量子未来社会ビジョン) ① 国内の量子技術の利用者を1,000万人に ② 量子技術による生産額を50兆円規模に ③ 未来市場を切り拓く量子ユニコーンベンチャー企業を創出 これらは「目標」で、達成の保証ではない(未確定/将来)。2026年には、日本成長戦略会議の量子ワーキンググループが開かれ、各国との量子協力に関する文 書も交わされている(内閣府のページの新着情報)。
図4 概念図(ベクター作図)。内閣府のページの文書名と日付にもとづく整理。2030年の3つの目標は目標であり、達成の保証ではない。

2022年4月の「量子未来社会ビジョン」は、2030年に向けた3つの目標を掲げました:①国内の量子技術の利用者を1,000万人に、②量子技術による生産額を50兆円規模に、③未来市場を切り拓く量子ユニコーンベンチャー企業を創出、です[参考資料14]事実未確定/将来。これらは目標であり、予算額ではありません。内閣府のページで確認できる範囲では、日本の量子関連の予算額は、この記事の確認では読み取れなかったため、書きません。

2026年の動きとして、内閣府のページには、日本成長戦略会議の量子ワーキンググループが1月から3月にかけて開かれたことと、シンガポール(1月)、インド(5月、意図表明)、オーストラリア(7月)、オランダ(9月)との量子の協力に関する文書が載っています[参考資料14]事実(確認日 2026年10月16日。内容の詳細は各文書による)。

2025年5月の推進方策は、「人・もの・お金」で整理している

2025年5月30日の「量子エコシステム構築に向けた推進方策」は、量子産業の創出・発展のための取り組みを、人(人材育成の裾野の拡大と国際展開力)、もの(実装基盤と国際競争力を支える戦略的拠点の構築)、お金(持続的な資金循環と市場創出)の3つの観点で整理しています[参考資料16]事実。「もの」の観点には、テストベッドの充実、重要部素材の国産化・サプライチェーンの強靭化、ハードウェア・ソフトウェアの技術開発、標準化戦略の策定と支援が含まれます。

素材技術者の視点②:日本の方策が「部素材」について書いていること

推進方策の「重要部素材の国産化・サプライチェーンの強靭化」の項には、素材に関わる記述が多くあります[参考資料16]事実。①量子コンピュータは方式ごとに使う部素材が違うが、有力な供給元が世界に散らばり、一国だけでサプライチェーンが成り立つ国はない。②重要部素材の一部では日本の供給元が高いシェアを持つ一方、冷凍機は海外メーカーが独占していると書かれている。③希少な原材料(例:冷媒のヘリウム3)や、地政学的なリスクのある原材料(例:中国のガリウム)は、同志国からの調達の確保が必要とされている。④量子センサの材料の人工ダイヤモンドは国内でも製造されているが、高純度の種結晶などを米国・ロシア・中国からの供給に依存し、低ノイズのレーザーや単一光子検出器の多くはドイツや米国からの輸入に依存している、とされる。⑤日本が強みを持つ部素材に支援を重点化する、と述べている。これらは、文書の現状認識であり、材料の供給の実態を、本記事が独自に調べたものではありません。素材メーカーの側からは、自社の製品が、どの方式の、どの部品に使われうるのかを、取引先と確かめておくことが、実務の出発点になります(本記事による解説)。

同じ方策には、「経済安全保障等に関する戦略やガイドライン(国際連携・協力のあり方、輸出管理とクリアランス、支援すべき・保持すべき部素材・関連技術、研究インテグリティの確保等)を、わかりやすい形で明らかにしていく必要がある」という記述もあります[参考資料16]事実。これは「必要がある」という課題の記述で、量子の輸出管理の具体的な規則そのものではありません。日本の量子関連の輸出管理の公式な規則は、この記事の確認では見つけられませんでした(第8章)。

6. 中国と英国

(1) 中国:5か年計画の中の量子

中国の国家戦略は、5年ごとの国民経済・社会発展の5か年計画の中に書かれます。2021年3月13日に国務院のサイトに載った第14次5か年計画と2035年までの長期目標の綱要は、量子情報を、国家実験室の分野、先端分野の重大プロジェクト、未来産業のそれぞれに挙げ、デジタル技術の項には量子計算・量子通信が出てきます[参考資料19]事実(中国語の原文による。解説は本記事)。

第15次5か年計画については、新華社(英語)が2026年3月に報じています。政府活動報告は、「未来エネルギー、量子技術、身体性を持つAI、脳とコンピュータのインターフェース、6G などの未来産業を育てる」としています[参考資料20]事実。同じ報道は、計画の綱要の草案が、量子技術、バイオ製造、水素・核融合エネルギー、脳とコンピュータのインターフェース、身体性を持つAI、6G を新しい成長の原動力として挙げた、と伝えています[参考資料20・21]事実。

確認できなかったこと:この記事の確認の範囲では、中国の量子技術に対する公式の予算額は、公式の文書からは確認できませんでした。民間の調査や報道に、さまざまな推計の金額がありますが、出典と範囲が定まらないため、書きません。なお、新華社の報道(2026年3月10日)は、量子科学者の潘建偉氏が、希釈冷凍機の輸出を止められてきたことに触れた発言を伝えています[参考資料22]事実。輸出管理は、研究開発の実際の進め方に影響しうる、という一例です(本記事による解説)。

(2) 英国:10年間の戦略と、個別の発表

英国の国家量子戦略は2023年3月15日に公開され、10年間に25億ポンド(2024年から)を投じ、追加の民間投資10億ポンドの呼び込みをめざす、と書かれています[参考資料17]事実未確定/将来。同じページには、2023年11月22日に公表された5つのミッションがあります:①2035年までに、1兆回の演算を行う量子コンピュータを英国に、②2035年までに、最も先進的な量子ネットワークを大規模に、③2030年までに、すべての NHS(国民保健サービス)の組織に量子センシングを、④2030年までに、航空機での量子ナビゲーションを、⑤2030年までに、移動式でネットワーク化されたセンサを、です[参考資料17]事実未確定/将来。

2025年6月23日の政府の報道発表は、量子コンピューティングに6.7億ポンドを充てるとし、国立量子コンピューティングセンター(NQCC)を、10年間の資金の枠組みを受ける最初の組織の1つにすると書き、2035年までに従来のスーパーコンピュータを上回る量子コンピュータの開発を目指す、としています[参考資料18]事実未確定/将来。この発表の中では、6.7億ポンドの期間は書かれておらず、25億ポンドの内数かどうかも、この記事の確認では判断できませんでした。未確定/将来

7. 年表と、比べてはいけない理由

ここまでの文書と出来事を、年表に並べます。点の位置は、おおよその時点です。

各国の主な文書・出来事の年表(確認日 2026年10月16日。文書の性格は本文の表を参照) 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 米国 NQI Act QBI DOE 再授権法案 EU Flagship EuroHPC 戦略 量子法(予定) 日本 戦略 ビジョン 産業創出 エコシステム 中国 十四五 十五五 英国 国家戦略 £670M 点は文書の公表や出来事のおおよその時点。国によって文書の性格(法律・戦略・計画・発表)が違う。中国の「十四五」は2021年、「十五五」は2026年3月の計画(草案の 提出は3月5日)。EU の量子法は、確認日時点で提案が出ておらず「予定」。
図5 概念図(ベクター作図)。各国の主な文書・出来事の年表。文書の性格が違うため、点の数や位置は、取り組みの大きさを示さない。
国・地域主な文書の性格記載されている金額・目標(元の通貨・文書の言葉)確認できなかったこと
米国法律(NQI 法)、毎年の予算、省庁の事業[参考資料3・4・5]QIS 研究開発:FY2024は10.06億ドル(成立)、FY2025は9.98億ドル(要求)。DOE:6.25億ドル(最大5年、FY2025分は1.25億ドル)。QBI:段階ごとに最大100万/1,500万/3億ドル(上限)[参考資料4・5・6]FY2026以降の量子関連予算の確定額。再授権法案は未成立[参考資料7]
EU方針の文書(量子欧州戦略)、共同の事業(フラッグシップ、EuroHPC、EuroQCI)[参考資料9・11]フラッグシップ:10億ユーロ(EU)。EuroHPC 量子:1億ユーロ(EUと17か国が半々)。過去5年:EUと加盟国で110億ユーロ超(EUは約20億、加盟国は90億超)[参考資料11・10]量子法の提案(確認日時点で未提出)[参考資料12]
日本内閣府の戦略・推進方策[参考資料14・16]2030年の目標:利用者1,000万人、生産額50兆円規模、量子ユニコーン企業の創出[参考資料14]量子関連の予算額。量子の輸出管理の公式な規則
中国5か年計画の綱要[参考資料19・20]金額の記載は確認できなかった。優先分野として量子情報・量子技術が挙げられている[参考資料19・20]公式の予算額
英国10年間の戦略、個別の発表[参考資料17・18]戦略:25億ポンド(10年間、2024年から)、民間追加10億ポンドを目標。2025年6月の発表:6.7億ポンド[参考資料17・18]6.7億ポンドの期間と、25億ポンドとの関係

事実/未確定/将来。表の整理は本記事による解説です。行どうしの金額は、範囲・期間・段階・通貨が違うため、比べたり、足したりできません。

比べる前に確かめる4つのこと

各国の数字を横に並べる前に確かめる4つのこと 範囲 量子だけか、関連する 半導体・通信・防衛も 含むか 期間 1年の額か、5年・10年 の総額か。年度の 始まりも国で違う 段階 要求・授権・成立・ 配分・実支出の どれか 通貨と購買力 為替で換算しない。 元の通貨のまま 書く たとえば、英国の「25億ポンド」は、2024年から10年間の約束(将来の総額)、米国の「9.98億ドル」は、1年間の予算の要求、EU の「110億ユーロ 超」は、過去5年間にEUと加盟国が投じた額、で、同じ「量子への投資」でも、中身が違う。 このため、本記事は、国どうしの優劣・順位をつけない。
図6 概念図(ベクター作図)。国の数字を並べる前の確認事項(本記事による整理)。
つまずきやすいところ:年度と「年」

「FY2025」は、暦の2025年とは限りません。米国の連邦政府の会計年度は、前年の10月に始まり、その年の9月に終わります(例:FY2025は2024年10月〜2025年9月)。日本の「2026年度」は、2026年4月から2027年3月です(国の機関の文書の書き方。本記事による解説)。国によって年度の区切りが違うため、「同じ年の予算」として並べると、ずれが生じます。

よくある誤解:「戦略に『◯年までに』と書いてあるので、その年には実現する」

戦略の「◯年までに」は、目標です。たとえば、英国のミッションの「2035年までに、1兆回の演算を行う量子コンピュータを」、日本の「2030年に利用者1,000万人」、DARPA の「2033年までに、産業に役立つ量子コンピュータがつくれるかを見極める」は、いずれも目標や評価の目的で、達成の保証ではありません[参考資料17・14・6]未確定/将来。DARPA は、QBI の見通しとして「少なくとも1社が2033年までにつくれる可能性のほうが高いと見込む」と書いていますが、これも計画する側の見込みです。この記事は、量子コンピュータの実用化の時期を断定しません。

8. 輸出管理 ― 「部素材」が対象になった

(1) 輸出管理とは

輸出管理は、国が、ある物・技術・ソフトウェアを外国へ出すとき(送る、渡す、教える場合を含む)に、許可(ライセンス)を求める制度です。安全保障のために行われ、多くは、国際的な申し合わせ(ワッセナー・アレンジメントなど)で合意された品目のリストにもとづきます。量子コンピュータは、暗号の解読や、軍事の計算に使われうる軍民両用(デュアルユース)の技術とみなされ、近年、量子コンピュータの本体だけでなく、それを作る部品・材料・装置が、管理の対象に加わりました。

量子コンピュータの「部素材」が輸出管理の対象に(米国2024年9月、EU 2025年9月の改正) 量子コンピュータ本体 米国:ECCN 4A906(接続・制御できる物理量子 ビット数と、CNOTゲートの誤り率で区分) EU:量子コンピュータを追加 極低温の装置・電子部品 極低温の冷却システムと部品、極低温ウェハー プローバー、極低温で動く電子回路(米国 3A901・3A904・3B904) EU:同種の品目と、パラメトリック増幅器を追 加 材料 米国 3C907〜3C909:エピタキシャル材料、シ リコン・ゲルマニウムの化合物、同位体を精製 したシリコン・ゲルマニウム(核スピンのない もの) EU:半導体向けの材料・装置も別に追加 米国の規則(連邦官報89巻173号、2024年9月6日)は、同種の管理を行う国際的な相手国との整合をうたう。EU は、2025年9月8日に、輸出管理の品目リスト(附属 書 I)を更新する委任規則を採択した(発効は2か月の審査期間の後)。日本の公式資料は、確認できなかった。 図は、公式文書の記載の要約。品目の正確な範囲・しきい値は規則の本文による(法的助言ではない)。
図7 概念図(ベクター作図)。公式文書の記載の要約。品目の範囲としきい値は規則の本文による。

(2) 米国:2024年9月6日の規則

米国商務省産業安全保障局(BIS)は、2024年9月6日に連邦官報(89巻173号、72926頁〜)で、量子関連の品目を商務省管理品目リスト(CCL)に追加する規則を公表しました[参考資料8]事実。題名は、「国際的な相手国が実施する管理と整合した、先端技術の管理の実施」です。規則は、次のような品目に新しい管理番号(ECCN)をつけました。

ECCN規則の記述(要約)素材技術者にとっての意味(解説)
4A906量子コンピュータと、その電子アセンブリ・部品。管理の基準は、接続され完全に制御できる物理量子ビットの数と、CNOT ゲートの平均誤り率の2つ。規則は、2つを合わせた指標のほうが、1つだけより「懸念される量子コンピュータ」の進歩をよく示す、と説明完成品の話。ただし、「量子ビットの質」が基準に入っている点は、材料・プロセスの質が管理の線引きに関わりうることを示す(解説)
3A904 / 3B904極低温の冷却システム(規則の記述:0.1 K 以下で600マイクロワット以上の冷却能力を48時間超提供するもの、および指定の2段パルスチューブ冷凍機)と、極低温のウェハープローバー(3B904)冷凍機の部品や、低温でウェハーを測る装置を扱う会社は、自社の製品の仕様が該当するかを確認する対象になる(解説)
3A901極低温で動く電子部品(例:極低温 CMOS チップ)と、パラメトリック増幅器極低温で動作する半導体・配線・パッケージの材料にも関係しうる(解説)
3C907 / 3C908 / 3C909エピタキシャル材料(基板の上にエピタキシャル成長させた層をもつもの)、シリコン・ゲルマニウムのフッ化物・水素化物・塩化物、シリコン・ゲルマニウムとその酸化物。いずれも、指定の割合の同位体を含むもの。規則は、核スピンをもたないシリコン・ゲルマニウムの同位体からなる半導体量子ビットが、スピン型の量子コンピュータの開発の鍵となる材料だ、と説明素材そのものが対象。同位体を濃縮した原料や、薄膜を成長させたウェハーを作る・売る・輸送する会社に直接関わる(解説)
3D901 / 3E901 / 4D906 / 4E906上の品目に関するソフトウェアと技術図面・レシピ・成長条件などの「技術」の提供が、物の輸出と同様に扱われうる(解説。具体的な扱いは規則の本文による)

事実。ECCN と記述は、連邦官報89巻173号(2024年9月6日)の記載[参考資料8]。解説欄は本記事による解説で、法的助言ではありません。

規則には、他にも次の記述があります[参考資料8]事実。①これらの品目は、世界のすべての仕向け地に許可を求めるが、同等の管理を実施している国には、許可の例外(License Exception IEC)が認められる。②これらの追加の管理は、関係する多国間の枠組みでは、まだ採用されていない(有志の国との整合として実施)。③規則の公表から60日の猶予(2024年11月5日まで)が、A:1 の国への輸出などに与えられた。④同位体を濃縮したシリコン・ゲルマニウムは、商慣行として、同位体の分布を示す証明書をつけて輸出されるので、その書類が、管理のしきい値の上か下かを確かめる助けになる。

(3) EU:2025年9月8日の更新

欧州委員会は2025年9月8日に、EU の軍民両用品目の輸出管理リスト(規則(EU) 2021/821 の附属書 I)を更新する委任規則を採択しました。更新は、2024年にワッセナー・アレンジメントなどの多国間の枠組みで決まったことに合わせるとともに、加盟国が各々その枠組みの加盟国として約束した、追加の品目を一律に管理するための項目を含みます。量子技術については、量子コンピュータ、極低温で動く電子部品、パラメトリック増幅器、極低温の冷却システム、極低温のウェハープローバーが追加品目として挙げられています[参考資料13]事実。同じ更新には、半導体の製造・試験の装置と材料(例:原子層堆積装置、エピタキシャル堆積の装置と材料、リソグラフィ装置など)も含まれます[参考資料13]事実。更新したリストは、理事会と欧州議会の通常の2か月の審査期間の後に発効するとされています。官報での発効日は、この記事では確認していません。

なお、EU の量子欧州戦略の本文は、戦略で使う「軍民両用の可能性」という言葉が、輸出管理規則の法律用語の「軍民両用品目」より広い、前向きな意味で使われている、と断っています[参考資料10]事実。戦略の言葉と、規則の言葉は、別のものです。

(4) 日本:公式の規則は確認できなかった

日本の量子関連の輸出管理について、この記事は、経済産業省などの公式の規則・公表資料を確認できませんでした。確認できたのは、内閣府の推進方策が、輸出管理とクリアランスを含む経済安全保障の指針を、わかりやすい形で明らかにしていく必要がある、と課題を述べていることだけです[参考資料16]事実。日本の会社が、実際に輸出管理の対象かを知りたいときは、所管官庁の公式の最新情報を確認してください(法的助言ではありません)。

よくある誤解:「輸出管理は、特定の国への輸出を禁止するだけの制度だ」

輸出管理の中心は、決められた品目を、決められた条件で出すときに、許可を求めることです。米国の2024年の規則は、新しい品目について、世界のすべての仕向け地に許可を求める形にしたうえで、同等の管理をする国には許可の例外を認める設計でした[参考資料8]。つまり、国・品目・用途・相手によって、条件が違います(本記事による解説)。個々の取引が対象かどうかは、規則の本文と、所管官庁の確認による必要があります。

装置を輸出するときの、荷造りと確認の場面です。実在の企業・装置・港を示すものではありません。
図8 概念画像(ImageGen生成)。装置を輸出するときの、荷造りと確認の場面です。実在の企業・装置・港を示すものではありません。 実際の製品・施設・寸法・測定結果ではありません。拡大模型と実物スケールの場面は区別してください。
素材技術者の視点③:「うちの製品は該当するのか」を、取引先と一緒に確かめる

量子の分野の取引では、材料の会社が、最終製品が量子コンピュータだと知らないまま、材料を納めている場合があります(本記事による解説)。実務の出発点として、①自社の製品の仕様(同位体の濃縮度、薄膜の構造、冷却性能など)を、規則の記述と照らして確かめる、②取引先に、用途と最終製品を尋ねる、③図面・条件などの「技術」の提供も、物の輸出と同様に扱われうることを知っておく、④リストや規則は改訂されるので、最新の公式情報を確認する、があります。これは確認の手順の例で、法的助言ではありません。該当するかの判断は、規則の本文と、所管官庁・専門家に確かめてください。

9. 評価・標準の読み方

国の量子戦略の「進み具合」を測る物差しは、技術の性能の物差しと違い、共通の標準があまりありません。この記事の確認で使えたものを、種類ごとに整理します。確認日は2026年10月16日です。

評価項目代表的なベンチマーク・評価手法(名称・出典)標準・規則・指針(名称・版・確認した資料)読み方の注意
お金の規模と段階NQI の年次報告(FY2025予算の補足資料):実支出・成立・要求を区別して掲載[参考資料4]事実国家量子イニシアチブ法(公法 115-368)の授権の条文[参考資料3]事実。国どうしに共通の会計基準は確認できなかった段階(要求・授権・成立・配分・実支出)を確かめる。為替で換算しない
技術の到達度を、第三者が検証する仕組みDARPA の QBI(量子ベンチマーク計画):段階A・B・C。目的は「2033年までに産業に役立つ量子コンピュータをつくれるかの見極め」。第三者の検証・評価を提供[参考資料6]事実未確定/将来—(国の戦略の文書が共通に使う性能の指標は、確認できなかった)段階は優劣の順位ではない(DARPA の記述)。評価の結果が公表されているかは、各計画による
輸出管理の線引き米国:量子コンピュータの基準は、物理量子ビットの数と CNOT ゲートの平均誤り率(ECCN 4A906)。冷却は、0.1 K 以下での冷却能力と持続時間(3A904)[参考資料8]事実米国:連邦官報89巻173号(2024年9月6日)。EU:規則(EU) 2021/821 附属書 I の更新(委任規則、2025年9月8日採択)[参考資料8・13]事実しきい値と範囲は規則の本文による。改訂される。日本の公式な規則は確認できなかった
国際標準化—IEC/ISO JTC 3「量子技術」(委員会のページ。作業グループには WG 13 量子乱数生成器、WG 16 量子通信など)[参考資料2]事実。日本の推進方策は「標準化戦略の策定と支援」を取り組みに挙げる[参考資料16]事実標準化の取り組みがあることと、標準が出来ていることは別。個々の規格の版は、各規格の公式ページで確認する
目標の達成英国の5つのミッション、日本の2030年の3つの目標、EU の戦略の行動計画[参考資料17・14・10]未確定/将来—(確認日時点で、達成を共通の方法で測る基準は確認できなかった)目標は達成の保証ではない。達成度を示す公式の評価報告があるかを、各国の文書で確かめる

表の整理は本稿の計算(整理)。名称・日付・状態は、各機関の公式文書で確認(確認日 2026年10月16日)。

読み方の注意(素材技術者向け)

  • 「発表」「計画」「法案」「規則」を見分ける:日々のニュースは、これらを同じ調子で伝えます。法的な効力があるのは、規則(と成立した法律)だけです(本記事による解説)。
  • 「該当するか」は、仕様で決まる:輸出管理では、材料の同位体の割合、冷却能力の数値、量子ビット数など、仕様の数字で該当が決まります。業界名や用途の印象では決まりません[参考資料8]。
  • 日付と状態は更新される:米国の再授権法案、EU の量子法、日本の予算や規則は、確認日以降に変わりえます。引用するときは、確認日を添えてください。
  • 順位表を作らない:この記事は、国の優劣・順位をつけません。第7章の4つの確認なしに、金額を並べた記事は、読み方に注意してください。

10. 用語集

量子ビット
量子コンピュータの最小の単位。向きを変えられる矢印のように考えるとよい。
国家量子イニシアチブ法(NQI 法)
2018年12月に成立した、米国の量子情報科学の研究開発の枠組みを定めた法律(公法 115-368)。
授権(authorisation)
法律が定める、「使ってよい額の上限」。実際の支出は、別に予算で決まる。
予算の成立(appropriation)
議会が、実際に使う予算として決めた額。
要求(request)
政府が、議会に求める予算の額。
配分・採択(award)
特定の事業や機関に、資金を割り当てること。交渉の途中で取り消されることもある。
実支出(expenditure)
実際に使われた額。
会計年度(FY)
予算の区切りの年。米国は前年10月から9月、日本は4月から3月。
DOE 国家量子情報科学研究センター
エネルギー省が支援する5つの研究センター(C2QA、SQMS、Q-NEXT、QSA、QSC)。
DARPA QBI
量子ベンチマーク計画。産業に役立つ量子コンピュータの実現の見通しを、第三者が検証・評価する計画。
量子欧州戦略
欧州委員会が2025年7月2日に採択した、量子の戦略(COM(2025) 363)。5つの行動分野を持つ。
EuroHPC
欧州のスーパーコンピュータの共同事業。量子コンピュータの設置も進める。
EuroQCI
EU 全体をおおう量子通信のインフラを作る取り組み。
EU 量子法
EU が準備している法律。確認日時点で提案されていない。
5か年計画
中国が5年ごとに示す、国民経済・社会の発展の計画。
量子未来社会ビジョン
日本の2022年4月の文書。2030年に向けた3つの目標を掲げた。
テストベッド
開発や実験のために、最新の装置を共用できるようにした環境。
エピタキシャル材料
基板の上に、結晶の向きをそろえて薄い層を成長させた材料。
同位体
同じ元素で、中性子の数が違う原子。核スピンをもたない同位体は、スピン型の量子ビットの材料に使われる。
希釈冷凍機
絶対零度に近い極低温を作る冷却装置。
ECCN(輸出管理分類番号)
米国の商務省管理品目リスト(CCL)で、品目につく管理番号。
BIS(産業安全保障局)
米国商務省の、輸出管理を担当する部局。
軍民両用(デュアルユース)
民生にも軍事にも使える技術や品目。
ワッセナー・アレンジメント
通常兵器と軍民両用品の輸出管理に関する国際的な申し合わせ。
みなし輸出
外国人に国内で技術を提供することを、輸出とみなす考え方。

11. 参考資料(一次情報)

  1. European Commission "European Quantum Communication Infrastructure - EuroQCI"(Shaping Europe's digital future) — digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/european-quantum-communication-infrast
  2. IEC/ISO JTC 3 iso.org の委員会ページ "Quantum technologies"(適用範囲、WG 13 量子乱数発生器・WG 16 量子通信を含む作業部会の一覧。2026年10月16日確認) — iso.org/committee/10138914.html
  3. US Congress H.R. 6227 国家量子イニシアチブ法(National Quantum Initiative Act)、公法 115-368(2018年12月21日成立):Congress.gov の法案ページ(本文と経過) — congress.gov/bill/115th-congress/house-bill/6227
  4. White House OSTP(NQI プログラム) "National Quantum Initiative Supplement to the President's FY 2025 Budget"(NQI の年次報告、2024年) — bidenwhitehouse.archives.gov/wp-content/uploads/2025/01/NQI-Annual-Report-FY2025
  5. 米国エネルギー省(DOE) "Energy Department Announces $625 Million to Advance the Next Phase of National Quantum Information Science Research Centers"(2025年11月4日) — energy.gov/articles/energy-department-announces-625-million-advance-next-phase-n
  6. 米国国防高等研究計画局(DARPA) "Quantum Benchmarking Initiative (QBI)" のプログラムのページ(参加者の一覧は2026年10月8日時点。2026年10月16日確認) — darpa.mil/research/programs/quantum-benchmarking-initiative
  7. 米国議会 S. 3597 国家量子イニシアチブ再授権法(2026年版)(2026年1月8日提出。2026年4月14日に上院商務委員会が報告を決議)と H.R. 8462(2026年4月23日提出。4月29日に下院科学委員会が報告を決議):Congress.gov の経過のページ(2026年10月16日確認) — congress.gov/bill/119th-congress/senate-bill/3597/all-actions
  8. 米国商務省産業安全保障局(BIS) "Commerce Control List Additions and Revisions; Implementation of Controls on Advanced Technologies Consistent With Controls Implemented by International Partners"、連邦官報 89巻173号 72926-72956頁(2024年9月6日)、FR Doc. 2024-19633 — govinfo.gov/content/pkg/FR-2024-09-06/html/2024-19633.htm
  9. European Commission "Quantum Europe Strategy" の資料のページ(5つの行動分野。通知 COM(2025) 363、2025年7月2日。2026年10月16日確認) — digital-strategy.ec.europa.eu/en/library/quantum-europe-strategy
  10. European Commission 通知 COM(2025) 363 "A Quantum Europe Strategy"(2025年7月2日)の全文(PDF、25ページ) — ec.europa.eu/newsroom/dae/redirection/document/117890
  11. European Commission "Quantum" の政策のページ(量子技術フラッグシップ、EuroHPC の量子コンピュータ、EuroQCI、予定される EU 量子法。2026年10月16日確認) — digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/quantum
  12. 欧州議会(立法の進行表) "Quantum Act" の立法の進行表のページ(状態は "Announced"。2026年9月20日時点の情報。2026年10月16日確認) — europarl.europa.eu/legislative-train/theme-a-new-plan-for-europe-s-sustainable-p
  13. European Commission (DG Trade) "2025 Update of the EU Control List of Dual-Use Items"(2025年9月8日) — policy.trade.ec.europa.eu/news/2025-update-eu-control-list-dual-use-items-2025-0
  14. 内閣府 「量子技術イノベーション」のページ(戦略文書の一覧と、2026年9月11日までの新着情報。2026年10月16日確認) — www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/ryoshigijutsu.html
  15. 内閣府 「量子未来産業創出戦略」(2023年4月14日決定) — www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/230414_mirai.pdf
  16. 量子技術イノベーション会議(内閣府) 「量子エコシステム構築に向けた推進方策」(2025年5月30日報告) — www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/250530_q_ecosys.pdf
  17. 英国 科学・イノベーション・技術省(DSIT) "National quantum strategy"(2023年3月15日公開。アクセシブル版のページ。ミッションのページは2023年11月22日公表) — gov.uk/government/publications/national-quantum-strategy
  18. 英国政府 "Tech innovators backed to set up and scale up in Britain through Industrial Strategy"(報道発表、2025年6月23日) — gov.uk/government/news/tech-innovators-backed-to-set-up-and-scale-up-in-britain-
  19. 中華人民共和国国務院(gov.cn) 「中華人民共和国国民経済・社会発展第14次5か年計画と2035年までの長期目標の綱要」(2021年3月13日掲載。中国語) — gov.cn/xinwen/2021-03/13/content_5592681.htm
  20. Xinhua "China to nurture emerging, future industries" (5 March 2026) — english.news.cn/20260305/5b4f900c335e4176842b2e64283c4fa9/c.html
  21. Xinhua "China's five-year blueprint set to fast-track tech adoption on factory floor" (15 March 2026) — english.news.cn/20260315/f9bc0f36ebc240299d3b2d47a558da29/c.html
  22. Xinhua "Xinhua Headlines: China's five-year roadmap bets big on innovation in strategic leap" (10 March 2026) — english.news.cn/20260310/4221a813a22141b2859f01d65d0b3578/c.html

12. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
国家量子イニシアチブ法(公法 115-368、2018年12月21日成立):組織の枠組み、NIST への年8,000万ドル(2019〜2023会計年度)・NSF の研究センター1つあたり年1,000万ドル・DOE の研究センター1つあたり年2,500万ドルの上限(授権)、いずれも予算が充てられることが条件Congress.gov の法案ページ
出典3 https://www.congress.gov/bill/115th-congress/house-bill/6227
事実
連邦政府の QIS 研究開発の金額(FY2019 4.56億ドル、FY2020 6.90億ドル、FY2021 8.51億ドル、FY2022 10.41億ドル、FY2023 10.36億ドル(実支出)、FY2024 10.06億ドル(成立)、FY2025 9.98億ドル(要求))NQI の年次報告(FY2025予算の補足資料)
出典4 https://bidenwhitehouse.archives.gov/wp-content/uploads/2025/01/NQI-Annual-Report-FY2025.pdf
事実
DOE の6.25億ドルの発表(2025年11月4日):5センター、最大5年、FY2025分1.25億ドル、以後は議会の予算次第、採択は資金提供の約束ではないこと、C2QA・SQMS の材料に関する記述DOE の発表
出典5 https://www.energy.gov/articles/energy-department-announces-625-million-advance-next-phase-national-quantum-information
事実
DARPA QBI:2033年の目的、段階A・B・Cの上限額(100万/1,500万/3億ドル)、競争ではなく各社の評価、一覧は2026年10月8日時点、段階を終えた会社は次の契約まで一覧に載らないことDARPA のプログラムのページ(確認日 2026年10月16日)
出典6 https://www.darpa.mil/research/programs/quantum-benchmarking-initiative
事実未確定/将来
米国の再授権法案 S. 3597(2026年1月8日提出、4月14日報告決議)と H.R. 8462(4月23日提出、4月29日報告決議)が、確認日時点で成立していないこと議会の経過のページ(確認日 2026年10月16日)
出典7 https://www.congress.gov/bill/119th-congress/senate-bill/3597/all-actions
事実未確定/将来
米国商務省 BIS の規則(2024年9月6日):ECCN 3A901・3A904・3B904・3C907〜3C909・3D901・3E901・4A906・4D906・4E906、4A906の基準(物理量子ビット数と CNOT 誤り率)、3A904の記述、同位体の記述、世界の仕向け地への許可とIECの例外、多国間の枠組みでは未採用であること、60日の猶予連邦官報89巻173号
出典8 https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2024-09-06/html/2024-19633.htm
事実
EU:量子技術フラッグシップ(2018年、10億ユーロ)、EuroHPC の量子コンピュータ6か所(2022年10月選定、1億ユーロ、EUと17か国が半々)、ポズナンとオストラバの落成(2025年6月・9月)、EuroQCI(2019年6月に27加盟国が署名)、量子法の目的と「2026年採択を予定」欧州委員会の量子の政策のページ(確認日 2026年10月16日)
出典11 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/quantum
出典1 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/european-quantum-communication-infrastructure-euroqci
事実未確定/将来
量子欧州戦略 COM(2025) 363(2025年7月2日):5つの行動分野、過去5年のEUと加盟国の投資110億ユーロ超(EU約20億、加盟国90億超)、市場予測(現在20億〜30億ユーロから2040年に1,550億ユーロ)、量子法の提案を2026年に示すとする記述、「軍民両用の可能性」の語の断り書き欧州委員会の資料のページと通知の全文
出典9 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/library/quantum-europe-strategy
出典10 https://ec.europa.eu/newsroom/dae/redirection/document/117890
事実未確定/将来
EU 量子法の状態が「Announced」で、情報は2026年9月20日時点であること欧州議会の立法の進行表(確認日 2026年10月16日)
出典12 https://www.europarl.europa.eu/legislative-train/theme-a-new-plan-for-europe-s-sustainable-prosperity-and-competitiveness/file-quantum-act
事実未確定/将来
EU の軍民両用品目リスト(附属書 I)の更新(2025年9月8日採択):量子コンピュータ、極低温の電子部品、パラメトリック増幅器、極低温の冷却システム、極低温のウェハープローバー、半導体の装置・材料。2か月の審査期間の後に発効欧州委員会(貿易総局)の発表
出典13 https://policy.trade.ec.europa.eu/news/2025-update-eu-control-list-dual-use-items-2025-09-08_en
事実
日本の戦略文書の名称と日付(2020年1月21日、2022年4月22日、2023年4月14日、2024年4月9日、2025年5月30日)、2030年の3つの目標、2026年の量子ワーキンググループと協力文書内閣府のページ(確認日 2026年10月16日)
出典14 https://www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/ryoshigijutsu.html
出典15 https://www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/230414_mirai.pdf
事実未確定/将来
日本の推進方策(2025年5月30日):人・もの・お金の整理、重要部素材の国産化・サプライチェーンの強靭化の現状認識、冷凍機・人工ダイヤモンド・レーザー・検出器の依存、標準化戦略、輸出管理を含む経済安全保障の指針を明らかにする必要推進方策の本文
出典16 https://www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/250530_q_ecosys.pdf
事実
中国:第14次5か年計画の綱要(2021年3月13日)での量子情報・量子計算・量子通信の記述。第15次の計画に関する新華社の報道(2026年3月)と、希釈冷凍機の輸出封鎖に触れた潘建偉氏の発言の報道国務院のサイト(中国語)と新華社(英語)
出典19 https://www.gov.cn/xinwen/2021-03/13/content_5592681.htm
出典20 https://english.news.cn/20260305/5b4f900c335e4176842b2e64283c4fa9/c.html
出典21 https://english.news.cn/20260315/f9bc0f36ebc240299d3b2d47a558da29/c.html
出典22 https://english.news.cn/20260310/4221a813a22141b2859f01d65d0b3578/c.html
事実未確定/将来
英国:国家量子戦略(2023年3月15日)の25億ポンド(10年間、2024年から)、民間追加10億ポンドの目標、5つのミッション(2023年11月22日公表)。2025年6月23日の報道発表の6.7億ポンド、NQCC の10年間の資金の枠組み、2035年の目標英国政府のページ
出典17 https://www.gov.uk/government/publications/national-quantum-strategy
出典18 https://www.gov.uk/government/news/tech-innovators-backed-to-set-up-and-scale-up-in-britain-through-industrial-strategy
事実未確定/将来
IEC/ISO JTC 3「量子技術」の委員会のページ(作業グループ WG 13、WG 16 など)委員会のページ(確認日 2026年10月16日)
出典2 https://www.iso.org/committee/10138914.html
事実
図2〜7の作図(お金の段階、米国の予算の棒グラフ、日本の戦略の流れ、年表、比較の注意、輸出管理の対象)本稿の作図(公式文書の数字・日付・記述の整理。棒グラフの高さは報告の数字から作図)本稿の計算
文書の種類の分類の表、素材技術者の視点(共通する供給網の注意、確認の手順の例)、「読み方の注意」、各国の見取り図の整理公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関が表明した見解ではない解説
日本の量子関連の予算額、日本の量子関連の輸出管理の公式な規則、中国の量子技術への公式の予算額、米国のFY2026以降の量子関連予算の確定額、英国の6.7億ポンドの期間と25億ポンドとの関係、EU の更新したリストの官報での発効日、国どうしの優劣・順位、企業の評価、法的・投資の助言本記事は述べていない(確認できなかった、または本記事の範囲外)解説
図1・図8がImageGen生成の概念画像であること。図2〜7が実データの観察ではなく説明のための作図であること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月16日/出典は一次情報(米国議会・DOE・DARPA・商務省 BIS、欧州委員会・欧州議会、内閣府、国務院・新華社、英国政府、IEC/ISO の公式ページ)に限定しています。金額は元の通貨のまま、文書の言葉(要求・成立・授権・配分・上限など)で書き、為替で換算していません。日本の量子関連の予算額、日本の量子関連の輸出管理の公式な規則、中国の量子技術への公式の予算額、米国のFY2026以降の確定額、英国の6.7億ポンドの期間は、確認できなかったため記載していません。米国の再授権法案と EU の量子法は、確認日時点で成立していません。図はすべて説明用の概念図または公表資料の数字の作図で、図1と図8はImageGen生成の概念画像です。本記事は、国どうしの優劣・順位をつけず、法的・投資の助言ではありません。

図版更新:2026年10月17日。本文・出典整理表のベクター作図という表記は、保存した元SVGの由来を示します。現在の主図の形式と読み方は各図下の説明を参照してください。ImageGen画像は実測や実在製品の写真ではなく、元SVG・数値・出典は展開して確認できます。