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東芝 企業解説

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COMPANY PROFILE / 量子コンピュータ

東芝
― 量子コンピュータが「現在の暗号を破る」恐れへの備えとして、量子通信(量子鍵配送)を製品にしている会社

東芝の量子は、2本立てです。1本めは、量子鍵配送(QKD)という量子通信の製品化です。これは量子コンピュータそのものではなく、将来の量子コンピュータが現在の暗号を解読する恐れに備えて、暗号の鍵を光の粒で安全に届ける技術です。2本めは、超伝導の量子コンピュータの部品の研究で、理化学研究所と共同で、2つの量子ビットをつなぐ「ダブルトランズモン結合器」を作り、2量子ビットのゲートで忠実度99.90%を示しました。東芝は2023年12月に上場を廃止しており、有価証券報告書は確認できませんでした。本稿は、東芝の決算資料・公式発表・論文など公開資料で確認できた範囲に絞って整理します。

構成:東芝のFY2025決算資料(2026年5月)・公式ニュースリリース・Toshiba Europeの発表・Nature/Physical Review Xの論文・理研の発表を一次情報として使用/確認日 2026年10月16日/最終更新 2026年10月16日

この記事でわかること
  1. 30秒でわかる東芝と、量子コンピュータでの立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 量子コンピュータの世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模(量子に関わる部分に絞る)
  5. 量子コンピュータにかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社は量子コンピュータで何を目指しているか
  9. 量子コンピュータ分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかる東芝と、量子コンピュータでの立ち位置

正式名称株式会社東芝英文名 Toshiba Corporation。本社は川崎市幸区堀川町
上場非上場
(2023年12月20日に上場廃止)
TBJH株式会社が全株を保有(2026年3月末)
量子での類型周辺・ソフト(量子通信)主
超伝導(研究)従
量子コンピュータの完成機は提供していない
量子通信量子鍵配送(QKD)1999年から研究。2020年10月に事業を開始
量子コンピュータの部品研究ダブルトランズモン
結合器
理研と共同。2024年11月、2量子ビットゲート 99.90%
最新の動き(通信)東名阪約600kmの
QKDネットワーク構築開始
2026年6月30日。NTTドコモビジネス・NECと
量子の売上・投資額非公表決算資料にも量子の記載が見つからない
会計年度FY2025=
2026年3月期
4月1日〜翌年3月31日。米国会計基準
まず押さえるべき1点

東芝が量子で売っているのは、量子コンピュータではなく、量子コンピュータが現れても破られにくい鍵を届ける装置(量子鍵配送、QKD)です。いま広く使われている暗号(RSAなど)は、十分に大きな量子コンピュータが実現すれば解読されうると考えられています。そこで、暗号の鍵を、光の粒(光子)1つ1つに載せて届け、盗み見されると光の状態が乱れて分かるようにするのがQKDです 事実。

大事な区別が1つあります。QKDは量子コンピュータを動かす技術ではありません。同じ「量子」でも、量子コンピュータは「計算」、QKDは「通信と暗号」の技術です。東芝にはこのほか、量子コンピュータに着想を得ただけの古典コンピュータ上のソフト(SQBM+)もありますが、これも量子コンピュータではありません(第10章)。量子通信の基礎は本シリーズの技術解説『量子鍵配送と量子通信』『耐量子暗号への移行』で説明しています。

先に覚えておく言葉を4つだけ

量子鍵配送(QKD):暗号の「鍵」を、光子に載せて遠くへ届ける技術。途中で盗み見されると、光子の状態が変わって気づける、とされます(理論上。実際の安全性は装置の作りにも左右されます)。

耐量子暗号(PQC):量子コンピュータでも解きにくいとされる数学の問題を使う、新しい暗号。ソフトウェアで入れ替えられるのが特徴で、QKDとは別の守り方です。

量子ビット/ゲート/忠実度:量子ビットは量子コンピュータの情報の最小単位、ゲートはその操作、忠実度は操作が狙いどおりにできる確率です。99.90%なら、100回に0.1回ほど失敗する、という目安です。

「今盗んで、後で解く」:いま暗号化された通信を盗んで保存しておき、将来の量子コンピュータで解読する、という懸念。長く秘密にしたい情報で特に問題になります。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は「株式会社東芝」、英文では Toshiba Corporation(登記上の英訳名は TOSHIBA CORPORATION)。英国ケンブリッジの Toshiba Europe Limited、日本のIT部門の 東芝デジタルソリューションズ、別会社の上場会社の 東芝テック は、それぞれ別の法人です。東芝の量子鍵配送の発表は、東芝本体・Toshiba Europe・東芝デジタルソリューションズの名前で出るため、本稿は発表した主体を書き分けます。

公式サイト:https://www.global.toshiba/ww/products-solutions/security-ict/qkd.html

3. 量子コンピュータの世界で、この会社はどこにいるか

量子コンピュータに関わる会社は、「量子ビットをどう作っているか(方式)」で、大きく4つに分けると整理しやすくなります。本稿の整理です 本稿の計算。

方式(類型)何を量子ビットにしているか(やさしい説明)
超伝導極低温(絶対零度に近い温度)で電気抵抗がなくなる金属で小さな電気回路を作り、その回路の2つの状態を0と1にあてる方式。半導体の製造に近い方法で作れる反面、極低温の冷却装置と大量の配線が必要。
イオン・中性原子真空の中で、電気を帯びた原子(イオン)や電気的に中性の原子を電磁場やレーザー光(光ピンセット)で捕まえて並べ、原子の内部状態を0と1にあてる方式。原子はどれも同じなので質のそろった量子ビットになりやすいが、操作の速度や規模の拡大が課題。
光・シリコンほか光の粒(光子)の性質や、シリコンの中の電子のスピン(小さな磁石の向き)などを0と1にあてる方式。既存の半導体工場やシリコンフォトニクス(光回路)の技術を使える可能性がある一方、実証はまだ途上の部分が多い。
周辺・ソフト量子ビットを作るのではなく、量子コンピュータを使う・動かす・つなぐ側を担う会社。クラウド、ソフトウェア、制御用の古典コンピュータ、量子通信などが入る。
量子コンピュータに関わる企業の4つの類型 同じ「量子の会社」でも、量子ビットの作り方(方式)で、強みと課題が違う 超伝導 イオン・中性原子 光・シリコンほか 周辺・ソフト 回路で量子ビットを作る 原子やイオンを並べる 光やシリコンで作る クラウド・ソフト・通信 IBM/Google Rigetti/IQM Quantinuum/IonQ QuEra/Pasqal PsiQuantum/Xanadu Diraq/Microsoft NVIDIA/AWS 富士通/東芝 製造技術と研究の蓄積 高い精度と操作性 光の技術と量産の可能性 使いやすさと連携 冷却と配線の難しさ 拡大と速度の課題 方式の実証が途上 自社のデバイスが主力ではない 東芝は主に右端の「周辺・ソフト」(量子通信)、従として左端の「超伝導」にいます 量子鍵配送(QKD)を製品にし、超伝導の量子ビットの部品(結合器)も研究しています
図1 量子コンピュータに関わる企業の4類型と、東芝の位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。東芝がQKDを製品にし、超伝導量子ビットの結合器を研究していることは、東芝の公式資料に基づきます(出典5・17・20・21)。完成した量子コンピュータは提供していません。

4. 会社の規模(量子に関わる部分に絞る)

東芝全体の規模を簡潔に示します。数字は東芝自身の決算資料と会社概要によります。会計は米国会計基準で、「FY2025」は2025年4月〜2026年3月です 事実。

指標(連結、単位:十億円)FY2024(2025年3月期)FY2025(2026年3月期)
売上高3,513.93,709.1
営業利益198.5300.8
項目(2026年3月31日現在)内容
従業員(連結)94,051人
本社・創業神奈川県川崎市幸区堀川町72-34。1875年7月創業
資本金2,014億49百万円
上場状況2023年12月20日に普通株式が上場廃止。TBJH株式会社が全株式(4株)を保有(2026年3月31日現在、親会社等状況報告書)
ここで注意

上の数字は会社全体のものです。量子の事業規模ではありません。東芝は量子に関する売上・研究開発費・設備投資・専任人員のいずれも公表していません 未確定/将来。FY2025の決算資料(2026年5月15日)には、「quantum」の語が見つかりませんでした。

東芝は非上場のため、有価証券報告書は確認できず、EDINETで確認できた法定書類は、親会社等状況報告書(東芝テックの親会社としての報告書)でした。本稿の財務数値は、東芝自身が公表する決算資料によります。

5. 量子コンピュータにかけているリソース

人・金・出資と買収・大学や公的機関との連携の4点について、一次情報で確認できたかどうかを表にしました。「記載なし」「非公表」も確認の成果です。

リソースの種類一次情報で確認できた内容区分
人量子の専任人員数は非公表。量子通信は、英国ケンブリッジに製造拠点とCambridge Research Laboratoryを置くToshiba Europe(量子技術部門の責任者は Dr Andrew Shields 氏、Vice President)と、日本の東芝デジタルソリューションズが担う。量子コンピュータの部品研究は、東芝の研究開発センターの Hayato Goto 氏(Senior Fellow)らが担当事実/人数は非公表
金量子の研究開発費・設備投資は非公表。FY2025の決算資料にも記載なし非公表
外部への出資・買収・合弁・売却東芝のコーポレートベンチャー(CVC)部門がLQUOM(横浜国立大学発の量子中継のスタートアップ)に2023年に出資(金額は非公表)。そのほか量子関連の買収・合弁・売却は確認できなかった事実/ほかは確認できず
大学・研究機関・公的資金との連携理化学研究所(文部科学省Q-LEAPの助成で超伝導の共同研究)/NICT(2020年にQKD装置の導入・運用を受注)/総務省(2030年のQKDネットワークの社会実装を掲げ、東名阪の事業が連携)/ヘリオット・ワット大学(衛星QKDの地上試験)/パデュー大学・オークリッジ国立研究所(原子炉でのQKD実証)/英国NPL(QKD技術の独立評価)/ケンブリッジ大学(共同論文)事実

主要な製品・成果の状況

東芝は量子コンピュータの完成機を提供していないため、機械全体の量子ビット数の欄はありません。超伝導の部品研究は2量子ビットの結果です。数字はすべて東芝の公称または論文値で、方式の違う成果を並べて優劣をつけることはしません(確認日 2026年10月16日)。

製品・成果方式・内容主な数値(東芝公称/論文値)段階日付出典
ダブルトランズモン結合器(2量子ビット)超伝導(トランズモン量子ビット2個を結合器でつなぐ)。物理量子ビット2個、論理量子ビットなし2量子ビットCZゲートの忠実度 99.90%(12時間の平均)、1量子ビットゲート 99.98%。ゲート時間48 ns。コヒーレンス時間 T1 210〜230 µs・T2 130〜360 µs(2つの量子ビット)研究成果(論文)2024年11月21〜22日出典21・22・23
QKD製品(多重化型・長距離型)光子で鍵を届ける。多重化型はデータと鍵を同じ光ファイバーで送る東芝は「150 km超の量子安全ネットワーク」と公称(Toshiba Europe)提供中(2020年10月に事業開始)2020年10月19日出典5・18
高速な鍵配送実環境(東北メディカル・メガバンク機構と)月平均の鍵配送速度 10 Mbps超実証2018年9月11日出典6
長距離のツインフィールドQKD二波長で安定化(実験室)555 km(有限サイズ)・605 km(漸近)で、リピーター並みの鍵レート論文2021年6月7日出典7
コヒーレントな量子通信商用の通信網(ドイツ・フランクフルト〜ケール間)、極低温を使わない検出器254 kmで鍵配送 110 bit/s(Nature)。東芝は「約250 km」と説明論文・フィールド試験2025年4月23日出典8・9
衛星向けQKD送受信機1 GHzクロック、半導体レーザー(VCSEL)使用送信機1.6 kg(2U)、受信機約9 kg。地上の光ファイバーQKDとの接続を実証開発・地上実証(LEO衛星との試験は2027年度に予定)2026年1月28日出典10
商用網での大容量伝送(QKD+PQC)QKDとPQCで共通鍵を配送、暗号はAESとRocca-Sデータ伝送 57.6 Tbps(C帯・L帯)実証(KDDIの商用ネットワーク上)2026年2月18日出典13
Orange Quantum DefenderOrange Businessのサービス。東芝のQKD+PQCを使用パリ地域で商用提供提供中(サービスの提供主体はOrange Business)2025年6月11日出典14

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
1999年量子鍵配送(QKD)の研究開発を開始(東芝の説明)20年以上の研究蓄積
2018年9月11日東北メディカル・メガバンク機構と、実環境で月平均10 Mbps超の鍵配送を実証実用的な鍵の速さを示した
2020年10月19日QKDのシステム事業を開始。NICTの装置導入を受注、英国でBTと産業用の量子安全ネットワークの共同検証(2020年9月16日開始)研究から製品・事業へ
2021年6月7日長距離のツインフィールドQKD(555 km/605 km)の論文がNature Photonicsに公開距離の限界を伸ばす研究
2022年9月「ダブルトランズモン結合器」を理論提案(論文、2022年9月)量子コンピュータの部品に関する提案
2023年CVCがLQUOM(量子中継)に出資長距離化のための部品に先行投資
2024年11月21〜22日理研と、ダブルトランズモン結合器の実験で2量子ビットゲート忠実度99.90%(Physical Review X)理論提案を実際のチップで確認
2025年4月23日ドイツの商用通信網で254 kmのコヒーレントな量子通信をNatureに発表極低温の検出器なしで長距離化
2025年6月11日Orange Businessが東芝のQKDとPQCを使う商用サービス「Orange Quantum Defender」をパリ地域で開始フランス初の商用の量子安全ネットワークサービス(Orange Businessの説明)
2026年1月28日衛星向けの小型QKD送受信機を開発し、地上の光ファイバーQKDとの接続を実証大陸間の量子通信に向けた部品
2026年2月18日KDDI・KDDI総合研究所・Nokiaと、商用網で57.6 Tbpsの大容量データをQKDとPQCの鍵で伝送国内初と説明(KDDI調べ)
2026年3月PQCで離れたQKDネットワークをつなぐ機能(3月2日)、QBTとの大陸間の実証(OFC 2026)、LQUOMとの量子中継の共同研究契約(3月19日)距離の壁を越える複数の方法を同時に探る
2026年6月30日NTTドコモビジネス・NECと、東名阪約600kmの広域量子暗号通信ネットワークの構築を開始国内最大規模のQKDネットワークの検証

7. 今後の計画

衛星QKDLEO衛星と地上局の
長距離試験を2027年度に
会社の計画。複数衛星のネットワークも目指す
量子中継LQUOMと共同研究
2026年3月〜2027年3月
QKDを量子中継で長距離化する検討
東名阪の600km構築後に
QKDの実証実験
総務省は2030年のQKDネットワークの社会実装を掲げる
超伝導(結合器)2量子ビットゲートの
忠実度99.99%を目指す
会社の目標。時期は公表されていない
確認できなかったこと

次は、確認した公式資料に記載がありません 未確定/将来。

量子の売上・投資額・人員/衛星QKD試験の具体的な時期(2027年度の中のいつか)/ダブルトランズモン結合器を使う量子コンピュータ全体の開発計画・量子ビット数/東名阪600kmネットワークの完成時期。

東芝の2020年10月のリリースには、会社自身の市場予測(2035年度に約200億ドル)とシェア目標(2030年度に約25%)が書かれていました。調査会社や会社の市場推計は本稿では採用しません。

8. この会社は量子コンピュータで何を目指しているか

会社が述べている部分と、本稿が読み取った推測を分けて書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
量子コンピュータの発展を、自社の量子通信の追い風と位置づけている2020年のリリースが「量子コンピュータの実現に向けた進展と、データの増加の中で、機密情報の安全な送信の必要が高まっている」と説明。2026年のリリースも同様の背景を記載(出典5・10)事実(位置づけの読みは推測)
QKDだけでなく、PQCと組み合わせる方向(多層防御)を進めているQKDとPQCを一体で提供する発表、PQCで離れたQKDネットワークをつなぐ機能、商用網の実証でもQKDとPQCを併用(出典13・14・15)事実
距離の壁を、衛星・量子中継・PQCとの橋渡しの3方向で越えようとしている衛星用送受信機(2026年1月)、LQUOMとの共同研究(2026年3月)、PQCによる橋渡し(2026年3月)(出典10・11・15)事実
販売は通信事業者との連携が中心Orange Business・BT・KDDI・NTTドコモビジネスなどが、サービスや実証の主体として登場(出典5・12・13・14)推測
超伝導の研究は、量子コンピュータの部品での貢献が目標で、完成機の事業化は当面ない研究ページは部品の提案(結合器・Kerr発振器)を紹介し、完成機の提供計画の記載はない(出典20・21)推測
推測の根拠を1つだけ詳しく:「QKDとPQCの併用」は何を意味するか

東芝はQKDの会社ですが、2026年3月には、PQC(数学に基づく暗号)を使って、離れたQKDネットワークをつなぐ機能を発表しました。Quantum Bridge TechnologiesとのOFC 2026の発表では、PQCは「計算の難しさという仮定に頼っており、その仮定は将来変わりうる」と述べ、DSKEという別の方法も実証しています 事実。

ここから、東芝はQKDをPQCの代わりではなく、PQCと並べて使う防御の層の1つとして売っていると読むのが自然だと本稿は考えます 推測。QKDとPQCのどちらが主流になるか、あるいは併用が標準になるかは、まだ確定していません 未確定/将来。

9. 量子コンピュータ分野の提携マッピング

東芝を中心とした量子分野の提携関係 東芝と相手企業・機関の公式発表に記載がある関係のみ。確認日 2026年10月16日 共同開発・共同研究・実証 商用サービス・導入 出資(CVC) 東芝 量子通信+研究 NTTドコモビジネス・NEC 東名阪600kmのQKD網 KDDI・KDDI総研・Nokia 商用網で57.6Tbpsを伝送 理化学研究所 ダブルトランズモン結合器 Orange Business 商用サービス(パリ、2025) Quantum Bridge Tech. 大陸間の実証(DSKE) ヘリオット・ワット大ほか 衛星QKDの地上試験など LQUOM(量子中継) 2023年に出資、2026年に共同研究
図2 東芝を中心とした量子分野の提携関係。出典:東芝・Toshiba Europe・NTTドコモビジネス・理研などの発表(出典5・10〜16・21・22)。英国のBTとは2020年に産業用の量子安全ネットワークを共同検証しました(出典5)。図に含めたのは公式資料に記載がある関係だけで、報道のみの関係は含めていません。Orange Quantum Defenderの提供主体はOrange Businessです。

10. 提供している技術・製品・サービス

東芝の量子鍵配送が「暗号の鍵を光の粒で届ける」様子の概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。
図3 概念画像(ImageGen生成)。東芝の量子鍵配送が「暗号の鍵を光の粒で届ける」様子の概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。 実際の製品・施設・寸法・測定結果ではありません。拡大模型と実物スケールの場面は区別してください。

東芝の量子の提供物は、量子鍵配送(QKD)の装置と鍵の管理ソフト(量子通信)と、超伝導量子ビットの部品の研究の2本立てです。まず最初の図解でQKDの仕組みを、次の図解でPQCとの違いを見ます。

量子鍵配送(QKD)の仕組み:鍵を光の粒で届け、盗み見を見つける 東芝の公式説明を、本稿が簡略化した図。安全性は理論上のもので、実際は装置の作りにも左右される 送信側の装置 光子1つずつに 鍵の情報を載せる 受信側の装置 光子を1つずつ 受けて鍵を作る 光ファイバー (光の粒=光子) 盗み見をしようとすると ① 光子で鍵を共有する ② 盗み見の跡(光の状態の乱れ)がないか確認する ・盗み見されると光子の状態が変わり、受信側で誤りが増えるので、気づける(東芝の説明) ③ 安全に共有できた鍵を使って、データ本体は通常の暗号(AESなど)で暗号化して送る 量子の性質を使うのは「鍵を届ける部分」だけ。データ本体の暗号化は通常の仕組みです。
図解 量子鍵配送(QKD)の仕組みの概念図。「光子に鍵を載せ、盗み見されると状態が変わって気づける」という説明は東芝の発表(出典6・10)に基づきます。光ファイバーだけでは信号の減衰で距離が限られ(数百km超は難しい)、通常の光の中継器は光子を複製できないため使えない、とも説明されています(出典10)。盗み見の具体的な方法は扱いません。
量子コンピュータへの2つの備え:数学で守るか、物理で守るか 東芝とQuantum Bridge Technologiesの発表の説明を、本稿が並べ直した図。優劣をつけるものではない 耐量子暗号(PQC) 守り方 量子コンピュータでも解きにくい とされる数学の問題を使う 入れ方 ソフトウェアで入れ替えられる 気をつける点 「解きにくい」という仮定は将来変わりうる 量子鍵配送(QKD) 守り方 物理法則を使う(盗み見で光の 状態が変わる) 入れ方 専用の装置と光ファイバーが要る 気をつける点 距離に限りがある。装置の実装も重要 東芝は、2つを組み合わせる「多層防御」を提供している 例:Orange Quantum Defender(QKD+PQC)、PQCで離れたQKD網をつなぐ機能
図解 耐量子暗号(PQC)と量子鍵配送(QKD)の違い。「PQCは計算の難しさの仮定に頼り、その仮定は将来変わりうる」はQuantum Bridge Technologiesとの発表(出典16)、「光ファイバーだけでは距離が限られる」は東芝の衛星QKDの発表(出典10)、2つの併用はOrange Businessとの発表(出典14)に基づきます。各国の安全保障機関のQKDに対する見解は本稿では確認しておらず、本シリーズの技術解説『量子鍵配送と量子通信』『耐量子暗号への移行』で扱います。

量子コンピュータの部品の研究:2つの量子ビットの「つなぎ役」

東芝の研究ページは、超伝導回路を使う量子コンピュータの実現に向けて、これまでに3つを提案したと説明しています。Kerrパラメトリック発振器(シュレーディンガーの猫状態をつくる回路)、量子分岐マシン(それを基本素子にしたアニーリング型にもゲート型にもなりうる量子コンピュータ)、ダブルトランズモン結合器(2つの量子ビットのつなぎ役)です 事実。このうち結合器は、2024年に理研と実際のチップで確かめられました。

ダブルトランズモン結合器:つなぐ強さを「ほぼ0」から「強く」まで変える 東芝・理研の発表(2024年11月)を、本稿が簡略化した模式図 量子ビット1 4.314 GHz 量子ビット2 4.778 GHz ダブルトランズモン結合器 2つの小さな量子ビットと ループで作った「つなぎ役」 待機中:つなぐ強さ 約6 kHz ほとんど干渉せず、誤りの元を減らす ゲート実行中:最大 約80 MHz 強くつないで48ナノ秒でCZゲート 結果:2量子ビットのCZゲートの忠実度 99.90%(12時間の平均)、1量子ビットゲート 99.98%(東芝・理研の公称) 周波数が大きく違う(約460 MHz)量子ビットどうしでも使えることが特長。物理量子ビット2個の結果で、論理量子ビットではない。
図解 ダブルトランズモン結合器の模式図。数値(約6 kHz〜約80 MHz、48ナノ秒、99.90%・99.98%、周波数4.314 GHz・4.778 GHz)は東芝・理研の発表と論文(出典21・22・23)に基づきます。実際の回路の配置ではありません。
量子コンピュータと間違えやすいもの:SQBM+(量子に着想を得た古典のソフト)

東芝の「SQBM+」は、量子コンピュータの研究から着想を得て作った組み合わせ最適化のソフトウェアで、GPUやFPGAなどふつうのコンピュータの上で動きます。東芝自身が「古典的な力学に基づく新しい方法」「擬似量子とも呼ばれる」と説明しており、量子コンピュータではありません 事実(出典24・25)。本稿は、量子コンピュータの企業解説として、このソフトを東芝の量子コンピュータ事業には数えません。

素材技術者の視点:結合器の性能を決める「超伝導材料・回路・製造工程」と、QKDを支える光部品

東芝は、ダブルトランズモン結合器が働くには、ゲート動作より長いコヒーレンス時間が要り、そのためには「超伝導材料、周囲の回路設計、製造工程のすべてを慎重に考える」必要があったと説明しています 事実。実際、2つの量子ビットのT1(励起状態が保たれる時間)は210〜230マイクロ秒、T2(重ね合わせが保たれる時間)は130〜360マイクロ秒と報告されています。理研の発表では、チップに超伝導のシリコン貫通ビア(TSV)を配置した最先端の製造技術を使ったことも挙げられています 事実。

もう1つは量子通信の光部品です。衛星向けQKDの送信機は、半導体レーザー(VCSEL)を複数使い、FPGAで制御して、1 GHzで光子を送ります。また2025年のNature論文は、これまで必要とされた「極低温の光子検出器」を使わず、半導体のアバランシェ・フォトダイオードで単一光子を検出して254 kmを達成した、としています 事実。材料や部品の面から見ると、QKDの距離と速さは「光子の損失」「検出器の雑音」「レーザーの安定性」に左右されます。詳しくは本シリーズの技術解説『半導体レーザー』『光検出器』『光ファイバー』『シリコンフォトニクス』『超伝導量子ビット』で扱っています。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
量子の事業規模が外から検証できない売上・投資額・人員が非公表。非上場のため、有価証券報告書も確認できない(確認できたのは東芝自身の決算資料のみ)事実
QKDが「量子コンピュータへの唯一の答え」ではない同じ脅威にはPQC(ソフトで入れ替え可能)という別の対策があり、東芝自身も併用を進めている。PQCの採用が進むほど、QKDの需要が限られる可能性がある推測
距離とコストの壁光ファイバーだけでは信号の減衰で数百km超が難しい。衛星・量子中継・PQCの橋渡しはいずれも発展途上で、LEO衛星との試験は2027年度の予定事実
安全性は装置の実装にも左右されるQKDは理論上の安全性をもつ一方、実際の装置の作りが重要。英国NPLによる独立評価があるが、各国の機関のQKDに対する見解は本稿では確認していない事実
「実証」と「商用」の差KDDIの57.6 Tbpsは商用網での実証、NTTドコモビジネスとの600kmは構築開始の段階。商用サービスはOrange Businessのパリ地域などに限られる事実
2020年の市場予測・シェア目標は未検証2020年10月のリリースの「2035年度に約200億ドル、2030年度に約25%のシェア」は会社の当時の見通しで、達成状況は確認できなかった未確定/将来
量子コンピュータ側の研究は完成機に遠いダブルトランズモン結合器は2量子ビットの結果で、多数の量子ビットを並べた機械の計画・量子ビット数は確認できなかった事実
企業構造の変化2023年12月に上場廃止し、TBJH株式会社の完全子会社になっている。経営・開示の形が今後変わる可能性がある(2026年10月16日時点の状況)事実

12. 用語集

量子鍵配送(QKD)
暗号の鍵を光子に載せて届け、盗み見を検知する技術。量子コンピュータではない。
耐量子暗号(PQC)
量子コンピュータでも解きにくいとされる数学の問題を使う暗号。ソフトで入れ替えられる。
「今盗んで、後で解く」
いまの暗号文を保存しておき、将来の量子コンピュータで解読する懸念。
量子ビット(qubit)
量子コンピュータの情報の最小単位。0と1の重ね合わせという状態を取れる。
物理量子ビット/論理量子ビット
物理量子ビットは実際のチップ上の量子ビット。論理量子ビットは誤り訂正でまとめた丈夫な量子ビット。
ゲート・忠実度
ゲートは量子ビットへの操作。忠実度は操作が狙いどおりにできる確率。
トランズモン
超伝導量子ビットの代表的な形の1つ。周囲の電気的な雑音に比較的強い。
結合器(カプラー)
2つの量子ビットの間の「つなぐ強さ」を調整する回路。
T1/T2
量子ビットが励起状態を保つ時間(T1)と、重ね合わせの位相を保つ時間(T2)。
ツインフィールドQKD
送信側と受信側の中間で光を干渉させ、距離を伸ばすQKDの方式。
量子中継
量子の状態を壊さずに長距離へ伝えるための部品。まだ研究段階。
量子に着想を得た(quantum-inspired)
量子コンピュータの考え方をヒントに、ふつうのコンピュータで動かす手法。量子コンピュータではない。
親会社等状況報告書
子会社の上場会社に関して、親会社が出す法定の報告書(日本)。

13. 出典

  1. 東芝 FY2025 Consolidated Business Results(2026年5月15日)。連結売上高・営業利益(米国会計基準)。「quantum」の語は見つからなかった。 https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/ww/ir/corporate/finance/pdf/tpr2025q4e.pdf
  2. 東芝 Corporate Data(2026年3月31日現在)。本社・設立・資本金・連結売上高・連結従業員数。確認日 2026年10月16日。 https://www.global.toshiba/ww/outline/corporate/profile.html
  3. 東芝 Financial Highlights(IR)。「東芝の普通株式は2023年12月20日に上場廃止」との記載。確認日 2026年10月16日。 https://www.global.toshiba/ww/ir/corporate/finance.html
  4. 株式会社東芝 親会社等状況報告書 第187期(2026年6月30日、関東財務局へ提出、EDINET書類S100YNOK)。TBJH株式会社が東芝の全株式(4株)を保有。 https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100YNOK.pdf
  5. 東芝 Toshiba launches Quantum Key Distribution (QKD) System Business(ニュースリリース、2020年10月19日)。 https://www.global.toshiba/ww/news/corporate/2020/10/pr1901.html
  6. 東芝 High-speed quantum cryptographic communications with key distribution(ニュースリリース、2018年9月11日)。月平均10 Mbps超。 https://www.global.toshiba/ww/news/corporate/2018/09/pr1101.html
  7. Nature Photonics Twin-field QKD の二波長安定化による長距離の鍵配送、Nature Photonics 15, 530–535(2021年6月7日公開)。LQUOMとの発表が東芝の成果として引用。 https://www.nature.com/articles/s41566-021-00811-0
  8. Pittaluga ほか(Toshiba Europe) Long-distance coherent quantum communications in deployed telecom networks, Nature 640, 911–917(2025年4月23日公開)。DOI 10.1038/s41586-025-08801-w。 https://www.nature.com/articles/s41586-025-08801-w
  9. Toshiba Europe Toshiba breakthrough brings quantum communications to existing national-scale telecommunications infrastructure(2025年4月24日)。 https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-breakthrough-on-national-quantum-networking/
  10. 東芝(Corporate Laboratory) Toshiba Successfully Develops High-Speed, Compact QKD Transmitter-Receiver System for Satellite Deployment(2026年1月28日)。 https://www.global.toshiba/ww/technology/corporate/rdc/rd/topics/26/2601-02.html
  11. 東芝・LQUOM Toshiba and LQUOM Sign Joint Research Agreement on Long-Distance QKD Using Quantum Repeater Technology(2026年3月19日)。 https://www.global.toshiba/ww/news/corporate/2026/03/news-20260319-01.html
  12. NTTドコモビジネス・東芝・NEC 国内初となる東名阪約600kmにおよぶ広域量子暗号通信ネットワークの構築を開始(2026年6月30日)。 https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2026/0630_2.html
  13. 東芝デジタルソリューションズほか 商用ネットワーク上で耐量子セキュリティ技術を活用した大容量データ伝送に成功(2026年2月18日、日本語)。 https://www.global.toshiba/jp/news/digitalsolution/2026/02/news-20260218-01.html
  14. Toshiba Europe Orange Business and Toshiba partner to launch first commercial quantum-safe network service in France(2025年6月11日)。 https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-orange-launch-commercial-quantum-network/
  15. Toshiba Europe Toshiba Enables Global Connectivity for Quantum-Safe Networks with Bridging Solution(2026年3月2日)。 https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-enables-global-connectivity-for-quantum-safe-networks-with-bridging-solution/
  16. Toshiba Europe Toshiba Europe Limited and Quantum Bridge Technologies Demonstrate Global Quantum-Safe Networking capability(OFC 2026で発表)。 https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-europe-limited-and-quantum-bridge-technologies-demonstrate-global-quantum-safe-networking-capability/
  17. 東芝 Quantum Key Distribution(QKD製品ページ)。確認日 2026年10月16日。 https://www.global.toshiba/ww/products-solutions/security-ict/qkd.html
  18. Toshiba Europe Quantum Key Distribution(製品ページ)。150 km超の量子安全ネットワークという公称。確認日 2026年10月16日。 https://www.toshiba.eu/quantum/products/quantum-key-distribution/
  19. Toshiba Europe Toshiba Quantum(量子技術のトップページ)。英国NPLによる独立評価、パデュー大学・ORNLの原子炉での実証、Quantum Corridorとの試験などの掲載。確認日 2026年10月16日。 https://www.toshiba.eu/quantum/
  20. 東芝(Corporate R&D Center) Research and Development of Quantum Computers(研究ページ)。超伝導回路による量子コンピュータの研究、Kerrパラメトリック発振器・量子分岐マシン・ダブルトランズモン結合器の提案。確認日 2026年10月16日。 https://www.global.toshiba/ww/technology/corporate/rdc/rd/quantum-computer.html
  21. 東芝 Toshiba’s Proposed Double-Transmon Coupler for Superconducting Quantum Computers Achieves World-Class Two-Qubit Gate Performance(2024年11月22日)。 https://www.global.toshiba/ww/technology/corporate/rdc/rd/topics/24/2411-03.html
  22. 理化学研究所 Scientists develop novel high-fidelity quantum computing gate(理研のニュース、2024年11月)。1量子ビットゲート99.98%。 https://www.riken.jp/en/news_pubs/research_news/pr/2024/20241122_2/index.html
  23. Li ほか(RIKEN・Toshiba) Realization of High-Fidelity CZ Gate Based on a Double-Transmon Coupler, Physical Review X 14, 041050(2024年11月21日)。DOI 10.1103/PhysRevX.14.041050。 https://doi.org/10.1103/PhysRevX.14.041050
  24. 東芝 Quantum-Inspired Optimization Solutions SQBM+(製品ページ)。量子に着想を得た最適化ソフト。確認日 2026年10月16日。 https://www.global.toshiba/ww/products-solutions/ai-iot/sbm.html
  25. 東芝デジタルソリューションズ Announcing the Launch of the Quantum-Inspired Optimization Solution SQBM+(ニュースリリース、2022年3月2日)。 https://www.global.toshiba/ww/company/digitalsolution/news/2022/0302.html

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
東芝の本社・創業・資本金・連結売上高(FY2025:3,709.1十億円)・連結従業員94,051人事実出典2 https://www.global.toshiba/ww/outline/corporate/profile.html
連結売上高・営業利益(FY2024・FY2025)、決算資料に「quantum」の語が見つからなかったこと事実本稿の本文検索の結果 / 出典1 https://www.global.toshiba/content/dam/toshiba/ww/ir/corporate/finance/pdf/tpr2025q4e.pdf
2023年12月20日の上場廃止、TBJH株式会社が全株式(4株)を保有事実出典3・4 https://www.global.toshiba/ww/ir/corporate/finance.html https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100YNOK.pdf
量子に関する売上・研究開発費・設備投資・専任人員が非公表であること未確定/将来いずれも非公表。本稿では推計もしない
QKDの事業開始(2020年10月19日)、NICTの受注、BTとの共同検証、2020年時点の市場予測・シェア目標(採用しない)、ケンブリッジの製造拠点事実市場予測は会社の当時の見通し / 出典5 https://www.global.toshiba/ww/news/corporate/2020/10/pr1901.html
月平均10 Mbps超の鍵配送(2018年9月11日)事実出典6 https://www.global.toshiba/ww/news/corporate/2018/09/pr1101.html
ツインフィールドQKDで555 km・605 km(Nature Photonics、2021年)事実出典7 https://www.nature.com/articles/s41566-021-00811-0
254 kmのコヒーレントな量子通信、110 bit/s、非極低温の検出器(Nature、2025年4月23日)事実出典8・9 https://www.nature.com/articles/s41586-025-08801-w https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-breakthrough-on-national-quantum-networking/
衛星向けQKD送受信機(1 GHz、送信機1.6 kg、受信機約9 kg)と、2027年度のLEO衛星との試験予定(2026年1月28日)事実2027年度の試験は会社の計画 / 出典10 https://www.global.toshiba/ww/technology/corporate/rdc/rd/topics/26/2601-02.html
LQUOMとの共同研究(2026年3月〜2027年3月)と、2023年のCVC出資事実出典11 https://www.global.toshiba/ww/news/corporate/2026/03/news-20260319-01.html
東名阪約600kmのQKDネットワークの構築開始(2026年6月30日)と、総務省の2030年の社会実装目標事実出典12 https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2026/0630_2.html
KDDI・Nokiaとの商用網での57.6 Tbps伝送(2026年2月18日)、QKD+PQC、AES・Rocca-S事実出典13 https://www.global.toshiba/jp/news/digitalsolution/2026/02/news-20260218-01.html
Orange Quantum Defender(2025年6月11日、QKD+PQC、パリ地域)事実出典14 https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-orange-launch-commercial-quantum-network/
PQCでQKDネットワークをつなぐ機能(2026年3月2日)事実出典15 https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-enables-global-connectivity-for-quantum-safe-networks-with-bridging-solution/
QBTとのDSKEによる大陸間の実証(OFC 2026)、PQCが「計算の仮定に頼る」との記述事実出典16 https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-europe-limited-and-quantum-bridge-technologies-demonstrate-global-quantum-safe-networking-capability/
QKD製品の説明と「150 km超」の公称、英国NPLの独立評価、パデュー大学・ORNLの実証事実Toshiba公称 / 出典17・18・19 https://www.global.toshiba/ww/products-solutions/security-ict/qkd.html https://www.toshiba.eu/quantum/products/quantum-key-distribution/ https://www.toshiba.eu/quantum/
超伝導量子コンピュータの研究(Kerr発振器・量子分岐マシン・ダブルトランズモン結合器)事実出典20 https://www.global.toshiba/ww/technology/corporate/rdc/rd/quantum-computer.html
ダブルトランズモン結合器:2量子ビットゲート99.90%(12時間平均)、48 ns、約6 kHz〜約80 MHz、T1・T2、99.99%の目標事実東芝・理研の公称 / 出典21・23 https://www.global.toshiba/ww/technology/corporate/rdc/rd/topics/24/2411-03.html https://doi.org/10.1103/PhysRevX.14.041050
1量子ビットゲート99.98%、超伝導TSVの使用事実出典22 https://www.riken.jp/en/news_pubs/research_news/pr/2024/20241122_2/index.html
SQBM+が量子に着想を得た古典のソフトであること(擬似量子)事実出典24・25 https://www.global.toshiba/ww/products-solutions/ai-iot/sbm.html https://www.global.toshiba/ww/company/digitalsolution/news/2022/0302.html
量子の会社を4類型に分ける整理本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズで扱う企業から例示
量子コンピュータの完成機の提供計画、ダブルトランズモン結合器を使う機械の量子ビット数、衛星試験の具体的な時期未確定/将来確認できなかった。本稿では推計しない
「量子コンピュータの発展を自社の量子通信の追い風と位置づけている」という読み推測本稿の解釈 / 出典5・10 https://www.global.toshiba/ww/news/corporate/2020/10/pr1901.html https://www.global.toshiba/ww/technology/corporate/rdc/rd/topics/26/2601-02.html
「販売は通信事業者との連携が中心」という読み推測本稿の解釈 / 出典5・12・13・14 https://www.global.toshiba/ww/news/corporate/2020/10/pr1901.html https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2026/0630_2.html https://www.global.toshiba/jp/news/digitalsolution/2026/02/news-20260218-01.html https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-orange-launch-commercial-quantum-network/
「超伝導の研究は部品での貢献が目標で、完成機の事業化は当面ない」という読み推測本稿の解釈 / 出典20・21 https://www.global.toshiba/ww/technology/corporate/rdc/rd/quantum-computer.html https://www.global.toshiba/ww/technology/corporate/rdc/rd/topics/24/2411-03.html
「QKDをPQCの代わりではなく併用する防御の層の1つとして売っている」という読み推測本稿の解釈 / 出典14・15・16 https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-orange-launch-commercial-quantum-network/ https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-enables-global-connectivity-for-quantum-safe-networks-with-bridging-solution/ https://www.toshiba.eu/quantum/news/toshiba-europe-limited-and-quantum-bridge-technologies-demonstrate-global-quantum-safe-networking-capability/
「PQCの採用が進むほどQKDの需要が限られうる」というリスク推測本稿の解釈

最終更新:2026年10月16日/Troy Technical
本稿の数値はすべて、東芝・Toshiba Europe・提携先の公式発表と、査読論文に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません(東芝の2020年の市場予測は、会社の見通しとして紹介するにとどめ、採用していません)。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。性能の数値は東芝の公称または論文値で、他社製品との優劣を示すものではありません。確認日は2026年10月16日です。

図版更新:2026年10月17日。本文・出典整理表のベクター作図という表記は、保存した元SVGの由来を示します。現在の主図の形式と読み方は各図下の説明を参照してください。ImageGen画像は実測や実在製品の写真ではなく、元SVG・数値・出典は展開して確認できます。