COMPANY PROFILE / 量子コンピュータ
NVIDIA
― 量子ビットは自分では作らず、量子コンピュータを「動かし続けるための古典コンピュータ」で関わる会社
NVIDIAは量子コンピュータの本体(量子チップ)を作っていません。同社の公式ページ自身が「QPU(量子プロセッサ)を直接作るのではなく、量子ハードウェアが頼る古典スーパーコンピュータの層に注力する」と説明しています。量子ビットは壊れやすいため、動かし続けるには、測定結果を瞬時に判定し、補正を返す高速な古典コンピュータが要ります。NVIDIAはそこを、GPU・ソフトウェア(CUDA-Q)・高速接続(NVQLink)で担おうとしています。一方、同社の年次報告書(Form 10-K)には量子コンピューティングの記載が見つからず、量子の売上・投資額は非公表です。本稿は公式ページとプレスリリースで確認できた範囲に絞って整理します。
- 30秒でわかるNVIDIAと、量子コンピュータでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 量子コンピュータの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(量子に関わる部分に絞る)
- 量子コンピュータにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は量子コンピュータで何を目指しているか
- 量子コンピュータ分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるNVIDIAと、量子コンピュータでの立ち位置
(量子ビットは作らない)主たる類型。従たる類型はなし
cuQuantum/Isingソフト・接続・AIモデル・シミュレーション
2026年9月14日発表誤り訂正に強い量子コンピュータ向けの設計道具
QuEra・PsiQuantum・Quantinuum2025年9月に各社が発表。金額は非公表
量子コンピュータは、量子チップ(QPU)だけでは動きません。量子ビットは外からの揺らぎで簡単に壊れるため、実際には「チップの状態を測る → 古典コンピュータがどこで間違えたかを判定する → 補正の指示を返す」という作業を、極めて短い時間で繰り返し続ける必要があります。NVIDIAはこの「古典コンピュータ側」を、GPU(もとは画像処理用で、今はAIにも使われる大量並列計算の部品)で担うことを狙っています 事実。
つまりNVIDIAは、IBMやGoogleのように量子ビットを作る会社ではなく、どの方式の量子チップを作る会社とも組める「つなぐ側」です。この立場は、量子ビットを作る会社の記事(本シリーズの他の企業解説)とは決定的に違います。量子コンピュータの基礎は本シリーズの技術解説『量子コンピュータの基礎』『量子誤り訂正と表面符号』で説明しています。
量子ビット:量子コンピュータの情報の最小単位。0と1の重ね合わせという特別な状態を取れる、ごく小さな部品です。QPUは、量子ビットを並べた量子チップのことです。
誤り訂正:量子ビットは壊れやすいので、たくさんの量子ビット(物理量子ビット)をまとめて1つの丈夫な量子ビット(論理量子ビット)として扱い、間違いを見つけて直す仕組みです。
デコード:誤り訂正で測った結果から、「どこで間違いが起きたか」を割り出す計算のことです。ここを速くするのがGPUの役目です。
校正:量子チップは調整が狂いやすいので、設定をこまめに合わせ直す作業のことです。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は NVIDIA Corporation、本稿では略してNVIDIAと書きます(日本語では「エヌビディア」と書かれることもあります)。同社が出資を行うベンチャーキャピタル部門は NVentures と呼ばれ、NVIDIA本体とは別名で公表されるため、出資の話では区別して書きます。製品名のCUDA-Q・NVQLink・Isingは、会社名ではなく製品や技術の名前です。
公式サイト:https://www.nvidia.com/en-us/about-nvidia/legal-info/logo-brand-usage/3. 量子コンピュータの世界で、この会社はどこにいるか
量子コンピュータに関わる会社は、「量子ビットをどう作っているか(方式)」で、大きく4つに分けると整理しやすくなります。本稿の整理です 本稿の計算。
| 方式(類型) | 何を量子ビットにしているか(やさしい説明) |
|---|---|
| 超伝導 | 極低温(絶対零度に近い温度)で電気抵抗がなくなる金属で小さな電気回路を作り、その回路の2つの状態を0と1にあてる方式。半導体の製造に近い方法で作れる反面、極低温の冷却装置と大量の配線が必要。 |
| イオン・中性原子 | 真空の中で、電気を帯びた原子(イオン)や電気的に中性の原子を電磁場やレーザー光(光ピンセット)で捕まえて並べ、原子の内部状態を0と1にあてる方式。原子はどれも同じなので質のそろった量子ビットになりやすいが、操作の速度や規模の拡大が課題。 |
| 光・シリコンほか | 光の粒(光子)の性質や、シリコンの中の電子のスピン(小さな磁石の向き)などを0と1にあてる方式。既存の半導体工場やシリコンフォトニクス(光回路)の技術を使える可能性がある一方、実証はまだ途上の部分が多い。 |
| 周辺・ソフト | 量子ビットを作るのではなく、量子コンピュータを使う・動かす・つなぐ側を担う会社。クラウド、ソフトウェア、制御用の古典コンピュータ、量子通信などが入る。 |
4. 会社の規模(量子に関わる部分に絞る)
NVIDIAは会社全体が非常に大きいので、ここでは規模だけを押さえます。会計年度は1月末で終わるため、「2026年度(FY2026)」は2025年1月27日〜2026年1月25日を指します 事実。
| 指標(単位:百万米ドル) | FY2024(2024年1月期) | FY2025(2025年1月期) | FY2026(2026年1月期) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 60,922 | 130,497 | 215,938 |
| 研究開発費 | 8,675 | 12,914 | 18,497 |
| 項目(FY2026末) | 内容 |
|---|---|
| 従業員 | 約42,000人(38か国)。うち研究開発に約31,000人 |
| 本社・設立 | 米国カリフォルニア州サンタクララ。1993年4月に設立 |
| 上場市場 | NASDAQ(銘柄コードNVDA) |
上の数字は会社全体のものです。量子コンピューティングの事業規模を示す数字ではありません。NVIDIAは量子に関する売上・研究開発費・設備投資・専任人員のいずれも公表していません 未確定/将来。FY2026の10-Kと直近の10-Q(2026年7月26日終了)を本文検索しても、量子コンピューティングに関する記載は見つかりませんでした(10-Kでは「quantum」の語が、役員の経歴にある別会社名として1回出るだけです)。
また、NVIDIAのプレスリリースには調査会社による量子コンピュータ市場の予測が引用されていますが、調査会社の推計は本稿では採用しません。
5. 量子コンピュータにかけているリソース
人・金・出資と買収・大学や公的機関との連携の4点について、一次情報で確認できたかどうかを表にしました。「記載なし」「非公表」も確認の成果です。
| リソースの種類 | 一次情報で確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 量子専任の人員数・拠点ごとの人数は非公表。量子部門の責任者として Timothy Costa 氏(Vice President and General Manager of quantum)の名前が2026年9月のリリースに出る | 非公表/事実 |
| 金 | 量子向けの研究開発費・設備投資は非公表(10-Kに記載なし)。全社の研究開発費は第4章のとおり | 非公表 |
| 外部への出資 | NVentures が QuEra Computing(2025年9月9日発表)・PsiQuantum(同年9月10日の10億米ドルの調達に参加)・Quantinuum(同年9月4日発表の約6億米ドルの調達に新規出資者として参加)に出資。NVentures自身の出資額は各社の発表に書かれておらず、非公表 | 事実 |
| 買収・合弁・売却 | 量子コンピュータ関連の買収・合弁・事業売却は、確認した公式資料の範囲では確認できなかった | 確認できず |
| 大学・研究機関・公的連携 | 米国の国立研究所(NVQLinkの開発に参加)、産業技術総合研究所のG-QuAT/ABCI-Q(H100 2,020基)、NVAQCでのハーバード大学量子イニシアチブとMIT・EQuSグループ、CUDA-Q Academicに参加する大学・研究機関(公式ページに25組織の名前)。米国エネルギー省の研究所との連携は、プレスリリースに長官のコメントが載る | 事実 |
主要な製品・拠点の状況(量子ビット数・誤り率は対象外)
NVIDIAは量子チップを作らないため、量子ビット数・誤り率の欄はありません。代わりに、製品や拠点がどの段階にあるかを、発表と提供開始を分けて示します(確認日 2026年10月16日)。数値はいずれもNVIDIA公称です。
| 製品・拠点 | 何をするものか | 段階 | 日付 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| DGX Quantum | GPUシステムと Quantum Machines の制御装置(OPX+)をつなぐ初期の構成。GPUとQPUの間を1マイクロ秒未満で結ぶと説明 | 発表 | 2023年3月21日 | 出典10 |
| CUDA-Q | 量子チップ・GPU・CPUを1つのプログラムで扱うオープンソースのソフト(Python・C++)。pip install cudaq で入手できると説明 | 提供中 | 確認日 2026年10月16日 | 出典9 |
| CUDA-Q QEC(CUDA-QX) | 誤り訂正のデコード用ライブラリ。公式ページは、BP-OSDという方法で「業界標準のデコーダー」より1回の判定で29〜35倍速いと説明(条件は公式ページを参照) | 提供中 | 確認日 2026年10月16日 | 出典6 |
| NVQLink | 量子チップの制御装置とGPUを結ぶ開かれた接続の設計。往復遅延4.0マイクロ秒未満(FPGA–GPU–FPGA)、最大400 Gb/s | 発表→API公開 | 発表 2025年10月28日/cudaq-realtime 公開 2026年3月 | 出典2・3・4 |
| NVAQC(ボストンの研究拠点) | 量子ハードウェアとGB200 NVL72を組み合わせて試す研究施設。パートナーは Quantinuum・QuEra・Quantum Machines・MITのEQuSなど | 建設を発表(開所日は確認できず) | 2025年3月18日 | 出典5・6 |
| Ising(Calibration/Decoding) | 量子チップの校正を自動化する視覚言語モデルと、誤り訂正のデコード用ニューラルネット。復号は pyMatching 比で最大2.5倍速く、3倍正確と説明 | 提供開始 | 2026年4月14日 | 出典7 |
| CUDA-Q Logical | 誤り訂正を前提にした量子コンピュータのアプリを、論理量子ビットの層で設計・評価する道具 | 提供開始 | 2026年9月14日 | 出典8 |
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2023年3月21日 | DGX Quantum を Quantum Machines と発表。CUDA Quantum をオープンソース化したと説明 | GPUと量子チップの制御装置を直接つなぐ構成の最初の発表 |
| 2024年3月18日 | 日本の産総研のABCI-Qを、NVIDIAのGPUとCUDA-Qで動かすと発表。構築は富士通(H100 2,000基超) | 日本の国家プロジェクトが量子とGPUの組み合わせに向かう |
| 2024年5月12日 | ISC(スーパーコンピュータの国際会議)で、ドイツ・日本・ポーランドの計算センターが、IQM・QuEra・ORCA の量子チップをCUDA-Qで動かすと発表 | 方式の違う量子チップ(超伝導・中性原子・光)を同じソフトで扱う例 |
| 2025年3月18日 | ボストンにNVAQCを建設すると発表。当時は「2025年内に運用開始の予定」と書かれていた | 研究拠点をNVIDIA自身が持つ |
| 2025年5月18日 | 産総研のG-QuAT(ABCI-Qを置く施設)の開所を発表。H100は2,020基 | 世界最大級の量子研究用スーパーコンピュータと説明 |
| 2025年9月 | NVentures が QuEra(9月9日発表)・Quantinuum(9月4日発表)・PsiQuantum(9月10日発表)に出資 | 方式の違う3社(中性原子・イオン・光)に同時期に出資 |
| 2025年10月28日 | NVQLink を発表。QPU開発企業17社・制御装置企業5社・米国の研究所9か所が参加すると説明 | 接続を「標準的な形」にしようとする動き |
| 2026年3月(GTC 2026) | NVQLink を cudaq-realtime というAPIで公開。Dell の製品、Anyon Computing と SDT による韓国のデータセンターでの導入を紹介 | 発表から実際に使える状態へ。ただし導入規模の数字は示されていない |
| 2026年4月14日 | Ising(校正とデコード用のAIモデル)を発表 | AIを量子コンピュータの制御に使う方向 |
| 2026年9月14日 | CUDA-Q Logical を発表。フェルミ国立加速器研究所が、耐障害量子コンピュータの設計検討を5か月から3週間(約7倍速)にできたと説明。サンディア国立研究所のベンチマークQUOPSをCUDA-Qで利用可能に | 誤り訂正後の世界(論理量子ビット)の設計を支える道具 |
7. 今後の計画
公開済み対応する制御装置・サーバーは各社が提供
公式ページに掲載2025年内の運用開始予定と発表。開所日は確認できず
GPU科学スパコンは
ハイブリッドに」2025年10月のジェンスン・フアン氏の発言。会社の見通し
次はいずれも、確認した公式資料に記載がありません 未確定/将来。
量子関連の売上・投資額・人員/NVQLinkを実際に導入した台数や拠点数/NVAQCの開所日と稼働状況/製品ごとの将来の提供時期。各プレスリリースには「提供は when-and-if-available(可能になれば提供する)で、約束や法的義務ではない」という注意書きがあります。
8. この会社は量子コンピュータで何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| どの方式が勝つかに賭けず、全方式をつなぐ位置を取っている | NVQLinkには超伝導・イオン・中性原子・光などのQPU開発企業17社が参加し、CUDA-Qは方式に依存しないと説明されている(出典2・9) | 推測 |
| 誤り訂正の「判定と補正」をGPUの仕事として定着させたい | NVQLinkもIsing Decodingも「リアルタイムのデコード」を主目的に挙げている(出典3・7) | 推測 |
| AIを量子コンピュータの制御に持ち込むのが次の柱 | Isingは校正(視覚言語モデル)とデコード(ニューラルネット)を提供。CEOは「AIが量子マシンの制御の層になる」と述べた(出典7) | 事実(解釈は推測) |
| 当面の顧客は国立研究所・計算センター・量子企業で、量子の売上は小さいか、まだ別枠で見ていない | 導入例は研究機関と量子企業が中心。10-Kに量子の記載がなく、売上は非公表(出典1・2・4) | 推測 |
| 本業のGPU・AIの需要を量子にも広げる狙いがある | NVAQCもNVQLinkも、GPUサーバー(GB200 NVL72など)の利用を前提にしている(出典3・5) | 推測 |
NVQLinkの公式ページは、遅延の目標値をあえて決めないと書いています。量子チップの種類によって、必要な応答の速さが「ミリ秒からマイクロ秒」まで大きく違うからです。そのかわり、誰でも同じ手順で測れるオープンなベンチマークを用意し、NVIDIA以外のネットワーク構成でも、cudaq-realtimeに対応していれば使えるとしています 事実。
ここから、NVIDIAは自社の部品だけを使わせて囲い込むよりも、多くの量子チップ企業に採用してもらうことを優先していると読むのが自然だと本稿は考えます 推測。どちらが正しいかは、今後の採用状況で変わりえます。
9. 量子コンピュータ分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
NVIDIAの量子向けの製品は、層になった道具として考えると分かりやすくなります。下の図解は、NVIDIAの公式ページが挙げる製品群を、本稿が「何をする層か」で並べ直したものです 本稿の計算。まず最初の図解で、量子チップとGPUがどうつながるのかを見ます。
NVIDIAは量子ビットの材料(超伝導薄膜、同位体を精製したシリコン、レーザー用の光学部品など)を作っていません。ただ、材料や素子の側から見ると、2つの場所でNVIDIAの道具が効くと同社は説明しています 事実。
1つめは素子の設計です。NVAQCの公式ページは、より良い量子ビットの設計を素早く見つけるには「包括的で難しいハードウェアのシミュレーション」が必要で、それをAIスーパーコンピュータで行うと説明しています。つまり、新しい薄膜や配置を試作する前に、GPU上の模擬で候補を絞る使い方です。2つめは校正です。Ising Calibrationは、量子チップの調整にかかる時間を「日から時間へ」減らすと説明されており、設定を合わせ直す作業を自動化する狙いです 事実。素子ごとの特性のばらつきには、材料の欠陥や膜厚の差なども一因になりえます(本稿による一般的な説明で、どの材料にどう効くかは公式資料に記載なし)。
さらにGTC 2026では、半導体の設計向けに量子化学の計算をGPUで加速するcuESTが発表され、Samsung・Synopsys・TSMCが使うと紹介されました 事実。これは「量子コンピュータ」ではなく、古典のGPUで量子力学の計算をする道具で、量子ビットとは別の話です。混同しないよう注意してください。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 量子の事業規模が外から検証できない | 売上・投資額・人員が非公表で、10-Kにも記載が見つからない。量子での進捗は、プレスリリースと公式ページの記述でしか追えない | 事実 |
| 速度・精度の数値はNVIDIA公称で、比較の相手が限られる | Isingの「2.5倍・3倍」は pyMatching との比較、CUDA-Q QEC の「29〜35倍」は「業界標準のデコーダー」との1回の判定での比較。別の方法・別の条件では結果が変わりうる | 事実 |
| 量子ハードウェア側の成否に左右される | NVIDIAは量子チップを作らないため、QPU開発企業が誤り訂正付きの大規模機を実現できるかが、NVQLinkやCUDA-Qの需要を決める | 推測 |
| 接続・ソフトの標準争い | NVQLinkは開かれた設計で、NVIDIA以外の構成も使えるとされる。各社が独自の制御・接続を選ぶ可能性もある | 推測 |
| 「発表」と「提供」の差 | NVAQCは建設の発表から開所日が確認できず、NVQLinkも発表(2025年10月)からAPI公開(2026年3月)まで間がある。プレスリリースは「提供は約束ではない」と明記している | 事実 |
| 量子コンピュータの実現時期そのものが不確定 | CUDA-Q Logical のような道具が前提とする大規模な耐障害量子コンピュータは、まだ実現していない。実現時期は各社の見通しであり確定していない | 未確定/将来 |
12. 用語集
- 量子ビット(qubit)
- 量子コンピュータの情報の最小単位。0と1の重ね合わせという状態を取れる。
- 物理量子ビット/論理量子ビット
- 物理量子ビットは実際のチップ上の量子ビット。論理量子ビットは、多数の物理量子ビットを誤り訂正でまとめて作る、丈夫な「仮想の」量子ビット。
- QPU
- Quantum Processing Unit。量子ビットを並べた量子チップ。
- 量子誤り訂正(QEC)
- 壊れやすい量子ビットの間違いを見つけて直す仕組み。
- デコード
- 誤り訂正で測った結果から、どこで間違いが起きたかを割り出す計算。速さが重要。
- 校正
- 量子チップの設定を合わせ直す作業。狂いやすいので定期的に必要。
- FPGA
- 後から回路の中身を書き換えられる集積回路。量子チップの制御装置によく使われる。
- GPU
- もとは画像処理用で、大量の計算を同時にこなすのが得意な部品。AIにも使われる。
- CUDA-Q
- NVIDIAのオープンソースの量子コンピューティング用ソフト。量子チップ・GPU・CPUを1つのプログラムで扱う。
- NVQLink
- 量子チップの制御装置とGPUを高速につなぐ、NVIDIAの開かれた接続の設計。
- ハイブリッド(量子・古典)
- 量子チップと古典コンピュータを組み合わせて1つの計算をすること。
- Form 10-K/10-Q
- 米国上場企業がSECに出す年次報告書/四半期報告書。
13. 出典
- NVIDIA Form 10-K for the fiscal year ended January 25, 2026(米国SEC提出、2026年2月25日)。売上高・研究開発費・従業員数・本社。「quantum」の語は役員経歴中の別会社名にしか現れず、量子コンピューティングの記載は見つからなかった。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1045810/000104581026000021/nvda-20260125.htm
- NVIDIA NVIDIA Introduces NVQLink — Connecting Quantum and GPU Computing for 17 Quantum Builders and Nine Scientific Labs(プレスリリース、2025年10月28日)。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-nvqlink-quantum-gpu-computing
- NVIDIA NVIDIA NVQLink(公式製品ページ)。往復遅延4.0マイクロ秒未満・最大400 Gb/s・cudaq-realtime API・遅延を規定しない方針・オープンなベンチマーク。確認日 2026年10月16日。 https://www.nvidia.com/en-us/solutions/quantum-computing/nvqlink/
- NVIDIA NVIDIA GTC 2026: Live Updates(NVIDIAブログ、2026年3月19日)。NVQLinkを cudaq-realtime API で公開、Dell製品、Anyon Computing・SDTの韓国での導入、cuEST。 https://blogs.nvidia.com/blog/gtc-2026-news/
- NVIDIA NVIDIA to Build Accelerated Quantum Computing Research Center(プレスリリース、2025年3月18日)。NVAQC の発表。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-to-build-accelerated-quantum-computing-research-center
- NVIDIA Accelerated Quantum Computing Solutions(公式ページ)。NVIDIA の役割(QPUを直接作らない)、製品群、NVAQC、CUDA-Q Academic、CUDA-Q QEC の速度比較。確認日 2026年10月16日。 https://www.nvidia.com/en-us/solutions/quantum-computing/
- NVIDIA NVIDIA Launches Ising, the World’s First Open AI Models to Accelerate the Path to Useful Quantum Computers(プレスリリース、2026年4月14日)。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-launches-ising-the-worlds-first-open-ai-models-to-accelerate-the-path-to-useful-quantum-computers
- NVIDIA NVIDIA Expands Open Source CUDA-Q Platform for Fault-Tolerant Quantum Computing(プレスリリース、2026年9月14日)。CUDA-Q Logical、サンディア国立研究所の QUOPS、フェルミ国立加速器研究所の事例。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-expands-open-source-cuda-q-platform-for-fault-tolerant-quantum-computing
- NVIDIA NVIDIA CUDA-Q(開発者向け公式ページ)。オープンソース、Python・C++、QPU非依存の説明、cuda-quantum の入手方法。確認日 2026年10月16日。 https://developer.nvidia.com/cuda-q
- NVIDIA NVIDIA Announces New System for Accelerated Quantum-Classical Computing(プレスリリース、2023年3月21日)。DGX Quantum。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-announces-new-system-for-accelerated-quantum-classical-computing
- NVIDIA NVIDIA Powers Japan’s ABCI-Q Supercomputer for Quantum Research(プレスリリース、2024年3月18日)。富士通が構築。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-powers-japans-abci-q-supercomputer-for-quantum-research
- NVIDIA NVIDIA Accelerates Quantum Computing Centers Worldwide With CUDA-Q Platform(プレスリリース、2024年5月12日)。独ユーリッヒ、日本の産総研、ポーランドのポズナン。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-accelerates-quantum-computing-centers-worldwide-with-cuda-q-platform
- NVIDIA NVIDIA Powers World’s Largest Quantum Research Supercomputer(プレスリリース、2025年5月18日)。G-QuAT の開所と ABCI-Q(H100 2,020基)。 https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-powers-worlds-largest-quantum-research-supercomputer
- QuEra Computing QuEra Expands $230 Million Financing Round(プレスリリース、2025年9月9日)。NVentures の出資。 https://www.quera.com/press-releases/quera-expands-230-million-financing-round-advancing-quantum-accelerated-supercomputing
- PsiQuantum PsiQuantum Raises $1 Billion to Build Million-Qubit Scale, Fault-Tolerant Quantum Computers(プレスリリース、2025年9月10日)。NVentures の出資とNVIDIAとの協力。 https://www.psiquantum.com/news-import/psiquantum-1b-fundraise
- Quantinuum/Honeywell Honeywell Announces $600 Million Capital Raise For Quantinuum(プレスリリース、2025年9月4日)。NVentures が新規出資者として参加。 https://www.quantinuum.com/press-releases/honeywell-announces-600-million-capital-raise-for-quantinuum-at-10b-pre-money-equity-valuation-to-advance-quantum-computing-at-scale
- Quantinuum Quantinuum selected as a founding collaborator for NVIDIA Accelerated Quantum Research Center(プレスリリース、2025年3月18日)。 https://www.quantinuum.com/press-releases/quantinuum-selected-as-a-founding-collaborator-for-nvidia-accelerated-quantum-research-center
- NVIDIA Form 10-Q for the quarterly period ended July 26, 2026(米国SEC提出、2026年8月26日)。直近の四半期報告書にも量子コンピューティングの記載は見つからなかった。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1045810/000104581026000075/nvda-20260726.htm
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月16日/Troy Technical
本稿の数値はすべて、NVIDIAが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類と、NVIDIA・提携先の公式発表に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。性能の数値はNVIDIA公称で、他社製品との優劣を示すものではありません。確認日は2026年10月16日です。
