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Google Quantum AI 企業解説

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COMPANY PROFILE / 量子コンピュータ

Google Quantum AI
― 超伝導チップを自社工場で作り、「誤りを減らしながら規模を広げる」実験を論文で積み重ねる研究チーム

Google Quantum AIは、Alphabet(Googleの親会社)の中で量子コンピュータを研究・開発するチームで、2012年に設立されました(創設者の説明)。 量子ビット(量子コンピュータの計算の最小単位)を超伝導回路で作る方式を中心に、 2019年に「古典コンピュータでは現実的な時間で再現できない計算をした」と発表し、2024年12月には新しいチップWillow(105量子ビット)で 「量子ビットを増やすほど誤りが減る」誤り訂正の実験をNature誌に発表しました。 2025年10月には「検証可能な量子優位性」を主張する論文を発表し、2026年3月には中性原子方式の研究も始めると発表しました。 ただし、Googleは量子コンピュータを一般向けの商品として販売しておらず、Willowは選ばれた研究者にだけ提供されています。 本稿はGoogle Quantum AIに絞り、何を主張し、それに対してどんな反論や確認の状況があるかを、論文と公式発表の範囲で整理します。

構成:Alphabetが米国SECに提出した2025年12月期のForm 10-K・2026年6月30日終了四半期のForm 10-Q、Google公式ブログ、Google Quantum AI公式サイト、Nature誌などの査読論文、DARPAの公式ページを一次情報として使用/確認日 2026年10月16日(量子分野は変化が速いため、機器名・計画・契約はこの日付時点)

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるGoogle Quantum AIと、量子コンピュータでの立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. 量子コンピュータの世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模(Google Quantum AIに絞って簡潔に)
  5. 量子コンピュータにかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画(すべて計画です)
  8. この会社は量子コンピュータで何を目指しているか
  9. 量子コンピュータ分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるGoogle Quantum AIと、量子コンピュータでの立ち位置

名称/所属Google Quantum AI
(Google Researchの一部)
親会社はAlphabet Inc.。2012年にHartmut Neven氏が設立と本人が説明
拠点米国・カリフォルニア州サンタバーバラ量子データセンター、研究室、チップ製造設備を持つキャンパス(2021年5月発表)
量子での区分超伝導(主)
イオン・中性原子(従・研究段階)
中性原子は2026年3月に研究開始を発表。区分は本稿による
量子ビットの作り方超伝導回路(トランズモン)極低温(約0.01K)に冷やした電気回路を量子ビットとして使う
最新のチップWillow
物理105量子ビット
2024年12月発表。2025年10月のブログで更新後の性能を公表
誤り訂正の実験距離7の符号で
1サイクルあたり誤り0.143%
Nature誌(2024年12月)。論理量子ビットではなく「メモリ」の実験
次のマイルストーン長寿命の論理量子ビットGoogleが「次の目標」と明記。達成の発表は確認できなかった
販売一般向けの販売・クラウド提供は
確認できなかった
Willowは選ばれた研究者向けの早期アクセスのみ。ソフトCirqは公開
まず押さえるべき1点

Google Quantum AIは、量子コンピュータを「売る会社」というより、大規模な誤り訂正つき量子コンピュータの実現に向けた研究を、チップ製造まで自社で行うチームです。 成果の多くは、Nature誌などの査読論文として公開されています 事実。 そのため、他の会社より「何を実験で示したか」を条件つきで確認しやすい反面、 「古典コンピュータなら何年かかる」といった比較は、Googleの推定であって実測ではありません。 古典側の研究者が「別の方法で再現できた」と反論した前例(2019年)もあるため、本稿は「量子優位性」を企業の主張として扱い、反論の有無を並べて書きます 未確定/将来。

はじめての方へ:この記事に出てくる言葉を、先に4つだけ

量子ビット:量子コンピュータの計算の最小単位。普通のコンピュータの「ビット(0か1)」にあたり、0と1を同時に含む状態を取れますが、壊れやすく、少しの熱や電気ノイズで間違えます。

物理量子ビットと論理量子ビット:装置上に実際にある量子ビットが「物理量子ビット」、間違いを直すために多数の物理量子ビットを束ねて作る間違えにくい仮想の量子ビットが「論理量子ビット」です。数え方がまったく違うので、本稿は必ずどちらかを書きます。

しきい値(threshold):誤り訂正では、物理量子ビットの誤りが一定より小さいとき(しきい値より下)にだけ、量子ビットを増やすほど誤りが減ります。Willowの実験は、この「しきい値より下」を実験で示したと主張するものです。

量子優位性:量子コンピュータが、ある計算で、いま知られている古典コンピュータの最良の方法より優れた結果を出すこと。「できた」という発表のあとに、古典側が「同じことができた」と反論する応酬が繰り返されてきました。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:チーム名はGoogle Quantum AIで、Google Researchの一部です。親会社はAlphabet Inc.で、10-K(年次報告書)を提出するのはAlphabetです。 本稿の「会社の規模」は、Alphabet全体の数字を簡潔に示したうえで、Google Quantum AIに関わる数字を分けて扱います。

混同しやすいもの:Cirq(サーク)はGoogleが公開している量子回路用のオープンソースのソフト、Willow(ウィロー)は2024年12月発表の量子チップ、Sycamore(シカモア)は2019年の53量子ビットのチップの名前です。 量子ではないGoogle DeepMindや、AIの「Gemini」とは別の話です。

公式サイト:https://quantumai.google/

3. 量子コンピュータの世界で、この会社はどこにいるか

量子コンピュータに関わる会社は、どうやって量子ビットを作るかで4つに分けると整理しやすくなります。 超伝導は「電気回路を極低温に冷やして量子ビットにする」方式、イオン・中性原子は「原子そのものを並べて量子ビットにする」方式、 光・シリコンほかは「光の粒やシリコンの中の電子のスピンを使う」方式、周辺・ソフトは「量子ビットは作らず、使いやすくする」会社です。

量子コンピュータに関わる企業の4つの類型 同じ「量子の会社」でも、量子ビットの作り方(方式)で、強みと課題が違う 超伝導 イオン・中性原子 光・シリコンほか 周辺・ソフト 回路で量子ビットを作る 原子やイオンを並べる 光やシリコンで作る クラウド・ソフト・通信 IBM/Google Rigetti/IQM Quantinuum/IonQ QuEra/Pasqal PsiQuantum/Xanadu Diraq/Microsoft NVIDIA/AWS 富士通/東芝 製造技術と研究の蓄積 高い精度と操作性 光の技術と量産の可能性 使いやすさと連携 冷却と配線の難しさ 拡大と速度の課題 方式の実証が途上 自社のデバイスが主力ではない Google Quantum AIは超伝導方式で、チップ製造から誤り訂正の実験までを自社で行う研究チーム 2026年3月に中性原子方式の研究も加えた(従の類型)。商品としての販売は確認できなかった
図1 量子コンピュータに関わる企業の4類型と、Google Quantum AIの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。Google Quantum AIが超伝導方式の研究を行っていること、2026年3月24日に中性原子方式を研究に加えると発表したことは、Googleの公式ブログに基づきます。
超伝導方式を、1分で

金属の中には、極端に冷やすと電気抵抗がゼロになる「超伝導」という状態になるものがあります。 Googleは、そうした金属で作った小さな電気回路(トランズモンと呼ばれる型。2019年のNature論文では5〜7GHzの共振回路と説明)を量子ビットとして使い、 マイクロ波で操作します。冷却装置の内部は約10ミリケルビット(約−273.14℃)まで下がると、Googleのキャンパス紹介記事は書いています 事実。 利点は、半導体と同じ「ウェハーに回路を描く」製造技術を使えるため、設計を変えながら数を増やしやすいこと。 難点は、極低温まで冷やす装置の大きさと、配線の数、そして量子ビットどうしの間違いの出方が複雑なことです。本シリーズの技術解説『超伝導量子ビット』『極低温と制御』でも扱います。

4. 会社の規模(Google Quantum AIに絞って簡潔に)

Alphabetは世界最大級のIT企業で、量子はその中のごく一部です。会社全体は表1つで押さえます 事実。

指標(Alphabet全体)2023年12月期2024年12月期2025年12月期
売上高(百万US$)307,394350,018402,836
研究開発費(百万US$)45,42749,32661,087
設備投資(有形固定資産の取得。百万US$)32,25152,53591,447
従業員(2025年12月31日)190,820人(本社:米国カリフォルニア州マウンテンビュー。ナスダック上場 GOOGL・GOOG)
ここで注意

上の数字はAlphabet全体のものです。量子の売上・研究開発費・設備投資・人員は、10-Kにも10-Qにも分けて記載されていません 未確定/将来。 2025年12月期の10-Kで「量子コンピューティング」の語が出てくるのは1か所だけで、「AIのほか、量子コンピューティングのような最先端の技術にも長期的に投資する」という趣旨の一文です。 2026年6月30日終了四半期の10-Qには量子の記載を確認できませんでした。 本稿は量子の支出を推計しません。Google Quantum AIの規模を示す公式の数字は、後述の「Atlantic Quantumのチームが加わった」「大学への拠出(上限5,000万US$・10年)」など、個別の公式発表の範囲に限られます。

5. 量子コンピュータにかけているリソース

Google Quantum AIは金額・人員をほとんど公表していません。確認できたものと、確認できなかったものを4点に分けて示します。

リソースの種類確認できた内容(確認日 2026年10月16日)区分
人チームの人数は非公表。確認できたのは、(1) Nature誌のWillow論文の著者が250人規模(共著者一覧)、(2) 2025年10月にAtlantic Quantum(MITから生まれたスタートアップ)のチームが加わったこと、(3) 2026年3月にAdam Kaufman氏が中性原子ハードウェアのチームを率いるために加わったこと(米国コロラド州ボルダー。CU Boulder・JILAの教員を兼務)事実(人数は確認できず)
金(支出)量子の研究開発費・設備投資は、10-K・10-Qに分けて記載なし。Google自身の発表で金額が確認できたのは次の3件:(1) シカゴ大学・東京大学との10年間の提携でGoogle拠出は上限US$5,000万(3者合計で上限US$1億、2023年5月)、(2) 生命科学と量子の研究プログラムREPLIQAで、Google.orgが5大学にUS$1,000万(2026年5月11日)、(3) XPRIZE Quantum Applications(総額US$500万、Google Quantum AI・Google.org・GESDAが支援。各社の負担額は記載なし)事実(支出の実績は確認できず)
外部への出資・買収(1) Atlantic Quantum:2025年10月2日に「チームがGoogleに加わる」と発表(超伝導制御回路を極低温部に載せたチップの会社。買収額は記載なし)、(2) QuEra Computing:2026年3月の公式ブログが「Googleのポートフォリオ企業」と記述(出資額・比率は記載なし)事実(金額は確認できず)
公的資金・政府との関係DARPAの量子ベンチマーク計画(QBI)のStage Aに参加(2025年9月9日付でDARPAの発表に追記)。DARPAの2026年10月8日時点の参加者一覧でも、Google Quantum AIはStage Aとして掲載されており、Stage B・Stage Cの一覧には載っていない。Googleが政府から受けた助成額は確認できなかった事実/金額は確認できず
大学・研究機関との連携カリフォルニア大学バークレー校(Quantum Echoesの分子実験)、シカゴ大学・東京大学(10年間の提携。Googleが最大72量子ビットのプロセッサへのアクセスを提供すると2023年に発表)、CU Boulder・JILA・NIST(ボルダーの中性原子の拠点)、REPLIQAの5大学事実
製造・施設米国カリフォルニア州サンタバーバラに、量子データセンター、研究室、自社のチップ製造設備を持つキャンパス(2021年5月に発表)。Willowはこの施設で製造したと2024年12月のブログに記載事実

主要なデバイスと実験の状況(確認日 2026年10月16日・すべてGoogleの論文・公式発表)

量子ビットの数は「物理」と「論理」を分けて示します。誤り率やフィデリティ(操作が正しく行われる確率)はGoogleが示した条件つきの値で、他の方式・他社の数値と並べて優劣を比べることはできません。

デバイス・実験方式量子ビット数代表的な誤り率・性能(会社公表・条件つき)段階日付・出典
Sycamore超伝導物理53(54のうち1個が不具合)ランダム回路サンプリング(RCS)で、約200秒で終わる課題を古典の最先端スーパーコンピュータでは約1万年と見積もったと主張(2019年の見積もり)実験(論文)Nature 574(2019年10月)
Willow(誤り訂正の実験)超伝導(表面符号のメモリ)物理105のチップ。距離7の符号は101量子ビット符号の距離を2上げるごとに論理誤りがΛ=2.14±0.02倍に抑えられ、距離7で1サイクルあたり誤り0.143%±0.003%。最良の物理量子ビットの寿命の2.4±0.3倍(ブレークイーブン超え)。リアルタイム復号は距離5で平均63マイクロ秒、1サイクル1.1マイクロ秒実験(論文)。論理ゲートの実験ではないNature 638(2025)、2024年12月9日のブログ
Willow(RCS)超伝導物理1055分以内に終わる計算を、古典のスーパーコンピュータでは10の25乗年かかると見積もった(Googleの推定。測定ではない)実験(発表)2024年12月9日のブログ
Willow(Quantum Echoes)超伝導物理(論文は103量子ビット、ブログは105量子ビットの配列)OTOC(2)という量の測定で、最良の古典アルゴリズムに対し約13,000倍高速とGoogleが主張。1兆回の測定を実施実験(論文)。企業の主張Nature 646(2025年10月)、ブログ
Willow(更新後の性能)超伝導物理105105量子ビット全体で、1量子ビットゲートのフィデリティ99.97%、2量子ビットのもつれ生成ゲート99.88%、読み出し99.5%(会社公表。平均か最良かの記載なし)稼働(研究用)2025年10月22日のブログ
長寿命の論理量子ビット超伝導未公表Googleは「次のマイルストーン」と明記。達成の発表は確認できなかった計画2025年10月22日のブログ
中性原子のチップ中性原子未公表2026年3月に研究開始を発表。装置の仕様・量子ビット数は記載なし開発の開始2026年3月24日のブログ

6. これまでの取り組み

Googleは自分たちの道筋を「ロードマップ」として公開し、「第1の山:古典を超える計算(2019年)」「第2の山:誤り訂正の試作(2023年)」を終え、 Willowで「しきい値より下」を示して「第3の山:長寿命の論理量子ビット」に向かっている、と説明しています 事実。

時期できごと意味
2012年Google Quantum AIを設立(創設者のHartmut Neven氏の説明)以後、Google Researchの一部として研究
2019年10月Sycamore(53量子ビット)で「量子超越性」を主張する論文をNature誌に発表。約200秒の計算を、古典では約1万年と見積もった同年、IBMの研究者らは「記憶装置を使えば数日でシミュレートできる」とする論文を公開。2022年にはPan氏らが512個のGPUで約15時間で再現した(下の囲み参照)
2021年5月サンタバーバラの「Quantum AIキャンパス」を発表(量子データセンター、研究室、自社のチップ製造設備)設計から製造まで自社で回す体制。10年以内に誤り訂正つきの量子コンピュータをめざすと表明
2023年2月誤り訂正の試作(表面符号で、符号を大きくすると論理誤りが減ることを示した最初の実験とGoogleが説明)をNature誌に発表Googleは「第2の山」の達成と説明
2023年5月シカゴ大学・東京大学と10年間の提携(3者合計で上限US$1億、Google拠出は上限US$5,000万)日米政府の量子分野の共同声明に合わせた発表
2024年12月9日Willow(105量子ビット)を発表。誤り訂正が「しきい値より下」にあることを示す論文をNature誌に発表符号を大きくするほど論理誤りが約半分になった、とGoogleは説明(距離3→5→7)
2025年10月2日Atlantic Quantumのチームが加わると発表超伝導の制御回路を極低温部に載せる設計を取り込む(Googleの説明)
2025年10月22日「Quantum Echoes」の論文をNature誌に発表。「検証可能な量子優位性」を主張古典アルゴリズムとの比較は第7章
2025年11月13日「量子応用の5段階の枠組み」を公表発見から実用までの道筋を5つの段階に分けて整理
2025年12月10日XPRIZE Quantum Applicationsの最終選考7チームを発表賞金総額US$500万。2027年3月に残りを授与予定
2026年2月・3月耐量子暗号(PQC)への移行についての呼びかけと、Google自身の移行目標「2029年」を公表量子コンピュータによる暗号の脅威に備える動き(本稿は暗号の破り方は扱わない)
2026年3月24日超伝導に加えて中性原子方式の研究を始めると発表方式を広げる方針転換。第8章で扱う
2026年5月11日生命科学と量子の研究プログラムREPLIQAを発表(Google.orgが5大学にUS$1,000万)量子センサーや分子シミュレーションの研究
「しきい値より下」を、たとえで

誤り訂正は、「同じ内容を3回書いて多数決で直す」考え方の量子版です。ただし量子ビットは、数が増えるほど「間違いのもと」も増えます。 1つ1つの量子ビットの間違いが十分に小さいときだけ、束ねる数を増やすほど全体は正確になります。この境目が「しきい値」です。 Googleは、束ねる量子ビットの網目を3×3→5×5→7×7と大きくするたびに、論理誤りが約半分(Λ≒2)になったと報告しました。 「束ねるほど良くなる」ことを初めて超伝導で示したというのが、Googleの主張の核心です。 ただし、これは「情報を保存する(メモリ)」実験であり、論理量子ビットどうしで計算する実験ではありません。本シリーズの技術解説『量子誤り訂正と表面符号』で詳しく扱います。

7. 今後の計画(すべて計画です)

以下はすべてGoogleの公式資料に書かれた計画・目標です。確認日(2026年10月16日)時点で達成されたものではありません 未確定/将来。

次のマイルストーン長寿命の論理量子ビットGoogleが「次の目標」と明記(2025年10月・2025年11月のブログ)。達成時期の記載は確認できなかった
2020年代の終わりまで実用的な価値をもつ超伝導の量子コンピュータ2026年3月のブログ「ますます確信している」。Googleの見通しであり約束ではない
長期の目標(2021年の記事)物理100万量子ビット部屋サイズの誤り訂正つき量子コンピュータ。2021年の記述で、その後の更新は確認できなかった
中性原子誤り訂正の設計と
ハードウェアの開発
量子誤り訂正・モデリング・実験ハードウェアの3本柱。時期は記載なし
2027年3月XPRIZEの残りの授与賞金US$400万(大賞US$300万を含む)
Google自身の移行目標2029年にPQCへ認証サービスの移行を優先すると2026年3月に発表
「量子優位性」の主張と、反論の状況

Googleの優位性の主張は3回あり、それぞれ古典側との応酬があります。

(1) 2019年のSycamore:Googleは53量子ビットで約200秒の計算を、古典のスーパーコンピュータでは約1万年と見積もりました(Nature、2019年)。 これに対して、IBMの研究者らが「記憶装置を併用すれば、Summitで数日でシミュレートできる」とする論文を公開しました(2019年10月)。 さらにPan氏らは、テンソルネットワークという手法で、同じ回路から100万個のサンプルを512個のGPUで約15時間で作ったと報告しました(Physical Review Letters、2022年。忠実度は約0.0037)。 この結果は、2019年の「約1万年」という見積もりが、古典アルゴリズムの進歩で大きく下がった例です。

(2) 2024年のWillowのRCS:5分以内の計算を、古典では10の25乗年と見積もりました。実測ではなく、Googleの推定です。 一次資料では、この推定を覆す査読論文は確認できませんでした。ただし2019年の経緯から、数字が古典アルゴリズムの進歩で変わる可能性があることに注意が必要です 未確定/将来。

(3) 2025年10月のQuantum Echoes:「検証可能な量子優位性」で、最良の古典アルゴリズムの約13,000倍と主張しました。ここでの「検証可能」は、同程度の性能の別の量子コンピュータで結果を再現できるという意味で、古典コンピュータで答えを確かめられるという意味ではありません。 2026年4月には、テンソルネットワークと「ビリーフ・プロパゲーション」を組み合わせた古典の方法ではこの実験を再現できない、とするプレプリント(査読前)が公開されました。 これは「反論」ではなく、Googleの主張を補強する内容です。古典側がこの実験を再現した論文は、2026年10月16日の時点で一次資料では確認できませんでした。 ただし「反論がない」ことは「正しい」ことを意味しません。本稿は企業の主張として扱います 未確定/将来。 優位性の読み方は本シリーズの技術解説『量子優位性の読み方』も参照してください。

8. この会社は量子コンピュータで何を目指しているか

ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
目標は「量子コンピュータを売る」ことより、大規模な誤り訂正つき機の実現と、その応用の発見一般向けの販売の記載がなく、ロードマップ・応用の5段階の枠組み・研究者向け早期アクセスが中心。10-Kも量子を独立した事業として扱っていない推測
超伝導一本から、中性原子も含む2方式に広げた2026年3月のブログが「2つの方式の補完的な強みを生かす」と明記。超伝導は速く(1サイクル約1マイクロ秒)、中性原子は大規模(約1万量子ビットの配列)で任意の2つをつなげる、と説明事実(方針の発表)/広げた理由の読みは推測
超伝導側は「制御回路を冷たい部分に置く」設計を取り込んで規模拡大を狙うAtlantic Quantumの発表に、量子ビットと制御用の超伝導電子回路を極低温部に載せたモジュール式のチップが「超伝導ハードウェアの拡大に役立つ」と記載推測
実験の数値を論文で公開して外部の検証を受ける姿勢を重視している主要な成果がNature誌の査読論文として公表されている。DARPAのStage Aにも参加推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

2026年3月のブログでGoogleは、超伝導は「何百万回もの操作の繰り返しを、1回あたり約1マイクロ秒で行える」、中性原子は「約1万量子ビットの配列まで広がっているが1回あたりミリ秒単位で遅い」と、両方式の得意・不得意を並べて書きました 事実。 そして「超伝導で次の課題は数万量子ビット規模の計算アーキテクチャを示すこと」「中性原子で残る課題は多数のサイクルをもつ深い回路を示すこと」とも述べています(超伝導は時間方向=回路の深さ、中性原子は空間方向=量子ビットの数を広げやすい、とGoogle自身が説明)。 速度で勝つ超伝導と、量で勝つ中性原子を同じ会社が両方持つことで、どちらかの方式が行き詰まったときの備えにするとともに、誤り訂正の設計を両方式に使い回せる、というのが本稿の読みです。 同じ記事はQuEra(中性原子の会社)を「ポートフォリオ企業」とも書いており、中性原子の技術に以前から接点があったことが分かります 未確定/将来。

9. 量子コンピュータ分野の提携マッピング

Google Quantum AIを中心とした量子コンピュータの提携関係 Googleまたは相手方の公式発表に記載のある関係のみ。2026年10月16日時点。報道ベースの関係は含まない 共同研究・提供 出資・買収(チーム合流) 公的な評価プログラム Google Quantum AI 超伝導 Atlantic Quantum チームが合流(2025年10月) QuEra Computing Googleの「ポートフォリオ企業」 DARPA QBI Stage Aに参加 カリフォルニア大学バークレー校 Quantum Echoesの分子実験 シカゴ大学・東京大学 10年提携。Google拠出は上限US$5,000万 CU Boulder・JILA・NIST ボルダーの中性原子チーム REPLIQAの5大学/XPRIZE(GESDAほか) 生命科学の研究・量子アルゴリズムの賞
図2 Google Quantum AIを中心とした量子コンピュータ分野の提携関係。出典:Google公式ブログ、DARPA公式ページ(2023〜2026年)。図に含めたのはGoogleまたは相手方の公式発表に記載がある関係だけで、報道で語られる関係は含めていません。QuEraはGoogleが自らポートフォリオ企業と記す関係で、出資額・比率は記載がありません。DARPAのQBIは優劣を決める競争ではないとDARPAが説明しています。

10. 提供している技術・製品・サービス

Google Quantum AIの「商品」は、他社のようなクラウドの量子コンピュータではなく、研究成果・論文・ソフト・研究者向けのアクセスが中心です。

層内容(確認日 2026年10月16日)状況
量子チップWillow(物理105量子ビット)。サンタバーバラの自社施設で製造。性能は第5章の表のとおり(会社公表・条件つき)稼働(研究用)
研究者向けのアクセスWillow Early Access Program。選ばれた研究パートナーに、一般公開されていないWillowを使わせる。応募には、Willow向けの実験の提案書と、実行を担当する専任の研究者が要る募集(選抜制)
ソフトCirq(Pythonで量子回路を書き、最適化し、量子コンピュータやシミュレータで実行するオープンソースの図書館)。シミュレータqsimや、実機を模した「量子仮想マシン」とも連携する公開
応用の研究「量子応用の5段階の枠組み」(発見→適した問題の特定→実世界での優位性の確立→実用に向けた工学→展開)を2025年11月に公表。Quantum Echoesによる分子の距離測定(NMRとの組み合わせ)を概念実証として提示研究
一般向けの量子クラウド・商用機の販売Googleの公式資料で確認できなかった確認できず
耐量子暗号(PQC)量子コンピュータの事業ではなく、Google自身の暗号の移行(Chromeの鍵交換、Android 17の署名など)。目標は2029年(2026年3月発表)公表(目標)
素材技術者の視点:チップを「自分の工場で」作る意味

Googleは、量子チップをサンタバーバラの自社施設で製造していると書いています 事実。Willowのブログは、チップの1つひとつの部品(量子ビットの操作、リセット、読み出し)が同時にうまく働かないと全体の性能が落ちるため、設計・製造・操作・調整を一体で最適化していると説明しています。 超伝導の量子ビットは、ウェハー上に超伝導体の薄膜で回路を描いて作るため、薄膜の質や界面の汚れがそのまま量子ビットの寿命(T1)に響きます。 Willowでは、量子ビットが励起状態を保てる時間(T1)が100マイクロ秒に近づき、前の世代の約5倍になったと書かれています(Googleの説明)。

2025年の誤り訂正の論文は、性能を縛る要因の1つとして、まれに起きる「相関のある誤り」(複数の量子ビットが同時に間違える事象)が約1時間に1回(約30億サイクルに1回)あることを挙げています。 こうした事象の原因はこの論文だけでは特定されておらず、材料・装置・環境のどこに起因するかは本稿では推測しません 未確定/将来。 Atlantic Quantumのチームが合流した狙いとされる「量子ビットの制御用の超伝導回路を、量子ビットと同じ極低温部に載せる」設計は、常温の制御装置から極低温まで引き込む配線を減らす方向の工夫と読めます(本稿の推測。DARPAの記載では「極低温部に同居する制御回路を備えたフラクソニウム量子ビット」)。 なお、量子ビットに使う具体的な超伝導材料や基板は、確認した公式資料に書かれておらず、本稿は特定しません。

11. この企業が抱えるリスク

ここに書くのは、公式資料と論文に基づく事実と、本稿の読みです。特定の会社を評価したり、投資の判断材料を示したりするものではありません。

リスク内容区分
マイルストーンの時期が不明次の目標「長寿命の論理量子ビット」の達成時期は、確認した公式資料に書かれていない。「2020年代の終わりまでに商業的に意味のある超伝導機が実現する」という見通しも会社の見通し未確定/将来
優位性の主張が覆される可能性2019年の主張は、古典アルゴリズムの進歩で見積もりが大きく下がった前例がある。2024年のRCSの「10の25乗年」は実測ではなく推定。2025年のQuantum Echoesは、2026年10月16日の時点で再現を示す一次資料を確認できていないが、検証は続く事実(過去の経緯)/今後は未確定/将来
規模のギャップ現行のWillowは物理105量子ビット。2021年の記事が掲げた「物理100万量子ビット」や、1つの論理量子ビットに約1,000物理量子ビットという目標とは桁が離れている。誤り訂正の実験も、論理ゲートではなくメモリの段階事実(現状)/目標は未確定/将来
方式の追加による分散2026年3月に中性原子を加えた。装置の仕様・量子ビット数・時期は記載がなく、超伝導とのリソース配分も不明。本稿は方式どうしの優劣をつけない事実(開始)/影響は推測
外部の検証DARPAのQBIでは、2026年10月8日時点でGoogle Quantum AIはStage Aの参加者として掲載。Stage B・Cの一覧にはない。QBIは優劣を決める競争ではないとDARPAが説明しており、掲載の有無で技術の優劣は判断できない事実
情報開示の少なさ量子の支出・人員・買収額・出資額が、10-Kにも発表にも分けて記載されていない。外部から資源配分の規模や変化を確認する手段が限られる事実(開示の現状)
会社自身が挙げるリスク10-Kは量子コンピューティングを「長期に投資する最先端技術」の1例として挙げるだけで、量子に固有のリスク要因を挙げていない事実

12. 用語集

量子ビット(qubit)
量子コンピュータの計算の最小単位。0と1の重ね合わせの状態を取れるが、壊れやすい。
物理量子ビット/論理量子ビット
装置上に実際にある量子ビットが物理、誤り訂正のために多数の物理量子ビットを束ねて作る間違えにくい仮想の量子ビットが論理。
トランズモン
超伝導量子ビットの代表的な型。超伝導体で作った小さな共振回路を量子ビットとして使う。
表面符号
誤り訂正符号の標準的な方式。量子ビットを格子状に並べ、隣どうしだけで誤りを検出する。符号の「距離」が大きいほど多くの誤りを直せる。
しきい値(threshold)
物理量子ビットの誤りがこれより小さいと、符号を大きくするほど論理誤りが減る境目。
ブレークイーブン
誤り訂正で守った量子ビットの寿命が、守らない最良の物理量子ビットの寿命を上回ること。
ランダム回路サンプリング(RCS)
乱数的に組んだ量子回路の出力を大量に取り出す課題。古典では再現が難しいため、量子優位性の試験に使われる。
OTOC(時間外順序相関)
量子系で乱れが広がる様子を測る量。Quantum Echoesは、操作を逆向きにたどって「こだま」を測る手法。
量子優位性
量子コンピュータが、ある計算で古典コンピュータの最良の方法より優れた結果を出すこと。主張と反論の応酬が続く。
テンソルネットワーク
量子の状態を小さな部品の網目で近似する古典の計算手法。量子優位性の主張への反論によく使われる。
中性原子
電荷をもたない原子を光のピンセットで並べて量子ビットとして使う方式。
DARPA QBI
米国防高等研究計画局の量子ベンチマーク計画。有用な誤り耐性量子コンピュータが2033年までに作れるかを段階的に検証する。
Cirq
Googleが公開する量子回路用のオープンソースのソフト。
ミリケルビット(mK)
絶対零度に近い温度の単位。10mKは約−273.14℃。希釈冷凍機という装置で冷やす。
Google Quantum AIの超伝導量子チップづくりの概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。 拡大図の色分けはデータと検査の役割を見分けるためで、実製品の配置や実測した誤りを示しません。
図3 概念画像(ImageGen生成)。Google Quantum AIの超伝導量子チップづくりの概念図(AI生成による概念図。実際の設備や製品を写したものではありません)。 拡大図の色分けはデータと検査の役割を見分けるためで、実製品の配置や実測した誤りを示しません。 実際の製品・施設・寸法・測定結果ではありません。拡大模型と実物スケールの場面は区別してください。

13. 出典

  1. Alphabet Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025(米国SEC提出、2026年2月5日)。会社概要、従業員数、量子コンピューティングへの言及。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000018/goog-20251231.htm
  2. Alphabet Form 10-Q for the quarter ended June 30, 2026(2026年7月23日提出)。量子の記載を確認できなかったことの確認用。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000071/goog-20260630.htm
  3. 米国SEC EDGAR XBRL company facts API(CIK 0001652044)。売上高・研究開発費・設備投資の年次推移。 https://data.sec.gov/api/xbrl/companyfacts/CIK0001652044.json
  4. Google Meet Willow, our state-of-the-art quantum chip(公式ブログ、2024年12月9日)。Willow、RCS、T1、サンタバーバラでの製造。 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/google-willow-quantum-chip/
  5. Google Quantum AI Quantum error correction below the surface code threshold. Nature 638, 920–926(2025)。DOI 10.1038/s41586-024-08449-y。arXiv:2408.13687。 https://doi.org/10.1038/s41586-024-08449-y
  6. Google Our Quantum Echoes algorithm is a big step toward real-world applications for quantum computing(公式ブログ、2025年10月22日)。 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/quantum-echoes-willow-verifiable-quantum-advantage/
  7. Google Our quantum hardware: the engine for verifiable quantum advantage(公式ブログ、2025年10月22日)。Willowの更新後の性能、ロードマップの現状。 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/quantum-hardware-verifiable-advantage/
  8. Google Quantum AI Observation of constructive interference at the edge of quantum ergodicity. Nature 646, 825–830(2025)。DOI 10.1038/s41586-025-09526-6。 https://doi.org/10.1038/s41586-025-09526-6
  9. Google Building superconducting and neutral atom quantum computers(公式ブログ、2026年3月24日)。 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/neutral-atom-quantum-computers/
  10. Google We’re scaling quantum computing even faster with Atlantic Quantum(公式ブログ、2025年10月2日)。 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/scaling-quantum-computing-even-faster-with-atlantic-quantum/
  11. Google Our new initiative to apply quantum science and AI to the life sciences(REPLIQA、公式ブログ、2026年5月11日)。 https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/quantum-computing/repliqa-quantum-computing-life-sciences/
  12. Google A quantum computing partnership with the University of Chicago and the University of Tokyo(公式ブログ、2023年5月)。 https://blog.google/innovation-and-ai/products/quantum-computing-partnership-chicago-tokyo-universities/
  13. Google Unveiling our new Quantum AI campus(公式ブログ、2021年5月18日)。サンタバーバラのキャンパス、長期の目標。 https://blog.google/innovation-and-ai/products/unveiling-our-new-quantum-ai-campus/
  14. Google Quantum AI Quantum supremacy using a programmable superconducting processor. Nature 574, 505–510(2019)。DOI 10.1038/s41586-019-1666-5。 https://www.nature.com/articles/s41586-019-1666-5
  15. Pednault ほか(IBM) Leveraging Secondary Storage to Simulate Deep 54-qubit Sycamore Circuits(arXiv:1910.09534、2019年10月)。 https://arxiv.org/abs/1910.09534
  16. Pan ほか Solving the Sampling Problem of the Sycamore Quantum Circuits. Physical Review Letters 129, 090502(2022)。DOI 10.1103/PhysRevLett.129.090502。arXiv:2111.03011。 https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.129.090502
  17. Bermejo ほか Tensor Networks with Belief Propagation Cannot Feasibly Simulate Google's Quantum Echoes Experiment(arXiv:2604.15427、2026年4月、査読前のプレプリント)。 https://arxiv.org/abs/2604.15427
  18. Google Quantum AI Suppressing quantum errors by scaling a surface code logical qubit. Nature 614, 676–681(2023)。DOI 10.1038/s41586-022-05434-1。 https://doi.org/10.1038/s41586-022-05434-1
  19. DARPA Quantum Benchmarking Initiative(QBI)公式ページ。参加企業の一覧(2026年10月8日時点)。 https://www.darpa.mil/research/programs/quantum-benchmarking-initiative
  20. DARPA DARPA eyes companies targeting industrially useful quantum computers(2025年4月3日。2025年9月9日にGoogle Quantum AIを追記)。 https://www.darpa.mil/news/2025/companies-targeting-quantum-computers
  21. DARPA Four more teams enter Quantum Benchmarking Initiative’s final stage(2026年10月7日)。 https://www.darpa.mil/news/2026/four-more-teams-enter-quantum-benchmarking-initiative-final-stage
  22. Google Quantum frontiers may be closer than they appear(Googleの耐量子暗号移行の2029年目標、公式ブログ、2026年3月25日)。 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/safety-security/cryptography-migration-timeline/
  23. Google Quantum AI Cirq 公式ページ(量子回路用のオープンソースのソフト)。 https://quantumai.google/cirq
  24. Google Quantum AI Willow Early Access Program(研究者向けの早期アクセス)。 https://quantumai.google/willowearlyaccess
  25. Google Google’s framework for developing quantum applications(公式ブログ、2025年11月13日)。 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/useful-quantum-computing-applications/
  26. Google The 7 finalists in the XPRIZE Quantum Applications competition(公式ブログ、2025年12月10日)。 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/google-gesda-xprize-quantum-applications-finalists/
  27. Google Quantum AI Google Quantum AI 公式サイト(ロゴの取得元)。 https://quantumai.google/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式な親会社名(Alphabet Inc.)、本社所在地(マウンテンビュー)、ナスダック上場事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000018/goog-20251231.htm
Alphabetの売上高・研究開発費・設備投資(2023〜2025年12月期)事実SECのXBRLデータ(10-K)の値。出典3・1 https://data.sec.gov/api/xbrl/companyfacts/CIK0001652044.json https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000018/goog-20251231.htm
Alphabetの従業員190,820人(2025年12月31日)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000018/goog-20251231.htm
10-Kで量子コンピューティングに触れるのは1文のみ。10-Qに量子の記載を確認できなかったこと事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000018/goog-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000071/goog-20260630.htm
量子の売上・研究開発費・設備投資・人員が分けて開示されていないこと未確定/将来記載なし。本稿は推計しない。出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000018/goog-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000071/goog-20260630.htm
Google Quantum AIが2012年の設立(創設者の説明)、Google Researchの一部であること事実出典4 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/google-willow-quantum-chip/
サンタバーバラのキャンパス(量子データセンター、研究室、自社のチップ製造設備)、極低温が約10ミリケルビット、物理100万量子ビットの長期目標(2021年の記述)事実目標は2021年時点の会社の目標。出典13 https://blog.google/innovation-and-ai/products/unveiling-our-new-quantum-ai-campus/
Willow:物理105量子ビット、T1が100マイクロ秒に近づく(約5倍)、サンタバーバラで製造事実会社の説明。出典4 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/google-willow-quantum-chip/
距離7の表面符号:Λ=2.14±0.02、1サイクル誤り0.143%±0.003%、ブレークイーブン2.4±0.3倍、リアルタイム復号の平均遅延63マイクロ秒、サイクル1.1マイクロ秒、約1時間に1回の相関誤り事実論文の値(Nature 638)。出典5 https://doi.org/10.1038/s41586-024-08449-y
RCSで5分以内の計算を古典では10の25乗年と見積もったこと事実Googleの推定であって実測ではない。出典4 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/google-willow-quantum-chip/
Quantum Echoes:13,000倍、1兆回の測定、103/105量子ビット、検証可能の意味事実企業の主張。論文の抄録は『既知の古典アルゴリズムの能力を超える』とする。出典6・7・8 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/quantum-echoes-willow-verifiable-quantum-advantage/ https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/quantum-hardware-verifiable-advantage/ https://doi.org/10.1038/s41586-025-09526-6
Willowの更新後の性能(99.97%、99.88%、99.5%)事実会社公表。平均か最良かの記載なし。出典7 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/quantum-hardware-verifiable-advantage/
次のマイルストーンが長寿命の論理量子ビットであること事実達成時期の記載は確認できなかった。出典6・7 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/quantum-echoes-willow-verifiable-quantum-advantage/ https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/quantum-hardware-verifiable-advantage/
2019年のSycamore:53量子ビット、約200秒、古典で約1万年と見積もり事実当時の会社の見積もり。出典14 https://www.nature.com/articles/s41586-019-1666-5
IBMの研究者らによる2019年10月の再シミュレーションの論文、Pan氏らの512 GPU・約15時間(忠実度約0.0037)事実出典15・16 https://arxiv.org/abs/1910.09534 https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.129.090502
2023年の誤り訂正の試作(Nature 614)をGoogleが第2のマイルストーンと説明事実達成の位置づけはGoogleの説明。出典18・7 https://doi.org/10.1038/s41586-022-05434-1 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/quantum-hardware-verifiable-advantage/
2026年4月の査読前プレプリント(テンソルネットワーク+ビリーフ・プロパゲーションではQuantum Echoesを再現できない)事実査読前。古典側の再現を示す一次資料は確認できなかった。出典17 https://arxiv.org/abs/2604.15427
2026年3月24日:中性原子方式の研究開始、Adam Kaufman氏の就任(ボルダー)、超伝導の見通し、QuEraをポートフォリオ企業と記述事実見通しは会社の見通し。出典9 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/neutral-atom-quantum-computers/
2025年10月2日:Atlantic Quantumのチームが合流(買収額は記載なし)事実出典10 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/scaling-quantum-computing-even-faster-with-atlantic-quantum/
REPLIQA(Google.orgが5大学にUS$1,000万)事実出典11 https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/quantum-computing/repliqa-quantum-computing-life-sciences/
シカゴ大学・東京大学との10年提携(3者合計上限US$1億、Google拠出は上限US$5,000万、最大72量子ビットのアクセス提供)事実出典12 https://blog.google/innovation-and-ai/products/quantum-computing-partnership-chicago-tokyo-universities/
XPRIZE Quantum Applications(総額US$500万、2027年3月に残りを授与)事実出典26 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/google-gesda-xprize-quantum-applications-finalists/
DARPA QBI:Stage Aに参加(2025年9月9日追記)、2026年10月8日時点の一覧でもStage A。Stage B・Cの一覧には掲載なし。QBIは優劣を決める競争ではないとDARPAが説明事実出典19・20・21 https://www.darpa.mil/research/programs/quantum-benchmarking-initiative https://www.darpa.mil/news/2025/companies-targeting-quantum-computers https://www.darpa.mil/news/2026/four-more-teams-enter-quantum-benchmarking-initiative-final-stage
Googleの耐量子暗号移行の目標(2029年)事実会社の目標。出典22 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/safety-security/cryptography-migration-timeline/
Cirq(オープンソース)、Willow Early Access Program(選抜制)事実出典23・24 https://quantumai.google/cirq https://quantumai.google/willowearlyaccess
量子応用の5段階の枠組み(2025年11月13日)事実出典25 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/useful-quantum-computing-applications/
一般向けの量子クラウド・商用機の販売の有無未確定/将来確認した公式資料に記載なし。確認できなかった。出典24 https://quantumai.google/willowearlyaccess
量子の区分(超伝導が主、イオン・中性原子が従・研究段階)と図1の4類型本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズの企業から例示
超伝導方式の説明(極低温・トランズモン・マイクロ波での操作)と誤り訂正・しきい値のたとえ事実一般的な説明は本稿の解説。トランズモンの記述は2019年のNature論文。出典14・13 https://www.nature.com/articles/s41586-019-1666-5 https://blog.google/innovation-and-ai/products/unveiling-our-new-quantum-ai-campus/
目標は売ることよりも、大規模な誤り訂正つき機の実現と応用の発見という読み推測一般向け販売の記載がなく研究者向けの提供と5段階の枠組みが中心であることからの本稿の解釈。出典24・25・1 https://quantumai.google/willowearlyaccess https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/useful-quantum-computing-applications/ https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000018/goog-20251231.htm
超伝導一本から中性原子も含む2方式に広げた理由の読み(片方が行き詰まる備え、設計の使い回し)推測2026年3月のブログの記述からの本稿の解釈。出典9 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/neutral-atom-quantum-computers/
Atlantic Quantumの設計を取り込んで規模拡大を狙うという読み、配線を減らす方向という読み推測本稿の解釈。出典10 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/scaling-quantum-computing-even-faster-with-atlantic-quantum/
論文で公開して外部の検証を受ける姿勢を重視しているという読み推測本稿の解釈。出典5・8・19 https://doi.org/10.1038/s41586-024-08449-y https://doi.org/10.1038/s41586-025-09526-6 https://www.darpa.mil/research/programs/quantum-benchmarking-initiative
量子ビットの超伝導材料・基板の種類、相関誤りの原因未確定/将来確認した公式資料・論文に記載なし。本稿は特定せず推測もしない。出典5 https://doi.org/10.1038/s41586-024-08449-y
Atlantic Quantumの買収額、QuEraの出資額・比率、量子の専任人員数、政府からの助成額未確定/将来公式発表に記載なし。確認できなかった。出典10・9 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/scaling-quantum-computing-even-faster-with-atlantic-quantum/ https://blog.google/innovation-and-ai/technology/research/neutral-atom-quantum-computers/

最終更新:2026年10月16日/Troy Technical
本稿の数値は、Alphabetが米国証券取引委員会(SEC)に提出した法定開示書類、Googleの公式ブログ、Nature誌などの査読論文、DARPAの公式ページに基づきます。量子優位性・ロードマップ・性能値は会社の主張・計画であり、第三者による最終確認ではありません。「古典では何年かかる」という比較はGoogleの推定です。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。確認日は2026年10月16日です。

図版更新:2026年10月17日。本文・出典整理表のベクター作図という表記は、保存した元SVGの由来を示します。現在の主図の形式と読み方は各図下の説明を参照してください。ImageGen画像は実測や実在製品の写真ではなく、元SVG・数値・出典は展開して確認できます。