TECHNOLOGY EXPLAINER
パッシベーション
― 1 m² のセルの中にある「数 m² の面」を手当てする
ペロブスカイトは「欠陥に寛容」な材料と言われますが、高効率セルの電圧を削っているのは、いまも表面・粒界・界面の欠陥による非放射再結合です。 ある研究では、界面1つあたり80 meVの損失が見積もられました。 本稿は、パッシベーション(欠陥の不活性化)を配位化学と界面設計の問題として整理し、発光効率と電圧の関係を計算で確かめます。
- パッシベーションとは何か(3行でつかむ)
- 欠陥はどこにあるのか ― 粒の中より「面」
- 本稿の計算:1 m² のセルに、面はどれだけあるか
- 何が電圧を削るのか ― 非放射再結合と発光効率
- 本稿の計算:発光効率が10倍になると、電圧は何 mV 上がるか
- パッシベーションの化学 ― 足りない結合を埋める
- 素材技術者の視点①:パッシベーションは「表面処理剤」の設計に近い
- 界面こそが主戦場 ― 80 meV の内訳
- 素材技術者の視点②:効率だけでなく、耐湿熱性も界面で決まる
- 強みと弱み/課題
- 用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料・査読論文に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。
1. パッシベーションとは何か(3行でつかむ)
- 何をするか:結晶の表面や粒界にある欠陥(結合の相手が足りない原子など)に分子やイオンを結合させ、電子・正孔を捕まえる働きをなくす処理です(本記事による解説)
- 何が良くなるか:Noel らは、チオフェンやピリジン(ルイス塩基)で表面を処理すると非放射再結合が大きく減り、発光寿命が約1桁長い2 µsに達し、セル効率が13%から15.3%・16.5%に上がったと報告しました事実
- いまの到達点:Jiang らは、フェネチルアンモニウムヨージド(PEAI)で表面を処理し、認証効率23.32%、吸収端1.53 eV で開放電圧1.18 V(Shockley–Queisser 限界の開放電圧1.25 V の94.4%)を得ました事実
パッシベーションの効き目は「発光」で測れ、「電圧」に直結します。 理想に近い太陽電池ほどよく光る——これは熱力学の関係で、発光効率が10倍になると開放電圧は約59 mV 上がる計算になります本稿の計算。 パッシベーションとは、「光るはずのエネルギーを熱として捨てさせない」ための界面化学です(本記事による解説)。
2. 欠陥はどこにあるのか ― 粒の中より「面」
本シリーズ「ペロブスカイトの基本」編で見たとおり、Yin らは第一原理計算から、MAPbI3 の主要な固有欠陥は浅い準位しかつくらないことを示しました事実。 粒の中は比較的「欠陥に寛容」です。では、損失はどこで起きているのか。
- 粒界:deQuilettes らは、共焦点蛍光顕微鏡と電子顕微鏡を組み合わせ、同じ膜の中でも粒ごとに発光強度と寿命が異なり、粒界は暗く、非放射の減衰が速いことを示しました。ピリジン処理で、それまで暗かった粒が光るようになったとも報告しています事実
- 表面と粒界:Shao らは、表面と粒界のトラップ準位が光電流のヒステリシスの原因であり、ペロブスカイトの上にフラーレンを堆積するとトラップ密度が2桁下がり、効率が2倍になることを示しました事実
- 電荷輸送層との界面:Stolterfoht らは、発光イメージングで損失の場所を切り分け、界面での再結合が界面1つあたり80 meV の自由エネルギー損失を加えていると見積もりました事実(第8章)
3. 本稿の計算:1 m² のセルに、面はどれだけあるか
- 前提:発電層の膜厚 t を400 nm(経済産業省の資料が算出に使った値)とする
- 前提:結晶粒を、膜を貫く一辺 d の四角柱とみなす。粒界の面積は膜1 m² あたり 2t ÷ d(各側面は2つの粒で共有)
- 前提:上下の電荷輸送層との界面を合わせて 2 m²
| 粒の大きさ d | 粒界の面積(m²/膜1 m²) | 上下の界面を含めた合計 |
|---|---|---|
| 200 nm | 4.0 | 6.0 m² |
| 500 nm | 1.6 | 3.6 m² |
| 1 µm | 0.8 | 2.8 m² |
| 2 µm | 0.4 | 2.4 m² |
計算はすべて本稿の計算です。 1 m² のセルの中に、処理すべき「面」が2.4〜6 m² あるということです。 前提と限界:実際の粒は柱状とは限らず、表面の凹凸で界面の実面積はさらに大きくなります。粒の大きさは作製条件でも大きく変わります。
4. 何が電圧を削るのか ― 非放射再結合と発光効率
Ross は1967年、光化学系で得られる化学ポテンシャルの差(太陽電池では開放電圧に相当)が、発光の量子収率がわかれば評価できることを示しました事実。 Rau は2007年、太陽電池の開放電圧とエレクトロルミネッセンスの量子効率を結びつける関係を導いています事実。
その内容をひとことで言うと、「励起された電子と正孔が、光を出して再結合するか、熱を出して(非放射で)再結合するか」の割合が、電圧を決めるということです。 理想的な太陽電池では再結合はすべて発光になり、開放電圧は理論上の上限(放射限界)に達します。 非放射再結合が増えるほど、発光効率が下がり、そのぶん電圧が下がります(本記事による解説)。
5. 本稿の計算:発光効率が10倍になると、電圧は何 mV 上がるか
Ross・Rau の関係にしたがい、Voc ≒ Voc,rad +(kT/q)× ln(ηext)とします(Voc,rad:放射限界の開放電圧、ηext:外部発光効率)。
- 前提:温度25℃(298.15 K)で kT/q = 25.7 mV
- ηext が10倍になると:25.7 mV × ln 10 = 約59 mV 上がる
- Jiang らのセルに当てはめると:放射限界を Jiang らが示した SQ 限界の1.25 V とみなすと、1.18 V との差 70 mV は ηext = exp(−0.070 ÷ 0.0257)= 約6.6% に相当
計算はすべて本稿の計算です。 前提と限界:実際の放射限界は吸収端の形や光の取り出しに依存し、SQ 限界の値とは一致しません。約6.6%は「その前提を置いた場合」の目安で、Jiang らが測定した発光効率ではありません。
6. パッシベーションの化学 ― 足りない結合を埋める
結晶の表面や粒界では、原子が本来の相手を失い「配位不足」になっています。 論文が報告してきた処理を、どの欠陥に、どんな化学で効かせるかで並べると次のようになります。
| ねらう欠陥 | 処理(例) | 効かせ方 | 報告された結果 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 配位不足の Pb | チオフェン、ピリジン | ルイス塩基(電子対を与える)で電子的に不活性化 | 発光寿命が約1桁延び2 µs。効率13%→15.3%・16.5% | Noel ら |
| 配位不足のヨウ化物イオン | ハロゲン結合を形成する分子 | 超分子的なハロゲン結合で錯形成 | 表面トラップによる電荷蓄積と再結合損失を低減。15.7%、0.81 V で15%超の安定出力 | Abate ら |
| 表面・粒界のトラップ | フラーレン(上面に堆積) | トラップ準位を不活性化 | トラップ密度が2桁低下、効率が2倍、ヒステリシスを解消 | Shao ら |
| 表面の欠陥 | フェネチルアンモニウムヨージド(PEAI) | 有機ハロゲン化物塩を表面に形成 | 非放射再結合を抑制。認証23.32%、開放電圧1.18 V(1.53 eV) | Jiang ら |
| 電子輸送側の表面 | オレイルアンモニウムヨージド | 次元を調整した2D ペロブスカイト層を室温で形成 | 24.3%、85℃・85% RH で1,000時間超の後も初期の95%超を維持 | Azmi ら |
| 輸送層との界面 | 極薄の中間層 | 界面での少数キャリアの再結合を抑える | 両側の界面損失を大幅に低減。1 cm² で認証19.83%、開放電圧1.17 V | Stolterfoht ら |
すべて事実(Noel ら[参考資料2]、Abate ら[参考資料3]、Shao ら[参考資料4]、Jiang ら[参考資料6]、Azmi ら[参考資料8]、Stolterfoht ら[参考資料7])。組成・構造・年代の異なる報告を並べたもので、効率を相互に比較するものではありません。
7. 素材技術者の視点①:パッシベーションは「表面処理剤」の設計に近い
第6章の表を素材の言葉に置き換えると、パッシベーションは表面処理剤・カップリング剤・分散剤の設計と同じ種類の問題に見えてきます(本記事による解説)。
- 官能基の選択:配位不足の Pb には窒素・硫黄を含むルイス塩基(ピリジン、チオフェン)事実、配位不足のヨウ化物イオンにはハロゲン結合の供与体事実——相手のサイトの酸・塩基性で選ぶ
- 尾部の設計:PEAI のフェネチル基や、オレイルアンモニウムの長いアルキル鎖は、表面に結合したあと別の層(2D 相など)をつくり、疎水性の障壁にもなりうる(本記事による解説)
- 層の厚さ:パッシベーション層は、厚すぎると電荷の取り出しを邪魔する。Stolterfoht らが用いたのは「極薄の」中間層です事実。絶縁性の材料を「効かせつつ、通す」膜厚に制御する——これは塗布・蒸着の工程技術の問題です(本記事による解説)
deQuilettes らが示したように、ピリジンで「暗かった粒が光るようになる」事実という変化は、PL イメージングで目で見て確かめられます。 第5章の関係から、発光が明るくなることは電圧の上昇に直結します。 つまり、パッシベーション材料の評価は、セルを組む前に膜の発光で一次スクリーニングできるということです(本記事による解説)。 材料メーカーにとっては、評価の入口が「デバイス効率」から「膜の発光」へ前倒しできる、という意味を持ちます。
表面に自己組織化する分子でつくる輸送層(SAM)については、本シリーズ「自己組織化単分子膜」編で扱います。
8. 界面こそが主戦場 ― 80 meV の内訳
Stolterfoht らは、pin 型の平面セル(ドーパントを含まない有機の輸送層)で、過渡・絶対値の発光イメージングを使い、非放射再結合の経路をすべて「見える化」しました事実。
- ペロブスカイトの膜そのもの(バルク)で、擬フェルミ準位分裂に135 meV の損失事実
- 界面での再結合が、界面1つあたり80 meV の自由エネルギー損失を追加事実
- その結果、セル全体の開放電圧は約1.12 V に制限されていた事実
- ペロブスカイトと輸送層の間に極薄の中間層を挟むと、p 側・n 側の両方で界面損失が大きく減り、1 cm² で20%超(認証19.83%)、開放電圧1.17 V、曲線因子81%超を得た事実
- 第5章の関係から、電圧 ΔV の損失は発光効率が exp(ΔV ÷ 25.7 mV)分の1になることに相当します
- 界面1つの80 meV:exp(80 ÷ 25.7)= 約22倍。つまり界面1つで発光効率が約1/22になるのに相当
- バルクの135 meV:exp(135 ÷ 25.7)= 約190倍に相当
計算はすべて本稿の計算です。 界面を1つ手当てするだけで、発光効率が1桁以上変わりうる——パッシベーションが界面に集中してきた理由が、数字で見えます(本記事による解説)。
9. 素材技術者の視点②:効率だけでなく、耐湿熱性も界面で決まる
Azmi らは、85℃・相対湿度85%のダンプヒート試験を「市販の太陽電池モジュールの安定性を確かめる標準」と位置づけ、 ペロブスカイトにとってこの試験に合格することが長年の障害だったと述べています事実。
そのうえで、オレイルアンモニウムヨージドで室温で形成した2D ペロブスカイト層(次元を調整したもの)で電子輸送側の表面をパッシベーションし、 逆型セルで24.3%、ダンプヒート条件で1,000時間超の後も初期値の95%超を保ったと報告しています事実。
ここでの示唆は、パッシベーション層が電気的な損失を減らすだけでなく、熱と水分に対する最前線の層にもなりうるということです(本記事による解説)。 本シリーズ「イオン移動と劣化」編で見たように、ペロブスカイトの劣化の多くはイオンが動き、抜けることから始まります。 表面の配位不足サイトは、同時に「分解の起点」でもありうる——そう考えると、欠陥を埋める分子の設計は、効率と耐久性の両方の設計になります(本記事による解説)。
一方で、ダンプヒート試験に合格することは、屋外での長期信頼性をそのまま保証するものではありません。 評価の考え方は本シリーズ「屋外試験と耐久性評価」編で扱います。
10. 強みと弱み/課題
| 観点 | 一次情報で確認できたこと | 残る課題 |
|---|---|---|
| 電圧 | PEAI 処理で SQ 限界の開放電圧の94.4%(Jiang ら) | 残る数十 mV は発光効率で1桁程度の差本稿の計算 |
| 界面 | 極薄の中間層で両側の界面損失を大幅に低減(Stolterfoht ら) | 厚すぎると電荷の取り出しを妨げうる(本記事による解説) |
| 粒界 | ピリジン処理で暗い粒が明るくなる(deQuilettes ら) | 粒ごとのばらつきが残る(deQuilettes ら) |
| ヒステリシス | フラーレンでトラップ密度2桁低下、ヒステリシスを解消(Shao ら) | — |
| 耐久性 | 2D 層でダンプヒート1,000時間超・95%超(Azmi ら) | 屋外の長期信頼性とは別の評価が必要 |
各項目は事実(出典は括弧内)。ただし「発光効率で1桁程度の差」は本稿の計算、「厚すぎると妨げうる」は本記事による解説です。「—」は本稿で課題を特定していない項目です。
(1) パッシベーション層そのものの長期安定性
表面に結合した分子や2D 層が、光・熱・電界のもとで何年も同じ状態を保つかについて、一般化できる一次情報は本稿の調査範囲では確認できませんでした未確定/将来。
(2) 大面積での均一性
本稿で紹介した多くの報告は、小面積〜1 cm² のセルでの結果です。 モジュール規模で、ごく薄い処理層を均一に形成できるかは、塗布・蒸着の工程の課題として残ります。本シリーズ「塗布製膜」編と「ロールツーロールと大面積化」編で扱います。
- 損失は粒の中より「面」で起きています——粒界は暗く、界面1つで80 meV事実
- 1 m² のセルの中に、処理すべき面が2.4〜6 m²あります本稿の計算
- 発光効率が10倍になると、開放電圧は約59 mV 上がります本稿の計算
- 配位不足の Pb にはルイス塩基、配位不足の I にはハロゲン結合——相手のサイトで官能基を選びます事実
- PEAI 処理で SQ 限界の開放電圧の94.4%に達しました事実
- パッシベーション層は電気の層であり、耐湿熱の層でもあります(本記事による解説)
11. 用語集
- パッシベーション
- 表面や粒界の欠陥に分子・イオンを結合させ、電荷を捕まえる働きをなくすこと。
- 非放射再結合
- 電子と正孔が光を出さずに熱として再結合すること。電圧の損失になる。
- 配位不足
- 結晶の表面などで、原子が本来の数の結合相手を持っていない状態。
- ルイス塩基
- 電子対を与えることのできる分子。ピリジンの窒素、チオフェンの硫黄など。
- ハロゲン結合
- ハロゲン原子が電子の多い相手と引き合う、非共有結合性の相互作用。
- トラップ準位
- 電子や正孔を捕まえてしまう、バンドギャップの中のエネルギー準位。
- 外部発光効率
- 再結合のうち、光として外に出てくる割合。高いほど開放電圧が理想に近い。
- 擬フェルミ準位分裂
- 光照射下で電子と正孔がそれぞれ持つ化学ポテンシャルの差。開放電圧の上限を決める。
- 放射限界
- 再結合がすべて発光になる理想条件での開放電圧。
- 2D ペロブスカイト
- 大きな有機陽イオンで無機層を区切った層状の構造。表面の保護層として使われる。
- ダンプヒート試験
- 85℃・相対湿度85%で長時間保持する加速劣化試験。
- PL イメージング
- 膜やセルの発光を画像として撮り、場所ごとの損失を調べる方法。
12. 参考資料(一次情報)
- Yin, Shi, Yan「Unusual defect physics in CH3NH3PbI3 perovskite solar cell absorber」Appl. Phys. Lett. 104, 063903 (2014) https://doi.org/10.1063/1.4864778
- Noel ほか「Enhanced Photoluminescence and Solar Cell Performance via Lewis Base Passivation of Organic–Inorganic Lead Halide Perovskites」ACS Nano 8, 9815 (2014) https://doi.org/10.1021/nn5036476
- Abate ほか「Supramolecular Halogen Bond Passivation of Organic–Inorganic Halide Perovskite Solar Cells」Nano Lett. 14, 3247 (2014) https://doi.org/10.1021/nl500627x
- Shao ほか「Origin and elimination of photocurrent hysteresis by fullerene passivation in CH3NH3PbI3 planar heterojunction solar cells」Nat. Commun. 5, 5784 (2014) https://doi.org/10.1038/ncomms6784
- deQuilettes ほか「Impact of microstructure on local carrier lifetime in perovskite solar cells」Science 348, 683 (2015) https://doi.org/10.1126/science.aaa5333
- Jiang ほか「Surface passivation of perovskite film for efficient solar cells」Nat. Photonics 13, 460 (2019) https://doi.org/10.1038/s41566-019-0398-2
- Stolterfoht ほか「Visualization and suppression of interfacial recombination for high-efficiency large-area pin perovskite solar cells」Nat. Energy 3, 847 (2018) https://doi.org/10.1038/s41560-018-0219-8
- Azmi ほか「Damp heat–stable perovskite solar cells with tailored-dimensionality 2D/3D heterojunctions」Science 376, 73 (2022) https://doi.org/10.1126/science.abm5784
- Ross「Some Thermodynamics of Photochemical Systems」J. Chem. Phys. 46, 4590 (1967) https://doi.org/10.1063/1.1840606
- Rau「Reciprocity relation between photovoltaic quantum efficiency and electroluminescent emission of solar cells」Phys. Rev. B 76, 085303 (2007) https://doi.org/10.1103/PhysRevB.76.085303
- 経済産業省「次世代型太陽電池戦略」令和6年11月(PDF) https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/perovskite_solar_cell/pdf/20241128_1.pdf
13. 主張と出典の対応表(監査)
| 本文の主張 | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| MAPbI3 の主要な固有欠陥が浅い準位のみをつくること | Appl. Phys. Lett. 論文(要旨) 出典1 https://doi.org/10.1063/1.4864778 | 事実 |
| チオフェン・ピリジン(ルイス塩基)で表面を処理し、非放射再結合が大きく減り、発光寿命が約1桁延びて2 µs に達したこと。配位不足の Pb の電子的な不活性化によると提案したこと。効率が13%から15.3%(チオフェン)・16.5%(ピリジン)に向上したこと | ACS Nano 論文(要旨) 出典2 https://doi.org/10.1021/nn5036476 | 事実 |
| 表面のトラップ準位が電荷蓄積と再結合損失を生むこと。配位不足のヨウ化物イオンが原因であり、超分子的なハロゲン結合で錯形成してパッシベーションしたこと。最大効率15.7%、0.81 V の一定バイアスで15%超の安定出力 | Nano Lett. 論文(要旨) 出典3 https://doi.org/10.1021/nl500627x | 事実 |
| 表面と粒界のトラップ準位が光電流ヒステリシスの原因であること。ペロブスカイト上のフラーレンがトラップ密度を2桁下げ、効率を2倍にし、ヒステリシスを解消したこと | Nat. Commun. 論文(要旨) 出典4 https://doi.org/10.1038/ncomms6784 | 事実 |
| 共焦点蛍光顕微鏡と電子顕微鏡の相関測定で、同じ膜内でも粒ごとに発光強度と寿命が異なり、粒界が暗く非放射減衰が速いこと。ピリジン処理で暗かった粒が光るようになったこと | Science 論文(要旨) 出典5 https://doi.org/10.1126/science.aaa5333 | 事実 |
| PEAI を FA–MA 混合ペロブスカイト膜の表面パッシベーションに用い、欠陥を減らし非放射再結合を抑えたこと。認証効率23.32%(準定常状態)。吸収端1.53 eV で開放電圧1.18 V、SQ 限界の開放電圧1.25 V の94.4% | Nat. Photonics 論文(要旨) 出典6 https://doi.org/10.1038/s41566-019-0398-2 | 事実 |
| 過渡・絶対値の発光イメージングで pin 型平面セルの非放射再結合経路を可視化したこと。バルクで135 meV の擬フェルミ準位分裂の損失、界面1つあたり80 meV の追加損失、開放電圧が約1.12 V に制限されていたこと。極薄の中間層で p・n 両側の界面損失を大幅に低減し、1 cm² で20%超(認証19.83%)、開放電圧1.17 V、曲線因子81%超 | Nat. Energy 論文(要旨) 出典7 https://doi.org/10.1038/s41560-018-0219-8 | 事実 |
| ダンプヒート試験(85℃・85% RH)が市販モジュールの安定性を確かめる標準であり、ペロブスカイトにとって合格が長年の障害だったこと。オレイルアンモニウムヨージドで室温形成した次元調整2D 層で電子選択側の表面をパッシベーションしたこと。逆型セルで24.3%、ダンプヒート条件1,000時間超で初期値の95%超を維持 | Science 論文(要旨) 出典8 https://doi.org/10.1126/science.abm5784 | 事実 |
| 光化学系の励起状態と基底状態のポテンシャル差が、発光の量子収率がわかれば評価できること | J. Chem. Phys. 論文(要旨) 出典9 https://doi.org/10.1063/1.1840606 | 事実 |
| 太陽電池の開放電圧とエレクトロルミネッセンスの量子効率を結ぶ関係を導いたこと | Phys. Rev. B 論文(要旨) 出典10 https://doi.org/10.1103/PhysRevB.76.085303 | 事実 |
| 発電層の膜厚の算出値400 nm | 経済産業省「次世代型太陽電池戦略」52ページ 出典11 https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/perovskite_solar_cell/pdf/20241128_1.pdf | 事実 |
| 粒界・界面の面積(粒200 nm で合計6.0 m²、500 nm で3.6 m²、1 µm で2.8 m²、2 µm で2.4 m²)。kT/q = 25.7 mV と発光効率10倍あたり約59 mV。放射限界を1.25 V とした場合の η 約6.6%。80 meV を発光効率約1/22、135 meV を約1/190 に換算したこと。損失の合計295 meV と開放電圧の差+約50 mV | 本稿の計算。柱状の粒と平らな界面、25℃、Ross・Rau の関係の単純化した形、放射限界を SQ 限界で代用することは本稿が置いた前提である。図2・図3・図5の数値部分を含む | 本稿の計算 |
| パッシベーション層そのものの長期安定性(光・熱・電界下で何年も状態を保つか) | 本稿の調査範囲では一般化できる一次情報を確認できなかった(本記事による注記) | 未確定/将来 |
| パッシベーションを配位化学・表面処理剤の設計とみる整理。ルイス酸・塩基での左右の対応づけ。尾部が疎水性の障壁になりうること、厚すぎると取り出しを妨げうること。膜の発光で材料を一次スクリーニングできるという読み取り。表面の配位不足サイトが分解の起点でもありうるという読み取り。大面積での均一性の課題。強み・弱みの振り分け | 公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各論文が表明した見解ではない | 解説 |
| 図1〜図5が説明のための作図であり、実際の断面像・測定データ・分子構造ではないこと。ヒーロー画像と図6が AI 生成イメージであること | 本記事による注記 | 解説 |
最終更新:2026年9月25日/出典は一次情報(査読論文、政府の戦略文書)に限定しています。 材料設計上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 パッシベーション層そのものの長期安定性、モジュール規模での均一性については、一般化できる一次情報を確認できなかったため記載していません。 第3章・第5章・第8章の計算は、明示した単純化にもとづく目安です。 論文の内容は、要旨で確認できた範囲に限っています。 図はすべて説明用の概念図です。図1〜図5はベクター作図、ヒーロー画像と図6はAI生成イメージであり、いずれも実際の断面像・発光像・製品の実物を示すものではありません。