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薄膜ニオブ酸リチウム|光通信・フォトニクス 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)
― 半世紀前の結晶を、1 µm 以下に「薄く切る」

ニオブ酸リチウム(LN)は、何十年も光通信の変調器を支えてきた結晶です。 その結晶を成膜ではなく、単結晶から薄く切り出して別の基板に貼ることで、 変調器は小さく、低電圧に、高速になりました。 ただし LN はエッチングしにくく、リチウムはCMOS 工場では汚染物質です。 性能の源泉も、量産の壁も、材料と加工の側にあります。

構成:Harvard 大学ほかの総説(Advances in Optics and Photonics)、Nature 論文、Nature Communications 論文、日本ガイシ、住友大阪セメントの公表資料を一次情報として使用/最終更新 2026年9月

暗い面の上に置かれた円形の基板の表面に、淡く透きとおった極めて薄い結晶の層が光を受けてほのかに干渉色を帯びている概念イメージ
概念図(AI生成イメージ)。「透明な結晶の薄い層」を雰囲気として表現したものです。実際の TFLN ウェハの色・膜厚・径、特定企業の製品を示すものではありません。
この記事の構成
  1. 薄膜ニオブ酸リチウムとは何か(3行でつかむ)
  2. 電気光学効果 ― 電圧で屈折率を変える
  3. なぜ「薄膜」にすると良くなるのか
  4. 素材技術者の視点①:成膜ではなく「切り出して貼る」
  5. 変調器への応用 ― 何が実現したか
  6. 本稿の計算:長さと電圧のトレードオフ
  7. 素材技術者の視点②:削りにくく、工場に入れにくい
  8. 課題 ― 電荷が動く材料
  9. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料・査読論文に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・研究段階であり、量産実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料設計上の読み取りは「解説」として区別しています。 性能の数値は、研究室での試作(査読論文)と企業の製品(サンプル・量産)を書き分けます。

1. 薄膜ニオブ酸リチウムとは何か(3行でつかむ)

薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN:Thin-Film Lithium Niobate)とは、 ニオブ酸リチウム(LiNbO₃、LN)の単結晶を、サブマイクロメートル級の薄い膜にして、絶縁膜の上に載せたものです。 この基板は LNOI(Lithium Niobate On Insulator)とも呼ばれます。

  • どんな材料か:Harvard 大学の Lončar らのグループによる総説(Zhu ら, 2021年)は、LN を「高速光通信から携帯電話の高周波フィルターまで、数十年にわたって日常を支えてきた」材料とし、そのポッケルス係数 r₃₃ ≈ 31 pm/Vが電気光学変調器の材料として選ばれてきた理由だと述べています事実
  • 何が変わったか:イオンスライスとウェハ接合で作った高品質な薄膜 LN ウェハが市販されるようになり、ナノ加工技術の進歩と合わせて、一部の薄膜デバイス(変調器や波長変換素子)はバルク結晶の従来品を性能で上回ったとされています事実
  • 何が難しいか:LN はエッチングで不揮発性の LiF が再付着しやすく、リチウムはCMOS 工場では汚染物質です事実
本シリーズの他の記事との関係

光集積回路の土台材料の比較は「光集積回路とインジウムリン」編、 シリコンを使う変調器(リング・マッハツェンダー)は「シリコンフォトニクス」編で扱いました。 変調方式(強度変調、PAM4、コヒーレントの IQ 変調など)そのものは「光変調と変調方式」編、 コヒーレント通信の信号処理は「コヒーレント光通信とDSP」編で詳しく扱います。 この記事は、LN という結晶を「薄膜」にするための材料・プロセスに焦点を当てます。

2. 電気光学効果 ― 電圧で屈折率を変える

電気光学効果(ポッケルス効果)とは、結晶に電界をかけると、その屈折率が電界に比例して変わる現象です。 屈折率が変わると光の進む速さが変わり、一定の長さを通った後の光の位相がずれます。 この位相のずれを、干渉計で光の強弱に変えるのが変調器です(本記事による解説)。

Shekhar らの Nature Communications 論文(2024年)は、 「The most ‘pure’ electro-optic modulation relies on the Pockels effect, which provides an intrinsically very high E/O BW, even exceeding 100 GHz」 (最も「純粋な」電気光学変調はポッケルス効果によるもので、本質的に非常に広い電気光学帯域をもち、100 GHz を超えることもある)と書いています事実。 シリコンの変調器がキャリア(電子・正孔)の出入りで屈折率を変えるのに対し、ポッケルス効果は結晶格子そのものの応答です(本記事による解説)。

LN の性質値(Zhu らの総説の表・本文)意味
電気光学係数r₃₃ = 30.9 pm/V、r₅₁ = 32.6 pm/V ほか電界あたりの屈折率変化の大きさ
屈折率(1550 nm)2.21(常光)/2.13(異常光)SiO₂(1.44)より高く、薄膜にすれば光を閉じ込められる
透明な波長域350 nm 〜 5 µm可視〜中赤外まで使える
キュリー温度約 1210 ℃強誘電相が安定で、幅広い加工条件・動作条件に耐える
熱光学係数dnₑ/dT = 3.34×10⁻⁵ K⁻¹温度で屈折率が動く
焦電係数約 95 µC m⁻² K⁻¹温度変化で表面に電荷が出る

事実(Zhu ら, Advances in Optics and Photonics 13, 242, 2021[参考資料1])。右列「意味」は本記事による説明です。Zhu らは、熱光学・焦電・光屈折効果は調整手段にもなるが、素子動作を制限することもある、と述べています。

3. なぜ「薄膜」にすると良くなるのか

LN の変調器は昔からありました。違いは導波路の作り方です。 Zhu らによれば、従来の LN 導波路はチタン(Ti)の熱拡散やプロトン交換で作られてきました事実。

  • Ti 拡散導波路:バルク LN 基板に Ti の細線を付けて熱処理し、数 µm 拡散させる。屈折率の上昇は Ti 密度により 0.001〜0.04事実
  • プロトン交換導波路:150〜400 ℃で水素源に浸し、Li⁺ を H⁺ に置き換える。屈折率変化は異常光方向のみで 0.1 程度以下事実
  • その弱点:屈折率差が小さく、光の閉じ込めが弱い。モード面積 10〜100 µm²、曲げ半径はミリメートル級で、高密度な集積に向かない事実

薄膜 LN では、LN の膜そのものを細い稜(リッジ)に加工し、周囲を SiO₂ などの低屈折率材料で囲みます。 Zhu らは、これで屈折率差がイオン拡散型よりおよそ1桁大きくなり、光が強く閉じ込められると説明しています事実。

従来のバルク LN と、薄膜 LN の導波路(概念断面図) 橙のだ円=光が広がる範囲(模式)/黄=電極 ① 従来:Ti 拡散(バルク LN) ② 薄膜 LN(LNOI)のリッジ LN 単結晶の厚い基板 SiO₂(低屈折率) 支持基板(Si など) 薄い LN 膜 屈折率差 0.001〜0.04(Ti 拡散) モード面積 10〜100 µm²、曲げは mm 級 屈折率差はおよそ1桁大きい 電極間隔は約 5 µm まで狭められる ※ 数値は Zhu らの総説によります。電極間隔 約5 µm は X/Y カット変調器の CPW 電極の例です。 ※ 光の広がり・層の厚さ・電極の大きさの比は模式的なもので、実際の寸法ではありません。 ※ ②のリッジの斜めの側壁と、残った薄い平板(スラブ)は、ドライエッチングの制約による典型形状として描いています。
図1 概念図(ベクター作図)。屈折率差、モード面積、曲げ半径、電極間隔、リッジの斜め側壁とスラブは Zhu らの総説[参考資料1]の記述によります。描き方・寸法比・色分けは本記事による模式で、実際の断面構造ではありません。

光が小さく閉じ込められると、電極を光のすぐ近くに置けるようになります。 Zhu らは、典型的な X/Y カットの変調器で電極(CPW)の間隔を約 5 µm まで狭められるとし、 それ以上狭めると光の吸収やマイクロ波損失が増える、と述べています事実。 同じ電圧でも電極間隔が狭いほど電界は強くなるので、低い電圧で同じだけ屈折率を変えられる——これが薄膜化で駆動電圧が下がる理由です(本記事による解説)。

4. 素材技術者の視点①:成膜ではなく「切り出して貼る」

ここがこの記事でいちばん素材技術者向けの話です。 Zhu らは、LN の薄膜をスパッタ、化学気相成長、パルスレーザー堆積、ゾルゲル、分子線エピタキシーなどで作る試みがあったが、 高い結晶性が得られず、格子整合の要求が基板の選択肢を厳しく制限したと書いています事実。 代わりに標準となったのが、SOI ウェハの製造で使われる「Smart Cut」技術です事実。

イオンスライス(Smart Cut)で薄膜 LN を作る(概念図) 青緑=LN 単結晶/灰=SiO₂/薄青=支持基板/赤い破線=イオン注入で作った劈開面 ① イオン注入 ② 貼り合わせ ③ 熱で分割 ④ アニール・研磨 He⁺(または H⁺) LN(裏返す) 支持基板 残りの LN は再利用も 薄膜 LN 狙いの深さに 劈開面を作る 酸化膜付き基板に 接合する 熱処理で劈開面に 沿って割れる 注入欠陥を減らし、 表面を平滑にする ※ 工程は Zhu らの総説によります。支持基板は通常 LN または酸化膜付き Si とされています。 ※ 「残りの LN は再利用も」は本記事による補足で、同総説の記載ではありません。 ※ 接合は BCB などの接着剤か直接接合。高い温度でアニールできる直接接合が多くの用途で好まれる、とされています。 ※ 層の厚さ・幅の比は模式的なもので、実際の寸法ではありません。
図2 概念図(ベクター作図)。各工程の内容は Zhu らの総説[参考資料1]の記述によります。4段階の描き分け、色分け、層の厚さの比は本記事による模式です。③の「残りの LN は再利用も」は本記事による補足で、出典の記載ではありません。
素材技術者の読みどころ:膜は「育てる」のではなく、「単結晶から剥がす」

Zhu らの説明を工程として読むと、次のようになります事実。

  • 高品質の LN 基板に He⁺(または H⁺)を高ドーズで注入し、狙った膜厚の深さに劈開面を作る
  • 酸化膜付きの支持基板(通常 LN または Si)に接合する
  • 熱処理で劈開面に沿って分割し、薄膜を残す
  • 追加のアニールでイオン注入による結晶欠陥を減らし、研磨で表面を平滑にする
  • 接合は BCB などの接着剤か直接接合。直接接合のほうが高い温度でアニールでき、イオンスライスで損なわれた非線形・電気光学特性の回復に必要なので、多くの用途で好まれる
  • LNOI の多くは定比(ストイキオメトリック)ではなくコングルエント組成の LN、つまりリチウムが不足した結晶で作られている

つまり薄膜 LN の品質は、① 元になるバルク単結晶の品質、② 注入で入った損傷をアニールでどこまで戻せるか、③ 接合界面が高温アニールに耐えるか、の3つで決まります(本記事による整理)。 「成膜条件を詰める」のではなく、単結晶育成・イオン注入・接合・アニール・研磨という、まったく別の工程群の総合力です。

別の道もあります。日本ガイシ(NGK)は、光通信用の TFLN 複合ウエハーを「LN とベース基板を接合した複合ウエハーを精密研磨した」もので、 「結晶ダメージのない薄膜 LN を実現」するとしています事実。 同社は複合ウエハー一般について、接着剤を使わず直接接合し、機能層を薄く高精度研磨すると説明し、TFLN について高い結晶性、膜厚均一性をうたっています事実。 イオンを打ち込んで割るか、接合してから削り込むか——注入損傷を「後で直す」か「最初から入れない」かの違いで、 後者ではサブマイクロメートルまで均一に削る研磨技術が性能を決めることになります(本記事による解説)。

ウェハの大きさについて、Zhu らは 2021年時点で最大 6 インチの LNOI ウェハが NanoLN、Partow Technologies、日本ガイシ(NGK Insulators)、SRICO などから市販されていると記しています事実。 また、4 インチ・6 インチの LNOI ウェハを深紫外リソグラフィでウェハ規模に加工し、エッチ後の膜厚ばらつきを 6 nm 未満に抑えた例を紹介しています事実。 日本ガイシのウェブページも、TFLN 複合ウエハーの写真を「6インチ」としています事実。

5. 変調器への応用 ― 何が実現したか

マッハツェンダー変調器の上面図(X カット薄膜 LN、概念図) 青=光導波路/黄=電極(信号線とグランド) グランド 信号線(高周波) グランド 光 入力 光 出力 2本の腕には逆向きの電界がかかる(プッシュプル) 腕ごとに逆向きの位相がずれ、合流点で干渉して光の強弱に変わる ※ Zhu らによれば、CPW 電極に埋め込んだプッシュプル型の MZM が薄膜 LN 変調器で最も一般的な構成です(X/Y カットで Z 軸が面内)。 ※ 電極は伝送線路として働き、光とマイクロ波の速度をそろえる(速度整合)ことで広帯域になります。 ※ 長さ・幅・電極の比は模式的なもので、実際の寸法ではありません。
図3 概念図(ベクター作図)。プッシュプル構成、CPW 電極、速度整合の考え方は Zhu らの総説[参考資料1]によります。描き方・寸法比は本記事による模式で、特定の素子や製品の設計ではありません。

研究:2018年、CMOS レベルの電圧で動く LN 変調器

Harvard 大学などの Wang らは 2018年、Nature に「CMOS 互換の駆動電圧」で動くモノリシック集積 LN 変調器を報告しました事実。 論文の要旨は、従来の LN 変調器を「bulky, expensive, limited in bandwidth and require high drive voltages」(大きく、高価で、帯域が限られ、高い駆動電圧を要する)とし、 新しい素子が最大 210 Gbit/s のデータレートと0.5 dB 未満のチップ上光損失を示したと述べています事実。 Zhu らの総説は、この素子として長さ 20 mm で Vπ(光を消すのに要る電圧)1.4 V、消光比 30 dBの例を再掲しています事実。 これらは研究室での試作の値であり、製品の仕様ではありません。

指標Zhu らの総説の記述(研究報告の整理)
VπL(モノリシック MZM)低周波で典型的に 2.1〜2.5 V·cm。電極間隔 3.5 µm で 1.8 V·cm の例事実
VπL(ハイブリッド)光が一部しか LN に入らないのでやや大きくなりがちだが、SiNx 装荷の LN MZM で 2.1 V·cm の例事実
帯域CMOS 互換電圧で 100 GHz 超の変調器、最大 320 Gbit/s のコヒーレント変調器などが報告事実
高速化の制約速度整合はバルクより容易で、伝送線路(電極)の損失が主な制約。とくに金属損失が支配的事実
シリコンとの接合LN 薄膜を加工済みの SOI 導波路に貼るハイブリッド型で、3 dB 帯域 100 GHz 超の進行波変調器が報告事実

出典:Zhu ら[参考資料1]。いずれも査読論文で報告された研究段階の値の整理で、特定製品の仕様ではありません。

製品:日本の変調器メーカーも薄膜 LN へ

住友大阪セメントは 2023年3月3日、薄膜 LN を採用した 1.2 Tbps 光通信対応の広帯域ドライバ集積型コヒーレント変調器(HB-CDM)のサンプル出荷を開始したと発表しました事実。 同社は、薄膜 LN 変調チップとドライバが 130 Gbaud の動作に対応し、OIF-HB-CDM-02.0 Type 3 準拠予定としています事実。 同社の注記によれば、広く普及した 100 Gbps コヒーレント変調器は 32 Gbaud で、130 Gbaud はその約4倍です事実。 発表時点ではサンプル出荷で、販売開始は「2023年後半」の予定とされていました未確定/将来。

同じ LN でも、「バルク」から「薄膜」への移行

住友大阪セメントは同じリリースで、「10G〜400G までの幅広いラインナップの LN 変調器」を国内外に供給してきたと述べています事実。 つまり、LN 変調器を長年つくってきた企業自身が、次の世代に薄膜 LNを採用したということです。 材料は同じ LiNbO₃ でも、ウェハの作り方と加工の仕方がまったく違うので、材料の調達先も工程も変わります(本記事による解説)。

6. 本稿の計算:長さと電圧のトレードオフ

Zhu らは、Vπ は理想的には長さ L に反比例し、VπL が電気光学相互作用の強さを比べる指標として使われると説明しています事実。 これを使って、必要な長さを見積もります。

本稿の計算:Vπ を下げたければ、長くするしかない

前提:VπL = 2.2 V·cm(Zhu らが典型とする 2.1〜2.5 V·cm の範囲から本稿が選んだ値)本稿の計算

  • 長さ 0.5 cm → Vπ = 2.2 ÷ 0.5 = 4.4 V
  • 長さ 1 cm → Vπ = 2.2 V
  • 長さ 2 cm → Vπ = 1.1 V
  • 参考:Wang らの素子(20 mm で Vπ 1.4 V)は VπL = 1.4 × 2.0 = 2.8 V·cm に相当

前提と限界:低周波(DC 付近)の値を単純に反比例で換算したものです。 Zhu らは、長い変調器ほど電極の伝送損失で帯域が下がると述べており事実、 実際には電圧・長さ・帯域の三つ巴で設計が決まります。

変調器の長さと Vπ(本稿の計算、VπL = 2.2 V·cm と仮定) 変調器の長さ(cm) 5 V 2.5 V 0 V 0 0.5 1.0 2.0 4.4 V 2.2 V 1.1 V 電圧を半分にするには、長さが2倍 長くすると、電極の損失で帯域が下がる ※ VπL = 2.2 V·cm は Zhu らが示す典型範囲(2.1〜2.5 V·cm)から本記事が選んだ値。点と曲線は Vπ = 2.2 ÷ L で計算したものです。 ※ 特定の素子・製品の特性ではありません。帯域の低下は定性的な指摘で、数値は計算していません。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。VπL の典型範囲と、長い素子ほど帯域が下がる点は Zhu らの総説[参考資料1]によります。VπL = 2.2 V·cm という仮定と、4.4 V・2.2 V・1.1 V は本記事が算出した値で、公表値ではありません。

7. 素材技術者の視点②:削りにくく、工場に入れにくい

暗い背景の中で、厚い基板の上に重なった極めて薄く透明な層の縁が、低い角度からの光を受けて細い線として光っている概念イメージ
図5 概念図(AI生成イメージ)。「基板の上に貼られ、薄く研磨された透明な結晶層」を雰囲気として表現したものです。実際の膜厚・層構成・色、特定企業の製品を示すものではありません。
素材技術者の読みどころ:エッチングの副生成物が、光の損失になる

Zhu らは、LN の加工の難しさを具体的に書いています事実。

  • フッ素系の反応性イオンエッチング:ニオブは揮発性のフッ化物になって除去できるが、リチウムは不揮発性の LiF を作り、ひどい再付着を起こす。LiF はさらにエッチングされにくく、側壁の荒れと散乱損失を増やす
  • Ar⁺ によるエッチング(物理的なミリング):再付着で側壁が垂直にならない。ただし LN の再付着は滑らかで、ドライエッチ後にウェット処理で除去できる
  • CMP で導波路を作る方法:Cr マスクと化学機械研磨で、表面粗さサブナノメートル、伝搬損失 0.027 dB/cm の例。ただし側壁がなだらかで、曲げ半径を小さくできない
  • 改善の歴史:リソグラフィ・エッチング・エッチ後洗浄の最適化で、ドライエッチした LNOI 導波路の損失は 2007年の 6 dB/cm 超から 2017年の 0.027 dB/cm へ下がり、0.1 dB/cm 未満はいまや複数のグループが日常的に作れる
  • 損失の主因:ドライエッチした LNOI 導波路の主な損失は側壁の荒れ。一方、バルクのコングルエント LN で測った材料吸収は 0.4 dB/m 未満で、まだ差がある

つまり、光の損失の大半は材料そのものではなく、加工で作った「表面」から来ています(本記事による解説)。 リチウムを含む化合物は、エッチングで揮発しない副生成物を作る——これは、リチウム系の材料を扱う素材技術者にはなじみのある性質でしょう。

そして、同じリチウムが工場への持ち込みも難しくします。 Shekhar らは「Lithium, a contaminant in CMOS foundries, restricts FEOL integration」 (CMOS 工場の汚染物質であるリチウムが、前工程への統合を制限する)と書いています事実。 そのため、エッチした LNOI 変調器をシリコン PIC にハイブリッド実装するのが現実的な解とされ、 エッチしない LN をシリコンに貼る方法は配線工程(BEOL)での統合や封止技術で実現されている、と同論文は述べています事実。 エッチしなければ、構造欠陥の形成、Nb の欠乏、熱と焦電電荷の蓄積といった、エッチした LNOI に伴う問題も避けられる一方、光の閉じ込めを強くするのが難しくなるとされています事実。

薄膜 LN 導波路の損失:加工で縮まった差、残る差(本稿の計算を含む) 横軸は対数(1目盛りで10倍)。すべて dB/cm に換算 0.001 0.01 0.1 1 10 2007年(ドライエッチ) 6 dB/cm 超 2017年(ドライエッチ) 0.027 dB/cm 材料吸収(バルク) 0.4 dB/m 未満 = 0.004 dB/cm 未満 2007→2017 で約220分の1、材料の限界まではまだ約7倍 ※ 値は Zhu らの総説の記載。0.4 dB/m の dB/cm 換算、倍率(6÷0.027≒222、0.027÷0.004≒6.8)は本記事の計算です。 ※ 各年の代表値で、同じ構造・同じ条件の比較ではありません。バーの長さは目安です。
図6 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。ドライエッチした LNOI 導波路の「2007年の 6 dB/cm 超」「2017年の 0.027 dB/cm」「バルクのコングルエント LN の材料吸収 0.4 dB/m 未満」は Zhu らの総説[参考資料1]の記載です。dB/cm への換算と倍率(約220分の1、約7倍)は本記事が算出した値で、公表値ではありません。作製法・構造が異なる値の並置です。

8. 課題 ― 電荷が動く材料

(1) 光屈折と、バイアスのドリフト

Zhu らは、光伝導・光屈折効果・誘電緩和といった可動電荷による効果を、LN の「long-standing problems」(長年の問題)とし、 これらが LN デバイスの安定性とパワー耐性を制限することが多く、LNOI ではバルクより強く現れるらしいと述べています事実。

  • 光屈折効果:光が結晶欠陥から電荷を励起し、その電荷が作る電界が屈折率を変える。LNOI ではバルクより強く速い応答が報告され、アニールやクラッドなしの導波路で減らせるが、材料特性の影響の理解にはさらに研究が要る事実
  • 誘電緩和:誘電率 ε と抵抗率 ρ の材料では、緩和時間 τ = ερ で電荷が移動して印加電界を遮蔽し、電気光学素子のバイアス電圧のドリフトを起こしうる。LNOI での直接の研究はまだ少ないが、誘電緩和と整合するドリフトが観測されている事実
素材技術者の読みどころ:「動作の安定性」が、欠陥と抵抗率で決まる

τ = ερ という式は、変調器の長期安定性が、結晶の抵抗率——つまり不純物、欠陥、リチウムの欠損——で決まることを示しています(本記事による解説)。 第4章で見たとおり、LNOI の多くはリチウムが不足したコングルエント組成で作られ、イオン注入の損傷をアニールで戻す工程を経ています事実。 さらに Zhu らは、薄膜 LN の分極反転に要る電界(抗電界)がバルクより高い報告があり、その原因として接合界面やアニール中の Li⁺ の外方拡散が考えられている、と紹介しています事実。

つまり、膜をどう作ったか(注入・接合・アニール)が、組成と欠陥を通じて、変調器のドリフトや光パワー耐性にまで効いてくる可能性があります。 ただし、その定量的な関係は本稿が参照した一次情報では確立されていません(本記事による解説)。

(2) CMOS 工場との距離

リチウムが CMOS 工場の汚染物質である以上、薄膜 LN をシリコンの前工程に直接組み込むのは制限されます事実。 ハイブリッド実装、配線工程での接合、専用ラインのどれが量産の主流になるかは、本稿の調査時点(2026年9月)では確定していません未確定/将来。

(3) 製品化の範囲は限られた情報しかない

住友大阪セメントの薄膜 LN 変調器は、2023年3月時点でサンプル出荷、同年後半の販売開始予定と発表されました事実。 その後の量産規模や、データセンター向けの短距離用途(光トランシーバー)で薄膜 LN がどれだけ採用されているかは、本稿が参照した一次情報では確認できませんでした。

この記事のまとめ
  • 薄膜 LN は、LN 単結晶を薄く切り出して(または削り込んで)絶縁膜の上に貼った材料です事実
  • 光を強く閉じ込められるので、電極を約 5 µm まで近づけられ、駆動電圧が下がります事実
  • VπL が 2.2 V·cm なら、長さ 1 cm で 2.2 V、2 cm で 1.1 V——電圧と長さ(と帯域)はトレードオフです本稿の計算
  • 損失は加工の改善で約220分の1に減りましたが、材料の限界まではまだ約7倍の差があります本稿の計算
  • 課題は、エッチングの LiF 再付着、CMOS 工場でのリチウム汚染、光屈折とバイアスドリフト——いずれも材料とプロセスの問題です事実

9. 用語集

ニオブ酸リチウム(LN)
LiNbO₃。強誘電体の単結晶。電気光学効果・圧電性・非線形光学効果が大きい。
TFLN/LNOI
薄膜ニオブ酸リチウム/絶縁膜上の LN。LN の薄膜を SiO₂ などの上に載せた基板。
ポッケルス効果
電界に比例して屈折率が変わる現象。一次の電気光学効果。
電気光学係数 r₃₃
結晶の Z 軸方向の電界で、Z 軸方向に振動する光の屈折率がどれだけ変わるかを表す係数。
Vπ(半波長電圧)
光の位相を π ずらす(MZM で光を消す)のに要る電圧。低いほど省電力。
VπL
Vπ と電極長の積。長さに依らない変調効率の指標として比較に使う。
MZM
マッハツェンダー変調器。光を2本に分け、位相差をつけて合流させ強弱に変える。
プッシュプル
2本の腕に逆向きの電界をかけ、逆向きの位相変化を起こす構成。
CPW
コプレーナ導波路。信号線を2本のグランドで挟んだ平面型の高周波伝送線路。
速度整合
電極を伝わる電気信号と光の速度をそろえ、変調を同じ向きに積み重ねること。
X カット/Z カット
結晶をどの方位で切ったか。X カットでは Z 軸が面内にある。
Smart Cut/イオンスライス
イオン注入で劈開面を作り、接合後に熱で割って薄膜を移す技術。SOI ウェハにも使われる。
コングルエント組成
融液と同じ組成で結晶が育つ組成。LN ではリチウムが化学量論比より少ない。
Ti 拡散導波路
バルク LN に Ti を熱拡散させて作る従来型の導波路。屈折率差が小さい。
プロトン交換
LN の Li⁺ を H⁺ に置き換えて屈折率を上げる導波路作製法。
光屈折効果
光で励起された電荷の作る電界が、電気光学効果を通じて屈折率を変える現象。
誘電緩和
材料中の電荷が移動して、かけた電界を時間とともに遮蔽していく現象。
BEOL/FEOL
半導体の配線工程/トランジスタを作る前工程。
Gbaud
1秒あたりの変調回数(シンボル数)の単位。
HB-CDM
OIF が定める、ドライバを集積した広帯域のコヒーレント変調器の実装仕様。

10. 参考資料(一次情報)

  1. D. Zhu, L. Shao, M. Yu ほか, M. Lončar(Harvard 大学ほか)「Integrated photonics on thin-film lithium niobate」Advances in Optics and Photonics 13(2), 242–352(2021年、DOI: 10.1364/AOP.411024)。本文は著者公開版(arXiv:2102.11956)で確認 — arxiv.org
  2. C. Wang, M. Zhang, X. Chen ほか「Integrated lithium niobate electro-optic modulators operating at CMOS-compatible voltages」Nature 562, 101–104(2018年、DOI: 10.1038/s41586-018-0551-y) — nature.com
  3. S. Shekhar, W. Bogaerts, L. Chrostowski, J. E. Bowers ほか「Roadmapping the next generation of silicon photonics」Nature Communications 15, 751(2024年、DOI: 10.1038/s41467-024-44750-0) — nature.com
  4. 日本ガイシ(NGK)「超高速通信やEV用パワーデバイスに貢献する次世代ウエハー(開発中)」製品・技術ページ — ngk.co.jp
  5. 日本ガイシ(NGK)「『ECOC2025』に参加 光通信用途の複合ウエハーやセラミックパッケージなどを展示」2025年9月17日 — ngk.co.jp
  6. 住友大阪セメント「1.2Tbps伝送対応 光通信部品(LN変調器)のサンプル出荷を開始」2023年3月3日 — soc.co.jp

11. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
LN が高速光通信から携帯電話の RF フィルターまで数十年使われてきたこと。イオンスライスとウェハ接合による高品質薄膜 LN ウェハが市販され、一部の薄膜デバイスがバルク品を上回ったこと。r₃₃ ≈ 31 pm/V。表の物性値(r₃₃ = 30.9、r₅₁ = 32.6 pm/V、屈折率 2.21/2.13、SiO₂ 1.44、透明域 350 nm〜5 µm、キュリー温度 約1210 ℃、dnₑ/dT = 3.34×10⁻⁵ K⁻¹、焦電 約95 µC m⁻² K⁻¹)と、これらが動作を制限しうること。Ti 拡散(屈折率上昇 0.001〜0.04、数 µm の拡散)とプロトン交換(150〜400 ℃、Δnₑ 0.1 程度以下)、モード面積 10〜100 µm²、曲げ半径 mm 級。薄膜 LN の屈折率差がイオン拡散型よりおよそ1桁大きいこと、斜め側壁とスラブ。CPW 電極間隔が約 5 µm まで狭められること。スパッタ・CVD・PLD・ゾルゲル・MBE が高結晶性を得られなかったこと。Smart Cut の工程(He⁺/H⁺ 注入、接合、熱分割、アニール、研磨)と支持基板、BCB 接合と直接接合、直接接合が高温アニールで特性回復できるため好まれること、コングルエント LN(Li 不足)が多いこと。2021年時点で最大 6 インチの LNOI が NanoLN・Partow・NGK・SRICO から市販。4/6 インチのウェハ規模加工で膜厚ばらつき 6 nm 未満。プッシュプル CPW の MZM が最も一般的で X/Y カットで Z 軸が面内。20 mm で Vπ 1.4 V・消光比 30 dB の例。VπL 典型 2.1〜2.5 V·cm、3.5 µm 間隔で 1.8 V·cm、ハイブリッドで大きめ・SiNx 装荷で 2.1 V·cm。100 GHz 超・320 Gbit/s の報告。速度整合はバルクより容易で伝送線路損失(主に金属損失)が制約。LN/SOI ハイブリッドで 100 GHz 超。Vπ が L に反比例し VπL を指標に使うこと、長い素子ほど帯域が下がること。F 系 RIE の LiF 再付着と側壁荒れ、Ar⁺ エッチの再付着と非垂直側壁・ウェット除去、CMP 導波路 0.027 dB/cm と浅い側壁、ドライエッチ導波路の損失が 2007年の 6 dB/cm 超から 2017年の 0.027 dB/cm に改善し 0.1 dB/cm 未満が日常的に作れること、ドライエッチ導波路の主損失が側壁荒れ、バルクの材料吸収 0.4 dB/m 未満。可動電荷効果が「long-standing problems」で LNOI で強いらしいこと、光屈折効果の機構と低減策、誘電緩和 τ = ερ とバイアスドリフト。薄膜 LN の抗電界がバルクより高い報告と、接合界面・Li⁺ 外方拡散という推定原因Zhu ら, Advances in Optics and Photonics 13, 242(2021年)著者公開版[参考資料 1]https://arxiv.org/abs/2102.11956事実
CMOS 互換の駆動電圧で動くモノリシック集積 LN 変調器、最大 210 Gbit/s、チップ上光損失 0.5 dB 未満。従来の LN 変調器が「bulky, expensive, limited in bandwidth and require high drive voltages」であること。2018年の Nature 掲載Wang ら, Nature 562, 101(2018年)[参考資料 2]https://www.nature.com/articles/s41586-018-0551-y事実
「The most ‘pure’ electro-optic modulation relies on the Pockels effect, which provides an intrinsically very high E/O BW, even exceeding 100 GHz」。「Lithium, a contaminant in CMOS foundries, restricts FEOL integration」。エッチした LNOI 変調器のハイブリッド実装が現実的な解であること、エッチしない LN の接合が BEOL 統合や封止で実現されていること、エッチしないことで構造欠陥・Nb 欠乏・熱と焦電電荷の蓄積を避けられる一方で閉じ込めが難しくなることShekhar ら, Nature Communications 15, 751(2024年)[参考資料 3]https://www.nature.com/articles/s41467-024-44750-0事実
光通信用 TFLN 複合ウエハーが「LN とベース基板を接合した複合ウエハーを精密研磨した」もので「結晶ダメージのない薄膜 LN を実現」するとしていること。写真が6インチであること日本ガイシ 次世代ウエハー(開発中)ページ[参考資料 4]https://www.ngk.co.jp/rd/wafer/事実
複合ウエハーが接着剤を使わず直接接合し、機能層を薄く高精度研磨するものであること。TFLN について高い結晶性・膜厚均一性をうたっていること。ECOC 2025 での紹介日本ガイシ ニュース(2025年9月17日)[参考資料 5]https://www.ngk.co.jp/news/20250917_2.html事実
2023年3月3日、薄膜 LN を採用した 1.2 Tbps 対応 HB-CDM のサンプル出荷を開始したこと。130 Gbaud 対応、OIF-HB-CDM-02.0 Type 3 準拠予定、100 Gbps コヒーレント変調器の 32 Gbaud の約4倍。10G〜400G の LN 変調器を供給してきたこと住友大阪セメント ニュースリリース(2023年3月3日)[参考資料 6]https://www.soc.co.jp/news/69155/事実
販売開始が「2023年後半」の予定とされていたこと発表時点の計画であり、実績は本稿で確認していない[参考資料 6]https://www.soc.co.jp/news/69155/未確定/将来
VπL = 2.2 V·cm と仮定したときの Vπ(0.5 cm で 4.4 V、1 cm で 2.2 V、2 cm で 1.1 V)。Wang らの素子を VπL 2.8 V·cm と換算したこと。0.4 dB/m = 0.004 dB/cm の換算、6÷0.027 ≒ 222(約220分の1)、0.027÷0.004 ≒ 6.8(約7倍)本稿の計算。2.2 V·cm は Zhu らの典型範囲から本稿が選んだ仮定。DC 付近の値を反比例で換算したもので帯域は考慮しない。損失の値は作製法・構造が異なる代表値の並置本稿の計算
薄膜 LN を量産でシリコンにどう統合するか(ハイブリッド、BEOL 接合、専用ライン)の主流。薄膜 LN 変調器の量産規模と、データセンター向け短距離用途での採用状況。膜の作製条件とドリフト・光パワー耐性の定量的関係本稿の調査時点(2026年9月)で、一次情報では確認できなかったため記載していない。本記事による判断未確定/将来
ポッケルス効果が格子の応答でありキャリア型と異なるという説明。電極間隔が狭いと低電圧になるという説明。薄膜の品質が「単結晶品質・注入損傷の回復・接合界面」の3つで決まるという整理。イオンスライスと接合+研磨を「損傷を後で直すか、最初から入れないか」と対比したこと。損失の大半が加工表面から来るという読み取り。リチウム化合物の不揮発性という指摘。τ = ερ から長期安定性が抵抗率・欠陥で決まるという読み取り。同じ LN でもウェハの作り方と加工が変わるという指摘。図の描き方公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各社・各機関が表明した見解ではない解説
図1〜図4・図6が実際の断面・設計図・測定データではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図5が AI 生成イメージであること。図2の「残りの LN は再利用も」が出典の記載ではない補足であること本記事による注記解説

最終更新:2026年9月25日/出典は一次情報(査読論文・総説、企業の公式発表・製品ページ)に限定しています。 数値の換算や材料設計上の読み取りを含むため、それらは「本稿の計算」「解説」として出典付きの事実と区別しています。 研究論文の性能値(Vπ、帯域、データレート、損失)は試作素子の値で、製品の仕様ではありません。 薄膜 LN 変調器の量産規模、データセンター向け用途での採用状況、膜の作製条件とドリフトの定量的関係については、公開された一次情報で確認できなかったため記載していません。 図はすべて説明用の概念図です。図1〜図4・図6はベクター作図、ヒーロー画像と図5はAI生成イメージであり、いずれも実際の断面写真・顕微鏡像・製品の実物を示すものではありません。