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各国のMI戦略とデータ基盤 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

各国のMI戦略とデータ基盤
― 「◯億円を投資」「国家戦略」を、どう読めばよいのか(米国・欧州・日本・中国と、データ基盤の使える条件)

マテリアルインフォマティクス(MI)の話題では、「国が数百億円を投資」「国家戦略としてAIで材料開発を加速」といった言葉がよく出ます。しかし、その金額が計画なのか、公募なのか、契約なのか、実際に使われた額なのかで、意味は大きく変わります。さらに、同じ「戦略」でも、大統領令、方針の通知、閣議に準じる決定、省庁の公募指南、有識者の提言は、性格がまったく別の文書です。 この記事は、MIになじみのない素材技術者を前提に、①お金の言葉の段階、②米国・欧州・日本・中国が公式の文書で何を示しているか、③各国のデータ基盤を、誰がいくらでどう使えるか、を整理します。国どうしの優劣・順位はつけません。金額は、元の通貨のまま、文書の記載のとおりに書き、確認日(2026年10月23日)をつけます。

構成:各国政府・欧州委員会・文部科学省・内閣府・NEDO・科技部などの公式文書、CORDIS、NOMAD・NIMS・NIST の公式ページ/確認できなかった金額・状況は書かない/確認日 2026年10月23日

①データ基盤、②共同利用の設備、③研究支援という異なる役割です。政策の目標、採択、利用できるサービスは区別して読みます。
図1 概念画像(ImageGen生成)。①データ基盤、②共同利用の設備、③研究支援という異なる役割です。政策の目標、採択、利用できるサービスは区別して読みます。実在の製品・施設・測定結果ではありません。拡大模型、線・矢印・色は説明用です。
この記事の構成
  1. 3行でわかる / 読む前に / シリーズの中での位置
  2. 「予算」と「戦略」の言葉を読む
  3. 米国 ― MGI と Genesis Mission
  4. 欧州 ― 研究の枠から、共通のデータ基盤へ
  5. 日本 ― 戦略、マテリアルDXプラットフォーム、NEDO
  6. 中国 ― 材料基因工程と「人工知能+」
  7. 年表と、比べてはいけない理由
  8. データ基盤の使える条件 ― 素材技術者の視点
  9. 限界と、確認できなかったこと/まとめ
  10. 評価・標準の読み方
  11. 用語集
  12. 参考資料(一次情報)
  13. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値(本記事では、おもに整理)
未確定/将来=計画・目標・提案・予定など、まだ確定していない事項
このほか、読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。

この記事の数値と日付の読み方

金額は、通貨・年度・期間・段階がそれぞれ違います。為替で換算せず、元の通貨のまま、文書に書かれた言葉(提案・概算・目安・契約・公募など)で書きます。日付と状態は確認日(2026年10月23日)のものです。この記事は、国の優劣・順位をつけず、特定の企業や国への投資・政策の助言をせず、法的助言もしません。まだ提案や成立に至っていないもの(欧州の先端材料法、欧州の次期研究枠組み、日本の有識者提言など)を、確定した制度として扱いません。米国の Genesis Mission の成果、日本の NEDO 事業の目標の独立した検証、中国の専項の成果や予算の成立額、米国の MGI の金額は、確認できなかったため、書きません。

1. 3行でわかる / 読む前に / シリーズの中での位置

  • 「国のMI戦略」は、1つの種類のものではない:米国は省庁横断の戦略計画(MGI)と大統領令(Genesis Mission)、欧州は方針の通知と研究枠と共同の事業、日本は内閣府の戦略と文部科学省の事業とNEDO・JSTの事業、中国は科技部の専項の指南と国務院の意見、と、文書の性格が国ごとに違います[参考資料2・3・6・10・16・17]
  • 金額には「段階」がある:たとえば、米国エネルギー省(DOE)の2.93億ドルは「公募の額」、欧州の次期研究枠組みの1,750億ユーロは「提案の額」、NEDO の約138億円は「計画」、NEDO の実際の負担額は合計137.51億円です事実[参考資料4・5・14]。同じ「◯億」でも、意味が違います
  • 素材技術者にとっては、データ基盤の「使える条件」が実務の問題:NOMAD(欧州)の公開データは CC-BY-4.0、日本の ARIM のデータ共用は有料の年会費制で、利用者は日本国内の居住者・法人に限る条件つき、NIMS の MDR はデータごとにライセンスが指定されます事実[参考資料9・12・18]。「公的なデータ基盤がある」ことと、「自社が使える」ことは別です
この記事でいちばん大事な一行

「計画」「提案」「公募」「契約」「実績」は、別の数字です。国のMI戦略の記事を読むときは、金額がどの段階か、データ基盤が誰に開かれているかを確かめてください。国の予算の大小は、MIの進み具合を示す物差しではありません。

この記事を読む前に知っておくこと

MI(マテリアルインフォマティクス)は、材料のデータと機械学習などで、材料の探索・設計を進める方法です。材料探索は「広大な地図から宝のありかを探す」作業で、MIは探す場所を絞る道具です。計算は「安く速く候補を出す」、AIは「探す場所を絞る」、実験は「本当にそうか確かめる」という分担です。

国の戦略が材料に関わるのは、主に「データ基盤」の面です。データ基盤は、材料探索の「共通の地図帳」にたとえられます。たとえの限界:地図帳と違い、データ基盤のデータは、計算か実測か、いつ誰がどう測ったかが少しずつ違い、使える人や費用も基盤ごとに違います。

シリーズの中での位置

この記事は、「マテリアルインフォマティクス」シリーズの政策編です。データベースと FAIR 原則は本シリーズ『材料データベースとFAIR原則』編、自律実験室は『自律実験室』編、評価の読み方は『MIの結果の評価と再現性の読み方』編で扱います。他分野の国の戦略(宇宙、量子)は、本シリーズの『各国の宇宙戦略と規制』『各国の量子戦略』編が、同じ構成で整理しています。

2. 「予算」と「戦略」の言葉を読む

(1) お金の言葉には、5つの段階がある

ニュースの「◯億円を投資」は、どの段階の数字なのかを確かめないと、意味が取れません。この記事では、お金を次の5つの段階に分けます(本記事による整理)。①提案は、政府や委員会が、これから決めてほしいと案を出した額、②計画・概算は、事業の計画に書かれた額、③枠の成立は、予算の枠として決まった額(目安を含む)、④公募・契約は、特定の事業への公募の総額や、契約で決まった額、⑤実績は、実際に支払われた額です。

金額が「どの段階の数字か」を確かめる(概念図) ① 提案・要求 ② 計画・概算 ③ 枠の成立 ④ 公募・契約 ⑤ 実績 EU 次期 Horizon Europe (2028〜2034年)の提案: 1,750億ユーロ(2025年7月 16日) NEDO 超超PJ:事業規模 約 138億円の計画(2016〜 2022年度) 中国 2017年度指南:国費 の総概算 3.24億元 EU Horizon Europe(2021 〜2027年):目安の資金額 935億ユーロ 米国 DOE Genesis の公募 (RFA):2.93億ドル( 2026年3月) EU MaterialsCommons:助 成契約 27,998,554.91ユ ーロ(2026年5月12日署名 ) NEDO 超超PJ:NEDO負担額 の合計 137.51億円(2022 年度は契約額) 通貨は元のまま。為替換算や、国の間の足し算・比較はしない
図2 概念図(ベクター作図)。お金の5つの段階に、本記事で確認した金額の例を置いた概念図です。同じ段階に置いても、範囲・期間・通貨が違うため、金額どうしを比べたり足したりしません。実績の欄は、NEDO の事業原簿の記載で、2022年度分は契約額です。

具体例が、米国 DOE の発表にあります。DOE は、Genesis Mission の課題に取り組むチーム向けに「2.93億ドルの公募」を発表しました。第I期は1件あたり50万〜75万ドル(9か月)、第II期は600万〜1,500万ドル(3年)です事実[参考資料4]。これは公募の枠で、採択の結果ではありません。さらに、大統領令の本文は、課題への取り組みを「利用可能な歳出を条件として」と書いています[参考資料3]。「発表された」ことと、「使える」ことは、別の段階です。

(2) 文書の種類によって、決められることが違う

文書の種類この記事で出てくる例決められること読むときの注意
大統領令米国:大統領令14363「Launching the Genesis Mission」(2025年11月24日)[3]行政機関への指示、期限、担当金額は書かれていない。本文が「法律に合う範囲で、利用可能な歳出を条件に」と述べる事実
戦略計画(省庁横断)米国:MGI 戦略計画(2021年11月)[2]目標、重点、省庁の行動の方向確認した範囲で、金額の記載はなかった事実
通知(Communication)欧州:COM(2024) 98「Advanced Materials for Industrial Leadership」[6]欧州委員会の方針と、取り組みの方向方針の文書。法律の提案(先端材料法)とは別事実
助成契約欧州:MaterialsCommons(助成契約 101293545)[8]事業の期間と、助成の金額契約の金額で、実際の支出ではない
戦略(決定)日本:マテリアル革新力強化戦略(2021年4月27日、2025年6月4日改定)[10・11・27]政府の方針と、取り組むべきアクション金額の記載は、確認した概要資料にはなかった事実
有識者の提言日本:マテリアル革新力強化戦略推進方策(2026年6月12日)[27]有識者会議としての提案政府の決定ではなく、提言事実
事業原簿日本:NEDO「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」[14]事業の目標、予算の推移、成果の自己記述達成の記述は、事業側の整理(独立の検証は未確認)
申請指南・意見中国:科技部の2017年度指南、国務院の意見(国発〔2025〕11号)[16・17]支援の方向、概算、応募の条件指南の「概算」は計画の数字事実

すべて事実(各公式文書、確認日 2026年10月23日)。表の整理は本稿の計算(整理)。法的な効力の解釈は、各文書の本文と所管の機関によります(法的助言ではありません)。

よくある誤解:「予算が大きい国ほど、MIで進んでいる」

正しくは:予算の大きさは、MIの進み具合の物差しではありません。成果は、お金だけでなく、データの質と量、人材、装置、企業の力にも左右されます。しかも、各国の数字は、範囲・期間・段階・通貨が違い、そのまま並べられません。この記事は、国どうしの順位をつけません(本記事による解説)。

つまずきやすいところ:年度と「年」

米国の連邦政府の会計年度は、前年の10月に始まり、その年の9月に終わります(例:FY2026は2025年10月〜2026年9月)。日本の国の「2026年度」は、2026年4月から2027年3月です。欧州の Horizon Europe のような研究の枠組みは、複数年(例:2021〜2027年)の枠です。国によって区切りが違うため、「同じ年の予算」として並べるとずれが生じます(本記事による解説)。

3. 米国 ― MGI と Genesis Mission

米国のMI関連の取り組みは、大きく2つの流れで整理できます。2011年に始まったMaterials Genome Initiative(MGI)と、2025年11月の大統領令で始まったGenesis Missionです。2つは別の枠組みです。

2つの流れ(概念図) Materials Genome Initiative(MGI) Genesis Mission 2011年:開始 材料の発見・設計・開発・展開を、データと計算で加速 2014年12月:戦略計画 最初の戦略計画 2021年11月:改定の戦略計画 3つの目標:インフラの統合、材料データの活用(FAIR・AI対応) 、人材 2024年:MGI チャレンジ 自律実験などの課題を設定 2025年11月24日:大統領令 14363 AIで科学を加速する国家的取り組みを開始。予算は「利用可能な歳 出を条件」 60日・90日・120日・270日 課題リスト、計算資源、データ・モデル資産、初期運用の期限 2026年3月:DOE の公募 2.93億ドルの公募。第I期 50〜75万ドル、第II期 600〜1,500万 ドル 対象領域に「重要材料」など 先端製造、バイオ、重要材料、原子力、量子、半導体 2つは別の枠組み。MGI の計画に金額の記載は確認できなかった
図3 概念図(ベクター作図)。MGI の公式サイトと2021年の戦略計画(参考資料1・2)、大統領令14363(参考資料3)、DOE の発表(参考資料4)の記載にもとづく整理です。Genesis Mission の成果や達成度は、本稿では確認していません。

(1) MGI ― データと計算で、材料開発を加速する

MGI の公式サイトは、MGI を「先端材料を、従来の方法の2倍の速さで、費用はその一部で、発見・製造・展開することを目指す、連邦政府の複数機関による取り組み」と説明しています事実[参考資料1]。2021年の戦略計画は、MGI が2011年に、データと計算の道具を実験と組み合わせて、新しい材料の発見・設計・開発・展開を、少ない費用で加速するために始まったこと、2021年の計画が2014年12月の最初の計画を更新するものであることを述べています[参考資料2]。

2021年の計画は、今後5年間の目標を3つ挙げています。①材料イノベーション基盤(MII)の統合(計算・実験・データの道具をつなぐ)、②材料データの活用(AI への応用、データを FAIR にして「AI に使える」ものにする)、③人材の育成とつながりです[参考資料1・2]。②の中には、国の材料データのネットワーク(National Materials Data Network)を育てること、連邦の資金を受けた研究のデータ管理計画(FAIR の考え方)も含まれます[参考資料2]。同計画は、全米科学財団(NSF)が2016年に始めた「材料イノベーション・プラットフォーム(MIP)」を、MGI の考え方で作った国の利用施設の例として挙げています[参考資料2]。2024年には、MGI の「チャレンジ」が発表されています[参考資料1]。

確認できなかったこと:2021年の戦略計画は、確認した範囲で、事業ごとの予算の金額を載せていません[参考資料2]。MGI は複数の省庁にまたがる枠組みで、専用の1つの予算があるのかも、確認できませんでした。

(2) Genesis Mission ― AI で科学を加速する国家的な取り組み

大統領令14363「Launching the Genesis Mission」は、2025年11月24日に署名されました。本文は、AI で科学的な発見を加速する国家的な取り組み(Genesis Mission)を設けること、エネルギー省(DOE)長官が実施を担い、科学技術担当の大統領補佐官が全体を率いることを定めています事実[参考資料3]。主な内容は次のとおりです。

  • プラットフォーム:DOE が「American Science and Security Platform」を設け、運用する。内容は、国立研究所のスーパーコンピュータやクラウドの計算資源、AI の枠組みとエージェント、予測モデル、分野ごとの基盤モデル、データセットへの安全なアクセス、自律的・AI 支援の実験と製造の道具です
  • 期限:署名から60日以内に、少なくとも20の「国家的な科学技術課題」を DOE が提出する。90日以内に計算・保存・通信の資源、120日以内に初期のデータとモデルの資産(デジタル化・標準化・メタデータ・来歴の追跡を含む)、240日以内にロボット実験室の能力、270日以内に、少なくとも1つの課題で、プラットフォームの初期の運用能力の実演を目指す(「法律に合う範囲で、利用可能な歳出を条件として」)
  • 課題の領域:先端製造、バイオ、重要材料(critical materials)、原子力(核分裂と核融合)、量子情報科学、半導体とマイクロエレクトロニクス

DOE の Genesis Mission のサイトは、目標を「10年以内に、米国の研究開発の生産性と影響を2倍にする」と書き、材料の分野では、「重要材料の確保(代替材料の共同設計、廃棄物からの希少元素の回収)」と「重要な用途の合金・高分子・複合材料の発見(シミュレーション、文献の探索、自律実験室の融合)」を例に挙げています事実[参考資料20]。

2026年3月の DOE の発表は、「Genesis Mission: Transforming Science and Energy with AI」という2.93億ドルの公募(RFA、NOFO は DE-FOA-0003612)を示しました。対象は、先端製造、バイオ、重要材料、原子力、量子情報科学などの20を超える国家的課題で、第I期(9か月)は1件あたり50万〜75万ドル、第II期(3年)は600万〜1,500万ドルです。第I期の申請と第II期の意向表明は2026年4月28日、第II期の申請は5月19日が期限でした事実[参考資料4]。

確認できなかったこと:この公募の採択の結果と配分額、Genesis Mission 全体の予算の金額、大統領令の期限(60日、90日など)の実際の達成状況は、本稿では確認できませんでした。2.93億ドルは、公募の枠の額で、Genesis Mission 全体の予算ではありません未確定/将来。

つまずきやすいところ:大統領令は「予算の成立」ではない

大統領令は、行政機関に何をするかを指示する文書で、金額は書かれていません。実際にお金が使えるのは、議会が予算を成立させた後です。大統領令の本文も、「利用可能な歳出を条件として」と書いています[参考資料3]。「大統領令で Genesis Mission が始まった」ことと、「◯億ドルが使える」ことは、別の話です(本記事による解説)。

素材技術者の視点①:国が求める「AIに使えるデータ」は、自社の記録の整え方と同じ話

MGI の計画は、データを FAIR にすることが、データを「AI に使える」ものにする足場になると述べ、Genesis Mission の大統領令も、データ資産について、デジタル化・標準化・メタデータ・来歴の追跡を挙げています[参考資料2・3]。素材技術者から見ると、これは、自社の実験ノートに、測定条件・試料の履歴・失敗した条件を、機械が読める形で残すことと、同じ方向の話です(本記事による解説)。米国の基盤を使う・参加する・使わないに関わらず、自社のデータの整え方は、将来のどの基盤にもつながります。

4. 欧州 ― 研究の枠から、共通のデータ基盤へ

欧州連合(EU)は27の加盟国の集まりで、材料の取り組みは、EU 全体の研究枠組み、欧州委員会の方針、共同の事業、加盟国それぞれの取り組みが重なり合っています。

資金と方針と基盤の関係(概念図) Horizon Europe 2021〜2027年:目安 935億ユーロ 通知 COM(2024) 98 2024年2月27日 先端材料法(予定) 2026年中の提案を予定 通知は方針の文書。法律の提案(先端材料法)は別で、確認日時点で未提出 通知が掲げた「materials commons」(持続的な欧州のデジタル基盤を2025年半ばまでに) MaterialsCommons 事業 2026年6月1日〜2030年5月31日 助成契約の金額 27,998,554.91ユーロ(EU拠出) つなぐ既存の基盤 NOMAD、Materials Cloud ほか NOMAD:FAIRmat が開発・運営。公開データはすべて CC-BY-4.0(公式サイト、確認日 2026年10月23日) 2028〜2034年の次期枠組みは、2025年7月に1,750億ユーロが提案された段階(交渉中) 金額は元の通貨・文書の言葉のまま
図4 概念図(ベクター作図)。欧州委員会の Horizon Europe のページ(参考資料5)、通知 COM(2024) 98(参考資料6)、研究・イノベーションの発表(参考資料7)、CORDIS(参考資料8)、NOMAD の公式サイト(参考資料9)の記載にもとづく整理です。

(1) 研究の枠:Horizon Europe

Horizon Europe は、EU の主要な研究・イノベーションの資金プログラムです。欧州委員会のページによると、多年次財政枠組みの中間見直しの決定を受けて、2021〜2027年の目安の資金額は935億ユーロです。同じページは、2025年7月16日に、欧州委員会が次期の2028〜2034年の枠組みとして1,750億ユーロの予算を提案したこと、今後、欧州議会・理事会・欧州委員会の間で交渉が行われることを示しています事実未確定/将来[参考資料5]。935億ユーロは「目安の枠」、1,750億ユーロは「提案」で、後者はまだ成立していません。

(2) 方針:通知 COM(2024) 98

欧州委員会は2024年2月27日に、通知 COM(2024) 98「Advanced Materials for Industrial Leadership」(産業の主導権のための先端材料)を出しました事実[参考資料6]。通知は、先端材料の開発に従来の方法で10〜30年かかること、研究開発のデジタル化が新材料の発見を加速しうること、その例として AI が約40万の安定な結晶構造を予測したことを挙げています。取り組みとして、欧州委員会と加盟国が、先端材料の研究・イノベーションのための、長期で持続的な欧州のデジタル基盤「materials commons」を2025年半ばまでに作ることを目標に掲げ、欧州デジタルインフラコンソーシアムの設立の可能性を探るとしています。この基盤は、欧州オープンサイエンスクラウド(EOSC)や、製造のデータスペース、国の取り組み(MaterialDigital、Diadem)、欧州の事業(BIG-MAP)とつながり、FAIR の原則にもとづくと書かれています[参考資料6]。

読み方:通知の「約40万の安定な結晶構造を予測した」は、計算上の予測の件数です(本シリーズ『MIの結果の評価と再現性の読み方』編の第7章で、この種の「発見」の読み方を扱いました)。政策文書が、予測の件数を、AI の可能性の例として引いている、ということです(本記事による解説)。

(3) 法律:先端材料法(予定)

欧州委員会は2025年10月21日に、将来の先端材料法(Advanced Materials Act)への意見募集(Call for evidence と公開の協議)を始めました。意見の受付は2026年1月13日まででした。法は、研究・イノベーションの過程を、設計・開発から製造・展開まで支え、設計から展開までの長い期間と、EU 内での先端材料の生産能力の拡大を課題に、規制の手続きを合理化することを目指すとされ、2026年に提案される予定と書かれています事実未確定/将来[参考資料7]。確認日時点で、提案が出された記録は、本稿では確認できませんでした。この記事は、法の内容を確定した制度として書きません。

(4) 共同の事業:MaterialsCommons(2026年6月開始)

通知が掲げた「materials commons」に近い事業として、MaterialsCommons が、Horizon Europe の助成(助成契約 101293545)で始まりました。CORDIS の記録では、EU の署名日は2026年5月12日、事業期間は2026年6月1日〜2030年5月31日、総費用は27,998,554.91ユーロ、EU の拠出額も同額です事実[参考資料8]。事業を紹介する参加機関の発表(2026年7月2日)によると、26の学術機関、21の関連パートナー、12の関連協力者からなる共同体で、フラウンホーファー材料力学研究所(ドイツ)が調整し、2026年6月17日にキックオフが開かれました。目的は、Materials Cloud、NOMAD、MaterialDigital、CAPeX、OPTIMADE などの既存の基盤を連携させ、1つの入口から、欧州の材料データとデジタルの道具にアクセスできるようにすることです。共通の分類・メタデータの標準・オントロジー、データへの簡単なアクセス、実験とシミュレーションの自動化・相互運用できるワークフローを、3つの重点に挙げ、デジタル製品パスポートも支援するとされています[参考資料28]。

通知は「2025年半ばまでに」を目標に掲げ、事業の開始は2026年6月です。目標の時期と、事業の開始の時期が違うことは、文書のとおりの事実で、評価は付けません(本記事による解説)。

(5) NOMAD ― FAIR なデータの共有基盤

NOMAD は、材料科学のデータを管理し、共有する、無償のオープンソースのサービスです。公式サイトは、NOMAD がFAIRmat コンソーシアムにより開発・運営されていること、公開されたすべてのデータがCC-BY-4.0であること、60を超えるファイル形式からデータを取り出すこと、DOI つきでデータを公開できることを述べています。サイトの表示(確認日 2026年10月23日)は、アップロードされたエントリが19,425,275件、「represented materials」が4,346,100、ファイルが129.3 TB です事実[参考資料9]。表示の数字は、サイトの現在値で、変わります。「エントリ」と「材料」の数え方の定義は、本稿では確認していません。

素材技術者の視点②:「公開データが CC-BY-4.0」は、使うときに出典を示せば、商用でも使いやすいということ

CC-BY-4.0 は、一般に、出典を示すことを条件に、複製・改変・商用利用が認められるライセンスとされます(ライセンスの条文の確認が必要で、法的助言ではありません)。NOMAD のように、ライセンスが1つにそろったデータ基盤は、利用の条件が分かりやすいのが利点です。自社のデータを公開するときも、公開する前に、どのライセンスで、何を公開し、何を公開しないかを社内で決めておくと、後で困りません(本記事による解説)。

5. 日本 ― 戦略、マテリアルDXプラットフォーム、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

日本のMI関連の取り組みは、内閣府の戦略、文部科学省のデータ基盤の事業、経済産業省所管の NEDO の事業、科学技術振興機構(JST)の事業が、時期をずらして重なっています。

戦略の3つの節目と、データ基盤の3本柱(概念図) 2021年4月27日 マテリアル革新力強化戦略を決定 2025年6月4日 改定。「知のバリューチェーン」とマテリア ルDXの更なる推進 2026年6月12日 有識者会議が推進方策を提言(決定ではなく 提言) 文部科学省のマテリアルDXプラットフォーム:3つの事業 ① 創出:ARIM 2021年度開始。26機関、約1,200台の装置。 4年で100万件超の構造化データを蓄積 ② 統合・管理:MDPF NIMS のデータ中核拠点。MatNavi、RDE、 MDR、MInt、pinax を提供 ③ 利活用:DxMT データ創出・活用型マテリアル研究開発プロ ジェクト(5拠点)。Phase I〜III の計画 は2022年9月〜2031年3月 それ以前の流れ 2015年度:JST イノベーションハブ「MI2I」(NIMS)。2016〜2022年 度:NEDO 超超PJ(事業規模 約138億円の計画) ARIM のデータ共用:2025年9月30日開始。約11万件。有料の年会費制 。利用者は国内の居住者・法人に限る条件つき 金額は円のまま。年度は4月〜翌年3月
図5 概念図(ベクター作図)。内閣府の戦略資料(参考資料10・11)、文部科学省の発表(参考資料12)、NIMS の発表(参考資料13)、NEDO の事業原簿(参考資料14)、NIMS のノウハウレポート(参考資料15)、DxMT の概要説明(参考資料21)の記載にもとづく整理です。

(1) 出発点 ― 米国 MGI の刺激と、科学技術振興機構(JST)・物質・材料研究機構(NIMS)・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) の事業

NIMS(物質・材料研究機構)の2019年のノウハウレポートは、背景として、2011年6月の米国 MGI の動きもあり、日本でも様々な場でマテリアルズ・インフォマティクスの事業の検討が行われたこと、JST の研究開発戦略センター(CRDS)が2013年8月に、マテリアルズ・インフォマティクスを日本の戦略分野とするよう提言する戦略プロポーザルを出したことを書いています事実[参考資料15]。続いて、2015年度に、JST の「イノベーションハブ構築支援事業」の課題として、NIMS をハブとする情報統合型物質・材料開発イニシアティブ(MI2I)が採択されました[参考資料15・23]。同レポートによると、5年間の短期の事業で、米国の工学研究センター(ERC)の運営の考え方を参考にしています[参考資料15]。

経済産業省の所管で、NEDO が実施した「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」(超超PJ)は、2016年度から2022年度までの7年間の事業です。NEDO の事業原簿(公開版)は、事業規模を約138億円の計画と書き、事業費の推移では、NEDO の負担額の合計が137.51億円です(2022年度の分は契約額)。実施は、素材・化学などの企業が参加する先端素材高速開発技術研究組合(2016年度は16社、2017年度は18社)と、産業技術総合研究所(AIST)などです。最終目標は、従来の材料開発に比べて、試作回数・開発期間を1/20に短縮することで、事業原簿の成果の整理には、プロセス技術の項目で「ほぼ1/20に短縮した」という記述があります事実[参考資料14]。この達成の記述は、事業側の整理で、独立の第三者が1/20を検証したかは、本稿では確認できませんでした。事業原簿は、終了後の普及を、データ駆動型材料設計技術利用推進コンソーシアムを通じて行う予定としています[参考資料14]。

(2) 戦略 ― マテリアル革新力強化戦略(2021年決定、2025年改定)

内閣府によると、マテリアル革新力強化戦略は、2021年4月27日に統合イノベーション戦略推進会議で決定され、2025年6月4日に改定されました事実[参考資料27]。2021年の概要は、AI、バイオ、量子技術、環境に続く重要戦略の一つとして、マテリアル・イノベーションを創出する力を強化する戦略を位置づけ、アクションプランの柱の一つに、「マテリアルデータと製造技術を活用したデータ駆動型研究開発の促進」(マテリアルDXプラットフォームの整備を含む)を挙げています[参考資料10]。

2025年の改定は、「知のバリューチェーンの構築」を掲げ、「イノベーションの加速」の行動として、データ基盤の活用を軸とした「マテリアルDX」の更なる推進(ユーザビリティの向上とデータ共用の加速、AI の活用とロボティクスとの融合、データ駆動型研究開発の普及と成果の創出)を挙げています[参考資料11]。確認した概要資料には、金額の記載はありませんでした。さらに、内閣府のページには、2026年6月12日付の有識者会議の提言「マテリアル革新力強化戦略推進方策」が掲載されていますが、これは有識者会議の提言で、政府の決定ではありません。提言の内容は、本稿では確認していません[参考資料27]未確定/将来。

(3) マテリアルDXプラットフォーム ― 創出・統合管理・利活用の3つの事業

文部科学省は、研究データの①創出(マテリアル先端リサーチインフラ、ARIM)、②統合・管理(NIMS のデータ中核拠点、MDPF)、③利活用(データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト、DxMT)を一体で進める「マテリアルDXプラットフォーム」を整備しています事実[参考資料12]。

  • ARIM:2021年度に開始。全国26の大学・研究機関で、約1,200台の装置の共用体制を整え、装置の利用から創出されたデータを、機械学習にも使いやすい構造化データに整えて蓄積しています。事業開始後の4年間で、100万件超を蓄積しました[参考資料12]。2025年度から、半導体の基盤プラットフォーム(ARIM-SETI)も加わりました[参考資料12]
  • MDPF:NIMS が、産学官のマテリアルデータの収集・蓄積・利活用のための拠点を担い、物質・材料データベース(MatNavi)、データ蓄積・共用システム(RDE)、論文とデータのリポジトリ(MDR)、統合型材料開発システム(MInt)を提供してきました。2025年12月23日からは、データ解析と機械学習のプレイグラウンド「pinax」を、国内の大学・企業等の研究者に無償で提供しています[参考資料13]
  • DxMT:1年間のフィージビリティスタディの後に始まった事業で、東北大学・東京大学・東京科学大学・京都大学・NIMS の5拠点が連携します。文部科学省の資料の計画では、Phase I が2022年9月〜2025年3月、Phase II が2025年4月〜2028年3月、Phase III が2028年4月〜2031年3月です[参考資料21・22]

(4) ARIM のデータ共用 ― 条件つきで、有料

文部科学省の2025年8月26日の発表によると、ARIM は、蓄積したデータのうち、非共用期間(データ創出者が自分の研究のために専用できる期間で、原則、利用年度の年度末から最大2年間)が過ぎたものから順に共用を始めます。2025年9月30日から、約11万件(2025年7月時点)を、所定の利用料のもとで共用しています。提供の形は、シングルライセンスまたはグループライセンス単位の年会費制です。利用者の条件は、外国為替及び外国貿易法の居住者であること、かつ、日本国内で設立された法人に所属し、利用を申し込んで許諾された者、とされています。データは装置ごとの形式を統一し、失敗データを含む様々な実験データで、年に数十万件ずつ増える見込みです事実[参考資料12]。

同じ発表は、背景として、「世界では米国などが早期から国家戦略として(MIに)取り組んできた」と述べています[参考資料12]。つまり、日本の政府自身が、米国の取り組みを意識した位置づけをしています。ただし、各国の優劣の評価は、この記事ではしません。

つまずきやすいところ:「100万件超を蓄積」と「約11万件を共用」

同じ発表の中に、2つの数字があります。「事業開始後4年間で100万件超の構造化データを蓄積」と、「約11万件を2025年9月30日から共用(2025年7月時点)」です。差は、非共用期間(最大2年)を過ぎたものから順に共用するためです[参考資料12]。蓄積されたデータが、すべて外部から使えるわけではありません(本記事による解説)。

素材技術者の視点③:自社の測定データを共用基盤に出すかどうかは、「期間」と「条件」を先に決める

ARIM のように、装置を借りて測ったデータが、一定の期間(非共用期間)の後に共用される仕組みがあります。自社が公的な共用装置を使うときは、データの扱い(誰のデータか、いつまで専用か、その後どう共用されるか)を、利用前に利用規約で確認してください。失敗データが蓄積される仕組みは、MIの学習データとして価値があります(ARIM の発表は失敗データを含むと明記)[参考資料12]。一方、自社の機密にあたるデータは、共用の対象にしない取り決めが要ります(本記事による解説で、法的助言ではありません)。

6. 中国 ― 材料基因工程と「人工知能+」

中国のMI関連の取り組みは、「材料基因工程」(Materials Genome Engineering)と呼ばれます。この節は、中国語の公式文書の記載を日本語に要約したもので、確認できた範囲だけを書きます。

公式文書の記載(概念図) 国家重点研究開発計画の重点専項「材料基因工程关键技术与支撑平台」:実施期間5年(2016〜2020年)、40の研究任務 3つの示範プラットフォーム 高通量計算 高通量の作製と評価 専用データベース 目標と資金の記載(2017年度の申請指南) 総合目標:新材料の研究開発の周期を半分に、コストも半分にする 2017年度:16の任務、18〜36項目を支援予定、国費の総概算 3.24億元 。企業主導は同額以上の自己資金 2025年8月:国務院「人工知能+」行動の意見(国発〔2025〕11号) 「人工知能+科学技術」の項で、科学大模型の構築・応用や、開放共有の高品質な科学データセットの整備を挙げる。取得した本文の範囲では「材料」 を名指しする記述は確認できなかった 金額は人民元のまま。「概算」は計画の数字で、実際の配分・支出ではない
図6 概念図(ベクター作図)。科技部の2017年度指南(参考資料16)と国務院の意見(参考資料17)の記載にもとづく整理です。中国語の原文を日本語に要約しており、専項の成果や、予算の成立・支出は、本稿では確認していません。

(1) 国家重点研発計画の重点専項「材料基因工程关键技术与支撑平台」

科技部の2017年度の項目申請の指南(附件12)は、「材料基因工程关键技术与支撑平台」重点専項が、国務院の「中国製造2025」や「十三五」国家科技イノベーション計画の任務を実施するための、国家重点研発計画の専項であると書いています。総合目標は、新材料の「研究開発の周期を半分に、費用も半分に」することで、高通量の計算(理論)、高通量の実験(作製と評価)、専用データベースなどの技術を融合し、新材料の研究開発を、「経験が実験を導く」従来の方式から、「理論が予測し、実験で検証する」新しい方式に変えることを掲げています事実[参考資料16]。

主な内容は、高通量計算、高通量の作製と評価、専用データベースの3つの示範プラットフォームを作ること、多尺度の高通量計算の方法とソフトウェア、高通量の材料作製、高通量の評価と使用時の挙動の評価、材料のビッグデータの技術という4つの重要技術を開発すること、エネルギー材料・生体医用材料・希土類機能材料・触媒材料・特殊合金などで実証することです。専項は、40の重点研究任務で、実施期間は5年(2016〜2020年)、2016年に13の任務を始め、2017年は16の任務を始める予定、18〜36件の項目の支援を予定し、国費の総概算は3.24億元、企業主導の項目は、国費と同額以上の自己資金を用意する、と書かれています事実[参考資料16]。

読み方:3.24億元は、2017年度の指南の「概算」(計画の数字)で、専項の全期間の総額でも、実際の配分・支出でもありません。専項の成果、2020年以降の後継、予算の成立額と支出は、本稿では確認できませんでした未確定/将来。

(2) 国務院「人工知能+」行動の意見(2025年)

国務院は2025年8月(成文日は8月21日、公表は8月26日)に、「国務院关于深入实施“人工智能+”行动的意见」(国発〔2025〕11号)を出しました。「人工智能+」の6つの重点行動の最初が「人工智能+科学技術」で、「科学発見の加速」の項に、AI が牽引する新しい研究の方式の探索、科学大モデルの構築と応用、基礎科学の研究プラットフォームと大型科学技術基盤の知能化、開放・共有の高品質な科学データセットの整備などが挙がっています事実[参考資料17]。取得した本文の範囲で、「材料」を名指しした記述は確認できませんでした。この文書を、材料のMI戦略とは扱いません(科学全般への AI 活用の方針として読みます)。

確認できなかったこと:中国の材料データ基盤の公開条件

2017年の指南は、「専用データベース」を示範プラットフォームの1つに挙げています[参考資料16]。しかし、現在、材料データベースが誰にどんな条件で公開されているかは、本稿では公式の資料で確認できませんでした。民間の調査や報道にある推計の金額や規模は、出典と範囲が定まらないため、書きません。

7. 年表と、比べてはいけない理由

ここまでの文書と出来事を、年表に並べます。点の位置は、おおよその時点です。

各国の主な文書・出来事(概念図) 2011 2013 2015 2017 2019 2021 2023 2025 米国 MGI 開始 MGI 戦略計画 NSF MIP MGI 改定計画 Genesis 大統領令 DOE 公募 欧州 NOMAD CoE COM(2024) 98 MaterialsCommons 日本 CRDS 提案 MI2I NEDO 超超PJ 戦略決定 戦略改定 推進方策提言 中国 材料基因工程 専項 「AI+」意見 点の数や位置は、取り組みの大きさを示さない(文書の性格が違う)
図7 概念図(ベクター作図)。本記事で確認した文書・出来事を、国・地域ごとの行に並べた年表です。日付はおおよその位置で、文書の性格(法律・戦略・公募・提言など)が違うため、点の数や位置で国を比べません。
国・地域主な文書の性格記載されている金額・目標(元の通貨・文書の言葉)確認できなかったこと
米国省庁横断の戦略計画、大統領令、DOE の公募[1〜4]MGI:2倍の速さ・費用は一部(目標)。Genesis:目標は10年以内に研究開発の生産性と影響を2倍(目標)。DOE の公募:2.93億ドル(公募)、第I期 50〜75万ドル、第II期 600〜1,500万ドルMGI の金額。Genesis Mission 全体の予算。公募の採択の結果
欧州研究枠、方針の通知、法律案(予定)、助成契約[5〜8]Horizon Europe 2021〜2027:目安 935億ユーロ。次期2028〜2034:1,750億ユーロ(提案)。MaterialsCommons:27,998,554.91ユーロ(助成契約)先端材料法の提案と内容。次期枠組みの成立
日本内閣府の戦略(決定)、有識者の提言、文部科学省の事業、NEDO の事業原簿[10〜15・21・27]NEDO 超超PJ:約138億円(計画)、NEDO 負担額の合計 137.51億円。目標:試作回数・開発期間を1/20にARIM・DxMT の予算額。推進方策(2026年6月)の内容。1/20の独立の検証
中国科技部の申請指南、国務院の意見[16・17]材料基因工程:研究開発の周期と費用を半分に(目標)。2017年度の国費の総概算 3.24億元(概算)専項の成果・予算の成立額・支出。材料データ基盤の公開条件

すべて事実(各公式文書、確認日 2026年10月23日)。表の整理は本稿の計算(整理)。行どうしの金額は、範囲・期間・段階・通貨が違うため、比べたり足したりできません。

比べる前に確かめる4つのこと

  • 段階:提案・概算・枠・公募・契約・実績の、どれか(図2)
  • 範囲:MI専用か、材料全体か、科学全体か(例:中国の「人工知能+」は科学全般)。同じ「◯億」でも、対象の広さが違います
  • 期間と年度:1年か、5年か、7年か。年度の区切りは国で違います
  • 通貨と文書の性格:元の通貨のまま。法律・命令・戦略・公募・指南・提言のどれか。法的な効力が違います

公式文書の中にも、国の比較があります。たとえば、欧州委員会の通知 COM(2024) 98 は、先端材料に対する産業界の研究・イノベーション投資(2020年)が、EU は198億ユーロで、米国の503億ユーロの半分に届かない、韓国196億ユーロ、日本140億ユーロ、中国の産業界は77億ユーロ、と述べています[参考資料6]。これは、欧州委員会の主張で、出典の定義(何を「先端材料」とし、何を産業界の投資と数えるか)に依存する数字です。本稿は、この数字を、国の順位づけには使いません。

8. データ基盤の使える条件 ― 素材技術者の視点

国の戦略の「データ基盤」は、素材技術者にとっては、「自社のMIに使える材料データがどこにあり、どんな条件で使えるか」という実務の問題です。この記事で確認できた基盤を、使える条件で並べます(確認日 2026年10月23日)。

「誰が、いくらで、どう使えるか」は基盤ごとに違う(概念図、確認日 2026年10月23日) NOMAD 運営:FAIRmat(欧州) 公開データはすべて CC-BY-4.0 表示:19,425,275件、4,346,100の材料 利用:無償・オープンソース NIMS MDR / pinax 運営:NIMS(日本) MDR:データごとにページで指定されたライセンス pinax:国内の大学・企業の研究者に無償(2025年12月23日〜) 解析環境つき ARIM 運営:文部科学省の事業(日本) 約11万件を2025年9月30日から共用 有料の年会費制 利用者:外為法の居住者で、国内法人に所属する者 JARVIS (NIST) 運営:NIST(米国) 2017年1月に設立。資金:MGI、CHIPS 利用:無償登録が必要 材料8万件超、物性100万件超(サイト表示) Materials Project の利用条件は、サイトの確認画面のため、本稿では確認できなかった
図8 概念図(ベクター作図)。NOMAD(参考資料9)、NIMS の MDR(参考資料18)と pinax(参考資料13)、文部科学省の ARIM の発表(参考資料12)、JARVIS の公式サイト(参考資料19)の記載にもとづく整理です。条件は変わりうるため、利用前に各基盤の最新の記載を確認してください。
基盤運営(国・地域)データの規模(サイトの表示)使える条件(公式の記載)確認できなかったこと
NOMAD[9]FAIRmat(欧州)エントリ 19,425,275件、材料 4,346,100、ファイル 129.3 TBすべてのデータが CC-BY-4.0。無償・オープンソース「エントリ」「材料」の数え方の定義
NIMS MDR・pinax[13・18]NIMS(日本)表示なし(本稿で確認した範囲)MDR:データごとにページで指定されたライセンス。pinax:国内の大学・企業等の研究者に無償(2025年12月23日〜)データ件数。個々のライセンス
ARIM のデータ共用[12]文部科学省の事業(日本)蓄積 100万件超、共用 約11万件(2025年7月時点)有料の年会費制。外為法の居住者で、国内法人に所属する者。非共用期間は最大2年利用料の金額。外国の研究者・企業の利用の可否の詳細
JARVIS(NIST)[19]NIST(米国)材料8万件超、物性100万件超、利用者15万人超データベースの利用に、無償の登録が必要。資金:MGI、CHIPS個々のデータのライセンス
MaterialsCommons[8・28]EU の助成事業(欧州)開始前(2026年6月開始)既存の基盤を連携させ、1つの入口にする計画公開の時期と条件
Materials ProjectDOE の取り組み[参考資料2の記述]確認できなかった確認できなかった(サイトが確認画面を出すため)利用条件、データ規模

すべて事実(各公式サイトの記載、確認日 2026年10月23日)。サイトの数字は現在値で、変わります。表の整理は本稿の計算(整理)。ライセンスの条文の解釈は、各基盤の本文によります(法的助言ではありません)。

Materials Project については、本稿が確認できた範囲で、DOE の長期の取り組みとして、材料の性質を事前に計算して公開してきたという MGI の文脈[参考資料2]以外に、サイトの利用条件を確認できませんでした。サイトが確認画面(ボット対策)を表示したため、その先には進んでいません。

基盤を使う前に、利用条件、測定条件、データの権利を確認する場面です。公開されていることと、自由に再利用できることは同じではありません。
図9 概念画像(ImageGen生成)。基盤を使う前に、利用条件、測定条件、データの権利を確認する場面です。公開されていることと、自由に再利用できることは同じではありません。実在の製品・施設・測定結果ではありません。拡大模型、線・矢印・色は説明用です。
素材技術者の視点④:公開データは、「いつの版か」「計算か実測か」「どのライセンスか」の3点を記録して使う

公開のデータ基盤は、中身が更新され、版が変わります。使うときは、基盤の名前と取得した日付(版)、データが計算か実測か(本シリーズ『半導体・電子材料への応用』編の「3つの列」)、ライセンスと利用条件を、自社の記録に添えてください。ライセンスが違うデータを混ぜて公開・配布する場合は、組合せの可否を確認する必要があります(本記事による解説で、法的助言ではありません)。

素材技術者の視点⑤:戦略の言葉を、社内の資料に引くときは、段階と日付を添える

「国が○億円」「◯年までに実現」を事業計画や提案書に書くときは、金額の段階(提案・概算・公募・契約)、出典の文書と日付、対象の範囲(MI専用か、材料全体か)を添えてください。たとえば、DOE の2.93億ドルは「公募の額」、欧州の1,750億ユーロは「提案」、NEDO の1/20は「事業側が整理した達成の記述」です。段階を書かないと、読む人が、計画を実績と取り違えます(本記事による解説)。

9. 限界と、確認できなかったこと/まとめ

(1) 金額

米国の MGI の金額、Genesis Mission 全体の予算、DOE の公募の採択の結果、日本の ARIM・DxMT の予算額、中国の専項の成果・予算の成立額と支出は、確認できなかったため書いていません。確認できた金額は、段階を付けて書きました。

(2) 最近の動き

欧州の先端材料法の提案、欧州の次期研究枠組みの成立、日本の有識者提言(2026年6月)の内容、Genesis Mission の大統領令の期限の達成状況は、確認日以降に変わりえます。この記事は、これらを確定した制度として書いていません。

(3) 中国語の文書

科技部の指南と国務院の意見は、中国語の公式文書を日本語に要約したものです。要約に誤りがないよう努めましたが、正確な表現は原文で確認してください。

(4) 扱っていない国・内容

英国、韓国、インドなどの国は扱っていません。各国のMI関連企業・大学・研究所の取り組み、輸出管理や知的財産の制度、材料データの個人情報や安全保障上の扱いは、本稿の範囲外です。

(5) データ基盤の中身

各データ基盤のデータの質、規模の定義、個々のライセンス、Materials Project の利用条件は、確認できなかった項目があります。サイトの数字は、確認日のものです。

この記事のまとめ
  • 国のMI戦略は、文書の性格が国ごとに違います。大統領令、方針の通知、閣議に準じる決定、申請指南、有識者の提言は、別のものです事実
  • 金額には段階があります。DOE の2.93億ドルは公募、EU の次期1,750億ユーロは提案、NEDO の約138億円は計画、NEDO の負担額の合計137.51億円は実績に近い数字です。EU の MaterialsCommons は助成契約の27,998,554.91ユーロです事実
  • 目標は、達成と別です。MGI の「2倍の速さ」、NEDO の「1/20」、中国の「周期と費用を半分」は、目標や事業側の記述で、独立の検証は確認できませんでした未確定/将来
  • データ基盤の使える条件は、基盤ごとに違います。NOMAD は CC-BY-4.0、ARIM は有料で国内の居住者・法人に限る条件つき、MDR はデータごとのライセンスです事実
  • 国どうしの順位はつけません。範囲・期間・段階・通貨が違う数字は、比べたり足したりできません

10. 評価・標準の読み方

国のMI戦略の「進み具合」を測る物差しは、技術の性能の物差しと違い、国どうしに共通の標準がほとんどありません。この記事で使える物差しは、お金の段階、目標と達成の違い、データの FAIR さと使える条件、MIの成果の評価の4つです。それぞれ、何を測り、何を測っていないかを意識して読みます。確認できた範囲を、種類ごとに整理します(確認日 2026年10月23日)。

評価項目代表的な評価手法・資料(名称・出典)標準・指針(名称・版・確認した資料)読み方の注意
お金の規模と段階EC の Horizon Europe のページ(目安・提案の区別)[5]、CORDIS(助成契約)[8]、NEDO 事業原簿(計画と負担額)[14]、DOE の発表(公募)[4]、科技部の指南(概算)[16]事実確認できなかった(国どうしに共通の会計基準)段階(提案・概算・枠・公募・契約・実績)を確かめる。為替で換算せず、足したり比べたりしない
目標と達成MGI の目標(2倍の速さ)[1]、NEDO の目標(試作回数・開発期間を1/20)と事業側の達成の記述[14]、中国の目標(周期と費用を半分)[16]事実未確定/将来確認できなかった(目標の達成を共通の方法で測る基準)目標の定義(何を・何と比べて)が国で違う。達成の独立の検証は未確認。達成の記述は事業側の整理
データの FAIR さMGI の計画(FAIR を「AI に使える」データの足場に)[2]、EU の通知(materials commons は FAIR にもとづく)[6]事実FAIR 原則(Wilkinson ら、2016)[24]/ISO/IEC 5259-1:2024(AI のデータ品質 第1部:概要・用語・例、2024年7月)[25]事実FAIR は原則(推奨)で、法的拘束力はない。ISO/IEC の本文は有料で、要求事項は未確認
データの使える条件NOMAD:CC-BY-4.0[9]/MDR:データごとのライセンス[18]/ARIM:有料の年会費制と国内の居住者・法人の条件[12]事実確認できなかった(材料データの公開条件を定める国際標準)ライセンスはデータの利用条件で、標準ではない。基盤ごとに、条件・費用・対象者が違う
MIの成果の評価Matbench、Matbench Discovery、JARVIS-Leaderboard(本シリーズ『MIの結果の評価と再現性の読み方』編を参照)確認できなかった(MIの評価に特化した国際標準)。AIの用語は ISO/IEC 22989:2022(2022年7月)[26]事実国の戦略の文書が、成果をどのベンチマークで評価するかは、本稿では確認できなかった
文書の位置づけ(拘束力)大統領令(「法律に合う範囲で、利用可能な歳出を条件として」)[3]/通知(方針)と法律案(先端材料法)の区別[6・7]/戦略の決定と有識者の提言の区別[27]事実—(各文書の本文と所管の機関による)法的な効力の解釈は、各文書の本文と所管機関による。この記事は法的助言ではない

表の整理は本稿の計算(整理)。名称・日付・状態は各機関の公式文書で確認(確認日 2026年10月23日)。規格本文は有料のため、適用範囲の記載にとどめています。

読み方の注意(素材技術者向け)

  • 「発表」「計画」「提案」「契約」を見分ける:日々のニュースは、これらを同じ調子で伝えます。お金が動くのは、予算が成立し、契約が結ばれた後です(本記事による解説)。
  • 「目標」は達成の保証ではありません:MGI の「2倍の速さ」、NEDO の「1/20」、中国の「半分」は、目標です。事業側が「達成した」と整理していても、独立の検証があるかを確かめます。
  • データ基盤は「あること」と「使えること」が別:公開の条件、費用、対象者を確かめます。国内の居住者・法人に限る条件など、利用者の資格が違う基盤があります。
  • 日付と状態は更新されます:欧州の先端材料法、次期研究枠組み、日本の有識者提言、米国の Genesis Mission の進行は、確認日以降に変わりえます。引用するときは、確認日を添えてください。
  • 順位表を作らない:この記事は、国の優劣・順位をつけません。第7章の4つの確認なしに、金額を並べた記事は、読み方に注意してください。

11. 用語集

MGI(Materials Genome Initiative)
2011年に米国で始まった、データと計算を使い、材料の開発を加速する連邦の取り組み。
MII(材料イノベーション基盤)
MGI の計画が言う、計算・実験・データの道具の集まり。
FAIR 原則
データを見つけやすく、アクセスしやすく、組み合わせやすく、再利用しやすくする原則。
AI対応データ(AI-ready)
機械学習に使える形に整えられたデータ。
大統領令
米国の大統領が行政機関に出す命令。金額は別に議会が決める。
歳出(予算の成立)
議会が、実際に使う予算として決めた額。
RFA/NOFO
公募の案内。応募の条件、金額の範囲、期限を示す。
Genesis Mission
2025年11月の米国の大統領令で始まった、AI で科学的な発見を加速する国家的な取り組み。
Horizon Europe
EU の主要な研究・イノベーションの資金プログラム。
通知(Communication)
欧州委員会が方針を示す文書。法律の提案とは別。
助成契約
EU が事業に助成する額と期間を定める契約。
CORDIS
EU の研究プロジェクトの情報を公開するサイト。
materials commons
EU が構想する、先端材料の研究・イノベーション用の持続的なデジタル基盤。
NOMAD/FAIRmat
材料科学のデータを管理・共有するサービス/それを開発・運営するコンソーシアム。
CC-BY-4.0
出典の表示を条件に、利用を広く認めるライセンスの種類。
ARIM
日本の文部科学省の事業。26機関で先端装置を共用し、装置から出るデータを蓄積する。
MDPF/MDR
NIMS のデータ中核拠点/材料の論文とデータを公開するリポジトリ。
DxMT
データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト。5拠点で、データを使う研究を進める。
非共用期間(エンバーゴ)
データ創出者だけが使える期間。その後に共用される。
構造化データ
機械が読みやすい形(csv、表など)に整えたデータ。
材料基因工程
中国の、高通量の計算・実験・データで材料開発を速める取り組みの呼び名(Materials Genome Engineering)。
専項/概算
国家重点研究開発計画の特定の分野の事業/計画に書かれた見積りの額。
有識者会議の提言
専門家の会議の提案。政府の決定とは別。

12. 参考資料(一次情報)

  1. Materials Genome Initiative 公式サイト(目標の説明、2024年のチャレンジほか、確認日 2026年10月23日) — mgi.gov
  2. NSTC Subcommittee on the Materials Genome Initiative "Materials Genome Initiative Strategic Plan", November 2021(本文を確認) — mgi.gov/media/256
  3. The White House "Launching the Genesis Mission", Executive Order 14363, 2025年11月24日(本文を確認) — whitehouse.gov/presidential-actions/2025/11/launching-the-genesis-mission/
  4. U.S. Department of Energy "Energy Department Announces $293 Million in Funding to Support Genesis Mission National Science and Technology Challenges"(2026年3月、本文を確認) — energy.gov/articles/…-genesis-mission-national-science
  5. European Commission "Horizon Europe"(研究・イノベーションのページ。目安の資金額と次期枠組みの提案、確認日 2026年10月23日) — research-and-innovation.ec.europa.eu/…/horizon-europe_en
  6. European Commission "Advanced Materials for Industrial Leadership", COM(2024) 98 final, 2024年2月27日(本文を確認) — research-and-innovation.ec.europa.eu/document/download/0fcf06ea-…_en
  7. European Commission "Commission seeks feedback on the future Advanced Materials Act"(研究・イノベーションのニュース、2025年10月21日) — research-and-innovation.ec.europa.eu/news/…-2025-10-21_en
  8. CORDIS "Federated Digital Infrastructure for European Advanced Materials Research and Development (MaterialsCommons)", Grant agreement ID 101293545 — cordis.europa.eu/project/id/101293545
  9. NOMAD 公式サイト(FAIRmat による開発・運営、CC-BY-4.0、表示の件数、確認日 2026年10月23日) — nomad-lab.eu/nomad-lab/
  10. 内閣府 「マテリアル革新力強化戦略(概要)」令和3年4月 — www8.cao.go.jp/cstp/material/material_gaiyo.pdf
  11. 内閣府 「マテリアル革新力強化戦略 ― 知のバリューチェーンの構築を通じて ―(概要)」令和7年6月4日 — www8.cao.go.jp/cstp/material/material_2025_gaiyo.pdf
  12. 文部科学省 「大規模マテリアルデータ基盤を構築・共用開始」令和7年8月26日(本文を確認) — mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01556.html
  13. NIMS 「データ解析と機械学習のプレイグラウンド「pinax」サービスを開始」2025年12月23日 — nims.go.jp/press/2025/12/…/202512230.pdf
  14. NEDO 「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」事業原簿(公開版、事後評価の資料) — nedo.go.jp/content/100947916.pdf
  15. NIMS(伊藤 聡) 「イノベーションハブ構築支援事業 ノウハウレポート 情報統合型物質・材料開発イニシアティブ」2019年9月(本文を確認) — jst.go.jp/ihub/files/seika-nims.pdf
  16. 科技部(中国) "“材料基因工程关键技术与支撑平台”重点专项 2017 年度项目申报指南"(附件12、中国語の原文を確認) — service.most.gov.cn/u/cms/static/201610/141014524nry.pdf
  17. 国務院(中国) "国务院关于深入实施“人工智能+”行动的意见", 国发〔2025〕11号, 2025年8月(中国語の原文を確認) — gov.cn/zhengce/content/202508/content_7037861.htm
  18. NIMS Materials Data Repository(MDR) — mdr.nims.go.jp
  19. NIST JARVIS(Joint Automated Repository for Various Integrated Simulations)公式サイト、確認日 2026年10月23日 — jarvis.nist.gov
  20. U.S. Department of Energy Genesis Mission 公式サイト、確認日 2026年10月23日 — genesis.energy.gov
  21. 文部科学省 「データ創出・活用型マテリアル研究開発プロジェクト(DxMT)概要説明」令和6年7月31日 — mext.go.jp/content/20241028_mxt-nanozai01_000038609-3.pdf
  22. NIMS データ創出・活用型データ連携部会運営室のページ — nims.go.jp/aesd/unit/dxmt.html
  23. JST イノベーションハブ構築支援事業 採択課題の概要(情報統合型物質・材料開発イニシアティブ) — jst.go.jp/ihub/gaiyo.html
  24. Wilkinson M. D. ほか "The FAIR Guiding Principles for scientific data management and stewardship", Scientific Data 3, 160018 (2016), DOI 10.1038/sdata.2016.18 — doi.org/10.1038/sdata.2016.18
  25. ISO/IEC "ISO/IEC 5259-1:2024 Artificial intelligence — Data quality for analytics and machine learning (ML) — Part 1: Overview, terminology, and examples"(ISO のページ) — iso.org/standard/81088.html
  26. ISO/IEC "ISO/IEC 22989:2022 Information technology — Artificial intelligence — Artificial intelligence concepts and terminology"(ISO のページ) — iso.org/standard/74296.html
  27. 内閣府 「マテリアル戦略」のページ(決定の日付、有識者会議の提言の一覧、確認日 2026年10月23日) — www8.cao.go.jp/cstp/material/material.html
  28. IMDEA Materials Institute "MaterialsCommons to transform how Europe develops advanced materials"(参加機関の発表、2026年7月2日) — materials.imdea.org/materialscommons-to-transform-how-europe-develops-advanced-materials/

13. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
MGI を「先端材料を2倍の速さ・費用は一部で発見・製造・展開する、連邦の複数機関による取り組み」と説明していること。2024年のチャレンジMGI 公式サイト
出典1 https://www.mgi.gov/
事実
MGI が2011年に始まり、2021年の計画が2014年12月の計画を更新すること。3つの目標、FAIR・AI対応データ、NSF の MIP(2016年)。確認した範囲で金額の記載がないことMGI 戦略計画(2021年11月)
出典2 https://www.mgi.gov/media/256
事実
大統領令14363(2025年11月24日):DOE・APST の役割、プラットフォーム、60/90/120/240/270日の期限、課題の領域(重要材料を含む)、「利用可能な歳出を条件として」大統領令の本文
出典3 https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/11/launching-the-genesis-mission/
事実
DOE の2.93億ドルの公募(DE-FOA-0003612)、第I期 50〜75万ドル・9か月、第II期 600〜1,500万ドル・3年、期限(2026年4月28日・5月19日)DOE の発表
出典4 https://www.energy.gov/articles/energy-department-announces-293-million-funding-support-genesis-mission-national-science
事実
Horizon Europe 2021〜2027の目安の資金額 935億ユーロ。次期2028〜2034年の1,750億ユーロの提案(2025年7月16日)と交渉欧州委員会のページ(確認日 2026年10月23日)
出典5 https://research-and-innovation.ec.europa.eu/funding/funding-opportunities/funding-programmes-and-open-calls/horizon-europe_en
事実未確定/将来
COM(2024) 98(2024年2月27日):開発に10〜30年、AIが約40万の安定な結晶構造を予測した例、materials commons を2025年半ばまでに、FAIR にもとづくこと、産業界の投資の比較(2020年)通知の本文
出典6 https://research-and-innovation.ec.europa.eu/document/download/0fcf06ea-c242-44a6-b2cb-daed39584996_en
事実
先端材料法への意見募集(2025年10月21日開始、2026年1月13日まで)、2026年に提案される予定、通知を土台にすること欧州委員会のニュース
出典7 https://research-and-innovation.ec.europa.eu/news/all-research-and-innovation-news/commission-seeks-feedback-future-advanced-materials-act-2025-10-21_en
事実未確定/将来
MaterialsCommons:助成契約 101293545、EU の署名日 2026年5月12日、2026年6月1日〜2030年5月31日、総費用・EU 拠出とも 27,998,554.91ユーロCORDIS
出典8 https://cordis.europa.eu/project/id/101293545
事実
NOMAD:FAIRmat による開発・運営、すべてのデータが CC-BY-4.0、エントリ 19,425,275件・材料 4,346,100・129.3 TB(確認日の表示)NOMAD 公式サイト
出典9 https://nomad-lab.eu/nomad-lab/
事実
2021年のマテリアル革新力強化戦略の位置づけと、データ駆動型研究開発の促進の柱内閣府の概要(令和3年4月)
出典10 https://www8.cao.go.jp/cstp/material/material_gaiyo.pdf
事実
2025年6月4日の改定:知のバリューチェーン、マテリアルDXの更なる推進(データ共用の加速、AI・ロボティクス、データ駆動型研究開発)内閣府の概要(令和7年6月4日)
出典11 https://www8.cao.go.jp/cstp/material/material_2025_gaiyo.pdf
事実
マテリアルDXプラットフォームの3事業(ARIM・MDPF・DxMT)、ARIM(2021年度開始、26機関、約1,200台、100万件超)、データ共用(2025年9月30日、約11万件、有料の年会費制、利用者の条件、非共用期間最大2年、失敗データを含む)、戦略の改定(2025年6月4日)文部科学省の発表(令和7年8月26日)
出典12 https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01556.html
事実
MDPF のサービス(MatNavi、RDE、MDR、MInt)と、pinax の無償提供(2025年12月23日〜、国内の大学・企業等の研究者)NIMS の発表
出典13 https://www.nims.go.jp/press/2025/12/a5kbo700000092mp-att/202512230.pdf
事実
NEDO 超超PJ:7年間(2016〜2022年度)、事業規模約138億円の計画、NEDO 負担額の合計 137.51億円(2022年度は契約額)、最終目標 試作回数・開発期間1/20、プロセス技術で「ほぼ1/20に短縮」との記述NEDO 事業原簿
出典14 https://www.nedo.go.jp/content/100947916.pdf
事実
CRDS の2013年8月の提言、MGI(2011年6月)の刺激、2015年度の MI2I の採択(5年間、ERC を参考)NIMS ノウハウレポート(2019年9月)
出典15 https://www.jst.go.jp/ihub/files/seika-nims.pdf
事実
中国の専項:総合目標(周期と費用を半分)、3つの示範プラットフォーム、4つの重要技術、40任務・5年(2016〜2020年)、2017年度の概算 3.24億元、18〜36項目、自己資金1:1以上科技部の2017年度指南(中国語)
出典16 https://service.most.gov.cn/u/cms/static/201610/141014524nry.pdf
事実
国務院の「人工知能+」の意見(国発〔2025〕11号、成文2025年8月21日、公表8月26日)、「人工智能+科学技術」の項の内容国務院の文書(中国語)
出典17 https://www.gov.cn/zhengce/content/202508/content_7037861.htm
事実
MDR の「データごとにページで指定されたライセンス」NIMS MDR
出典18 https://mdr.nims.go.jp/
事実
JARVIS:2017年1月設立、資金 MGI・CHIPS、材料8万件超、物性100万件超、登録が必要JARVIS 公式サイト(確認日)
出典19 https://jarvis.nist.gov/
事実
Genesis Mission の目標(10年以内に生産性と影響を2倍)と、材料分野の例DOE の Genesis サイト
出典20 https://genesis.energy.gov/
事実
DxMT の Phase I(2022年9月〜2025年3月)、Phase II(2025年4月〜2028年3月)、Phase III(2028年4月〜2031年3月)文部科学省の概要説明(令和6年7月31日)
出典21 https://www.mext.go.jp/content/20241028_mxt-nanozai01_000038609-3.pdf
事実
DxMT が1年間のフィージビリティスタディの後に始まり、5拠点(東北大学・東京大学・東京科学大学・京都大学・NIMS)が連携することNIMS の運営室のページ
出典22 https://www.nims.go.jp/aesd/unit/dxmt.html
事実
MI2I が JST のイノベーションハブ構築支援事業の課題で、NIMS がハブであることJST のページ
出典23 https://www.jst.go.jp/ihub/gaiyo.html
事実
FAIR 原則が、データの再利用性を高めるための簡潔で測定可能な原則であることWilkinson ら(2016)の要旨
出典24 https://doi.org/10.1038/sdata.2016.18
事実
ISO/IEC 5259-1:2024(2024年7月)、ISO/IEC 22989:2022(2022年7月)の番号・題名・発行年月ISO のページ
出典25 https://www.iso.org/standard/81088.html
出典26 https://www.iso.org/standard/74296.html
事実
マテリアル革新力強化戦略の決定日(2021年4月27日、2025年6月4日)と、2026年6月12日付の有識者会議の提言が掲載されていること内閣府のページ(確認日 2026年10月23日)
出典27 https://www8.cao.go.jp/cstp/material/material.html
事実
MaterialsCommons の共同体(26の学術機関、21の関連パートナー、12の関連協力者)、調整機関、キックオフ(2026年6月17日)、目的と3つの重点IMDEA の発表(2026年7月2日)
出典28 https://materials.imdea.org/materialscommons-to-transform-how-europe-develops-advanced-materials/
事実
米国 MGI の金額、Genesis Mission 全体の予算、DOE の公募の採択の結果、ARIM・DxMT の予算額、2026年6月の有識者提言の内容、NEDO の1/20の独立の検証、中国の専項の成果・予算の成立額、材料データ基盤の公開条件、Materials Project の利用条件は、確認できなかったため記載していない本稿の調査範囲でアクセスできた一次情報では確認できなかった解説
お金の5つの段階の整理、文書の種類の表、4つの確認事項、「データ基盤は、あることと使えることが別」「予算の大小は進み具合の物差しではない」という読み取り、素材技術者の視点公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関が表明した見解ではない解説
図2〜図8が実データの観察ではなく説明のための整理であること。図1と図9がImageGen生成の概念画像であること。国どうしの順位をつけていないこと本記事による注記解説

最終更新:2026年10月23日/出典は一次情報(各国政府・欧州委員会・文部科学省・内閣府・NEDO・科技部・国務院の公式文書、CORDIS、NOMAD・NIMS・NIST の公式サイト)に限定しています。確認できなかった金額・状況は書いていません。 中国語の文書は日本語に要約しており、正確な表現は原文で確認してください。この記事は、国の優劣・順位をつけず、投資・政策・法律の助言をしません。 米国 MGI の金額、Genesis Mission 全体の予算と採択の結果、ARIM・DxMT の予算額、日本の有識者提言(2026年6月)の内容、NEDO の1/20の独立の検証、中国の専項の成果と予算の成立額、Materials Project の利用条件については、確認できなかったため記載していません。 図はすべて説明用の概念図で、図1と図9はImageGen生成の概念画像です。