COMPANY PROFILE / マテリアルインフォマティクス
ENEOS
― エネルギー・素材の大手が、原子レベルのAIシミュレータ「Matlantis」を共同開発し、自社で使い、外にも提供している
ENEOSホールディングスは、石油製品・電力・機能材などを手がける日本のエネルギー・素材の大手です。 マテリアルインフォマティクス(MI:データと計算で材料の候補や条件を絞り込む手法)の視点で見ると、 2019年からPreferred Networks(PFN)と共同で、機械学習を使った汎用の原子レベルシミュレータ「Matlantis」を開発し、 自社の触媒・潤滑油・ポリマーの開発に使い、同じソフトをMatlantis株式会社(旧PFCC)を通じて外部にも提供している点が特徴です。 本稿は会社全体の事業を簡潔にとどめ、材料・化学でのMI活用に絞ります。
- 30秒でわかるENEOSと、マテリアルインフォマティクスでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- マテリアルインフォマティクスの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(会社全体は簡潔に)
- マテリアルインフォマティクスにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社はマテリアルインフォマティクスで何を目指しているか
- マテリアルインフォマティクス分野の提携マッピング
- MIの使われ方と、関わる技術
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるENEOSと、マテリアルインフォマティクスでの立ち位置
大手町一丁目1番2号代表取締役 社長執行役員:宮田 知秀(統合レポート2026)
証券コード 5020IR資料の掲載先とコードによる
従:MIソフト会社への出資MIソフトの提供主体は別法人のMatlantis社
ENEOSのMIは、「自分で使う」と「作った会社に出資して外へ広げる」の二段構えです。 統合レポート2026のCTOメッセージは、Matlantisを「素材や触媒の開発に活用している」と述べたうえで、 「自社内にとどめるべきものではないとの考えからSaaS事業として公開し、化学、自動車、半導体など様々な産業の企業に利用されている」と書いています 事実。 ただし、SaaSを運営しているのはENEOSではなく、別法人のMatlantis株式会社です。 ENEOSは同社の株主の1社で、現在の持分比率は開示されていません。 また、「採用企業が150社・研究機関を超える」といった数字はMatlantis社の表記であり、ENEOSの数字ではありません。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:本稿が扱うのは持株会社のENEOSホールディングス株式会社(ENEOS Holdings, Inc.)です。 石油製品を売る事業会社のENEOS株式会社、素材の株式会社ENEOSマテリアルは、いずれも別法人です。 また、MatlantisのSaaSを提供するMatlantis株式会社(Matlantis Corporation)は、2025年7月に旧称の Preferred Computational Chemistry(PFCC)から社名を変えた別法人です(設立時はPFNが51%の過半を持っていました)。 ロゴは公式サイトのヘッダーに掲載されているものです。
公式サイト:https://www.hd.eneos.co.jp/3. マテリアルインフォマティクスの世界で、この会社はどこにいるか
MIは、過去のデータと計算から「有望そうな材料の候補や条件」を絞り込み、実験で確かめる流れです (シリーズの技術解説「マテリアルインフォマティクス概論」を参照)。MIに関わる会社は、この流れのどこを担うかで4つに分かれます。
ENEOSは、自社の触媒・潤滑油・ポリマーの開発にMIを使う「応用する側」が主です。 同時に、Matlantisを共同で作ったことで、MIのソフト・材料AIの側にも関わっています。 MIの流れでいえば、PFNが担うAIと計算基盤に、ENEOSが持つ化学の知識とノウハウを組み合わせてシミュレータを作り(予測・設計)、 自社の研究所で実験と組み合わせて使う形です。2021年の共同リリースでは、PFCCの社長が、Matlantisを 「PFNの深層学習などのAI技術と計算機インフラ、ENEOSの化学領域の知識やノウハウの粋を集めて開発した」と説明しています。
4. 会社の規模(会社全体は簡潔に)
ENEOSホールディングスは大企業なので、会社全体の規模だけを簡潔に示します 事実。MIだけの数字は開示されていません。
| 指標(2025年度=2025年4月〜2026年3月) | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 売上高 | 11兆7,655億円 | JX金属の持分法適用会社化を主因に前年度から減少(金属事業は非継続事業に分類) |
| 連結従業員数 | 34,099名 | ― |
| 研究開発費 | 156億円 | 主な内訳は石油製品ほか100億円、機能材33億円 |
| 研究開発費の売上高に対する割合 | 約0.13% | 本稿の計算(156億円÷11兆7,655億円) |
| 特許登録件数 | 5,290件 | ― |
| デジタル人材認定者 | 2,660名 | 社内の認定制度による(全社) |
上の数字は会社全体のもので、売上の大半は石油製品やエネルギーです。 MIにいくら使っているか、何人が専任かは開示されていません 未確定/将来。 研究開発費が売上高の約0.13%にとどまる(本稿の計算)のは、売上に占める素材・化学の割合が小さいことも映していて、 MIへの投資が小さいことを直接意味するわけではありません。この分野の記事を読むときは、 会社の規模と、MIにかけている規模は別物だと意識してください。
5. マテリアルインフォマティクスにかけているリソース
人・金・外部への出資・大学や公的機関との連携を、一次情報で確認できたか/できなかったかで示します。「記載なし」も成果です。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人(全社) | 連結従業員34,099名。デジタル人材認定者2,660名。研究所から独立したAIイノベーション部が、社内業務の効率化を含むAI活用を推進している | 事実 |
| 人(MI) | 中央技術研究所デジタル研究所の所長(井深 丈氏)が、Matlantisの開発者とユーザーの両方の立場から講演している(講演要旨)。MI専任の人数は非公表 | 事実/非公表 |
| 金 | 研究開発費156億円(全社)。Matlantisへの出資額・MIの投資額は非公表。設立時のPFCCの資本金は3億1,000万円(2021年) | 非公表 |
| 計算資源 | Matlantisの学習には、PFNのスーパーコンピュータで物理シミュレーションした大量の原子構造データが使われた(2021年の共同リリース)。ENEOS自身の計算資源の規模は非公表 | 事実/非公表 |
| 外部への出資・合弁 | Matlantis株式会社(旧PFCC):2021年6月の設立時はPFN 51%・ENEOS 49%。2024年6月に三菱商事が株主に加わり、現在の株主はPFN・ENEOSホールディングス・三菱商事。現在の持分比率は非公表 | 事実 |
| 共同開発 | Preferred Networksと2019年6月にMI分野で戦略的協業を開始し、汎用原子シミュレータを共同開発 | 事実 |
| 大学・研究機関・公的資金との連携 | 講演要旨は、Matlantisを大学や他社との外部連携にも活用していると述べるが、相手の名前は書かれていない。統合レポートは「GI基金活用件数5件」を挙げるが、MI向けとは書かれていない | 確認できず(相手は非公表) |
主要なモデル・製品の状況
Matlantisの提供主体はMatlantis社です。同社の公式ページと、ENEOS・PFNの共同リリースで確認できた範囲を示します。
| 名称 | 種別 | 主な仕様(公表された範囲) | 公開の形・ライセンス | 段階・日付 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| Matlantis | 汎用の原子レベルシミュレータ(クラウドのSaaS) | 学習済み深層学習モデル・物性計算ライブラリ・計算環境をパッケージで提供。2021年の提供開始時は55元素に対応し、DFTで数時間〜数か月かかる計算を数秒単位で行えると説明 | 商用の契約制。ライセンス条件は確認できなかった | 2021年7月6日に提供開始 | 共同リリース |
| PFP(PreFerred Potential) | 汎用の機械学習ポテンシャル(Matlantisの中核モデル) | 2022年の論文は45元素の任意の組み合わせを扱えると報告。Matlantis社は、PFP v7(2024年9月)で天然に存在する全96元素に対応、PFP v8(2025年7月)でr²SCANの学習データを使い精度が最大2倍と表記 | モデルは商用サービスの内部。論文は公開 | 提供(更新を継続) | Nature Communications、Matlantis社の会社概要 |
| LightPFP | 大規模計算向けの機能 | 最大のシミュレーション原子数を10倍以上に拡大(Matlantis社の表記) | Matlantisの機能 | 2025年1月に公開 | Matlantis社の会社概要 |
Matlantisの中身(PFP)は、DFTの計算結果を大量に学習した機械学習ポテンシャルです。 機械学習ポテンシャルは、原子の配置からエネルギーと力を高速に出す近似器で、DFTの代わりに使うと計算を大幅に速くできます (シリーズの技術解説「機械学習原子間ポテンシャル」を参照)。速くなる代わりに、学習データの範囲の外では精度が落ちることがあります 未確定/将来。2022年の論文は、リチウム拡散・金属有機構造体への吸着・合金の秩序無秩序転移・触媒の探索の4つの例で、 量的に良好な結果を報告しています(論文が選んだ例の範囲で、比較の相手は例ごとに異なります)。一方、「数万倍」という速度は会社の発表の数字で、 比較した計算条件はリリースに書かれていません。自社の材料系に使うときは、既知のDFTや実測のデータで、まず小さく精度を確かめるのが近道です。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2017年 | 経営統合によって現在のENEOSグループの母体が発足。研究のポートフォリオを見直した | 研究体制の組み替え(統合レポート2026) |
| 2019年6月 | PFNとENEOSがMI分野で戦略的協業を開始し、汎用原子シミュレータの共同開発に着手 | MatlantisのMIの出発点 |
| 2021年6月1日 | PFCCを設立(資本金3億1,000万円、PFN 51%・ENEOS 49%) | 共同開発した成果の事業化の器 |
| 2021年7月6日 | Matlantisをクラウドサービスとして提供開始 | MIのコアツールを外部へ |
| 2022年5月30日 | PFPの論文がNature Communicationsに掲載(著者にENEOS中央技術研究所の所属を含む) | 中核モデルの学術的な公表 |
| 2023年1月・2024年1月 | CESに出展し、Matlantisを展示 | 海外での事業パートナーシップを探る |
| 2023年7月 | 第3回Matlantis User ConferenceでENEOSが潤滑油の事例を発表 | 自社での活用例の公表 |
| 2024年6月 | 三菱商事がMatlantis社の株主に加わる | 海外展開の加速(Matlantis社の説明) |
| 2024年9月 | PFP v7で96元素に対応。ENEOSデジタル研究所長がMatlantis User Conference 2024で講演 | 開発者・ユーザー双方の立場で発信 |
| 2025年 | グループ横断で技術を棚卸しし、MIを含む5つを「強みのある分野」に設定 | MIが全社の技術戦略の柱の1つに |
| 2025年7月 | PFCCがMatlantis株式会社に社名変更。PFP v8を公開 | 事業主体の名称がサービス名に |
7. 今後の計画
ENEOSがMIについて示した固有の数値目標・時期の計画は、確認した資料にありません 未確定/将来。次は会社の方針です。
AI技術の活用
低炭素・脱炭素エネルギー統合レポート2026に記載
MIで開発したと会社が明言する製品の名称/MIによる開発期間の短縮の実績/MI専任の人員・投資額/Matlantis社での現在のENEOS持分比率/ Matlantisの予測を実験で確かめた結果の数値(潤滑油の事例を含む)/外部連携の相手。報道ベースの数字は採用しません。
8. この会社はマテリアルインフォマティクスで何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| MIを全社の技術戦略の柱の1つにしている | 統合レポート2026が、2025年の技術の棚卸しでMIを含む5つを強みのある分野に設定したと書く | 事実 |
| 自社の道具を外に開いて、利用者を増やす方針 | CTOメッセージが「自社内にとどめるべきものではないとの考えからSaaS事業として公開した」と書く | 事実(会社の説明) |
| ENEOSは開発者と利用者の両方の立場に立ち続ける | 講演要旨が「共同開発者とユーザーの視点」の両方から語ると明記し、シミュレータ開発の継続と材料開発での実用を並べる | 事実 |
| Matlantis社への関与は、設立時より薄くなった可能性 | 2024年6月に三菱商事が株主に加わり、現在の持分比率が非公表。設立時はENEOSが49% | 推測 |
設立時(2021年6月)のPFCCは、PFN 51%・ENEOS 49%の2社でした。その後、2024年6月に三菱商事が株主に加わっており、 株主が2社から3社に増えたことは確かです 事実。 ただし、増資の形か持分の移動かは、確認した資料に書かれておらず、現在のENEOSの持分比率は分かりません。 比率が下がった可能性はありますが、変わっていないかもしれません 未確定/将来。ENEOSがMatlantisの事業にどれだけ影響力を持つかは、この記事では判断できません。
9. マテリアルインフォマティクス分野の提携マッピング
10. MIの使われ方と、関わる技術
ENEOSがMatlantisを使っていると述べる分野は、触媒・潤滑油・ポリマーです(講演要旨)。統合レポートも「素材や触媒の開発に活用」と書きます。 このうち、具体的な内容が公に確認できるのは潤滑油の事例です。
| 分野 | MIの使われ方(会社の説明) | 公開されている具体例 |
|---|---|---|
| 触媒 | Matlantisを触媒の開発に活用(統合レポート、講演要旨)。石油精製では、市販の触媒では対応できない高度な運転のために自社開発触媒を使う場合がある(これはMIとは別の話) | 確認できなかった |
| 潤滑油 | 基油と添加剤の相互作用をシミュレーションで調べ、設計指針を導く。CES 2023ではEV用潤滑油と並べてMatlantisを展示 | 下の図解(2023年7月の発表の抜粋) |
| ポリマー | Matlantisをポリマーの開発に適用(講演要旨) | 確認できなかった |
| 外部連携 | 大学や他社との外部連携にMatlantisを活用(講演要旨) | 相手は非公表 |
この事例のポイントは、計算の結果を、実験の事実の説明と、設計の指針に変えていることです 事実。金属加工で、基油の種類によって加工しやすさが違うという実験の事実があり、 それがなぜかをMatlantisで追い、「添加剤の吸着を妨げない、疎な油膜をつくる基油を使うべし」という指針を出しています。 次に、指針に合う候補を絞り込むために、計算の速さを活かして油膜の疎密のデータを作り、機械学習で絞り込む案を示しています。 この順序(現象の説明→指針→候補の絞り込み→実験)は、MIを自社で使う場面でも参考になります。 ただし、資料に書かれているのは2023年7月時点の「実験で確かめる段階に入った」ところまでで、 実験の結果や、摩擦がどれだけ下がったかの数字は確認できません 未確定/将来。 また、この資料はENEOSの発表をMatlantis社が自社の講演で引用したものです。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 成果が外から確かめにくい | MIで開発した製品名・開発期間の短縮の実績・売上への寄与が開示されていない。潤滑油の事例も、実験の結果の数字は公開資料で確認できない | 未確定/将来 |
| 数字の出どころの区別 | 「数万倍」の速度、「150社・研究機関超」という採用実績は、Matlantis社・PFCCの発表で、ENEOSが検証した数字ではない | 事実 |
| 利益相反の可能性 | PFPの論文は、著者の一部がPFNとENEOSの従業員であること、PFCCがMatlantisをSaaSとして提供していることを、利益相反の開示として記している。研究と事業が近い関係にある | 事実 |
| モデルの適用範囲 | 機械学習ポテンシャルは、学習データの範囲の外で精度が落ちることがある。Matlantisの精度は、使う材料系と条件で確かめる必要がある | 推測 |
| 持分と影響力が不透明 | Matlantis社の現在のENEOS持分比率が非公表で、ENEOSの影響力や、事業の成否がENEOSの業績に与える影響を、外部から測れない | 推測 |
| 事業環境の変動 | CTOメッセージは、過去5年で脱炭素の潮流が大きく振れたこと、開発投資は厳選することを述べる。MIへの配分がどう変わるかは書かれていない | 事実(MIへの影響は推測) |
12. 用語集
- マテリアルインフォマティクス(MI)
- データと計算を使って、有望な材料の候補や条件を絞り込み、実験で確かめる手法。
- Matlantis
- PFNとENEOSが共同開発した、汎用の原子レベルのシミュレータ。クラウドで提供される。
- PFP(PreFerred Potential)
- Matlantisの中核の機械学習ポテンシャル。原子の配置からエネルギーと力を高速に出す。
- 機械学習ポテンシャル
- DFTなどの計算結果を学習して、原子間の力を近似するモデル。DFTより桁違いに速い。
- DFT(密度汎関数理論)
- 物質の電子状態を計算する標準的な方法。精度は高いが計算に時間がかかる。
- SaaS
- ソフトウェアをインターネット経由で、利用者が使う分だけ契約して使う提供形態。
- 基油・添加剤
- 潤滑油の主成分が基油。性能を高めるために少量混ぜる成分が添加剤。
- 持株会社
- グループ会社の株式を持ち、経営を統括する会社。ENEOSホールディングスがこれにあたる。
- PFN(Preferred Networks)
- 深層学習などを手がける日本の企業。Matlantisの共同開発者で、Matlantis社の株主。
- GI基金
- グリーンイノベーション基金。脱炭素の技術開発を支援する日本の公的な基金。
13. 出典
- ENEOSホールディングス ENEOS REPORT 統合レポート2026(2025年4月1日〜2026年3月31日の年度)。CTOメッセージ(MIを含む5つの強み分野、Matlantisの自社利用とSaaS公開、AIイノベーション部)、売上高・従業員数・研究開発費・特許件数・デジタル人材、会社概要。 https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/ir_material_for_fiscal_ym3/213225/00.pdf
- Preferred Computational Chemistry・Preferred Networks・ENEOS 「PFCC、新物質開発や材料探索を高速化する汎用原子レベルシミュレータMatlantisをクラウドサービスとして提供開始」(共同ニュースリリース、2021年7月6日)。PFCCの設立と出資比率、Matlantisの特長(対応55元素、DFTとの速度比較)。 https://www.eneos.co.jp/newsrelease/20210706_01_01_1170836.pdf
- Matlantis株式会社 公式サイト「会社概要」(日本語版)。株主構成(Preferred Networks・ENEOSホールディングス・三菱商事)、2019年からの沿革、社名変更(2025年7月)。 https://matlantis.com/ja/company/profile/
- Matlantis Corporation Official website, “Company Profile”(英語版)。同上。 https://matlantis.com/en/company/profile/
- ENEOS(Matlantis User Conference 2024) 井深 丈(ENEOS中央技術研究所デジタル研究所長)「ENEOSにおける材料開発のDX ~Matlantis共同開発者とユーザーの視点から~」講演要旨。ENEOSグループ内での触媒・潤滑油・ポリマーの材料開発への適用、外部連携。 https://matlantis.com/wp-content/uploads/2024/09/MatlantisUserConference2024_%E8%AC%9B%E6%BC%94%E8%A6%81%E6%97%A8.pdf
- Takamoto, S. et al. “Towards universal neural network potential for material discovery applicable to arbitrary combination of 45 elements”, Nature Communications 13, 2991(2022年5月30日)。DOI 10.1038/s41467-022-30687-9。著者にENEOS中央技術研究所の所属が含まれる。 https://www.nature.com/articles/s41467-022-30687-9
- ENEOS 「CES 2023への出展について」(ニュースリリース、2022年12月27日)。MatlantisをEV用潤滑油などと並べて展示すると記載。 https://www.eneos.co.jp/information/upload_pdf/20221227_01_01_1170836.pdf
- ENEOS 「今年もCES 2024に出展します!」(ニュースリリース、2024年1月5日)。Matlantisの製品を引き続き出展。 https://www.eneos.co.jp/information/upload_pdf/20240105_01_01_0906370.pdf
- Matlantis社(旧PFCC) 名児耶 彰洋「汎用原子レベルシミュレータMatlantis 計算材料科学のMI活用と課題」(nano tech 2024の特別シンポジウム講演資料、2024年2月1日)。ENEOSが第3回Matlantis User Conferenceで発表した潤滑油の研究の抜粋を含む。 https://matlantis.com/wp-content/uploads/2025/07/20240201_Matlantis%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%9D%90%E6%96%99%E5%8C%96%E5%AD%A6%E3%81%AEMI%E6%B4%BB%E7%94%A8%E3%81%A8%E8%AA%B2%E9%A1%8C_%E5%85%AC%E9%96%8B%E7%89%88.pdf
- Matlantis Corporation 公式サイト(英語)トップページ。Matlantisの説明と、同社が示す採用実績(150社・研究機関超)の表記。 https://matlantis.com/en/
14. 主張と出典の対応表
| 本文の主張 | 区分 | 出典 |
|---|---|---|
| 正式名称、本店所在地(東京都千代田区大手町一丁目1番2号)、設立(2010年4月1日)、代表取締役 社長執行役員 | 事実 | 出典1 https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/ir_material_for_fiscal_ym3/213225/00.pdf |
| 2025年度の売上高 11兆7,655億円、連結従業員 34,099名、研究開発費 156億円(石油製品ほか100億円・機能材33億円が主な内訳) | 事実 | 出典1 https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/ir_material_for_fiscal_ym3/213225/00.pdf |
| 特許登録 5,290件、デジタル人材認定者 2,660名 | 事実 | 出典1 https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/ir_material_for_fiscal_ym3/213225/00.pdf |
| 研究開発費が売上高に占める割合 約0.13% | 本稿の計算 | 本稿による割り算(156億円÷11兆7,655億円)。 |
| 2025年にグループ横断で技術を棚卸しし、MIを含む5つを強みのある分野に設定したこと | 事実 | 出典1 https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/ir_material_for_fiscal_ym3/213225/00.pdf |
| MatlantisをPreferred Networksとの協業で開発し、素材や触媒の開発に活用し、自社内にとどめずSaaS事業として公開していること | 事実 | 出典1 https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/ir_material_for_fiscal_ym3/213225/00.pdf |
| 研究所から独立したAIイノベーション部が、社内業務の効率化を含むAI活用を推進していること | 事実 | 出典1 https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/ir_material_for_fiscal_ym3/213225/00.pdf |
| 技術開発の注力テーマ(機能材・潤滑油の高付加価値化/AI技術の活用/低炭素・脱炭素エネルギー分野) | 事実 | 出典1 https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/ir_material_for_fiscal_ym3/213225/00.pdf |
| 2019年6月にPFNとENEOSがMI分野で戦略的協業を開始し、汎用原子シミュレータの共同開発に着手 | 事実 | 出典3・4 https://matlantis.com/ja/company/profile/ https://matlantis.com/en/company/profile/ |
| 2021年6月1日にPFCCを設立(資本金3億1,000万円、PFN 51%・ENEOS 49%) | 事実 | 出典2・3 https://www.eneos.co.jp/newsrelease/20210706_01_01_1170836.pdf https://matlantis.com/ja/company/profile/ |
| 2021年7月6日にMatlantisをクラウドサービスとして提供開始(55元素に対応、DFTで数時間〜数か月かかる計算が数秒単位、計算速度は従来の数万倍:会社の発表) | 事実 | 出典2 https://www.eneos.co.jp/newsrelease/20210706_01_01_1170836.pdf |
| 2024年6月に三菱商事が株主に加わり、2025年7月にMatlantis株式会社へ社名変更。現在の株主はPFN・ENEOSホールディングス・三菱商事 | 事実 | 出典3・4 https://matlantis.com/ja/company/profile/ https://matlantis.com/en/company/profile/ |
| Matlantis社が「150社・研究機関超に選ばれている」と表記していること(同社の主張) | 事実 | 出典10 https://matlantis.com/en/ |
| PFPの論文(Nature Communications、2022年):45元素の任意の組み合わせを扱える汎用の機械学習ポテンシャル。著者にENEOS中央技術研究所の所属が含まれる | 事実 | 出典6 https://www.nature.com/articles/s41467-022-30687-9 |
| ENEOSグループ内の触媒・潤滑油・ポリマーの材料開発へのMatlantisの適用、大学や他社との外部連携(講演要旨) | 事実 | 出典5 https://matlantis.com/wp-content/uploads/2024/09/MatlantisUserConference2024_%E8%AC%9B%E6%BC%94%E8%A6%81%E6%97%A8.pdf |
| CES 2023・2024でMatlantisを展示したこと | 事実 | 出典7・8 https://www.eneos.co.jp/information/upload_pdf/20221227_01_01_1170836.pdf https://www.eneos.co.jp/information/upload_pdf/20240105_01_01_0906370.pdf |
| 潤滑油の事例:基油の違いと添加剤の吸着を計算で追い、設計指針を導き、入手可能な化合物3つを提案して社内で実験実証に入った(2023年7月時点) | 事実 | 出典9 https://matlantis.com/wp-content/uploads/2025/07/20240201_Matlantis%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%9D%90%E6%96%99%E5%8C%96%E5%AD%A6%E3%81%AEMI%E6%B4%BB%E7%94%A8%E3%81%A8%E8%AA%B2%E9%A1%8C_%E5%85%AC%E9%96%8B%E7%89%88.pdf |
| 潤滑油の事例で、実験で確かめた結果と摩擦低減の数値 | 未確定/将来 | 確認した資料に記載なし。本稿では推計もしない。 |
| MI専任の人員・投資額、Matlantis社の現在のENEOS持分比率、ENEOS単独のMI成果の数値 | 未確定/将来 | 確認した資料に記載なし。本稿では推計もしない。 |
| 大学・公的機関とのMI共同研究の相手や、MI向けの公的資金 | 未確定/将来 | 確認した資料に記載なし。本稿では存在しないとも断定しない。 |
| 類型の区分(主:応用する側、従:MIソフトの会社への出資) | 本稿の計算 | 本稿による整理。 |
| 会社の狙いに関する読み(第8章の4点のうち推測としたもの) | 推測 | 統合レポート・Matlantis社の公式ページの記述からの本稿の解釈。 |
| リスクの整理のうち、書類に直接の記載がない項目 | 推測 | 統合レポート・各公式ページの記述からの本稿の解釈。 |
最終更新:2026年10月22日/Troy Technical
本稿の数値はすべて、ENEOSホールディングスの統合レポートと公式リリース、Matlantis社の公式ページ・資料、査読論文に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。Matlantisの性能や採用実績の数字は、提供主体(Matlantis社・旧PFCC)の発表であり、第三者による検証を確認できていません。
