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バイオシミラー|創薬・DDS 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

バイオシミラー
― 「同じもの」は作れない。だから「分布が重なること」を示す

化学合成の後発品(ジェネリック)は、先発品と同一の化合物です。バイオシミラーはそうではありません。 細胞がつくるタンパク質は、もともと糖鎖などの違う分子の混合物だからです。 そして最近、同等性を示す主役が臨床試験から分析へと移りつつあります。

構成:米国法典(42 U.S.C. 262)、FDAのガイダンス・承認通知書・公表資料、EMAの公表資料、厚生労働省の指針、PMDAの資料、ICHガイドライン、査読論文(Pharmaceutical Medicine/Nature Biotechnology/Frontiers in Immunology)を一次情報として使用/最終更新 2026年9月

ヒーロー画像:ほとんど同じに見える二つの粉の山が並ぶ抽象イメージAI生成による概念図
概念図(AI生成イメージ)。「見分けがつかないほど似ているが、同一ではない二つのもの」という考え方を雰囲気として表現したものです。実際の医薬品・原薬・製品を示すものではありません。
この記事の構成
  1. バイオシミラーとは何か(3行でつかむ)
  2. ジェネリックとの違い ― 「同一」ではなく「高度に類似」
  3. 同等性をどう示すか ― 分析から臨床までの「証拠の総体」
  4. 分析で何を比べるのか
  5. 素材技術者の視点①:「先行品」そのものが動く標的である
  6. 製造上の難しさ ― 宿主細胞・糖鎖・不純物・製剤
  7. 規制の違い ― FDA・EMA・PMDA
  8. 互換性(interchangeability)とは何か
  9. 臨床試験から分析へ ― 比較有効性試験の見直し
  10. 素材技術者の視点②:分析法が「審査の主役」になるとき
  11. 課題と、まだ決まっていないこと
  12. 用語集/参考資料/出典対応表
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標であり、実績が確認できていない事項
このほか、構造の整理や材料・プロセス設計上の読み取りは「解説」として区別しています。

医療についてのお断り

本記事はバイオシミラーの品質評価・製造・規制の仕組みを、材料と分析の観点から解説するものです。 特定の製品の有効性・安全性を評価したり、先行品とバイオシミラー、あるいはバイオシミラーどうしを比べて優劣をつけたりするものではありません。 医療上の助言ではなく、薬の切り替えを勧めるものでもありません。治療薬の選択や変更は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

1. バイオシミラーとは何か(3行でつかむ)

  • 何か:厚生労働省の指針は、バイオ後続品(バイオシミラー)を「国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品(先行バイオ医薬品)と同等/同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者により開発される医薬品」と定義しています事実
  • 米国の定義:米国法は、バイオシミラーを「臨床的に不活性な成分のわずかな違いにかかわらず、先行品(reference product)と高度に類似」し、「安全性・純度・効力の点で、先行品との間に臨床的に意味のある差がない」ものと定めています事実
  • なぜ「同一」と言わないか:EMAは、バイオシミラーが生物学的製剤のジェネリックとみなされない理由を、「生物学的製剤の自然なばらつきとより複雑な製造が、分子の微小な不均一性を正確に複製することを許さない」ためだと説明しています事実
この記事でいちばん大事な一行

バイオシミラーの開発は、「同じ分子をつくる」仕事ではなく、「同じ分布をつくる」仕事です。 しかも比べる相手の先行品自体が、製法変更のたびに少しずつ動く分布です。 ICH Q5Eは、製法変更の前後で同等性を示すことは「品質特性が同一であることを必ずしも意味せず、高度に類似していること」だとしています事実。 バイオシミラーは、この「高度に類似」を、別の会社が、別の細胞と別の工程で実現する挑戦です(本記事による解説)。

2. ジェネリックとの違い ― 「同一」ではなく「高度に類似」

厚生労働省の指針は、バイオ医薬品について次のように述べています。 「生体による生合成過程を製造に利用していることから、分子構造上不均一なものが産生される可能性が本質的に存在する」。 そのため「先行バイオ医薬品とバイオ後続品の有効成分の同一性を実証することは困難」であり、 「先発医薬品と同一の構造を持つ化学合成医薬品の後発医薬品と同様のアプローチは適用できない」事実。

ICH Q6Bも、「生物が産生に用いる生合成過程のため、タンパク質には本来的にある程度の構造的不均一性が生じる」とし、 目的物質は「予想される翻訳後修飾体(例:糖鎖修飾体)の混合物でありうる」としています事実。 たとえばIgG抗体では、297番の位置のN結合型糖鎖が各重鎖に付いており、その糖鎖にはフコース・ガラクトース・シアル酸などの付き方の違いがあります事実。

「同一」と「高度に類似」の違い(概念図) 横軸=ある品質特性(例:糖鎖の型の割合)の値/縦軸=その値をもつ分子の割合(いずれも模式) 化学合成品の後発品(ジェネリック) バイオシミラー 先発品も後発品も 同じ一本の線 有効成分は同一の化合物 先行品(実線) バイオシミラー(破線) 分布が高度に重なることを示す 比べる対象が「一つの構造」から「分布の形」に変わる ※ 不均一性の記述は厚生労働省の指針[参考資料11]と ICH Q6B[参考資料19]によります。曲線の形・位置・幅は模式で、実際のデータではありません。
図1 概念図(ベクター作図)。バイオ医薬品が本質的に不均一であり、同一性の実証が困難であることは厚生労働省の指針[参考資料11]、翻訳後修飾体の混合物でありうることは ICH Q6B[参考資料19]によります。線と曲線は考え方を示す模式で、実際の測定データや、特定製品の分布を示すものではありません。

3. 同等性をどう示すか ― 分析から臨床までの「証拠の総体」

米国法は、バイオシミラーの申請に次のデータを求めています事実。

  • 分析試験:臨床的に不活性な成分のわずかな違いにかかわらず、先行品と高度に類似していることを示すもの
  • 毒性の評価:分析試験や臨床試験に依拠する、またはそれらで構成されうる(2022年の法改正で、それまでの「動物試験」から改められた)
  • 臨床試験:免疫原性と薬物動態または薬力学の評価を含み、1つ以上の適切な使用条件で安全性・純度・効力を示すのに十分なもの

さらに、先行品と同じ作用機序を用いること(作用機序が分かっている範囲で)も要件です事実。 FDAの2025年10月のガイダンス案は、分析・薬物動態・免疫原性のデータが十分かどうかは「生物製剤承認申請で提出された証拠の総体(totality of the evidence)」にもとづいて評価されるとしています事実。

同等性を示す証拠の積み上げ(概念図) 下ほど土台(分析)、上ほど臨床。幅は重みの模式で、試験の規模を示すものではありません 比較有効性試験(CES) 必要性の見直しが進む 臨床PK/PD・免疫原性 薬物動態の類似性など 毒性の評価(非臨床) 分析・臨床データに依拠することもできる 比較分析(構造・物理化学的性質・生物活性・不純物) 「高度に類似」を示す土台 FDA案(2025年10月) ICH M18(検討中) すべてを合わせた「証拠の総体」で判断される ※ 要件は米国法[参考資料1]、証拠の総体とCESの見直しはFDAのガイダンス案[参考資料2]とICH M18[参考資料15]によります。層の幅は模式です。
図2 概念図(ベクター作図)。申請に必要なデータの種類は米国法(42 U.S.C. 262(k))[参考資料1]、「証拠の総体」による評価と比較有効性試験の見直しは FDA の2025年10月のガイダンス案[参考資料2]、ICH M18 のコンセプトペーパー[参考資料15]によります。ピラミッドの形と各層の幅は本記事による模式で、各試験の規模や費用の比を示すものではありません。

4. 分析で何を比べるのか

厚生労働省の指針は、品質に関する比較試験の中身を次のように示しています事実。

比べるもの指針の記述(要約・引用)
構造・物理化学的性質アミノ酸配列、ジスルフィド結合、糖鎖構造、その他の翻訳後修飾、サブユニット構造など。「一次構造上の違いがある場合には、バイオ後続品とは判断されない」。N末端・C末端のプロセシングなど翻訳後修飾に起因する不均一性に差がある場合は、臨床的有効性・安全性に影響しないことを担保する。二次構造・三次構造も比較する
生物学的性質可能な限り複数の方法で生物活性を比較する。抗体では、抗原との結合活性に加え、中和活性、Fcγ受容体・胎児性Fc受容体・補体C1qとの結合活性、ADCC活性、CDC活性などを比較する必要がある
不純物目的物質由来不純物(切断体や凝集体など)の種類と量を比較する。凝集体は免疫原性との関連が示唆され、さまざまなサイズや形状のものがありうるため、原理の異なる複数の分析手法で比較するのが有用
製造工程由来不純物工程によって異なるため比較は必ずしも必要ではない。ただし、ELISAによる宿主細胞由来タンパク質試験のように、構成するタンパク質が両者で異なるものを同じ分析法で比べると、分析法の特異性の違いにより実際の残存量の違いを反映していない可能性がある
免疫原性に関連する品質特性翻訳後修飾構造、目的物質由来不純物、製造工程由来不純物などが免疫原性の差異を生じうる。非臨床試験での評価が困難なため、品質の比較で差異を明らかにしておくことが臨床試験の計画にも有用

すべて事実(厚生労働省「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」令和2年2月4日[参考資料11])。同指針は、比較には「市販製品用の製法で製造されたもの」を用いるのが原則で、複数ロットの原薬または製剤による比較で類似性の程度を明らかにするとしています事実。

本稿の計算:糖鎖の組み合わせだけで、分子は何種類になりうるか

IgGの2本の重鎖それぞれに、297番のN結合型糖鎖が1つずつ付いています事実。 前提:各部位に付く糖鎖の型が5種類ありうると仮定し、2本の重鎖を区別しない(左右の入れ替えは同じ分子とみなす)ものとします(本稿の仮定)本稿の計算。

  • 同じ型どうし:5通り、異なる型の組み合わせ:5 × 4 ÷ 2 = 10通り → 合計15通り
  • 型が10種類なら:10 + 45 = 55通り

前提と限界:型の数は説明のための仮定で、実際の糖鎖の種類や存在比を示すものではありません。 C末端などほかの修飾の違いを掛け合わせれば、組み合わせはさらに増えます。「一つの抗体製品」が、実際には多数の分子種の混合物であることを桁で示すための計算です。

5. 素材技術者の視点①:「先行品」そのものが動く標的である

素材技術者の読みどころ:規格の中心は「相手のロットを買って測る」ことで決まる

バイオシミラーの開発で見落とされやすいのは、比べる相手(先行品)も一定ではないことです。 ICH Q5Eは、同じ製造業者(受託製造業者を含む)が自社の製法を変更する場合に、変更前後の製品を直接比べて同等性を示す方法を定めたガイドラインです事実。 つまり先行品のメーカー自身も、製法を変え、そのたびに「高度に類似」を示しながら製品を供給し続けているということです。

Schiestlらは2011年、市場から2007〜2010年に入手したAranesp(ダルベポエチン アルファ)、Rituxan/Mabthera(リツキシマブ)、Enbrel(エタネルセプト)の品質プロファイルを分析し、 製法変更の前後のバッチを比較して、表示を変えずに販売が続いた製品での「許容された品質特性の変動」の例を示しました事実。

厚生労働省の指針も、この事情を前提にしています。重要品質特性(CQA)の特定と許容範囲の設定では「先行バイオ医薬品のロット分析結果が重要な情報となる」とし、 自社の製法変更にはICH Q5Eに従った評価を求めています事実。

材料技術者の言葉でいえば、これは「競合品の市販ロットを多数買い集めて、その分布の幅から自社の規格の窓を決める」作業です(本記事による解説)。 相手の分布が時期によって動くなら、いつのロットを基準にするかで狙う窓が変わる。 バイオシミラーの品質設計は、固定した目標値ではなく、動く分布を追いかける設計だと読めます(本記事による解説)。

先行品のロットは動く ― バイオシミラーはその「窓」を狙う(概念図) 横軸=入手した時期(ロット)/縦軸=ある品質特性の値。点・帯の位置はすべて模式で、実測値ではありません 先行品ロットの分布から決めた目標範囲 先行品側の製法変更 ● 市場から入手した先行品ロット □ バイオシミラーのロット(範囲内をねらう) 入手時期 → 値 狙う窓は「いつのロットを基準にするか」で変わりうる ※ 変動の例は Schiestl ら(2011)[参考資料16]と ICH Q5E[参考資料14]、ロット分析の重要性は厚労省の指針[参考資料11]によります。
図3 概念図(ベクター作図)。先行品の製法変更前後で品質特性が変動しうること、その変動が表示を変えずに許容された例があることは Schiestl ら(2011)[参考資料16]、製法変更時の同等性評価の考え方は ICH Q5E[参考資料14]、先行品のロット分析結果が許容範囲の設定に重要であることは厚生労働省の指針[参考資料11]によります。点・帯・変化の向きはすべて模式で、特定の製品・品質特性の実測値を示すものではありません。

6. 製造上の難しさ ― 宿主細胞・糖鎖・不純物・製剤

バイオシミラーの製造者は、先行品メーカーの細胞株も工程条件も使えません。厚生労働省の指針は、「独自に製法開発、品質特性解析、製剤設計等を行い」、製品のライフサイクル全体で恒常的に製造できる管理戦略を構築する必要があるとしています事実。

論点指針の記述材料・プロセスから見た意味(本記事による解説)
宿主細胞宿主細胞は糖鎖などの翻訳後修飾や宿主細胞由来タンパク質のプロファイルに影響する。先行品の宿主細胞が明らかなら同一宿主細胞が望ましいが、異なる細胞を使う場合は不純物プロファイルに着目した検討を同一の場合より十分に行う細胞は「反応器の中の触媒」にあたる。触媒が変われば副生成物の顔ぶれが変わる
糖鎖宿主細胞が同一でも、遺伝子発現構成体の挿入部位や培養条件などさまざまな要因で糖鎖の不均一性が大きく変動することが知られている同じ細胞・同じ配列でも、培地や培養条件で分布が動く。工程条件が組成分布を決める点は、共重合体の組成分布に近い
製剤投与経路は先行品と同一である必要がある。剤形は妥当性があれば異なってよく(例:凍結乾燥製剤に対し液剤)、製剤処方の同一は必須ではない。より安全性の高い添加剤を用いた処方も可能添加剤・容器・剤形は、同等性の枠の中で設計の自由度が残る部分。材料供給者にとっての入り口になりうる
比較対照対照薬は原則として国内承認品。海外承認品を使う場合は、国内承認品と同一とみなせることを品質比較試験などで説明する同じ製品名でも、地域ごとのロットの「同一性」を分析で示す必要がある

「指針の記述」はすべて事実(厚生労働省の指針[参考資料11])。右列は本記事による解説です。

7. 規制の違い ― FDA・EMA・PMDA

項目米国(FDA)欧州(EMA)日本(厚生労働省・PMDA)
呼び方・定義biosimilar:先行品と高度に類似し、安全性・純度・効力で臨床的に意味のある差がないbiosimilar:承認済みの生物学的製剤と構造・生物活性・有効性・安全性・免疫原性プロファイルの点で高度に類似バイオ後続品:先行バイオ医薬品と同等/同質の品質・安全性・有効性をもつ
最初の承認Zarxio(filgrastim-sndz)2015年3月6日(351(k)経路のBLA)2006年ソマトロピンBS「サンド」2009年6月(PMDAの資料)
承認数などFDAは2026年3月時点で82のバイオシミラーを承認したとしている2006〜2022年に86品目が承認(EUで販売されなくなったものを含む)抗体のバイオシミラーは2023年12月までに18品目(PMDA職員による論文)
申請できる時期先行品の初回承認から4年後から申請可、承認の効力発生は12年後から一般に、先行品の承認から少なくとも8年たってから申請可先行バイオ医薬品の再審査期間の満了等をもって申請可能
名称中核名+意味をもたない小文字4文字の接尾辞(例:filgrastim-sndz)—(本稿では確認していない)一般名に「BS」と屋号を付した販売名(例:ソマトロピンBS「サンド」)
互換性法律上の「interchangeable」の指定制度がある(第8章)EMAとHMAは、EUで承認されたバイオシミラーは科学的に互換可能とする声明を公表本稿が参照した指針に、米国のような互換性の指定制度の記載はない

すべて事実(米国法[参考資料1]、FDA[参考資料3・5・6・8]、EMA[参考資料9・10]、厚生労働省の指針[参考資料11]、PMDAの研修資料[参考資料12]、Goto ら[参考資料13])。EMAの名称の扱いは本稿では調べていないため「—」としています。

先行品の承認から、バイオシミラーが出られるまで(本稿の計算を含む) 横軸=先行品の初回承認からの年数(1年=20px) 米国:申請可 4年後から申請できる 米国:承認の効力 12年後から 欧州:申請可 少なくとも8年後 実例:Zarxio 1991年の先行品承認 → 2015年に承認(24年) 0年 5年 10年 15年 20年 25年 米国の最短の12年に対し、最初の実例は制度の開始を待って24年かかった ※ 4年・12年は米国法[参考資料1]、8年はEMA[参考資料9]、Zarxioの24年と1991年はFDAのファクトシート[参考資料8]によります。 ※ 棒の長さへの換算は本記事によるものです。各国の保護期間の詳細な条件(延長など)は省略しています。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。米国の4年・12年は米国法(42 U.S.C. 262(k)(7))[参考資料1]、欧州の8年はEMAの説明[参考資料9]、Zarxio の先行品 Neupogen の1991年承認と24年という年数は FDA のファクトシート[参考資料8]によります。棒の長さは本記事による換算で、保護期間の延長などの細かな条件は省略しています。「制度の開始を待って」という読み取りは本記事による解説です。

8. 互換性(interchangeability)とは何か

(1) 米国:法律上の「互換可能」

米国法は「互換可能(interchangeable)」を、「先行品を処方した医療従事者の介入なしに、先行品と置き換えてよい」ことと定めています事実。 その要件は、バイオシミラーであることに加えて、「どの患者においても先行品と同じ臨床結果を生むと期待できる」こと、 複数回投与される製品では「先行品とバイオシミラーを交互に使ったり切り替えたりすることによる安全性上のリスクや有効性の低下のリスクが、切り替えずに先行品を使い続ける場合のリスクより大きくない」ことです事実。

  • 最初の互換性の判断:FDAの承認通知書は、Semglee(insulin glargine-yfgn)の10 mLバイアルと3 mLペンを、「いずれかの使用条件で互換性の判断を受けた最初の生物学的製剤」と記載しています。署名日は2021年7月28日です事実
  • インスリンの枠組みの変化:インスリンは2020年3月23日に、それまでの承認が生物学的製剤の承認とみなされる製品群に含まれました事実。Semglee の申請が351(k)(バイオシミラーの経路)で2020年7月29日に受理されたこと事実と合わせると、制度の移行が、インスリンでのバイオシミラー・互換性の道を開いたと読めます(本記事による解説)
  • スイッチング試験の見直し:FDAは2024年6月20日、互換性に関するガイダンスの改訂案を公表し、スイッチング試験は「一般に必要ではなくなる」との考えを示しました。その時点で承認されていた13の互換性バイオシミラーのうち9品目は、追加の臨床スイッチング試験データなしで承認されたとしています事実

(2) 欧州:承認されたものは科学的に互換可能

EMAと各国規制当局の長(HMA)は共同声明で、「EUで承認されたバイオシミラーは互換可能である」とし、 バイオシミラーを先行品の代わりに使うこと(またはその逆)、同じ先行品の別のバイオシミラーに置き換えることを含むとしています。 一方で、薬局での自動的な置き換え(代替調剤)などの実施方法はEMAの権限外で、各加盟国が決めるとしています事実。

本稿の計算:スイッチング試験なしで承認された割合

FDAの2024年6月の説明にもとづくと、9 ÷ 13 = 約69%です本稿の計算。 前提と限界:2024年6月時点の数で、その後の承認は含みません。互換性の指定を受けていないバイオシミラーの品質・安全性が劣るという意味ではありません。FDAも同じ説明で、互換性の承認の有無にかかわらずバイオシミラーの安全性と有効性を信頼できるとしています事実。

9. 臨床試験から分析へ ― 比較有効性試験の見直し

ここ数年で最も大きな変化は、比較有効性試験(CES)の位置づけです。CESは、患者を対象に先行品とバイオシミラーの有効性を比べる大規模な臨床試験です。

FDAのガイダンス案(2025年10月)

「比較分析評価(CAA)は、一般にCESよりも感度が高く、バイオシミラー性の実証を妨げうる2製品間の差異を、もし存在すれば検出できる」事実

そして、次の場合に簡素化した手法を検討すべきとしています事実。

  • 先行品とバイオシミラー候補がクローン化した細胞株から製造され、高度に精製され、分析で十分に特性解析できること
  • 先行品について品質特性と臨床的有効性の関係が概ね理解されており、その特性をCAAに含まれる分析法で評価できること
  • ヒトでの薬物動態類似性試験が実施可能で、臨床的に意味があること

FDAは2026年3月9日の発表で、このガイダンス案を「1〜3年を要し2,400万ドルかかりうる、不要な比較有効性試験を減らす」ものと説明し、さらに臨床薬物動態試験の簡素化についての新たなガイダンス案も公表しました事実。

この流れは国際的です。ICHはM18「バイオシミラー開発プログラムにおける比較有効性試験の有用性を判断する枠組み」のコンセプトペーパーを2025年11月19日に承認しました。 同文書は、CESが「品質特性に差のある製品を見分けるのに必要な感度を欠く」との認識が広がり、現代の分析技術がバイオシミラーと先行品の違いを見分ける感度をもつことを背景に挙げています事実。 EMAも、バイオシミラーの開発・承認に必要な臨床データの量を減らすことを目指す「テーラード臨床アプローチ」に関するリフレクションペーパーを採択したとしています事実。

日本の実績を分析した論文もあります。PMDAの Goto らは2025年、2014〜2023年に日本で承認された抗体バイオシミラー18品目の審査報告書を調べ、 18品目すべてでCESが実施されていたこと、品質特性の差異のうち64%は他の品質特性のデータで説明され、CESの結果で説明されたのは6%だけだったことを報告しました事実。

品質特性の差異は、何のデータで説明されたか(本稿の計算を含む) 日本で承認された抗体バイオシミラー18品目(2014〜2023年)の審査報告書の分析。帯の全幅=100% 他の品質特性のデータ 64% 分析どうしで説明がついた その他 約30% 要旨に内訳なし(本稿の計算) CES 6% CESを実施した品目 18品目中18品目 米国の互換性バイオシミラー 13品目中9品目(約69%) スイッチング試験データなしで承認(2024年6月時点) ※ 18品目・64%・6%は Goto ら(2025)[参考資料13]の要旨、13品目中9品目はFDAの説明[参考資料4]によります。 ※ 「その他 約30%」(100−64−6)と約69%(9÷13)は本記事が算出した値です。その他の内訳は要旨に記載がありません。 ※ 2つの数字は対象も時期も異なり、互いに比較するためのものではありません。
図5 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。日本の抗体バイオシミラー18品目の分析は Goto ら(2025)[参考資料13]の要旨、米国の互換性バイオシミラー13品目中9品目は FDA の2024年6月の説明[参考資料4]によります。「その他 約30%」と約69%は本記事が算出した値で、公表値ではありません。対象・時期の異なる2つの数字を並べたもので、直接比較するものではありません。

10. 素材技術者の視点②:分析法が「審査の主役」になるとき

暗い面に置かれた二枚のよく似た透明な薄板に光が通り、わずかな違いを比較する抽象的な概念イメージ
図6 概念図(AI生成イメージ)。「二つのものを重ね合わせて、わずかな違いを光で見分ける」という比較分析の考え方を雰囲気として表現したものです。実際の分析装置・測定結果を示すものではありません。
素材技術者の読みどころ:「分析の感度」が、臨床試験の代わりを務める

FDAのガイダンス案が「CAAは一般にCESより感度が高い」と明記したこと事実は、材料・分析の側から見ると大きな意味をもちます。 何年もかかる患者対象の試験の役割を、分析で担う方向に制度が動いているからです(本記事による解説)。

  • 分析法の性能が、そのまま開発期間を決める:CESが省略できるかどうかは、品質特性を分析で十分に特性解析できるかにかかっています事実。分離・質量分析・分光・光散乱・細胞アッセイなどの分解能と再現性が、開発の成否に直結します(本記事による解説)
  • 「原理の異なる複数の方法」が求められる:厚生労働省の指針は、凝集体のように複雑な特性を原理の異なる複数の分析手法で多面的に評価するよう推奨しています事実。粒子径分布を DLS だけでなく他の原理でも確かめる——材料評価でおなじみの直交法(オルソゴナル法)の発想です(本記事による解説)
  • 分析試薬そのものの「特異性」が問題になる:宿主細胞由来タンパク質のELISAは、先行品とバイオシミラーで宿主細胞が違えば、同じ試薬で公平に比べられない可能性がある事実。測る道具(抗体試薬)が、測られる材料の出自に依存するという、分析化学として興味深い問題です(本記事による解説)

もう一つ、製剤の自由度も見逃せません。指針は投与経路は同一を求める一方で、製剤処方の同一は必須ではなく、剤形の変更(凍結乾燥から液剤など)や、より安全性の高い添加剤の使用もありうるとしています事実。 有効成分は「先行品に似せる」、製剤は「よりよくしてよい」——この非対称性が、容器・添加剤・デバイスの側に改良の余地を残しています(本記事による解説)。

11. 課題と、まだ決まっていないこと

(1) 比較有効性試験の扱いは、まだ「案」の段階

FDAの2025年10月のガイダンスは案(draft)で事実、ICH M18 もコンセプトペーパーの段階です事実。 最終的な内容や各国での適用時期は、本稿の調査時点(2026年9月)では確定していません未確定/将来。

(2) 米国の互換性ガイダンスも改訂案の段階

スイッチング試験を一般に不要とする2024年6月の改訂は案として公表され事実、FDAの2025年10月のガイダンス案も、これを案(2024年6月)として参照しています事実。 確定版がいつ出るかは、本稿の調査範囲では確認できませんでした未確定/将来。

(3) 日本で確認できなかったこと

  • 日本で承認されたバイオシミラーの総数(全分野)を示す規制当局の公式の集計は、本稿の調査範囲では確認できませんでした。第7章の「2009年6月」はPMDAの研修資料の一覧によります(同資料は発表者の個人的見解にもとづくと注記されています)
  • 米国のような互換性の指定制度の導入予定を示す一次情報は、本稿の調査範囲では確認できませんでした未確定/将来
  • 使用促進に関する政策目標や薬価・普及率の数値は、本記事の技術解説の範囲外として扱っていません
この記事のまとめ
  • バイオシミラーは「同一」ではなく「高度に類似」。生合成に由来する不均一性のため、同一性の実証は困難です事実
  • 一次構造(アミノ酸配列)に違いがあれば、バイオシミラーとは判断されません事実
  • 先行品も製法変更で動きます。比べる相手は「動く分布」です事実
  • 糖鎖の型が5種類あるだけで、2本の重鎖の組み合わせは15通りになります本稿の計算
  • 米国は法律で「互換可能」を定め、欧州は承認されたバイオシミラーを科学的に互換可能としています事実
  • 同等性の主役は臨床試験から分析へ移りつつあります。日本の抗体18品目では、CESで説明された差異は6%でした事実

12. 用語集

バイオシミラー(バイオ後続品)
先行バイオ医薬品と同等/同質の品質・安全性・有効性をもつとして、別の会社が開発するバイオ医薬品。
先行品(reference product)
バイオシミラーが比較の対象とする、既承認のバイオ医薬品。
同等性/同質性
品質特性の類似性が高く、差異があっても臨床的有効性・安全性に影響しないと科学的に判断できること。
不均一性
同じ製品に、糖鎖などの修飾が違う分子が混ざっていること。バイオ医薬品に本質的にある。
翻訳後修飾
タンパク質が細胞内で合成されたあとに付く修飾。糖鎖付加などがある。
宿主細胞
組換えタンパク質を生産させる細胞。CHO細胞など。
宿主細胞由来タンパク質(HCP)
生産に使った細胞に由来する不純物のタンパク質。ELISAなどで測る。
凝集体
タンパク質どうしが集まった塊。免疫原性との関連が示唆される不純物。
免疫原性
体の免疫系が薬に反応し、抗体などを作る性質。
比較分析評価(CAA)
先行品とバイオシミラーの品質特性を分析で比べる評価。
比較有効性試験(CES)
患者を対象に、先行品とバイオシミラーの有効性を比べる臨床試験。
互換性(interchangeability)
米国では、処方者の介入なしに先行品と置き換えてよいとされること。
スイッチング試験
先行品とバイオシミラーを交互に切り替えたときの影響を調べる臨床試験。
ICH Q5E
バイオ医薬品の製法変更前後の同等性(比較可能性)評価に関する国際ガイドライン。
直交法(オルソゴナル法)
原理の異なる複数の分析法で同じ特性を確かめること。
外挿
臨床試験を行っていない効能・効果を、作用機序などの説明にもとづいて付与すること。

13. 参考資料(一次情報)

  1. 米国法典(Legal Information Institute 掲載)「42 U.S. Code § 262 — Regulation of biological products」 — law.cornell.edu
  2. FDA「Scientific Considerations in Demonstrating Biosimilarity to a Reference Product: Updated Recommendations for Assessing the Need for Comparative Efficacy Studies(Draft Guidance)」2025年10月(PDF) — fda.gov
  3. FDA「FDA Takes Further Steps to Streamline Biosimilar Development and Make Medicines More Affordable」2026年3月9日 — fda.gov
  4. FDA「FDA updates guidance on interchangeability」2024年6月20日 — fda.gov
  5. FDA「Nonproprietary Naming of Biological Products: Guidance for Industry」2017年1月 — fda.gov
  6. FDA「BLA 125553 承認通知書(Zarxio, filgrastim-sndz)」2015年3月6日(PDF) — accessdata.fda.gov
  7. FDA「BLA 761201 承認通知書(Semglee, insulin glargine-yfgn)」2021年7月28日(PDF) — accessdata.fda.gov
  8. FDA「FACT SHEET: Bringing Lower-Cost Biosimilar Drugs to American Patients」(PDF) — fda.gov
  9. European Medicines Agency「Biosimilar medicines: Overview」 — ema.europa.eu
  10. EMA/HMA「Statement on the scientific rationale supporting interchangeability of biosimilar medicines in the EU」EMA/627319/2022(PDF) — ema.europa.eu
  11. 厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課長「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」について(薬生薬審発0204第1号、令和2年2月4日) — mhlw.go.jp
  12. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「バイオシミラーの品質確保(同等性評価)の進め方」レギュラトリーサイエンス エキスパート研修会資料、2026年1月28日(PDF。発表者の個人的見解にもとづく旨の注記あり) — pmda.go.jp
  13. Goto, K., Hariu, A., Kuribayashi, R.「Survey on the Role of Comparative Efficacy Studies Required for Biosimilar Monoclonal Antibody Approval in Japan…」Pharmaceutical Medicine 39(6), 477–491 (2025). doi:10.1007/s40290-025-00583-w — pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  14. ICH「Q5E: Comparability of Biotechnological/Biological Products Subject to Changes in their Manufacturing Process」Step 4、2004年11月18日(PDF) — database.ich.org
  15. ICH「Final Concept Paper M18: Framework for Determining the Utility of Comparative Efficacy Studies in Biosimilar Development Programs」2025年11月19日承認(PDF) — database.ich.org
  16. Schiestl, M. ほか「Acceptable changes in quality attributes of glycosylated biopharmaceuticals」Nature Biotechnology 29(4), 310–312 (2011). doi:10.1038/nbt.1839 — nature.com
  17. Vidarsson, G., Dekkers, G., Rispens, T.「IgG subclasses and allotypes: from structure to effector functions」Frontiers in Immunology 5, 520 (2014). doi:10.3389/fimmu.2014.00520 — pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  18. FDA「"Deemed to be a License" Provision of the BPCI Act」 — fda.gov
  19. ICH「Q6B: Specifications: Test Procedures and Acceptance Criteria for Biotechnological/Biological Products」Step 4、1999年3月10日(PDF) — database.ich.org

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
バイオシミラーの定義(臨床的に不活性な成分のわずかな違いにかかわらず先行品と高度に類似し、安全性・純度・効力で臨床的に意味のある差がないこと)。互換可能の定義(先行品を処方した医療従事者の介入なしに置き換えてよい)と要件(どの患者でも同じ臨床結果が期待できること、複数回投与製品で交互使用・切り替えのリスクが切り替えない場合より大きくないこと)。申請に必要なデータ(分析試験、毒性の評価、免疫原性とPK/PDを含む臨床試験)と2022年の改正で「動物試験」の記載が改められたこと、同じ作用機序の要件。先行品の初回承認から4年後から申請可、12年後から承認の効力発生42 U.S.C. 262[参考資料 1]https://www.law.cornell.edu/uscode/text/42/262事実
CAAが一般にCESより感度が高いこと。簡素化した手法を検討すべき3条件(クローン化細胞株・高度精製・十分な特性解析、品質特性と臨床的有効性の関係の理解とCAAでの評価、ヒトPK類似性試験の実施可能性と臨床的意味)。データの十分性が証拠の総体で評価されること。2025年10月付の案であること。互換性ガイダンス(2024年6月)を案として参照していることFDA ガイダンス案(2025年10月)[参考資料 2]https://www.fda.gov/media/189366/download事実
2026年3月9日の発表で、2025年10月のガイダンス案を1〜3年を要し2,400万ドルかかりうる不要な比較有効性試験を減らすものと説明したこと、臨床PK試験の簡素化に関する新たなガイダンス案を公表したこと、FDAが82のバイオシミラーを承認したとしていることFDA プレスリリース(2026年3月9日)[参考資料 3]https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-takes-further-steps-streamline-biosimilar-development-and-make-medicines-more-affordable事実
2024年6月20日に互換性ガイダンスの改訂案を公表し、スイッチング試験が一般に必要でなくなるとの考えを示したこと、13の互換性バイオシミラーのうち9品目が追加の臨床スイッチング試験データなしで承認されたこと、互換性の承認の有無にかかわらず安全性と有効性を信頼できるとしたことFDA 公表資料(2024年6月20日)[参考資料 4]https://www.fda.gov/drugs/drug-alerts-and-statements/fda-updates-guidance-interchangeability事実
生物学的製剤の一般名が中核名と、意味をもたない小文字4文字の接尾辞の組み合わせとされること(2017年1月)FDA 命名ガイダンス[参考資料 5]https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/nonproprietary-naming-biological-products-guidance-industry事実
Zarxio(filgrastim-sndz)のBLAが351(k)にもとづき、2015年3月6日付で承認されたことFDA 承認通知書 BLA 125553[参考資料 6]https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/appletter/2015/125553Orig1s000ltr.pdf事実
Semglee(insulin glargine-yfgn)のBLAが351(k)にもとづき2020年7月29日に受理され承認されたこと、10 mLバイアルと3 mLペンがいずれかの使用条件で互換性の判断を受けた最初の生物学的製剤であること、署名日が2021年7月28日であることFDA 承認通知書 BLA 761201[参考資料 7]https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/appletter/2021/761201Orig1s000ltr.pdf事実
最初のバイオシミラー Zarxio が、先行品 Neupogen の1991年の承認から患者に届くまで24年かかったことFDA ファクトシート[参考資料 8]https://www.fda.gov/media/189382/download事実
EMAによるバイオシミラーの説明(構造・生物活性・有効性・安全性・免疫原性プロファイルで高度に類似)、EUが2006年に最初のバイオシミラーを承認したこと、ジェネリックとみなされない理由(自然なばらつきと複雑な製造が分子の微小な不均一性の正確な複製を許さない)、2006〜2022年に86品目が承認されたこと、先行品の承認から少なくとも8年たってから申請できること、テーラード臨床アプローチに関するリフレクションペーパーを採択したことEMA「Biosimilar medicines: Overview」[参考資料 9]https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory-overview/biosimilar-medicines-overview事実
EMAとHMAが、EUで承認されたバイオシミラーは互換可能であるとし、先行品との相互の置き換えや同じ先行品の別のバイオシミラーへの置き換えを含むとしたこと、薬局での自動的な置き換えなど実施方法はEMAの権限外で各加盟国が決めるとしたことEMA/HMA 共同声明 EMA/627319/2022[参考資料 10]https://www.ema.europa.eu/en/documents/public-statement/statement-scientific-rationale-supporting-interchangeability-biosimilar-medicines-eu_en.pdf事実
バイオ後続品と同等性/同質性の定義。生合成過程に由来する本質的な不均一性、同一性の実証が困難であること、化学合成医薬品の後発品と同様のアプローチが適用できないこと。申請が先行品の再審査期間の満了等をもって可能となること。独自の製法開発と管理戦略、先行品のロット分析結果の重要性、ICH Q5Eに従った製法変更の評価。宿主細胞・糖鎖・製剤・対照薬に関する記述。品質比較試験(構造・物理化学的性質、一次構造上の違いがあればバイオ後続品と判断されないこと、生物学的性質、不純物、凝集体を原理の異なる複数の手法で評価すること、HCP ELISAの特異性の問題、免疫原性に関連する品質特性)。市販製品用の製法で製造したものと複数ロットによる比較厚生労働省 指針(令和2年2月4日)[参考資料 11]https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc4737&dataType=1&pageNo=1事実
日本で承認されたバイオシミラーの一覧に、ソマトロピンBS「サンド」(2009年6月)が最初に掲載されていること、販売名が一般名に「BS」と屋号を付した形であること。同資料が発表者の個人的見解にもとづくと注記していることPMDA 研修資料(2026年1月28日)[参考資料 12]https://www.pmda.go.jp/files/000274803.pdf事実
日本で2014年の最初の抗体バイオシミラー以降、2023年12月までに18品目が承認されたこと、全品目でCESが実施されたこと、品質特性の差異の64%が他の品質特性のデータで、6%がCESの結果で説明されたことGoto ら(2025)要旨[参考資料 13]https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40971119/事実
Q5Eが同じ製造業者(受託製造業者を含む)による製法変更の前後比較を対象とすること、同等性の実証が品質特性の同一を必ずしも意味せず高度に類似していることであること、Step 4が2004年11月18日であることICH Q5E[参考資料 14]https://database.ich.org/sites/default/files/Q5E%20Guideline.pdf事実
ICH M18 のコンセプトペーパーが2025年11月19日に承認されたこと、CESが品質特性に差のある製品を見分ける感度を欠くとの認識と、現代の分析技術の感度が背景にあることICH M18 コンセプトペーパー[参考資料 15]https://database.ich.org/sites/default/files/ICH_M18_Final_Concept_Paper_MCEndorsed_2025_1119.pdf事実
2007〜2010年に市場から入手した Aranesp、Rituxan/Mabthera、Enbrel の品質プロファイルを分析し、製法変更前後のバッチを比較して、表示を変えずに販売が続いた製品の許容された変動の例を示したことSchiestl ら(2011)(掲載誌ページの要約部分)[参考資料 16]https://www.nature.com/articles/nbt.1839事実
IgGの各重鎖の297番の位置にN結合型糖鎖が付き、フコース・ガラクトース・シアル酸などが付加された形があることVidarsson ら(2014)[参考資料 17]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4202688/事実
2020年3月23日に、インスリンを含む製品群の承認が生物学的製剤の承認とみなされたことFDA「承認みなし」条項の解説ページ[参考資料 18]https://www.fda.gov/drugs/guidance-compliance-regulatory-information/deemed-be-license-provision-bpci-act事実
タンパク質に生合成過程による本来的な構造的不均一性があり、目的物質が翻訳後修飾体の混合物でありうることICH Q6B[参考資料 19]https://database.ich.org/sites/default/files/Q6B%20Guideline.pdf事実
糖鎖の型を5種類・10種類と仮定したときの組み合わせ(15通り・55通り)。米国の4年・12年、欧州の8年、Zarxioの24年の棒への換算。Goto らの「その他 約30%」(100−64−6)。互換性バイオシミラーの約69%(9÷13)本稿の計算。糖鎖の型の数は説明のための仮定で実際の種類・存在比ではない。対象・時期の異なる数字を並べたもので、互いに比較するものではない。いずれも製品の優劣を示すものではない本稿の計算
FDAの比較有効性試験に関するガイダンス、互換性に関するガイダンス、ICH M18 の最終内容と適用時期。日本での互換性の指定制度の導入予定いずれも案・コンセプトペーパーの段階で、本稿の調査時点(2026年9月)で確定を示す一次情報は確認できなかった(本記事による解説)未確定/将来
日本で承認されたバイオシミラーの全分野の総数、EMAの名称の扱い、使用促進の政策目標・薬価・普及率規制当局の公式集計を本稿の調査範囲で確認できなかった、または技術解説の範囲外として記載していない解説
「同じ分子」ではなく「同じ分布」をつくる仕事という整理。先行品を「動く分布」とし、市販ロットの分布から規格の窓を決める作業になぞらえたこと。宿主細胞を触媒、糖鎖分布を共重合体の組成分布になぞらえたこと。製剤の自由度が材料供給者の入り口になりうるという読み取り。インスリンの制度移行がバイオシミラー・互換性の道を開いたという読み取り。分析法の性能が開発期間を決め、直交法の発想が求められ、分析試薬の特異性が材料の出自に依存するという読み取り。有効成分は「似せる」、製剤は「よりよくしてよい」という非対称性の整理公表内容にもとづく本記事の整理・解説。規制当局や論文の著者が表明した見解ではない解説
各製品の有効性・安全性、製品どうしの優劣、切り替えの是非本記事は品質評価・製造・規制の仕組みの解説であり、治療効果・安全性の評価や比較、切り替えの推奨は行っていない解説
図1〜図5が実際のデータ・装置ではなく説明のための作図であること。ヒーロー画像と図6がAI生成イメージであること本記事による注記解説

最終更新:2026年9月26日/出典は一次情報(米国法典、FDAのガイダンス・承認通知書・公表資料、EMAの公表資料、厚生労働省の指針、PMDAの資料、ICHガイドライン、査読論文)に限定しています。 品質設計・分析上の読み取りを含むため、それらは「解説」として出典付きの事実と区別しています。 FDAの比較有効性試験・互換性に関するガイダンスとICH M18は案・検討段階であり、最終内容は確定していません。日本のバイオシミラーの全分野の総数、使用促進の政策目標・普及率は記載していません。 本記事は技術・規制の解説であり、治療の効果・安全性を評価・比較するものではなく、医療上の助言や薬の切り替えの推奨でもありません。 図はすべて説明用の概念図です。図1〜図5はベクター作図、ヒーロー画像と図6はAI生成イメージであり、いずれも実際の測定データ・装置・製品を示すものではありません。