TECHNOLOGY EXPLAINER
eVTOLと空飛ぶクルマ
― 方式、電池と航続、そして「型式証明を取得済み」と「進行中」を分けて読む
空飛ぶクルマ(eVTOL)のニュースには、「認証を取得」「商用運航を開始」「間もなく型式証明」といった言葉が並びます。しかし、型式証明を取得した機体と、取得に向けて進行中の機体は、はっきり別のものです。この記事は、航空機の認証を知らない素材技術者向けに、①eVTOLの3つの方式、②電池と航続の関係(なぜ垂直に上がるのが大変か)、③FAA(米国連邦航空局)の公式な5つの段階と、会社ごとの段階の呼び方の違い、④Joby・Archer・BETA・EHangの状況を、官報・規制当局の資料・各社の提出書類で確認した範囲で整理します。
会社・機体の優劣は付けません。法的助言・投資助言は書きません。会社の計画・目標は「未確定/将来」です。確認日は2026年10月25日です。
- 3行でわかる / 読む前に / シリーズの中での位置
- 空飛ぶクルマ(eVTOL)とは
- 3つの方式
- 電池と航続:垂直に上がるのは大変
- 型式証明とは:FAAの5つの段階と、会社の呼び方
- 取得済みと進行中:4社の状況
- 素材技術者の視点/確認できなかったこと
- 評価・標準の読み方/用語集/参考資料/出典対応表
事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が計算した値
未確定/将来=計画・目標・設計目標など、まだ確定していない事項
このほか、読み取りは「解説」として区別し、推測は太字で示します。
「型式証明を取得済み」と「進行中」を、明確に分けて書きます。航続・速度・乗客数は、各社の設計目標または会社の公称で、認証された性能ではありません。会社の進捗(例:「第4段階の75%」)は会社の説明で、当局が認めた数字ではありません。状況は確認日(2026年10月25日)のもので、会社の最新の提出書類は2026年8月までです。FAAが型式証明を発行した公式の記録は、確認日時点で見つかりませんでした。
1. 3行でわかる / 読む前に / シリーズの中での位置
- 型式証明を取得済みなのは、確認できた範囲では EHang の EH216-S(中国のCAAC、2023年10月)だけ:同社の提出書類による説明で、運航は昼間のみ・悪天候不可・隔離された空域などに限られます[参考資料15]。Joby・Archer・BETA は、FAAの型式証明を取得に向けて進行中です[参考資料10・12・13・14]。事実
- 垂直に上がる間は、巡航の約4倍の電力が要る:本稿の例示(機体2,177 kg)で643 kW対147 kWです。電池は、約20マイルの飛行で機体の約9%、約100マイルで約31%になります(200 Wh/kgを仮定)。本稿の計算
- 段階の数え方は、FAAと会社で違う:FAAの文書は「5つの段階」、Jobyは自社の「5つのステージ」、Archerは「4つの段階」と説明します。会社の進捗率は、FAAが認めた数字ではありません[参考資料1・2・11・12]。
必要なのは、「ヘリコプターは垂直に上がり、飛行機は翼で飛ぶ」という感覚だけです。浮き方の基本は本シリーズ『固定翼・VTOLと長時間飛行』(VTOLの方式)と『マルチコプターの原理と設計』にあります。この記事は、人を乗せる大きさの電動の機体と、その認証に絞ります。
電池は『リチウムイオン電池の基本』『熱暴走と電池の安全』『ロボットとドローンの電源』、機体の材料は『ロボット・ドローンの構造材料』、モーターの磁石は『永久磁石とレアアース』、通信・測位は『ドローンの通信・測位・衝突回避』、規則の全体は『ドローンの規制と空域管理』で扱います。
2. 空飛ぶクルマ(eVTOL)とは
eVTOL(イーブイトール)は、電動で、垂直に離着陸できる航空機のことです。日本では「空飛ぶクルマ」とも呼ばれます(解説)。ヘリコプターのように滑走路が要らず、電動モーターを多く使うので、構造が比較的単純で、静かだと説明されます(会社の説明)。
米国のFAAは、このような機体をパワードリフト(動力揚力機)という区分で扱っています。FAAの官報では、Jobyの機体について、「回転翼機と飛行機の両方の性質をもつ」と説明しています[参考資料3]。事実 たとえの限界:自動車が道路を走る「クルマ」とは違い、航空機として認証され、パイロットの資格・空域・運航の許可が別に要ります(第5章)。
正しくは:確認できた範囲では、FAAから型式証明を受けた人を乗せるeVTOLは見つかりませんでした。FAAのeIPP(統合パイロットプログラム)で行われているのは、FAAの監督のもとで、州・地方政府と民間が実際の任務で試す運航です[参考資料9]。EHang の EH216-S は、中国で型式証明を得ていますが、昼間のみ、悪天候不可、隔離された空域などの制限つきです[参考資料15]。事実
3. 3つの方式
元のSVG・補足説明・出典を確認
元SVGの説明:概念図(ベクター作図)。eVTOLの3つの方式と、FAA・会社の資料に出てくる例。方式の分類は一般的な整理(解説)で、機体の優劣を示しません[参考資料3・4・15]。
- ティルト:FAAの官報によれば、Joby JAS4-1 は、最大離陸重量4,800ポンド(約2,177 kg)で、パイロット1名と乗客4名を乗せ、傾く6基の電動エンジンと5枚羽のプロペラ、固定の翼とV字尾翼をもち、構造とプロペラは複合材です[参考資料3]。事実
- ティルト+上昇専用:Archer M001 は、最大離陸重量6,500ポンド(約2,948 kg)で、12基の電動エンジンをもちます。前縁の6基は傾いて上昇と前進の両方を担い、後縁の6基は上昇だけで、翼で飛ぶ間は止めてプロペラを胴体に沿って整えます[参考資料4]。事実
- リフト+クルーズ:EHang の VT35 は、会社の提出書類で「リフト+クルーズの無操縦者機」とされ、型式証明の申請が2025年3月に受理されました[参考資料15]。事実
それぞれの考え方は、本シリーズ『固定翼・VTOLと長時間飛行』の「VTOLの4つの方式」と同じです。ティルトは巡航が効率的な傾向、上昇専用の追加は制御を分けやすいが重りになるという、一般的な傾向は共通です(解説)。
4. 電池と航続:垂直に上がるのは大変
電動のeVTOLは、ガソリンの代わりに電池を積みます。電池は軽い燃料に比べて、質量あたりのエネルギーが小さい(本シリーズ『リチウムイオン電池の基本』)ので、どれだけ電池を積めるかが航続を決めます。ここでは、数字の感覚をつかむための、本稿の例示の計算をします。実在の機体の性能ではありません。
図3のとおり、垂直に上がる(ホバリング)間は、巡航の約4.4倍の電力が要ります。ローターが機体の重さを、空気を押し下げ続けることで支えるためです(本シリーズ『固定翼・VTOLと長時間飛行』の図2・図3と同じ考え方)。本稿の計算
図4のとおり、約20マイルの飛行なら、電池は機体の約9%で済みますが、約100マイルでは約31%になります(200 Wh/kgのパックを仮定)。本稿の計算 距離を5倍にすると、電池の割合は約3.4倍です。ホバリング分は距離によらず必要なためです。この計算から、最初の用途が都市内の短い飛行になりやすい理由が分かります(解説)。
会社の説明では、Jobyは、パイロット1名と乗客4名、最大時速200マイル、目標の航続100マイルと説明しています(設計目標)[参考資料11]。Archerは、約20マイルの短距離の飛行に最適化した、と説明しています[参考資料12]。事実 未確定/将来 BETAは、従来型の離着陸のCX300について、225 kWh(45 kWhの電池パック5個)を搭載し、最大約215海里の任務、実証の飛行で336海里を飛んだと説明しています[参考資料14]。事実 いずれも会社の説明で、認証された性能ではありません。
正しくは:電池の性能が上がれば航続は延びますが、垂直に上がるときの電力は機体の重さと推力で決まるため、減りません。距離が長いほど電池が重くなり、電池が重くなると、さらに電力が要る、という循環があります(解説)。長距離には、翼で巡航できるCTOL(従来型の離着陸)や、滑走を使う機体が有利になる場合もあります。
eVTOLは人を乗せるため、電池の熱暴走(1つのセルの発熱が隣へ広がること)への対策が特に重要です。Archerは、電池のセルは、まれに煙や炎を出して近くの物に着火しうる、と提出書類に書いています[参考資料12]。事実 BETAは、複数のパックに分けたモジュール構造(45 kWhのパック5個、各パックは11のサブパック)にして、試験と認証を単純にする、と説明しています[参考資料14]。セルの材料(電解液、セパレーター)、パックの断熱材と難燃材、冷却構造が、安全と重さの両方を左右します。本シリーズ『熱暴走と電池の安全』を参照してください。
5. 型式証明とは:FAAの5つの段階と、会社の呼び方
型式証明(Type Certificate)は、ある機体の「設計」が、安全の基準に合うことを当局が認める証明です。たとえるなら、自動車の「型式指定」に近い考え方です(たとえの限界:航空機は、1機ごとの証明や、運航会社の許可、パイロットの資格が別に要ります)。
FAAは、設計承認(型式証明など)を5つの段階の過程と説明しています[参考資料1]。事実 命令8110.4C(変更7、2023年10月20日)の段階は、①概念設計、②要求の定義、③適合の計画、④実施、⑤認証後の活動です[参考資料2]。事実
同じ過程でも、Jobyは自社の「5つのステージ」(証明の基礎、適合の手段、証明の計画、試験・解析、実証・確認)で説明し、Archerは、命令8110.4Cは「4つの段階」を定める、と説明しています[参考資料11・12]。FAAの公式な段階名と、会社の呼び方は、同じではありません。会社が「第4段階の75%」と言うときは、会社の物差しでの進み具合で、FAAが認めた進捗率ではありません[参考資料10]。事実
新しい機体の認証の道:特別クラスと耐空性基準
パワードリフトは、既存の区分(飛行機、ヘリコプター)に収まらないため、FAAは特別クラス(14 CFR 21.17(b))として、機体ごとの耐空性基準を作り、官報で公示しました。Joby JAS4-1 の基準は2024年3月8日(89 FR 17230)、Archer M001 の基準は2024年5月24日(89 FR 45944)に最終となりました[参考資料3・4]。Jobyは2018年11月2日、Archerは2022年3月30日に、型式証明を申請しています[参考資料3・4]。BETAの電動エンジンには、2024年12月17日に特別条件が公示されました(89 FR 101854)[参考資料6]。事実 これらは型式証明の途中の文書で、型式証明そのものではありません。
型式証明は、5つの許可の1つにすぎません。①設計の型式証明(TC)、②製造の証明(PC)、③1機ごとの耐空証明(AC)、④運航会社の運航証明(OC)、⑤パイロットの資格と運航の規則、です。FAAは、パワードリフトの操縦者資格と運航の規則(10年間のSFAR)を、2024年11月21日の最終規則にしました(89 FR 92296、2025年1月21日施行)[参考資料5]。また、パワードリフトの型式証明に関するAC 21.17-04の草案は2024年6月12日に意見募集され、最終版は官報では確認できませんでした[参考資料7]。事実
正しくは:型式証明は、その会社・その型の設計が、その基準に合うことを認めるものです。EHangの EH216-S は、CAACから型式証明を得ていますが、同じ提出書類に、昼間のみ、雨・雪・雷雨・着氷・砂嵐・濃霧では飛ばない、隔離された非管制空域、人口の少ない地域、地上要員の視界内、という運航の制限が書かれています[参考資料15]。事実 「認証された」と一括せず、範囲と条件を読みます。
6. 取得済みと進行中:4社の状況
- EHang EH216-S(取得済み、CAAC):同社の20-F(2026年5月15日)は、2023年10月に型式証明、2023年12月に耐空証明、2024年3月に製造証明、2025年3月に運航証明を得たと説明しています。2人乗りの無操縦者機で、最大航続30 km、飛行時間25分、最高時速130 km(会社の公称)、2025年に169台を納入、累計83,000回超の安全な飛行(会社)です[参考資料15]。事実 独立した検証は確認できませんでした。
- Joby JAS4-1(進行中、FAA):10-Q(2026年8月6日)は、5つのステージのうち3つを完了または実質完了、第4ステージの約75%、第5ステージが進行中と説明し、最初の乗客は2026年を目標としています[参考資料10]。事実 未確定/将来
- Archer M001 Midnight(進行中、FAA):10-K(2026年3月2日)は、適合手段が2026年1月にFAAに完全に受理されたと説明し、10-Q(2026年8月10日)は、FAAの型式証明に向けた作業が続いている、と説明しています[参考資料12・13]。事実
- BETA(進行中、FAA):10-K(2026年3月9日)は、CX300(従来型の離着陸)はPart 23の認証を、電動モーターH500Aの型式証明の約12か月後に目標とし、A250(垂直離着陸)は、CX300の約12か月後を目標とすると説明しています。認証済みの機体は未納入です[参考資料14]。事実 未確定/将来
EASA(欧州)は、VTOL特別条件(SC-VTOL)と適合手段(MOC)を公開協議しています(ページは2025年7月18日に更新)[参考資料16]。事実 欧州・日本の個別の機体の状況は、この記事では確認していません。
型式証明の前に飛ぶ:eIPP
FAAは、2025年9月16日にeVTOL統合パイロットプログラム(eIPP)の提案募集を官報に公示し、2026年3月9日に、8つの官民プロジェクト(28州)を選びました[参考資料8・9]。事実 FAAは、これを「FAAの完全な監督のもとで、実際の任務に次世代の航空機を使う」と説明しています。Jobyは、型式証明の前に、eIPPで初期の運航を始める機会がある、と説明しています[参考資料10]。eIPPの飛行は、型式証明を得た商用の運航とは別のものです(解説)。
7. 素材技術者の視点と、確認できなかったこと
FAAの官報によれば、Joby JAS4-1 の構造とプロペラは複合材でできています[参考資料3]。事実 軽さが電池の量に直結する(図4)ので、炭素繊維強化プラスチックなどの複合材は、機体の重さを減らす中心の素材です。同時に、複合材の疲労、衝撃損傷(鳥・落雷)、水の浸入、検査のしやすさが、認証での試験の対象になります(解説)。Jobyは、離着陸時の騒音を約65 dBA、高度500 ftの上空飛行ではほぼ無音と説明していますが、これは会社の主張で、独立した検証は確認できませんでした[参考資料11]。
Jobyは、6つのプロペラのそれぞれを2つの独立したモーターで駆動し、4つの電池から給電すると説明しています[参考資料11]。電動の推進は多数のモーターで冗長にして安全を高める考え方です(会社の説明)。モーターの性能は、強い磁石(本シリーズ『永久磁石とレアアース』)、巻線の絶縁材、冷却に支えられます。FAAは、電動モーター・制御装置・高電圧システムを主な推進に使うことを「新しい設計の特徴」として、BETAの電動エンジンに特別条件を定めました[参考資料6]。事実 高電圧の絶縁材や冷却は、素材の課題です(解説)。
確認できなかったこと
- FAAが型式証明を発行した公式の記録(確認日時点で見つからず。最新の会社の提出書類は2026年8月まで)。
- 会社の進捗率(「第4段階の75%」など)の、FAAによる確認。
- 設計目標の航続・速度・騒音の、独立した検証。
- EHangの運航の独立した検証(累計83,000回超の飛行などは会社の説明)。
- 欧州・日本・その他の国の、個別の機体の認証の状況。
- AC 21.17-04の最終版(草案のみ確認)。
- 事故・不具合の統計(この記事では、確認できる公式の調査報告を使っていない)。
8. 評価・標準の読み方
eVTOLは、設計の安全の基準(型式証明の基準)、航続・速度、騒音、電池の安全、運航の規則などのものさしで測ります。大事なのは、「認証のどの段階か」と「何が認証されたか」を分けて読むことです。同じ「進行中」でも、基準が官報で最終になった段階と、適合手段が受理された段階、試験を実施中の段階は別です。
| 評価項目 | 代表的な試験・ベンチマーク(名称・出典) | 標準・規則・指針(名称・確認した資料) | 読み方の注意 |
|---|---|---|---|
| 型式証明の段階 | FAAの5つの段階(命令8110.4C 変更7)[参考資料1・2]事実 | 14 CFR Part 21(特別クラス:§21.17(b))。Jobyの基準 89 FR 17230、Archerの基準 89 FR 45944[参考資料3・4]事実 | 会社の段階の数え方はFAAの段階名と違う。進捗率は会社の説明 |
| 設計の安全の基準 | 確認できなかった(試験の本文は各社の適合手段) | 機体ごとの耐空性基準(官報)、電動エンジンの特別条件 89 FR 101854[参考資料3・4・6]事実 | 基準は機体ごとに作られる。基準の中身(試験条件)はこの記事では読んでいない |
| パイロットと運航 | 確認できなかった | パワードリフトのSFAR(89 FR 92296、2025年1月21日施行)[参考資料5]事実 | 型式証明とは別の許可。運航証明・パイロットの資格が要る |
| 型式証明のガイド | 確認できなかった | AC 21.17-04「Type Certification of Powered-lift」草案(89 FR 50042)[参考資料7]事実未確定/将来 | 最終版は官報で確認できなかった |
| 欧州の基準 | 確認できなかった | EASA SC-VTOL と適合手段(MOC)[参考資料16]事実 | 協議中の文書を含む。最終の状態は個別に確認する |
| 中国の認証 | 確認できなかった | CAACの型式証明・耐空証明・製造証明・運航証明(EHangの提出書類の記載)[参考資料15]事実 | CAACの公式文書は直接確認していない。運航の制限が付く |
| 航続・速度・騒音 | 会社の設計目標・公称(Joby:100マイル、時速200マイル、約65 dBA)[参考資料11]事実未確定/将来 | 確認できなかった | 認証された性能ではない。独立した検証は未確認。ASTMの規格は、確認しなかった |
表の整理は本稿の計算(整理)。名称・状態は官報・提出書類で確認(確認日 2026年10月25日)。
読み方の注意(素材技術者向け)
- 「認証」の範囲を読む:型式証明は設計の証明で、製造・耐空・運航・パイロットは別です。EHangの例のように、運航の制限が付きます。
- 会社の進捗率と、当局の段階は別:「第4段階の75%」は、会社の物差しです。
- 設計目標と認証された性能は別:航続100マイル・時速200マイルなどは、設計目標で、未確定/将来です。
- 提案・最終・施行を区別する:耐空性基準は官報で最終、ACは草案のみ、など、文書の段階が違います。
9. 用語集
- eVTOL
- 電動の垂直離着陸機(electric Vertical Take-Off and Landing)。日本では「空飛ぶクルマ」とも呼ばれる。
- パワードリフト(動力揚力機)
- FAAの区分。回転翼機と飛行機の両方の性質をもつ航空機。
- 型式証明(TC)
- 機体の設計が基準に合うことを当局が認める証明。
- 製造証明(PC)
- 承認された設計どおりに、継続して作れることの証明。
- 耐空証明(AC)
- 1機ごとに、飛べる状態であることの証明。
- 運航証明(OC)
- 事業者が運航してよいという許可(Air Operator Certificate)。
- 特別クラス(14 CFR 21.17(b))
- 既存の区分に当てはまらない新しい航空機に、個別の基準を作って認証する道。
- 耐空性基準
- 機体ごとに定める、満たすべき安全基準。官報で公示される。
- G-1(認証基準)
- FAAと合意する、その機体に適用する基準の文書。
- 適合手段(MOC)
- 基準を満たすことを、どんな試験・解析で示すかの方法。
- SFAR
- 特別連邦航空規則。パワードリフトの操縦者と運航の規則は10年間のSFAR。
- eIPP
- FAAのeVTOL統合パイロットプログラム。州・地方政府と民間が実際の任務で試す。
- CTOL
- 従来型の離着陸(Conventional Take-Off and Landing)。滑走して離着陸する。
- ティルト
- プロペラやローターの向きを変えて、上昇と前進を使い分ける方式。
- リフト+クルーズ
- 上昇用と巡航用の推進を分ける方式。
- ホバリング
- 空中で止まること。
- 最大離陸重量(MTOW)
- 離陸してよい機体の最大の重さ。
- kWh
- エネルギーの単位。1 kWは1時間で1 kWh。
- SC-VTOL
- EASAのVTOL特別条件(Special Condition VTOL)。
- CAAC
- 中国民用航空局。
- 無操縦者機
- パイロットが搭乗しない航空機。地上から監視する。
10. 参考資料(一次情報)
- FAA Original Design Approval Process(FAAの設計承認は5つの段階の過程。型式証明などを発行) — www.faa.gov/aircraft/air_cert/design_approvals/orig_des_approv_proc
- FAA Order 8110.4C, Type Certification, Change 7(2023年10月20日。5つの段階:概念設計、要求の定義、適合の計画、実施、認証後の活動) — www.faa.gov/documentLibrary/media/Order/Order_8110.4C_CHG_7.pdf
- 連邦官報(FAA) Airworthiness Criteria: Special Class Airworthiness Criteria for the Joby Aero, Inc. Model JAS4-1 Powered-Lift, 89 FR 17230(2024年3月8日。最大離陸重量4,800ポンド、パイロット1名と乗客4名、傾く6基の電動エンジン。2018年11月2日に型式証明を申請) — www.federalregister.gov/documents/2024/03/08/2024-04690/airworthiness-criteria-special-class-ai
- 連邦官報(FAA) Airworthiness Criteria: Special Class Airworthiness Criteria for the Archer Aviation, Inc. Model M001 Powered-Lift, 89 FR 45944(2024年5月24日。最大離陸重量6,500ポンド、パイロット1名と乗客4名、12基の電動エンジン〔6基が傾く〕。2022年3月30日に型式証明を申請) — www.federalregister.gov/documents/2024/05/24/2024-11192/airworthiness-criteria-special-class-ai
- 連邦官報(FAA) Integration of Powered-Lift: Pilot Certification and Operations; Miscellaneous Amendments Related to Rotorcraft and Airplanes, 89 FR 92296(2024年11月21日。最終規則と10年のSFAR。2025年1月21日に施行) — www.federalregister.gov/documents/2024/11/21/2024-24886/integration-of-powered-lift-pilot-certi
- 連邦官報(FAA) Special Conditions: BETA Technologies Inc. Model H500A Electric Engines, 89 FR 101854(2024年12月17日。電動エンジンの特別条件。2025年1月16日に施行) — www.federalregister.gov/documents/2024/12/17/2024-29490/special-conditions-beta-technologies-in
- 連邦官報(FAA) Draft Advisory Circular for the Type Certification of Powered-Lift, 89 FR 50042(2024年6月12日。草案AC 21.17-04の意見募集。最終版は官報では確認できなかった) — www.federalregister.gov/documents/2024/06/12/2024-12859/draft-advisory-circular-for-the-type-ce
- 連邦官報(FAA) eVTOL and Advanced Air Mobility Integration Pilot Program(eIPP), 90 FR 44751(2025年9月16日。州・地方政府と民間の提案を募る) — www.federalregister.gov/documents/2025/09/16/2025-17844/electric-vertical-takeoff-and-landing-a
- FAA The eIPP: Accelerating AAM into American Skies(2026年3月9日に8つの官民プロジェクトを選定、28州。FAAの監督のもとで実際の任務に使う) — www.faa.gov/aam/eipp
- Joby Aviation(会社) Form 10-Q(2026年6月30日の四半期、2026年8月6日提出)。FAA型式証明の第4段階の約75%、最初の乗客は2026年を目標、eIPPで型式証明の前に初期運航(会社の説明) — www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819848/000181984826000435/joby-20260630.htm
- Joby Aviation(会社) Form 10-K(2025年12月期、2026年2月27日提出)。5つの「ステージ」の自社の説明、パイロット1名と乗客4名・最大時速200マイル・目標の航続100マイル(設計目標) — www.sec.gov/Archives/edgar/data/1819848/000181984826000160/joby-20251231.htm
- Archer Aviation(会社) Form 10-K(2025年12月期、2026年3月2日提出)。命令8110.4Cは「4つの段階」と説明、適合手段が2026年1月にFAAに完全に受理された、12-tilt-6の推進方式、約20マイルの飛行を想定(会社の説明) — www.sec.gov/Archives/edgar/data/1824502/000182450226000019/achr-20251231.htm
- Archer Aviation(会社) Form 10-Q(2026年6月30日の四半期、2026年8月10日提出)。FAA型式証明の取得に向けた作業が継続、eIPPに選ばれたと説明(会社の説明) — www.sec.gov/Archives/edgar/data/1824502/000182450226000059/achr-20260630.htm
- BETA Technologies(会社) Form 10-K(2025年12月期、2026年3月9日提出)。CX300(従来型の離着陸)とA250(垂直離着陸)、225 kWh〔45 kWhパック5個〕、336海里の飛行、認証済みの機体は未納入(会社の説明) — www.sec.gov/Archives/edgar/data/1784570/000162828026015838/bta-20251231.htm
- EHang(会社) Form 20-F(2025年12月期、2026年5月15日提出)。EH216-Sの型式証明(2023年10月)・耐空証明・製造証明・運航証明と、運航の制限、納入台数(会社の説明) — www.sec.gov/Archives/edgar/data/1759783/000119312526226608/d39307d20f.htm
- EASA Special Condition VTOL and Means of Compliance(EASAのVTOL特別条件と適合手段。ページは2025年7月18日に更新、第5次の手段案の意見募集) — www.easa.europa.eu/en/document-library/product-certification-consultations/special-condition-vt
11. 主張と出典の対応表(監査)
最終更新:2026年10月25日/出典は一次情報(FAA、連邦官報、EASA、SECの提出書類〔Joby、Archer、BETA、EHang〕)に限定しています。FAAの型式証明の発行の公式記録、会社の進捗率のFAAによる確認、設計目標の独立した検証、EHangの運航の独立した検証、欧州・日本の個別の機体の状況、AC 21.17-04の最終版、事故・不具合の統計、ASTMの規格は、確認できなかったため記載していません。会社の株価・評価額・資金調達・特許訴訟には触れていません。本記事は会社・機体の優劣をつけず、法的助言・投資助言ではありません。攻撃用の兵器は扱っていません。


