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Google(Alphabet) 企業解説

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COMPANY PROFILE / AI・機械学習

Google(Alphabet)
― モデル(Gemini)・自社チップ(TPU)・クラウドを一体で持つ、AI の「フルスタック」企業

本稿が扱うのは、Alphabet の AI に関わる部分です。Gemini モデルを開発する Google DeepMind、自社設計のチップ TPU、そして AI 基盤を企業に提供する Google Cloud の3つです。2026年は、4月に第8世代の TPU(TPU 8t・8i)、9月に新しいフロンティアモデル Gemini 4 Argon を発表し、Google Cloud の売上は2026年4〜6月に前年同期の約1.8倍になりました(10-Q)。一方で設備投資も急増し、2026年上半期だけで806億ドルに達しています。本稿は、これらをAlphabet の10-K・10-Q(米国SEC提出書類)と Google の公式発表で確認できた範囲に絞って整理します。広告・検索全般は扱いません。

構成:Alphabet の2025年12月期 Form 10-K(2026年2月5日提出)と2026年6月期 Form 10-Q(2026年7月23日提出)、Google の公式ブログを一次情報として使用/情報の確認日 2026年10月15日/最終更新 2026年10月15日

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるGoogleと、AI・機械学習での立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. AI・機械学習の世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. AI・機械学習にかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社はAI・機械学習で何を目指しているか
  9. AI・機械学習分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるGoogleと、AI・機械学習での立ち位置

正式名称Alphabet Inc.Google はその中核会社。本稿は Alphabet の AI を扱う
本社・上場米カリフォルニア州
Mountain View
Nasdaq:GOOGL・GOOG
この分野での区分モデル開発(主)従:クラウド・インフラ、チップ(自社 TPU)
中心のモデルGemini 4 Argon
Gemini 3.8 Flash
Argon は2026年9月30日に発表(会社発表)
自社チップTPU 8t・8i(第8世代)
Ironwood(第7世代)
2026年4月22日に発表。一般提供は2026年内の予定
Google Cloud の売上2026年4〜6月 248億ドル前年同期は136億ドル(10-Q)
設備投資2025年 914億ドル2026年上半期は806億ドル。2026年は大幅に増やす見込み
従業員数190,820人2025年12月31日、Alphabet 全体(AI 専任の人数は非公表)
まず押さえるべき1点

Alphabet の AI を読むときの要点は、モデルの研究(Google DeepMind)の費用がセグメントに配分されず「Alphabet-level activities」として別に計上されることです 事実。2025年のこの区分の営業損失は167.6億ドル、2026年上半期は111.8億ドルで、10-K はこれを「全社の AI 研究開発が中心」と説明しています。一方で、AI の外部への売上は Google Cloud に現れます。つまりAI の費用はここ、売上はあちら、という見え方になるため、本稿はこの2つを並べて示します。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:本稿の「Google」は、Alphabet Inc. の中核会社である Google(検索・クラウド・AI を手がける事業)を指します。法定開示(10-K・10-Q)の提出主体は親会社の Alphabet Inc. で、Gemini モデルを開発する研究組織は Google DeepMind です。Alphabet にはほかに Waymo などの「Other Bets」がありますが、本稿の対象外です。掲載したロゴは、Google が公式に配信しているロゴ画像です。

公式サイト:https://about.google/

3. AI・機械学習の世界で、この会社はどこにいるか

AI・機械学習に関わる企業の4つの類型 同じ「AIの会社」でも、モデル・チップ・クラウド・導入で、強みと売り先が違う モデル開発 チップ・メモリ クラウド・インフラ プラットフォーム モデルとAIを開発する 計算の部品を供給する 計算資源を貸し出す 開発と導入の土台を提供 OpenAI/Anthropic Google/Meta NVIDIA/AMD TSMC/SK hynix Microsoft/AWS Oracle/CoreWeave Hugging Face ほか 研究力と計算資源 性能と供給の確保 設備投資と顧客基盤 開発者との接点の広さ 計算コストと競争に左右 供給制約と投資に左右 稼働率と契約に左右 収益化の道筋が不確実 Google はモデル開発を主に、自社 TPU とクラウドを併せ持つ点が特徴 10-K は「AI 最適化インフラ」を差別化要因とし、GPU と自社 TPU の両方を提供すると記載(2026年2月)
図1 AI・機械学習に関わる企業の4類型と、Googleの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。Google がモデル・自社チップ・クラウドを併せ持つことは、Alphabet の10-Kと Google の公式発表に基づきます。

4. 会社の規模

会社全体は大きいため、数字はAI に関わるものだけを抜き出します。出所はいずれも Alphabet の10-K・10-Qです。

項目内容補足と区分
売上(2025年12月期)4,028億ドル(2024年:3,500億ドル)Alphabet 全体。うち Google Cloud は587億ドル(2024年:432億ドル)。広告が総売上の70%超を占める点は本稿の対象外(10-K) 事実
Google Cloud の営業利益2025年:139億ドル(2024年:61億ドル)10-K のセグメント情報。2026年4〜6月は88億ドル(前年同期28億ドル) 事実
2026年4〜6月(10-Q)売上1,198億ドル、うち Google Cloud 248億ドル前年同期の売上は964億ドル、Google Cloud は136億ドル 事実
Google Cloud の増収率(4〜6月)約82%本稿の計算(248億ドル÷136億ドル)。Pichai 氏の発言(82%)と一致 本稿の計算
Google Cloud の営業利益率(4〜6月)2026年:約35.6%、2025年:約20.7%本稿の計算(営業利益÷売上) 本稿の計算
研究開発費(全社)2025年:611億ドル(2024年:493億ドル)Alphabet 全体。Google DeepMind 分の内訳は非公表 事実
従業員数190,820人(2025年12月31日)Alphabet 全体。AI 専任の人数は確認できなかった 事実
ここで注意

上の売上・利益はAlphabet 全体または Google Cloud 全体の数字で、AI だけの数字ではありません。Google Cloud にはデータ分析・セキュリティ・業務ソフト(Workspace)も含まれ、AI 関連の売上だけを切り出した開示は確認できませんでした 未確定/将来。Gemini の売上や TPU の売上の単独の金額は「非公表」で、本稿は推計しません。

5. AI・機械学習にかけているリソース

人・金・外部との関係・大学や公的機関との連携の4点を、Alphabet の10-K・10-Q と Google の公式資料で確認できたか/できなかったかを表にします。

リソースの種類内容補足と区分
人従業員 190,820人(Alphabet 全体)。Google DeepMind の人数・研究拠点AI 専任の人数は今回確認した公式資料に記載なし 確認できず
金:研究開発費2025年:611億ドル(全社)。モデル研究の費用は「Alphabet-level activities」に計上され、2025年の営業損失は167.6億ドル10-K。この区分は全社の AI 研究開発が中心と説明 事実
金:設備投資2025年:914億ドル(2024年:525億ドル)。2026年上半期:806億ドル(前年同期396億ドル)。2026年は2025年より大幅に増やす見込み10-K・10-Q。AI 専用の内訳は非公表 事実
金:資金調達と約束2026年6月に株式と強制転換優先株で純手取り496億ドル(AI インフラの設備投資などに充当)。契約上の固定または保証の約束は7,070億ドル(2026年6月30日)10-Q。約束の大半は長期の供給契約。計画・契約は将来にわたる 事実
外部への買収Wiz:295億ドルで買収完了(2026年3月11日)。Intersect:59億ドルで買収完了(2026年3月10日、データセンターとエネルギーの開発)10-Q 事実
外部への出資非上場株の簿価は1,315億ドル(2026年6月30日、2025年末は687億ドル)。10-Q は主に「ある非公開企業への投資」と記載し、社名は記載なし社名・持分は確認できなかった 未確定/将来
大学・研究機関・公的資金との連携米エネルギー省 Genesis Mission:17の国立研究所の研究者に AI ツールを提供(2025年12月18日)。米国政府の任意の事前アクセス手続きにも関与(Argon)政府からの資金提供の記載は確認できず 事実

主要な製品・モデル・設備の状況

価格・仕様は2026年10月15日までに確認した公式ページの値です。変わりやすいため、利用前に最新の公式ページを確認してください。

製品・モデル・設備規模・仕様(会社公称)段階日付出典
Gemini 4 Argon1回の出力上限100万トークン(従来は6.4万)。導入価格:入力US$2/出力US$10(100万トークンあたり)提供開始(2026年10月13日に広範な提供を開始)2026年9月30日出典4・5
Gemini 3.8 Flash/3.8 Flash Cyber3.8 Flash は一般向け、Cyber は信頼できる防御者向け(Fairwind Program)提供開始2026年9月2日出典7
TPU 8t(学習用)1スーパーポッドで9,600チップ、共有 HBM 2ペタバイト、121エクサフロップス(会社公称。数値精度の条件は当該ページで確認できず)計画(一般提供は2026年内の予定)2026年4月22日出典8
TPU 8i(推論用)HBM 288GB+オンチップ SRAM 384MB。チップ間帯域19.2Tb/s。前世代比で性能/ドルが80%向上(会社公称)計画(一般提供は2026年内の予定)2026年4月22日出典8
TPU システムの外部販売「限定的な数の契約」で顧客のオンプレミス向けに供給。2026年4〜6月期から売上計上を開始し、大半は2027年に計上契約(段階的に売上計上)2026年7月23日(10-Q)出典2
Google Cloud の受注残5,195億ドル(うち Google Cloud 5,139億ドル)。約半分を24か月以内に売上計上する見込み契約(売上計上は将来)2026年6月30日出典2

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
2025年12月18日Google DeepMind が米エネルギー省の Genesis Mission を支援。17の国立研究所の研究者に AI ツールを提供公的研究機関との連携
2026年3月10〜11日Intersect(59億ドル)と Wiz(295億ドル)の買収を完了エネルギー・データセンターとクラウドの安全保障
2026年4月6日Anthropic が Google・Broadcom と複数ギガワットの TPU 契約を発表(Anthropic の説明)TPU の大口顧客(相手側の発表)
2026年4月22日第8世代 TPU(TPU 8t・8i)を発表学習用と推論用に分けた初の世代
2026年6月株式と強制転換優先株で純手取り496億ドルを調達AI インフラの設備投資などに充当と記載
2026年7月22日〜23日Q2 決算。Google Cloud の売上が約1.8倍。10-Q で TPU システムの売上計上開始を記載TPU を製品として外部へ売る段階
2026年9月2日Gemini 3.8 Flash と 3.8 Flash Cyber を発表3週間前の3.7 Flash に続く、6週間で3回目の Flash
2026年9月30日Gemini 4 Argon を発表。信頼できる防御者向けの Fairwind Program から提供段階的な提供
2026年10月13日Argon の広範な提供を開始。Fairwind Program も拡大サイバー能力に配慮した順序

7. 今後の計画

TPU 8t・8i の一般提供2026年内(予定)2026年4月の発表時の記述
設備投資2026年は2025年より大幅に増額(見込み)10-K・10-Q の記述。金額の見通しは確認できず
TPU システムの売上大半は2027年に計上(見込み)10-Q の記述
Project Suncatcher最初の試験衛星を打ち上げ予定Planet と。軌道上での TPU の動作を試験

上の4項目はいずれも会社の計画・見通しであり、実現した事実ではありません 未確定/将来。次の項目も同様です。

計画内容(会社の記述)区分
Gemini 4 Argon の提供範囲開発者・企業・消費者向けへの提供拡大。広範な提供は2026年10月13日に開始と記載未確定/将来
受注残の売上計上5,195億ドルのうち約半分を24か月以内に計上する見込み未確定/将来
契約上の約束固定または保証の約束7,070億ドルの大半は長期の供給契約。供給契約とコンテンツ許諾は概ね2030年までに履行される見通しで、エネルギー契約は最長2054年まで未確定/将来
エネルギー関連の保証電力関連の設備調達に対する保証は最大76億ドル(2026年9月までの期間)未確定/将来

8. この会社はAI・機械学習で何を目指しているか

ここは会社が直接述べていない部分を含みます。公式資料から読み取れる範囲の推測を、根拠とともに示します。

読み取れること根拠となる一次情報区分
自社チップを外部に売る事業へ広げようとしている10-Q は2026年4〜6月期に TPU システムの売上計上を開始と記載。「限定的な数の契約」で、大半は2027年に計上推測
最上位モデルは段階を踏んで出す方針で、サイバー能力を理由に先に防御者へ渡しているArgon はまず Fairwind Program で信頼できる防御者へ。米国政府の任意の事前アクセス手続きに関与し、広範な提供は2週間後の10月13日事実
資金の手当てを設備投資の拡大に先行させている2026年6月に純手取り496億ドルを調達。2026年は設備投資を大幅に増やす見込み、約束は7,070億ドル推測
AI の外部売上を Google Cloud で見せる構造を強めているCloud の営業利益率は2025年4〜6月の約20.7%から2026年約35.6%(本稿の計算)。受注残は5,195億ドル本稿の計算
電力と土地を自前で押さえる方向にあるIntersect(データセンターとエネルギー開発)を59億ドルで買収。TPU の発表は「電力が制約になっている」と述べる事実
推測の根拠を1つだけ詳しく

Alphabet の Q2 の10-Qには、TPU システムを顧客のオンプレミス向けに供給する契約から売上を計上し始めたと書かれています 事実。さらに、同じ10-Qは、AI の計算需要に応えるために TPU システムの供給に取り組むと述べ、そのために費用と運営の複雑さが増しうると注意しています 事実。同時に、Anthropic は Google・Broadcom と複数ギガワットの TPU 容量の契約を発表しています(Anthropic の説明)。これらから、Google は TPU を自社内の部品から、外部に売る製品・サービスへ位置づけ直していると本稿は読みます 推測。ただし、顧客名と金額は10-Qに記載がなく、規模は確認できません。

9. AI・機械学習分野の提携マッピング

Google を中心とした AI 基盤の取引・連携関係 Alphabet の10-Q と Google・Anthropic の公式発表(2025年12月〜2026年9月)に記載のある関係のみ Google Gemini・TPU Anthropic TPU を利用(Anthropic の発表) Citadel Securities TPU を選択(Google の発表) Pfizer/Roche ほか AI インフラの需要が増加(Pichai 氏) 米エネルギー省の17国立研究所 Genesis Mission(2025年12月) Wiz 買収完了 295億ドル(2026年3月) Intersect 買収完了 59億ドル(2026年3月) Isomorphic Labs Other Bets。20億ドル超を調達 NVIDIA GPU も Cloud で提供 AI基盤・TPUの顧客 買収・出資 公的機関 併用するチップ
図2 Google を中心とした関係。出典:Alphabet の10-Q(出典2)、Google の公式発表(出典3・8・9)、Anthropic の公式発表(出典10)。図に含めたのは公式資料に記載がある関係だけで、報道で語られる関係は含めていません。顧客との契約額は10-Qに記載がなく、確認できません。

10. 提供している技術・製品・サービス

提供している主な製品とサービスです。

製品・サービス内容(2026年10月15日時点で公式発表に記載)出典
Gemini(モデル)Alphabet の10-Kは、15の「5億人規模」の製品がすべて Gemini を使うと記載。2026年9月に Gemini 4 Argon、3.8 Flash を発表出典1・4
Gemini アプリ月間利用者9.5億人(2026年7月22日の Pichai 氏の発言)。Windows 版も2026年9月に提供出典3・6
Gemini API・開発者向けAPI が1分あたり約220億トークンを処理(2026年7月、前四半期は160億)。毎月900万人超の開発者が利用出典3
Google Cloud(AI 基盤)TPU・NVIDIA GPU の両方を提供。Vertex AI で200以上の基盤モデル(Gemini、他社、オープンモデル)。Gemini Enterprise は Fortune 100 の約90%が利用出典1・3
Google Cloud のネットワーク・ソフトVirgo Network(最大100万の加速器を複数拠点で接続)。JAX・PyTorch・vLLM・SGLang に対応出典3
Fairwind Programサイバー防御者向けの限定提供の枠組み。Argon と 3.8 Flash Cyber で利用出典4・7

性能の自社評価をどう読むか

Argon の発表文には「DeepSWE v1.1 で77.9%」「AutomationBench で1位(51.3%)」などの記載があります。これは Google が自社で報告した値で、評価の設定や比較対象の条件は発表文の範囲でしか確認できません。本稿は評価値の転載と他社との順位づけをしません 事実。

素材技術者の視点:TPU 8i の設計は、メモリの壁と電力の壁に向けられている

Google は TPU 8i について、HBM 288GB に加えてオンチップ SRAM を384MB(前世代の3倍)積み、モデルの作業領域をチップ上に置いて、処理器が待たされる「メモリの壁」を下げると説明しています 事実。LLM の推論では、計算量よりメモリから読み出す速さとチップ間通信が律速になる場面が多く、HBM 容量、オンチップ SRAM、チップ間帯域(19.2Tb/s)を同時に引き上げる設計はこの課題に対応します。同社は前世代の Ironwood 比で電力あたり性能が最大2倍とも述べています(会社公称)。

同じ発表で、データセンターでは電力がチップの供給と並ぶ制約になっていると述べ、電力管理の統合や液冷にも触れています 事実。本シリーズの技術解説「AIアクセラレータ」「HBM」「AIデータセンターの電力と冷却」「学習クラスターとインターコネクト」も参照してください。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
供給制約Pichai 氏は2026年7月、需要に対して供給が制約されていると述べた。10-K も部品の供給不足・価格上昇・納期の長期化が事業に影響しうると記載事実
設備投資と約束の大きさ設備投資は2025年に914億ドル、2026年上半期だけで806億ドル。固定または保証の約束は7,070億ドル。10-Q は、相手の不履行時に追加の負債や、再配置しにくい余剰能力が生じうると注意事実
データセンター向けの信用補完第三者のデータセンターの支払い義務に対する保証(期間は最長15年)を提供。契約の履行状況によっては負担が生じうる事実
費用の増加AI の提供には従来より多くの計算が必要で、減価償却・電力・設備・ネットワークの費用が大幅に増える見込みと10-Kが記載事実
規制・訴訟10-K は、EU AI 法などの AI 規制、AI の学習・開発・商用化に関する請求、米国司法省などによる反トラスト訴訟を、事業のリスクとして記載。個別の結論は本稿では推測しない事実
サイバー能力と提供範囲Argon は信頼できる防御者への限定提供から始め、広範な提供は10月13日。サイバー・生物の能力が高まったため、追加の安全対策を置くと記載事実
収益の見え方モデル研究の費用は Alphabet-level activities に計上され、AI の売上は Google Cloud に出るため、AI 単独の採算は開示から読めない推測

12. 用語集

Alphabet-level activities
セグメントに配分されない全社の費用。10-K では全社の AI 研究開発が中心と説明。
TPU(Tensor Processing Unit)
Google が設計する AI 用チップ。第7世代 Ironwood、第8世代 TPU 8t(学習)・8i(推論)。
Google DeepMind
Google の AI 研究組織。Gemini モデルを開発する。
受注残(revenue backlog)
契約済みでまだ売上に計上していない金額。10-K の用語は remaining performance obligations。
HBM
High Bandwidth Memory。AI チップに積む高帯域のメモリ。
Fairwind Program
Google がサイバー防御者向けに限定提供するための枠組み。
スーパーポッド
多数のチップを高速に結んだ計算の最小単位。TPU 8t では9,600チップ。
ゴッドプット(goodput)
チップが「実際に学習に使えた時間」の割合。故障や再起動で止まる時間を除いた指標。
設備投資(capex)
サーバー、ネットワーク機器、データセンターなどの購入への支出。
専用アクセラレータを載せたサーバーと、冷却・給電を示します。実際のTPU製品やデータセンターの構造ではありません。
図3 概念画像(ImageGenで生成)。専用アクセラレータを載せたサーバーと、冷却・給電を示します。実際のTPU製品やデータセンターの構造ではありません。 実際の施設・製品・測定結果ではありません。

13. 出典

  1. Alphabet Inc. Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025(SEC 提出、2026年2月5日)。売上、セグメント、研究開発費、設備投資、従業員数、受注残、Wiz・Intersect の買収契約。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000018/goog-20251231.htm
  2. Alphabet Inc. Form 10-Q for the quarterly period ended June 30, 2026(SEC 提出、2026年7月23日)。四半期・半期の売上、Google Cloud の売上と営業利益、受注残、設備投資、TPU システムの販売、Wiz・Intersect の買収完了、資本調達、契約上の約束。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000071/goog-20260630.htm
  3. Google(Sundar Pichai) Alphabet earnings call, Q2 2026: Sundar Pichai's remarks(2026年7月22日)。Gemini アプリの月間利用者、API のトークン処理量、Cloud の成長、供給制約についての発言。 https://blog.google/company-news/inside-google/message-ceo/alphabet-earnings-q2-2026/
  4. Google Gemini 4 Argon: Built to solve your hardest problems(2026年9月30日)。新しいフロンティアモデルの発表、Fairwind Program での段階的な提供、導入価格、米国政府の任意の事前アクセス手続き。 https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/gemini-models/gemini-4-argon/
  5. Google Developing Gemini 4 Argon responsibly and safely(2026年10月13日)。Argon の広範な提供の開始、Fairwind Program の拡大、安全対策。 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/safety-security/gemini-4-model-safety-security/
  6. Google The latest AI news we announced in September 2026(2026年9月の月次まとめ)。Gemini 3.8 Flash、3.8 Flash Cyber、Project Suncatcher など。 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/ai/google-ai-updates-september-2026/
  7. Google Introducing Gemini 3.8 Flash and 3.8 Flash Cyber(2026年9月2日)。 https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/gemini-models/3-8-flash-and-3-8-flash-cyber/
  8. Google Our eighth generation TPUs: two chips for the agentic era(2026年4月22日)。TPU 8t・TPU 8i の仕様(会社公称)と、2026年内の一般提供の予定。 https://blog.google/innovation-and-ai/infrastructure-and-cloud/google-cloud/eighth-generation-tpu-agentic-era/
  9. Google DeepMind Google DeepMind supports US Department of Energy on Genesis(2025年12月18日)。DOE の17の国立研究所の研究者への AI ツールの提供。 https://deepmind.google/blog/google-deepmind-supports-us-department-of-energy-on-genesis/
  10. Anthropic Anthropic expands partnership with Google and Broadcom for multiple gigawatts of next-generation compute(2026年4月6日)。Anthropic が Google の TPU を利用する契約についての Anthropic の説明。 https://www.anthropic.com/news/google-broadcom-partnership-compute

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
Alphabet 全体の売上、Google Cloud の売上と営業利益、研究開発費、設備投資、従業員数(2025年)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000018/goog-20251231.htm
Alphabet-level activities が全社の AI 研究開発が中心の費用であり、2025年の営業損失が167.6億ドルであること事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000018/goog-20251231.htm
2026年4〜6月・上半期の売上、Google Cloud の売上と営業利益、設備投資806億ドル事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000071/goog-20260630.htm
受注残5,195億ドル(Google Cloud 5,139億ドル)、固定または保証の約束7,070億ドル、保証76億ドル事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000071/goog-20260630.htm
TPU システムの外部販売と、売上計上の開始(大半は2027年)事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000071/goog-20260630.htm
Wiz(295億ドル)と Intersect(59億ドル)の買収完了、2026年6月の純手取り496億ドルの資本調達事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000071/goog-20260630.htm
非上場株の簿価1,315億ドルと、主に「ある非公開企業への投資」との記述(社名なし)事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1652044/000165204426000071/goog-20260630.htm
Gemini アプリ月間9.5億人、API 毎分約220億トークン、Cloud の82%増、供給制約の発言事実出典3 https://blog.google/company-news/inside-google/message-ceo/alphabet-earnings-q2-2026/
Gemini 4 Argon の発表、出力100万トークン、導入価格、Fairwind Program、米国政府の任意手続き事実出典4 https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/gemini-models/gemini-4-argon/
Argon の広範な提供の開始(2026年10月13日)と安全対策事実出典5 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/safety-security/gemini-4-model-safety-security/
Gemini 3.8 Flash・3.8 Flash Cyber の発表(2026年9月2日)事実出典7 https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/gemini-models/3-8-flash-and-3-8-flash-cyber/ 出典6 https://blog.google/innovation-and-ai/technology/ai/google-ai-updates-september-2026/
TPU 8t・8i の仕様(会社公称)と2026年内の一般提供の予定事実出典8 https://blog.google/innovation-and-ai/infrastructure-and-cloud/google-cloud/eighth-generation-tpu-agentic-era/
米エネルギー省 Genesis Mission の17の国立研究所への AI ツール提供事実出典9 https://deepmind.google/blog/google-deepmind-supports-us-department-of-energy-on-genesis/
Anthropic が Google の TPU を利用する契約を発表したこと(Anthropic の説明)事実出典10 https://www.anthropic.com/news/google-broadcom-partnership-compute
Google Cloud の増収率約82%と営業利益率約35.6%・約20.7%本稿の計算本稿の計算(10-Q の数値から算出)
AI 専任の従業員数、Gemini や TPU の単独の売上、TPU システムの顧客名と金額未確定/将来本稿では今回確認した公式資料に記載がなく、「確認できなかった」「非公表」と書いた。第三者の推計は採用しない
自社チップを外部に売る事業へ広げようとしているという読み推測本稿の解釈。10-Q の記述からの読み取り
資金の手当てを設備投資の拡大に先行させているという読み推測本稿の解釈。10-Q の資本調達と設備投資の記述からの読み取り
電力と土地を自前で押さえる方向にあるという読み推測本稿の解釈。Intersect の買収と TPU の発表の記述からの読み取り
AI 単独の採算は開示から読めないというリスク推測本稿の解釈。セグメント開示の構造に関する本稿の観察
企業分類(モデル開発が主、クラウド・チップが従)本稿の計算本稿による整理

最終更新:2026年10月15日/Troy Technical
本稿の数値は、Alphabet が米国証券取引委員会(SEC)に提出した Form 10-K・10-Q と、Google の公式発表に基づきます。調査会社の推計値・報道だけの数字は使用していません。「本稿の計算」と記した値は10-Q・10-K の数値から算出したものです。「推測」と記した箇所は、公式資料から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。性能の値は Google の自社報告で、順位づけはしていません。