主要成果
ETH Zurichのバイオシステム科学・工学部のMartin Fussenegger教授率いるチームが、電気触媒を用いて血糖値を低減させる閉ループ型ヘルス最適化システム「ECHO」を開発しました。このデバイスを糖尿病モデルマウスに移植し、0.75ボルト、10ミリアンペアで動作させたところ、約60分から90分以内に上昇していた血糖値を正常範囲まで低下させることに成功しました。
また、1日60分間のスケジュール治療を6週間にわたって実施したところ、血糖値の調節が有効に機能し続け、治療を受けた糖尿病マウスは最大10%の体重減少を示しました。この体重減少は食事量の変化によるものではなく、血液中のトリグリセリド値の低下、遊離脂肪酸およびケトン濃度の増加が確認されており、グルコース除去後にエネルギー源として脂肪への依存度が高まったためであると分析されています。
技術・詳細
ECHOの最大の特徴は、インスリンなどの薬剤を放出するのではなく、電気的にグルコースをグルコン酸に変換して除去する点にあります。変換されたグルコン酸の多くは腎臓を通じて体外へ排出されるため、結果として代謝可能なエネルギーが削減されます。
- 触媒構造:金ナノ構造とさらに微細な白金粒子で装飾された多孔質グラファイトフェルトを採用し、電気反応のための広い表面積を確保しています。この反応には生細胞や酵素を必要としません。
- 電源供給:13.56メガヘルツの外部送信機からワイヤレスで電力を受信し、内部の受信コイルを通じて制御電子回路と電極に電力を供給します。
- 自動制御:市販の持続血糖測定器(CGM)と連携させ、血糖値が設定した閾値を超えた際に治療を起動させるフィードバック制御を実証しました。実験では、測定器の振動アラートをセンサーで検知し、コントローラー経由で外部電源を起動させる仕組みを用いており、5分間隔で更新された血糖情報に基づいた制御を行っています。
背景・業界の文脈
2型糖尿病は、インスリンの分泌不足や有効に利用できないことで血糖値が維持できなくなる疾患です。従来の治療法や研究では、遺伝子組み換え細胞を用いて治療用タンパク質(インスリン等)を放出させる手法が検討されてきましたが、ECHOは化学的にグルコースを直接除去するという異なるアプローチを採っています。これにより、ホルモンバランスに依存せず、利用可能な代謝エネルギーを直接的に削減することが可能になります。
今後の展望
研究チームは、スマートフォンと互換性のあるモニタリングおよびワイヤレス制御を含む、より広範なコネクテッドデバイス設計を構想しています。現在は、センサーとコントローラーを中継させる実験的なセットアップ段階にあり、完全な消費者向けアプリケーションへの統合には至っていません。また、本システムはマウスでの有効性は確認されましたが、人間への試験はまだ開始されていない段階にあります。
元記事: https://www.yahoo.com/news/science/articles/eth-zurich-electronic-implant-lowers-230700607.html
毎週の技術動向レポートを無料でお届け
各分野の分析レポートを読む価値があるかどうか一目で判断できるインフォグラフィックをメールで受け取れます。
📢 メールマガジンに無料登録(週刊・技術動向レポート)
ご登録いただくと、Troy-Technical から週刊で技術動向レポート(メールマガジン)をお届けします。
- 取得したメールアドレス・選択分野は配信目的にのみ使用します。
- 第三者へ提供することはありません。
- 配信はいつでも解除できます(各メール下部のリンクから)。
詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
登録は1分・いつでも解除できます



