PFAS検出デバイス|OISTが開発した低コストな現場測定プラットフォームの性能

Mirage News (OIST) 日本
概要
沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームが、水中のPFAS(ペルおよびポリフルオロアルキル物質)を現場で迅速かつ正確に検出できるポータブルデバイスを開発した。分子刻印ポリマー(MIP)を用いた電気化学的な手法により、外部ラボへの輸送や高価な質量分析計を必要とせず、スマートフォンやノートPCで測定が可能になる。これにより、自治体や個人レベルでの汚染状況の把握と、迅速な意思決定が期待される。
詳細

主要成果

沖縄科学技術大学院大学(OIST)のMicro/Bio/Nanofluidics Unitは、環境中のPFASをオンサイトで検出できる、信頼性が高く量産に適したプラットフォームを開発した。本デバイスは、特に健康リスクが指摘されているPFOAおよびPFOSの検出において有効性を実証している。従来の分析手法では、サンプルを専門の研究所に輸送し、高精度だがコストと時間のかかる質量分析計にかける必要があったが、新デバイスはこのプロセスを大幅に簡略化し、低コストな現場モニタリングを実現する。

技術・詳細

本デバイスの核心は、「合成抗体」とも呼ばれる分子刻印ポリマー(MIP)の採用にある。MIPは、ターゲットとなるPFAS分子の形状に完全に適合するように設計された新クラスのポリマーであり、鍵と鍵穴のような関係で特定の分子を認識し捕捉する。デバイスは、このPFAS特異的なMIPでコーティングされたセンサーにターゲット分子が結合した際の電気電流の変化を測定することで濃度を検出する。電流の変化が大きいほど、水中のPFAS濃度が高いことを示す。この手法は追加の化学試薬を必要としないため、シンプルかつ低コストな運用が可能となる。

プロトタイプの製造工程は極めて効率的であり、再利用した布地に100個の使い捨て電極をスクリーン印刷で作成するのにわずか数時間しかかからない。これらの電極をMIPでコーティングし、市販のポテンショスタット(電気信号測定器)に接続することで、スマートフォンやノートPCで直接データを管理できる。また、MIPの製造方法はモジュール式であるため、ターゲット分子を変更することで、PFASファミリーの他の化合物にも適応させることが可能だという。

背景・業界の文脈

PFASは、熱、水、油に対する耐性が極めて高く、自然分解されにくいため「永遠の化学物質(forever chemicals)」と呼ばれている。環境や生物に蓄積しやすく、人体や生態系への影響が懸念されている。PFASファミリーには10,000種類以上の類似化合物が存在し、世界的に50〜150種類が規制対象となっているが、その多様性と分解困難さが対策を困難にしている。正確かつアクセシブルな検出手段の確立は、汚染対策における極めて重要な第一歩となる。

今後の展望

本プラットフォームのモジュール性は、異なるPFAS分子への適応を容易にし、汚染対策へのハードルを下げることが期待される。これにより、地方自治体や一般家庭が、特定の場所での汚染を当局に報告したり、浄水フィルターへの投資を判断したりといった、情報に基づいた意思決定を行うことが可能になる。研究チームは、さらなる開発とフィールドでの検証が必要であるとしつつも、環境モニタリングをより身近で広く普及させる大きな可能性を提示している。

元記事: https://www.miragenews.com/portable-device-quickly-detects-pfas-in-water-1767634/

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