COMPANY PROFILE / ドローン・ロボティクス
ユニバーサルロボット
― 「協働ロボット」を世に出した会社が、物理AIの開発基盤へ広げようとしている
工場のロボットといえば、安全柵の中で動く大きな腕を思い浮かべるかもしれません。Universal Robots(ユニバーサル・ロボッツ、以下UR)は、 柵なしで人のそばで働けるように設計された「協働ロボット(コボット)」の腕を作る、デンマークの会社です。 米国の半導体試験装置メーカーTeradyne(テラダイン)の子会社で、2026年9月には新世代の基盤「Gen 7」を発表し、AI向けの用途を前面に出しています。 本稿では、どんなロボットを、どれだけ売り、どんなAI企業と組んでいるかを、Teradyneの米国SEC提出書類と、URの公式発表だけを根拠に整理します。
- 30秒でわかるURと、ドローン・ロボティクスでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- ドローン・ロボティクスの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(Teradyneのロボット事業として)
- ロボットにかけているリソース、製品の状況
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社はドローン・ロボティクスで何を目指しているか
- ドローン・ロボティクス分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるURと、ドローン・ロボティクスでの立ち位置
従:ヒューマノイド・物理AI協働ロボットの腕と、AI開発基盤
URの大きな特徴は、ロボットの腕そのものを売る会社が、「AIロボットを開発・展開するための土台」を目指し始めたことです 事実。 URは公式ページで、AIを制御の上の層として載せ、リアルタイムの制御と認証された安全機能は腕側が守り続けるという設計を説明しています。 「AIは確率的に考えるが、ロボットの実行は決まった通りに動く必要がある」という考え方です。 2026年3月にはScale AIと共同で、人の動作を真似て学ぶ(模倣学習)ためのデータ収集システム「AI Trainer」を発表しました。 一方で、UR単独の売上や損益は開示されていません。Teradyneのロボット事業(URと自律搬送ロボットMiRの合計)の数字だけが、米国SECの提出書類で確認できます。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:社名は英文で Universal Robots(略称 UR)、法人名は Universal Robots A/S(デンマークの会社)です。 ロゴは、同社の公式サイトのヘッダーに掲載されている公式のロゴ(SVG)です。元のファイルには表示サイズの指定がなかったため、幅と高さの数値のみを加えて置いています(図形は変更していません)。 URはTeradyne Roboticsというグループの一員で、同グループには自律搬送ロボットのMobile Industrial Robots(MiR)も含まれます。 Teradyneの開示する「ロボット事業」は、このURとMiRの合計です。 製品名の PolyScope(ロボット用のソフト)、e-Series、UR Series、g-Series(腕のファミリー名)は製品の名前で、会社名とは別です。
公式サイト:https://www.universal-robots.com/3. ドローン・ロボティクスの世界で、この会社はどこにいるか
URの主たる区分は「産業・専門ロボット」で、工場で人のそばで働く腕を作っています。 協働ロボット(コボット)とは、人と同じ空間で、安全柵なしで(作業の危険性を評価したうえで)働けるように、力や速度を制限する機能を持たせたロボットです。 URは2008年に「世界で初めて商業的に成り立つコボット」を出したと、Teradyneの10-Kに書いています(会社の主張)。 さらに2026年は、AIロボットの開発基盤としての位置づけを強めており、左端の「ヒューマノイド・物理AI」の要素も一部持ちます 本稿の計算。
4. 会社の規模(Teradyneのロボット事業として)
URの親会社Teradyneは、本来は半導体の試験装置が主力です。本稿はそのうちロボット事業の数値に絞って示します 事実。URだけの売上は開示されていません。下の数字はUR+MiRの合計です。
| 指標(百万ドル) | 2024年 | 2025年 | 2025年上期 | 2026年上期 |
|---|---|---|---|---|
| ロボット事業の売上 | 364.8 | 308.3 | 143.9 | 191.2 |
| 同・税引前損益 | −77.6 | −99.4 | −55.7 | −3.5 |
| Teradyne全体の売上に占める割合 | 13% | 10% | ― | ― |
| 項目 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 会社全体 | Teradyne全体の2025年の売上は31億9,000万ドル、従業員は約6,600人(ロボット事業だけの人員は非公表)。米国マサチューセッツ州ノースリーディング本社 | 事実 |
| 2025年の売上減 | ロボット事業の売上は5,650万ドル(15.5%)減。会社は「協働ロボットの腕と自律搬送ロボットの販売減」が主因と説明 | 事実 |
| 2026年の回復 | 第1四半期は9,130万ドル(前年同期比32.3%増)、第2四半期は9,990万ドル(同33.4%増)。会社は「協働ロボットの腕の販売増」を主因に挙げる | 事実 |
| 通貨の影響 | ロボット事業の売上の大半は米ドル以外の通貨。ドル高は売上の下押し要因になると会社が記載 | 事実 |
上の数字はTeradyneのロボット事業で、UR単独ではありません(自律搬送ロボットMiRを含みます)。 損益は「セグメントの税引前損益」で、会社全体の費用の配分や無形資産の償却の扱いによって変わります。 本稿はこれらの数字を、事業の価値や将来性の評価に使わず、株価や評価額にも触れません。
5. ロボットにかけているリソース
「人・金・外部への出資や買収・大学や公的機関との連携」の4点を、一次情報で確認できたかどうかで整理します。「記載なし」も成果です。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | ロボット事業だけの従業員数は非公表。2025年のロボット事業のリストラでは約400人が対象(約24.3百万ドルの退職関連費用)。このうち2025年第1四半期(3月)の、販売体制などを統合する再編では約150人が対象 | 事実 |
| 金 | ロボット事業だけの研究開発費は非公表(Teradyne全体の研究開発費は2025年に5億460万ドルで、ロボットは前年より減ったと説明)。ロボット事業ののれんは4億1,640万ドル(2025年12月31日)。ロボット事業の2025年の税引前損失は9,940万ドル | 事実 |
| 外部への出資・買収・合弁 | TeradyneはURを2015年に買収。その後、Energid・MiR(2018年)、Lemsys・AutoGuide(2019年)を取得(10-K)。2025年の買収(AET、Quantifi)は半導体試験側。ロボット分野の新しい買収は、今回確認した10-K・10-Qでは確認できなかった | 事実 |
| 大学・研究機関・公的機関との連携 | 大学・公的機関との共同研究契約や、NASA・DARPA・NSFなどの公的プログラムへの参加は、確認した公式資料に記載なし。AI分野ではScale AI(企業)との共同開発が公式発表にある | 確認できず |
| 設備・拠点 | オーデンセ(デンマーク)に約18,600㎡(約20万平方フィート)の建物を所有。ロボットの製造はデンマークと米国。米国ミシガン州ウィクソムに米国の製造・サービス拠点を設置中(2026年に開所予定と発表) | 事実(開所は 未確定/将来) |
| パートナーのエコシステム | 1,200社超のパートナー(うち技術パートナー約200社、OEM系約200社)と会社が説明 | 事実(会社の主張) |
主要な製品・サービスの状況(確認日 2026年10月25日)
| 名称 | 種別 | 主要な仕様(メーカー公称) | 導入・運用の実績 | 規制上の承認 | 段階・日付 |
|---|---|---|---|---|---|
| g-Series(UR10g-1750/UR17g-1300/UR18g-950) | 協働ロボットの腕(第7世代) | ペイロード:UR10g=8kg(拡張時10kg)、UR17g=15kg(拡張時17.5kg)、UR18g=18kg。到達距離:1,750/1,300/950mm。工具先端の最高速度は最大5m/s、防塵防水IP65。工具取付部に電力・データ・安全信号を集約 | 展示(2026年9月のIMTS)。導入台数の記載は確認できず | g-Series全機種が、認証機関TÜVによるISO 10218-1・UL 1740の認証を取得と会社が説明 | 発表。2026年9月14日。出荷開始の時期は確認できず |
| UR Series(UR20-1750/UR30-1300) | 協働ロボットの腕(高ペイロード) | UR20:20〜25kg、1,750mm。UR30:30〜35kg、1,300mm。CB7制御ボックスで動作 | 10-Kが、UR8 Long・UR15・UR18・UR20・UR30を製品として列挙 | 第三者認証の個別の記載は確認できず | 提供 |
| e-Series(UR3e/UR7e/UR12e/UR16eなど) | 協働ロボットの腕(軽量) | UR3e:3kg、540mm。UR7e:7.5kg、920mm。UR12e:12.5kg、1,300mm | 協働ロボットの累計販売は11万台超(Teradyne Roboticsの10-K)。導入は「10万件超」とも発表 | 同上 | 提供 |
| Gen 7 の基盤 | 制御・ソフト・操作盤 | CB7 Core制御ボックス(旧世代より計算能力40%増、設置面積30%減)、PolyScope X、TP7 Core教示盤(20%超の軽量化)、SP7 Smart Panel。安全構成はPLd・カテゴリ3(ISO 13849-1)、サイバーセキュリティはIEC 62443-4-1 ML3 | 発表。e-Series・UR Seriesの腕にも対応 | 会社が認証を主張。範囲は発表文の記載 | 発表。2026年9月14日 |
| UR AI Accelerator | AI向けの計算ボックス | NVIDIA Jetson AGX Orin 64GB、Orbbec Gemini 335Lg 3Dカメラを同梱。UR Series・e-Series向け | 導入先の記載は確認できず | 該当なし | 提供(注文受付) |
| UR AI Trainer | 模倣学習のデータ収集システム | 人が操作側のロボットを動かし、追従側のロボットが同じ動きをして、動作・力・映像を同期して記録(展示では操作側2台で追従側2台を操作)。Scale AIのソフトと組み合わせ。UR3e・UR7eでの実演 | GTC 2026での展示。Scale AIと産業用データセットを「年内」に公開予定と記載 | 該当なし | 発表。2026年3月16日。データセットの公開は 未確定/将来 |
| MiR(自律搬送ロボット) | 自律搬送ロボット | MiR250、MiR600、MiR1350、MiR1200 Pallet Jack(10-K) | 累計11,000台超(10-K) | 確認できなかった | 提供(Teradyne Roboticsとして) |
この表の数値は、メーカー公称値、または会社の説明です。ペイロードや到達距離は機種ごとに条件(最大値/標準値、取り付け姿勢など)があり、機種どうしの数字を並べて優劣を判断することはできません。 導入・出荷の主張(「10万件超」「数百台の出荷」)は会社の発表で、台数の内訳や独立した検証は、公式資料では確認できませんでした。
URは「高性能でも軽い」ことを製品の特徴に挙げ、同等の従来型ロボットより最大70%軽い、と説明しています(比較の相手と条件は会社の説明に記載なし) 事実。 g-Seriesは関節を密閉構造にして、防塵防水のIP65を実現したとも説明しています。 材料の目で見ると、腕の軽さと密閉は、構造材(軽くて硬い金属や樹脂)、関節の減速機(歯車)、シール材(ゴムなど)、潤滑剤の選び方に直結します。 ただし、URが使っている具体的な材料の名前は、確認した公式資料に記載がなく、上は一般的な見方です 未確定/将来。 本シリーズの技術解説「減速機とギア」「ロボット・ドローンの構造材料」「関節アクチュエータ」も参照してください。
もう1つは力を測ることです。Gen 7は、力とトルクの検出と、インピーダンス制御(押し返す強さを調整する制御)を組み込み、「ロボットに触覚を与える」と説明しています。 柔らかい素材を扱う作業や、はめ合いのような作業では、この力の情報が大切になります。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2005年 | Universal Robotsを創業(公式サイトのAbout) | 協働ロボットの開発を開始 |
| 2008年 | 「世界初の商業的に成り立つコボット」を発売(Teradyneの10-K、会社の主張) | 協働ロボットの普及の出発点 |
| 2015年 | TeradyneがURを買収(10-K) | 半導体試験の会社がロボット事業に参入 |
| 2018〜2019年 | Energid・MiR(2018)、Lemsys・AutoGuide(2019)を取得(10-K) | 自律搬送ロボットなどへの拡大 |
| 2025年 | ロボット事業の売上が15.5%減。約400人が対象のリストラ | 事業の再編 |
| 2025年12月9日 | 米国ミシガン州に製造・サービスの拠点を2026年に開設すると発表(200人超の雇用) | 米国での製造の拡大 |
| 2026年2〜4月 | Elite Robotsのドイツ子会社に対し、URのソフトの著作権侵害を理由に提訴。4月21日、ハンブルク地方裁判所が仮処分(販売・配布の差し止め)を出したと会社が発表 | 知的財産の保護を重視する姿勢(会社の主張) |
| 2026年3月16日 | Scale AIと共同でUR AI Trainerを発表(GTC 2026) | AIの学習用データを、実機で集める仕組み |
| 2026年3月19日 | Skild AIが、ABB RoboticsとURの製品群にSkild Brainを統合する提携を発表(Skild AIのブログ) | 他社のロボット基盤モデルとの連携 |
| 2026年4月22日 | Flexとの提携を拡大(Flexが主要部品を製造し、自社工場にもURを導入) | 製造面の提携 |
| 2026年9月14日 | Gen 7とg-Seriesを発表(IMTS) | AI向けを前面に出した新世代 |
| 2026年8月27日 | 中国JAKAのドイツ子会社に対し、特許侵害を理由に欧州統一特許裁判所(UPC)に提訴 | 会社の主張による。結果は確認できず |
| 2026年10月1日 | Elite Robotsとの紛争が、秘密の条件で合意により解決したと発表 | 和解。条件は非公開 |
| 2026年10月21日 | ドイツのSereactとの提携を発表 | 物理AIの企業との連携 |
日付は、URの公式発表の日付とTeradyneの提出書類の期間です。法的な争いについては、会社の発表した範囲で記載しており、相手方の主張や裁判所の最終判断は本稿では確認していません。特定の企業を評価するものではありません。
7. 今後の計画
URは2026年9月の発表で、Gen 7が「AIの時代のロボット」に向けた基盤だと述べていますが、具体的な出荷日や価格は書かれていません 未確定/将来。 米国の拠点について、10-Kは「約6,300㎡(68,000平方フィート)の米国ロボット製造拠点の設備整備に着手した」と書き、2025年12月の発表は「2026年に開設する」と述べています 未確定/将来。 Scale AIとの産業用データセットの公開は、2026年3月の発表で「年内」と書かれていますが、公開されたかどうかは、今回確認できませんでした 未確定/将来。
次はいずれも公式資料に記載がありません 未確定/将来。
UR単独の売上・損益・従業員数/年ごとの出荷台数/Gen 7の出荷開始日と価格/ミシガン州の拠点の開所の確認/JAKAとの特許訴訟のその後/Skild AIとの統合製品の発売時期。報道ベースの数字は採用しません。
8. この会社はドローン・ロボティクスで何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 腕の製造・販売に加え、AIロボットの開発基盤の地位を取りに行く | Physical AIのページが「物理AIのためのロボット基盤」を掲げ、AI Accelerator(計算ボックス)とAI Trainer(データ収集)を開発者向け製品として並べている | 事実(会社の説明) |
| AIを制御の上に載せ、安全は腕側が守る設計を競争上の強みにしたい | 「AIは確率的に推論できるが、ロボットの実行は決まった通りでなければならない」「AIは認証された安全の範囲内で動く」と説明 | 事実(会社の説明) |
| AI企業と多くの提携を結び、腕を「AIの標準的な載せ先」にしたい | Scale AI、Generalist AI(推奨モデルのパートナー)、Sereact、Skild AI(統合を目指す)、NVIDIAとの連携を、発表や自社ページで挙げている | 推測 |
| 2025年の減収後、AIと新世代で成長を再び作る狙いがある | 2025年は売上減とリストラ。2026年上期は売上が約33%増え、9月にGen 7を発表している | 推測 |
「AI企業との提携を通じて、腕をAIの標準的な載せ先にしたい」という読みの根拠は、2026年のURの発表の並びです。 3月にScale AIとAI Trainerを発表し、同じ発表でGeneralist AIのロボット基盤モデルを「推奨するモデルのパートナー」と紹介しています 事実。 また、Skild AIは2026年3月に、URの協働ロボットの製品群にSkild Brainを統合することを目指すと発表し、URの責任者(Skild AIの記事での肩書きはCEO)が「先進的なAIの機能を協働ロボットに載せたい」と述べたと書いています(Skild AIのブログ)。 9月にはGen 7の発表で、「ロボットの脳となるAIを、安全に動かせる土台」を前面に出しました。 これらが一つの方向を指すと本稿は読みますが、URの収益に占めるAI関連の割合や、AI企業との契約の内容は、公式資料から確認できませんでした 未確定/将来。
9. ドローン・ロボティクス分野の提携マッピング
| 相手 | 関係の内容(公式資料の記載) | 注意 |
|---|---|---|
| Teradyne | 親会社。2015年にURを買収。ロボット事業としてURとMiRを運営(10-K) | SEC提出書類で確認できる |
| NVIDIA | AI AcceleratorにNVIDIA Jetson Orin(組み込みAI計算機)を搭載。AI Trainerの展示で、NVIDIA Omniverse・Isaac Simによる仮想環境の実演。物理AIのデータ生成用の「Physical AI Data Factory Blueprint」の活用を検討中と発表 | 「検討中」は導入済みを意味しない |
| Scale AI | AI Trainerを共同で開発。産業用データセットを共同で公開する予定(年内、2026年3月の発表) | データセットの公開は未確認 |
| Flex | URの主要部品を製造し、Flex自身の工場にもURとMiRを導入(2026年4月)。Teradyneの半導体試験装置を製造する20年の関係の延長 | 会社の発表 |
| Sereact | SereactのAIプラットフォーム「Cortex」が、URの腕を動かす。両社は欧州の顧客現場に、2本腕のシステムで数百台のURを出荷済みと説明(2026年10月21日) | 会社の主張。台数の内訳は記載なし |
| Skild AI | Skild Brainを、ABB RoboticsとURの製品群に統合することを目指す提携(2026年3月19日、Skild AIの発表) | 統合製品の出荷は確認できず |
| Generalist AI、Siemens、Robotiq ほか | Generalist AIはURの推奨モデルのパートナー(GTC 2026で2台のUR7eを使った実演)。Siemens・Robotiqとはパレット積みの実演(CES 2026) | 実演は会社の説明。独立した検証は確認できず |
10. 提供している技術・製品・サービス
URの製品は、腕(ハードウェア)、ロボット用のソフトPolyScope、そしてAI向けの開発ツールの3層で整理できます。公式サイトと発表で確認できる内容を説明します 事実。
| 要素 | やさしい説明 | 公式資料での位置づけ |
|---|---|---|
| 協働ロボットの腕 | 人のそばで働けるよう、力と速度の制限、衝突時の停止の機能を持つロボットの腕 | 危険性の評価をしたうえで、多くの機種が人と並んで動かせる、と10-Kが説明 |
| PolyScope | タブレットのような操作盤で、短時間に動作を設定できるロボット用のソフト | 全ロボットに搭載。PolyScope Xは新しい世代で、ROS 2とオープンなAPIに対応 |
| UR+ | URが検証した周辺機器・ソフトの認定制度(エコシステム) | パートナー約1,200社と説明(会社の数字) |
| AI Accelerator | 腕に付ける、AI処理用の小型計算機とカメラのセット | Jetson AGX Orin 64GBと3Dカメラを同梱 |
| AI Trainer | 人が操作側のロボットを動かし、その動きと力・映像を記録して、AIの学習データにする仕組み | Scale AIと共同。VLAの学習用データを作ると説明 |
| 力とトルクの制御 | 押す力やひねる力を測り、調整する機能 | Gen 7に力・トルクのセンサーとインピーダンス制御を組み込むと説明 |
協働ロボットは、人と同じ場所で働けるように作られていますが、どんな作業でも安全というわけではありません。 10-Kも、「危険性の評価をしたうえで、多くのコボットは作業員と並んで動かせる」と書いています。 たとえば、先端に鋭い工具や熱い物を付ければ、腕が安全でも作業全体は危険になりえます。 ロボットの安全は、腕の機能に加えて、作業の内容・工具・配置を含めた評価で決まります(本シリーズの技術解説「ロボットの安全規格の読み方」「産業用ロボットと協働ロボット」も参照)。 また、第三者認証(ISO 10218-1など)の範囲は、認証の対象になった機種・構成によって異なります。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| ロボット事業の収益性 | 2025年のロボット事業は売上が減り、税引前損失が拡大した。2026年上期は損失が縮小したが、損失が続いている | 事実 |
| のれんの評価 | ロボット事業ののれんは4億1,640万ドルで、監査人が「重要な監査上の検討事項」に挙げている(将来の収益の見通しに依存する評価のため) | 事実 |
| 為替の影響 | ロボット事業の売上の大半がドル以外の通貨で、ドル高が売上の下押しになる | 事実 |
| 競争と知的財産をめぐる争い | URは、欧州で、競合の中国系ロボット企業に対する著作権・特許の訴訟を起こしたと発表(一部は和解)。結果は確定していないものがある。競争の激しさを示す一方、訴訟は長期化・費用増の可能性がある | 事実(会社の発表) |
| AIの価値の実証 | 物理AI向けの製品は新しく、AI関連の収益や導入規模は開示されていない。「AIの標準的な載せ先」という狙いが売上に結びつくかは、現時点では確認できない | 推測 |
| 同種のモデルとの関係 | URの腕に載せるAIは、他社(Generalist AI、Skild AI、Sereactなど)が開発する。URの価値は、AIの性能に左右される面がある | 推測 |
12. 用語集
- 協働ロボット(コボット)
- 人と同じ空間で、安全柵なしで(危険性の評価のうえで)働けるよう、力や速度を制限する機能を持つロボット。
- ペイロード
- ロボットが先端に持てる荷物の重さ。工具の重さも含む。
- 到達距離(リーチ)
- 腕の根元から、先端が届く最大の距離。
- PolyScope
- URのロボット用ソフト。操作盤でプログラムを作る。
- UR+
- URが検証した周辺機器・ソフトの認定制度。
- AMR
- 自律移動ロボット。倉庫などで荷物を運ぶ、自分で経路を選ぶ台車型ロボット(MiR)。
- 模倣学習
- 人の動きを真似して、ロボットが作業を覚える学習。
- VLA
- 画像と言葉の指示から、ロボットの動作を直接出力するモデル。
- インピーダンス制御
- 外から押されたときの「やわらかさ」を調整する制御。
- IP65
- 防塵・防水の保護等級。粉じんが入らず、水の噴流に耐える。
- TÜV
- ドイツの第三者認証機関。製品の安全性を試験・認証する。
- セグメント
- 会社が事業の種類ごとに分けて開示する区分。Teradyneでは「ロボット」が1つのセグメント。
13. 出典
- Teradyne Form 10-K(2025年12月31日に終わる会計年度、米国SEC提出、2026年2月19日)。ロボット事業の説明、セグメント売上・損益、リストラ、のれん、拠点、従業員、買収の履歴。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/97210/000119312526059002/ter-20251231.htm
- Teradyne Form 10-Q(2026年3月29日に終わる四半期、米国SEC提出、2026年5月1日)。ロボット事業の第1四半期の売上・損益。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/97210/000119312526201058/ter-20260329.htm
- Teradyne Form 10-Q(2026年6月28日に終わる四半期、米国SEC提出、2026年7月31日)。ロボット事業の第2四半期・上期の売上・損益。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/97210/000119312526327715/ter-20260628.htm
- Universal Robots 公式サイト(トップ)。Gen 7、g-Series、ペイロードと到達距離、ロゴ。 https://www.universal-robots.com/
- Universal Robots 製品ページ。3つのロボットファミリー、軽量・安全・接続性の説明。 https://www.universal-robots.com/products/
- Universal Robots g-Series の製品ページ。仕様、ISO 10218-1:2025 への言及。 https://www.universal-robots.com/products/g-series/
- Universal Robots Physical AI のページ。AI向けの構成、パートナー、AI Accelerator と AI Trainer。 https://www.universal-robots.com/products/physical-ai/
- Universal Robots AI Accelerator の製品ページ。NVIDIA Jetson Orin、3Dカメラの構成。 https://www.universal-robots.com/products/ai-accelerator/
- Universal Robots About us。創業年、ミッション。 https://www.universal-robots.com/about-us/
- Universal Robots News center(ニュース一覧、196件)。 https://www.universal-robots.com/news-and-media/news-center/
- Universal Robots Universal Robots unveils Gen 7(2026年9月14日)。 https://www.universal-robots.com/news-and-media/news-center/universal-robots-unveils-gen-7-new-platform-industrial-automation-physical-ai/
- Universal Robots Universal Robots and Scale AI launch imitation learning system(2026年3月16日)。UR AI Trainer。 https://www.universal-robots.com/news-and-media/news-center/universal-robots-scale-ai-launch-imitation-learning-system-accelerate-ai-training-lab-to-factory/
- Universal Robots Pending legal dispute between Elite Robots and Teradyne Robotics resolved by mutual agreement(2026年10月1日)。 https://www.universal-robots.com/news-and-media/news-center/pending-legal-dispute-between-elite-robots-and-teradyne-robotics-resolved-by-mutual-agreement/
- Universal Robots German court rules in favor of Teradyne Robotics … against Elite Robots Deutschland(2026年4月21日)。 https://www.universal-robots.com/news-and-media/news-center/german-court-rules-for-teradyne-robotics-in-copyright-case-against-elite-robots-deutschland/
- Universal Robots Teradyne Robotics starts patent infringement case … at European patent court(2026年8月27日)。 https://www.universal-robots.com/news-and-media/news-center/collaborative-robot-leader-teradyne-robotics-patent-infringement-against-chinese-robot-competitor-european-court/
- Universal Robots Flex and Teradyne Robotics expand partnership(2026年4月23日掲載)。 https://www.universal-robots.com/news-and-media/news-center/flex-teradyne-robotics-expand-partnership-scale-intelligent-automation-across-global-manufacturing/
- Universal Robots Teradyne Robotics and Sereact partner(2026年10月21日)。 https://www.universal-robots.com/news-and-media/news-center/teradyne-robotics-and-sereact-partner-to-scale-physical-ai-solutions-for-retail-and-logistics/
- Universal Robots New US Operations Hub to open in 2026(2025年12月9日)。 https://www.universal-robots.com/news-and-media/news-center/new-us-operations-hub-to-open-in-2026/
- Skild AI The Reindustrial Revolution(2026年3月19日)。ABB・Universal RobotsとのSkild Brain統合の提携。 https://www.skild.ai/blogs/reindustrial-revolution
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月25日/Troy Technical
本稿の内容は、Teradyneが米国SECに提出した10-K・10-Qと、Universal Robotsの公式サイト・ニュース、Skild AIのブログに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。ペイロードなどの性能値はメーカー公称値で、導入・出荷・実演・訴訟に関する記述は会社の発表であり、独立した検証ではありません。本稿は投資判断を述べるものではなく、株価・評価額には触れていません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。
