COMPANY PROFILE / ドローン・ロボティクス
ユニツリー・ロボティクス
― 四足ロボットから人型ロボットへ、モーターや減速機まで自社で作って「手の届く価格」で広げた中国の会社
Unitree(宇树科技、杭州)は、四足ロボット(犬のような4本脚のロボット)と人型ロボットを、関節の部品から自社で設計・製造して売る会社です。2026年8月19日に上海証券取引所の科創板(STAR Market)へ上場しました。2025年の売上は169,926.93万元(約17.0億元)で、売上の約52%が人型、約42%が四足でした。会社は2025年の人型ロボットの出荷が5,511台だったと開示しています。一方、2026年1〜6月(未監査)は売上が48.54%増にとどまり、研究開発費と広告費の増加で、特別な損益を除いた利益は19.34%減りました。さらに2026年7月、米国は海外で生産された新型の先進ロボットを、無線機器の認証の対象から外す措置(FCCのCovered List)を発表しました。本稿は、これらを取引所への開示と米国当局の文書の範囲で整理します。販売台数や「世界一」は会社の主張として扱い、調査会社の推計は使いません。確認日は2026年10月25日です。
- 30秒でわかるUnitreeと、ドローン・ロボティクスでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- ドローン・ロボティクスの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(ロボットに関わる部分に絞る)
- ロボット・ドローンにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社はドローン・ロボティクスで何を目指しているか
- ドローン・ロボティクス分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるUnitreeと、ドローン・ロボティクスでの立ち位置
浜江区主な生産・経営拠点も同区のオフィス・工場(賃借)。ロボット本体と主要部品を自社で組み立て、一部の工程は外注
(2026年8月19日)新規株式公開。新株40,446,434株を1株150.80元で発行し、募集総額609,932.22万元(約61.0億元)
産業・専門ロボット(従)人型ロボットが売上の51.78%(2025年)。四足ロボットのうち行業用(巡検・救援向け)が従たる類型。区分は本稿による
四足 23,037台(販売)人型は出荷台数、四足は販売台数。人型の販売(収益認識)は5,215台。第三者の推計は使わない
四足:Go2・B2・A2研究・教育・開発者向けの人型と、巡検向けの行業用四足、関節モジュール・ハンド・ライダーなどの部品
Unitreeは、モーター・減速機・ライダー・ロボットハンドまで自社で作ることで、人型や四足のロボットを研究機関・大学・開発者向けに「高性能で比較的手の届く価格」で売り、2023年の15,913.44万元から2025年の169,926.93万元へ売上を伸ばした会社です 事実。ただし、目論見書自身が「自社開発の汎用の大規模AIモデル(具身大模型)は、報告期間中は規模を広げて製品に載せてはいない」と書いています 事実。いまの売上は、AIの頭脳ではなくロボット本体の販売によるものです。さらに、米国向けの売上は2025年に13.30%を占め、米国が2026年7月に決めた新しい規制で、今後の新型機の米国販売が不確実になっています 事実。本稿は「部品まで自社で作る強み」と「頭脳(AI)と米国市場という2つの未確定部分」を軸に読みます。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:取引所に届け出た正式名称は中国語の「宇树科技股份有限公司」(旧称:杭州宇树科技股份有限公司)で、英語圏ではUnitreeと書かれます。日本語では「ユニツリー」「宇樹科技」などの表記も見られます。製品の型番(H1・G1・R1・H2=人型、Go2・B2・A2=四足)は社名ではありません。また、業界名として使われる「具身智能(Embodied AI)」は、体を持つロボットが現実の世界で動いて学ぶAIを指します。本稿の「Unitree」は、この上場会社を指します。
公式サイト:https://www.unitree.com/(ロゴは公式サイトのヘッダー画像から取得)3. ドローン・ロボティクスの世界で、この会社はどこにいるか
本シリーズの技術解説「ヒューマノイドロボット」「脚型ロボットと点検ロボット」「関節アクチュエータ」も参照してください。人型ロボットは人の体の形に近いロボット、四足ロボットは犬のような4本脚で歩くロボット、関節モジュールはモーターと減速機などを一体にした、ロボットの関節の部品です。Unitreeは、この3つをすべて自社で作っています。区分はいずれも本稿によるもので、会社が自らこの類型に分けているわけではありません 本稿の計算。
4. 会社の規模(ロボットに関わる部分に絞る)
Unitreeの事業はほぼすべてがロボットとその部品です。2025年は売上の98.64%が「核心技術に関わる製品」の売上でした。金額の単位は万元(1万元=10,000元)です。2023〜2025年は目論見書の監査済みの数字です 事実。
| 指標(万元) | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 15,913.44 | 39,277.07 | 169,926.93 |
| 主営業務の売上:四足ロボット | 11,938.09(75.78%) | 23,054.37(59.47%) | 69,762.56(41.62%) |
| 主営業務の売上:人型ロボット | 296.71(1.88%) | 10,729.76(27.68%) | 86,783.19(51.78%) |
| 主営業務の売上:ロボット部品 | 2,692.34(17.09%) | 4,453.82(11.49%) | 10,373.67(6.19%) |
| 主営業務の売上総利益率 | 44.22% | 56.74% | 60.13% |
| 純利益(親会社に帰属) | (1,114.51) | 9,547.47 | 27,821.05 |
| 特別な損益を除いた純利益 | (1,801.91) | 7,847.65 | 59,075.28 |
| 研究開発費(売上比) | 4,995.18(31.39%) | 7,001.70(17.83%) | 14,496.56(8.53%) |
| 営業活動によるキャッシュフロー | 494.25 | 19,239.13 | 66,998.18 |
| 海外売上の比率(主営業務) | 55.63% | 55.74% | 43.65% |
| うち米国の売上比率(収入に占める) | 18.39% | 19.54% | 13.30% |
| 従業員(年末) | 264人 | 328人 | 516人 |
直近の数値です。2026年1〜3月は会社の依頼で監査人が「審閲」(監査より軽い確認)した数字、2026年1〜6月は未監査の数字です(上場公告書)。上場後は半期報告書を別に出さず、この公告書の数字で代える、と同書は記載しています 事実。
| 期間 | 売上高 | 特別な損益を除いた純利益 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 2026年1〜3月(審閲済み) | 42,284.05万元(前年同期比+68.49%) | 4,025.36万元(-52.55%) | 研究開発費が3,832.80万元増え、春節番組(CCTV春晩)などの広告で販売費が増えた、と会社は説明 |
| 2026年1〜6月(未監査) | 115,224.56万元(+48.54%) | 24,393.03万元(-19.34%) | 研究開発費が8,203.74万元増。会社は「総じて良好」と記載 |
「純利益」と「特別な損益を除いた純利益」の差に注意してください。2025年は、従業員の持株会社への増資に伴う株式報酬の費用34,906.55万元(現金の支出はない)が管理費に計上され、純利益27,821.05万元と、特別な損益を除いた59,075.28万元の差になっています。2025年1〜6月の純利益がマイナス(-3,202.45万元)だったのも同じ理由です 事実。また、目論見書は「2026年の売上の伸びは鈍り、業界の熱が下がり、競争が激しくなった」と自ら記載しています 事実。本稿はどちらの数字が実態に近いかを判断せず、会社の記載を並べるにとどめます。
5. ロボット・ドローンにかけているリソース
4点(人・金・外部への出資や買収・大学や公的機関との連携)について、目論見書などで確認できたかを表にします。
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 2025年末に516人(研究開発184人・販売154人・生産123人・管理55人)。研究開発の比率は35.66%。生産では外部の人材会社の人員(労務外包)を使い、その費用は2025年に6,802.65万元(2023年は1,161.69万元)。会社は自動化ラインで外包を減らす計画 | 事実 |
| 金:研究開発費 | 2025年は14,496.56万元(売上の8.53%)。2023年は4,995.18万元(31.39%)。会社は、研究開発はこれまで「本体と運動制御(小脳)」が中心で、2024年から「具身大模型(大脳)」を強めたと説明 | 事実 |
| 金:資金調達 | 2025年6月の増資で27の出資者から合計69,449.70万元(中移和創、Tencent、無錫錦秋などを含む)。2026年8月のIPOで募集総額609,932.22万元、発行費用18,217.31万元を差し引いた純額591,714.92万元。募集資金の使途は4つの事業(合計420,171.12万元)で、うち「智能機器人モデル研発」が202,245.93万元 | 事実 |
| 外部への出資・買収 | 目論見書の本文で、他社の買収や事業の売却は確認できなかった。完全子会社のほか、3社に少数出資:杭州具身智能中試基地科技(10%)、浙江宇蓝智能応急ロボット研究院(20%)、上海拓天智聯科技(10%)。香港の子会社は2025年9月に解散 | 事実(買収・売却は確認できず) |
| 大学・研究機関・公的機関との連携 | 国内の「ある大学」(名称は非開示)と戦略協力協定を結び、「通用智能機器人研究院」を共同で設立(期間5年)。2026年8月の時点で共有する知的財産はない。工業情報化部の「専精特新『小巨人』企業」(2023年)に選定。政府補助金は2025年に利益総額の4.80% | 事実 |
主要な製品の状況を、会社の目論見書で確認できた範囲で整理します(確認日 2026年10月25日)。性能値はいずれも会社の公称で、条件や型番の構成により違います。
| 製品 | 種別 | 主な仕様(会社公称) | 段階・日付 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| H1 | 人型(全身サイズ) | 身長約180cm・体重約47kg・最大約5m/s・片脚5自由度。会社は2023年8月に発売と記載 | 提供(2023年8月発売) | 出典1 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472621.PDF |
| G1 | 人型(中型) | 身長約132cm・体重約35kg・片脚6自由度・片腕5〜7自由度。会社は2024年5月に発表し、2024〜2025年の「世界で最も売れた人型」と記載(会社の主張) | 提供(2024年5月発表) | 出典1 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472621.PDF |
| R1 | 人型(小型) | 身長約123cm・体重約25kg。2025年7月に発表。関節とセンサーの制御インターフェースを開放と記載 | 提供(2025年7月発表) | 出典1 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472621.PDF |
| H2 | 人型(全身サイズ) | 身長約182cm・体重約70kg・31自由度。2025年10月に発表 | 提供(2025年10月発表) | 出典1 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472621.PDF |
| Go2 | 四足(消費者・研究向け) | 約15kg・最大荷重12kg・約20cmの段差を上る・稼働2〜4時間。2023年に9,997元で発売と会社は記載 | 提供 | 出典1 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472621.PDF |
| B2/B2-W | 四足・輪脚(行業用) | B2:約60kg・連続歩行荷重40kg超・防塵防水IP68・稼働5時間超。B2-W:車輪付きで最大約15km/h・IP67 | 提供 | 出典1 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472621.PDF |
| A2 | 四足(行業用・中型) | 約37kg・歩行荷重25kg超・段差約1m・IP67・稼働5時間(空荷)・電池の交換可。2025年 | 提供(2025年) | 出典1 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472621.PDF |
| UnifoLM-WMA-0/VLA-0/X1-0 ほか | 具身大模型(AI) | WMAは2025年9月、VLAは2026年1月にオープンソース公開。X1-0は2026年初に自社工場で試験し、関節モーターの組立などを自律で行えたと会社は記載(台数・時間・独立検証は記載なし) | 基礎研究〜試験(工場で試験) | 出典1 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472621.PDF |
| 関節モジュール・ライダー・ハンド | 部品 | ライダーL1・L2(走査距離30m)、ハンドDex1-1・3-1・5-1・2/5(最大20自由度、触覚センサー94個)、協働アーム Z1(6軸・約4.5kg)。外販あり | 提供 | 出典1 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472621.PDF |
「世界初」「世界記録」「出荷世界一」は会社の記載です。目論見書は、2025年の人型の出荷台数を「5,500台超(車輪式の両腕ロボットを除く)」とし、「第三者が公表した他社の出荷台数と比べて世界一」と述べていますが、その第三者の数字は本稿では使わず、独立した検証は確認できていません。
実演の主張も整理します。目論見書は、2025年初の春節番組に16台のH1が「全AI駆動」の集団で出演し、2026年初には24台のG1と1台のH2が「全自主の集団制御」で武術の演目を行った、と記載しています。自律か事前の振り付けと人の補助かの区別、時間、独立した検証は、目論見書では確認できません。2025年8月の世界ロボット運動会では会社の機体が11個のメダルを獲得したと記載しています。いずれも会社の主張です 事実。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2016年8月 | 杭州で設立。創業者の試作機(XDog)をもとに、最初の製品として四足ロボット Laikago を商品化(2017年) | モーター駆動の四足ロボットを自社で作ることから始めた |
| 2019〜2021年 | AlienGo(2019)、A1(2020、消費者向けの価格帯に)、Go1(2021、1.6万元) | 高性能な四足を、研究者から一般の開発者へ広げた |
| 2022〜2023年 | B1(2022、巡検向け)、Go2を9,997元で発売、B2(2023)。2023年8月に最初の人型H1 | 「消費者向け+行業用」の2系統と、人型への進出 |
| 2024年5月〜2025年 | 中型人型G1(起点価格を10万元以内)、四輪脚のB2-W(2024)、A2・R1・H2(2025)。2025年6月に増資、9月にWMAモデルを公開 | 人型の量産・販売が急拡大(2024年の販売412台が2025年は5,215台) |
| 2025年7月〜2026年5月 | 特許侵害訴訟(原告は杭州の日用化学品の会社。同社の特許は国家知識産権局が2026年3月に全部無効と判断)。会社は第一審・最高人民法院で主な請求の棄却を受けた | 訴訟の結果は会社に有利だが、特許の無効をめぐる行政訴訟は2026年8月時点で未判決 |
| 2026年6月1日〜8月19日 | 上場審査委員会が審議通過(6月1日)、中国証監会が登録を承認(7月1日)、8月10日に発行、8月19日に科創板へ上場 | 目論見書は発行後の資金で量産基地・AI開発を拡大する計画 |
| 2026年7月28日 | 米国FCCが、海外で生産された先進ロボット機器をCovered Listに追加(会社の既存の認証済み機種は影響を受けないと会社は説明) | 新型機の米国販売の前提が変わった |
| 2026年10月21日 | 株価の異常変動に関する公告。会社は経営に重要な変化はなく、未開示の重要事項もないと記載 | — |
7. 今後の計画
(工期2年の計画)現在の生産は賃借の工場。杭州高新区(浜江)に建設予定。会社は自動化ラインで外包人員を減らすとする
以上は会社が目論見書で述べた計画で、実現が確定したことではありません 未確定/将来。会社は募集総額(609,932.22万元)と、使途として計画した420,171.12万元の差の使い道を、上場公告書などでは確認できませんでした。
次はいずれも目論見書・上場公告書・異常変動公告で確認できませんでした 未確定/将来。具身大模型を使った製品の出荷台数・導入先/行業用四足ロボットの導入先の名前と台数(顧客は匿名で記載)/人型ロボットの工場・家庭での実運用の実績/FCCの新措置への会社の対応(条件付き承認を申請するか、米国での生産か)/ロボットの通信の安全性(脆弱性)に関する会社の見解。「世界一」の出荷や世界記録は会社の主張で、独立した検証を本稿は確認していません。
8. この会社はドローン・ロボティクスで何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 売上の中心が四足から人型へ移った | 2025年の売上は人型51.78%・四足41.62%(2023年は四足75.78%・人型1.88%)。人型の販売は2024年412台→2025年5,215台 | 事実 |
| 値下げを台数で補う事業の構造 | 人型の平均単価は59.34万元(2023年)→26.04万元→16.64万元(2025年)と下がり、四足も3.83万元→3.03万元。売上は台数の伸びで増えた(単価は売上÷販売台数、本稿の計算) | 推測 |
| 部品の自社生産は外販より自社ロボットの性能と原価のため | 部品の売上は6.19%(2025年)。目論見書は、関節モジュールの自社生産が性能の上限と調達の自由度を決めると説明 | 推測 |
| 人型の出口は、まず研究・教育・開発で、工場・家庭は先 | 目論見書は中短期の用途を研究・開発・教育・文化演出・サービス、中長期を工場・家庭と記載。AIモデルの実装は未規模 | 推測 |
| 米国への依存を下げる必要が出ている | 米国の売上比率は2025年13.30%。FCCの新措置で、海外生産の新型機は、認証を得るのが難しくなった | 推測 |
2025年から2026年にかけての数字は、「台数で伸び、利益の質が問われる段階」に入ったことを示します。2026年1〜6月の売上は+48.54%で、特別な損益を除いた純利益は-19.34%でした。会社はこれを「研究開発と広告費の増加」と説明し、同時に「行業の熱が下がり、競争が激しくなった」とも書いています 事実。この2つから本稿は、「会社は価格で広げる段階から、AIモデルと量産基地への投資で次の成長を作る段階へ移そうとしている」と読みます。ただし、その投資が成果を生むかは未確定です 未確定/将来。
9. ドローン・ロボティクス分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
| 層 | 主な製品 | 目論見書・公式資料の記述 |
|---|---|---|
| 本体 | 人型:H1・G1・R1・H2・G1-D・GD01/四足:A1・Go1・Go2・B1・B2・B2-W・A2・As2 | 研究開発・教育・巡検・救援・文化演出に使われると記載。二次開発用のEDU型と、標準の動作だけの型がある |
| 関節・駆動 | 関節モジュール(モーター・減速機・ドライバー・センサー・放熱・構造を一体化) | 高出力密度の永久磁石同期モーターと、脚式ロボットの衝撃に合わせて歯形を最適化した遊星減速機を自社で設計(会社の記載) |
| 感知・手 | ライダーL1・L2、ロボットハンド(Dex1-1・Dex3-1・Dex5-1・Dex2/5)、協働アームZ1 | ライダーを自社開発。ハンドは触覚センサー付きで、最大20自由度(会社公称) |
| AIモデル | UnifoLM-WMA-0、UnifoLM-VLA-0、UnifoLM-X1-0、WVLA2.0、UnifoLM-OminiA-0.3(会社の名称) | 強化学習による運動制御(小脳)と、具身大模型(大脳)。会社は開発者向けにオープンソース公開を進め、GitHubでの公開は43項目(2026年2月末)と記載 |
| その他 | スマート・フィットネス器具(PUMP・PUMP MAX) | 関節の力制御の技術を応用。売上は「その他」の0.41%(2025年) |
外装が骨格になる設計:会社は「外殻が骨格を兼ねる」方式で、大きな面積に複合材料を使い、限られた体積の中で強さと剛性を確保したと説明します。部品を差し込み式(バヨネット)にして、組み立てと分解を早くしているとも述べます 事実。複合材料は、軽いままで曲がりに強い材料です(本シリーズの「ロボット・ドローンの構造材料」を参照)。
転んでも壊れにくくする:会社は、細長い穴の入った柔らかい外殻、スロットとバネの2方向の緩衝、ゴム・PU(ポリウレタン)・エアバッグを段階的に使う衝撃吸収で、衝撃のピークを30〜50%減らし、関節と電子部品の故障率を30%以上下げたと説明しています。これは会社の主張で、試験条件や第三者による検証は確認できません 事実。
関節の中の熱と水:関節モジュールは配線を内部に通し、2系統の磁気エンコーダーとIP67の防塵防水を備え、-20〜55℃で使えると会社は説明します。放熱は、スポンジ状の素材に相変化させて冷やす微小な水冷などを関節と本体に組み込む方式です 事実。モーターは、永久磁石が磁力を保つ温度が高いほど性能が上がるため、放熱の工夫が出力に直結します(本シリーズの「永久磁石とレアアース」を参照)。
将来の材料:会社は、将来は炭素繊維複合材料、チタンアルミ合金、3Dプリンターによる軽い格子構造などを使い、動く部分の慣性と消費電力を下げたい、と述べます。これは計画の記述で、採用の実績ではありません 未確定/将来。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 成長の鈍化と利益の変動 | 2026年1〜6月の売上は+48.54%(2025年は約4.3倍)で、特別な損益を除いた純利益は-19.34%。会社は「行業の熱が下がり、競争が激化した」「機器レンタルの短期需要が減ると価格競争が起きうる」と記載 | 事実 |
| 米国の規制 | 2026年7月28日、FCCが海外生産の先進ロボット機器をCovered Listに追加(公式文書)。会社は、現行の主力機種(G1・H2・R1・Go2・B2・A2)はFCCの認証を取得済みで影響を受けないとする。新型機は、条件付き承認(FCC文書では Department of War が審査)などがない限り、認証を得られない。米国の売上は2025年に13.30% | 事実 |
| AIモデルの成果と投資 | 具身大模型は研究・試験の段階で、規模を広げた実装は未実施。研究開発費の売上比は8.53%(2025年)で、会社は「業界の一部の会社より控えめ」と記載。募集資金の最大項目がモデル開発 | 事実 |
| 特許の少なさ | 登録特許は262件(国内の発明特許20件、2026年1月末)。会社は、技術の保護のため出願を絞ってきたため、模倣を防ぎにくいと記載 | 事実 |
| 創業者への議決権の集中 | 創業者・王兴兴氏は特別議決権の仕組みで、上場前に議決権の68.78%、上場後も最大65.31%を支配 | 事実 |
| 競争 | 目論見書は、Teslaの人型ロボットOptimusが小規模な試験生産に入ったと記載するなど、自動車・家電の会社の参入で競争が強まると説明 | 事実 |
| 調達・為替 | 原材料の約20%は輸入部材を中国国内の代理商経由で調達。メモリ半導体の価格上昇にも言及。海外売上は主に米ドルで決済し、為替に関わる損益は2025年に2,253.86万元の規模 | 事実 |
| 訴訟 | 特許侵害の主張(原告は杭州の日用化学品の会社)は、第一審・最高人民法院でいずれも会社に有利に判断された。特許の無効をめぐる行政訴訟は2026年8月の時点で未判決 | 事実 |
| 安全性 | FCCの文書は、海外生産のロボットの通信上の脆弱性に関する報告を脚注で複数引用しており、その1つの題名にUnitreeの名が含まれる。本稿はその内容を検証していない。目論見書にこの点の記載は確認できない | 事実(引用の存在) |
12. 用語集
- 科創板(STAR Market)
- 上海証券取引所の、科学技術に関わる企業向けの市場。
- 具身智能(Embodied AI)
- 体(ロボット本体)を持ち、現実の世界で動きながら学ぶAI。
- 具身大模型
- ロボットが言葉や映像を理解し、作業を計画する「頭脳」にあたる大規模AIモデル。会社は『大脳』とも呼ぶ。
- 本体知能・運動制御
- ロボットが転ばずに歩き、走り、跳ぶための動きの制御。会社は『小脳』と呼ぶ。
- WMA/VLA
- WMAは世界モデルと動作を組み合わせたモデル。VLAは映像・言葉・動作を結ぶモデル。
- 関節モジュール
- モーター・減速機・センサー・ドライバーを一体にした、ロボットの関節の部品。
- EDU型
- 二次開発(ソフトや部品の追加)ができる、研究・教育向けの型。
- 出荷と販売
- 出荷は工場から送り出した台数、販売は客の受け取りなどを経て収益に計上した台数。目論見書は両方を開示。
- 特別議決権
- 1株あたりの議決権が通常より多い株式の仕組み。創業者が議決権の多数を握れる。
- FCCのCovered List
- 米国の通信当局が、国家安全保障上のリスクがあると判断した機器のリスト。載ると新しい認証を受けられない。
13. 出典
- 宇树科技股份有限公司(Unitree) 首次公开发行股票并在科创板上市招股说明书(目論見書、2026年8月14日。上海証券取引所の科創板への上場に際して公表。巨潮資訊網で取得)。事業内容・製品仕様・販売台数・財務・研究開発・特別議決権・リスク・訴訟・募集資金の使途。 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472621.PDF
- 宇树科技股份有限公司(Unitree) 首次公开发行股票科创板上市公告书(上場公告書、2026年8月18日)。上場日・発行株数・募集総額・発行費用、2026年1〜6月の未監査の財務数値。 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-18/1225478658.PDF
- 宇树科技股份有限公司(Unitree) 首次公开发行股票并在科创板上市发行结果公告(発行結果公告、2026年8月14日)。発行価格・発行数量・上場審査委員会の審議日・戦略配分の結果。 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-08-14/1225472623.PDF
- 宇树科技股份有限公司(Unitree) 股票交易异常波动公告(株価の異常変動に関する公告、2026年10月21日)。経営状況に重要な変化がないこと、人型ロボット産業は商業化の初期にあるとの会社の記載。 https://static.cninfo.com.cn/finalpage/2026-10-21/1225613088.PDF
- Federal Communications Commission(米国連邦通信委員会) Public Notice DA 26-786(2026年7月28日)。海外で生産された先進ロボット機器を Covered List に追加。付属書Cに対象機器の定義。 https://docs.fcc.gov/public/attachments/DA-26-786A1.pdf
- Unitree 公式サイト(ロゴ画像の取得元、会社名・製品名の確認。確認日 2026年10月25日)。 https://www.unitree.com/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月25日/Troy Technical
本稿の数値は、Unitreeが上海証券取引所の科創板への上場に際して公表した目論見書・上場公告書・発行結果公告・異常変動公告と、米国連邦通信委員会(FCC)の公式文書に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません(目論見書にある調査会社の市場推計・出荷台数の推計も採用していません)。「世界一」などは会社の主張で、本稿では検証していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。株価・評価額・投資判断には触れていません。
