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フィギュアAI 企業解説

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COMPANY PROFILE / ドローン・ロボティクス

フィギュアAI
― 人型ロボット・AI・工場・学習データを自社でそろえることを掲げる、非上場のヒューマノイド企業

Figure AIは、人と同じ形のロボット(ヒューマノイド)と、それを動かすAIモデル「Helix」を自社で作る米国の非上場企業です。2025年10月に第3世代のFigure 03を発表し、2026年4月には自社工場BotQから第3世代を350台超出荷したと発表しています。BMWの工場、物流の拠点、家庭を想定した試験が語られますが、これらは会社自身の発表で、自律か遠隔操作か、台数、時間、独立した検証の有無は、発表ごとに確認できる範囲が異なります。本稿は公式サイトの発表とSEC提出書類(Form D)に絞り、評価額・投資判断には触れません。確認日は2026年10月25日です。

構成:Figure AI公式サイトの発表(2025年6月〜2026年9月)、SEC提出のForm D(2024年3月13日)、連邦地裁の記録を一次情報として使用/確認日 2026年10月25日

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるFigure AIと、ドローン・ロボティクスでの立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. ドローン・ロボティクスの世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. ドローン・ロボティクスにかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社はドローン・ロボティクスで何を目指しているか
  9. ドローン・ロボティクス分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集
  13. 出典
  14. 主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるフィギュアAIと、ドローン・ロボティクスでの立ち位置

正式名称Figure AI Inc.デラウェア州法人。SEC提出書類(Form D)での表記
所在地米国カリフォルニア州2024年3月のForm Dの住所はサニーベール。2026年の公式記事はサンノゼのキャンパスに言及
上場非上場株式の譲渡には取締役会の承認が必要と会社が告知(2026年7月8日)
この分野での区分ヒューマノイド・物理AI機体・AI・製造・学習データを自社で持つ方針
主力製品Figure 03 と Helix第3世代ヒューマノイド(2025年10月9日発表)と、それを動かすAIモデル
製造自社工場 BotQ2026年4月29日の発表:第3世代を350台超出荷。生産ペースは1台/日から1台/時へ(会社の主張)
導入先(会社の発表)BMW/Catalyst BrandsBMWの米国スパータンバーグ工場と、Catalystのネバダ州リノの物流拠点
資金調達(公式発表)シリーズCで10億US$超2025年9月16日の発表。評価額には触れません
まず押さえるべき1点

Figure AIが掲げているのは、ロボットの体(機体)・頭脳(AI)・工場・学習データの4つを自社でそろえることです 事実。体はFigure 03、頭脳はHelix、工場はBotQ、学習データは人の動画を集めるアプリIndexです。 一方で、実演や導入の成果はほぼすべて会社自身のウェブ発表です。 たとえばBMW工場での「30,000台以上の車の生産に貢献」は会社の集計で、第三者が確かめた資料は確認できませんでした。 読むときは「会社が何を主張し、どこまで条件が書かれているか」に注目してください。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名はFigure AI Inc.(SEC提出書類)ですが、公式サイトでは単に「Figure」とも書かれます。機体の世代は「Figure 02」「F.02」のように2通りで書かれ、同じものを指します。同名・似た名前の別会社と混同しないでください。ロゴは公式サイトのヘッダーで使われているファイルです。

公式サイト:https://www.figure.ai/

3. ドローン・ロボティクスの世界で、この会社はどこにいるか

ドローン・ロボティクスの会社は、何を作って誰に売るかで4つの類型に分けて考えると見通しがよくなります。 Figure AIはヒューマノイド・物理AI(人型で、AIで学習して動くロボット)が主たる類型です。 物理AIとは、画面の中だけでなく、現実の物体を動かすAIのことです。 従たる類型として、アクチュエータ(関節を動かす部品)・電池・センサーを自社で設計していると説明しているため、部品・基盤ソフトの性格も持ちます 事実。

ドローン・ロボティクスに関わる企業の4つの類型 同じ「ロボットの会社」でも、何を作って誰に売るかで、強みと課題が違う ヒューマノイド・物理AI 産業・専門ロボット ドローン・eVTOL 部品・基盤ソフト 人型と学習するロボット 工場・医療・点検で働く 空を飛ぶ機体と運航 ロボットを支える部品とAI Figure AI/Boston Dynamics Unitree/UBTech FANUC/Yaskawa Universal Robots/Intuitive DJI/Skydio Zipline/Joby Harmonic Drive NVIDIA 学習と汎用性への期待 実績と信頼性 空の用途と規制対応 供給網での存在感 量産と実用の実績が途上 変化への対応と価格 規制と安全認証 需要が出荷次第 主たる類型はヒューマノイド・物理AI。機体・AI・製造・データを自社で持つ方針 導入の多くは会社の発表で、独立した検証は確認できなかった
図1 ドローン・ロボティクスに関わる企業の4類型と、Figure AIの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。Figure AIの方針は、同社の公式発表(Figure 03の発表記事など)に基づきます。

図の下段の「弱点」は、類型全体に見られがちな課題を一般的に書いたもので、Figure AIへの評価ではありません。

4. 会社の規模

Figure AIは非上場で、売上・従業員数・利益を公表していません。確認できた範囲を表にします(確認日 2026年10月25日)。

指標確認できた内容区分
設立SEC提出のForm Dに、設立年は2023年と記載。公式サイトは、第1世代F.01が2023年5月に初めて歩いたと説明事実
売上・利益非公表(SEC提出書類・公式発表に記載なし)。本稿では推計しない事実
従業員数非公表。公式サイトは「AIとヒューマノイドの経験が合計100年以上のチーム」と説明しているが、これは人数ではない事実
資金調達(Series B)Form D:募集総額 675,000,000 US$、売付額 674,981,967 US$、投資家45件。最初の売付は2024年2月27日事実
資金調達(Series C)2025年9月16日の発表:コミット済みの資金が10億US$超。主導はParkway Venture Capital。Brookfield、NVIDIA、Intel Capitalなども参加と記載事実
評価額公式発表に書かれているが、本稿は評価額・投資判断を扱わないため転載しない―

表の金額は元の通貨(US$)のままです。Series Bの募集額は、Form Dに書かれた募集の総額です。

ここで注意

Form Dは、非公開の資金募集をSECに届け出る書類で、会社の財務内容(売上・利益)を示す書類ではありません。 本稿が確認できた財務は、募集額と投資家の数にとどまります。売上と利益は、非公表のため書けません。

5. ドローン・ロボティクスにかけているリソース

人・金・外部への出資や買収・大学や公的機関との連携の4点について、公式発表とSEC提出書類で確認できたかを表にします。「記載なし」も確認結果です。

リソースの種類確認できた内容区分
人従業員数は非公表。2026年4月29日の発表は、製造・サービス・フリート管理の体制を自社で作っていると説明(人数の記載なし)事実
金:製造自社工場BotQ。第1世代ラインで年間最大12,000台の能力、4年で累計10万台が目標(2025年10月の発表)。2026年4月には、数百社の部品メーカーを受入検査の基準で審査、組立ライン内に50か所超の検査点、1台ごとに80項目超の機能試験と説明(会社の説明)事実
金:計算資源Nscaleとの提携(2026年9月3日):最大10万GPU、初期の計算契約は35億US$、60億US$超への拡大が意図。展開は2027年後半から(テキサス州)事実 未確定/将来
金:データIndexで、データ提供者(Creators)に累計1,500万US$を支払い済み。今後12か月でデータと計算に10億US$超を使うことを約束と発表(2026年8月25日)事実
外部への出資・買収・事業売却出資を受けた側として、Series Cの出資者(Brookfield、NVIDIA、Intel Capitalなど)とNscaleの戦略投資。他社の買収・事業売却は公式ニュースに記載なし(確認できず)事実
大学・研究機関・公的機関との連携確認した公式発表に、大学・研究機関・NASA・DARPAなどとの共同研究の記載は確認できなかった確認できず

主要な機体・AI・設備の状況を、会社の公式資料で確認できた範囲で整理します(確認日 2026年10月25日)。仕様と実績はすべて会社の公称・会社の集計です。

名称種別主な仕様・実績(会社の公称・条件つき)段階日付出典
Figure 02(F.02)第2世代ヒューマノイドBMW米国スパータンバーグ工場で11か月の運用。平日10時間シフト、部品投入9万点超、稼働1,250時間超、X3 3万台超の生産に貢献(会社の集計)。作業は板金部品の溶接治具への投入。目標:1サイクル84秒、位置精度5mm以内、人の介入ゼロ退役(2025年11月開始。2026年9月30日の記事で大半が処分と説明)2025年11月19日出典2 https://www.figure.ai/news/production-at-bmw 出典13 https://www.figure.ai/news/f-02-decommission
Figure 03(F.03)第3世代ヒューマノイド前世代比で、カメラはフレームレート2倍・遅延4分の1・視野60%広い、質量9%減、手のひらカメラ、指先の触覚センサー(3gの力を検出と説明)、足のコイルでの2kW無線充電、電池はUN38.3の認証を取得と説明出荷・稼働中(2026年4月に350台超出荷)2025年10月9日(発表)/2026年4月29日出典1 https://www.figure.ai/news/introducing-figure-03 出典4 https://www.figure.ai/news/ramping-figure-03-production
Figure 03のBMW工場での作業導入先での実演部品を選んで並べる「シーケンシング」。両手で薄い部品をつかみ、足を踏み替えながら台車を引く作業をHelix 02で実行と説明。台数・時間・遠隔操作の有無は記載なし実演(会社の発表)2026年6月30日出典3 https://www.figure.ai/news/f-03-at-bmw
Helix 02AIモデル(VLA)全身を1つのニューラルネットワークで制御。4分間の食洗機の片付けを、遠隔操作なしの自律で行った動画と説明(会社の主張)。S0は10Mパラメータ、人の動きデータ1,000時間超とシミュレーションで学習公開済みの技術発表2026年1月27日出典5 https://www.figure.ai/news/helix-02
Helix 2.5AIモデル(VLA)ベイエリアの30軒の未知の家で、3つの作業(部屋の片付け、タオル畳み、ベッドメイク)をゼロショットで評価。Index事前学習ありで成功率56%、なしで9%(会社の盲検評価と説明。独立検証は確認できず)研究成果の発表2026年9月17日出典6 https://www.figure.ai/news/helix-2-5-zero-shot-30-home-generalization
Indexデータ収集アプリダウンロード26.4万超、週間利用者4.4万超、動画1,600万本超(2026年8月25日時点の会社の数字)提供中2026年8月25日出典7 https://www.figure.ai/news/introducing-index

「ゼロショット」は、その家で一度も訓練していない状態で試すことです(用語集)。規制上の承認・認証は、電池のUN38.3以外に確認できませんでした。

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
2023年5月第1世代F.01が初めて歩く(公式サイトの説明)ヒューマノイドの開発の出発点
2024年2月27日Series Bの最初の売付(Form D)。募集総額6.75億US$資金調達の公的な記録
2025年6月7日物流の荷物仕分けでHelixの改良を公表。1荷物あたりの処理時間を約5.0秒から短縮(同記事内で4.05秒と4.31秒の2通りの記載)、バーコード向きの成功率を約70%から約95%へ(会社の数字)学習方式の効果を物流で示した例。条件は会社の設定
2025年9月16日Series Cで10億US$超のコミット済み資金と発表製造・計算・データ収集に充てると説明
2025年9月17〜18日Brookfieldとの提携とProject Go-Big(人の動画での事前学習)を発表学習データを、ロボットの操作から人の動画へ広げる方針
2025年10月9日Figure 03を発表。BotQの第1世代ラインは年間最大12,000台量産を前提に設計し直した第3世代
2025年11月19日BMWでの11か月の実績を公表し、Figure 02の退役を開始会社の集計による運用実績
2025年11月21日元従業員が連邦地裁に訴えを提起(裁判所記録)。会社は2026年1月16日に答弁と反訴を提出係争中。本稿は内容の当否を扱わない
2026年1月27日Helix 02を発表歩行と操作を1つのAIで扱う
2026年4月29日BotQから第3世代を350台超出荷、生産ペースは1台/日から1台/時と発表量産の立ち上がりの会社の説明
2026年5月26日Catalyst Brandsと商用契約。リノの物流拠点から開始導入契約(台数・期間は非公表)
2026年6月30日Figure 03がBMWスパータンバーグ工場に到着し、部品整列の実演実演(会社の発表)
2026年8月25日データ収集アプリIndexを公開データの調達を自前の仕組みに
2026年9月3日Nscaleと最大10万GPUの提携計算資源の確保
2026年9月17日Helix 2.5を発表(30軒の家で評価)人の動画からの学習の成果と説明
2026年9月30日Figure 02の退役と、F.04への言及世代交代

7. 今後の計画

次の項目はすべて会社の目標・計画で、達成した事実ではありません 未確定/将来。

BotQの生産能力年間最大12,000台第1世代ラインの能力。4年で累計10万台が目標(2025年10月の発表)
計算資源最大10万GPUNscaleとの提携。展開は2027年後半から(2026年9月3日の発表)
データとインフラへの支出今後12か月で10億US$超Indexの発表で会社が約束した支出
次の機体F.04退役記事に言及があるのみ。時期・仕様は確認できず
確認できなかったこと

次はいずれも、確認した公式発表に記載がありません 未確定/将来。

Figure 03の販売価格/家庭向けの発売時期/BMW・Catalystでの稼働台数と期間/導入後の独立した性能検証/ロボット全体としての第三者の安全認証/ F.04の仕様と時期。家庭での利用は「家庭向けに設計した」という会社の説明にとどまり、販売・提供の開始は確認できませんでした。

8. この会社はドローン・ロボティクスで何を目指しているか

ここには会社が直接は述べていない読み取りを含みます。公式発表から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次情報区分
家庭と商用の両方を狙うFigure 03は「Helix(AI)のため」「家庭のため」「規模を広げた商用のため」の3つを狙って設計したと明記(出典1)事実
機体・電池・センサー・電子部品を自社設計し、組立も自社工場で行うFigure 03の記事に、アクチュエータ・電池・センサー・構造・電子部品を自社で設計と記載。部品は規模に耐える取引先と組む事実
学習の中心を、ロボットを操作して集めるデータから、人の動画へ移そうとしているProject Go-Big(2025年9月)、Index(2026年8月)、Helix 2.5(人の動画での事前学習が成功率を9%から56%に)の流れ推測
現在の制約は計算とデータだと認識しているNscale発表の「データと計算に大きく縛られている段階」という会社の記述事実(会社の認識)
実際の導入台数は、生産台数に比べて小さい可能性がある出荷した350台超は社内研究・データ収集・家事・商用開発に配分すると説明。導入先ごとの台数は非公表推測
推測の根拠を1つだけ詳しく

2026年4月の発表は、BotQから出荷したロボットを「社内の研究開発、データ収集、家事の自律化、商用の使い方の開発」に割り当てると書き、 フリートが増えるほどHelix用のデータが増えると説明しています 事実。 つまり、出荷した台数の多くは「顧客の現場で働く」のではなく「データを集め、性能を磨く道具」としても使われている、と読めます。 導入先ごとの台数が公表されていないことと合わせて、本稿は「出荷台数はそのまま顧客への導入台数ではない」と考えます 未確定/将来。

9. ドローン・ロボティクス分野の提携マッピング

Figure AIを中心とした関係(公式発表に記載のあるものだけ) 公式発表とForm Dに記載のある関係のみ。報道ベースの関係は含まない(確認日 2026年10月25日) Figure AI ヒューマノイド BMW Group スパータンバーグ工場で導入(2025〜) Catalyst Brands リノの物流拠点で導入契約 Brookfield データ収集・導入の協力と出資 Nscale 最大10万GPUの計算資源を提供 NVIDIA GPUを機体に搭載・出資 Series Cの出資者 Parkway(主導)ほか 導入・共同の取り組み 計算・技術の供給 出資
図2 出典:Figure AI公式発表(2025年9月〜2026年9月)。BMW・Catalystの導入は会社の発表で、台数・期間は非公表です。NVIDIAは、Series Cの出資者であり、Nscale発表でGPUと検証環境Isaac Simの活用が語られています。出資の関係は点線で示しました。

10. 提供している技術・製品・サービス

Figure AIの製品は、体(Figure 03)・頭脳(Helix)・工場(BotQ)・データ(Index)に分けると分かりやすくなります。

層主な内容公式資料の記述(会社の説明)
体(機体)Figure 03カメラは前世代の2倍のフレームレート・4分の1の遅延・60%広い視野。手のひらにカメラ。指先の触覚センサーは3gの力を検出。10Gbpsのミリ波でデータを放出。足のコイルで2kWの無線充電。質量は前世代より9%軽い
頭脳(AI)Helix 02/Helix 2.5S2・S1・S0の3層(下の図解)。S0は従来の手書きC++コード109,504行を、1つのニューラルネットワークに置き換えたと説明
工場BotQ外部の受託製造に頼らず、重要な部品を自社で作る。製造実行システム(MES)を自社開発し、150台超の端末を結ぶ。電池ラインの初回通過歩留まり99.3%、アクチュエータ9,000個超を10種超で生産(2026年4月)
データIndex人が自宅や職場で作業を撮影して投稿するアプリ。フィルタ・不正確認・重複排除・偏りの調整・注釈の5段階で選別。1,000時間あたり373種の作業、1,146種の物、116種の環境と説明
運用フリート管理・OTA更新ロボットの状態・位置を追う管理システムと、無線でのソフト更新。回収(リコール)の手順を整えたと説明
Helixの3層構造(会社の説明) 上の層ほどゆっくり考え、下の層ほど速く体を動かす System 2(S2) 状況を理解し目標を決める 言葉と場面を読み取り、「食洗機まで歩いて開ける」のような 大きな指示を、意味の信号にして下の層へ渡す System 1(S1) 毎秒200回 カメラ・手のひらカメラ・指先の触覚・体の状態を受け取り、 全身の関節の目標値をつくる System 0(S0) 毎秒1,000回 バランスと接触を調整し、関節に力の指令を出す。人の動きの データ約1,000時間とシミュレーションで学習(10Mパラメータ)
図解 Helix 02の3層構造。出典:Figure AIの2026年1月27日の技術記事。数値は会社の説明で、第三者による検証は確認できていません。
素材技術者の視点:やわらかさ・熱・電池が効く場所

手と皮膚:Figure 03の指先は、より柔らかい素材で接触面積を増やし、安定してつかめるようにしたと説明します。 触覚センサーは「市販品は実使用に耐えない」として自社で開発し、耐久性・信頼性・感度の3つを重視したと書いています 事実。 力を感じるセンサーは、ゴムのように柔らかい層と、変形を電気信号にする素子の組み合わせが多い分野ですが、Figureは構造や材料を公開していません。

前腕の熱:F.02で最も多かった故障は前腕でした。小さい空間に3自由度の関節と配線を詰め、熱の逃がし方も厳しいためです。 F.03では、前腕の中継基板と可動する配線をなくし、手首のモーター制御器が本体の計算機と直接通信する構造に作り直したと説明しています 事実。

やわらかい外装と電池:F.03は体を、はさまれ事故を防ぐ多密度のフォームと、洗える布で覆います。布は工具なしで交換でき、切れにくい素材を選べます。 電池は、管理回路・セル・接続部・パックの4つの層で保護し、国連の輸送試験規格UN38.3の認証を取得と説明しています 事実(UN38.3は輸送時の安全試験で、ロボットとしての安全認証ではありません)。

量産向けの製法:F.02は主に切削加工で作ったのに対し、F.03はダイカスト・射出成形・プレスを多く使うように変えたと説明します。金型への先行投資が必要ですが、数が増えるほど1台あたりの費用が下がる、という考え方です。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
実績を外から確かめにくいBMWでの稼働、350台超の出荷、Helixの性能はいずれも会社の発表・集計。独立した検証や、導入先による数字の確認は、確認した資料に見当たらない事実
ハードウェアの信頼性F.02では前腕が最大の故障箇所だったと会社が説明。F.03で設計を改めたが、F.03の長期の故障率は未公表事実
人のそばでの安全F.03は家庭向けの安全設計(フォーム・布・電池保護)を掲げるが、ロボット全体としての第三者の安全認証は確認できなかった。ヒューマノイド向けの安全規格は策定途上にある(本シリーズの技術解説『ロボットの安全規格の読み方』を参照)推測
計算とデータへの依存会社自身が、現在は「データと計算に大きく縛られている」と述べる。計算資源の確保は2027年後半からの計画事実 未確定/将来
データ収集の扱いIndexは一般の人が自宅・職場で撮影した動画を集める。映り込む人・場所の同意や個人情報の扱いに関する詳細は、確認した公式記事には書かれていなかった事実(記載なし)
係争2025年11月21日に元従業員が連邦地裁に訴えを提起し、会社は2026年1月16日に答弁と反訴を提出(裁判所記録)。係争中で、本稿は主張の当否を判断しない事実
計画の不確実さ年産12,000台、4年で10万台、家庭向けの提供などは、いずれも会社の目標未確定/将来

12. 用語集

ヒューマノイド
人と同じ形(頭・胴・2本の腕・2本の脚)をしたロボット。人のために作られた道具や場所をそのまま使える、という考え方。
物理AI
画面の中の文章や画像だけでなく、現実の物体を動かす場面で働くAI。
VLA(視覚・言語・行動モデル)
カメラの映像と言葉の指示から、ロボットの動き(行動)を直接つくるAI。Helixがこの種類。
ゼロショット
その場面で一度も訓練していない状態でそのまま試すこと。
アクチュエータ
関節を動かす部品(モーターと減速機などの組み合わせ)。
触覚センサー
指先などで、触れた力の大きさや滑りを感じる部品。
UN38.3
リチウム電池を輸送するときの国連の試験基準。ロボットの安全認証ではない。
ロコマニピュレーション
歩く(移動)と手で物を扱う(操作)を同時に行うこと。
シーケンシング
工場で、部品を組立の順番どおりに選んで並べる作業。
遠隔操作
人がロボットを操作して動かすこと。自律との区別が、実演を読むときの重要な点。
Form D
米国で、公開しない形の資金募集をSECに届け出る書類。会社の財務内容は含まれない。
垂直統合
部品・組立・ソフトなど、製品に必要な工程を自社でそろえること。
人型ロボットが棚の部品を取り扱う用途の概念です。物体認識と手の操作を組み合わせ、既存の棚や台車を使う作業を考えるための画像です。
図3 ImageGen生成の概念画像。人型ロボットが棚の部品を取り扱う用途の概念です。物体認識と手の操作を組み合わせ、既存の棚や台車を使う作業を考えるための画像です。 実在する製品・施設・実測結果ではありません。断面、色、矢印は理解のための表現で、寸法比は説明用です。

13. 出典

  1. Figure AI Introducing Figure 03(2025年10月9日)。Figure 03の設計・カメラ・触覚・充電・製造(BotQ)。 https://www.figure.ai/news/introducing-figure-03
  2. Figure AI F.02 Contributed to the Production of 30,000 Cars at BMW(2025年11月19日)。BMW工場での11か月の運用実績と前腕の故障。 https://www.figure.ai/news/production-at-bmw
  3. Figure AI F.03 Arrives at BMW(2026年6月30日)。Figure 03のBMW工場での部品整列(シーケンシング)の実演。 https://www.figure.ai/news/f-03-at-bmw
  4. Figure AI Ramping Figure 03 Production(2026年4月29日)。BotQの出荷台数・生産ペース・歩留まり。 https://www.figure.ai/news/ramping-figure-03-production
  5. Figure AI Introducing Helix 02: Full-Body Autonomy(2026年1月27日)。S0・S1・S2の3層構造。 https://www.figure.ai/news/helix-02
  6. Figure AI Helix 2.5: Zero-Shot 30-Home Generalization(2026年9月17日)。30軒の家での評価。 https://www.figure.ai/news/helix-2-5-zero-shot-30-home-generalization
  7. Figure AI Introducing Index(2026年8月25日)。人の動画を集めるデータ収集アプリ。 https://www.figure.ai/news/introducing-index
  8. Figure AI Figure Exceeds $1B in Series C Funding(2025年9月16日)。資金調達の公式発表。 https://www.figure.ai/news/series-c
  9. Figure AI Figure Announces Strategic Partnership with Brookfield(2025年9月17日)。 https://www.figure.ai/news/figure-announces-strategic-partnership-with-brookfield
  10. Figure AI Figure Signs Agreement with Catalyst Brands(2026年5月26日)。 https://www.figure.ai/news/figure-signs-agreement-with-catalyst-brands
  11. Figure AI Figure and Nscale Sign Strategic Partnership(2026年9月3日)。計算資源の契約。 https://www.figure.ai/news/figure-and-nscale-sign-strategic-partnership
  12. Figure AI Scaling Helix: a New State of the Art in Humanoid Logistics(2025年6月7日)。物流での取り組み。 https://www.figure.ai/news/scaling-helix-logistics
  13. Figure AI F.02 Decommission(2026年9月30日)。Figure 02の退役。 https://www.figure.ai/news/f-02-decommission
  14. Figure AI Notice Regarding Unauthorized Attempts to Sell Figure Stock(2026年7月8日)。株式の譲渡制限の告知。 https://www.figure.ai/news/notice-regarding-unauthorized-attempts-to-sell-figure-stock
  15. Figure AI Project Go-Big: Internet-Scale Humanoid Pretraining(2025年9月18日)。人の動画による事前学習。 https://www.figure.ai/news/project-go-big
  16. Figure AI 公式サイトの会社ページ(F.01〜F.03の説明)。 https://www.figure.ai/company
  17. Figure AI 公式ニュース一覧(日付・題名の確認用)。 https://www.figure.ai/news
  18. 米国SEC Figure AI Inc. の Form D(2024年3月13日提出)。Series Bの募集額・売付額・投資家数。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2014185/000149315224009735/primary_doc.xml
  19. 米国SEC EDGAR 提出書類の索引(CIK 0002014185)。提出者名・法人の州・住所の確認。 https://data.sec.gov/submissions/CIK0002014185.json
  20. 米国連邦地方裁判所(北カリフォルニア地区) 事件 5:25-cv-10094 の裁判所記録(CourtListenerの転載)。提起日・答弁・反訴の日付の確認のみ。 https://www.courtlistener.com/docket/71948915/gruendel-v-figure-ai-inc/

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
法人名 Figure AI Inc.、デラウェア州法人、設立年2023年、Series Bの募集額・売付額・投資家数事実出典18 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/2014185/000149315224009735/primary_doc.xml 出典19 https://data.sec.gov/submissions/CIK0002014185.json
第1世代F.01が2023年5月に初めて歩いた事実出典16 https://www.figure.ai/company
Figure 03の発表(2025年10月9日)と仕様(カメラ・触覚・充電・UN38.3・質量・製造方式)事実出典1 https://www.figure.ai/news/introducing-figure-03
BotQの第1世代ラインが年間最大12,000台、4年で10万台が目標未確定/将来出典1 https://www.figure.ai/news/introducing-figure-03
BotQから第3世代を350台超出荷、生産ペース1台/日から1台/時、歩留まり・検査の数字事実出典4 https://www.figure.ai/news/ramping-figure-03-production
Figure 02のBMW工場での11か月の運用実績(部品9万点超、1,250時間超、X3 3万台超)と前腕の故障事実出典2 https://www.figure.ai/news/production-at-bmw
Figure 02の退役(2025年11月開始、2026年9月30日の記事)事実出典2 https://www.figure.ai/news/production-at-bmw 出典13 https://www.figure.ai/news/f-02-decommission
Figure 03のBMW工場での部品整列(シーケンシング)の実演事実出典3 https://www.figure.ai/news/f-03-at-bmw
Helix 02の3層構造と数値(200Hz、1kHz、10Mパラメータ、1,000時間超、109,504行)事実出典5 https://www.figure.ai/news/helix-02
Helix 2.5の30軒での評価(成功率9%と56%)事実出典6 https://www.figure.ai/news/helix-2-5-zero-shot-30-home-generalization
Indexの数字(26.4万DL、週間4.4万、動画1,600万本、1,500万US$の支払い、今後12か月で10億US$超)事実出典7 https://www.figure.ai/news/introducing-index
Series Cが10億US$超のコミット済み資金で主導はParkway、出資者にBrookfield・NVIDIAなど事実出典8 https://www.figure.ai/news/series-c
Brookfieldとの提携(2025年9月17日)とProject Go-Big事実出典9 https://www.figure.ai/news/figure-announces-strategic-partnership-with-brookfield 出典15 https://www.figure.ai/news/project-go-big
Catalyst Brandsとの商用契約(リノの物流拠点から)事実出典10 https://www.figure.ai/news/figure-signs-agreement-with-catalyst-brands
Nscaleとの提携(最大10万GPU、35億US$、60億US$超の意図、2027年後半)事実出典11 https://www.figure.ai/news/figure-and-nscale-sign-strategic-partnership
物流でのHelixの改良(約5.0秒から短縮、バーコード向き約70%から約95%)と、同記事内での数値の揺れ事実出典12 https://www.figure.ai/news/scaling-helix-logistics
株式の譲渡には取締役会の承認が必要と会社が告知事実出典14 https://www.figure.ai/news/notice-regarding-unauthorized-attempts-to-sell-figure-stock
元従業員による訴え(2025年11月21日)、答弁と反訴(2026年1月16日)事実出典20 https://www.courtlistener.com/docket/71948915/gruendel-v-figure-ai-inc/
従業員数・売上・利益・評価額の扱い未確定/将来従業員数・売上・利益は非公表で推計しない。評価額は本稿の対象外。
Figure 03の販売価格・家庭向けの発売時期・BMW/Catalystの稼働台数・期間・独立した検証・ロボット全体の第三者安全認証未確定/将来確認した公式発表に記載なし。本稿では存在しないとも断定しない 出典17 https://www.figure.ai/news
大学・研究機関・公的機関との連携、他社の買収・事業売却未確定/将来確認した公式発表に記載なし 出典17 https://www.figure.ai/news
ヒューマノイド・物理AIが主たる類型、部品・基盤ソフトが従たる類型本稿の計算本稿による整理
学習の中心を人の動画へ移そうとしているという読み推測本稿の解釈(根拠は出典6・7・15)
出荷台数はそのまま顧客への導入台数ではないという読み推測本稿の解釈(根拠は出典4)
ヒューマノイド向けの安全規格が策定途上であること、ロボット全体の第三者認証が未確認であること推測本稿の解釈(技術解説『ロボットの安全規格の読み方』を参照)

最終更新:2026年10月25日/Troy Technical
本稿の数値は、Figure AIの公式サイトの発表とSEC提出書類(Form D)、連邦地裁の記録に基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。実演・導入・出荷・生産能力は会社の主張で、独立した検証は確認できていません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。評価額・投資判断には触れていません。