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インテュイティブ・サージカル 企業解説

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COMPANY PROFILE / ドローン・ロボティクス

インテュイティブ・サージカル
― 手術室で医師が使う「da Vinci」で、売上の8割超を「使われ続ける収益」が占める手術支援ロボットの会社

手術支援ロボット「da Vinci」は、医師が操作席で動かし、患者のそばのロボットアームが細い器具を動かす機械です。Intuitive Surgicalの2025年12月期の売上高は100.6億US$で、うち84%が器具・消耗品・保守サービス・運用リースによる「経常収益」でした。同年のda Vinciの手術件数は約315万件、設置台数は約11,106台です(会社の集計・推計)。本稿は、何を売り、どの手術の範囲までFDAなどが許可したか(日付つき)、会社の主張とどこが違うかを、Form 10-K・10-Qと米国FDAの公開データベースの範囲で整理します。治療や手術の効果・安全性が優れているとは断定しません。製品や許可の状況は変化が速いため、確認日(2026年10月25日)を明記しています。

構成:Intuitive SurgicalのForm 10-K(2025年12月期)・Form 10-Q(2026年9月期)・決算発表(8-K)と、米国FDAの510(k)許可書・openFDAのデータを一次情報として使用/確認日 2026年10月25日

この記事でわかること
  1. 30秒でわかるIntuitive Surgicalと、ドローン・ロボティクスでの立ち位置
  2. ロゴと社名の表記について
  3. ドローン・ロボティクスの世界で、この会社はどこにいるか
  4. 会社の規模
  5. ドローン・ロボティクスにかけているリソース
  6. これまでの取り組み
  7. 今後の計画
  8. この会社はドローン・ロボティクスで何を目指しているか
  9. ドローン・ロボティクス分野の提携マッピング
  10. 提供している技術・製品・サービス
  11. この企業が抱えるリスク
  12. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかるインテュイティブ・サージカルと、ドローン・ロボティクスでの立ち位置

正式名称Intuitive Surgical, Inc.米国デラウェア州法人。「Intuitive」と略す
本社米国・カリフォルニア州
サニーベール
1020 Kifer Road
上場Nasdaq: ISRG米国上場。会計年度は12月期
この分野での区分産業・専門ロボット手術室で使う手術支援ロボット。区分は本稿による
2025年12月期の売上高100.6億US$前期比21%増(Form 10-K)
da Vinciの手術件数(2025年)約315万件前期比18%増。会社の集計・推計
da Vinciの設置台数約11,106台2025年12月末。2026年9月末は約12,094台
従業員17,021人2025年12月末。うち研究開発2,288人
まず押さえるべき1点

Intuitive Surgicalは、医師が操作席(コンソール)で操作し、患者のそばのロボットアームが細い器具を動かす手術支援ロボット「da Vinci(ダヴィンチ)」の会社です。医師の代わりにロボットが手術を決めるものではなく、医師の手の動きを器具の細かい動きに変える道具です(Form 10-Kの説明)事実。このほか、肺の生検(組織を採る検査)に使う細いカテーテルのロボット「Ion」も手がけます。

本稿の特徴は2つです。1つは、売上の84%が「経常収益」(手術のたびに使う器具・消耗品、保守サービス、運用リース)で、本体を売るだけでなく使われ続けることで成り立つ構造であること 事実。もう1つは、承認ではなく「クリアランス(510(k))」という許可の取り方で、どの手術の範囲まで米国FDAが認めたかを、機器ごとに確認できることです。治療の効果・安全性が優れているとは、本稿では断定しません。会社の「より良い結果を目指す」という主張と、FDAが許可した使用の範囲は別のものです。

医療に関する注意

本稿は技術・事業の解説で、特定の手術や治療法を勧めるものではありません。FDAの「クリアランス」は、既に市販されている機器と実質的に同等であることを確認する手続き(510(k))の結果で、治療の効果を保証するものではありません。手術の選択は、患者と担当医が相談して決めるものです。

2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は Intuitive Surgical, Inc.、会社は「Intuitive」とも名乗ります(本稿は米国の親会社の開示に基づき、日本など各国の現地法人は扱いません)。製品名の da Vinci、Ion は同社の商標で、ロボットの名前であって人物名や別会社ではありません。中国の合弁会社 Intuitive Surgical-Fosun Medical Technology (Shanghai) は、上海復星医薬(Fosun Pharma)との合弁(Intuitive側が過半数を出資)で、別の法人です。

ロゴ画像の取得元:https://www.intuitive.com/assets/images/svg/isi-logo-black.svg

3. ドローン・ロボティクスの世界で、この会社はどこにいるか

この分野の会社は、何を作って誰に売るかで4つに分けると分かりやすくなります。Intuitive Surgicalは「産業・専門ロボット」のうち、病院の手術室で働く医療用ロボットです。売る相手は病院で、使うのは医師と手術チームです。

ドローン・ロボティクスに関わる企業の4つの類型 同じ「ロボットの会社」でも、何を作って誰に売るかで、強みと課題が違う ヒューマノイド・物理AI 産業・専門ロボット ドローン・eVTOL 部品・基盤ソフト 人型と学習するロボット 工場・医療・点検で働く 空を飛ぶ機体と運航 ロボットを支える部品とAI Figure AI/Boston Dynamics Unitree/UBTech FANUC/Yaskawa Universal Robots/Intuitive DJI/Skydio Zipline/Joby Harmonic Drive NVIDIA 学習と汎用性への期待 実績と信頼性 空の用途と規制対応 供給網での存在感 量産と実用の実績が途上 変化への対応と価格 規制と安全認証 需要が出荷次第 Intuitive Surgicalは「産業・専門ロボット」。病院の手術室で医師が使う手術支援ロボット(本稿の整理) 売上の84%は使うたびの器具・サービス・リースの経常収益(2025年12月期)。許認可は国ごと・手術ごと(Form 10-K)
図1 ドローン・ロボティクスに関わる企業の4類型と、Intuitive Surgicalの位置づけ。区分は本稿によるもので、企業名は本シリーズで扱う企業から例示しています 本稿の計算。Intuitive Surgicalの分類は本稿の整理で、売上の内訳はForm 10-Kの記載に基づきます。「弱点」の行は類型全体の一般的な傾向であり、同社個社の評価ではありません。
Intuitive Surgicalの売上高(億US$) Form 10-Kの連結売上高。2023年12月期〜2025年12月期(百万US$を億US$に換算) 71.2億US$ 2023年12月期 83.5億US$ 2024年12月期 100.6億US$ 2025年12月期 内訳(2025年):器具・消耗品60.2億、サービス15.7億、システム約24.7億(リース含む)。経常収益は売上の84%
図解 2025年12月期の売上高は前期比21%増(Form 10-K)。売上は同社の提出書類の数値で、市場全体の統計や調査会社の推計ではありません。

4. 会社の規模

Intuitive Surgicalはほぼ手術支援・診断ロボットの会社なので、会社全体がこの分野に当たります。数値はForm 10-Kと、SECのXBRL(財務データの公開API)のとおりです(単位:百万US$)事実。

指標(単位:百万US$)2023年12月期2024年12月期2025年12月期
売上高7,124.18,352.110,064.7
うち器具・消耗品4,276.65,079.06,018.9
うちサービス1,167.81,307.11,572.1
うち運用リース(固定払い・使用量払いを含む)500.5654.2874.3
経常収益が売上に占める割合83%84%84%
営業利益1,766.82,348.92,945.5
研究開発費998.81,145.31,311.8
有形固定資産の購入(設備投資)1,064.21,111.2539.8
事業の規模2024年12月期(末)2025年12月期(末)2026年7〜9月期(9月末)
da Vinciの手術件数(約)2,683,0003,153,000906,000(前年同期797,000)
da Vinciの設置台数(累計・約)9,90211,10612,094
da Vinciの新規設置台数(期間中)1,5261,721546
うちda Vinci 5の設置台数(期間中)362870315
Ionの設置台数(累計・約)8059951,152
Ionの手術・生検件数(約)95,500144,10049,700(前年同期37,900)

手術件数・設置台数は、会社が設置されたシステムのログなどから集計・推計した数字で、Form 10-Kは「推計と判断を含み、不確実性がある」と明記しています。件数の増加が売上の増加と一致するとは限りません 事実。経常収益の割合は、Form 10-Kの表のとおりです。

従業員(2025年12月31日)人数
全体(29か国)17,021
研究開発2,288
製造7,625
営業・サービス4,837
管理部門2,271

5. ドローン・ロボティクスにかけているリソース

4つの観点(人・金・外部との関係・研究機関との連携)を、Form 10-K/10-Qと公的データベースで確認できたか/できなかったかで整理します。「記載なし」も確認の結果です。

観点確認できた内容区分
人従業員17,021人。2025年に約1,383人増。研究開発2,288人、製造7,625人。拠点は29か国事実
金研究開発費13億1,180万US$(2025年12月期)。有形固定資産の購入は5億3,980万US$(前年は11億1,120万US$)。設備投資の内訳(拠点別・製品別)はForm 10-Kからは確認できなかった事実/確認できず
工場システムは米国のサニーベール(カリフォルニア州)とピーチツリーコーナーズ(ジョージア州)、および中国の合弁会社の工場で製造。器具・アクセサリーはサニーベールとメキシコのメヒカリ。Ion関連は米国バージニア州、内視鏡関連はブルガリアとドイツ事実
外部への出資・買収・合弁中国の合弁会社(Fosun Pharmaとの合弁。Intuitiveが過半数)。2026年3月1日にイタリア・スペイン・ポルトガル・マルタ・サンマリノなどのda VinciとIonの販売会社を約5億3,310万US$の現金で買収。ベンチャー投資ファンド「Intuitive Ventures」(2本)が初期の企業に投資(金額はForm 10-Kから確認できなかった)事実/確認できず
企業との共同開発Hillrom(現Baxter International)と、手術台の動きとロボットを連動させる「Integrated Table Motion」を共同開発事実
大学・研究機関・公的機関日本では、診療報酬(手術の保険点数)の獲得のため、大学病院と外科系の学会が会社の支援を受けて申請する枠組みがある。大学との共同研究、NIH・DARPA等の公的研究資金は、今回確認したForm 10-K/10-Qには記載を確認できなかった事実/確認できず

主要なロボット・製品の状況と、米国食品医薬品局(FDA)などの許可の範囲

性能の説明は会社の説明です。許可の範囲は、FDAの許可書(510(k))とForm 10-Kの「規制」の項で確認できた内容です。FDAの「クリアランス(510(k))」は、承認(PMA)とは別の手続きで、既に市販されている機器との実質的な同等性を確認するものです。確認日は2026年10月25日です。

名称(種別)会社の説明(仕様)許可の範囲(日付つき)段階出典
da Vinci 5(第5世代の手術支援システム)力の感覚を医師に伝える「フォースフィードバック」器具、新しい操作部、計算能力はda Vinci Xiの10,000倍超(会社の主張)米国FDA(2024年3月14日):泌尿器科・一般の腹腔鏡・婦人科の腹腔鏡・一般の胸腔鏡の手術で、成人に使用。心臓・小児の適応は除く。フォースフィードバックの針ドライバーは子宮摘出・子宮筋腫核出で禁忌。
米国FDA(データベース決定日2026年1月16日):胸腔鏡補助下の一部の心臓手術を追加(フォースフィードバックなしの器具で)。
EU(2025年7月):成人・小児の腹部骨盤・胸腔の手術(フォースフィードバックは除く)。日本(2025年6月):心臓以外の全診療科。韓国(2024年10月)
提供(2025年に870台を設置)出典1・4・5
da Vinci SP(単孔式システム)1つの穴から3本の器具と内視鏡を出す。単一の腕米国FDA:2023年4月に前立腺手術の一部、2024年7月に胸腔鏡手術、2024年12月に大腸の手術、2025年5月に経肛門の局所切除、2025年12月に胆嚢摘出・鼠径ヘルニア・虫垂切除・乳頭温存乳房切除の一部。EU(2024年1月)、台湾(2024年8月)提供出典1
da Vinci X/Xi(第4世代)da Vinci 5より前の世代。現在も多くの病院で使われる各国で複数の適応を取得(詳細はForm 10-Kの「規制」の項)。FDAのデータベースに、2025年4月1日・2025年6月11日の決定(da Vinci X/Xiの許可の更新)が登録されている提供出典1・8
Ion(気管支鏡ロボット)細いカテーテルで肺の末梢にある病変から組織を採る。形状を測るセンサーで経路を示す(会社の説明)米国FDA(2019年):最初の使用目的は肺の最小侵襲の生検。2025年10月にAIを加えたソフトウェアの更新、2024年4月に1本のカテーテルの使用回数を5回から8回に拡大。EU(2025年2月)で同様の拡大。中国NMPA(2024年3月)提供(2025年に195台設置)出典1・8
Intuitive Endoluminal GI System(IG1000)食道・胃・十二指腸の内視鏡を、ロボットで操作する新しいシステム米国FDA(510(k) K253702、データベース決定日2026年8月7日):上部消化管(食道・胃・十二指腸)の観察・診断・内視鏡治療の際の、ロボット内視鏡の操作。比較対象は富士フイルムの内視鏡許可を取得。発売時期・導入台数は確認できなかった出典6
この表で確認できなかったこと

各機種の価格、国ごとの診療報酬、臨床試験の結果、導入病院名、IG1000の発売時期は、今回確認した資料に記載がありませんでした 未確定/将来。国内(日本)での各機種の許可の範囲は、Form 10-Kの記載の範囲にとどめ、日本の医療機器の承認番号などは確認していません。

6. これまでの取り組み

時期できごと意味
1999年最初のda Vinciを発売会社の記載
2000年FDAが一般の腹腔鏡手術での使用を許可最初の米国での許可。その後、泌尿器・婦人科・胸部・頭頸部などへ拡大
2019年FDAがIonを許可(最初の使用目的は肺の生検)手術から診断へ範囲を広げた
2023年6〜8月中国のNMPAが現地版のda Vinci Xiを承認。合弁会社が製造許可を取得中国での製造・販売体制
2024年3月14日FDAがda Vinci 5を許可(510(k) K232610)第5世代の最初の米国での許可
2025年da Vinci 5を欧州・日本で許可。年間のda Vinci 5設置は870台米国外でも導入が始まる
2026年1月FDAがda Vinci 5の胸腔鏡補助下の一部の心臓手術での使用を許可適応が心臓の領域に拡大
2026年3月1日南欧の販売会社を買収(約5億3,310万US$)直接販売の範囲が拡大
2026年8月7日FDAが上部消化管向けのIG1000を許可(データベース決定日)ロボット内視鏡の領域へ
2026年10月反トラスト集団訴訟について、4億5,000万US$の一時金と差止めなどで和解することに合意(裁判所の承認待ち。会社の責任は認めていない)訴訟の経過。裁判所の手続は未了

7. 今後の計画

会社は2026年10月20日の決算発表で、2026年の見通しを示しています。見通しは会社の予想で、達成の事実ではありません 未確定/将来。

2026年の手術件数の伸び約14〜15%da Vinciの世界全体。会社は「中央値に近い」と見込む
2026年の粗利益率68.7〜69.3%非GAAPベース。関税の影響(売上の0.9%)を含む
2026年の営業費用の伸び11〜13%非GAAPベース
IG1000許可取得済み発売時期・台数は確認できなかった
確認できなかったこと

da Vinci 5の海外での展開の台数目標、IG1000の販売計画、新製品の投入時期、中期の売上目標は、今回確認した資料に記載がありませんでした 未確定/将来。会社の「展望」の記述(より低侵襲な医療の実現など)は理念で、数値目標ではありません。

8. この会社はドローン・ロボティクスで何を目指しているか

ここには会社が直接は述べていない部分が含まれます。一次資料から読み取れる範囲の推測を、根拠とともに書きます。

読み取れること根拠となる一次資料区分
売上の中心は本体の販売ではなく、使われ続けることから生まれる収益Form 10-K:経常収益(器具・消耗品、サービス、運用リース)が売上の84%。運用リースは固定払いまたは使用量に応じた払いの契約事実
手術の範囲(適応)を1つずつ広げることが成長の軸Form 10-K/FDAの許可書:da Vinci SPは2023年から複数の手術を段階的に追加。da Vinci 5は心臓へ。FDAのデータベースには同社の決定が198件並ぶ推測
手術の外側(診断・内視鏡)へロボットの範囲を広げているIon(肺の生検、2019年)、IG1000(上部消化管、2026年)の許可推測
販売・サービスを自社で持つ方向2026年3月の南欧の販売会社の買収。中国は合弁。米国外の多くは販売代理店を使うと記載推測
部品・材料の調達と関税が経営上の重要課題2025年は関税などで売上原価が約6,300万US$増。中国のレアアース(磁石を含む)の輸出規制を、部品調達のリスクとして記載事実
推測の根拠を1つだけ詳しく

da Vinci SPの許可の履歴を並べると、2023年4月(前立腺の一部)、2024年7月(胸腔鏡)、2024年12月(大腸)、2025年5月(経肛門)、2025年12月(胆嚢・ヘルニア・虫垂・乳房の一部)と、約半年おきに手術の種類が増えていることが分かります(Form 10-K)事実。ここから、同社は新しい機械を出すだけでなく、同じシステムで扱える手術の範囲をFDAに申請して広げていくことを成長の手段にしていると読めます 推測。ただし、どの手術が増えるかは臨床上の必要性や医師の需要にも左右されるため、個々の追加が売上にどれだけ寄与するかは確認できませんでした 未確定/将来。

9. ドローン・ロボティクス分野の提携マッピング

Intuitive Surgicalを中心とした関係 Form 10-K/10-Qと公的文書に記載のある関係のみ。報道だけの関係は含まない(確認日 2026年10月25日) Intuitive 手術支援ロボット Fosun Pharma(中国) 合弁会社。Intuitiveが過半数 ab medica・Abexなど 南欧の販売会社(2026年3月買収) Intuitive Ventures 初期の企業に投資する2本のファンド Hillrom(現Baxter) 手術台との連動を共同開発 日本の大学病院・学会 診療報酬の申請の枠組み 米国FDA 510(k)の許可(規制当局) 共同開発・協力 出資・買収・合弁 規制当局(許認可)
図2 出典:Form 10-K(2025年12月期)、Form 10-Q(2026年9月期)、FDA 510(k)データベース。図に含めたのは提出書類・公的文書に記載がある関係だけで、報道で語られる関係は含めていません。契約の金額・期間・役割の多くは記載がなく、確認できませんでした。

日本の大学病院・学会との関係は、診療報酬を得るための手続きに関するForm 10-Kの記載で、共同研究の契約ではありません 事実。また、Form 10-Kは「米国外の多くの国では販売代理店を通じて販売する」と書いており、個々の代理店の名前や契約条件は記載がありません 未確定/将来。

10. 提供している技術・製品・サービス

da Vinciシステムは、操作席(サージョンコンソール)、患者側カート(器具を持つ腕)、ビジョンシステム(立体の高精細な映像)、手術用の器具で構成されます(Form 10-K)。医師は座って操作し、手の動きが器具の小さな動きに変換されます 事実。

da Vinciの売上は「本体」と「使うたびの消耗品・保守」からなる Form 10-Kの区分にもとづく本稿の図解(2025年12月期。金額は百万US$) システム本体 ロボット支援システムの 販売・リース 約2,470(リース含む) 器具・消耗品 手術のたびに使う 器具とアクセサリー 6,018.9 サービス 保守・修理・ 技術サポート 1,572.1 濃い枠=会社が「経常収益」と呼ぶ区分(器具・消耗品、サービス、運用リースの合計:売上の84%) 運用リース(固定払い・使用量払いを含む)は874.3百万US$で、上の「システム本体」の中に含まれる
図解 da Vinciの売上は、システム本体と、使うたびに必要になる器具・消耗品、保守サービスの3つで構成されると、Form 10-Kは区分しています。
区分内容(会社の説明)用語の説明
da Vinci(多孔式:X/Xi/5)複数の小さな穴から器具と内視鏡を入れる。約70種類の器具。多くは決まった回数まで再利用でき、器具の中のメモリチップが使用回数を記録腹腔鏡手術:お腹に小さな穴をあけ、器具を入れて行う手術
da Vinci SP(単孔式)1つの穴から3本の器具と内視鏡を出す。単一の腕が全てを支える単孔:穴を1つにする方式
Ion(気管支鏡)極細のカテーテルで肺の末梢の病変にたどり着き、生検(組織の採取)を行う。形状を測るセンサーで位置を知る生検:診断のために組織を少し採る検査
Intuitive Endoluminal GI(IG1000)食道・胃・十二指腸を観察し、内視鏡で処置するロボット内視鏡エンドルミナル:管の内側(消化管など)を通って行う処置
デジタル・学習My Intuitiveアプリ、SimNow(VRシミュレータ)、Case Insights、Intuitive Hub(エッジ計算機)手術のデータを使った学習・振り返りの道具(会社の説明)
素材技術者の視点:磁石と、使い回す器具の寿命

Form 10-Kは、中国が2025年に発表したレアアースを含む製品の輸出規制について、「レアアース元素は当社製品の一部の部品に重要で、中国が主要な生産国である」「磁石を含むレアアースの輸出制限は、当社製品の多くの部品へのアクセスを制約し得る」と書いています 事実。ロボットの関節を動かすモータには強い磁石が使われるのが一般的ですが(一般論)、どの部品にどの材料を使っているかはForm 10-Kに記載がありません 未確定/将来。本シリーズの技術解説「永久磁石とレアアース」とあわせて読むと、背景が分かります。

もう1つは器具の寿命です。多くの器具は「決まった回数まで」再利用でき、洗浄・滅菌を繰り返します。Ionのカテーテル器具は、FDAが2024年4月に使用回数を5回から8回に増やすことを許可しました(EUは2025年2月)事実。繰り返しの洗浄と曲げに耐えるには、金属・樹脂・ワイヤの疲労(くり返しの力で壊れやすくなること)や、洗浄剤への耐性が関わります(一般論)。会社は使用回数を増やした根拠となる試験を公表していません 未確定/将来。なお、「force feedback instruments」(K253986)の許可は、設計と洗浄方法の変更が理由で、使用目的は変わっていないとFDAの文書にあります。

11. この企業が抱えるリスク

リスク内容区分
競争Form 10-Kは、Johnson & Johnson、Medtronic、Medicaroid、中国・韓国・米国の複数の企業など多数の競合を挙げ、競争が激しいと記載事実
診療報酬・病院の予算病院が診療報酬を受けられなければ、導入が進まない可能性事実
製品の不具合・リコールFDAのリコールデータベースには同社の記録が277件あり、2026年4月にもda Vinci 5のタワー部品などの記録が登録されている。件数は製品・型番単位の記録で、重大性や原因の比較はできないため、本稿は評価しない事実
関税・貿易措置2025年に関税などで売上原価が約6,300万US$増加。2026年はさらに増える見込み。主な製造はメキシコ(器具)・ドイツ(内視鏡)、中国から一部の材料を輸入事実
レアアース・部品調達中国の輸出規制が部品調達と製品の輸出許可に影響する可能性。単一・唯一の供給元の部品がある事実
反トラスト訴訟器具の修理・交換に関する集団訴訟で、2026年10月に4億5,000万US$の一時金などで和解合意。裁判所の予備承認・最終承認が必要で、会社は責任を認めていない事実
規制の遅れFDAや欧州で許可までの期間が長くなっていると会社が記載事実
AI・サイバーAIを製品に組み込むことに法規制上のリスクがあり、情報システムの障害・攻撃のリスクも記載事実
新製品の収益化IG1000などの新しい製品の販売・導入は確認できていない未確定/将来

12. 用語集

手術支援ロボット
医師の操作を、器具の細かい動きに変えて行う手術のための機械。ロボットが自分で手術を決めるものではない。
da Vinci(ダヴィンチ)
Intuitive Surgicalの手術支援ロボットの製品名。
低侵襲(MIS)
体の傷を小さくする手術。患者の体への負担を減らすことを目指す。
腹腔鏡手術
お腹に小さな穴をあけ、器具とカメラを入れて行う手術。
生検
診断のために、組織を少し採る検査。
510(k)(クリアランス)
米国FDAの手続き。既に市販されている機器と実質的に同等であることを確認する。承認(PMA)とは別。
適応(使用目的)
その機器を使ってよいと許可された手術や用途の範囲。
禁忌
その機器を使ってはいけないと定められた条件。
フォースフィードバック
器具にかかる力を、医師が感じ取れるように伝える機能。
経常収益
会社の用語。器具・消耗品、サービス、運用リースの合計。
運用リース
システムを貸し出し、固定額または使用量に応じて支払ってもらう契約。
設置台数(インストールドベース)
病院に設置され、使われているシステムの累計。
Form 10-K/10-Q
米国の上場会社が提出する年次報告書/四半期報告書。
openFDA
米国FDAが公開しているデータベース用のAPI。
持分法・合弁
他社と出資し合って作る会社。
離れた操作席と訓練用のロボットを対応させた画像です。操作を器具の動きへ伝える構成を説明し、実際の製品、自律手術、臨床成績を示すものではありません。
図3 ImageGen生成の概念画像。離れた操作席と訓練用のロボットを対応させた画像です。操作を器具の動きへ伝える構成を説明し、実際の製品、自律手術、臨床成績を示すものではありません。 実在する製品・施設・実測結果ではありません。断面、色、矢印は理解のための表現で、寸法比は説明用です。

13. 出典

  1. Intuitive Surgical Form 10-K(2025年12月31日終了の会計年度。米国SEC提出、2026年2月3日)。事業内容・製品・規制上の許認可の一覧・業績・手術件数・設置台数・従業員・製造拠点・リスク要因。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
  2. Intuitive Surgical Form 10-Q(2026年9月30日終了の四半期。米国SEC提出、2026年10月21日)。2026年7〜9月期の業績、手術件数、設置台数、販売会社の買収、反トラスト集団訴訟の和解合意。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000071/isrg-20260930.htm
  3. Intuitive Surgical 2026年第3四半期の決算発表(Form 8-K 添付資料99.1。2026年10月20日)。2026年の見通し(会社の予想)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000067/q326ex-991earningsrelease.htm
  4. 米国FDA 510(k) K232610:da Vinci Surgical System Model IS5000(da Vinci 5)。FDAの許可書と使用目的(2024年3月14日)。 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf23/K232610.pdf
  5. 米国FDA 510(k) K251739:da Vinci Surgical System (IS5000)。心臓手術の一部を使用目的に加えた許可。FDAデータベース上の決定日は2026年1月16日。 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf25/K251739.pdf
  6. 米国FDA 510(k) K253702:Intuitive Endoluminal Gastrointestinal System (IG1000)。上部消化管向けの新しいシステム。FDAデータベース上の決定日は2026年8月7日。 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf25/K253702.pdf
  7. 米国FDA 510(k) K253986:da Vinci Force Feedback Instruments。FDAデータベース上の決定日は2026年3月11日。 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf25/K253986.pdf
  8. 米国FDA(openFDA) 510(k)データベースの公開API(申請者 Intuitive Surgical。決定日の新しい順。確認日 2026年10月25日)。許可番号・決定日・機器名の一覧。 https://api.fda.gov/device/510k.json?search=applicant:%22Intuitive+Surgical%22&limit=100&sort=decision_date:desc
  9. 米国FDA(openFDA) 医療機器リコールデータベースの公開API(リコール実施者 Intuitive Surgical。新しい順。確認日 2026年10月25日)。 https://api.fda.gov/device/recall.json?search=recalling_firm:%22Intuitive+Surgical%22&limit=8&sort=event_date_initiated:desc
  10. 米国SEC EDGAR XBRL company facts API(CIK 0001035267)。売上高・営業利益・研究開発費の年次の数値の確認。 https://data.sec.gov/api/xbrl/companyfacts/CIK0001035267.json
  11. Intuitive Surgical 公式サイトのロゴ画像(isi-logo-black.svg。ロゴ画像の取得元。公式サイトは自動取得を拒むため、ブラウザで取得して確認。確認日 2026年10月25日)。 https://www.intuitive.com/assets/images/svg/isi-logo-black.svg

14. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
正式名称、本社、上場、従業員17,021人と内訳事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
売上高・営業利益・研究開発費(2023〜2025年12月期)事実出典1・10 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm https://data.sec.gov/api/xbrl/companyfacts/CIK0001035267.json
器具・消耗品、サービス、運用リース、経常収益の割合(83〜84%)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
有形固定資産の購入(設備投資)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
手術件数・設置台数・新規設置台数(2024〜2025年、2026年7〜9月)事実出典1・2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000071/isrg-20260930.htm
製造拠点、中国の合弁会社、Hillromとの共同開発、Intuitive Ventures事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
2026年3月1日の販売会社の買収(約5億3,310万US$)事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000071/isrg-20260930.htm
da Vinci 5の許可(FDA 2024年3月14日、心臓は2026年1月)と使用目的・禁忌事実出典4・5・1 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf23/K232610.pdf https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf25/K251739.pdf https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
da Vinci 5のEU・日本・韓国での許可事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
da Vinci SPの許可の履歴(2023年4月〜2025年12月)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
Ionの許可、AIソフトウェアの更新、使用回数の拡大(5回→8回)事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
IG1000のFDA許可(使用目的、決定日2026年8月7日)事実出典6・8 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf25/K253702.pdf https://api.fda.gov/device/510k.json?search=applicant:%22Intuitive+Surgical%22&limit=100&sort=decision_date:desc
Force Feedback Instruments(K253986)の許可と変更点事実出典7 https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf25/K253986.pdf
FDAのリコールデータベースの記録(277件)事実出典9 https://api.fda.gov/device/recall.json?search=recalling_firm:%22Intuitive+Surgical%22&limit=8&sort=event_date_initiated:desc
関税による売上原価の増加(2025年約6,300万US$)、レアアース輸出規制の記載事実出典1 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
反トラスト集団訴訟の和解合意(4億5,000万US$、裁判所の承認待ち)事実出典2 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000071/isrg-20260930.htm
2026年の見通し(手術件数14〜15%増など)未確定/将来出典3 会社の予想であり、達成の事実ではない https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000067/q326ex-991earningsrelease.htm
手術・治療の効果や安全性が優れているという評価未確定/将来本稿では断定しない。会社の主張とFDAの許可の範囲は別のもの
各機種の価格、導入病院、IG1000の発売時期、臨床試験の結果未確定/将来今回の資料に記載なし。本稿では推定しない
売上の中心は使われ続けることから生まれる収益という整理事実出典1 Form 10-Kの表の数値による https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
手術の範囲を段階的に広げることが成長の軸という読み推測出典1・8 FDAの許可の履歴からの本稿の解釈 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm https://api.fda.gov/device/510k.json?search=applicant:%22Intuitive+Surgical%22&limit=100&sort=decision_date:desc
診断・内視鏡へ範囲を広げているという読み推測出典1・6 Ion・IG1000の許可からの本稿の解釈 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm https://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf25/K253702.pdf
販売・サービスを自社で持つ方向という読み推測出典2・1 買収と販売体制の記載からの本稿の解釈 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000071/isrg-20260930.htm https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1035267/000103526726000010/isrg-20251231.htm
企業の4類型の区分(産業・専門ロボット)本稿の計算本稿による整理。企業名は本シリーズの企業から例示

最終更新:2026年10月25日/Troy Technical
本稿の数値はすべてIntuitive Surgicalが米国SECに提出した書類と、米国FDAの公開文書・データベースに基づきます。調査会社の市場推計・報道ベースの数値は使用していません。性能や効果の説明は会社の主張で、独立した検証ではありません。「推測」と記した箇所は、一次資料から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。本稿は医療・投資・購入の助言ではありません。