COMPANY PROFILE / ドローン・ロボティクス
ボストン・ダイナミクス
― 四足のSpotと倉庫のStretchで実績を重ね、電動の人型Atlasを親会社のグループとともに現場へ進めている
Boston Dynamicsは、米国マサチューセッツ州の非上場のロボット企業で、Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)の傘下にあります。四足歩行の点検ロボットSpot、箱を動かす倉庫ロボットStretch、人型のAtlasの3つを持ち、会社は2026年1月に電動Atlasの製品版を発表しました。同年9月には、グループの米国工場の敷地にAtlasの訓練拠点を開き、2028年の工場導入開始などは、いずれも会社とグループの計画(未確定)です。10月にはCEOの交代も発表されました。本稿は同社とHyundai Motor Groupの公式発表だけに基づき、売上・出資比率など非公表の点は書きません。確認日は2026年10月25日です。
- 30秒でわかるBoston Dynamicsと、ドローン・ロボティクスでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- ドローン・ロボティクスの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模
- ドローン・ロボティクスにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社はドローン・ロボティクスで何を目指しているか
- ドローン・ロボティクス分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集
- 出典
- 主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるボストン・ダイナミクスと、ドローン・ロボティクスでの立ち位置
+ ヒューマノイドSpot・Stretchが産業・専門ロボット、Atlasがヒューマノイド
Boston Dynamicsは、30年超の研究開発の歴史を持ちながら、すでに売っている製品(Spot・Stretch)とこれから現場へ入れる製品(Atlas)を分けて見る必要があります 事実。 Spotは製品ページで顧客のもとに1,500台超、Stretchは倉庫で箱を動かす製品として売られています。 一方のAtlasは、2026年1月に「製品版」が発表されたものの、2026年10月の会社の説明でも「開発中の電動ヒューマノイド」と書かれており、 工場での本格導入は2028年以降の計画です。 さらに、最初の大口顧客は親会社のHyundai Motor Group自身で、グループの米国工場がAtlasの訓練の場になっています。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:社名はBoston Dynamics(半角の2語)です。Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)の傘下にあり、グループには別会社のHyundai Motor Company・Kia・Hyundai Mobisなどが含まれます。また、同じくグループ内の姉妹会社RAI(Robotics and AI Institute)は別の組織です。ロゴは公式サイトのロゴファイルで、上下の余白だけを切り詰めています(図柄は未加工)。
公式サイト:https://bostondynamics.com/3. ドローン・ロボティクスの世界で、この会社はどこにいるか
ドローン・ロボティクスの会社は、何を作って誰に売るかで4つの類型に分けて考えると見通しがよくなります。 Boston Dynamicsは、産業・専門ロボット(工場・倉庫・点検の現場で働くロボット)としてSpotとStretchを売っており、 ヒューマノイド・物理AI(人型で、AIで学ぶロボット)としてAtlasを開発しています。2つの類型にまたがるため、図では2つの枠を強調します。 物理AIとは、画面の中だけでなく、現実の物体を動かすAIのことです 事実。
図の下段の「弱点」は、類型全体に見られがちな課題を一般的に書いたもので、Boston Dynamicsへの評価ではありません。
4. 会社の規模
Boston Dynamicsは非公開企業で、売上・利益・従業員数の総数を公表していません。大企業の傘下ですが、本稿では会社全体の事業ではなく、確認できた範囲だけを書きます(確認日 2026年10月25日)。
| 指標 | 確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 沿革 | 1992年にMarc RaibertがMITのLeg Labから独立して創業し、のちにRobert Playterが加わる。2004年にBigDog、2013年に初代Atlas、2020年にSpotの商用化、2021年にStretchを発表、2024年に電動Atlasを披露 | 事実 |
| 本社・拠点 | 米国マサチューセッツ州ウォルサム。2026年9月にジョージア州サバンナ近郊のHyundai Motor Group Metaplant America(HMGMA)にAtlasの訓練拠点RMACを開設 | 事実 |
| 売上・利益 | 非公表。本稿では推計しない | 事実 |
| 従業員数 | 総数は非公表。2025年4月のタウンホールには800人超が参加と発表に記載されているが、これは参加者数で、従業員の総数ではない | 事実 |
| 親会社との関係 | Hyundai Motor Groupの傘下。グループ副会長のJaehoon ChangがBoston Dynamicsの取締役会の議長を務めると、2026年10月の発表に記載。出資比率と取得時期は確認できず | 事実 |
| 導入実績(会社の数字) | Spotは顧客のもとに1,500台超(製品ページ)、40か国超で利用。SpotとStretchを合わせて2,000台超を過去5年間で導入(2026年1月)。Stretchは2023年の発売以来2,000万個超の箱を扱ったとHyundai Motor Groupが説明 | 事実 |
| 経営体制 | 2026年6月24日の発表ではAmanda McMasterが暫定CEO。2026年10月6日にRohit Prasad(元Amazon)の就任(10月7日付)を発表 | 事実 |
導入台数は会社の数字で、納入先ごとの内訳・稼働状況・継続利用の割合は公表されていません。 また、Hyundai Motor Groupの公式発表にあるStretchの「2,000万個超」は、グループ側が語る数字であり、Boston Dynamics自身の同じ数字は確認できませんでした。
5. ドローン・ロボティクスにかけているリソース
人・金・外部への出資や買収・大学や公的機関との連携の4点について、公式発表で確認できたかを表にします。「記載なし」も確認結果です。
| リソースの種類 | 確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 総数は非公表。新拠点(ウォルサム)で、2033年までに1,250人の新規雇用を見込む(会社の見込み) | 事実 未確定/将来 |
| 金:施設 | ウォルサムの32.3万平方フィートの建物を、AI・先端製造・研究・人材育成の拠点に改装する計画。会社は1億US$を投資予定で、州から2,500万US$のEDIP(経済開発優遇)の認定を受けたと説明。移転は2027年半ばから段階的 | 事実 未確定/将来 |
| 金:親会社のグループ | グループは米国に総額210億US$を投資し、そのうち60億US$を米国企業との提携の強化に充てると発表(2025年3月末)。ロボットを今後数年で数万台購入する方針で、グループがBoston Dynamicsの最大の顧客になると会社が説明 | 事実 未確定/将来 |
| 外部への出資・買収・合弁 | 他社の買収・出資・事業売却は、確認した公式資料に記載なし(確認できず)。提携は、FieldAI・Google DeepMindなど(第9章) | 確認できず |
| 公的機関との連携 | マサチューセッツ州のEDIP認定(上記)。Atlasの訓練はHyundai Motor Groupの米国工場内の拠点RMACで行う。軍・国防関連の契約は、本稿では扱わない | 事実 |
| 大学・研究機関との連携 | MITのLeg Labからの創業(1992年)。2025年4月の発表は、Toyota Research Instituteとの提携にも言及。共同研究の内容は確認できなかった | 事実(内容は確認できず) |
主要な製品・設備の状況を、会社の公式資料で確認できた範囲で整理します(確認日 2026年10月25日)。仕様は会社の公称です。
| 名称 | 種別 | 主な仕様・実績(会社の公称・条件つき) | 段階 | 日付 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| Atlas(電動・製品版) | ヒューマノイド | 56自由度、身長1.9m、腕の届く範囲2.3m、質量90kg。瞬間50kg・継続30kgの持ち上げ。電池は通常使用で約4時間、自動で交換(3分未満)。IP67、-20〜40℃。「自律で動くが、VRヘッドセットやタブレットでの操作もできる」と説明 | 製品版を発表(2026年10月の会社紹介文でも「開発中」) | 2026年1月5日 | 出典1 https://bostondynamics.com/products/atlas/ 出典4 https://bostondynamics.com/blog/enterprise-robotics-redefined/ 出典5 https://bostondynamics.com/news/boston-dynamics-unveils-new-atlas-robot/ |
| Atlasの導入(Hyundai) | 導入計画 | 会社は「完了した導入が昨年あり、2026年にRMACへ出荷予定」と説明。グループは、2028年にHMGMAで部品整列から導入、2030年に部品組立へ拡大、年産3万台の体制を2028年までに目指すと発表。2026年9月の発表は、グループが数年でHyundai・Kiaの工場に25,000台を入れる計画と記載 | 訓練中・導入は計画 未確定/将来 | 2026年1月・9月 | 出典4 https://bostondynamics.com/blog/enterprise-robotics-redefined/ 出典6 https://www.hyundaimotorgroup.com/en/news/hyundai-motor-group-announces-ai-robotics-strategy–to-lead-human-centered-robotics-era-at-ces-2026 出典8 https://bostondynamics.com/news/boston-dynamics-opens-robotics-metaplant-application-center-to-train-humanoid-robots-for-manufacturing-tasks/ |
| Atlasの手 | 部品 | 指4本・13自由度、関節は直接駆動、アクチュエータは外部のケーブルのない密閉構造。指先と手のひらに圧力式の触覚センサー。100ポンド超の冷蔵庫を持ち上げられる強さと説明(会社の記事) | 開発中・Atlasに搭載 | 日付の表示なし | 出典14 https://bostondynamics.com/blog/robot-hands-for-modern-ai-and-real-work/ |
| Spot | 四足の点検ロボット | 質量33.8kg(電池込み)、最高1.6m/s、最大段差300mm、IP54、-20〜55℃、電池564Wh・平均稼働90分、ペイロード最大14kg。顧客のもとに1,500台超 | 提供 | 確認日 2026年10月 | 出典2 https://bostondynamics.com/products/spot/ |
| Stretch | 倉庫の箱移動ロボット | 標準的な箱から外装の派手な箱まで、最大50ポンド(約22.7kg)。コンテナの荷降ろし等で、1時間に数百ケースを動かせると説明。Otto Groupは2023年に10施設以上で荷降ろしを始め、2025年末までに全施設で稼働する目標と発表 | 提供(Otto Groupの展開の実績は確認できず) | 確認日 2026年10月 | 出典3 https://bostondynamics.com/products/stretch/ 出典11 https://bostondynamics.com/news/otto-group-teams-up-with-boston-dynamics-to-strengthen-logistics-operations/ |
| Orbit/AIVI-Learning | 運用管理・画像検査ソフト | Spotの点検画像の解析にGoogleのGemini Robotics ER 1.6を統合し、2026年4月8日時点で契約している顧客に提供。ただしデータの共有が必須で、共有先はBoston Dynamicsのみと説明 | 提供 | 2026年4月8日 | 出典13 https://bostondynamics.com/blog/aivi-learning-now-powered-google-gemini-robotics/ |
「段階」の「計画」「訓練中」は、実現が確定したことを意味しません。FIFAワールドカップ2026の警備など、実際のSpotの利用は第10章で触れます。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 1992年 | Marc RaibertがMIT Leg Labから独立して創業 | 脚で動くロボットの研究を事業にした出発点 |
| 2004年/2013年 | 四足のBigDogが実験室の外へ/初代Atlas(油圧式)が登場 | 全身のバランスと敏捷性の研究 |
| 2020年/2021年 | Spotの商用化/Stretchの発表 | 研究から製品へ |
| 2023年9月11日 | Otto GroupがSpot(10施設超)とStretch(20施設超)を向こう2年で導入する戦略合意 | 2製品を同時に企業規模で展開する計画。実際の展開状況は確認できず |
| 2024年 | 電動Atlasを披露(会社の沿革) | 油圧式から電動式へ |
| 2025年4月3日 | Hyundai Motor Groupが、ロボットを数万台購入する方針と、Boston Dynamicsとの協力の拡大を発表 | グループが最大の顧客になると会社が説明 |
| 2026年1月5日 | CES(米国の家電見本市)で電動Atlasの製品版を発表。Hyundai Motor GroupはGoogle DeepMindとBoston Dynamicsの提携を発表 | Atlasを商用の製品へ進める節目 |
| 2026年3月12日 | FieldAIと提携し、Spotを建設現場などで自律的に動かす | 外部のAI企業との協力 |
| 2026年4月8日 | 画像検査ソフトAIVI-LearningがGemini Robotics ER 1.6に切り替わる | 点検用AIの外部モデル利用 |
| 2026年6月24日 | ウォルサムに32.3万平方フィートの新拠点を計画。1億US$を投資、州が2,500万US$を認定 | 製造・AI・訓練を1か所に集約 |
| 2026年(大会期間中) | FIFAワールドカップ2026で、Spotがダラスの国際放送センターとNY/NJのスタジアムで周辺の警備を支援 | 実運用の事例(会社の発表。警備員が最終判断) |
| 2026年9月21日 | HMGMAにRMAC(Atlasの訓練・検証の拠点)を開設。Atlasは訓練中 | グループ工場内での訓練の開始 |
| 2026年10月6日 | Rohit PrasadのCEO就任を発表(10月7日付) | 経営体制の移行。理由は公式資料に記載なし |
7. 今後の計画
次の項目はすべて会社またはHyundai Motor Groupの目標・計画で、達成した事実ではありません 未確定/将来。
ウォルサムの新拠点には2027年半ばから段階的に移り、会社は「今年代に第3のロボットのプラットフォームを立ち上げる」と説明しています 未確定/将来。他業種の使い道では、既存のSpot・Stretch顧客(製造・航空宇宙・半導体・物流・飲料・食品・ライフサイエンス)と、2027年のAtlas訓練に向けたデータ収集の協議中と書かれています。
次はいずれも、確認した公式資料に記載がありません 未確定/将来。
Atlasの販売価格と外部への納入開始時期/Hyundai Motor Group以外のAtlasの購入契約/Atlasの独立した性能検証と安全認証/2025年に「完了した」とされるAtlasの導入の台数・期間・作業内容/ Hyundai Motor Groupの出資比率/新CEOのもとでの計画の変更の有無。
8. この会社はドローン・ロボティクスで何を目指しているか
ここには会社が直接は述べていない読み取りを含みます。公式発表から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| Atlasは、当面親会社の工場で鍛える製品である | 最初の顧客はHyundai。RMACはグループ工場の敷地内。数万台の購入方針と、25,000台・年産3万台の計画 | 推測 |
| SpotとStretchの導入実績(2,000台超)が、Atlasの足場になる | 2026年9月の発表は、既存のSpot・Stretch顧客と協議して2027年のAtlasの訓練を進めると記載 | 事実(協議中) |
| AIは外部の基盤モデルと組む方針 | Google DeepMind(Atlas)、Google(Orbitの画像検査)、FieldAI(建設現場でのSpot)との提携が相次いで発表された | 推測 |
| 「AI+ロボット」を経営の中心に置く方向 | 新CEOは元AmazonのAI責任者で、発表は「Physical AIの戦略を加速する」と書く。理由の説明はない | 推測 |
2026年9月の発表は、Atlasが「親会社の工場の中で訓練されている」ことを強調しています 事実。 訓練の場所が決まっているため、実際の工場での条件(部品、台車、作業の手順)に合わせて学べるのが利点です。 一方で、外から見ると、性能や安全性を、第三者が独立に確かめる機会は少ないとも読めます。 公開されている数字は会社とグループの発表で、独立した検証は確認できていません。 この読み方は、あくまで本稿の解釈であり 未確定/将来、会社が述べたものではありません。
9. ドローン・ロボティクス分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
Boston Dynamicsの製品は、「3つのロボット」と「それらをつなぐソフト」に分けて考えると分かりやすくなります。
| 項目 | 公式資料の記述(会社の説明) |
|---|---|
| Atlasの動き方 | 自律で動き、必要に応じてVRヘッドセットやタブレットでも操作可能。新しい作業は1日未満で追加でき、1台が覚えた作業は全機に展開できると説明 |
| 安全の考え方 | 自動運転車の考え方を取り入れ、人や車両を検知し、一定の半径内に人が来ると止まって待つ(柵なしの運用)。外装は詰め物を入れ、はさまれやすい箇所を減らしたと説明。ロボット全体の第三者認証は確認できず |
| 整備のしやすさ | モーターの数を減らし、脚や腕などの肢を現場で5分未満で交換でき、電池は自動で3分未満に交換すると説明 |
| Spotの使われ方 | 設備の巡回点検。2026年のFIFAワールドカップでは、周辺の警備を支援(人を検知すると止まり、光と写真を記録して警報を出し、警備員が最終判断)と説明 |
| AIの使い方 | Atlasの学習はGoogle DeepMindと協力。Spotの画像検査はGoogleのGemini Robotics ER 1.6を統合。建設現場の自律化はFieldAIの基盤モデルと組む |
| 武器化への立場 | 汎用ロボットを武器化しないという共同書簡に署名し、武器化しない・他者の武器化を支援しないと誓約(会社の立場) |
手:小指がない理由 Atlasの新しい手は、指4本で13自由度、すべて同じ種類のアクチュエータで直接駆動します。 会社は、5本目の指は3つのアクチュエータを増やす分の大きさ・費用・故障の確率が増えるため、機能を比べて小指をなくしたと説明しています 事実。 「部品を減らすのが最良」という考え方で、量産しやすさに結びつきます。
バックドライバビリティ(外から押せる関節) 関節が外からの力で動く性質です。ぶつかったときに関節が逃げて、歯車を傷めにくくします。 同時に、関節に加わる力が減速機を通して伝わるため、触覚に近い情報として使える、と説明されています 事実。 具体的な材料・歯車の方式は公表されていません。
防水と温度 AtlasはIP67(一時的な水没に耐える)、-20〜40℃で、洗い流して清掃できるとされます。電池が低温や湿気に強いかどうかは、材料の選び方に大きく関わる部分です。
グループの量産知識 Hyundai Mobisが、Atlasの量産時にアクチュエータを供給する計画です。自動車部品の設計・量産の経験を、ロボットの部品に応用する狙いと、グループは説明しています 未確定/将来。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| Atlasの時期が計画段階 | 2028年の導入、25,000台、年産3万台はいずれもグループの目標。製品版の発表後も、会社の説明は「開発中」としている | 未確定/将来 |
| 親会社への依存 | 最初の大口顧客と訓練の場が親会社のグループに集中している。外部の顧客への納入は確認できなかった | 推測 |
| 経営体制の移行 | 2026年6月は暫定CEO、10月に新CEOが就任(同月7日付)。計画への影響は、公式資料に記載なし | 事実 |
| 実績を外から確かめにくい | 導入台数や稼働の数字は会社・グループの発表。独立した検証や納入先ごとの内訳は確認できなかった | 事実 |
| 外部のAIへの依存 | AIの要所をGoogle・FieldAIと組む方針。データの共有が必須の機能(AIVI-Learning)もあり、共有先はBoston Dynamicsのみと説明されている | 事実 |
| 人と同じ空間での安全 | 柵なし運用のため、検知・停止の信頼性が重要。ヒューマノイド向けの安全規格は策定途上で、第三者認証の取得は確認できなかった(本シリーズの技術解説『ロボットの安全規格の読み方』を参照) | 推測 |
| 施設計画の遅れ | ウォルサムへの移転は2027年半ばからの段階的な計画。RMACの拡張も2027年に予定 | 未確定/将来 |
12. 用語集
- ヒューマノイド
- 人と同じ形(頭・胴・2本の腕・2本の脚)をしたロボット。
- 四足歩行ロボット
- 4本の脚で歩くロボット。階段や不整地を進める。SpotはこのタイプでOrbit経由で巡回する。
- 物理AI
- 画面の中の文章や画像だけでなく、現実の物体を動かす場面で働くAI。
- 自由度(DoF)
- 関節が動ける向きの数。Atlasは全身で56。
- アクチュエータ
- 関節を動かす部品(モーターと減速機などの組み合わせ)。
- バックドライバビリティ
- 外から力をかけると関節が動く性質。衝撃から歯車を守り、力を感じ取るのに役立つ。
- IP67
- 粉じんが入らず、一時的に水没しても耐える防水・防塵の等級。
- 部品整列(シーケンシング)
- 工場で、部品を組立の順番どおりに選んで並べる作業。
- RMAC
- Robotics Metaplant Application Center。Atlasを工場の環境で訓練・検証するための拠点。
- HMGMA
- Hyundai Motor Group Metaplant America。ジョージア州にあるグループの自動車工場。
- Orbit
- Boston Dynamicsのロボット運用管理ソフト。データ収集や遠隔の監視・指示に使う。
- EDIP
- マサチューセッツ州の経済開発優遇の制度。雇用や投資を条件に州が支援する。
13. 出典
- Boston Dynamics Atlas製品ページ。仕様(自由度・可搬質量・電池・防水等級)。 https://bostondynamics.com/products/atlas/
- Boston Dynamics Spot製品ページ。仕様と導入台数(1,500台超)。 https://bostondynamics.com/products/spot/
- Boston Dynamics Stretch製品ページ。扱える荷の重さ・稼働の説明。 https://bostondynamics.com/products/stretch/
- Boston Dynamics Enterprise Robotics, Redefined(Atlas製品版の解説。2026年1月のCES発表に合わせた記事で、ページに日付表示なし)。 https://bostondynamics.com/blog/enterprise-robotics-redefined/
- Boston Dynamics Boston Dynamics Unveils New Atlas Robot(2026年1月5日)。 https://bostondynamics.com/news/boston-dynamics-unveils-new-atlas-robot/
- Hyundai Motor Group Hyundai Motor Group Announces AI Robotics Strategy to Lead Human-Centered Robotics Era at CES 2026(2026年1月5日付)。Atlasの導入計画・年産3万台の目標・Google DeepMindとの提携・Hyundai Mobisの役割。 https://www.hyundaimotorgroup.com/en/news/hyundai-motor-group-announces-ai-robotics-strategy–to-lead-human-centered-robotics-era-at-ces-2026
- Boston Dynamics Boston Dynamics & Hyundai Motor Group Expand Collaboration to Drive Mobility Manufacturing & Innovation(2025年4月3日)。 https://bostondynamics.com/news/boston-dynamics-hyundai-motor-group-expand-collaboration-drive-mobility-manufacturing-innovation/
- Boston Dynamics Boston Dynamics Opens Robotics Metaplant Application Center to Train Humanoid Robots for Manufacturing Tasks(2026年9月21日)。 https://bostondynamics.com/news/boston-dynamics-opens-robotics-metaplant-application-center-to-train-humanoid-robots-for-manufacturing-tasks/
- Boston Dynamics Boston Dynamics Expands Massachusetts Footprint with New 323,000 Square Foot Facility in Waltham(2026年6月24日)。 https://bostondynamics.com/news/boston-dynamics-expands-massachusetts-footprint-with-new-323000-square-foot-facility-in-waltham/
- Boston Dynamics Boston Dynamics & FieldAI Partner to Bring Robots Into Uncharted, Dynamic Environments(2026年3月12日)。 https://bostondynamics.com/news/boston-dynamics-fieldai-partner-to-bring-robots-into-uncharted-dynamic-environments/
- Boston Dynamics Otto Group Teams Up with Boston Dynamics to Strengthen Logistics Operations(2023年9月11日)。 https://bostondynamics.com/news/otto-group-teams-up-with-boston-dynamics-to-strengthen-logistics-operations/
- Boston Dynamics Boston Dynamics Appoints Rohit Prasad as Chief Executive Officer(2026年10月6日)。 https://bostondynamics.com/news/boston-dynamics-appoints-rohit-prasad-as-chief-executive-officer/
- Boston Dynamics AIVI-Learning Is Now Powered by Google Gemini Robotics(2026年4月8日時点で全顧客に提供と記載)。 https://bostondynamics.com/blog/aivi-learning-now-powered-google-gemini-robotics/
- Boston Dynamics Robot Hands for Modern AI and Real Work(Atlasの新しい手の解説。ページに日付表示なし)。 https://bostondynamics.com/blog/robot-hands-for-modern-ai-and-real-work/
- Boston Dynamics Securing the FIFA World Cup 2026(Spotの警備での利用)。 https://bostondynamics.com/blog/securing-the-fifa-world-cup-2026/
- Boston Dynamics General Purpose Robots Should Not Be Weaponized(ロボット企業の共同書簡。武器化しないという誓約)。 https://bostondynamics.com/news/general-purpose-robots-should-not-be-weaponized/
- Boston Dynamics 会社概要と沿革のページ(1992年のMIT Leg Labからの独立、Atlas・Spot・Stretchの年表)。 https://bostondynamics.com/about/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月25日/Troy Technical
本稿の数値は、Boston Dynamicsの公式サイトの発表とHyundai Motor Groupの公式発表に基づきます。調査会社の市場推計(会社の発表に引用されている第三者の予測を含む)・報道ベースの数値は使用していません。実演・導入・出荷・目標は会社またはグループの主張・計画で、独立した検証は確認できていません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。
