主要成果
フィンランドのテクノロジー企業Donut Labが開発したバッテリーモジュールが、外部からの加熱や断熱材を一切使用しない条件下で、-30°C(-22°F)という極低温環境においてもエネルギーの約93%を維持したことが、VTTによる試験で実証されました。試験に使用されたのは、第1世代のDonut Batteryセル14個で構成される完全なモジュールです。
具体的な数値として、25°C(77°F)において1,354 watt-hoursであったエネルギー供給量は、-30°C環境下では1,254 watt-hoursとなりました。また、アンペア時(Ah)ベースの容量維持率は約97%に達しており、試験条件下での容量損失は限定的であったことが示されています。
技術・詳細
今回の試験では、単一のセルではなく、定格電圧48Vおよび小型のバッテリー管理システム(BMS)を搭載した14セル構成のモジュール全体が評価対象となりました。特筆すべきは、ヒーター、断熱材、冷却装置などの熱管理システムが一切排除された状態で測定が行われた点です。
試験プロセスでは、まず25°Cで1Cレート(定格容量を約1時間で放電する速度)にて放電を行い、27.77 ampere-hoursおよび1,354 watt-hoursを記録しました。その後、チャンバー内の温度を-30°Cまで下げ、センサーで内部温度が目標値に達したことを確認した上で、同様の1Cレートで放電試験を繰り返しました。その結果、26.8 ampere-hoursおよび1,254 watt-hoursの出力が得られました。
エネルギー維持率が容量維持率(97%)を下回る93%となった要因について、放電中の電圧降下が低温環境下でより顕著に現れたためであると分析されています。
背景・業界の文脈
電気自動車(EV)にとって、氷点下でのバッテリー性能低下は極めて深刻な課題です。一般的に、低温環境ではバッテリー内部の化学反応が鈍くなり、利用可能なエネルギー量や電力供給能力が低下するため、航続距離の短縮を招きます。Donut Labは以前、-30°Cで容量の99%を維持できると主張していましたが、今回のVTTによる独立した試験では、それよりわずかに低い数値となりました。
今後の展望
Donut LabのCTOであるVille Piippo氏は、あえてバッテリーが通常持つ潜在的な利点をすべて排除して試験を行ったと述べています。また、放電中にセルが自己発熱したことから、断熱エンクロージャを採用すればさらに熱を保持でき、性能向上の可能性があるとしています。なお、低温試験後も充電・放電は正常に動作し、悪影響は見られなかったことが報告されています。
ただし、本結果は制御されたラボ環境でのモジュール試験であり、車両全体に搭載した際の実際の航続距離への影響を確定させるものではありません。同社は現在、次世代バッテリー技術の開発に注力しており、今後システムレベルでの実証を計画しています。
元記事: https://interestingengineering.com/energy/donut-battery-cold-weather-test
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