主要成果
UC San DiegoのDavid Fenning氏らが率いる研究チームは、ハライドペロブスカイトの結晶化プロセスを制御し、より効率的で耐久性の高い太陽電池を実現する新手法を開発しました。この成果は、直接バンドギャップ半導体として報告された中で、最も長寿命な電子-正孔対を実現したとしており、材料の品質が大幅に向上したことを示しています。本研究の結果は、2026年10月8日付のScience誌に「Volatile eutectics to tailor crystallisation for perovskite optoelectronics」として掲載されました。
技術・詳細
研究チームは、ペロブスカイトの作製に使用する溶液に、臭化亜鉛(zinc bromide)と塩化メチルアンモニウム(methylammonium chloride)という2種類の塩を添加しました。材料を加熱すると、これら2つの添加剤が「共晶(eutectic)」と呼ばれる低融点混合物を形成します。
この共晶が結晶の境界付近で一時的な液体として機能することで、結晶が再配置され、より秩序ある構造へと成長するための空間が確保されます。加熱を続けると、添加剤のうち塩化メチルアンモニウムが蒸発し、亜鉛が結晶境界に濃縮されて電子的な欠陥を中和します。研究チームは高度なX線イメージング技術を用い、加熱中に結晶境界が液体状に乱れ、その後、塩の蒸発とともに再び秩序ある構造に戻るプロセスを直接観察しました。これにより、構造的欠陥が少なく、化学的特性が均一に分布した、より大きく秩序ある結晶が得られることが確認されました。
背景・業界の文脈
ペロブスカイト太陽電池は、多数の微小な結晶で構成されていますが、その結晶粒界(grain boundaries)に存在する欠陥が、太陽光から得たエネルギーの損失を招く原因となっていました。特に、デバイスを大型化して実用的な太陽光パネルを製造しようとする際、サイズが大きくなるほど効率が低下するという課題がありました。今回の手法は、結晶化プロセス中に動的に変化する添加剤混合物を導入することで、性能を制限していた結晶端の欠陥を取り除くアプローチを提示しています。
今後の展望
本手法は、テストした異なるペロブスカイト化学組成においても有効であることが確認されました。研究チームは現在、結晶化プロセスをより詳細に理解し制御するために、さらなる共晶化学の探索を進めています。同一温度内で「固体-液体-固体」という成長メカニズムを汎用化させることで、高品質なペロブスカイト材料の製造戦略を確立し、効率的でスケールアップ可能な太陽光発電技術の開発を加速させることが期待されています。
元記事: https://compoundsemiconductor.net/article/125584/Making_perovskite_solar_cells_more_durable
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