主要成果
カナダのアルバータ大学と英国のノースアンブリア大学の研究チームが、汗に含まれる成分から関節リウマチおよび痛風に関連するバイオマーカーを追跡できる、新しいタイプの非侵襲的ウェアラブルセンサーを開発した。本研究の結果は「Wearable sweat sensors for arthritis monitoring」という題名で、Chemical Engineering Journal誌に掲載されている。これにより、従来の血清分析(serology)、画像診断、臨床評価といった断続的な手法ではなく、より連続的なモニタリング手法の確立が可能になる。
技術・詳細
本センサーは、汗に含まれる代謝トリガーや炎症性タンパク質を検出することで疾患の状態を把握する。具体的に追跡対象となるバイオマーカーと検討されている技術は以下の通りである。
- 尿酸(UA)およびキサンチン: 痛風の直接的な原因となる尿酸の検出には、電気化学的酵素センシング、単一原子ナノザイムベース、マイクロ流体バイオセンサーなどが候補となる。また、代謝過程の中間分子であるキサンチンの検出には、比色マイクロ流体デバイスや柔軟な電気化学パッチなどが挙げられる。
- C反応性タンパク質(CRP): 炎症性タンパク質であるCRPの測定には、Enlisense社が開発した酸化亜鉛(ZnO)電極とCRP抗体を用いる「SWEATSENSER」デバイスや、「InflaStat」ワイヤレスウェアラブルパッチなどが活用可能である。
- サイトカイン(TNF-α, IFN-γ, IL-1, IL-6): 分子が大きく検出が困難だが、TNF-αにはグラフェンセンサー、IFN-γには多孔質膜上の単一クローン抗体機能化ZnO薄膜が有効とされる。
- カルプロテクチン: 炎症バイオマーカーであるカルプロテクチンの測定には、SWEATSENSERやIBD AWAREプラットフォームと同様の電気化学的免疫センサーが利用でき、炎症マーカーの概日リズムの監視に寄与する。
背景・業界の文脈
関節リウマチは遺伝的・環境的要因による全身性自己免疫疾患であり、一方で痛風は尿酸の過飽和と関節内での尿酸ナトリウム結晶化を特徴とする代謝異常である。痛風は特に赤身肉、甲殻類、糖分を含む飲料、アルコールの摂取などの食生活やライフスタイルと密接に関連している。現在、診断には侵襲的な液体吸引、血清アッセイ(UAやCRPなど)、あるいはDECT(デュアルエナジーCT)、超音波、MRIなどの画像診断に依存しており、これらは高価でインフラ負荷が高い。そのため、急性増悪に先立つ急速な生理的変動を捉えることが難しく、定常的なモニタリングには不十分であるという課題があった。
今後の展望
関節炎などのリウマチ性疾患の負担は世界的に増大しており、2050年までに痛風の症例数は世界で約9,600万件に達すると予想されている。特にアフリカなど、すでに医療資源が不足している地域での増加が見込まれている。このような地域において、安価で非侵襲的なウェアラブルセンサーによる追跡が可能になれば、疾患ダイナミクスの把握が向上し、より早期の介入とパーソナライズされた治療の提供が促進されると考えられる。
元記事: https://www.securities.io/sweat-sensors-bring-arthritis-monitoring-closer-to-home/
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