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欧州委員会 機関解説

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INSTITUTION PROFILE / 量子コンピュータ

欧州委員会
― EUの量子政策を「提案し、資金と輸出管理の枠をつくる」政策官庁

欧州委員会はEU(欧州連合)の執行機関で、量子コンピュータそのものは作りません。 役割は量子の戦略をまとめ、研究・インフラの資金の枠を動かし、輸出管理の対象リストを更新し、法律の案を出すことです。 ただし法律を決めるのは欧州議会と理事会で、決まったことを実際に動かすのは加盟国です。 本稿では、欧州委員会が量子コンピュータにどこまで決められて、何は決められないのかを、 法的な拘束力の有無を区別しながら整理します。内容は2026年10月16日に確認したものです。

構成:欧州委員会の量子政策ページ、量子欧州戦略(COM(2025) 363)、EU官報に載った規則・勧告、欧州議会のLegislative Train、欧州委員会の職員統計を一次情報として使用/最終更新 2026年10月16日

研究支援、インフラ、制度の提案という役割を分けて示す場面です。法案の提案と法律の成立、実際の執行は区別されます。
概念画像(ImageGen生成)。研究支援、インフラ、制度の提案という役割を分けて示す場面です。法案の提案と法律の成立、実際の執行は区別されます。 実際の製品・施設・寸法・測定結果ではありません。拡大模型と実物スケールの場面は区別してください。
この記事でわかること
  1. 30秒でわかる欧州委員会
  2. どんな機関か ― 影響力の「型」
  3. 量子コンピュータで何をしているか
  4. 影響力の範囲(権限と地域)
  5. 関わっている組織と資金の流れ
  6. 今後の見通し
  7. 用語集/出典/主張と出典の対応表

1. 30秒でわかる欧州委員会

正式名称欧州委員会
European Commission
EUの執行機関。所在地はブリュッセル(ベルギー)
国・地域欧州連合(EU)
27加盟国
法律を共同で採択する理事会は、27加盟国の代表で構成される
機関の種類EUの執行機関
(政策の提案者)
法律は欧州議会と理事会が採択する。委員会は案を出す
量子の担当技術主権・安全保障・民主主義担当の上級副委員長ヘンナ・ヴィルクネン氏。担当の総局はDG CONNECT(2026年10月確認)
職員数33,071名2026年1月1日現在。全政策分野の合計で、量子の担当人数は確認できなかった
量子の資金フラッグシップ
期待予算 約10億ユーロ
2018年開始。EU全体の量子予算の合計は、委員会の1つの数字としては確認できなかった
量子コンピュータへの関与の形戦略・資金の枠・輸出管理リスト・法案の提案量子コンピュータの規格や認証を自ら決める機関ではない
影響が及ぶ範囲EU域内と、EUから輸出する企業輸出管理はEUから出る・通過する品目が対象
まず押さえるべき1点

欧州委員会の量子関連の文書には、義務のあるものと、ないものが混ざっています。 2025年7月の「量子欧州戦略」は、委員会が欧州議会と理事会に宛てた政策文書(Communication)で、目標と行動計画を示すもので、企業や加盟国に義務を課すものではありません 事実。 いっぽう、実際に拘束力があるのは、量子コンピュータを輸出管理の対象に加えた委任規則(2025年11月15日に発効)と、 EuroHPC共同事業体の権限に量子を加えた理事会規則(2026年1月20日に発効)です 事実。 戦略が予告した「量子法(Quantum Act)」は、2026年10月16日時点で、委員会の正式な提案としては確認できていません 未確定/将来。

2. どんな機関か ― 影響力の「型」

量子コンピュータの記事に出てくる「機関」は、企業と違って自分では量子コンピュータを売りません。 その代わりに、どういう経路で業界に影響を与えるかで4つの型に分けられます。 欧州委員会は、「資金を出す」と「政策・規制を決める」の2つにまたがります。 ただし規制では、法律を決める側ではなく、案を出す側と、リストを更新する側です。

量子コンピュータを動かす「機関」の4つの型 機関は自分では量子コンピュータを売らない。どの経路で業界に影響を与えるかで4つに分かれる 資金を出す 政策・規制を決める 標準を決める 場をつくる 研究開発に予算を配る 戦略・補助金・法律 試験方法・暗号の要求 共同研究の拠点・産学連携 DOE/DARPA/欧州委員会 欧州委員会/経済産業省 NIST/NSA 理研/産総研 何を研究させるか 何を国内で作らせるか どう測り、どう比べるか 誰が誰と組むか 届く範囲=自国の予算 届く範囲=自国の領域 届く範囲=加盟国 届く範囲=参加者 欧州委員会は「資金を出す」と「政策・規制を決める」の2つの型。法律を決めるのは欧州議会と理事会で、委員会は案を出す側 同じ量子コンピュータでも、どの型の機関かによって影響の届き方がまったく違う
図1 量子コンピュータに関わる機関の4つの型と、欧州委員会の位置。区分は本稿によるもので、機関名は本シリーズで扱う機関から例示しています 本稿の計算。欧州委員会は資金の枠(量子フラッグシップ、EuroHPC共同事業体への拠出)と政策・規制(戦略、輸出管理リスト、法案の提案)の両方を持つため、2つの型を強調しています。

3. 量子コンピュータで何をしているか

やさしい説明:量子コンピュータと、この記事に出てくる言葉

ふつうのコンピュータは「0か1か」のビットで計算します。量子コンピュータは、0と1が重なった状態をとれる量子ビット(qubit)で計算します。 ただし量子ビットは壊れやすく、計算の間違いを直す仕組み(量子誤り訂正)が必要で、実用規模の機械はまだこれからです。 詳しくは技術解説「量子コンピュータの基礎」と「量子誤り訂正と表面符号」を参照してください。 この記事では、欧州委員会がお金(資金)、設備(インフラ)、輸出のルール、法律の案を通じて、この分野にどう関わるかを見ます。

欧州委員会の量子コンピュータへの関わり方を、拘束力の有無とあわせて表にまとめます。

取り組み日付・状態中身拘束力
量子欧州戦略
COM(2025) 363
2025年7月2日に採択5つの行動分野(研究・革新/インフラ/産業の基盤/宇宙と軍民両用/人材)。「2030年に世界の量子のリーダーになる」ことを掲げる。過去5年でEUが約20億ユーロ、加盟国が90億ユーロ超を量子に投じたと記すなし(政策文書)
量子技術フラッグシップ2018年開始。委員会ページの最終更新は2025年5月22日10年間・EUから約10億ユーロを見込む長期の研究事業。量子計算・量子シミュレーション・量子通信・量子センシングの4分野を支援。助走期間(2018〜2022年)は1.52億ユーロ・24プロジェクト、次の段階は4億ユーロ超・20超のプロジェクト資金の配分(採択された事業が対象)
EuroHPCによる量子コンピュータの導入2022年10月に6拠点を選定。2025年9月時点で6台を調達チェコ・ドイツ・スペイン・フランス・イタリア・ポーランドの6拠点に設置し、スーパーコンピュータとつなぐ。総額1億ユーロ(EUと17か国が半分ずつ)。1台目はポーランド・ポズナン(2025年6月)、2台目はチェコ・オストラバの「VLQ」(2025年9月)、ミュンヘンの「Euro-Q-Exa」は2026年2月12日に開所資金の配分・調達
EuroHPC規則の改正
理事会規則(EU) 2026/150
2026年1月16日に採択、1月20日に発効EuroHPC共同事業体の使命を、スーパーコンピュータだけでなく量子技術にも広げる。研究から産業化までを扱う量子技術の柱を追加。EUの拠出上限は全体で41.223億ユーロで、うちHorizon Europeから16.6億ユーロ(量子の研究・革新に1.6億ユーロを含む)あり(加盟国で直接適用)
量子チップの試験ラインと設計施設戦略が2025年に6本の設置と、2026年の設計施設の開始を予定チップ共同事業体(Chips JU)の下で、量子チップを試作から量産へ近づける「試験ライン」を6本。1本あたりEUと加盟国の合計で4,000万〜5,000万ユーロ。量子チップの産業化ロードマップと、欧州量子標準ロードマップも2026年に出す予定資金の配分。ロードマップは計画
輸出管理リストの更新
委任規則(EU) 2025/2003
2025年9月8日に採択。官報掲載は11月14日、翌日の11月15日に発効EUのデュアルユース(軍民両用)品目リストに、量子コンピュータ、量子ビットの素子、極低温の冷却装置などを載せた(下の表)。許可の可否を決めるのは各加盟国の当局あり(EUから出る品目が対象)
耐量子暗号(PQC)への移行
勧告(EU) 2024/1101
勧告は2024年4月11日。加盟国のロードマップは2025年6月23日将来の量子コンピュータが現在の暗号を破るおそれに備え、公的機関や重要インフラの暗号を入れ替える計画づくりを加盟国に促す。ロードマップは「2026年末までに移行を始める」「重要インフラは遅くとも2030年末までに移行する」勧告は従う義務がない。ロードマップは加盟国が合意したもの
量子法(Quantum Act)2026年作業計画ではQ2(4〜6月)予定。2026年9月20日時点でLegislative Trainは「Announced(予告)」研究・革新の調整、試験ラインと設計施設を含む産業能力の拡大、サプライチェーンの強さと統治の3つを狙う。法的根拠は条約の第173条・第180条・第184条の予定提案前のため、現時点でなし

※欧州委員会の量子政策ページの最終更新は2026年6月23日。同ページにはまだ「量子法の意見募集が行われている」と読める記載が残っています(確認日 2026年10月16日)。

輸出管理の対象になった量子関連の品目(2025年11月15日発効の版)

輸出管理とは、軍事にも使える品目を、EUから外に出すときに許可を求める制度です。量子コンピュータが軍事に使えるか、が焦点になります。 リストの項目番号と条件は、官報の規則の附属書Iに書かれています 事実。

項目番号対象(やさしい言い換え)主な条件
4A506.a量子コンピュータ本体(ゲート方式と測定方式。量子アニーリング機は対象外と注記あり)34量子ビット以上100未満でCNOT誤差が10−4以下、100以上200未満で10−3以下…と、量子ビット数の段階ごとに誤差の上限が決まる。2,000量子ビット以上は誤差の条件なし
4A506.b・c量子ビットの素子・回路、制御部品、測定機器(4A506.aの機械に特化したもの)超伝導・半導体・光のチップ、イオントラップの配列などを含むと注記
3A504極低温の冷却システム0.1ケルビン以下で600マイクロワット以上の冷却能力を48時間超保つもの、または4ケルビン未満を保ち4.2ケルビンで1.5ワット以上の2段パルスチューブ冷凍機
3A501.b.13極低温で使う低雑音のパラメトリック増幅器(量子限界増幅器)1ケルビン未満の環境で動作し、2〜15ギガヘルツで雑音指数0.015dB未満など
3A501.a.15極低温で動くCMOS集積回路周囲温度4.5ケルビン以下で動作するよう設計されたもの
素材技術者の視点:量子コンピュータは「部品の集まり」として規制される

この表で目を引くのは、規制が完成した機械だけでなく、その中の部品(量子ビットのチップ、極低温の冷却、低雑音の増幅器、極低温用のICなど)にも及ぶことです。 材料や部品の供給側から見ると、量子コンピュータ向けの極低温部品や超伝導材料の取引でも、EUから輸出するときは、まずこのリストに当たるかの確認が必要になる場面があります。 量子欧州戦略も、希少材料から精密部品、制御電子回路、ソフトウェアまでのサプライチェーンの弱点を調べると書いています (結果は2026年に出る予定)未確定/将来。

4. 影響力の範囲(権限と地域)

観点欧州委員会が持っているもの持っていないもの
法律法律の案を出す権限(量子法の提案)。輸出管理では、リストを更新する委任規則を採択する権限(規則2021/821の第17条に基づく)法律そのものを決める権限。通常の手続きでは欧州議会と理事会が対等に採択する。EuroHPC規則の改正のように、理事会だけが採択する例もある
資金量子フラッグシップなどへのEU予算の配分。EuroHPC共同事業体・チップ共同事業体を通じた共同出資の枠づくり加盟国の量子予算を決める権限(戦略は、EUの約20億ユーロとは別に加盟国が90億ユーロ超を投じたと記すが、各国が決めている)
輸出管理EU共通の品目リスト(附属書I)の更新個々の輸出の許可・不許可を決める権限(各加盟国の当局が決める)。リストの中身は国際的な合意(ワッセナー・アレンジメントなど)と加盟国の合意にも沿う
標準・認証「欧州量子標準ロードマップ」を2026年に出す予定(計画)量子コンピュータの性能の評価法や認証そのものを決める権限(戦略は「標準ロードマップ」を出すと書くのみ)
暗号の移行加盟国に移行計画づくりを勧める勧告民間企業に移行を義務づける権限(勧告に従う義務はない)
地域EU27加盟国。EUから輸出する(または通過する)品目の企業EU域外の国の政策への直接の影響。米国・日本などとは協力の枠組み(貿易・技術評議会、デジタルパートナーシップなど)で連携する
規模職員33,071名(全分野)。量子計算に関する全体の予算額は1本の数字では公表を確認できない量子のみの職員数の公表(確認できず)
欧州委員会の量子関連の文書:どれに義務があるか 同じ「EUの量子政策」でも、義務の強さは文書の種類で大きく違う 量子欧州戦略(2025年7月2日) 義務なし:目標と行動計画を示す政策文書 勧告 2024/1101(PQC移行) 義務なし:加盟国に計画づくりを勧める 委任規則 2025/2003(輸出管理リスト) 義務あり:全加盟国で直接適用(2025年11月15日発効) 理事会規則 2026/150(EuroHPC) 義務あり:全加盟国で直接適用(2026年1月20日発効) 量子法(Quantum Act) 提案前(2026年9月20日時点)。成立には両機関の採択が必要
図2 欧州委員会の量子関連の文書を、拘束力の強さで並べた図。区分は本稿の整理で、「拘束力なし」は戦略がみずから「目的地ではなく、進化する枠組み」と位置づけること、勧告がEU条約第292条に基づく文書であることに基づく 本稿の計算。
数字の読み方の注意

戦略が掲げる「2030年までに1台あたり約100の誤り訂正済み量子ビット」「2035年に数千」は、EUの目標であって、実現した性能ではありません 未確定/将来。 また、輸出管理リストの量子ビット数は「物理量子ビット」(誤り訂正をしていない素の量子ビット)の数で、 誤り訂正済みの「論理量子ビット」とは別物です。リストの定義にもその区別が書かれています 事実。

5. 関わっている組織と資金の流れ

欧州委員会は、自分で量子コンピュータを設置するのではなく、共同事業体などの枠を通じて動きます。 次の図は、公式ページに書かれている関係だけをまとめたものです。

欧州委員会は何を使って量子に関わるか 自分で量子コンピュータを置くのではなく、戦略・共同事業体の枠・輸出管理リスト・法案を使う 加盟国(27) 実施・輸出の許可を出す 欧州委員会 提案・資金の枠・リスト更新 欧州議会+理事会 法律を採択(量子法は未提案) 戦略・勧告 義務なし 量子欧州戦略 PQC移行の勧告 加盟国の PQCロードマップ 研究・導入の資金 資金の配分 量子フラッグシップ EuroHPC共同事業体 量子コンピュータ6台 (1億ユーロ) 産業化の設備 資金の配分 チップ共同事業体 量子チップの 試験ライン6本 設計施設(計画) 輸出管理リスト 義務あり 委任規則2025/2003 量子コンピュータ・ 極低温冷却などを リストに追加 届く先 加盟国の行政 (従う義務はない) 届く先 EUの研究機関・ 参加国の設置拠点 届く先 採択された コンソーシアム 届く先 EUから輸出する 企業(許可は加盟国) 強調色は欧州委員会が資金を配る道具。橙は義務のある輸出管理。灰色は義務のないもの
図3 欧州委員会の量子政策の道具と、届く先。出典:量子欧州戦略、EuroHPC規則の改正(理事会規則2026/150)、委任規則2025/2003、欧州議会のLegislative Train。具体的な企業名は、公式ページで関係を確認できたものがないため載せていません 本稿の計算。

量子の担当は技術主権・安全保障・民主主義担当の上級副委員長で、2026年5月26日の発表で、翌27日に「量子技術に関する最上位の諮問委員会(Top-level Advisory Board on Quantum Technologies)」と会い、量子欧州戦略の進み具合、量子法、次期の長期予算(多年度財政枠組み)での量子の位置づけを話し合うと書いています 事実。

6. 今後の見通し

読み取れること根拠となる一次情報区分
量子法の提案の時期は決まっていない2026年作業計画はQ2を示したが、2026年9月20日時点のLegislative Trainは「Announced」のまま。5月26日の委員会の発表も「forthcoming(これから出る)」と書く未確定/将来
提案が出ても、成立までは欧州議会と理事会の審議が必要で、施行は先になる委員会の説明では、通常の手続きは欧州議会と理事会が対等に合意して初めて法律になる推測
戦略が2026年に予定するロードマップ類(量子計算・シミュレーション、量子チップの産業化、量子標準、量子通信、量子センシング)と設計施設の公表・開始量子欧州戦略の行動一覧。2026年10月16日までに公表されたかは、一次情報で個別に確認できなかった未確定/将来
輸出管理リストは今後も国際合意と加盟国の合意に応じて更新される。量子関連の項目も変わりうる委任規則2025/2003の前文が「リストは定期的に更新する必要がある」と書く。2025年版以降の改正の有無は確認していない推測
暗号の移行は、2026年末が「始める」期限、2030年末が重要インフラの期限として、加盟国の計画づくりの節目になる2025年6月23日の委員会の発表(加盟国とNIS協力グループが作成したロードマップ)未確定/将来

7. 用語集

理事会(EU理事会)
27加盟国の政府の代表で構成される機関。欧州議会と並んで法律を採択する。
Communication(コミュニケーション)
欧州委員会が欧州議会や理事会に宛てて出す政策文書。方針や行動計画を示すが、法的な義務は生まない。
勧告(Recommendation)
EUの文書の一種。加盟国に特定の行動を勧めるもので、従う義務はない。
委任規則
法律(基本の規則)が欧州委員会に任せた範囲で、委員会が採択する規則。拘束力があり、加盟国で直接適用される。
EuroHPC共同事業体
EUと参加国が共同で、スーパーコンピュータや量子コンピュータを導入・運営する組織。2026年1月の規則改正で量子技術が使命に加わった。
チップ共同事業体(Chips JU)
EUの半導体法に基づく共同事業体。量子チップの試験ラインも担当する。
デュアルユース
民生にも軍事にも使える性質。輸出管理の対象になる。
耐量子暗号(PQC)
将来の量子コンピュータでも破られにくいとされる暗号。詳しくは技術解説「耐量子計算機暗号」を参照。

8. 出典

  1. 欧州委員会(DG CONNECT) Quantum(量子政策ページ。量子欧州戦略の概要、量子法の3つの目的、量子フラッグシップ、EuroHPCの6拠点・1億ユーロ・ポズナンとオストラバの開所、EuroQCI。最終更新2026年6月23日)。 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/quantum
  2. 欧州委員会 COM(2025) 363 Communication on the Quantum Europe Strategy(2025年7月2日。2030年・2035年の目標、試験ライン6本、設計施設、行動一覧、輸出管理への言及)。 https://ec.europa.eu/newsroom/dae/redirection/document/117890
  3. 欧州委員会(DG CONNECT) Quantum Technologies Flagship(予算、助走期間と次の段階の規模。最終更新2025年5月22日)。 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/quantum-technologies-flagship
  4. EU理事会 Council Regulation (EU) 2026/150 of 16 January 2026 amending Regulation (EU) 2021/1173 on establishing the European High Performance Computing Joint Undertaking(官報2026年1月19日。量子の柱、EUの拠出上限、発効)。 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2026/150/oj
  5. 欧州委員会 Commission Delegated Regulation (EU) 2025/2003 of 8 September 2025(官報2025年11月14日。附属書Iの全面差し替え。4A506、3A504、3A501の量子関連項目)。 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg_del/2025/2003/oj
  6. 欧州議会・EU理事会 Regulation (EU) 2021/821(デュアルユース品目の輸出管理規則。許可の判断は国の当局が行うと前文に記載)。 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2021/821/oj
  7. 欧州委員会 Commission Recommendation (EU) 2024/1101 of 11 April 2024 on a Coordinated Implementation Roadmap for the transition to Post-Quantum Cryptography(官報2024年4月12日)。 https://eur-lex.europa.eu/eli/reco/2024/1101/oj
  8. 欧州委員会 プレスリリース「EU reinforces its cybersecurity with post-quantum cryptography」(2025年6月23日。2026年末・2030年末の期限)。 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/eu-reinforces-its-cybersecurity-post-quantum-cryptography
  9. 欧州議会 Legislative Train「Quantum Act」(状態「Announced」、2026年9月20日時点、作業計画Q2 2026、3つの方向、法的根拠)。 https://www.europarl.europa.eu/legislative-train/theme-a-new-plan-for-europe-s-sustainable-prosperity-and-competitiveness/file-quantum-act
  10. 欧州委員会 プレスリリース「Executive Vice-President Virkkunen meets Europe's top quantum scientists」(2026年5月26日)。 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/executive-vice-president-virkkunen-meets-europes-top-quantum-scientists
  11. 欧州委員会 Key figures on European Commission staff(HR Key Figures 2026。2026年1月1日現在の職員数33,071名)。 https://commission.europa.eu/publications/key-figures-european-commission-staff_en
  12. 欧州委員会 Adopting EU law(通常の立法手続きで欧州議会と理事会が対等に採択する、委員会は案を出す)。 https://commission.europa.eu/law/law-making-process/adopting-eu-law_en
  13. 欧州委員会 プレスリリース「Europe inaugurates its second quantum computer」(2025年9月23日。VLQ、EuroHPCが調達した量子コンピュータ6台)。 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/europe-inaugurates-its-second-quantum-computer
  14. 欧州委員会 Communications Networks, Content and Technology(DG CONNECTの担当・所管する上級副委員長。2026年10月確認)。 https://commission.europa.eu/about-european-commission/departments-and-executive-agencies/communications-networks-content-and-technology_en

9. 主張と出典の対応表

本文の主張区分出典
量子欧州戦略の採択日(2025年7月2日)、5つの行動分野、量子法の3つの目的、2026年採択予定との記載事実出典1 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/quantum
戦略の目標(2030年に約100の誤り訂正済み量子ビット、2035年に数千)、試験ライン6本(1本4,000万〜5,000万ユーロ)、設計施設・ロードマップの2026年予定、過去5年のEU約20億ユーロと加盟国90億ユーロ超、サプライチェーン調査、戦略がCommunicationであること事実出典2 https://ec.europa.eu/newsroom/dae/redirection/document/117890
量子フラッグシップの開始(2018年)、期待予算約10億ユーロ、助走期間1.52億ユーロ・24プロジェクト、次の段階4億ユーロ超事実出典3 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/quantum-technologies-flagship
EuroHPC規則改正の日付(採択2026年1月16日、発効1月20日)、量子の柱、EU拠出上限41.223億ユーロ、Horizon Europe16.6億ユーロ(量子1.6億ユーロを含む)、理事会規則であること、拘束力事実出典4 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2026/150/oj
委任規則2025/2003の採択日・官報掲載日・発効日、4A506・3A504・3A501の項目と条件、アニーリング機の除外、物理量子ビットの定義、リストの定期更新の必要性事実出典5 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg_del/2025/2003/oj
輸出の許可の判断は各加盟国の当局が行うこと事実出典6 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2021/821/oj
PQC移行の勧告の日付と根拠条文(EU条約第292条)事実出典7 https://eur-lex.europa.eu/eli/reco/2024/1101/oj
加盟国のロードマップ(2025年6月23日)、「2026年末までに移行を始める」「重要インフラは遅くとも2030年末まで」事実出典8 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/eu-reinforces-its-cybersecurity-post-quantum-cryptography
量子法の状態(Announced、2026年9月20日時点)、作業計画のQ2、法的根拠の予定事実出典9 https://www.europarl.europa.eu/legislative-train/theme-a-new-plan-for-europe-s-sustainable-prosperity-and-competitiveness/file-quantum-act
2026年5月26日の発表(翌日の諮問委員会との会合の予告)と、量子法を「これから出る」と書いていること事実出典10 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/executive-vice-president-virkkunen-meets-europes-top-quantum-scientists
職員数33,071名(2026年1月1日現在)事実出典11 https://commission.europa.eu/publications/key-figures-european-commission-staff_en
通常の立法手続きでは欧州議会と理事会が採択し、欧州委員会は案を出すこと。理事会が27加盟国の代表で構成されること事実出典12 https://commission.europa.eu/law/law-making-process/adopting-eu-law_en
VLQの開所(2025年9月)、EuroHPCが調達した量子コンピュータ6台(2025年9月時点)事実出典13 https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/europe-inaugurates-its-second-quantum-computer
量子の担当は技術主権・安全保障・民主主義担当の上級副委員長、担当総局はDG CONNECT事実出典14 https://commission.europa.eu/about-european-commission/departments-and-executive-agencies/communications-networks-content-and-technology_en
Euro-Q-Exa(ミュンヘン)の2026年2月12日の開所事実出典1(最新ニュース欄の見出し)。個別のページは本稿では取得していない https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/policies/quantum
機関の4つの型の区分、拘束力の強さの並べ方本稿の計算本稿による整理
EU全体の量子予算の合計、量子の担当職員数未確定/将来出典1〜14に1つの数字としての記載なし。本稿では推計しない
量子法の提案時期、戦略が2026年に予定するロードマップ類の公表状況、量子法の成立・施行時期未確定/将来出典2・9・10。2026年10月16日時点で一次情報から確定できないため、本稿では確定しない
第6章の「成立までは審議が必要」「リストは今後も更新されうる」推測出典5・12の記述からの本稿の解釈

最終更新:2026年10月16日/Troy Technical
本稿の数値は欧州委員会、EU官報、欧州議会の公式ページに基づきます。量子分野は変化が速く、法案の状態・ロードマップの公表状況・リストの版は変わりうるため、確認日(2026年10月16日)を併記しました。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈です。

図版更新:2026年10月17日。本文・出典整理表のベクター作図という表記は、保存した元SVGの由来を示します。現在の主図の形式と読み方は各図下の説明を参照してください。ImageGen画像は実測や実在製品の写真ではなく、元SVG・数値・出典は展開して確認できます。