🌐 This site is also available in English Visit English Site →
🌐 English

量子アニーリング 技術解説

← 量子コンピューターの解説一覧へ戻る

TECHNOLOGY EXPLAINER

量子アニーリング
― 「いちばん良い組合せ」を、エネルギーの谷底として探す

配送ルート、シフト表、部品の配置。選択肢の組合せが多すぎて、全部は調べられない問題は、世の中にたくさんあります。量子アニーリングは、そうした問題を「磁石のような小さな点が、いちばん安定な向きを探す」問題に書き換え、量子の力で谷底を探す方式です。この記事では、まず「組合せ爆発」と「イジング模型」を図で理解し、小さな数の問題を実際にイジング模型へ書き換え、数値計算でアニーリングを動かして見せます。そのうえで、ゲート方式との違い、D-Wave の方式、「量子優位性」の主張とそれへの古典側の結果を、企業の主張と第三者の検証を分けて整理します。

構成:Kadowaki と Nishimori、Albash と Lidar、Lucas、D-Wave の公式ドキュメント、Science・Nature・Physical Review 系などの論文、ISO・IEEE の公式ページを使用/数値例は本稿で計算/確認日 2026年10月16日

量子アニーリング用のチップを、冷凍装置に取り付ける前に筐体に収めている作業のイメージです。実在の装置・企業の外観を示すものではありません。
図1 概念画像(ImageGen生成)。量子アニーリング用のチップを、冷凍装置に取り付ける前に筐体に収めている作業のイメージです。実在の装置・企業の外観を示すものではありません。 実際の製品・施設・寸法・測定結果ではありません。拡大模型と実物スケールの場面は区別してください。
この記事の構成
  1. 3行でわかる/読む前に/シリーズの中での位置
  2. 組合せ最適化と「組合せ爆発」
  3. イジング模型 ― 向きを持つ点の「エネルギー」
  4. 問題をイジング模型へ写す ― 数分割問題の例
  5. 量子アニーリングの仕組み ― 横向きの力を弱めていく
  6. 最小ギャップとアニール時間 ― 小さな例を数値で動かす
  7. ゲート方式との違い
  8. D-Wave の方式 ― 超伝導チップと、接続の限界
  9. 「量子優位性」の主張と、古典側の結果
  10. 限界と、確認できなかったこと/まとめ
  11. 評価・標準の読み方
  12. 用語集
  13. 参考資料(一次情報)
  14. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・草案・改訂中・策定中・見通しなど、確定していない事項
このほか、素材技術者向けの読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。企業の発表は「企業の主張」と明記します。

1. 3行でわかる/読む前に/シリーズの中での位置

  • 量子アニーリングは、「最適化問題」を「エネルギーが最小の状態を探す問題」に書き換えて解く方式です。日本の Kadowaki と Nishimori が1998年に、焼きなまし法に「量子ゆらぎ」を入れる方法として提案しました事実[参考資料1]
  • 代表的な装置は D-Wave の超伝導チップです。ただしゲート方式とは別の仕組みで、「何量子ビット」の数字を並べて優劣を決めることはできません。ISO/IEC の量子コンピューティングの委員会は、量子アニーラーを「制限された形の量子計算」として範囲に含めています事実[参考資料23]
  • 「量子優位性」の主張には、古典側が同程度の精度を出したという結果が続いてきました。この記事は結論を出さず、主張と反論を並べて読む方法を示します事実[参考資料13・17・18]
この記事を読む前に知っておくこと

量子ビットの状態は矢印(北極が0、南極が1、斜めが重ね合わせ)、測ると0か1に決まる、というたとえを使います(本シリーズ「量子コンピュータの基礎」編)。この記事は単独でも読めるよう、必要なことを説明します。

数式は、足し算・掛け算とエネルギーの式 1本だけです。「エネルギー」は、低いほど安定な、状態の「点数」だと思ってください(ボールが谷底で止まるのと同じ)。

シリーズの中での位置

「量子アルゴリズム」→「NISQとハイブリッド計算」→この記事(量子アニーリング)の順がおすすめです。ゲート方式で似た目的に使う QAOA は「NISQとハイブリッド計算」編、「優位性の主張の読み方」は「量子優位性の読み方」編、産業での使われ方は「産業応用の現実」編で扱います。

2. 組合せ最適化と「組合せ爆発」

組合せ最適化は、「たくさんの選択肢の組合せのなかから、いちばん良いものを選ぶ」問題です。たとえば、配送車の巡回順序、工場の作業順序、材料の配合の組合せなどです。選ぶ項目が「やる/やらない」の2択なら、n 項目で 2ⁿ 通りになります。

点が増えると、組合せは爆発的に増える(本稿の計算)10⁰10¹⁰10²⁰10³⁰0204060801002択の項目の数 n組合せの数 2ⁿ(対数目盛り)全部を調べる(力ずく)と…項目数組合せの数所要時間n = 101,024 通り一瞬n = 20約105万通り一瞬n = 30約10.7億通り約1秒n = 50約1.1×10¹⁵ 通り約13日n = 100約1.3×10³⁰ 通り約4×10¹³年1秒に10億通り調べられると仮定※ 1秒に10⁹通りを調べる単純な全探索を仮定した目安です(本稿の計算)。 実際の最適化ソルバーは、全部を調べずに賢く絞り込みます。 2⁵⁰ ≈ 1.13×10¹⁵、2¹⁰⁰ ≈ 1.27×10³⁰。1年=3.156×10⁷秒。 問題の大きさ(項目数)が少し増えるだけで、全探索は手に負えなくなります。
図2 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。2択の項目が n 個あるときの組合せの数 2ⁿ と、全部を調べたときの所要時間の目安(1秒に10億通りを調べる場合)。

図の表のとおり、項目が30個なら約10億通り(約1秒)ですが、50個で約13日、100個では約4×10¹³年(宇宙の年齢の約3,000倍)になります本稿の計算。これを組合せ爆発といいます。もちろん、実際の最適化ソルバーは、全部を調べずに有望な部分だけを調べます。それでも、問題によっては、最悪の場合に急に難しくなるものがあります。Lucas は、カープの21個の NP 完全問題を含む多くの問題を、イジング模型の形に書けることを示しました事実[参考資料3]。

3. イジング模型 ― 向きを持つ点の「エネルギー」

量子アニーリングの共通語はイジング模型です。小さな磁石のような点(スピン)がいくつかあり、それぞれが「上向き(+1)」か「下向き(−1)」のどちらかを向きます。点どうしには「結合」J があり、J が正なら逆向きを好み、負なら同じ向きを好みます。全体のエネルギーは、E = Σ hᵢsᵢ + Σ Jᵢⱼ sᵢsⱼ と書きます(h は個々の点への偏り)。この形は D-Wave のドキュメントにも載っています事実[参考資料6]。

イジング模型:向きを持つ点の「エネルギー」を最小にする(概念図)① 2つの点と「結合」Jエネルギー E = J × s₁ × s₂(s は +1 か −1。↑=+1、↓=−1)J = +1(逆向きを好む)J = −1(同じ向きを好む)E = +1(不安定)E = −1(安定)E = −1(安定)E = +1(不安定)E は小さいほど「安定」。最適化は、E が最小の向きの組を探す問題D-Wave の書き方:E = Σ hᵢsᵢ + Σ Jᵢⱼ sᵢsⱼ(h は個々の点の偏り)(この図は J>0 を「逆向きを好む」と数える書き方)② 3つの点が全部「逆向きを好む」と…3本の結合を同時には満たせないE = s₁s₂ + s₂s₃ + s₁s₃:全部同じ向きで E=+3、それ以外の6通りは E=−1(最小は −1 であって −3 ではない)②のように「あちらを立てればこちらが立たず」となる状態を「フラストレーション」と呼びます。最小のエネルギーの向きの組が複数あり、点の数が増えると、最小のエネルギーを探すのが急に難しくなります(これが組合せ最適化の難しさの源です)。
図3 概念図(ベクター作図)。イジング模型の概念図。左は2つの点と結合 J、右は3つの点が全部「逆向きを好む」ときのフラストレーションの例。
つまずきやすいところ:「エネルギー」と「スピン」

スピンは、ここでは「上か下かの2択を持つ点」のことです(量子ビットの0・1に対応します)。エネルギーは、その向きの組合せの「悪さの点数」で、低いほどよいと読み替えてください。最適化は「点数が最小の組合せ(=基底状態)を探すこと」になります。たとえの限界:本物の磁石のエネルギーとは単位も意味も違い、ここでは問題を表す道具としてのエネルギーです。

4. 問題をイジング模型へ写す ― 数分割問題の例

では、実際の問題をイジング模型に書き換えてみましょう。いちばん簡単な例の1つが数分割問題です(Lucas の論文にも載っています事実[参考資料3])。「いくつかの数を、合計が等しい2つの組に分けられるか」という問題です。

最適化問題 → イジング模型:数分割問題の例(本稿の計算)問題:6つの数 9, 7, 5, 4, 3, 2 を、合計が等しい2つの組に分けられるか?a1 = 9s = +1 ↑a2 = 7s = −1 ↓a3 = 5s = −1 ↓a4 = 4s = +1 ↑a5 = 3s = −1 ↓a6 = 2s = +1 ↑s = +1 の組:9 + 4 + 2 = 15s = −1 の組:7 + 5 + 3 = 15エネルギーを「2つの組の合計の差の2乗」にする:E = (Σ aᵢsᵢ)²展開すると E = Σ aᵢ² + Σᵢ<ⱼ 2aᵢaⱼ sᵢsⱼ。つまり結合 Jᵢⱼ = 2aᵢaⱼ、定数 Σ aᵢ² = 184 の、イジング模型になる例:J₁₂ = 2×9×7 = 126、J₁₃ = 90、J₅₆ = 12。どの点どうしも結合する(6点で15本)2⁶=64通りの分け方を、エネルギー E ごとに数えると(棒の高さ=その E になる分け方の数)201044168366644100814421966256232444002484257626762900E(0 が解。値が小さいほど、2つの組の合計の差が小さい)E=0 は2通り(+と−を入れ替えたペア)。E=4(合計の差が2)は10通りある※ 6つの数は説明用です。64通りを全部計算した結果です(Python)。
図4 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。数分割問題のイジング模型への書き換え。6つの数 9, 7, 5, 4, 3, 2 を2組に分け、各数に s=+1 か −1 を割り当てて、E = (Σaᵢsᵢ)² とする。下は64通りの分け方を E ごとに数えた結果。
  • 各数 aᵢ に s=+1(組A)か s=−1(組B)を割り当てると、Σ aᵢsᵢ は「組Aの合計 − 組Bの合計」です。これが0なら、合計が等しい分け方です
  • 「差の2乗」E = (Σ aᵢsᵢ)² をエネルギーにすると、差が0のとき最小(E=0)になります。展開すると、E = Σ aᵢ² + Σi<j 2aᵢaⱼ sᵢsⱼ。前半は定数、後半が結合 Jᵢⱼ = 2aᵢaⱼ をもつイジング模型です本稿の計算
  • この例では、定数 Σ aᵢ² = 184、結合は J₁₂ = 2×9×7 = 126 など、6点で15本すべてが結合します。64通りを全部計算すると、E=0 になる分け方は2通り({9,4,2} と {7,5,3}。+と−を入れ替えたペア)。E=4(合計の差が2)は10通りありました本稿の計算

(1) 「0/1」と「±1」は同じもの

最適化の世界では、変数を 0/1 で書く形(QUBO:二次の制約なし二値最適化)もよく使います。s = 2x − 1(x=0 なら s=−1、x=1 なら s=+1)という置き換えで、QUBO とイジング模型は行き来できます。D-Wave のようなアニーリング装置は、どちらの形でも受け付けます(本記事による解説)。最大カット問題(QAOA の例として「NISQとハイブリッド計算」編で扱いました)も、線ごとに J=+1 を与えるイジング模型になります(逆向きが多いほどエネルギーが下がる=色が違う線が多い)事実[参考資料3]。

よくある誤解:「どんな問題も、そのまま量子アニーリングで解ける」

問題をイジング模型に書き換える作業(定式化)が必要で、ここが実務では難所になります。「ルールを守ること」(制約)は、破るとエネルギーが上がるペナルティ項として加える必要があり、ペナルティの重みの設定で結果が大きく変わります(本記事による解説。Lucas の論文が多くの問題の定式化を整理しています事実[参考資料3])。正しい読み方:量子アニーリングが解くのは「イジング模型の最小エネルギー探し」で、実際の問題を、そこへ正しく写せるかが、成否の半分を決めます。

5. 量子アニーリングの仕組み ― 横向きの力を弱めていく

さて、最小のエネルギーの向きの組を、どう探すのでしょうか。ふつうの方法の1つに焼きなまし(シミュレーテッド・アニーリング)があります。熱を与えて点の向きを揺らし、少しずつ温度を下げると、向きが谷底に落ち着きます。熱の揺らぎは、途中のエネルギーの山を越えるのを助けます。

量子アニーリングは、熱の代わりに量子の揺らぎを使います。Kadowaki と Nishimori は、横磁場(点を横向きにする力)を、焼きなまし法の「温度」と同じ役割をする量として時間とともに弱めていくと、小さな系の数値計算で、熱による方法より、基底状態により高い確率でたどり着けることを示しました事実[参考資料1]。矢印のたとえでは、こうなります。

量子アニーリング:横向きの力を弱め、問題の項を強めていく(概念図)A(s):横向きの力(矢印を赤道へ引く)B(s):問題の項アニール進行度 s(0 → 1。時間とともに進む)s = 0s = 11つの量子ビットの矢印は…01s=001途中01s=1赤道上:0と1が半々少しずつ北極か南極へ傾く極に向く:測ると0か1・始めは A(s) ≫ B(s):全部の矢印が赤道を向く(どの答えも同じ確率)。終わりは A(s) ≪ B(s):問題の項が支配する(D-Wave の記述)・ゆっくり変えれば、系は「その時々のエネルギーが最も低い状態」に留まり続け、最後に問題の最小エネルギー状態になる(断熱定理の考え方)・この図の A(s)・B(s) の曲線は説明用の形です。実機の曲線は D-Wave の資料で装置ごとに異なります※ 概念図です。矢印は説明用のたとえ(北極=0、南極=1)で、実機の測定結果ではありません。
図5 概念図(ベクター作図)。量子アニーリングの流れの概念図。横向きの力 A(s) を弱め、問題の項 B(s) を強めていくと、矢印は赤道から極へ傾いていく。
  • 始め:横向きの力が強く、各量子ビットの矢印は赤道を向きます。測れば0と1が半々なので、どの答えも同じ確率で含まれた状態です(「全部の答えを試している」のではなく、重ね合わせの状態です)
  • 途中:横向きの力を弱め、問題の項(h と J)を強めると、矢印はそれぞれ北極か南極のほうへ、少しずつ傾いていきます
  • 終わり:問題の項が支配し、矢印はほぼ北極か南極を向きます。測ると0/1の列が得られ、エネルギーの低い向きの組であることを期待します。D-Wave のドキュメントは、始めは A(s) ≫ B(s)、終わりは A(s) ≪ B(s) と書いています事実[参考資料6]

D-Wave のドキュメントが示す式は、H = −(A(s)/2) Σ σˣ + (B(s)/2) (Σ hᵢσᶻᵢ + Σ Jᵢⱼ σᶻᵢσᶻⱼ) です(σˣ が横向きの力、σᶻ が上下の向き)。s は 0 から 1 へ進む「アニール進行度」で、実行時間を指定できます事実[参考資料6]。理論的には、十分ゆっくり変えれば、系は「そのときのエネルギーが最も低い状態」にとどまり続け、最後に問題の最小エネルギー状態に着く、という断熱定理が根拠になります(Albash と Lidar の総説事実[参考資料4])。Farhi らは2001年に、この考え方を NP 完全問題の乱択インスタンスに適用する量子断熱アルゴリズムを提案しました事実[参考資料2]。

つまずきやすいところ:「トンネル効果」と「全部同時に試す」

量子アニーリングは「トンネル効果で山をすり抜ける」と説明されることがあります。熱が山を乗り越えるのに対し、量子は山の薄いところをすり抜けるというたとえです。たとえの限界:山が高く幅が広いと、すり抜けは効きません。また、実機でこの効果が働いていることは、別の証拠で確かめる必要があります。Boixo らは、実機の振る舞いが量子アニーリングのシミュレーションと強く相関し、古典の焼きなましとは相関が弱いことを根拠にしました事実[参考資料12]。

「全部の答えを同時に試している」とは言えません。始めの状態は「どの答えも同じ確率」の重ね合わせですが、測ると1つの答えに決まります。仕組みは、エネルギーの変化に沿って、低い状態に「流れ込む」ように設計されている、と考えてください。

6. 最小ギャップとアニール時間 ― 小さな例を数値で動かす

「十分ゆっくり」とは、どのくらいでしょうか。鍵になるのは、基底状態(いちばん低いエネルギー)と、その次のエネルギーの差です。これを「ギャップ」と呼びます。アニーリングの途中で、ギャップがいちばん小さくなる所(最小ギャップ)を、ゆっくり通らないと、系は次のエネルギーの状態に乗り移ってしまい、答えを外します。おおまかに、必要な時間は最小ギャップが小さいほど長くなります(断熱定理の典型的な形。本記事による解説事実[参考資料4])。

先ほどの数分割問題(6つの数)で、実際に計算してみます。H(s) = −10(1−s) Σ σˣ + s (Σ aᵢσᶻᵢ)² という、始めは全部の矢印が赤道を向き、終わりは数分割のエネルギーになる式です(単位は任意)。64通りの状態を持つ小さな系なので、パソコンで正確に計算できます本稿の計算。

エネルギーの準位と「最小ギャップ」:数分割の小さな例(本稿の計算)-60-40-20000.250.50.751アニール進行度 sエネルギー(任意の単位)最小ギャップ ≈ 1.07(s ≈ 0.73)基底状態(最も低い)終わりで E=4 に集まる(解の次に近い分け方)読み方・線は、下から5本のエネルギー準位・始め(s=0)は準位が大きく離れ、 終わり(s=1)は E=0 と E=4 が離れる・途中で、基底状態と次の準位が いちばん近づく所が「最小ギャップ」・ここをゆっくり通らないと、次の準位に 乗り移り、答えを外してしまう・ギャップが小さい問題ほど、ゆっくり (長く)アニールする必要がある拡大:下の2本の準位(s=0.55〜0.9)↑ 最小ギャップ0.550.9※ H(s) = −10(1−s)Σσˣ + s(Σaᵢσᶻᵢ)²(a=9,7,5,4,3,2)。全体を反転する対称性のある、64状態中32状態の部分の下から5準位。 解の2通り(+と−を入れ替えたペア)は、この対称な部分で1つの状態にまとまる。単位は任意で、実機の値ではありません。 s=0 のギャップは40、s=1 のギャップは4、最小は約1.07(s≈0.73)。
図6 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。数分割の小さな例のエネルギー準位。下から5本の準位が s とともにどう変わるか。基底状態と次の準位が最も近づく所(s≈0.73、ギャップ約1.07)が最小ギャップ。単位は任意。

次に、この系を、アニール時間 T をいろいろに変えて、シュレーディンガー方程式のとおりに動かしました(s = t/T の直線的な進行)。T が短いと成功確率は低く、長くすると上がります。T=0.1 では 8.6%、T=1 では 33%、T=10 では 80%、T=50 では 99.85% です。何もせずに当てずっぽうで選んだときの確率は 2/64 ≈ 3.1% です本稿の計算。

ただし、「長ければ長いほどよい」とは限りません。実機では、1回ごとに準備と読み出しの時間がかかり、答えが外れたら何回もくり返します。「確率99%で答えを得るまでの総時間」(TTS)は、TTS = (T + τ₀) × max(1, ln(1−0.99) ÷ ln(1−p)) で見積もります(p は1回の成功確率)。この小さな例で、1回ごとに必ずかかる時間を τ₀ = 5 と仮定すると、T = 5〜20 のあたりで総時間が最短(約42)になり、T が短すぎても長すぎても遅くなります本稿の計算。Rønnow らは、速度向上を測るには、このように問題の大きさごとに最適な設定で比べることが大切だと論じています事実[参考資料13]。

ゆっくり変えるほど成功しやすい。でも、遅すぎると全体が長くなる(本稿の計算)A:1回のアニールで解が出る確率B:確率99%で解を得るまでの総時間0%25%50%75%100%0.1110100アニール時間 T(対数目盛り・任意の単位)当てずっぽう 3.1%(2/64)80%01002000.1110100アニール時間 T(対数目盛り)総時間(任意の単位)最短:約42(T≈20)短すぎると何回もくり返す長すぎると1回が長い※ 解を得る時間:TTS = (T + τ₀) × max(1, ln(1−0.99) ÷ ln(1−p))。p は1回で解が出る確率。 τ₀ = 5 は、1回ごとに必ずかかる時間(準備と読み出し)の仮定です。 成功確率は、前の図と同じ小さな問題を、シュレーディンガー方程式で直線的な進行度 s = t/T として 数値計算した値(ノイズのない理想の系)。実機の値ではありません。 T=0.1〜100 の10点:確率 0.086, 0.128, 0.225, 0.329, 0.458, 0.655, 0.801, 0.937, 0.9985, 1.000。
図7 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。アニール時間と成功確率・総時間。A:1回で解が出る確率(理想の系の数値計算)。B:確率99%で解を得るまでの総時間(1回ごとに τ₀ = 5 かかると仮定)。単位は任意で、実機の値ではありません。
見落としやすい点:この計算は「ノイズのない理想の系」

上の計算は、外の環境と切り離された系を前提にしています。実機は、周りの熱や雑音の影響を受ける「開いた系」で、動作温度は0ではありません。そのため、実機では、基底状態に留まるという断熱の理想どおりには進まず、熱による遷移や雑音の影響も受けます(本記事による解説)。ここで見てほしいのは「数値の大きさ」ではなく、ギャップと、時間と成功確率の関係という考え方です。

7. ゲート方式との違い

「量子コンピュータ」には、大きく2つの作り方があります。1つは、量子ビットにゲート(矢印を回す操作)を順番にかけていくゲート方式。もう1つは、全体の力(A(s)、B(s))を連続的に変えていくアニーリング方式です。ISO/IEC JTC 3 の量子コンピューティング分科会(JSC 3A)は、その範囲を、汎用の量子計算、量子シミュレーターや量子アニーラーのような制限された形の量子計算、そしてハイブリッド形式と定めています事実[参考資料23]。

観点ゲート方式量子アニーリング(D-Wave の方式)
目的汎用の計算(どんなアルゴリズムも原理的に書ける)主に、イジング模型の形の最適化・サンプリング
操作ゲートを順に実行する回路A(s)・B(s) を時間とともに連続的に変える(アニール)
問題の入れ方量子回路として書くh と J(イジング模型の係数)として入れる
量子ビットの数少数でも質の高い量子ビット(誤り率・接続・誤り訂正が焦点)数千の量子ビットだが、接続は限られ、問題の変数は鎖で組む(図9)。数を直接比べられない
誤り訂正理論と初期の実験がある(別編)本稿で確認した D-Wave の資料に、論理量子ビットによる誤り訂正を行うとの記載は見つからなかった
理論上の能力汎用一般の断熱量子計算はゲート方式と多項式的に同等(Aharonov ら 2007)[参考資料5]。ただし D-Wave のような「横磁場+イジング」の形(stoquastic)の能力と限界は研究が続く(Albash と Lidar)[参考資料4]
代表的な方法Shor、Grover、VQE、QAOA など量子アニーリング、量子断熱アルゴリズム

整理は本記事の解説。根拠は[参考資料4・5・23]ほか。

よくある誤解:「D-Wave は 4,400量子ビットだから、ゲート方式の100量子ビットの40倍高性能」

2つは、量子ビットの数え方が違います。アニーリング装置の量子ビットは、イジング模型の最適化に特化し、つながり方に制限があるため、大きな問題は複数の量子ビットを鎖にして1つの変数を表します(第8章)。ゲート方式の量子ビットは、任意のゲートを高い精度で実行できることが求められます。正しい読み方:「何量子ビット」だけでは、異なる方式の優劣は決まりません。どの課題で、どの精度で、何と比べたかを見ます。

なお、ゲート方式の QAOA(本シリーズ「NISQとハイブリッド計算」編)は、量子断熱アルゴリズムの考え方から生まれた、ゲート方式の近縁の方法です事実[参考資料2]。

8. D-Wave の方式 ― 超伝導チップと、接続の限界

商用の量子アニーリング装置を最初に作ったのは D-Wave です。Johnson らは2011年に、8個の超伝導磁束量子ビットに、プログラムできる結合をもたせた人工のイジング系で、量子アニーリングによる基底状態の探索を報告しました事実[参考資料9]。Boixo らは、108量子ビットの D-Wave One(超伝導磁束量子ビット)の実験で、装置が量子アニーリングを行っていることを示す証拠を報告しました事実[参考資料12]。

チップの設計で大事なのは、1つの量子ビットが何個の相手とつながるかです。D-Wave のドキュメントによれば、Chimera 型は1つの量子ビットが6個の相手と、Pegasus 型は15個、Zephyr 型は20個とつながります。Pegasus は Advantage(1つのチップが5,640量子ビットで製造される)の、Zephyr は Advantage2 の接続です事実[参考資料7]。D-Wave は2025年5月に、Advantage2 の一般提供を発表し、4,400量子ビット超、Zephyr 型の20本接続、エネルギースケールの40%向上・ノイズの75%低減・コヒーレンスの2倍などを挙げました事実[参考資料8](企業の発表。第三者の検証による数字ではありません)。

D-Wave の接続のしかた:1つの量子ビットが結べる相手の数(概念図)ChimeraD-Wave 2000Q6 本C16:2,000量子ビット超PegasusAdvantage15 本P16:製造規模 5,640 量子ビットZephyrAdvantage220 本4,400量子ビット超(D-Wave の発表)・接続数が多いほど、問題を少ない量子ビットで埋め込める(鎖が短くなる)。ただし、全部がつながる問題は、どれでも鎖が必要・接続数は D-Wave のドキュメントの記載(Chimera 6、Pegasus 15、Zephyr 20)。・Advantage2 の規模は D-Wave の発表(企業の主張)※ 棒の長さは接続数(1量子ビットあたりの結合器の最大数)に比例。量子ビット数の大小で性能の優劣は決まりません。
図8 概念図(ベクター作図)。D-Wave のチップの接続数の比較。Chimera 6、Pegasus 15、Zephyr 20(D-Wave のドキュメント)。Advantage2 の規模は D-Wave の発表(企業の主張)。

つながりに制限があるため、問題の変数がチップの接続より多くの相手と結合する場合は、マイナー埋め込みという作業が必要になります。1つの変数を、複数の量子ビットの「鎖」(強く結んで1つとして振る舞わせる)に割り当てるものです事実[参考資料10]。次の図は、3つの変数が全部つながる三角形の問題を、四角形の接続のチップに載せる最小の例です。

マイナー埋め込み:問題の「点」を、チップの量子ビットの「鎖」に割り当てる(概念図)① 問題:3つの変数が全部つながるx₁x₂x₃三角形:全部の組に結合がある② チップ:隣どうしだけつながるABCD四角形:対角(A–C、B–D)は直接つながらない③ 割り当てx₁ → Ax₂ → Bx₃ → C と D の鎖C–D を強く結んで、2つで1つの変数として振る舞わせるx₁–x₂ は A–B、x₂–x₃ は B–C、x₁–x₃ は A–D代償:3つの変数に4つの量子ビットが要る。全部がつながる問題ほど長い鎖が必要で、使える変数の数は、チップの量子ビット数よりずっと少なくなる鎖の強さの設定(鎖が切れると答えが壊れる)は、埋め込みの実用上の難所(Choi 2008。グラフマイナーの探索法は Cai ら 2014)
図9 概念図(ベクター作図)。マイナー埋め込みの最小例。3つの変数が全部つながる三角形を、隣どうしだけつながる四角形のチップに載せるため、x₃ を2つの量子ビット(C と D)の鎖にする。

先ほどの数分割問題は、6つの変数のどの組にも結合があるので(15本)、チップ上では鎖が必要です。Cai らは、このグラフマイナー(問題のグラフを、チップのグラフの部分として表す)を見つける実用的な方法を示しました事実[参考資料11]。実際に使える変数の数は、チップの量子ビット数より小さくなります(本記事による解説)。

素材技術者の視点①:量子ビットの「数」と「使える数」を支える材料と製造

D-Wave の装置は、超伝導の磁束量子ビットを使います事実[参考資料9・12]。数千個の量子ビットと数万個の結合器を1枚のチップに並べるには、超伝導体の薄膜を多層に積み、各量子ビットの特性のばらつき(接合の作製のばらつきなど)と磁束のノイズを抑える必要があります。プログラムした h と J の値と、実機の値のずれが、解の質に直結するからです(本記事による解説)。

また、Pegasus の1つのチップは5,640個の量子ビットで製造されるとドキュメントは書いています事実[参考資料7]。製造された数と、実際に問題に使える数は別で、後者はチップごとに確かめる必要があります(本記事による解説)。つながりが増える(Chimera 6 → Pegasus 15 → Zephyr 20)ことは、配線の層と結合器の数が増えることを意味し、製造の難しさと歩留まりの問題として素材・プロセス側にはね返ります(本シリーズ「量子コンピュータの材料と製造」編で扱います)。

9. 「量子優位性」の主張と、古典側の結果

量子アニーリングは、「古典コンピュータより速いのか」という問いが、いちばん長く議論されてきた方式の1つです。主張と結果を、年代順に表にまとめます。「優位性の主張の一般的な読み方」は「量子優位性の読み方」編にあるので、ここでは量子アニーリング固有の点に絞ります。

年・研究主張・結果(論文の記載)読み方
2014 Rønnow ら速度向上の「定義と検出法」を提案。D-Wave Two(最大503量子ビット)で、条件つきのランダムなスピングラスを、古典の焼きなましや量子モンテカルロと比べ、全データでは速度向上の証拠はなく、個別の比較では決定的でない結果。1つのベンチマークの結果で、他の課題の可能性は否定しない、と著者が注記[参考資料13]「どの問題の集合で比べたか」で結論が変わる
2016 Denchev ら高くて狭いエネルギーの壁をもつよう作った人工の問題(945変数)で、D-Wave 2X が焼きなましの単一コアより約10⁸倍速い(解を99%の確率で得る時間)。ただし著者らも、古典のヒューリスティクスが同程度の時間で解く例があると注記[参考資料14]問題を「量子に有利」に作った。比べた古典の手法に注意
2018 Mandrà と Katzgraber「欺瞞的なクラスターループ」という問題で、D-Wave 2000Q が既知の最良の古典ヒューリスティクスを上回る。ただし定数倍の速さで、スケーリング(問題が大きくなったときの伸び方)の改善は見られない[参考資料15]「定数倍」と「伸び方の違い」は別
2023 King ら数千量子ビットの超伝導アニーラーで、3次元スピングラスの量子臨界ダイナミクスを測定。古典の(類似の)モンテカルロ法よりエネルギー最適化でのスケーリングの優位を理論・実験の両面から支持する、と主張(D-Wave の研究者ら)[参考資料16]「類似の」古典法との比較。企業側の研究グループの主張
2025 King ら(Science)アニーラーが、シュレーディンガー方程式の解とよく合うサンプルを速く生成し、テンソルネットワークとニューラルネットワークの主な近似手法では、妥当な時間で同じ精度に達しない、と主張[参考資料17]。D-Wave は同月の発表で、Advantage2 が古典コンピュータの手の届かない問題を解けるとした[参考資料8]企業の主張。量子シミュレーションの課題であり、最適化の速度とは別
2025–2026 Tindall ら、Mauron と CarleoTindall ら:同じスピングラスを、格子専用のテンソルネットワークと信念伝播で、控えめな計算資源で最先端の精度に達した(Science 2026)[参考資料18]。Mauron と Carleo:時間依存の変分モンテカルロで、3次元ダイヤモンド格子の128スピンまで、量子装置と同程度以上の精度(相関誤差7%未満)(プレプリント)[参考資料19]古典側の結果。どちらも、King らの課題の「古典で再現できない」という主張への反論

各論文の記載の整理(確認日 2026年10月16日)。優位性が「消えた」「残った」を断定するものではありません。

量子アニーリング:主張(●)と、古典側の結果(◆)の流れ2014201620182020202220242026D-Wave Two(503量子ビット)Rønnow ら:速度向上の証拠なしD-Wave 2X(人工的な問題)Denchev ら:SA の約10⁸倍Mandrà ら:定数倍のみ5,000量子ビット級(スピングラス)King ら:スケーリングの優位Advantage2(量子シミュレーション)King ら:ビヨンド・クラシカルTindall・Mauron ら● 主張・肯定的な結果 ◆ 古典側の結果・否定的な結果※ 位置は発表の年。同じ課題・同じ条件の再評価とは限りません。※ D-Wave Two の行の結果は「主張」ではなく、速度向上の検出法の論文(Rønnow ら)の結論です。詳細は本文の表。
図10 概念図(ベクター作図)。量子アニーリングの主張(●)と、古典側の結果(◆)の流れ。位置は発表の年で、同じ課題・同じ条件の再評価とは限りません。

比べる相手として、量子ではない最適化専用機も作られています。Fujitsu のデジタルアニーラーは、専用の CMOS 回路で全結合の QUBO を解く装置で、アルゴリズムは焼きなましに基づきます(論文の時点で1,024変数まで)事実[参考資料20]。Goto らのシミュレーテッド分岐は、非線形のハミルトン系の断熱的な分岐をシミュレートして最適化する、古典計算の方法です事実[参考資料21]。コヒーレント・イジングマシンは、光パルスの結合ネットワークで2,000ノードのイジング問題を解いた装置です事実[参考資料22]。量子であることが、速さの理由とは限りません。

この章から言えること・言えないこと

言えること:量子アニーリングの優位性の主張は、課題と比較対象を限定した形で出され、古典側から同程度の結果が報告されることが続いてきた(表)。言えないこと:将来にわたって優位が存在しない、あるいは存在するという結論は、ここからは導けません。また、2025年の主張は「量子シミュレーション」の課題で、組合せ最適化の実用的な速さとは別の話です。あなたの問題で、最良の古典ソルバーと同じ条件で比べた結果があるか、が確かめる点です(第11章の読み方の注意を参照)。

素材技術者の視点②:材料の現場の「最適化」と、使う前の確かめ方

素材の現場でも、組合せ最適化は出てきます。たとえば、実験条件の選び方、試験の順序・スケジュール、格子上の原子配置(各サイトに A 原子と B 原子のどちらを置くかは、2値のスピンで書けるので、イジング模型の言葉になります)などです(本記事による解説)。実機で、材料の問題を量子アニーリングで解いて古典を上回った例は、本稿では確認していません。

使う前に確かめることは3つです。①定式化:問題をイジング模型に写すとき、変数の数と結合の数はいくつになるか(接続の限界で、実際に載る大きさが決まります。図9・図8)。②比べる相手:同じ問題を、混合整数計画法や焼きなまし、ベイズ最適化などの古典の最良の手法で解いたか。③総時間:前処理(定式化・埋め込み)や通信を含む総時間か、チップの実行時間だけか(本記事による解説)。ベイズ最適化などは、本シリーズ「マテリアルインフォマティクス」編で扱います。

材料の実験条件や試験の順序という、組合せ最適化になりやすい場面のイメージです。実在の人物・施設を示すものではありません。
図11 概念画像(ImageGen生成)。材料の実験条件や試験の順序という、組合せ最適化になりやすい場面のイメージです。実在の人物・施設を示すものではありません。 実際の製品・施設・寸法・測定結果ではありません。拡大模型と実物スケールの場面は区別してください。

10. 限界と、確認できなかったこと/まとめ

(1) 確認できなかったこと

  • D-Wave の実機の動作温度、標準のアニール時間の値、量子ビットの数のうち実際に使える数は、D-Wave のドキュメントの該当ページを確認できなかったため記載していません(ドキュメントのトポロジーと、アニールのページのみ確認)。
  • Advantage2 の性能の数字(エネルギースケール40%向上、ノイズ75%低減、コヒーレンス2倍)は、D-Wave の発表(企業の主張)で、第三者の検証は確認できませんでした。
  • D-Wave の実機が論理量子ビットによる誤り訂正を行うとの記載は見つかりませんでした(行わないと断定するものではありません)。
  • ISO/IEC 4879:2024 の本文は有料で、「量子アニーリング」などの用語が定義されているかは確認できませんでした。IEEE P3329(量子計算のエネルギー効率)などは策定中の案件として確認したにとどまります。
  • 材料の問題を量子アニーリングの実機で解いて、古典の最良の手法を上回った第三者が検証した例は、確認できませんでした。
この記事のまとめ
  • 量子アニーリングは、最適化問題をイジング模型に写し、エネルギーの谷底を探す方式です。点が増えると組合せは爆発的に増えます(50項目で約1.1×10¹⁵通り)本稿の計算
  • 問題の書き換え(定式化)が実務の難所です。数分割の例では、6つの数が15本の結合をもつイジング模型になりました本稿の計算
  • 時間をかけるほど成功しやすいが、最短の総時間は中間にある:小さな例で T=5〜20 が最短でした。鍵は最小ギャップです本稿の計算
  • ゲート方式とは別の仕組みで、量子ビットの数は直接比べられません。接続の限界のため、問題の変数は鎖で組みます事実
  • 優位性の主張には、古典側が同程度の結果を報告してきました。企業の主張と第三者の検証を分け、自分の問題で、最良の古典ソルバーと比べた結果を確かめます事実

11. 評価・標準の読み方

量子アニーリングの「ものさし」は、解の質(どれだけエネルギーの低い答えが出たか)と、解を得るまでの時間です。後者は、確率99%で答えを得るまでの総時間(TTS)のように、1回の成功確率と、くり返しの時間を組み合わせて測ります事実[参考資料13]。ここで重要なのは、「どの時間を数えるか」(チップの実行時間だけか、前処理・埋め込み・通信を含む総時間か)と、「どの問題の集合で、何と比べたか」です。確認日は2026年10月16日です。

評価項目代表的なベンチマーク・評価手法(名称・出典)標準・指針(ISO/IEC・IEEE など)読み方の注意
速度向上の定義と検出「速度向上」の定義と検出(Rønnow ら 2014)。解を得る時間(TTS)。古典の焼きなまし・量子モンテカルロとの比較[参考資料13]事実確認できなかった(TTS を定める国際規格は確認していない)問題のサイズごとに最適な設定で比べる。定数倍とスケーリングを分ける(Mandrà ら)[参考資料15]
量子であることの証拠量子アニーリングのシミュレーションとの相関、小さなギャップをもつ準位交差の証拠(Boixo ら 2014)[参考資料12]事実確認できなかった量子的であることと、古典より速いことは別の問い
優位性の検証より良い古典法の報告:Tindall ら(Science 2026)、Mauron と Carleo(プレプリント)[参考資料18・19]事実確認できなかった企業の主張(King ら)と、古典側の結果を並べて読む
範囲と用語—ISO/IEC JTC 3/JSC 3A の範囲:量子アニーラーを含む。WG 1 サプライチェーン、WG 2 ベンチマーク、WG 3 用語[参考資料23]。ISO/IEC 4879:2024(量子コンピューティングの用語、2024年5月発行)[参考資料24]事実本文は有料で、アニーリングの用語の有無は未確認
性能指標とベンチマーク—IEEE P7131(性能指標とベンチマークの標準案、ワーキンググループ活動中)[参考資料26]。IEEE P3329(量子計算とシミュレーションのエネルギー効率、策定中)[参考資料25]未確定/将来公開済みの標準としては確認できなかった。要求事項は未確認
他方式との比較古典の専用機・手法:デジタルアニーラー(Aramon ら)、シミュレーテッド分岐(Goto ら)、コヒーレント・イジングマシン(Inagaki ら)[参考資料20・21・22]事実確認できなかった同じ問題・同じ条件で比べた結果があるか確認する

表の整理は本稿の計算(整理)。番号・題名・状態は ISO・IEEE SA の公式ページで確認(確認日 2026年10月16日)。規格の本文は有料のため、適用範囲の記載にとどめ、要求事項は書いていません。

読み方の注意(素材技術者向け)

  • 「何量子ビット」では比べられません:アニーリング装置の量子ビット数は、接続(Chimera 6、Pegasus 15、Zephyr 20)と鎖の長さで、実際に使える問題の大きさに換算されます[参考資料7・10]
  • 企業の発表と第三者の検証は別です:D-Wave の「古典の手の届かない」という発表や King らの主張は企業側の主張で、古典側からの結果が続いています[参考資料8・17・18・19]
  • 計画と達成を区別してください:標準(IEEE P7131、P3329 など)の多くは策定中で、公開されても法令や契約で引用されて初めて拘束力を持つのが一般的です(本記事による解説)。

12. 用語集

組合せ最適化
たくさんの選択肢の組合せから、いちばん良いものを選ぶ問題。
組合せ爆発
項目が増えると、組合せの数が急激に増えること(2択 n 個なら 2ⁿ)。
イジング模型
上向き・下向きの点(スピン)の集まりとして、問題を書く形。
スピン
ここでは、上(+1)か下(−1)の2択をもつ点。量子ビットの0/1に対応。
結合 J/偏り h
点どうしの好み(J)と、個々の点の偏り(h)。
エネルギー
向きの組合せの「悪さの点数」。低いほど安定で、最適化は最小を探すこと。
基底状態
エネルギーがいちばん低い状態。最適化の答えに当たる。
フラストレーション
全部の好みを同時には満たせない状態。
QUBO
0/1 変数の二次の最適化問題。s = 2x − 1 でイジング模型と行き来できる。
定式化
実際の問題を、イジング模型などの形に書き換える作業。
ペナルティ項
制約を破るとエネルギーが上がるようにする追加の項。
焼きなまし(シミュレーテッド・アニーリング)
熱の揺らぎを使い、温度を下げながら最小を探す古典の方法。
量子アニーリング
横向きの力(量子の揺らぎ)を弱めながら、最小エネルギーを探す方式。
横磁場
量子ビットの矢印を赤道へ引く力。始めは強く、だんだん弱める。
アニール進行度 s
0 から 1 へ進む、アニーリングの進み具合。
断熱定理
ゆっくり変えれば、系は「その時の最低エネルギーの状態」にとどまるという定理。
ギャップ/最小ギャップ
基底状態と次のエネルギーの差。途中で最小になる所が最小ギャップ。
TTS(解を得る時間)
確率99%などで答えを得るまでの総時間。1回の成功確率とくり返しから計算。
マイナー埋め込み
問題の変数を、チップの量子ビットの「鎖」に割り当てる作業。
Chimera/Pegasus/Zephyr
D-Wave のチップの接続の型(1量子ビットあたりの接続は6/15/20)。
超伝導磁束量子ビット
超伝導の輪を流れる電流の向きで0/1を表す量子ビット。D-Wave が使用。
stoquastic
横磁場+イジング型のように、計算上扱いやすい形のハミルトニアン。能力と限界は研究中。
デジタルアニーラー/シミュレーテッド分岐
古典の専用回路・手法で最適化を行う、量子ではない比較対象。
コヒーレント・イジングマシン
光パルスのネットワークでイジング問題を解く装置。

13. 参考資料(一次情報)

  1. Kadowaki T., Nishimori H. "Quantum annealing in the transverse Ising model", Phys. Rev. E 58, 5355–5363 (1998), DOI 10.1103/PhysRevE.58.5355 — doi.org/10.1103/PhysRevE.58.5355
  2. Farhi E. ほか "A quantum adiabatic evolution algorithm applied to random instances of an NP-complete problem", Science 292, 472–475 (2001), DOI 10.1126/science.1057726 — doi.org/10.1126/science.1057726
  3. Lucas A. "Ising formulations of many NP problems", Front. Phys. 2, 5 (2014), DOI 10.3389/fphy.2014.00005(オープンアクセス) — doi.org/10.3389/fphy.2014.00005
  4. Albash T., Lidar D. A. "Adiabatic quantum computation", Rev. Mod. Phys. 90, 015002 (2018), DOI 10.1103/RevModPhys.90.015002 — doi.org/10.1103/RevModPhys.90.015002
  5. Aharonov D. ほか "Adiabatic quantum computation is equivalent to standard quantum computation", SIAM J. Comput. 37, 166–194 (2007), arXiv:quant-ph/0405098 — arxiv.org/abs/quant-ph/0405098
  6. D-Wave "Annealing Implementation and Controls" (D-Wave documentation: Hamiltonian, A(s), B(s), anneal fraction, schedules) — docs.dwavequantum.com/en/latest/quantum_research/annealing.html
  7. D-Wave "QPU Architecture: Topologies" (D-Wave documentation: Chimera, Pegasus and Zephyr) — docs.dwavequantum.com/en/latest/quantum_research/topologies.html
  8. D-Wave Quantum Inc. "D-Wave Announces General Availability of Advantage2 Quantum Computer, Its Most Advanced and Performant System" (press release, 20 May 2025) — dwavequantum.com/company/newsroom/press-release/d-wave-announces-general-availability-of-advantage2-quantum-computer-its-most-advanced-and-performant-system/
  9. Johnson M. W. ほか "Quantum annealing with manufactured spins", Nature 473, 194–198 (2011), DOI 10.1038/nature10012 — doi.org/10.1038/nature10012
  10. Choi V. "Minor-embedding in adiabatic quantum computation: I. The parameter setting problem", Quantum Inf. Process. 7, 193–209 (2008), arXiv:0804.4884 — arxiv.org/abs/0804.4884
  11. Cai J., Macready W. G., Roy A. "A practical heuristic for finding graph minors", arXiv:1406.2741 (2014) — arxiv.org/abs/1406.2741
  12. Boixo S. ほか "Evidence for quantum annealing with more than one hundred qubits", Nat. Phys. 10, 218–224 (2014), DOI 10.1038/nphys2900 — doi.org/10.1038/nphys2900
  13. Rønnow T. F. ほか "Defining and detecting quantum speedup", Science 345, 420–424 (2014), DOI 10.1126/science.1252319 — doi.org/10.1126/science.1252319
  14. Denchev V. S. ほか "What is the computational value of finite-range tunneling?", Phys. Rev. X 6, 031015 (2016), DOI 10.1103/PhysRevX.6.031015 — doi.org/10.1103/PhysRevX.6.031015
  15. Mandrà S., Katzgraber H. G. "A deceptive step towards quantum speedup detection", Quantum Sci. Technol. 3, 04LT01 (2018), DOI 10.1088/2058-9565/aac8b2 — doi.org/10.1088/2058-9565/aac8b2
  16. King A. D. ほか "Quantum critical dynamics in a 5,000-qubit programmable spin glass", Nature 617, 61–66 (2023), DOI 10.1038/s41586-023-05867-2 — nature.com/articles/s41586-023-05867-2
  17. King A. D. ほか "Beyond-classical computation in quantum simulation", Science 388, 199–204 (2025), DOI 10.1126/science.ado6285 — doi.org/10.1126/science.ado6285
  18. Tindall J. ほか "Dynamics of disordered quantum systems with two- and three-dimensional tensor networks", Science 392, 868–872 (2026), arXiv:2503.05693 — arxiv.org/abs/2503.05693
  19. Mauron L., Carleo G. "Challenging the quantum advantage frontier with large-scale classical simulations of annealing dynamics", arXiv:2503.08247 (2025, preprint) — arxiv.org/abs/2503.08247
  20. Aramon M. ほか "Physics-inspired optimization for quadratic unconstrained problems using a digital annealer", Front. Phys. 7, 48 (2019), DOI 10.3389/fphy.2019.00048(オープンアクセス) — doi.org/10.3389/fphy.2019.00048
  21. Goto H., Tatsumura K., Dixon A. R. "Combinatorial optimization by simulating adiabatic bifurcations in nonlinear Hamiltonian systems", Sci. Adv. 5, eaav2372 (2019), DOI 10.1126/sciadv.aav2372(オープンアクセス) — doi.org/10.1126/sciadv.aav2372
  22. Inagaki T. ほか "A coherent Ising machine for 2000-node optimization problems", Science 354, 603–606 (2016), DOI 10.1126/science.aah4243 — doi.org/10.1126/science.aah4243
  23. IEC/ISO JTC 3/JSC 3A "Quantum computing" (committee page: scope including quantum annealers and hybrid forms; WG 1 supply chain, WG 2 benchmarking, WG 3 terminology) — iso.org/committee/12010875.html
  24. ISO/IEC "ISO/IEC 4879:2024 Information technology — Quantum computing — Vocabulary" (ISO のページ) — iso.org/standard/80432.html
  25. IEEE SA "IEEE Standards & Projects for Quantum Technologies" (lists P7130, P3185, P3329 and others) — standards.ieee.org/initiatives/quantum-standards-activities/
  26. IEEE SA "Quantum Benchmarking Working Group P7131" (working group site) — sagroups.ieee.org/7131/

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
量子アニーリングが、焼きなまし法に量子ゆらぎ(横磁場)を入れる方法として1998年に提案されたこと。小さな系の数値計算で熱の方法より基底状態に高い確率で到達すること(Kadowaki と Nishimori)出典1 https://doi.org/10.1103/PhysRevE.58.5355事実
量子断熱アルゴリズムを NP 完全問題の乱択インスタンスに適用する提案(Farhi ら 2001)出典2 https://doi.org/10.1126/science.1057726事実
カープの21個の NP 完全問題を含む多くの問題のイジング模型への定式化。数分割問題の定式化出典3 https://doi.org/10.3389/fphy.2014.00005事実
断熱量子計算の総説:断熱定理、ゲート方式の汎用の代替であること、stoquastic の場合の議論出典4 https://doi.org/10.1103/RevModPhys.90.015002事実
断熱量子計算とゲート方式が多項式的に同等であること出典5 https://arxiv.org/abs/quant-ph/0405098事実
D-Wave のドキュメント:E = Σ hs + Σ Jss の形、H = −(A/2)Σσˣ + (B/2)(Σhσᶻ + ΣJσᶻσᶻ)、始めは A≫B、終わりは A≪B、アニール進行度 s と実行時間の指定出典6 https://docs.dwavequantum.com/en/latest/quantum_research/annealing.html事実
D-Wave のドキュメント:Chimera 6・Pegasus 15・Zephyr 20 の接続数、Advantage が Pegasus(5,640量子ビットで製造)、Advantage2 が Zephyr出典7 https://docs.dwavequantum.com/en/latest/quantum_research/topologies.html事実
D-Wave の2025年5月20日の発表:Advantage2 の一般提供、4,400量子ビット超、Zephyr 20本接続、エネルギースケール40%向上・ノイズ75%低減・コヒーレンス2倍、「古典の手の届かない問題を解ける」という主張(企業の主張)出典8 https://www.dwavequantum.com/company/newsroom/press-release/d-wave-announces-general-availability-of-advantage2-quantum-computer-its-most-advanced-and-performant-system/事実
8個の超伝導磁束量子ビットによる人工のイジング系での量子アニーリング(Johnson ら 2011)出典9 https://doi.org/10.1038/nature10012事実
108量子ビットの D-Wave One の実験で、シミュレーションとの強い相関など、量子アニーリングを行っている証拠出典12 https://doi.org/10.1038/nphys2900事実
マイナー埋め込みとパラメータ設定、グラフマイナーを探す実用的な方法出典10 https://arxiv.org/abs/0804.4884
出典11 https://arxiv.org/abs/1406.2741
事実
Rønnow ら:D-Wave Two(最大503量子ビット)で、全データでは速度向上の証拠がない出典13 https://doi.org/10.1126/science.1252319事実
Denchev ら:人工的な問題(945変数)で、焼きなましの単一コアより約10⁸倍。古典ヒューリスティクスが同程度の時間で解く例があるという注記出典14 https://doi.org/10.1103/PhysRevX.6.031015事実
Mandrà と Katzgraber:欺瞞的なクラスターループで定数倍の速さ、スケーリングの改善は見られない出典15 https://doi.org/10.1088/2058-9565/aac8b2事実
King ら(Nature 2023):数千量子ビットで3次元スピングラスの量子臨界ダイナミクス、スケーリングの優位の主張(企業の研究グループ)出典16 https://www.nature.com/articles/s41586-023-05867-2事実
King ら(Science 2025):シュレーディンガー方程式とよく合うサンプルと、古典の主な近似手法が同じ精度に達しないという主張(企業の主張)出典17 https://doi.org/10.1126/science.ado6285事実
Tindall ら(Science 2026):格子専用のテンソルネットワークと信念伝播で最先端の精度。Mauron と Carleo:変分モンテカルロで128スピンまで同程度の精度(プレプリント)出典18 https://arxiv.org/abs/2503.05693
出典19 https://arxiv.org/abs/2503.08247
事実
デジタルアニーラー(全結合 QUBO、専用 CMOS、1,024変数、焼きなましに基づく)、シミュレーテッド分岐、コヒーレント・イジングマシン(2,000ノード)出典20 https://doi.org/10.3389/fphy.2019.00048
出典21 https://doi.org/10.1126/sciadv.aav2372
出典22 https://doi.org/10.1126/science.aah4243
事実
ISO/IEC JTC 3/JSC 3A の範囲(量子アニーラー・ハイブリッドを含む)と WG 1・2・3。ISO/IEC 4879:2024 の番号・題名・2024年5月発行出典23 https://www.iso.org/committee/12010875.html
出典24 https://www.iso.org/standard/80432.html
事実
IEEE P3329(量子計算とシミュレーションのエネルギー効率)・P7130 が IEEE SA の量子の案件として載っていること。P7131 ワーキンググループの技術的範囲出典25 https://standards.ieee.org/initiatives/quantum-standards-activities/
出典26 https://sagroups.ieee.org/7131/
事実
2ⁿ の表(10・20・30・50・100項目、10⁹通り/秒で13日・約4×10¹³年)、数分割問題の64通りの数え上げ(E=0 が2通り、E=4 が10通り、定数184、J₁₂=126)本稿の計算(Python。全探索)本稿の計算
エネルギー準位と最小ギャップ(約1.07、s≈0.73、s=0 で40、s=1 で4)、成功確率(T=0.1〜100 の10点)、TTS(τ₀=5、最短約42、T=5〜20)本稿の計算(Python。64状態の系を、対称部分の固有値と、シュレーディンガー方程式の数値積分で計算。ノイズのない理想の系・任意の単位)本稿の計算
D-Wave の実機の動作温度・標準のアニール時間・実際に使える量子ビット数、Advantage2 の性能の第三者検証、実機での誤り訂正の有無、ISO/IEC 4879 でのアニーリングの用語、材料問題での第三者検証済みの優位本稿の調査範囲でアクセスできた一次情報では確認できなかったため記載していない解説
「トンネル効果のたとえの限界」「量子ビット数は直接比べられない」「定式化が実務の難所」「実機は開いた系で理想の断熱どおりには進まない」「材料の現場の最適化の例(原子配置・実験条件)」という読み取り公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関が表明した見解ではない解説
図2・図4・図6・図7が実データでなく説明のための作図であること。図3・図5・図8・図9・図10が概念図であること。図1・図11がImageGen生成の概念画像であること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月16日/出典は一次情報(査読論文、arXiv の論文、D-Wave の公式ドキュメント・発表、ISO・IEEE の公式ページ)に限定しています。数値例は本稿の計算で、実機の結果ではありません。D-Wave の実機の動作温度・標準のアニール時間・実際に使える量子ビット数、Advantage2 の性能の第三者検証、ISO/IEC 4879 でのアニーリングの用語、材料問題での第三者検証済みの優位については、確認できなかったため記載していません。図はすべて説明用の概念図または本稿の計算を含む作図で、図1と図11はImageGen生成の概念画像です。

図版更新:2026年10月17日。本文・出典整理表のベクター作図という表記は、保存した元SVGの由来を示します。現在の主図の形式と読み方は各図下の説明を参照してください。ImageGen画像は実測や実在製品の写真ではなく、元SVG・数値・出典は展開して確認できます。