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NISQとハイブリッド計算 技術解説

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TECHNOLOGY EXPLAINER

NISQとハイブリッド計算
― 誤りを含む量子コンピュータで、量子と古典はどう役割分担するのか

今の量子コンピュータは、計算の途中で起きる誤りを、まだ自分では直せません。それでも役に立てようと考えられたのが、短い量子回路だけを量子コンピュータに任せ、残りの調整を古典コンピュータが担当する「ハイブリッド計算」です。この記事では、まず「NISQ」とは何かを矢印のたとえで確かめ、次に、代表的な方法(VQE と QAOA)を小さな例で動かして見せます。後半では、うまくいかない理由(ノイズ、不毛の台地、測定回数)と、誤り抑制・誤り緩和で何がどこまでできるのかを、条件つきで正直に整理します。

構成:Preskill、Bharti ら、Cerezo ら、Kim ら(IBM)、Google Quantum AI などの論文・総説、ISO/IEC・IEEE の公式ページを使用/数値例は本稿で計算/確認日 2026年10月16日

量子コンピュータ(極低温の装置)と、古典コンピュータ(ノートパソコン)が並んで働く場面のイメージです。実在の装置・企業・実験を示すものではありません。
図1 概念画像(ImageGen生成)。量子コンピュータ(極低温の装置)と、古典コンピュータ(ノートパソコン)が並んで働く場面のイメージです。実在の装置・企業・実験を示すものではありません。 実際の製品・施設・寸法・測定結果ではありません。拡大模型と実物スケールの場面は区別してください。
この記事の構成
  1. 3行でわかる/読む前に/シリーズの中での位置
  2. なぜ「誤り」が問題になるのか ― 矢印のずれは積み重なる
  3. NISQとは何か ― 「誤りを含む」「中規模」の量子コンピュータ
  4. ハイブリッド計算 ― 量子と古典の役割分担
  5. VQE ― 分子のいちばん低いエネルギーを探す
  6. QAOA ― 組合せ最適化を量子回路で解く
  7. うまくいかない理由 ― ノイズ、不毛の台地、測定回数
  8. 誤り抑制・誤り緩和・誤り訂正 ― 3つの対処の違い
  9. 実機での例 ― IBM の127量子ビット実験と、その後の検証
  10. 限界と、確認できなかったこと/まとめ
  11. 評価・標準の読み方
  12. 用語集
  13. 参考資料(一次情報)
  14. 主張と出典の対応表(監査)
本記事の表記ルール

事実=公表資料に記載のある内容(出典リンクあり)
本稿の計算=明示した前提をもとに本記事が算出した値
未確定/将来=計画・目標・草案・改訂中・策定中・見通しなど、確定していない事項
このほか、素材技術者向けの読み取りは「解説」として区別しています。推測は太字で示します。企業の発表は「企業の主張」と明記します。

1. 3行でわかる/読む前に/シリーズの中での位置

  • NISQ(ニスク)は Noisy Intermediate-Scale Quantum(誤りを含む中規模の量子)の略で、誤り訂正をまだ備えていない、数十〜数百量子ビットの量子コンピュータを指す言葉です。Preskill が2018年に提案しました事実[参考資料1・2]
  • 誤りがあるので、回路を長くすると結果が崩れます。そこで量子コンピュータには短い回路だけを任せ、つまみの調整は古典コンピュータが行うハイブリッド計算が使われます。代表は VQE(分子のエネルギー)と QAOA(組合せ最適化)です事実[参考資料3]
  • 壁は3つあります。ノイズ、不毛の台地(学習の手がかりが消える)、測定回数です。誤り抑制・誤り緩和で一部をしのげますが、回路が深くなると費用が指数的に増える限界が、理論的に示されています事実[参考資料15・16]
この記事を読む前に知っておくこと

量子コンピュータの基本(量子ビット、重ね合わせ、測定)を、本シリーズ「量子コンピュータの基礎」編と「量子ゲートと量子回路」編で説明しています。この記事は単独でも読めるように、必要なことを短くおさらいします。前提知識は不要です。

おさらい:量子ビットの状態は、球の中心から表面に向かう矢印で表します(北極が0、南極が1、斜めが「0と1の重ね合わせ」)。ゲートは矢印を回す操作、測定は矢印を見て0か1のどちらかに決める操作で、決まる確率は矢印の傾きで決まります。測ると元の矢印は戻りません。

シリーズの中での位置

「量子コンピュータの基礎」→「量子ゲートと量子回路」→「量子アルゴリズム」→この記事(NISQとハイブリッド計算)→「量子優位性の読み方」→「量子誤り訂正と表面符号」の順に読むと分かりやすくなります。この記事の後半で扱う「実機の実験は古典で再現できたのか」は「量子優位性の読み方」編で詳しく扱い、VQE を分子に使う話は「量子化学・材料シミュレーション」編、QAOA と親戚の方式は「量子アニーリング」編で扱います。

2. なぜ「誤り」が問題になるのか ― 矢印のずれは積み重なる

量子ビットの矢印は、とても壊れやすいものです。ゲートで矢印を回すとき、少しだけ回しすぎたり足りなかったりします。周りの熱や電磁ノイズの影響で、矢印がゆらぐこともあります(これをデコヒーレンスといいます)。測定のときにも読み間違いが起きます。1回のずれは小さくても、ゲートを何百回も重ねると、ずれが積み重なります。

どのくらい積み重なるのかを、いちばん単純な式で見積もってみましょう。1つのゲートが確率 ε で失敗すると仮定します。すると、N 個のゲートが全部うまくいく確率は (1−ε)N です。

ゲートを重ねると、全部が無事に終わる確率は下がる(本稿の計算)0%25%50%75%100%101001,00010,000ゲートの数 N(対数目盛り)全部のゲートが無事な確率 (1−ε)ᴺε = 1%ε = 0.1%ε = 0.01%成功確率 50%N = 1,000 ゲートのときε=1%:約 0.004%ε=0.1%:約 37%ε=0.01%:約 90%(図の丸印の位置)※ 各ゲートが独立に確率 ε で誤ると仮定した単純な式です。実機の誤りは独立ではなく、 一部の誤りは結果に影響しないこともあるため、目安として読んでください。50%になる N は、ε=1% で約69、0.1% で約693、0.01% で約6,931 です。
図2 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。各ゲートが独立に確率 ε で誤ると仮定した、N 個のゲートが全部無事に終わる確率 (1−ε)ᴺ です。実機の誤りは独立ではないため、傾向をつかむための目安です。
  • ゲートの誤りが 0.1%(1000回に1回)でも、1,000個のゲートを重ねると、全部が無事な確率は約 37% です(0.9991000 ≈ 0.368)本稿の計算
  • 誤りが 1% なら、1,000個で約 0.004%(0.991000 ≈ 4×10−5)。誤りを10分の1にすると、扱える回路の長さが約10倍になります(50%になる N が約69→約693→約6,931)本稿の計算
  • 実機の例:ある超伝導量子ビットの装置は、2量子ビットゲートの忠実度が 99.62% と報告されています(Zuchongzhi 3.0、論文の要旨の記載)事実[参考資料23]。誤りは 0.38% なので、約182ゲートで成功確率が50%になる計算です(ln0.5 ÷ ln0.9962 ≈ 182)本稿の計算。報告値の測り方(平均か最良か、何個の値か)は論文で確認してください。
つまずきやすいところ:「忠実度」と「誤り」

「忠実度(フィデリティ)99.62%」は「理想の操作にどれだけ近いか」を表す数字で、「誤り」はその残り(100% − 99.62% = 0.38%)です。本シリーズ「コヒーレンスとフィデリティ」編で、測り方(ランダム化ベンチマーキングなど)を詳しく説明します。この記事では、忠実度が高いほど、重ねられるゲートが増えると覚えておけば十分です。

3. NISQとは何か ― 「誤りを含む」「中規模」の量子コンピュータ

NISQ という言葉は、Preskill が2018年の論文で提案しました。論文は、50〜100量子ビットの量子コンピュータが、古典コンピュータの能力を超える作業をできるかもしれない一方、ゲートの雑音が実行できる回路の大きさを制限する、と述べています事実[参考資料1]。その後の総説は、NISQ の計算機を「数百個の雑音を含む量子ビットからなり、誤り訂正をしておらず、不完全な操作を限られたコヒーレンス時間のあいだにしか行えない」ものと説明しています事実[参考資料2]。

言葉意味ここで大事なこと
Noisy(誤りを含む)ゲート・測定・待ち時間のどれにも誤りがあり、訂正していない回路を長くできない(図2)
Intermediate-Scale(中規模)古典コンピュータで丸ごと再現するのは難しいが、誤り訂正に必要な数には足りない規模「何量子ビット」だけでは性能は決まらない(誤り率とセットで見る)

Preskill の定義と総説の記述の整理(参考資料1・2)。「中規模」の線引きは時代とともに変わります(本記事による解説)。

誤りの扱い方で見た、量子コンピュータの3つの段階(概念図)① NISQ誤りを訂正せず、抑制・緩和で抑える使う量子ビット:物理量子ビット回路の長さに限りがある② 誤り訂正の初期の実証複数の物理量子ビットで1つの論理量子ビットを作る誤りが減る方向を確認小規模・限られた操作③ 耐故障(大規模)論理量子ビットで長い計算を最後まで実行必要な物理量子ビットははるかに多い例:127量子ビットで最大2,880個の CNOT ゲート(Kim ら 2023、誤り緩和を使用)例:101量子ビットで距離7の表面符号(Google、2025)。距離を2上げると誤りが約2.14分の1実現の時期は未確定。企業の目標は各社のロードマップを参照※ 段階の名前は本記事の整理で、時期は示していません。③は将来の話です(未確定)。※ 本記事の対象は ① です。②③は「量子誤り訂正と表面符号」「論理量子ビットと耐故障量子計算」編で扱います。
図3 概念図(ベクター作図)。誤りの扱い方で整理した3つの段階の概念図です。例は、Kim らの論文(127量子ビット、最大2,880個の CNOT)と Google の表面符号の実験(101量子ビット、距離7)で、段階の名前は本記事の整理です。

図3の②の例を補足します。Google は、2つの表面符号の記憶(距離7と距離5)で、符号の距離を2増やすと論理誤り率がΛ = 2.14 ± 0.02倍小さくなり、101量子ビットの距離7の符号は1サイクルあたり0.143%の誤りだったと報告しています事実[参考資料22]。これは「誤りを訂正する方向に進む」ことを示す実験で、NISQ の枠を超える仕事の入口にあたります。詳しくは「量子誤り訂正と表面符号」編で扱います。

よくある誤解:「NISQ=50〜100量子ビットの機械」

Preskill の2018年の論文は「50〜100量子ビット」に触れていますが、NISQ の中身は量子ビットの数ではなく、「誤りがあり、訂正していない」ことです。その後の総説は、NISQ の計算機はすでに数百量子ビットに達していると書いています事実[参考資料1・2]。正しい読み方:量子ビット数が増えても、誤り訂正がなければ NISQ のままです。どの段階の装置かは、誤り訂正の有無と、誤り率・回路の長さで判断します。

4. ハイブリッド計算 ― 量子と古典の役割分担

短い回路しか使えない量子コンピュータで、役に立つ仕事をするにはどうすればよいでしょうか。考え方は「量子コンピュータが得意なことだけを任せて、それ以外は古典コンピュータが担当する」ことです。この形の方法を変分量子アルゴリズム(VQA)といいます事実[参考資料3]。

たとえば、ラジオの周波数のつまみを回しながら、いちばん雑音の少ない位置を探す場面を思い浮かべてください。つまみを回す人が古典コンピュータ、ラジオ本体が量子コンピュータです。つまみの位置(θ)を決め、音(測定結果)を聞き、少し回し直す。これをくり返します。

古典側がパラメーターを決め、量子側で測定し、古典側で結果を評価して更新します。誤り訂正ができることや、古典計算より速いことを意味しません。
図4 概念画像(ImageGen生成)。古典側がパラメーターを決め、量子側で測定し、古典側で結果を評価して更新します。誤り訂正ができることや、古典計算より速いことを意味しません。 実際の製品・施設・寸法・測定結果ではありません。拡大模型と実物スケールの場面は区別してください。
元のSVG・数値・出典を確認する
ハイブリッド計算:量子と古典が輪になって働く(概念図)古典コンピュータ① 回路の「つまみ」θ を決める(最初は適当な値)量子コンピュータ② θ の回路を実行し、測る(同じ回路を数千回くり返す)古典コンピュータ③ 結果を平均して「コスト」を計算コストが下がる向きに θ を更新下がらなくなったら終了θ(つまみの値)0と1の測定結果の列新しい θ※ 色分け:青=古典コンピュータが担当、橙=量子コンピュータが担当。

元SVGの説明:概念図(ベクター作図)。変分量子アルゴリズムの輪。古典コンピュータが回路のつまみ θ を決め、量子コンピュータが回路を実行して測り、結果から古典コンピュータが「コスト」を計算して θ を更新します。

つまずきやすいところ:たとえの限界と、「期待値」という言葉

たとえの限界:ラジオのつまみは1個ですが、量子回路のつまみは数個〜数千個あります。また、ラジオの音は一度で聞こえますが、量子回路の結果は測るたびに0か1にばらつくので、同じ回路を何千回も実行して平均を取る必要があります(この1回の実行を「ショット」と呼びます)。

期待値:ショットの結果を平均したものです。たとえば0が70回、1が30回なら、「0=+1、1=−1」と数えた期待値は (70−30)÷100 = 0.4 です。VQE などで言う「コスト」は、この期待値から作ります。

役割古典コンピュータ量子コンピュータ
得意なことつまみの調整(最適化)、平均の計算、結果の後処理、誤り緩和の計算古典では扱いにくい量子の状態(量子ビットどうしの複雑な相関)を作って測ること
苦手なこと量子ビットが増えると状態を丸ごと記憶できない(指数的に増える)長い回路(誤りが積み重なる)、1回ごとに結果がばらつくこと
1周で行うことθ を送る/結果を受け取って θ を更新θ で回路を組み、数千ショット実行して測定結果を返す

役割分担の整理は本記事の解説です(変分量子アルゴリズムの一般的な構成。参考資料3)。

5. VQE ― 分子のいちばん低いエネルギーを探す

VQE(Variational Quantum Eigensolver、変分量子固有値ソルバー)は、系のいちばん低いエネルギー(基底状態のエネルギー)を探す方法です。分子や材料の性質は電子のエネルギーで決まるため、化学や材料の計算の入口になります。Peruzzo らが2014年に、光を使った小さな量子プロセッサで HeH⁺ の基底状態のエネルギーを化学精度(約1.6ミリハートリー)で求めたと報告しました事実[参考資料4]。

(1) 「変分原理」― どんな矢印でも、測ったエネルギーは底より下がらない

VQE の土台は変分原理です。量子力学では、どんな状態を用意しても、測ったエネルギーの平均は、本当のいちばん低いエネルギー以上になります。だから、つまみ θ で状態を少しずつ変えてエネルギーを下げていけば、本当の最低値に近づけます。「底を下から突き抜けることはない」ので、下げ続ければよい、という安心感があります。

いちばん小さな例で、実際に動かしてみましょう。1量子ビットで、「測って0なら +1、1なら −1 を足す」だけの単純なエネルギー(H = Z)を考えます。矢印を北極から角度 θ だけ傾けると、0が出る確率は cos²(θ/2) なので、エネルギーの平均は E(θ) = cos θ になります。θ=0°(北極)で +1、θ=90° で 0、θ=180°(南極)で −1。最小は θ=180° です。

1量子ビットの例:つまみ θ を回してエネルギー E(θ) を最小にする(本稿の計算)01θ = 0°E = +101θ = 90°E = 001θ = 180°E = −1矢印の向き(北極=0、南極=1)H = Z:測って 0 なら +1、1 なら −1 を足すP(0)=cos²(θ/2) なので E(θ)=cos θ最小は θ=180°(矢印が南極)で E=−1+10−10°45°90°135°180°つまみ θエネルギー E(θ)赤の点と縦線:100回測ったときのばらつき(1標準誤差)の目安最小※ θ=90° のとき 100回の測定の標準誤差は √((1−cos²θ)/100) = 0.10。 点は理論値の位置に描いた説明用で、実機のデータではありません。
図5 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。1量子ビットの VQE の例。左は矢印の向きとエネルギー、右は E(θ) = cos θ の曲線と、100ショットで測ったときのばらつき(1標準誤差 sin θ ÷ 10)です。説明用の理論値で、実機のデータではありません。

実際には、θ=90° のあたりを100ショットで測ると、平均には±0.10 ほどのばらつきが出ます(標準誤差 = √((1−cos²θ)/100) = 0.10)本稿の計算。古典コンピュータは、このばらつきのある値を見ながら、「θ を大きくしたほうがエネルギーが下がりそうだ」と判断して、つまみを動かします。

(2) 分子では何が増えるのか

分子では、量子ビットの数が軌道の数に比例して増えます。そしてエネルギーを表す式(ハミルトニアン)が、たくさんの項(パウリ項)の和になります。総説は、ガウス型の分子軌道の基底では項の数がおよそ軌道数の4乗(O(M⁴))で増えると述べています事実[参考資料7]。項ごとに別の測定が必要なので、測定回数が大きな負担になります(第7章)。

実験装置・規模何を求めたか読み方の注意
Peruzzo ら(2014)光量子プロセッサ(小規模)HeH⁺ の基底状態のエネルギー(化学精度の範囲)2電子の小さな分子。古典では厳密に計算できる規模
Kandala ら(2017)超伝導量子ビット、最大6量子ビット、100を超えるパウリ項H₂、LiH、BeH₂ の基底状態のエネルギー、量子磁性の問題装置のノイズを入れた数値計算と一致。「古典に勝つ」実験ではない

Peruzzo ら(参考資料4)と Kandala ら(参考資料5)の要旨にもとづく整理。規模は論文の記載で、古典計算との比較は論文の目的ではありません。

よくある誤解:「VQE なら、ノイズがあっても必ず底に近づく」

変分原理が保証するのは、ノイズのない理想の状態で測ったエネルギーが底より下がらないことです。実機では、①ノイズで状態が崩れて、底よりずっと高いところで止まる、②測定の統計誤差や誤り緩和の後処理のせいで、推定値が底より下に出ることもある、という二つの理由で、この保証は期待どおりには働きません(本記事による解説)。正しい読み方:VQE の出力は「試した状態の上限の目安」で、真の基底状態のエネルギーそのものとは限りません。

6. QAOA ― 組合せ最適化を量子回路で解く

QAOA(Quantum Approximate Optimization Algorithm、量子近似最適化アルゴリズム)は、Farhi らが2014年に提案した方法で、「たくさんの組合せのなかから、いちばん良いものを探す問題」(組合せ最適化)に使います事実[参考資料6]。例として最大カット問題を見ましょう。点を2色に塗り分けて、色が違う点を結ぶ線の数を最大にする問題です。

QAOA:最大カット問題と、回路の「層を重ねる」形(本稿の計算を含む)123455つの点と6本の線点を2色に塗り分け、色が違う線(赤)の数を最大にしたいこの塗り方:赤い線は5本(最大)全部で2⁵=32通りを全部調べると、最大は5本。そうなる塗り方は4通りQAOA の回路(p 層の場合)準備0と1を半々に問題の層つまみ γ₁混ぜる層つまみ β₁…これをp 回くり返す測定0/1 の列・「問題の層」は、線でつながった点の組ごとに働く操作です・調整するつまみは 2p 個(γ と β が各層に1つずつ)・つまみは古典コンピュータが調整(前の図と同じ輪)・Farhi らは、p=1・3-正則グラフで最適値の0.6924倍以上の カットが得られると示した(下限の保証。古典に勝つという意味ではない)
図6 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。左は5つの点と6本の線の最大カット問題(全32通りを調べた結果、最大は5本)。右は QAOA の回路の形で、「問題の層」と「混ぜる層」を p 回重ね、最後に測ります。点の配置と塗り方は説明用です。

この例は点が5つなので、2⁵=32通りを全部調べれば答え(5本)が分かります本稿の計算。しかし点が100個になると、2100 ≈ 1.3×1030 通りになり、全部は調べられません。QAOA は、量子回路で「良い塗り方ほど出やすい」ような0と1の列を作り、それを測って良い塗り方を見つけようとします。つまみ(γ と β)は古典コンピュータが調整します。

Farhi らの論文は、p=1 で3-正則グラフ(どの点にも線が3本つながる)の最大カットについて、最適なカットの0.6924倍以上のカットが必ず得られることを示しました事実[参考資料6]。これは「最悪でもここまでは良い」という下限の保証で、古典のアルゴリズムより良いという意味ではありません(本記事による解説)。QAOA は量子アニーリング(本シリーズ「量子アニーリング」編)と考え方が近い、ゲート方式の方法です。

7. うまくいかない理由 ― ノイズ、不毛の台地、測定回数

(1) ノイズ:深くするほど「何も入っていない」状態に近づく

ノイズがあると、回路を深くするほど、出力は「情報のないランダムな結果」に近づきます。Stilck França と García-Patrón は、ノイズのある装置で動く古典と量子のアルゴリズムを比べる枠組みを作り、ノイズの率が桁違いに下がるか、問題の形が装置の形に合わない限り、古典の最適化問題で大きな量子の優位は考えにくいという見積もりを得ました事実[参考資料12]。Wang らは、ノイズ自体が不毛の台地を作ること(ノイズ起因の不毛の台地)を証明しました。局所的なパウリノイズのもとで、回路の深さが量子ビット数 n に比例して増えると、勾配が n に対して指数的に消えます事実[参考資料10]。

(2) 不毛の台地:どちらへ進めばよいかの手がかりが消える

つまみ θ を調整するとき、古典コンピュータは「どちらへ動かせばエネルギーが下がるか」を、傾き(勾配)から判断します。ところが、回路がランダムに近い形をしていると、傾きがほぼゼロの広い平原になることがあります。McClean らは、広い範囲の回路で、勾配がゼロでない確率が量子ビット数に対して指数的に小さくなることを示し、これを不毛の台地(バレンプラトー)と呼びました事実[参考資料8]。霧の中で谷底を探しているのに、足元がどこも平らで、下り坂が分からない状態です。

不毛の台地:どちらへ進めばよいかの手がかりが消える(概念図)ふつうの景観:傾きがあり谷底へ向かえる不毛の台地:ほぼ平らで、傾きが分からない谷底θ を少し動かすと E がはっきり変わるθ を動かしても E はほとんど変わらない谷はあるが、とても狭く、見つけるのが難しいなぜ起きるのか(McClean ら 2018 が示した形):回路をランダムに近い形にすると、傾き(勾配)がゼロでない確率が、量子ビット数 n に対して指数的に小さくなる例示(比例定数を1にした 2⁻ⁿ)n = 10 量子ビット≈ 1×10⁻³n = 20 量子ビット≈ 1×10⁻⁶n = 30 量子ビット≈ 9×10⁻¹⁰n = 40 量子ビット≈ 9×10⁻¹³※ 概念図です。景観の曲線は説明用で、実測ではありません。 起きやすさは回路の形・コスト関数の作り方で変わります(本文)。
図7 概念図(ベクター作図)。不毛の台地の概念図。上は景観のイメージ(左はふつう、右は台地)、下は勾配が 2⁻ⁿ のように小さくなる例示です。景観の曲線は説明用で、実測ではありません。

ただし、どんな回路でも起きるわけではありません。Cerezo らは、コスト関数を「全部の量子ビットを見る形」にすると浅い回路でも不毛の台地が起き、「少数の量子ビットだけを見る形」にすると、深さが O(log n) までなら勾配の消え方が多項式にとどまる、と示しました事実[参考資料9]。一方、同じ著者らは後に、「不毛の台地を避けられる構造をもつ回路は、古典コンピュータでも効率よく扱える場合が多い」という見方を、場合ごとの証拠とともに論じています事実[参考資料11]。つまり、学習しやすい回路ほど、量子コンピュータが必要でなくなるかもしれないという緊張関係があります。

つまずきやすいところ:「指数的に小さい」とは

「量子ビットが1つ増えるたびに、半分になる」ような減り方です。10量子ビットで約1,000分の1、20量子ビットで約100万分の1、40量子ビットでは約1兆分の1になります(図7の例示。2⁻ⁿ)本稿の計算。「数が増えても、少しずつ悪くなるだけ」ではなく、数が増えると急に手が付けられなくなるという意味です。

(3) 測定回数:精度を10倍にするには、測定を100倍

期待値を測るときの統計誤差は、ショット数 M の平方根に反比例して小さくなります(標準誤差 = σ ÷ √M。σ は1回ごとの結果のばらつき)。Google の実験の論文も、XEB の不確かさは 1/√(サンプル数)だと述べています事実[参考資料21]。分子では項がたくさんあり、さらに項ごとに測るので、必要な測定回数が膨らみます。

欲しい精度(標準誤差)必要なショット数(σ=1 の最悪の目安)読み方
0.1100図5の例では約100ショット
0.0110,000精度10倍 → ショット100倍
0.0011,000,000化学精度(0.0016)に近い精度を1項で出す目安

標準誤差 = σ ÷ √M を M について解いた値(M = (σ ÷ 精度)²)。本稿の計算。σ=1 は結果が最もばらつく場合の目安で、実際の σ は問題によります。

結果として、1回の VQE の実行は「数千〜数百万ショット × 数十〜数千項 × つまみの調整の回数」の大きさになります。これは量子コンピュータの実行時間と費用の、大きな部分を占めます(本記事による解説)。

素材技術者の視点①:誤りの正体の一部は「材料の欠陥」

IBM の Kim らの論文は、ノイズモデルが時間とともに変わる理由として、量子ビットが揺らぐ微小な欠陥(二準位系、TLS)と相互作用することを挙げています事実[参考資料18]。同じ装置(127量子ビットの Eagle)の中央値のコヒーレンス時間は、T₁ が 288 µs、T₂ が 127 µs と報告されています事実[参考資料18](超伝導量子ビットでの値。方式の違う装置の値と並べて優劣をつけないでください)。

誤り緩和はソフトウェアで誤りを補う方法ですが、第8章のとおり、回路が深いほど費用が指数的に増えます。つまり、材料と界面(酸化膜、基板、配線)を改善して、ゲートの誤りを下げることが、緩和の費用を下げる最も確かな道です。素材から見ると、「量子ビットの性能=誤りの大きさ」は、欠陥の種類と数、界面の清浄さの問題でもあります(本記事による解説。本シリーズ「超伝導量子ビット」編・「量子コンピュータの材料と製造」編で扱います)。

8. 誤り抑制・誤り緩和・誤り訂正 ― 3つの対処の違い

誤りへの対処は、「いつ・何をするか」で3つに分けられます。誤り抑制は、回路を実行するときに誤りが入りにくくする方法です。たとえば動的デカップリングは、量子ビットが待っている間に短いパルスを加えて、周りからのゆらぎの影響を打ち消します。Ezzell らは、IBM の3つの装置で60種類のパルス列を比べ、動的デカップリングを「最も単純で資源の少ない誤り抑制の方法」と位置づけています事実[参考資料17]。

誤りへの3つの対処:いつ・何をするか(概念図)誤り抑制いつ回路を実行する前・最中何を誤りが入りにくい回路・パルスにする(動的デカップリングなど)代償操作が増えることがある限界誤りをゼロにはできない誤り緩和いつ実行したあとの結果の処理何をノイズを変えて測り、平均値を補正する(ZNE、PEC など)代償測定回数が大きく増える限界平均値の推定だけ。深い回路ではコスト急増誤り訂正いつ実行の最中にくり返し何を誤りを見つけて直す(論理量子ビットを使う)代償物理量子ビットが大量に必要限界規模・速度の実現はこれから※ 3つは排他的ではなく、組み合わせて使います。誤り訂正は「量子誤り訂正と表面符号」編で扱います。※ 各項目の根拠は本文と参考資料を参照してください(Ezzell ら、Temme ら、Takagi ら、Quek ら)。
図8 概念図(ベクター作図)。誤り抑制・誤り緩和・誤り訂正の違いの概念図。誤り抑制は実行中に誤りを減らし、誤り緩和は実行後の結果を補正し、誤り訂正は実行中に誤りを見つけて直します。

誤り緩和は、誤りを直すのではなく、たくさん測った結果の平均を補正する方法です。総説は、誤り緩和を「ノイズの時代の機械で、誤りを完全に取り除く代わりに、和らげる方法」と位置づけています事実[参考資料14]。代表的な方法が二つあります事実[参考資料13]。

  • ゼロノイズ外挿(ZNE):ノイズをわざと増やして(1倍、2倍、3倍)測り、「ノイズが0倍なら」の値を外挿で推定する。図9で例を見ます。
  • 確率的誤りキャンセル(PEC):ノイズの逆向きの操作を確率的に混ぜて、平均としてノイズを打ち消す。ただし、必要なショット数がゲートの数とともに急増する。
ゼロノイズ外挿(ZNE):ノイズを増やして測り、ゼロへ戻して推定する(本稿の計算)0.40.60.81.00123ノイズの倍率 c(c=1 が実機そのまま)測った期待値(灰色の点線:このモデルの真の曲線)c=1:0.819c=2:0.670c=3:0.5490.9671.000● 真の値● 直線で外挿した値読み方・c=1,2 の2点を直線でゼロへ戻すと 0.967(真の値より約3%低い)・外挿のしかた(直線・指数)で結果が違う ここでは指数の形を知っていれば ちょうど 1.000 になる・実際には測定にばらつきがあり、 2点から外挿すると、ばらつきが 約2.24倍(√5)に増える 例:各点 ±0.02 なら外挿値は ±0.045※ 真の値を1、ノイズで e^(−0.2c) に減るという仮想のモデルです。実機の結果ではありません。※ 誤差の増幅:y₀ = 2y₁ − y₂ の係数(2 と −1)から √(2²+1²) = √5 ≈ 2.24。
図9 本稿の計算を含む作図(ベクター作図)。ゼロノイズ外挿の仮想の例。真の値は1で、ノイズ倍率 c で e^(−0.2c) に減るとしました。c=1,2 の2点を直線で c=0 へ延ばすと 0.967、指数の形を使えば 1.000 です。実機の結果ではありません。

ZNE は、外挿のしかたで結果が変わり、測定のばらつきも外挿で増えます(図9)。Kim らは、PEC は費用が大きすぎるため、より費用の小さい ZNE(偏りが残りうる推定)を使ったと説明しています事実[参考資料18]。

誤り緩和の限界も理論的に示されています。Takagi らは、局所的な脱分極ノイズをもつ層状の回路で、一定の精度を保つのに必要なサンプル数が、回路の深さに対して指数的に増えることを、あらゆる誤り緩和の方法について示しました事実[参考資料15]。Quek らは、現在の実験と同程度の浅い回路でも、最悪の場合は超多項式的な数のサンプルが要ることを示し、ノイズによるかき混ぜが従来の見積もりより指数的に浅い深さで効き始めうる、と述べています事実[参考資料16]。

よくある誤解:「誤り緩和は、誤り訂正の簡易版」

二つは別のものです。誤り訂正は、実行の最中に誤りを見つけて直します。誤り緩和は、実行が終わったあとの平均値を補正するだけで、1回ごとの結果は直りません。また、使えるのは「期待値を求める」ような課題に限られ、回路が深くなると費用が指数的に増えます事実[参考資料15・16]。正しい読み方:誤り緩和は、誤り訂正が使えない時代に、浅い回路の精度をいくらか上げる工夫です。

9. 実機での例 ― IBM の127量子ビット実験と、その後の検証

Kim らは、127量子ビットの超伝導プロセッサ(IBM Eagle)で、最大60層の2量子ビットゲート(CNOT 合計2,880個)の回路を実行し、誤り緩和(ZNE)を使って期待値を測りました事実[参考資料18]。まず、古典コンピュータで厳密に確かめられる回路で結果の正しさを確かめ、次に、古典の力ずくの計算では扱えない規模の回路に進んでいます。論文は、この結果を「誤り耐性が実現する前の段階での、量子計算の有用性(utility)の証拠」と位置づけています事実[参考資料18](企業(IBM)の主張)。

この論文が出た直後から、古典側の研究者が、同じ問題を効率よく計算する方法を示しました。Tindall らは、格子の形に合わせたテンソルネットワークで、量子プロセッサの結果より正確で精密な古典シミュレーションができると報告しました事実[参考資料19]。Begušić らも、疎なパウリ力学という方法で、ノートパソコンの1コアでも、報告された量子の計算時間よりはるかに速く再現できると報告しています事実[参考資料20]。この論争の読み方(誰が・どの課題で・何と比べて優位を主張したのか)は、本シリーズ「量子優位性の読み方」編で整理します。

この実験から言えること・言えないこと

言えること:誤り緩和を使えば、誤り訂正のない127量子ビットの装置でも、特定の回路の期待値を、厳密に確かめられる範囲で正しく出せた(論文の主張)。言えないこと:この回路の計算が古典計算より速かったと、確定した形で示されたとは言えません(古典側の反論があるため)。また、この回路は、産業上の問題そのものではありません(論文自身が「証明された高速化をもつ問題の実装は目指していない」と述べています事実[参考資料18])。

素材技術者の視点②:VQE が分子や材料に向く理由と、素材側が確かめること

VQE が最初に分子(H₂、LiH、BeH₂)で試されたのは、電子のエネルギーを求める問題が、量子ビットの状態にそのまま写せるからです事実[参考資料5]。素材の分野で気になる「触媒の活性点」「磁性」などは、電子の相関が強くて古典計算でも難しい場合があるとされ、そこで期待されます(本記事による解説。詳細は「量子化学・材料シミュレーション」編)。

ただし、素材技術者が確かめるべきことが3つあります。①比べる相手:古典の手法(密度汎関数法など)や、同じ計算量の古典の近似と比べているか。②規模:試された分子は、古典で厳密に解ける小ささではないか(表の例は小分子)。③測定の費用:項の数が約 M⁴ で増え、各項を数千〜数百万ショット測るので、実験時間がどれだけかかるか(第7章)。

量子コンピュータを動かす制御用の機器と、古典コンピュータ(パソコン)が一緒に使われている場面のイメージです。実在の装置・施設・企業を示すものではありません。 ①パラメーター設定、②制御機器、③冷却装置、④拡大したチップを対応させています。
図10 概念画像(ImageGen生成)。量子コンピュータを動かす制御用の機器と、古典コンピュータ(パソコン)が一緒に使われている場面のイメージです。実在の装置・施設・企業を示すものではありません。 ①パラメーター設定、②制御機器、③冷却装置、④拡大したチップを対応させています。 実際の製品・施設・寸法・測定結果ではありません。拡大模型と実物スケールの場面は区別してください。

10. 限界と、確認できなかったこと/まとめ

(1) 確認できなかったこと

  • ISO/IEC 4879:2024(量子コンピューティングの用語)の本文は有料で、NISQ・変分量子アルゴリズムなどの用語が定義に含まれているかは確認できませんでした。ISO のページで、番号・題名・発行年月・適用範囲の記載を確認したにとどまります。
  • IEEE P3185(ハイブリッド量子・古典計算)、P7130(定義)、P7131(性能指標とベンチマーク)は、IEEE SA のページで策定中の案件として確認できたもので、公開済みの標準としては確認できませんでした。
  • VQE・QAOA の「実用での優位」を示した、第三者が検証済みの例は、確認できませんでした。
  • 各社のロードマップ(量子ビット数、論理量子ビット数、時期)は扱っていません。
この記事のまとめ
  • NISQ は「誤りを含み、訂正していない」中規模の量子コンピュータです。量子ビット数ではなく、誤り訂正の有無で見ます事実
  • ハイブリッド計算は、短い量子回路と古典の調整の輪です。VQE は分子のエネルギー、QAOA は組合せ最適化に使います事実
  • 壁は3つ:ノイズ(誤りを0.1%にしても1,000ゲートで成功確率約37%)、不毛の台地、測定回数(精度10倍でショット100倍)本稿の計算
  • 誤り緩和は誤り訂正ではありません。平均値を補正する方法で、回路が深いほど費用が指数的に増える限界があります事実
  • 実機の実験(IBM の127量子ビット)は、古典側から再現されました。優位性は「誰が・どの課題で・何と比べて」で読む必要があります事実

11. 評価・標準の読み方

NISQ とハイブリッド計算の性能は、いくつかの「ものさし」で測ります。誤り率(ゲート1回あたりの誤りの大きさ。ランダム化ベンチマーキングで測る)は、部品の質を測るものさしです。量子ボリュームは、量子ビット数・誤り・つながりをまとめた1つの数字で、装置全体の質を測ります。アプリケーション指向ベンチマークは、実際のアルゴリズムの出来を測ります。どれも、「何を測り、何を測っていないか」が違います。確認日は2026年10月16日です。

評価項目代表的なベンチマーク・評価手法(名称・出典)標準・指針(ISO/IEC・IEEE など)読み方の注意
ゲートの誤りランダム化ベンチマーキング(Knill ら 2008、Magesan ら 2011)[参考資料24・25]事実確認できなかった(測定手法を定める国際規格は確認していない)何のゲート(1量子ビット/2量子ビット)か、平均か最良か、何個の値かを確認する
装置全体の質量子ボリューム(Cross ら 2019)[参考資料26]。テストの性質の再検討(Baldwin ら 2022)[参考資料27]事実確認できなかった単一の数字で、どのアプリの性能も予測するとは限らない
速度CLOPS(1秒あたりに実行できる回路層の数)の提案(Wack ら 2021)[参考資料28]事実確認できなかった古典側の処理(回路の組立て・転送)の時間も含む
アルゴリズムの出来アプリケーション指向ベンチマーク(Lubinski ら 2023、オープンソース)[参考資料29]事実IEEE P7131(性能指標とベンチマークの標準案、ワーキンググループ活動中)[参考資料33]。ISO/IEC JTC 3/JSC 3A に「量子コンピューティングのベンチマーク」の作業グループ(WG 2)[参考資料31]事実未確定/将来どのアルゴリズムを選ぶかで結果が変わる
用語—(評価ではなく用語の標準)ISO/IEC 4879:2024 "Information technology — Quantum computing — Vocabulary"(2024年5月発行)[参考資料30]。IEEE P7130(量子技術の定義、策定中)[参考資料32]事実未確定/将来本文は有料で、NISQ の定義の有無は確認できなかった
ハイブリッド計算の構成—IEEE P3185 "Standard for Hybrid Quantum-Classical Computing"(ハイブリッド環境のハードとソフトの構成を定める案件、策定中)[参考資料32]未確定/将来公開済みの標準としては確認できなかった。要求事項は未確認
誤り緩和の効果の検証厳密に検証できる回路との照合(Kim ら)[参考資料18]。古典シミュレーションによる再現(Tindall ら、Begušić ら)[参考資料19・20]。コミュニティの記録(量子優位性トラッカー)[参考資料34]事実確認できなかった企業の発表と第三者の検証を分けて読む
誤り訂正の進み具合論理誤り率と、符号の距離を上げたときの減り方 Λ(Google 2025:Λ = 2.14 ± 0.02)[参考資料22]事実→「量子誤り訂正と表面符号」編何ラウンド・何回測った値か、何と比べて何倍かを確認する

表の整理は本稿の計算(整理)。番号・題名・状態は ISO・IEEE SA の公式ページで確認(確認日 2026年10月16日)。規格の本文は有料のため、適用範囲の記載にとどめ、要求事項は書いていません。

読み方の注意(素材技術者向け)

  • 「何量子ビット」だけでは性能は分かりません:NISQ の装置は、誤り率・回路の長さ・つながりとセットで見ます。量子ボリュームやアプリケーション指向ベンチマークも、1つの数字で全体を表すものではありません[参考資料26・27・29]
  • 企業の発表と第三者の検証は別です:IBM の127量子ビットの実験は、企業の主張で、その後に古典側から再現の報告が続きました[参考資料18・19・20]。論争は、量子優位性トラッカーのように公開の記録で追えるようになりつつあります[参考資料34]。
  • 標準は、多くが策定中か任意の採用です:この分野の標準(IEEE P3185・P7130・P7131 など)は策定中のものが多く、公開されても、法令や契約で引用されて初めて拘束力を持つのが一般的です(本記事による解説)。計画(策定中)と達成(公開済み)を区別してください。

12. 用語集

NISQ
Noisy Intermediate-Scale Quantum。誤りを含み、訂正をしていない中規模の量子コンピュータ。
ノイズ
周りの影響や操作の不完全さで、量子ビットの矢印がずれること。
デコヒーレンス
周りの環境の影響で、量子の状態が崩れていくこと(矢印がぶれてしまう)。
忠実度(フィデリティ)
操作や状態が理想にどれだけ近いかを表す数字。1−忠実度が誤り。
ゲート
量子ビットの矢印を回す操作。
測定(ショット)
矢印を見て0か1に決める操作。1回の実行をショットと呼ぶ。
期待値
たくさんのショットの結果の平均。
ハイブリッド計算
量子コンピュータと古典コンピュータが役割分担して行う計算。
変分量子アルゴリズム(VQA)
回路のつまみを古典コンピュータが調整して、コストを小さくする方法の総称。
VQE
Variational Quantum Eigensolver。系の最低エネルギーを探す変分量子アルゴリズム。
QAOA
Quantum Approximate Optimization Algorithm。組合せ最適化のための変分量子アルゴリズム。
変分原理
どんな状態でも、測ったエネルギーの平均は最低エネルギー以上になるという原理。
ハミルトニアン
系のエネルギーを表す式。量子コンピュータではパウリ項の和にする。
最大カット問題
点を2色に塗り分け、色が違う点を結ぶ線の数を最大にする問題。
不毛の台地(バレンプラトー)
回路の景観がほぼ平らになり、勾配が指数的に小さくなる現象。
勾配
つまみをわずかに動かしたときのコストの変化の割合(傾き)。
誤り抑制
実行中に誤りが入りにくくする方法(動的デカップリングなど)。
誤り緩和
実行後の測定結果の平均を補正する方法(ZNE、PEC など)。
ZNE
ゼロノイズ外挿。ノイズを増やして測り、ノイズ0の値を外挿で推定する。
PEC
確率的誤りキャンセル。ノイズの逆の操作を確率的に混ぜて打ち消す。
動的デカップリング
量子ビットが待つ間に短いパルスを加え、周囲のゆらぎを打ち消す方法。
誤り訂正
多数の物理量子ビットで1つの論理量子ビットを守り、実行中に誤りを直す方法。
量子ボリューム
量子ビット数・誤り・つながりをまとめた、装置全体の質を表す1つの数字。

13. 参考資料(一次情報)

  1. Preskill J. "Quantum Computing in the NISQ era and beyond", Quantum 2, 79 (2018), DOI 10.22331/q-2018-08-06-79 — doi.org/10.22331/q-2018-08-06-79
  2. Bharti K. ほか "Noisy intermediate-scale quantum (NISQ) algorithms", Rev. Mod. Phys. 94, 015004 (2022), DOI 10.1103/RevModPhys.94.015004 — doi.org/10.1103/RevModPhys.94.015004
  3. Cerezo M. ほか "Variational quantum algorithms", Nat. Rev. Phys. 3, 625–644 (2021), DOI 10.1038/s42254-021-00348-9 — doi.org/10.1038/s42254-021-00348-9
  4. Peruzzo A. ほか "A variational eigenvalue solver on a quantum processor", Nat. Commun. 5, 4213 (2014), DOI 10.1038/ncomms5213(オープンアクセス) — doi.org/10.1038/ncomms5213
  5. Kandala A. ほか "Hardware-efficient variational quantum eigensolver for small molecules and quantum magnets", Nature 549, 242–246 (2017), DOI 10.1038/nature23879 — doi.org/10.1038/nature23879
  6. Farhi E., Goldstone J., Gutmann S. "A Quantum Approximate Optimization Algorithm", arXiv:1411.4028 (2014) — arxiv.org/abs/1411.4028
  7. McArdle S. ほか "Quantum computational chemistry", Rev. Mod. Phys. 92, 015003 (2020), DOI 10.1103/RevModPhys.92.015003 — doi.org/10.1103/RevModPhys.92.015003
  8. McClean J. R. ほか "Barren plateaus in quantum neural network training landscapes", Nat. Commun. 9, 4812 (2018), DOI 10.1038/s41467-018-07090-4(オープンアクセス) — doi.org/10.1038/s41467-018-07090-4
  9. Cerezo M. ほか "Cost function dependent barren plateaus in shallow parametrized quantum circuits", Nat. Commun. 12, 1791 (2021), DOI 10.1038/s41467-021-21728-w(オープンアクセス) — doi.org/10.1038/s41467-021-21728-w
  10. Wang S. ほか "Noise-induced barren plateaus in variational quantum algorithms", Nat. Commun. 12, 6961 (2021), DOI 10.1038/s41467-021-27045-6(オープンアクセス) — doi.org/10.1038/s41467-021-27045-6
  11. Cerezo M. ほか "Does provable absence of barren plateaus imply classical simulability?", Nat. Commun. 16, 7907 (2025), DOI 10.1038/s41467-025-63099-6 — doi.org/10.1038/s41467-025-63099-6
  12. Stilck França D., García-Patrón R. "Limitations of optimization algorithms on noisy quantum devices", Nat. Phys. 17, 1221–1227 (2021), DOI 10.1038/s41567-021-01356-3 — doi.org/10.1038/s41567-021-01356-3
  13. Temme K., Bravyi S., Gambetta J. M. "Error mitigation for short-depth quantum circuits", Phys. Rev. Lett. 119, 180509 (2017), DOI 10.1103/PhysRevLett.119.180509 — doi.org/10.1103/PhysRevLett.119.180509
  14. Cai Z. ほか "Quantum error mitigation", Rev. Mod. Phys. 95, 045005 (2023), DOI 10.1103/RevModPhys.95.045005 — doi.org/10.1103/RevModPhys.95.045005
  15. Takagi R., Endo S., Minagawa S., Gu M. "Fundamental limits of quantum error mitigation", npj Quantum Inf. 8, 114 (2022), DOI 10.1038/s41534-022-00618-z(オープンアクセス) — doi.org/10.1038/s41534-022-00618-z
  16. Quek Y. ほか "Exponentially tighter bounds on limitations of quantum error mitigation", Nat. Phys. 20, 1648–1658 (2024), DOI 10.1038/s41567-024-02536-7 — doi.org/10.1038/s41567-024-02536-7
  17. Ezzell N. ほか "Dynamical decoupling for superconducting qubits: a performance survey", Phys. Rev. Applied 20, 064027 (2023), DOI 10.1103/PhysRevApplied.20.064027 — doi.org/10.1103/PhysRevApplied.20.064027
  18. Kim Y. ほか "Evidence for the utility of quantum computing before fault tolerance", Nature 618, 500–505 (2023), DOI 10.1038/s41586-023-06096-3 — doi.org/10.1038/s41586-023-06096-3
  19. Tindall J., Fishman M., Stoudenmire E. M., Sels D. "Efficient tensor network simulation of IBM's Eagle kicked Ising experiment", PRX Quantum 5, 010308 (2024), DOI 10.1103/PRXQuantum.5.010308 — doi.org/10.1103/PRXQuantum.5.010308
  20. Begušić T., Gray J., Chan G. K.-L. "Fast and converged classical simulations of evidence for the utility of quantum computing before fault tolerance", Sci. Adv. 10, eadk4321 (2024), DOI 10.1126/sciadv.adk4321 — doi.org/10.1126/sciadv.adk4321
  21. Arute F. ほか "Quantum supremacy using a programmable superconducting processor", Nature 574, 505–510 (2019), DOI 10.1038/s41586-019-1666-5(オープンアクセス) — nature.com/articles/s41586-019-1666-5
  22. Google Quantum AI "Quantum error correction below the surface code threshold", Nature 638, 920–926 (2025), DOI 10.1038/s41586-024-08449-y — nature.com/articles/s41586-024-08449-y
  23. Gao D. ほか "Establishing a new benchmark in quantum computational advantage with 105-qubit Zuchongzhi 3.0 processor", Phys. Rev. Lett. 134, 090601 (2025), arXiv:2412.11924 — arxiv.org/abs/2412.11924
  24. Knill E. ほか "Randomized benchmarking of quantum gates", Phys. Rev. A 77, 012307 (2008), DOI 10.1103/PhysRevA.77.012307 — doi.org/10.1103/PhysRevA.77.012307
  25. Magesan E., Gambetta J. M., Emerson J. "Scalable and robust randomized benchmarking of quantum processes", Phys. Rev. Lett. 106, 180504 (2011), DOI 10.1103/PhysRevLett.106.180504 — doi.org/10.1103/PhysRevLett.106.180504
  26. Cross A. W. ほか "Validating quantum computers using randomized model circuits", Phys. Rev. A 100, 032328 (2019), DOI 10.1103/PhysRevA.100.032328 — doi.org/10.1103/PhysRevA.100.032328
  27. Baldwin C. H. ほか "Re-examining the quantum volume test: Ideal distributions, compiler optimizations, confidence intervals, and scalable resource estimations", Quantum 6, 707 (2022), DOI 10.22331/q-2022-05-09-707 — doi.org/10.22331/q-2022-05-09-707
  28. Wack A. ほか "Quality, Speed, and Scale: three key attributes to measure the performance of near-term quantum computers", arXiv:2110.14108 (2021) — arxiv.org/abs/2110.14108
  29. Lubinski T. ほか "Application-oriented performance benchmarks for quantum computing", IEEE Trans. Quantum Eng. 4, 1–32 (2023), DOI 10.1109/TQE.2023.3253761 — doi.org/10.1109/TQE.2023.3253761
  30. ISO/IEC "ISO/IEC 4879:2024 Information technology — Quantum computing — Vocabulary" (ISO のページ) — iso.org/standard/80432.html
  31. IEC/ISO JTC 3/JSC 3A "Quantum computing" (committee page: scope and working groups WG 1 supply chain, WG 2 benchmarking, WG 3 terminology and quantities) — iso.org/committee/12010875.html
  32. IEEE SA "IEEE Standards & Projects for Quantum Technologies" (lists P3185 Hybrid Quantum-Classical Computing, P7130 Quantum Technologies Definitions, P3329 energy efficiency) — standards.ieee.org/initiatives/quantum-standards-activities/
  33. IEEE SA "Quantum Benchmarking Working Group P7131" (working group site; technical scope defined by P7131) — sagroups.ieee.org/7131/
  34. Gambetta J., Davis R. (IBM) "Quantum advantage tracker" (IBM Quantum blog, 23 February 2026) — ibm.com/quantum/blog/quantum-advantage-tracker

14. 主張と出典の対応表(監査)

本文の主張根拠区分
NISQ という言葉を Preskill が2018年に提案し、50〜100量子ビットの機械がある課題で古典を超えうるが、ゲートのノイズが回路の大きさを制限すると述べたこと出典1 https://doi.org/10.22331/q-2018-08-06-79事実
NISQ の計算機が数百の雑音を含む量子ビットからなり、誤り訂正をしておらず、限られたコヒーレンス時間のあいだにしか操作できないという総説の記述出典2 https://doi.org/10.1103/RevModPhys.94.015004事実
変分量子アルゴリズム(古典の最適化器で量子回路を訓練する方法)の定義と、トレーナビリティ・精度・効率の課題出典3 https://doi.org/10.1038/s42254-021-00348-9事実
VQE が HeH⁺ の基底状態のエネルギーを化学精度で求めた光量子プロセッサでの実験(Peruzzo ら 2014)出典4 https://doi.org/10.1038/ncomms5213事実
最大6量子ビット・100を超えるパウリ項で、H₂・LiH・BeH₂ の基底状態のエネルギーと量子磁性の問題を扱ったこと。装置のノイズを入れた数値計算と一致したこと出典5 https://doi.org/10.1038/nature23879事実
QAOA の提案。p 層の回路、p=1・3-正則グラフの最大カットで最適値の0.6924倍以上が得られること出典6 https://arxiv.org/abs/1411.4028事実
ガウス型基底ではハミルトニアンのパウリ項の数がおよそ軌道数の4乗で増えること。化学精度が 1.6×10⁻³ ハートリーであること出典7 https://doi.org/10.1103/RevModPhys.92.015003事実
広い範囲の回路で、勾配がゼロでない確率が量子ビット数に対して指数的に小さくなること(不毛の台地)出典8 https://doi.org/10.1038/s41467-018-07090-4事実
全体を見るコスト関数では浅い回路でも不毛の台地が起き、局所のコスト関数では深さ O(log n) まで勾配の消え方が多項式にとどまること出典9 https://doi.org/10.1038/s41467-021-21728-w事実
局所パウリノイズのもとで、深さが n に比例して増えると勾配が指数的に消えること(ノイズ起因の不毛の台地)出典10 https://doi.org/10.1038/s41467-021-27045-6事実
不毛の台地を避けられる構造の回路が、古典でも効率よく扱える場合が多いという議論出典11 https://doi.org/10.1038/s41467-025-63099-6事実
ノイズのある装置では、ノイズが桁違いに下がるか問題の形が装置に合わない限り、古典の最適化で大きな量子の優位は考えにくいという見積もり出典12 https://doi.org/10.1038/s41567-021-01356-3事実
ZNE と、ノイズを打ち消すもう一つの方法(PEC)が短い回路向けに提案されたこと出典13 https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.119.180509事実
誤り緩和の総説:ノイズの時代に誤りを完全には取り除かず和らげる方法と位置づけられること出典14 https://doi.org/10.1103/RevModPhys.95.045005事実
局所脱分極ノイズの層状回路で、必要なサンプル数が深さに対して指数的に増えること(Takagi ら)。浅い回路でも最悪の場合に超多項式のサンプルが要ること(Quek ら)出典15 https://doi.org/10.1038/s41534-022-00618-z
出典16 https://doi.org/10.1038/s41567-024-02536-7
事実
動的デカップリングを最も単純で資源の少ない誤り抑制として、60種類のパルス列を3つの IBM 装置で比べたこと出典17 https://doi.org/10.1103/PhysRevApplied.20.064027事実
127量子ビット・最大60層・CNOT 2,880個の実験。ZNE(確率的誤り増幅)の使用、PEC を使わなかった理由、TLS による時間変化、T₁=288 µs・T₂=127 µs(中央値)、論文の位置づけ(有用性の証拠。企業の主張)出典18 https://doi.org/10.1038/s41586-023-06096-3事実
古典側の再現:テンソルネットワーク(Tindall ら)と疎なパウリ力学(Begušić ら)出典19 https://doi.org/10.1103/PRXQuantum.5.010308
出典20 https://doi.org/10.1126/sciadv.adk4321
事実
Zuchongzhi 3.0 の2量子ビットゲートの忠実度 99.62% の記載出典23 https://arxiv.org/abs/2412.11924事実
53量子ビットの回路の予測忠実度が0.2%で、XEB の不確かさが 1/√(サンプル数)であること出典21 https://www.nature.com/articles/s41586-019-1666-5事実
距離を2上げると論理誤り率が Λ=2.14±0.02 倍小さくなり、101量子ビットの距離7の符号が1サイクルあたり0.143%の誤りであること出典22 https://www.nature.com/articles/s41586-024-08449-y事実
ランダム化ベンチマーキング、量子ボリューム、CLOPS、アプリケーション指向ベンチマークの提案と、量子ボリュームのテストの再検討出典24 https://doi.org/10.1103/PhysRevA.77.012307
出典25 https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.106.180504
出典26 https://doi.org/10.1103/PhysRevA.100.032328
出典27 https://doi.org/10.22331/q-2022-05-09-707
出典28 https://arxiv.org/abs/2110.14108
出典29 https://doi.org/10.1109/TQE.2023.3253761
事実
ISO/IEC 4879:2024(量子コンピューティングの用語)の番号・題名・2024年5月発行・適用範囲出典30 https://www.iso.org/standard/80432.html事実
ISO/IEC JTC 3/JSC 3A の適用範囲(量子アニーラー・ハイブリッドを含む)と、WG 1 サプライチェーン・WG 2 ベンチマーク・WG 3 用語の作業グループ出典31 https://www.iso.org/committee/12010875.html事実
IEEE P3185(ハイブリッド量子・古典計算)、P7130(定義)、P3329(エネルギー効率)が IEEE SA の量子の案件として載っていること。P7131 のワーキンググループの技術的範囲出典32 https://standards.ieee.org/initiatives/quantum-standards-activities/
出典33 https://sagroups.ieee.org/7131/
事実
量子優位性トラッカー(IBM のブログ、2026年2月)が公開の候補記録であること出典34 https://www.ibm.com/quantum/blog/quantum-advantage-tracker事実
(1−ε)N の表と図2(0.1%で1,000ゲート→約37%、1%で約0.004%、50%になる N が約69・693・6,931、99.62% で約182)本稿の計算(独立な誤りを仮定した単純なモデル)本稿の計算
1量子ビットの VQE の例(E(θ)=cos θ、100ショットの標準誤差 0.10)、測定回数の表(M=(σ÷精度)²)、ZNE の仮想の例(0.967、1.000、√5≒2.24)、最大カット(5点・6線・最大5本・32通り・4通り)、2⁻ⁿ の例示本稿の計算(Python で全探索・数値計算。説明用の仮想の値で、実機の結果ではない)本稿の計算
ISO/IEC 4879 の本文でNISQ等の用語が定義されているか、IEEE P3185・P7130・P7131 が公開済みか、VQE・QAOA の実用的優位の第三者検証例、各社のロードマップ本稿の調査範囲でアクセスできた一次情報では確認できなかったため記載していない解説
「たとえ(ラジオのつまみ)」「変分原理の注意」「誤り緩和は誤り訂正ではない」「材料の欠陥を減らすのが緩和費用を下げる最も確かな道」「古典と量子の役割分担」という読み取り公表内容にもとづく本記事の整理・解説。各機関が表明した見解ではない解説
図2・図5・図6・図9が実データでなく説明のための作図であること。図3・図4・図7・図8が概念図であること。図1・図10がImageGen生成の概念画像であること本記事による注記解説

最終更新:2026年10月16日/出典は一次情報(査読論文、arXiv の論文、ISO・IEEE の公式ページ、企業の公式ブログ)に限定しています。数値例は本稿の計算で、実機の結果ではありません。ISO/IEC 4879 の本文、IEEE P3185・P7130・P7131 の公開状況、VQE・QAOA の実用的優位の第三者検証、各社のロードマップについては、確認できなかったため記載していません。図はすべて説明用の概念図または本稿の計算を含む作図で、図1と図10はImageGen生成の概念画像です。

図版更新:2026年10月17日。本文・出典整理表のベクター作図という表記は、保存した元SVGの由来を示します。現在の主図の形式と読み方は各図下の説明を参照してください。ImageGen画像は実測や実在製品の写真ではなく、元SVG・数値・出典は展開して確認できます。