Henkel ドイツ
概要
ヘンケルは、電気自動車(EV)バッテリーの熱管理を強化するため、2種類の革新的な熱界面材料を発表しました。これには、シリコーンフリーで熱伝導率1.7 W/m·Kのギャップフィラー「Bergquist TGF 2030APS」と、熱伝導率2 W/m·Kで高い接着強度と電気絶縁性を持つポリウレタン接着剤「Loctite TLB 9270APS」が含まれます。これらの新製品は、EVバッテリーの高エネルギー密度化や急速充電、そしてセルツーパック設計といった最新の技術トレンドに対応し、バッテリーの安全性と性能向上に貢献します。
詳細
背景とEVバッテリーの熱管理課題
電気自動車(EV)の普及と高性能化に伴い、搭載されるバッテリーの高エネルギー密度化と急速充電技術の進化が加速しています。これにより、バッテリーパック内部での発熱量が大幅に増加し、効率的かつ信頼性の高い熱管理がバッテリーの安全性、寿命、性能を左右する重要な要素となっています。特に、熱暴走リスクの低減、熱膨張によるストレスの緩和、そして製造工程の効率化は、バッテリーメーカーやOEMにとって喫緊の課題です。新しいセルツーパックやセルツーシャシーアーキテクチャでは、バッテリーセルと冷却システム間の熱伝導経路の最適化が求められます。
主要な内容と技術的特徴
ヘンケルは、これらの要求に応えるべく、EVバッテリー熱管理ソリューションを強化する2つの新製品を発表しました。
- Bergquist TGF 2030APSギャップフィラー: この2液性ギャップフィラーは、1.7 W/m·Kの熱伝導率と、シリコーンフリーであることが特徴です。シリコーン系材料が引き起こす可能性のある接触不良や移行問題のリスクを排除し、よりクリーンな製造環境と長期信頼性を提供します。また、高速ディスペンスに対応し、室温硬化が可能であるため、製造プロセスの効率化とエネルギー消費の削減に貢献します。低圧縮力で、デリケートなバッテリーセルへのストレスを最小限に抑えながら、優れた熱伝導経路を形成します。
- Loctite TLB 9270APS接着剤: このポリウレタンベースの2液性接着剤は、2 W/m·Kの熱伝導率を誇りながら、非常に高い接着強度と電気絶縁性を両立しています。特に、個々のセルを直接バッテリーパック構造に接着する「セルツーパック」設計向けに開発されており、強固な構造支持と同時に効率的な熱拡散を実現します。無溶剤処方で、環境負荷も低減されています。
影響と将来展望
ヘンケルのこれらの新製品は、EVバッテリー技術の進化を支える重要なマイルストーンとなります。Bergquist TGF 2030APSは、シリコーンフリーであることで、特定の環境におけるアセンブリの信頼性向上に寄与し、Loctite TLB 9270APSは、高熱伝導性と構造接着性を統合することで、バッテリーパックの設計自由度を高めます。両製品とも、急速充電時の熱発生に対応し、バッテリーの過熱を防ぐことで熱暴走のリスクを低減し、結果としてEVの安全性と寿命を向上させます。また、室温硬化や無溶剤といった特性は、製造工程のグリーン化とコスト削減にも寄与します。今後、EVバッテリー市場がさらに拡大し、エネルギー密度と充電速度への要求が高まる中で、これらの先進的な熱管理材料は、次世代EVの開発において不可欠な役割を果たすと期待されます。

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