COMPANY PROFILE / AI・機械学習
オラクル
― データベースの会社から、AI向けGPUクラウドの大規模事業者へ。受注残と設備投資が一気に膨らんだ
2026年5月期のForm 10-Kには、RPO(受注残)6,380億ドル(前年は1,380億ドル)と設備投資557億ドル(前年は212億ドル)が載っています。2026年8月末にはRPOは6,640億ドルになりました。どちらもAI専用の数字ではありませんが、OCIの大型AI契約が全社の財務に表れた通期です。本稿は、会社全体ではなくAI・機械学習に関わる部分(OCI、AIデータセンター、AI向けデータベース)に絞り、何を投じ、誰と組み、何を目指しているかを一次情報から整理します。契約・投資・データセンターの計画は確認日(2026年10月15日)時点の公表内容で、未確定/将来として扱います。会計年度は5月期です。
- 30秒でわかるOracleと、AI・機械学習での立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- AI・機械学習の世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模(AIに関わる部分に絞る)
- AI・機械学習にかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社はAI・機械学習で何を目指しているか
- AI・機械学習分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるオラクルと、AI・機械学習での立ち位置
NYSE: ORCL会計年度は5月31日に終わる
プラットフォーム・導入(従)データベースとアプリケーションにAIを組み込む
Oracle AI DatabaseGPUクラウドとAI向けデータ基盤
Oracleは、データベースとビジネスアプリで知られる会社ですが、AI・機械学習の世界では「AI向けGPUクラウド(OCI)を大規模に貸し出す会社」へと比重を移しています。10-Kによると、2026年5月期のクラウドインフラ売上は181億ドル(77%増)、設備投資は557億ドルで、受注残は1,380億ドルから6,380億ドルへ(約4.6倍、本稿の計算 本稿の計算)増えました 事実。
一方で、フリーキャッシュフローはマイナス237億ドルで、資金は社債(FY2026に額面430億ドル)、優先株、増資で調達しています 事実。受注残が増えた理由について、10-Kは「大型のクラウド契約が成立した」とだけ書き、顧客名・各契約の金額は書いていません。本稿でも推計しません。
2. ロゴと社名の表記について

表記の注意:法人名は Oracle Corporation。社名と同じ「Oracle」を冠した製品が多く、OCI(クラウドインフラ)、Oracle AI Database(旧称のデータベースにAIの機能を加えたもの)、Oracle Fusion Cloud(業務アプリ)は別の製品です 事実。本稿は、AI・機械学習に関わるOCIのAIインフラを中心に書き、業務アプリやハードウェア事業は最小限にとどめます。
公式サイト:https://www.oracle.com/3. AI・機械学習の世界で、この会社はどこにいるか
4. 会社の規模(AIに関わる部分に絞る)
Oracleは業務アプリやハードウェアも持ちますが、本稿ではAIに関わる部分(OCI、データセンター、資金調達)に絞ります。数字は2026年5月期Form 10-K(2026年5月31日終了)と2027年5月期第1四半期Form 10-Q(2026年8月31日終了)によります 事実。
| 指標(百万ドル) | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|
| 全社の売上 | 52,961 | 57,399 | 67,357 |
| 営業利益 | 15,353 | 17,678 | 20,606 |
| 研究開発費 | 8,915 | 9,860 | 10,272 |
| 設備投資(Capital expenditures) | 6,866 | 21,215 | 55,663 |
| クラウドインフラ売上(OCI) | ― | 10,234 | 18,101 |
| クラウドアプリケーション売上 | ― | 14,272 | 15,888 |
| 2027年5月期 第1四半期(2026年6〜8月) | 2026年6〜8月 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 全社の売上(百万ドル) | 19,345(30%増) | 14,926 |
| クラウドインフラ売上(百万ドル) | 7,388(121%増) | 3,347 |
| 営業利益(百万ドル) | 6,728 | 4,277 |
| 設備投資(百万ドル) | 28,499 | 8,502 |
| その他の基本情報 | 内容 |
|---|---|
| 従業員(2026年5月31日) | 約141,000人(米国約49,000人、米国外約92,000人)。AIの専任人員は10-Kに記載なし |
| 本社 | 米国テキサス州オースティン(自社所有、約90万平方フィート) |
| 現金・市場性証券(2026年5月31日) | 319億ドル(1年前は112億ドル) |
| 営業キャッシュフロー/フリーキャッシュフロー(2026年5月期) | 320億ドル/マイナス237億ドル(フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー−設備投資。会社の定義) |
上の数字は全社またはOCI全体のもので、AIだけの規模を示すものではありません。クラウドインフラ売上には、AIと無関係のOCIの利用(データベースや汎用の計算)も含まれます。10-Kは、クラウド・ソフトウェア事業の営業マージン率が63%から59%に低下した理由を「OCIの成長を支えるインフラ費用の増加」と説明しています 事実。
5. AI・機械学習にかけているリソース
Oracleは、AIだけに限った人員・研究開発費・設備投資を開示していません。以下は、提出書類と公式ページから確認できた範囲です。
| リソース | 確認できた内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人 | 全社で約141,000人。AI専任は非公表。2026年5月期に、主にリストラ計画(2026 Restructuring Plan)の退職関連費用を含む「Restructuring and other」18.4億ドルを計上(10-K) | 事実 |
| 金(研究開発費・設備投資) | 研究開発費102.7億ドル、設備投資556.6億ドル(2026年5月期)。10-Kは設備投資の増加を「データセンターの拡張が主因」とし、「2027年5月期以降も増える見込み」と述べる。AI向けの金額は非公表 | 事実 |
| 外部への出資・事業売却 | Ampere Computing Holdingsへの出資持分を、2025年11月25日のSoftBank Group Corp.による買収で売却し、現金43億ドルを受け取り、27億ドルの売却益を計上(10-K)。AIモデル会社への出資は10-K・10-Qに記載なし | 事実 |
| 大学・研究機関・公的資金との連携 | AIに関する大学との共同研究、NAIRRなど公的資金は、10-K・10-Qと本稿の出典に記載なし。Oracle公式ページには、データセンター所在地の学校への寄付や教育資金の記載がある(地域貢献で、研究連携ではない) | 確認できず |
| データセンターの規模(MW・GW) | 2027年5月期第1四半期に「850MWの追加データセンター容量を引き渡した」(決算発表)。MWがIT負荷か受電容量かは記載なし。Zettascale10は「マルチギガワット」の計画(会社の説明)。拠点ごとのMWは公式ページに記載なし | 未確定/将来 |
拠点ごとの段階(オラクル公式ページ、2026年10月15日に確認)
| 拠点 | 公式ページの記載 | 段階 |
|---|---|---|
| テキサス州アビリーン | 2026年9月時点で、総容量の75%を引き渡し済み。残りは以降の四半期に引き渡し | 稼働・一部引き渡し済み |
| テキサス州シャックルフォード郡 | 2025年8月に契約。顧客への引き渡しは2027年上半期から | 契約済み・建設中(引き渡しは将来) |
| ニューメキシコ州ドーニャアナ郡 | 2025年9月に契約。顧客への引き渡しは2027年上半期から。電力はBloom Energyの燃料電池が基本設計 | 契約済み・建設中(引き渡しは将来) |
| ウィスコンシン州ポートワシントン | 2025年9月に契約。顧客への引き渡しは2027年下半期の見込み | 契約済み・建設中(引き渡しは将来) |
| ミシガン州ソーリン・タウンシップ | 2025年10月に契約。顧客への引き渡しは2027年下半期から。ネットワークの中核は今年の暦年末に引き渡し | 契約済み・建設中(引き渡しは将来) |
この表の「段階」は、公式ページの文言を本稿で整理したものです。各拠点のIT負荷・受電容量(MW)や最終投資決定の日付は、公式ページに記載がありません 未確定/将来。
契約・債務の開示(2026年5月31日と8月31日、10-K・10-Qの定義のまま)
| 項目(百万ドル) | 2026年5月31日 | 2026年8月31日 |
|---|---|---|
| 社債・借入の総額(Notes payable and other borrowings) | 129,541 | ― |
| 運営リース負債 | 30,190 | ― |
| ファイナンスリース負債 | 7,701 | ― |
| まだ開始していないリース(ほぼすべてデータセンター) | 260,000 | 288,000 |
| 無条件の購入義務(電力・部品など) | 13,309 | 34,150 |
まだ開始していないリースは、10-Kで「2027年5月期第1四半期から2029年5月期の間に開始、期間15〜19年」、10-Qで「2027年5月期第2四半期から2029年5月期の間に開始」とされています。10-Kは、そのうち1件でOracleが貸し手の借入を最大33億ドルまで保証していると記載しています 事実。5月31日以降に、クラウドインフラ資産の無条件の購入コミットメントがさらに190億ドル(期間5年)増えたとも書かれています。開示された義務の金額であって、Oracleの評価や財務の健全性を示すものではありません。無条件の購入義務は、10-Kでは主にデータセンターの電力契約、10-Qでは部品の長期調達と電力契約を含み、範囲が異なるため、2つの数字を直接比べないでください。
| 資金調達(2026年5月期〜2027年5月期第1四半期) | 内容 |
|---|---|
| 社債 | 2026年5月期に額面430億ドルの優先社債(手取り427億ドル)を発行 |
| 優先株 | 2026年2月5日に6.50% Series D 強制転換優先株を発行、手取り50億ドル |
| 普通株(ATM) | 2026年2月2日に最大200億ドルのATMを開始。2027年5月期第1四半期に1.41億株を発行し、手取り199億ドルで完了 |
| その他 | 2026年3月に100億ドルの新しい5年のリボルビング・クレジット、100億ドルのコマーシャルペーパー枠。顧客の前払い(重大な金融要素を含む)は2026年5月期に46億ドル、2027年5月期第1四半期に114億ドル |
| 会社の見通し | 「2027年5月期は、負債と株式で約400億ドルを調達する見込み(200億ドルのATMを含む)。2026暦年に追加の社債は発行しない見込み」(2026年6月10日の決算発表。未確定/将来) |
Oracleの10-Kは、RPOを「まだ収益として認識されていない契約上の収益。繰延収益、請求済みで未回収・未認識の金額、今後請求・認識される金額を含む」と定義しています。2026年5月31日は6,380億ドルで、約12%が今後12か月、34%が13〜36か月、34%が37〜60か月、残り(約20%、本稿の計算)がそれ以降に収益になる見込みです。2026年8月31日は6,640億ドル(13%・37%・34%、残り約16%)です 事実。
10-Kは、増加の理由を「期間中に成立した大型のクラウド契約」とだけ述べ、顧客名と契約ごとの金額を示していません。2026年6月10日の決算発表は、増加の大半が顧客がGPUを前払いするか、顧客がGPUを購入してOracleに提供する大型AI契約で、その前払い・持ち込み分が合計750億ドルだと説明しています 事実。したがって、受注残はAIだけの数字ではなく、収益になる時期が先に偏った契約の積み上がりで、金額の大きさをそのままAI需要の強さと読むことは本稿では避けます 未確定/将来。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2025年7月22日 | OpenAIとの「Stargate」に関する発表(題名:Stargate Advances with 4.5GW Partnership with Oracle)。Oracle公式ページが一覧に掲載。本文は本稿では確認できませんでした | 計画の規模は題名の数字だけ。IT負荷か受電容量かは確認できず |
| 2025年8〜10月 | シャックルフォード、ドーニャアナ、ポートワシントン、ソーリンの各拠点を契約(公式ページ) | 複数州でAI専用データセンターを同時に進める |
| 2025年10月14日 | OCI Zettascale10を発表。複数のデータセンターにまたがり、最大80万個のNVIDIA GPUを想定。OpenAIとの旗艦クラスター(アビリーン)の基盤と説明。同日、AMD Instinct MI450を5万個使うAIスーパークラスターを2026年暦年第3四半期から提供すると発表 | NVIDIAとAMDの両方のGPUを提供する計画 |
| 2025年11月25日 | 保有するAmpere ComputingをSoftBank Groupが買収、Oracleは持分を売却 | 自社でのチップ開発・出資から距離を置いた |
| 2026年2〜3月 | ATM(最大200億ドル)、Series D強制転換優先株(50億ドル)、優先社債、100億ドルのリボルビング・クレジットなどを整備 | 設備投資を負債と株式の両方で賄う |
| 2026年6月10日 | 2026年5月期第4四半期の決算。RPO 6,380億ドル、顧客の前払い・持ち込み分750億ドル | 受注残の積み上がりと資金調達計画を公表 |
| 2026年9月10日 | 2027年5月期第1四半期の決算。RPO 6,640億ドル、850MWのデータセンター容量を引き渡し、30万個超のGPUを顧客に引き渡し、ATMを完了 | 引き渡しが加速している |
7. 今後の計画
2026暦年第3四半期2025年10月の発表。2027年以降に拡大。開始の確認は本稿では未確認
上の項目はすべて会社の目標・計画で、実現を保証するものではありません 未確定/将来。Oracleは、クラウド・ソフトウェア事業の費用が「2027年5月期とその後数年も、データセンター容量の拡大と新しい地域への展開で増える」と述べています 事実。
次はいずれも、本稿の出典に記載がありません 未確定/将来。
各拠点のMW(IT負荷・受電容量)/OpenAIとの契約の金額・期間(Oracleの提出書類)/受注残に含まれる顧客別の金額/AMD MI450の提供開始の実績/AI事業単体の売上・利益。報道や決算説明会の発言にある数字は、本稿では採用しません。
8. この会社はAI・機械学習で何を目指しているか
ここには、会社が直接述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| AIインフラのクラウド事業者としての成長を最優先にしている | クラウドインフラ売上が77%増、設備投資が2.6倍。決算発表は「AIクラウドの需要は供給より速く伸びている」と述べる | 推測 |
| 顧客の前払い・GPUの持ち込みで自社の資金負担を抑える | 決算発表が、大型AI契約の前払い・持ち込み分が750億ドルで「Oracleが調達すべき資本を大きく減らす」と説明 | 推測 |
| NVIDIAとAMDの両方のGPUを提供し、特定の供給元に偏らない | Zettascale10はNVIDIA、MI450の提供はAMDと、それぞれ公式発表 | 推測 |
| 設備投資を需要に先行して、負債と株式で賄っている | フリーキャッシュフローがマイナス237億ドル、2026年5月期に社債430億ドル・優先株50億ドル、2027年5月期に増資199億ドル | 事実 |
| データベースとアプリにもAIを組み込む方針を続ける | 10-Kの製品説明(Oracle AI Database、Autonomous AI Database、AIエージェント)。クラウドアプリの売上は11%増にとどまる | 事実 |
2026年6月の決算発表は、受注残の増加の大半が「顧客がGPUを前払い、または自ら購入してOracleに提供した」大型AI契約だと説明し、その合計を750億ドルとしています 事実。
この説明から、本稿は「Oracleは契約の構造によって、設備投資の一部を顧客に負担させる方向に動いている」と読むのが自然だと考えます 未確定/将来。ただし、その750億ドルが受注残6,380億ドルのうち何割か、各契約の期間と解約条件は書かれておらず、顧客名も不明です。数字の大きさだけから、リスクが小さいとは言えません。
9. AI・機械学習分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
| 製品・設備 | 規模・仕様(開発元公称) | 段階 | 日付・出典 |
|---|---|---|---|
| OCI(AI Infrastructure) | GPUを使う仮想マシン、ベアメタル、高性能計算。AIモデルの学習と推論に使える(10-Kの説明)。クラウドインフラ売上は2026年5月期に181億ドル | 提供中 | 10-K(2026年6月22日) |
| OCI Zettascale10 | 複数のデータセンターにまたがり、数十万個のNVIDIA GPUで構成。最大約16ゼタFLOPSのピーク性能(Oracle公称。精度条件は発表に記載なし)。初期は最大80万個のGPUを想定 | 受注開始(2025年10月)。提供は「翌暦年の下半期」とされた(現状は未確認) | Oracle公式発表(2025年10月14日) |
| AMD Instinct MI450スーパークラスター | 初期5万個。1個あたり最大432GBのHBM4、20TB/sのメモリ帯域。72個のGPUを収めた液冷ラック(AMD「Helios」設計) | 2026暦年第3四半期から(未確定/将来) | Oracle公式発表(2025年10月14日) |
| Oracle AI Database/Autonomous AI Database | データベースにAIの機能を組み込み、OCI、他社クラウド(マルチクラウド)、顧客のデータセンターで提供(10-K)。利用者数・売上の内訳は記載なし | 提供中 | 10-K |
| OCIの提供形態 | OCI Dedicated Region、Sovereign Cloud、Alloy、Exadata Cloud@Customerなど、顧客の拠点や規制に合わせた形態(10-K) | 提供中 | 10-K |
Oracleの公式資料を読むと、容量を左右するのはチップだけでなく、電力・冷却・ネットワークであることがよく分かります 事実。10-Kのリスク要因は、データセンター拡張が「許可された建設可能な用地、予測可能な電力、ネットワーク機器、GPU・メモリなどの部品」に依存し、AIの計算需要で電力の確保が世界的に制約されていると述べます。
Oracle公式ページは、拠点が閉ループの非蒸発式冷却を使い、水の使用量を「一般的なオフィスビルと同程度」に抑える設計だと説明します。ニューメキシコ州の拠点では、電力にBloom Energyの燃料電池を使う設計です。ネットワークでは、Zettascale10がGPU同士の遅延を下げるため、キャンパスを半径2キロメートル以内に収める設計だと発表されています。AMDのMI450は、液冷の72個GPUラックと、1個あたり最大432GBのHBM4を前面に出しています。本シリーズの技術解説「AIデータセンターの電力と冷却」「学習クラスターとインターコネクト」「HBM」も併せて参照してください。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| キャッシュフローと資金調達 | 2026年5月期のフリーキャッシュフローはマイナス237億ドル、2027年5月期第1四半期はマイナス約50億ドル。資金は社債・優先株・増資で調達し、10-Kは「借換えができない、または条件が悪化するリスク」を挙げている | 事実 |
| 将来の義務の大きさ | 開始前のリースが2,880億ドル(ほぼすべてデータセンター)、社債・借入が1,295億ドル、購入義務など。これらは開示された義務であって、Oracleの財務健全性への評価ではありません | 事実 |
| 大口顧客への集中 | 10-Kは、OCIの一部で「少数の大口顧客に集中している」とし、顧客が支払いや契約の履行をしない場合、複数年のデータセンター容量とそれに伴う資金調達を、対応する収益なしに抱える可能性を述べる | 事実 |
| リース期間と顧客契約の不一致 | 10-Kは、長期のデータセンターのリースの期間・価格調整が、顧客契約の期間・価格と一致しないことが多いと記載 | 事実 |
| 電力・用地・部品 | 10-Kは、電力の確保と価格変動、建設の遅れ、第三者の資金調達や工期、GPU・メモリなどの部品の不足をリスクに挙げる | 事実 |
| 受注残の収益化の時期 | 受注残の12〜13%が今後12か月で収益になる見込みで、残りは先。大型契約の成立時期で変動する | 事実 |
| マージン率の低下 | クラウド・ソフトウェア事業の営業マージン率が63%から59%へ低下(インフラ費用の増加) | 事実 |
| AI規制 | EU AI法の義務が段階的に適用され2030年まで続くこと、米国の連邦・州の規制の不確実性、AIインフラや計算資源、モデルの重みに対する政府の制限の可能性を10-Kが記載(EU AI法の段階は本シリーズの技術解説「EU AI法」を参照) | 事実 |
| 提携先との関係の変化 | 顧客・提携先の名前が提出書類にないため、契約の条件や継続性は公式文書の範囲でしか確認できない | 推測 |
12. 用語集
- OCI
- Oracle Cloud Infrastructure。Oracleのクラウドインフラのサービス。GPUを使うAI向けの計算も含む。
- RPO(Oracleの定義)
- まだ収益として認識されていない契約上の収益。繰延収益と、請求済み未回収・未認識の金額、今後請求・認識される金額を含む。
- Stargate
- OpenAIなどが発表したAIインフラの構想の名称。Oracleは拠点の一部を提供・運営するとOracle公式ページに記載。
- ATM(at-the-market)
- 市場価格で随時、株式を売る方式の増資。Oracleは上限200億ドルを使い切った。
- 強制転換優先株
- 一定の時期に普通株へ転換される優先株。Oracleは2026年2月に50億ドルを調達。
- Zettascale10
- Oracleが発表した、複数のデータセンターにまたがる大規模GPUクラスターの名称。
- ギガワット(GW)
- 電力の単位。データセンターの規模を表すが、IT負荷か受電容量かは資料により異なる。
- Form 10-K/10-Q/8-K
- 米国上場企業がSECに提出する年次報告書/四半期報告書/臨時報告書。
13. 出典
- Oracle Form 10-K for the fiscal year ended May 31, 2026(米国SEC提出、2026年6月22日)。OCIの説明、クラウドインフラ売上、設備投資、受注残(RPO)の定義、リース・購入義務、資金調達、リスク要因。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1341439/000119312526277521/orcl-20260531.htm
- Oracle Form 10-Q for the quarterly period ended August 31, 2026(米国SEC提出、2026年9月11日)。2027年5月期第1四半期の実績、受注残6,640億ドル、開始前リース2,880億ドル。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1341439/000119312526389274/orcl-20260831.htm
- Oracle Form 8-K(2026年9月10日提出)のExhibit 99.1。2027年5月期第1四半期の決算発表(850MWのデータセンター容量の引き渡し、AIクラウド契約の追加、ATM増資の完了)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1341439/000119312526387905/orcl-ex99_1.htm
- Oracle Form 8-K(2026年6月10日提出)のExhibit 99.1。2026年5月期第4四半期の決算発表(受注残6,380億ドル、顧客が前払い・持ち込みしたハードウェア750億ドル、資金調達計画)。 https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1341439/000119312526265848/orcl-ex99_1.htm
- Oracle Oracle公式ページ「AI Data Centers」(2026年10月15日に確認)。拠点ごとの契約時期と引き渡しの段階、提携事業者。 https://www.oracle.com/data-centers/
- Oracle Oracle公式発表「Oracle Unveils Next-Generation Oracle Cloud Infrastructure Zettascale10 Cluster for AI」(2025年10月14日)。 https://www.oracle.com/news/announcement/ai-world-oracle-unveils-next-generation-oci-zettascale10-cluster-for-ai-2025-10-14/
- Oracle Oracle公式発表「Oracle and AMD Expand Partnership to Help Customers Achieve Next-Generation AI Scale」(2025年10月14日)。 https://oracle.com/news/announcement/ai-world-oracle-and-amd-expand-partnership-to-help-customers-achieve-next-generation-ai-scale-2025-10-14
- Oracle Oracle公式サイト(会社の確認用。ロゴは同社ドメインの oracle-logo.svg を取得)。 https://www.oracle.com/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年10月15日(確認日)/Troy Technical
本稿の数値は、Oracle Corporationが米国証券取引委員会(SEC)に提出した書類と、Oracleの公式発表・公式ページに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。製品の性能値は開発元の公称で、第三者の測定ではありません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。契約・投資・データセンターの計画は2026年10月15日時点の公表内容です。会計年度は5月期(例:2026年5月期=2025年6月〜2026年5月)です。
