主要成果
村田製作所は、AIデータセンターの要求に応えるコパッケージドオプティクス(CPO)の技術ロードマップを公開し、その中で薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)を用いた画期的な光変調器を中核技術として位置付けました。この変調器の最初のサンプルは2026年第4四半期に完成し、2028年には量産を開始する予定であり、次世代光通信の性能を大きく引き上げるものと期待されています。
技術・臨床詳細
村田製作所のTFLN光変調器は、100GHzを超える電気光学(EO)帯域幅と、400Gbps/チャネル以上の超高速伝送を目標として設計されています。ニオブ酸リチウムは元来優れた電気光学効果を持つ素材ですが、薄膜化することでシリコンフォトニクスとのハイブリッド統合を容易にし、同時に消費電力の削減と小型化を実現します。この高帯域幅と高速性は、AIデータセンターのCPO構成においてCPU/GPUと光モジュール間のデータボトルネックを解消する上で極めて重要です。また、この技術はCPOへの応用だけでなく、長距離・大容量伝送を実現するコヒーレント通信、多数の波長を同時に伝送する波長分割多重(WDM)、さらには将来的な量子通信といった先端分野への幅広い応用も視野に入れています。
背景・業界文脈
AIデータセンターの消費電力とデータ処理量の爆発的な増加は、従来のプラグアブル型光トランシーバーの限界を浮き彫りにしています。CPOは、光素子を電気チップ(CPU/GPU)の近くに、あるいは同一パッケージ内に配置することで、電気配線の長さを短縮し、信号損失と消費電力を劇的に削減する次世代の統合技術です。村田製作所がTFLN技術をCPOロードマップに組み込むことは、この技術がAI時代のデータセンターインフラにとって不可欠な要素となることを示唆しています。特に、日本の企業が持つ高精度な部品製造技術と新材料開発能力が、この分野での競争優位性を確立する鍵となります。
今後の展望
村田製作所のTFLN光変調器の量産は、CPO技術の実用化を大きく加速させ、AIデータセンターの性能とエネルギー効率を新たなレベルに引き上げるでしょう。この技術は、光通信業界全体に大きな影響を与え、コヒーレント通信やWDMなどの既存技術のさらなる高性能化だけでなく、量子コンピューティングや量子ネットワークといった未踏領域における光インターコネクトの実現にも貢献する可能性があります。2028年の量産開始は、今後の光通信技術の方向性を決定づける重要なマイルストーンとなるでしょう。
元記事: https://www.thelec.net/news/articleView.html?idxno=14362
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