COMPANY PROFILE / 創薬・DDS
サムスンバイオロジクス(Samsung Biologics)
― 抗体の巨大受託工場が、ADCとペプチドへ手を広げている
サムスンバイオロジクスは韓国・仁川(インチョン)の松島(ソンド)に工場を持つバイオ医薬品の受託開発製造会社(CDMO)です。 売上のほとんどは、製薬会社から預かった抗体医薬を大型の培養設備で作ることから生まれています。 創薬・DDSの視点でいま注目すべきなのは3点です。 1つ目は、抗体に薬物を結合させるADC専用工場を2025年に稼働できる状態にし、注射剤の充填ラインも建設中であること。 2つ目は、バイオシミラー事業(Samsung Bioepis)を2025年11月に別会社(Samsung Epis Holdings)へ分割し、自社の医薬品を持たない受託専業になったこと。 3つ目は、2026年7月にペプチド原薬の受託会社PolyPeptideの買収を提案し、2026年9月時点で公開買付けが進んでいることです。 本稿は細胞培養や工場の容量そのものには深入りせず、ADC・製剤・ペプチドにかけているリソースと、その先の狙いに絞ります。
- 30秒でわかるサムスンバイオロジクスと、創薬・DDSでの立ち位置
- ロゴと社名の表記について
- 創薬・DDSの世界で、この会社はどこにいるか
- 会社の規模
- 創薬・DDSにかけているリソース
- これまでの取り組み
- 今後の計画
- この会社は創薬・DDSで何を目指しているか
- 創薬・DDS分野の提携マッピング
- 提供している技術・製品・サービス
- この企業が抱えるリスク
- 用語集/出典/主張と出典の対応表
1. 30秒でわかるサムスンバイオロジクスと、創薬・DDSでの立ち位置
Co., Ltd.韓国語名 삼성바이오로직스。2011年設立
KRX: 207940有価証券市場(KOSPI)
(CDMO)2025年11月の分割で自社の医薬品事業を切り離した
創薬・DDSに関わる企業は、大きく製薬企業・創薬バイオテック・受託開発製造(研究)の3種類に分かれます。 サムスンバイオロジクスは受託開発製造です 事実。 以前は子会社のサムスンバイオエピスがバイオシミラー(特許が切れた抗体医薬の後続品)を開発・販売していましたが、 2025年11月1日付の会社分割で、その事業は新設のSamsung Epis Holdingsの傘下へ移りました。 DARTの事業報告書は分割の目的を「バイオシミラー事業との利益相反の懸念を解消し、独立した意思決定体制を強化する」と説明し、 研究開発の欄には「開発が完了したパイプラインはない」と書いています。 つまりこの会社は自社の薬を持たず、他社の薬を作ることに専念する立場を、組織の形で明確にしたところです。
2. ロゴと社名の表記について

Samsung Biologicsのロゴは同社の商標です。本稿では生成画像による再現を行わず、
公式サイトのページ上部に表示されているロゴ(SVG)を img/samsung_biologics_logo.svg として設置しています。
表記の注意:日本語では「サムスンバイオロジクス」と表記します。 Samsung Bioepis(サムスンバイオエピス)とSamsung Epis Holdings(サムスンエピスホールディングス)は、2025年11月の分割以降、サムスンバイオロジクスの子会社ではありません。 似た名前が多いので、本稿では3社を区別して書きます。 また、PolyPeptideの公開買付けを行っているのは、サムスンバイオロジクスがスイスに設けた直接子会社 Samsung Peptide AG です。 本シリーズの細胞培養技術の企業解説にも同社は登場しますが、本稿は創薬・DDSの視点だけで別に書いたものです。
公式サイト:https://samsungbiologics.com/3. 創薬・DDSの世界で、この会社はどこにいるか
類型は受託開発製造(CDMO)で、中心のモダリティは抗体です。 2025年の売上の大半は抗体医薬の受託製造(CMO)で、ここに初期臨床までの開発受託(CDO)と、2025年6月に始めたオルガノイドによる研究受託が加わります 事実。 創薬・DDSとの接点は、抗体を「運び屋」にするADC、注射剤の製剤(高濃度製剤・プレフィルドシリンジ)、そして買収を提案しているペプチド原薬の3つです。 本シリーズの技術解説「CDMO」「抗体医薬とADC」「ペプチド医薬とGLP-1」とあわせて読むと、それぞれの工程の意味がつかみやすくなります。
4. 会社の規模
分割したバイオシミラー事業は非継続事業として区分されており、下の数字は受託開発製造の事業のものです 事実。
| 指標(億ウォン) | 2024年12月期 | 2025年12月期 | 2026年上期 |
|---|---|---|---|
| 売上高(連結) | 34,971 | 45,570 | 25,780 |
| 営業利益(連結) | 13,214 | 20,681 | 11,670 |
| 研究開発費(連結) | 1,416 | 1,674 | 公式リリースに記載なし |
| 研究開発費の対売上比率 | 4.1% | 3.7% | ― |
| 項目 | 数値 | 補足 |
|---|---|---|
| 従業員 | 5,455人 | 2025年12月31日、本社基準 |
| 研究開発の専任人員 | 609人 | 博士109人、修士266人を含む |
| 生産能力(培養槽の総容量) | 845,000L | 松島の785,000Lと米国Rockvilleの60,000L |
| 地域別の売上 | 欧州52.0%、米国38.0% | 2025年。国内8.2%、その他1.8% |
| 累計受注額 | 216億米ドル | 2026年6月末時点の公表値 |
| 2026年の見通し | 連結売上+15〜20% | 2026年7月には「見通しの上限を達成する軌道にある」と公表 |
上の数字は会社全体のもので、ADCや製剤の売上は分けて開示されていません 未確定/将来。 2025年の売上の95.6%は「抗体医薬品」に区分されており、ADCはまだ立ち上げ段階の事業です。 また事業報告書には、バイオ医薬品市場の規模(2025年に約5,387億ドル、2030年まで年率10.6%成長)という数字も載っていますが、 出所が明記された調査会社の推計に基づくものと判断できないため、本稿では採用しません。
5. 創薬・DDSにかけているリソース
| リソースの種類 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 人(研究開発) | 研究開発の専任609人。内訳は製造技術(MSAT)297人、CDO開発センター194人、バイオ研究所118人。ADC担当の人数は開示なし | 事実 |
| 人(研究体制の顔ぶれ) | バイオ研究所長は、ADC開発会社LigaChem Biosciences(リガケムバイオ)のバイオセンター長を務めた人物。AI Labも置いている | 事実 |
| 金(研究開発費) | 1,674億ウォン(2025年、連結)。うち人件費935億ウォン | 事実 |
| 金(ADCの設備) | ADC専用工場は2025年にGMP準備完了。ADCの注射剤(DP)工場の建設(増築)契約を2025年11月14日に国内の建設会社と締結、契約額524億ウォン(付加価値税別) | 事実 |
| 金(今後の投資) | 第3バイオキャンパスに2034年までに約7兆ウォンを投じる計画(用地代2,486億ウォン)。2026年8月発表の約3兆ウォンの株主割当増資のうち約2.71兆ウォンをPolyPeptide買収に、約2,900億ウォンを第2バイオキャンパス拡張に充てる | 事実 |
| 買収 | PolyPeptide Group(ペプチド原薬の受託)に1株44.31CHF・総額約14.6億CHFで公開買付け中。米国Rockville工場(GSKから、3.53億米ドル、2026年3月に取得完了) | 事実 |
| 外部への出資 | Samsung Life Science Fund を通じ、ADC技術を持つ Araris(2023年)、Aimed Bio(2023年)、ADC向けタンパク質工学の BrickBio(2024年)、中国のADCプラットフォーム企業 Phrontline Biopharma(2025年)などに出資。2026年6月には第3号ファンドの組成のため2,000億ウォンを追加で出資 | 事実 |
| 技術の導入・導出 | DARTの事業報告書は、ライセンスイン・ライセンスアウト・技術提携の契約をいずれも「該当なし」と記載 | 事実 |
| 公的資金 | 事業報告書は研究開発費について政府補助金は該当なしと記載 | 事実 |
| 大学・研究機関との連携 | 感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)とは2026年に戦略提携(公衆衛生上の緊急事態に備えた製造能力の提供)。ADC・ペプチドについての大学との共同研究は記載なし | 確認できず |
同社のバイオコンジュゲーション事業ページは、ADC専用工場を他の生物製剤の製造と分けて運用し、 高薬理活性原薬(HPAPI)を扱うために職業暴露限界(OEL)1 ng/m³未満を達成するよう設計した封じ込め設備を備えると書いています。 反応設備はシングルユース(使い捨て)とステンレスの両方で、最大500Lの系列まで対応します 事実。 1 ng/m³は、空気1立方メートルあたり10億分の1グラムという水準です。 この水準では、作業者を守る隔離装置や陰圧の設計に加えて、使い捨ての袋・チューブ・フィルターを高毒性の液が通ったあとにどう安全に廃棄するかが工程の設計の一部になります。 シングルユースとステンレスを併用しているのは、製品の切り替えの速さ(使い捨て)と、大きな規模での再現性(ステンレス)を両立させるためと読めます 未確定/将来。
6. これまでの取り組み
| 時期 | できごと | 意味 |
|---|---|---|
| 2011年 | サムスンバイオロジクスを設立 | 抗体の受託製造から出発 |
| 2021年5月 | ModernaとCOVID-19 mRNAワクチンの製剤(DP)生産契約。同年12月、同社製造分について韓国の食品医薬品安全処(MFDS)の承認を取得(沿革の記載) | 注射剤の充填と、mRNAの受託の実績 |
| 2022年 | mRNAの生産設備が稼働。8月にmRNAワクチンの商用規模の試験運転を完了。4月にサムスンバイオエピスを100%子会社化 | 新しいモダリティへの最初の拡張 |
| 2023年4月 | Life Science Fund がADC技術を持つArarisに出資 | ADCへの関心が出資の形で始まる |
| 2024年2月 | LigaChem BiosciencesとADCの開発受託(CDO)契約。2025年1月に協業を拡大 | ADCの受託の最初の公表案件 |
| 2024年10月 | 高濃度製剤のプラットフォーム S-HiCon を発表 | 注射剤の製剤開発の受託を強化 |
| 2025年2月 | ADC専用工場がCGMPの準備完了(事業報告書は2025年第1四半期末までの完成と記載) | ADCの結合工程を自社で持った |
| 2025年6月 | 創薬スクリーニングの受託「Samsung Organoids」を開始 | 候補物質を探す段階から顧客と組む(CRO) |
| 2025年11月 | 会社分割が発効(11月1日)。Samsung Epis Holdings を新設し、バイオシミラーの開発・商業化事業を移す。14日にADCの注射剤工場の建設契約(524億ウォン) | 受託専業へ。ADCの「結合→充填」をつなぐ準備 |
| 2025年11月 | Life Science Fund が中国のADCプラットフォーム企業 Phrontline Biopharma に出資。第3バイオキャンパスの用地を取得 | ADC技術への出資を継続 |
| 2026年第1四半期 | ADC専用工場で初めての商用規模のエンジニアリングランを完了。CEPIと戦略提携、Eli Lillyとオープンイノベーションで協業 | ADCの商用生産に向けた実証 |
| 2026年3月 | 米国Rockvilleの工場(60,000L)の取得を完了 | 米国で初めての製造拠点 |
| 2026年7月20日 | PolyPeptide Groupへの全額現金による公開買付けを発表(1株44.31CHF、総額約14.6億CHF) | 抗体・ADCの外側にあるペプチドへ |
| 2026年8月28日 | 約3兆ウォンの株主割当増資を発表。第6〜8工場を順次稼働させて2032年に総容量1,385,000Lにする構想を検討中と公表 | 買収と増設の資金手当て |
| 2026年8月31日 | 子会社 Samsung Peptide AG が公開買付けの目論見書を公表。本買付期間は9月15日〜10月12日(予定) | 2026年9月26日時点で買付けは進行中 |
7. 今後の計画
マザーラインを構築注射器にあらかじめ薬を詰める製剤
2026年11月30日の予定株主の申込みは11月9〜10日
英文 Business Report 2025 の社長メッセージは、2026年の方針として「ADCの生産設備の拡張を進め、臨床段階の生産需要の増加に応えるため中小規模の生産基盤を強化する」と書いています 事実。 抗体の大型タンクで稼ぐ会社が、ADCや臨床用の小ロットという量は少ないが工程の難しい領域を意識して増やそうとしていることがわかります。
次はいずれも事業報告書・公式リリースに記載がありません 未確定/将来。
ADC専用工場の受託件数・顧客名・売上/ADCの注射剤ラインとプレフィルドシリンジの生産能力/ LigaChem Biosciences との契約の金額と対象品目/Eli Lillyとの協業の具体的な内容と金額/ PolyPeptideの買収が成立した場合の統合計画と追加投資/公開買付けの応募状況。 PolyPeptideの買付けは2026年9月26日時点で本買付期間中であり、成立するかどうかは確定していません。
8. この会社は創薬・DDSで何を目指しているか
ここは会社が直接には述べていない部分を含みます。一次情報から読み取れる範囲の推測として、根拠とともに書きます。
| 読み取れること | 根拠となる一次情報 | 区分 |
|---|---|---|
| 抗体だけの会社から「複数のモダリティを1社で」請け負う会社になろうとしている | PolyPeptide買収のリリースが「抗体とADCを超えてペプチド医薬へ」「多モダリティのCDMO」と明記 | 事実 |
| ADCは抗体→結合→充填を社内でつなぐ一貫受託を狙う | ADC専用工場の稼働準備完了、ADCの注射剤工場の建設契約、事業ページの「抗体の準備から充填までの工程」の図 | 推測 |
| ペプチドでは肥満・糖尿病向けGLP-1の需要を最大の理由にしている | リリースが「肥満治療の世界的な需要の急増」「GLP-1を含む肥満・糖尿病」を挙げている | 事実 |
| ペプチドの買収は工場の立地を米国・欧州・インドへ広げる意味も大きい | CEOのコメントが「米国・欧州・インドでの地理的な近さ」を挙げ、PolyPeptideの6工場が欧州・米国・インドにある | 推測 |
| ADC技術そのものは自社で持たず、出資先と顧客の技術を使う | 事業報告書でライセンスイン・アウトが「該当なし」。ADC技術はLife Science Fundの出資先(Araris、Aimed Bio、BrickBioなど)として保有 | 推測 |
| 分割で顧客との利益相反を避け、大手製薬の受託を取りやすくした | 事業報告書が分割の目的を「バイオシミラー事業との利益相反の懸念の解消」と説明 | 推測 |
受託企業にとって、自社グループがバイオシミラーを開発していることは、顧客の製薬会社から見れば「自社の薬の後続品を作るかもしれない相手に、製造を預ける」ことになります。 事業報告書が分割の目的に「利益相反の懸念の解消」を挙げたのは、この点を意識したものです 事実。 分割の8か月後に同社が選んだ次の一手が、自社の薬を持たないペプチドの受託会社の買収でした。 本稿はこの2つを、「薬を持たない受託企業として、扱えるモダリティを増やす」という1本の方針の前半と後半と読みます 未確定/将来。 なお、分割されたSamsung Epis Holdings側は、ペプチド関連の要素技術プラットフォームを開発する子会社(エピスネクスラボ)を紹介しており、 サムスングループの中ではペプチドの「創薬」はEpis側、ペプチドの「受託製造」はBiologics側という役割分担になりつつあるようにも見えます 未確定/将来。 ただし両社がこの分担を公式に説明した一次資料は確認できていません。
9. 創薬・DDS分野の提携マッピング
10. 提供している技術・製品・サービス
| 分野 | 内容 | 状況 |
|---|---|---|
| ADCの受託 | 抗体の準備、ペイロードの準備、還元、結合、限外ろ過、クロマトグラフィー精製、製剤化・原薬の充填までの工程を受託。薬物抗体比(DAR)、残留溶媒、遊離薬物の分析 | 専用工場はGMP準備完了(2025年)。2026年第1四半期に商用規模の試験運転 |
| ADCの製剤 | ADCの注射剤(DP)ラインを建設中 | 2027年までに構築予定 |
| 抗体の受託製造 | 原薬(DS)の大型培養から製剤まで。二重特異性抗体、融合タンパクも対象 | 主力事業。総容量845,000L |
| 製剤の開発受託 | 高濃度製剤のプラットフォーム S-HiCon、プレフィルドシリンジのマザーライン(計画) | S-HiConは2024年10月発表 |
| mRNA | mRNAの原薬・製剤の受託 | 2022年に生産設備が稼働 |
| 研究受託 | 患者由来の腫瘍オルガノイドを使った薬効評価(Samsung Organoids) | 2025年6月開始 |
| ペプチド原薬 | PolyPeptideの買収が成立すれば、欧州・米国・インドの6つのGMP工場で作るペプチド原薬が加わる | 未成立(公開買付け中) |
抗体は細胞に作らせるタンパク質で、工程の中心は培養槽と、培地・精製樹脂・シングルユースの袋です。 一方でペプチドは、多くの場合化学合成で作ります。 PolyPeptideの説明によれば同社は「70年を超える原薬製造の歴史」と「1,000を超える治療用ペプチドの製造実績」を持ち、 モジュール化と自動化を軸に成長してきた会社です 事実。 化学合成のペプチドでは、樹脂の上でアミノ酸を1つずつつなぐ固相合成が一般的で、そこでは合成用の樹脂、保護基のついたアミノ酸、大量の有機溶媒、逆相クロマトグラフィーの充填剤がコストと環境負荷を左右します。 これはサムスンバイオロジクスがこれまで扱ってきた材料とほとんど重ならず、 買収が成立した場合、同社の調達先と品質管理の対象が大きく変わることになります 未確定/将来。 PolyPeptideがどの合成法・どの溶媒を使っているかはサムスンバイオロジクスの一次資料には書かれておらず、固相合成の部分は本稿による一般的な説明です。
11. この企業が抱えるリスク
| リスク | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 買収が成立しない可能性 | PolyPeptideの公開買付けは、応募66⅔%以上と規制当局の承認などが条件。最大株主(約55.65%)は応募を約束しているが、2026年9月26日時点で結果は出ていない | 未確定/将来 |
| 増資による希薄化 | 約227万株の新株を発行。調達額は時価総額の約4.90%に相当 | 事実 |
| 売上の地域集中 | 2025年の売上の9割が欧州(52.0%)と米国(38.0%)。米欧の政策や通商の変化の影響を受けやすい | 事実 |
| 係争 | サムスンバイオエピスへの投資の会計処理をめぐり、証券先物委員会の処分の取り消しを求める行政訴訟が続いている。会社は結果を「予測できない」と記載 | 事実 |
| ADC事業の立ち上がり | ADCはまだ商用生産の実績を公表していない。ADC受託の先行企業が多いなか、顧客をどれだけ獲得できるかは未知数 | 推測 |
| 異なる製造技術の統合 | 培養中心の会社が化学合成中心のペプチド事業を抱えることになり、品質体制や人材の統合に時間がかかる可能性 | 推測 |
12. 用語集
- CDMO
- 他社の医薬品の開発(CDO)と製造(CMO)を請け負う会社。研究受託(CRO)まで含めるとCRDMOとも呼ぶ。
- ADC
- 抗体薬物複合体。がん細胞の目印に結合する抗体に、強い薬物をリンカーでつないだ薬。
- DAR
- Drug-to-Antibody Ratio。抗体1分子あたりに結合した薬物の数。ADCの品質を決める重要な指標。
- OEL
- 職業暴露限界。作業者が吸い込んでも健康に影響が出ないとされる空気中の濃度の上限。
- プレフィルドシリンジ
- 注射器にあらかじめ薬液を詰めた製剤。患者や医療者がそのまま注射できる。
- バイオシミラー
- 特許が切れたバイオ医薬品と同等の品質・有効性・安全性をもつとして承認された後続品。
- ペプチド原薬
- アミノ酸が数個〜数十個つながった薬の有効成分。GLP-1受容体作動薬などがある。
- 公開買付け
- 上場企業の株を、価格と期間を示して市場の外で広く買い集める手続き。
AI生成による概念図13. 出典
- Samsung Biologics 事業報告書(2025年12月期、金融監督院DART提出。2026年5月15日訂正提出、韓国語)。事業の概要、分割の目的、売上の地域別構成、ADC工場とADCの注射剤工場の建設契約、プレフィルドシリンジの計画、ライセンス・技術提携の有無、研究開発の組織と人員、研究開発費、政府補助金の有無、市場規模の記述。 https://dart.fss.or.kr/dsaf001/main.do?rcpNo=20260515001658
- Samsung Biologics Business Report 2025(英文、公式IRサイト掲載)。社長メッセージ(2026年の方針、ADC設備の拡張、第3バイオキャンパス約7兆ウォン)、沿革(設立、Moderna、Araris、LigaChem、分割、Phrontline など)、従業員数、連結損益、分割の会計処理、行政訴訟。 https://samsungbiologics.com/common/fileDownload.do?_fdFileName_=cd21696118cd4a7daa6973c02d40f795.pdf&_colunmName_=attCnt0&_downloadIdx_=391&_fdFileOriName_=%5BSamsung%20Biologics%5D%202025%20Business%20Report.pdf&_fdSubPath_=investors
- Samsung Biologics 2025 Q4 Earnings Release(2026年1月21日)。2026年の連結売上見通し(+15〜20%)、分割の完了。 https://samsungbiologics.com/common/fileDownload.do?_fdFileName_=61a7b9d576694f6c8a10151dfb7067f8.pdf&_colunmName_=attCnt0&_downloadIdx_=382&_fdFileOriName_=%5BSamsung-Biologics%5D-2025-Q4-Earnings-Release.pdf&_fdSubPath_=investors
- Samsung Biologics プレスリリース「Samsung Biologics reports first quarter 2026 financial results」(2026年4月22日)。ADC専用工場での初の商用規模エンジニアリングラン、Rockvilleの取得額、CEPIとの提携、Eli Lillyとの協業。 https://samsungbiologics.com/media/company-news/samsung-biologics-reports-first-quarter-2026-financial-results
- Samsung Biologics プレスリリース「Samsung Biologics Reports Second Quarter 2026 Financial Results」(2026年7月23日)。2026年上期の売上・営業利益、累計受注216億米ドル、Life Science Fund(共同出資者と運用者、第3号ファンド)、見通しの上限達成。 https://samsungbiologics.com/media/company-news/samsung-biologics-reports-second-quarter-2026-financial-results
- Samsung Biologics プレスリリース「Samsung Biologics announces all-cash offer to acquire PolyPeptide, accelerating multi-modality strategy and expanding global network across U.S., Europe, and India」(2026年7月20日)。買付価格・総額、最大株主の応募約束、条件、GLP-1を含むペプチド需要、PolyPeptideの実績と拠点、CEOのコメント。 https://samsungbiologics.com/media/company-news/samsung-biologics-announces-all-cash-offer-to-acquire-polypeptide
- Samsung Biologics プレスリリース「Samsung Biologics publishes prospectus for PolyPeptide public tender offer」(2026年8月31日)。Samsung Peptide AG、本買付期間(9月15日〜10月12日)、最低応募比率、完了見込み、PolyPeptideの6つのGMP工場。 https://samsungbiologics.com/media/company-news/samsung-biologics-publishes-prospectus-for-polypeptide-public-tender-offer
- Samsung Biologics プレスリリース「Samsung Biologics Announces KRW 3 Trillion Rights Offering to Fund Its Next-Phase Expansion」(2026年8月28日)。調達額と使途、新株数と日程、第6〜8工場と2032年の1,385,000L。 https://samsungbiologics.com/media/company-news/samsung-biologics-3-trillion-won-rights-offering
- Samsung Biologics 公式サイト「Bioconjugation」。ADC専用工場の封じ込め(OEL 1 ng/m³未満)、最大500Lの反応設備、工程と分析項目、Life Science Fundの出資先(Aimed Bio、BrickBio)。 https://samsungbiologics.com/services/bioconjugation
- Samsung Biologics 公式サイト「Milestones」。ADC専用工場のCGMP準備完了(2025年2月)、S-HiCon(2024年10月)、分割(2025年11月)、Samsung Organoids(2025年6月)。 https://samsungbiologics.com/about/milestones
- Samsung Epis Holdings 公式サイト「자회사 소개(子会社紹介)」(韓国語)。サムスンバイオエピスの事業分野(バイオシミラー、ADC、AAV)、エピスネクスラボのペプチド関連要素技術プラットフォーム。 https://www.samsungepisholdings.com/about/about03.do
- Samsung Biologics 公式サイト(ロゴ画像の取得元)。 https://samsungbiologics.com/
14. 主張と出典の対応表
最終更新:2026年9月26日/Troy Technical
本稿の数値はすべてSamsung Biologicsが金融監督院に提出した事業報告書、同社の英文 Business Report・決算資料・公式リリース・公式サイト、およびSamsung Epis Holdingsの公式サイトに基づきます。調査会社の推計値・報道ベースの数値は使用していません。「推測」と記した箇所は、一次情報から本稿が読み取った解釈であり、会社の公表内容ではありません。本稿は企業の事業内容を説明するもので、特定の医薬品の使用や効果を勧めるものではありません。